梓:そしてやってきました最終話、あくまでも予定。
L:・・・かなりぶち壊しね・・・。
梓:いやそう言われても(汗)
    これ編集して打ち込みしてるわけじゃないんで。
L:あ、そういえばそうだったわね。
梓:はい。だから打ち込み中時点のこの前書きでは“あくまでも予定”と
  なるんですよねー・・・(汗)
  という事で、さっそくいってみましょう、「じゅう」!!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【・・・く・・・・・・っ!!!】
歴然な力の差を見せ付けられた軍勢は、もはやその半分以下に減少していた。
肩膝をつきながら大きく息をつく男は、目の前に悠然と立つ女性を睨んでいた。
その女性は、その男を見下ろしながら威厳を保った声で言った。
【・・・お前の歪みの力でこの我を滅ぼせるとでも思ったか】
【ここまでだね、クリスファンド=ヴェルジオール】
そう言うのは、男が利用するはずだった、女性の弱点でもある少年。
【もう二度目はないと思え。―――歪みの中で、眠っているのだ―――】
女性は、男へと手をかざした。
 


           月光王   其の10



「ろ―――ロード=オブ=ナイトメアに・・・く―――クロノス=オブ=オーシャン・・・だと・・・っ?!」
微笑みなどかけらも浮かべずに自分を見る2人を目の当たりにし、クリスは動揺する。
ユニットはそれを見てからLとKの方に歩き寄って隣に立つ。
かつんっ!と足音を上げて、Lがクリスの方へ進み出た。
顔は真っ青になりながらも唇を噛み締め、クリスはそのプレッシャーに耐える。
その様子を見ると、Kが無表情のままに言う。
「・・・ほう・・・?その精神でLのプレッシャーに耐えるか・・・」
足を止めて、クリスにLは怒りと力を込めた声色で名前を呼んだ。
「・・・クリスファンド=ヴェルジオール・・・」
クリスがびくりと震える。 
あの仕事口調を聞いたのは久しぶりだなぁと、何とものん気にディースが考えていると、クリスの前に雄雄しく立ったまま、Lはクリスを見下ろして言葉を続ける。
「あの時我は“二度目はない”といったはずだが・・・我の忠告も聞かずに二度目を起こしたばかりか、我が弟を標的にしたのも・・・これで二度目となったのだ」

―――ゴウッ!!!

瞬時にLの周りに混沌の力が集まってくる。
被害が及ばないように、ディースは素早くリナ達の周りに混沌の結界を張った。
残っていた他の雑魚外族は、そのLのプレッシャーで全て滅びていく。
クリスは尚もしぶとく結界などを張っているが、それもいつまで持つものか。
「そんなに我に反逆したいというのならば良いだろう―――。二度と反逆など出来ぬように・・・我がお前の歪み本体に直接・・・滅びを。」
Lが手をかざすと、ばしりっ!とクリスの結界が解かれる。
そしてKとユニットもLを挟むように隣に立つ。
「金色の魔王に逆らいし精神、それは我らが作りだした混沌そのものに抗いし意志。
  ・・・強制的に封印を解いたその時・・・我の時空にも影響をきたしている・・・」
「そして、月光の王を滅ぼすという事は銀河の法則そのものを、無にしてしまう事。
  あなたが赤の世界に降り立った時、私が管理する宇宙空間にも影響が及んだ」
Kとユニットも、Lと同じようにクリスに手をかざした。
その3人を中心に混沌の力はどんどん増していき、その増した力はクリスの体へと収縮していく。
その混沌はクリスの体の中からその魂を滅びへと少しずつ導いていく。
その力に地面に伏せるクリスはもがき苦しんでいく。

「ぐっあ・・・ああぁぁあ・・・ぁぁあああああ・・・・あああああぁぁあああ!!!!!!!!」

何もせずにそれを見ていたディースは、そこで初めてクリスへと近づいた。
1歩1歩歩くごとに、ディースの周りにも漆黒と白銀の光が収縮し渦巻き始めていく。
苦痛と恐怖と悲痛の叫びを上げ続けるクリスに、ディースは手ではなく錫杖をかざした。
クリスを少し哀れみの色を含んだ瞳で見下ろすと静かに言った。

