梓:本当に10話で終われるか不安になってきた、打ち込み中の今日この頃・・・。
  でも頑張りたいとは思っています。
  それにしてもディースさんは微妙にシスコンですねぇ・・・。
L:このあたしが姉なのよ?当たり前じゃない♪
梓:それでは「はち」行きましょう!!!

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【【また、いつか】】
重なった自分の声と姉の声にまどろんでいた意識は完全に覚醒した。
目に映る広がる空には、丁度太陽が真上にくる所だった。
くしゃりと髪をかきあげると、その中の掬い漏れた髪がさらりと瞳にかかる。
その金髪を太陽が照らしてきらきらと光を反射する。
少し、眩しかった。
自分の金髪は純粋な金色ではなく、少しだけ銀色が入っている事は知らなかった。
知ったのは、姉が自分の髪の毛で遊んでいた時に教えてくれたからだ。
その事を教えてくれた後で、姉は言った。
【最初は銀髪でも良かったんだけど・・・あたしと共通点が欲しかったのよね】
それを聞いた時、嬉しかったのを確かに覚えている。
姉は僕を、唯一繋がっている者として、愛してくれているのだ―――と。
・・・会いたい。
それを実現させるためには、早くこの闘いを終わらせること。
終わらせる。
自分を狙うものたちは姉を狙うものたち、姉を狙うものたちは自分を狙うものたちである。
わざとだとしても、そんな奴らの力ごときで滅んで見せる気は毛頭ない。
2度も攻めてくる奴らだ。
 後で面倒になる前に滅ぼすだけ。
静かに微笑してから、ディースは立ち上がった。
「・・・今日の夜・・・終わるよ。」


           月光王   其の8

 

昨日一晩話し合い。
相手は今日の新月の夜、ディースは力が衰えると勘違いしている。
それを逆に利用しようという作戦になった。
つまり。
街に被害が及ばないように、ディース達は街から離れている神殿へと行く。
そして夜にクリス達がデリタや他の雑魚らしき外族を連れて、襲撃してくる。
しかし、リナ達の事はたかが人間、ディースの力の事を勘違いしまくっているので鷹を括っているはず。
ディースの力で、一時的に魔力をかなり高めたリナ達が闘いのおとりになり、
油断している所を裏をかいてディースが仕留める、という寸法だ。
何だかおーざっぱな戦法だが、もっと詳しく調べないで部下を送ってきたクリスだ。
少しは効くだろうという事になったのである。
加えて。
相手は知らないが、ユニットがいるという事もあるのだ。
話が纏まったリナ達は朝早く、街を離れて神殿にとやってきた。
「ディースさん、僕に力を与えていいんですか?」
ディースが後ろを振り向くと、そこにはゼロスが立っていた。
そう、ディースはリナ達だけではなくゼロスの魔力をも高めていた。
その問いにいつもみたいに軽く頷く。
「うん、一時的なものだからね」
「そうですか。
   ・・・あ、さっきリナさん達にも言いましたけど、僕はデリタさんをやろうと思ってますので。
  クリスさんとやらは、ディースさんがお願いしますね?僕は、今回ディースさんの作戦通りに動くだけなので」
「あぁ大丈夫。分かってるよ」
笑って答えると、ゼロスもにっこりと笑ってリナ達の方へ歩いていく。
どうやらディースがまどろんでいる間に、リナ達は昼食をとる事にしたらしい。
ディースのいる所にまで声こそは聞こえないが、肉を取り合うリナとガウリイの姿は見える。
見慣れたはずだったその光景を見ていると、ディースはまた笑ってしまった。
リナ達の隣にいたユニットもそれは楽しそうに笑っていた。


日はだんだんと傾き、太陽は西の森へと消える。
薄闇にかこまれていく神殿の中には、ディースが所々に明かりを灯した。
まるで、早くかかってこいと挑発するように。
今、ディース達がいるのは神殿の外でなく、神殿の中の1番広い中央部屋。
もちろん神殿が壊れないように結界も張ってある。
ふと入り口の方の明かりが、ほんの小さくだが確かに揺れた。
ガウリイが静かに剣の柄に手を添える。
ふいにその緊迫した雰囲気をぶち壊すような声がした。
「おいおい何だよォ・・・こんな所でやんのかァ?・・・狭いんじゃねェかァ?」

