遥かなる記憶の彼方に・・
「ここが、ミリアムさん、あなたの部屋よ。」
そういいつつ、案内された部屋は。
ちょっとした小さな家程度はあるかという。
完全に整備された部屋。
とはいえ。
家具などは、あまりない。
ここは、家具は、全て組織持ちで、購入することが可能なのである。
あらかじめ設置されていないのは、各自の好みを反映してのこと。
今日より、ここが、彼女。
ミリアム=フィラ=ノクターンが、生活する場所となる。
風呂、シャワー、などなどは全て完全設備が整っている。
それぞれの種族にあわせて、割り当てられる部屋もまた異なっているが。
「とりあえず、カタログ、こちらにおいておきます。
必要な家具一式、こちらのメモリーに登録しておいてください。数日中には、ここに添えつけますので。」
そういいつつ。
人間用のカタログの入ったチップを手渡してくる、ミリーを部屋にと案内してくれた、隊員の一人。
新人というのにも関らず。
ミリーは、本部にの配属が決まっていた。
それゆえに、この部屋もまた本部の中の一角にと存在している。
― 銀河連邦綜合機関本部。
そこは、普通ならば、短くても数年以上、他の支部で経験をつまなければ、まず配属などはされないであろう。
というその場所に・・。
「分かりました、でも持参してるから、これ、いりません♡」
にっこり笑って、それを押し戻すミリー。
そして。
懐から、小さな箱をとりだしてゆき。
「この中に家具一式は入れてきてありますので♡)」
そういいつつ、箱の中から小さなカプセルを取り出すミリー。
このカプセル一つで、まず、これに入る量に関しては、軽く惑星一つ分くらいは軽く納まる。
ミリーが作っている簡易携帯カプセルに他ならない。
その性能のよさには。
本部の開発機関に属する隊員達もまず目を見張っているのだが・・。
にっこりとそういいきり。
それを一つ、取り出して。
部屋の中にと、無造作に投げてゆく。
―と。
ポン!
軽やかな音を立てて。
次の瞬間には。
殺風景に近かったその部屋は。
一瞬のうちに、女の子らしい、生活感、溢れる部屋にと。
あっという間に。
家具などが整い、整頓されていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
思わず、それを目の当たりにし。
案内してきた隊員がしばし目を丸くし、ぱちくりさせる。
いくら、カプセルに品物を入れて、持ち運びが出来る。
という品物があるのは知ってはいても。
まさか、それが、きちんと、生理整頓されてその部屋にあわせて設置されるなど、聞いたことも見たことなどもないがゆえに。
そんな目を丸くしている女性隊員の方を振り向き。
にっこりと。
「入隊儀式は明後日ですよね?それまで、迷わないように、ここ、見学しててもいいですか?」
未だに目を丸くしている女性ににっこりと微笑みかける。
「え・・・ええ。それはかまいませんが・・。あ、これ、ミリアム=フィラさんの。制服と、隊員証のパッチです。」
そういいつつ。
ここの制服と。
ここの隊員の証である、小さなパッチがミリーにと手渡され。
「分かりました。」
それを両手で受け取るミリー。
「ここで行動するときは、常にこの制服を着用してください。私服のときも、必ずパッチと隊員証はつけること。」
「了解しました!」
ぴし!
その言葉に、軽く敬礼し、手を掲げるミリー。
「で・・では、私はまだ仕事がありますから・・。」
とりあえず。
・・・・・・・・今の出来事を見なかったことにして。
必要なことのみをミリーにと引き継いで。
案内をしてきた隊員はこの部屋を後にしていたりする。
誰しも、常識から外れたことを目の当たりにすれば、こういう反応をしてしまうのは…仕方がないであろう……
家から持ってきている家具などもあるが。
殆どが、ここで働くことが決まり。
一日もかからないうちに。
ミリー本人が創りあげた家具の数々。
その壁紙もまた。
ミリーの手作り・・といっても過言でない。
別に本当に手を使っているわけではないが。
何しろ、ミリーは、一切手を使わずにこれらのものを作り出しているのだからして。
とりあえず、青を基調とした落ち着いた雰囲気の部屋。
その奥にある寝室の一角に。
いや、クローゼットの横といったほうがいいのか。
小さな淡い青いボタンが壁にと掛けられ。
その下には、円のような、水晶の半ば半分割れたような置物が飾りとしておかれている。
まあ、見た目、ただの部屋の飾りにそれは見えるが。
事実は異なる。
そして、その少し先には。
宇宙儀なる、球が、少し床より離れた目線の高さで。
台座も何もなく、ただくるくると回っている。