「クリスファンド=ヴェルジオール。・・・今、我らの力もて・・・汝に安らかな滅びを与えよう。
―――静かに混沌の底で眠り続けるが良い―――」

そして、漆黒と白銀の光力が4人を中心に、クリスを包み込んだ―――。


朝の光が神殿の中に差し込んできた頃、ディースはリナ達の結界を解いた。
圧迫されるようなプレッシャーが消えるのを感じると、リナ達はそのままぺたりと座り込む。
―――これが、本物の世界の創設者達の力(の一部)―――。




「・・・さて・・・改めて本当に久しぶりね、ディース。元気にしてたみたいね、良かったわ」
Lが落ち着いた表情でディースの方を向くと、ディースもにっこりと笑った。
「うん、久しぶり。姉様も元気そうで安心したよ。それに兄様も来てくれるとは思わなかったな」
「もう少しいたいが、ゴドリック達が呼んでいるから、もう帰らないといけない」
Kは肩を竦めて苦笑する。
するとユニットもくすくすと笑いながら頷いた。
「私ももう帰らないとフェアリーが心配するわね。終わったらすぐ帰るって言っちゃったから。
  ・・・ディースはどうするの?まだここにいるの?それともLと帰るの?」
その問いにディースはただ笑って答えると、Lに「ちょっと待ってて」と言う。
そしてリナ達の方へと向き直る。
錫杖を掲げると、ディースが高めていた魔力は一瞬にしてリナ達から消えた。
「否応無しに闘いに巻き込んじゃったけど、助かったよ、ありがとう」
ディースが笑ってそう言うと、呆然としていたリナは我に返って、苦笑した。
「少し疲れたけど・・・嫌ではなかったわね」
その答えにくすくすと声を立てて、ディースはもう一度錫杖をかざす。
「そっか。じゃあ、今回のせめてものお礼に・・・。
――― 汝等に 月光の加護を 捧げよう ――― 」





ふわりと5人の周りに優しく暖かな白銀の光が舞い降りる。
その光は全ての傷を癒し、全ての疲労を回復し、全ての魔力を戻していく。
ふいに声を上がる。
そちらを振り向くと、黒髪の青年が驚愕した表情で自分の手を見つめていた。
そう、人間に戻ったゼルガディスである。
「ゼルガディスのはオマケ」
にっこりとディースは微笑みを浮かべてそう言うと、Lの方へ歩き寄った。
そのディースを見てLも優しく微笑すると、リナ達の方を見る。
「弟が、世話になったわね、あたしからもお礼を言うわ・・・・・・ありがとう♪
  あんた達は特に気に入ってるわ、これからも楽しませてちょうだいね♪」
「じゃ、リナ、ガウリイ、アメリア、ゼルガディス、ゼロス。
  本当にありがとう、またね♪」

そして、L、K、ユニット、ディースはその場から姿を消した。

5人が最後に見たのは、ばいばいと片手を振るディース。

ようやく、終わった―――。



しかし・・・・・・・・またねとはなんだったのか・・・・“またね”とは。




END


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 あとがきという名前の打ち上げ?


 梓:終わりましたよゆっくりまったり気長連載「月光王」最終話「じゅう」が。
  “予定”で終わらなくて良かったー・・・。
K:・・・いいのか?この短絡主義な終わり方は・・・ひねりないな。
梓:いや・・・それに関しては確かにちょっとは考えたんですけどね・・・
  ま、いっか♪となりました。
K:いや待て。
梓:見てる人はいるかどうか分かりませんが、一先ず「月光王」連載は終了です!!
  次からは短編が少し続いて、気力があればまた連載を始めたいと思ってます。
  それでは、私の気力が復活するまで、さよーーーーならーーーーー!!!


 $$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
    管理人より:
        何か、続編がありそうな予感がひしひしと(笑)
        さあ、一番あわれなのは、誰なのかなぁ(こらまてや)
        ちなみに、次に、5話の番外編をもってきてます。
        桜月さん、素敵な小説、ありがとうございました!!