かつんかつん、と少しゆっくりめな足跡がした後で、明かりがその姿を照らす。
―――デリタ。
その後ろには30ダースくらいの、外族。
ディースに言わせると、外族は1度目の闘いでその数を異様に減らしたという。
力が強い代わりに、クリスやデリタのような完璧な人間形態を取れる者は、かなり少ないと。
確かに後ろでざわめく外族の形態は人間に近い者もいるが、肌が緑色だったり角が
数本頭に生えていたりと、到底完璧といえるシロモノではなかった。
「それは僕も賛成ですねぇ・・・何しろここはスィーフィードさんを祭る神殿なんですよ」
1歩、ゼロスが前に出る。
デリタはその言葉を聞くと声を立てて笑った。
闘いの経験が無知であるか、ほとんどない者ならば、ただのふざけてあっているような光景だっただろう。
しかし顔は笑っていても2人の周りにあるオーラは―――違う。
「それじゃあ辛ェよなァ!・・・それじゃァ・・・てっとりばやく終わらせちまった方がいいよなァ・・・」
にっこり笑うゼロスに、手に白い光を集めながらデリタが地を蹴って突っ込む。
その俊敏としか言い様のない動きに、ゼロスは微塵にも動揺せずに空間を渡って
後ろに現れ、デリタの背中に魔力を上乗せした錫杖を突きつける!
だが、それを気配で察したデリタは身を仰け反らせて交すと、後ろに向かって光を炸裂させた!

ズドォォオオオンッ!!

一瞬だけ神殿が大きく揺れる。
 が、ゼロスも結界でそれを防いたのが、何事もなかったかのように悠然と立っている。
 デリタも別に同様などせずに、その様子を見てニヤリと笑った。
 そんなデリタとゼロスの闘いに感化されたのか、後ろにざわめいていた外族も
 ディース達に襲い掛かってきた。

「ラ・ティルト!!」

アメリアが手をかざして叫ぶと、いつもの数倍に拡大された蒼い閃光が外族を襲う。
 タイムロスを避ける為に、ディースは詠唱無しでも魔力が発動するような力を与えていたのだ。
 しかし、雑魚でも外族でもある。こちらで言うレッサー・デーモンなどの力の非ではない。
 確かに中心にいた数匹は滅んだであろうが、他の外族はピンピンしている。

「おおおっ!!」
ガウリイも向かってきた外族に力を加えたブラスト・ソードで一刀両断していく。
その近くではリナがガウリイを援護するように、闘っている。

「ダイナスト・ブレスッ!!!」
魔力が高まったので遠慮する事なく、リナはどんどん攻撃魔法を使っていく。
対してゼルガディスはガウリイと同じように、魔力剣で応戦している。
ユニットもきゃあきゃあと楽しそうな声を上げながら、
ロッドに触れた外族を軽々とした手の動きで(ほとんど立つ位置は変わってない)次々と滅ぼしている。
ディースもディースで、さも力が弱まっているような振りをしながら時間をかけて滅ぼしていった。
ゼロスとデリタもその光景を視界に移しながらも、激しい戦いを繰り広げていく。
デリタが攻撃を避ければ、その間合いに素早く入り攻撃し、
もう一度それを避けて今度はデリタがゼロスを攻撃し、ゼロスが防ぐか避けるかを想定して、違う攻撃を繰り返す。
力は―――互角か―――それとも少しだけ上回っているのか・・・。

ふとディースが1体の外族を滅ぼした時、虚空に顔を上げた。
立ち止まったディースを襲ってくる外族がいるが、先ほどを変わらぬ動作で攻撃していく。
周りで闘っていた30ダースくらいの外族は、すでに5ダースくらいに減少していた。
しばらくそれを見ていた後で、ディースはアストラル・サイドから話し掛けた。
【どうしました?ディースさん】
すぐに答えが返ってくる。
ちらりと目線を向けると、丁度ゼロスはデリタとの間合いをとった所だった。
【あいつが来たみたいだから、もうやっちゃっていいよ】
「【分かりました】デリタさん・・・といいましたね」
ゼロスはディースにそう答えると、にっこりと開眼しながら、デリタに話しかける。
少し変わった雰囲気に、デリタは表紙抜けしたような間抜けな声を出す。
「んァ?」
「あなたと遊んでいる暇はなくなりましたので、それでは」

ドンッ!!!!!

「・・・・・・・なッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・にィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

デリタの背中から胸に突き刺すものは、魔力弾でもなく錫杖でもなく、紫がかった漆黒の三角錐。

ゼロスの本体―――。

上回っている力を持っていたのはデリタではなく、冷笑して立っているゼロスだった。
クリスが与えた力より―――ディースが与えた力の方が、勝っていたのだ。

「さようなら、デリタさん」
ゼロスが言ったその言葉は、虚空に砂となって消えるデリタには、聞こえなかっただろう。

「デリタは失敗したか」

神殿の祭壇の方の虚空から声がしたのは、デリタが消えた数秒後。


               −続くー


―――――――――――――――――――――――――――――――――


あとがき:


梓:・・・やっぱり何だか10話で終れないような気がしないような・・・(滝汗)
K:どっちだ、それは。
  というかその前に、1話ごとの大まかな設定は決めておけ・・・。
梓:やだなぁ・・・よく言うじゃないですか!!「イキアタリバッタリ」って。
K:(Kの目に殺意が沸く!!)
梓:そっ、それでは皆さん「きゅう」までさよーーーならーーーーーぁ!!!(マッハ逃走)