その周りを淡い光の壁が覆い、その宇宙儀を保護しているが。
宇宙儀とは、いわゆる、この宇宙そのものを示している、地図のようなもの。
その黒く透き通るまでに透明な球の中には無数の光が煌いている。
市販されいるものよりも、はっきりいってミリーが作ったこの球の方が、かなり正確にと出来上がっている。
何しろ。
未だに未発見などといった、銀河なども。
ミリーが作り出しているこれには、記載されているのだからして。
何となく作った品物。
それに、ミリーの持っている石の精霊であるファーの手も加わっているが。
ちなみに。
見たい箇所に触れ、拡大などを念じると。
そこが拡大されて、部屋にと映写して映し出すという仕組みをこれはとっている。
まあ、ちょっとした見た目。
・・・まさか、未だに発見されてない、銀河などが含まれているなどとは、誰も夢にも思うはずもなく。
それは、まるで透き通った、光の渦が溢れる黒い水晶の球。
見ていてかなり神秘的な感覚に捕らわれる。
とりあえず、もう一度。
持ってきた私物の確認をささっと済ませ。
ミリーは、これから働くこの箇所を。
よく知るためにと、部屋を出てゆこうとする。
と。
ピィー。
呼び鈴の鳴る音。
入り口に添えつけられているブザーが鳴る。
「はい?」
モニターを見れば、ドアの前に。
一緒にここにと配属された。
ミリーと一緒にチームを組んで、合格した、紅い髪に琥珀色の瞳をしているミメットの姿が。
ピピ。
モニターの下にある、ボタンを数個、押し。
「どうぞ?」
その言葉と同時に。
何重にもセキュリティーが掛けられている扉が、静かに音も立てずにときえてゆく。
消えた扉の向こうから。
部屋にと入ってくるのは。
試験のときにミリーが仲良くなった、ミメット当人。
「すっごぉぃ!もう、ミリー、片付けたの!?」
目を丸くしているミメットに。
「そういうミメットは?」
きょとんとして問いかける。
机に紅茶のカップを出して、ミメットに紅茶を振舞いつつ。
「うーん、とりあえず、家具を今。入れてもらってるけど・・。」
気に入った家具を選んでそれを登録すると。
時間をホボおかずに、備え付けるためにと、その専属の業者がやってくる。
業者といえども、それもまた、銀河連邦機関の中に位置している組織なのだが。
簡易的に持ち運べる、カプセルは。
ある程度文明が発達している銀河などでは常識だが。
それでも。
「・・・・とりあえず、家具の設置が終わったら・・。・・・・荷物の整理・・。」
いいつつ、溜息が漏れる。
荷造りするときも思ったことだが。
あれははっきりいって疲れる。
そういいつつ、ミリーが入れてくれたハーブティを一口。
「あら?じゃ、私が手伝いましょうか?」
にっこりとそう微笑むミリーの言葉に。
「本当!?お願いしてもいい!?ありがとう!ミリー!」
飛び上がって喜ぶ、ミメットの姿が。
ミリーの部屋で見受けられていた。
体にフィットした、動きやすい服装。
女性は、少し短めのスカートの下に、ズボン。
それが、ここの制服。
首筋などに、銀色の文様が刻まれ。
左胸には、ここの銀河連邦の印である、星の周りを衛星が回っている絵が刺繍されている。
色は、蒼いような紺色を主体。
左胸につけている、各自のバッチが。
それぞれがどこの組織に属しているのかを指し示している。
これは、身分証明としても役立つが。
とりあえず、ミメットの部屋に、家具が運びこまれるまで、時間をつぶす。
広い、広い連邦の本部。
いつ何処で迷子になってもおかしくはない。
この辺りは、ミリーもかつての社会見学の時でも来たことはない。
まず、真っ先に覚えなければいけないのは。
ここの、道と場所の把握。
それが、新人に課せられた最も大切な役目でもある。
無数ともいえるほどに伸びている廊下。
その先に、様々な場所に続く道が続いている。
どの道をどういけば、どこにいけるのか。
まずそれを覚えなくてはいけないのだ。
彼女達は、しばらく。
新人であるがゆえ、適材適所を見極めるために、外周りと、内部の仕事を任される。
ぱたぱたぱた・・・。
「きゃぁ!ミリーちゃん!まってたのよぉ!」
だきっ!
いろいろと見回りをしている中。
とある箇所にと二人が見学にといったときに。
そんなミリーとミメットに気付いてそこで働いていた数名が、そんな二人の元にと走りよってきて。
しっか。
ミリーをいきなり抱きしめる。
抱きついてきたのは、黒い髪を短くまとめている、水色の瞳をしている女性。
顔立ちは、流石に、あれから。
十年が経過しているせいか、少し変化しているものの。
「えっと・・・・明美さん?」
いきなり抱きついてきたその女性にミリーは心辺りがあった。
明美=ウィリアムズ=江藤。
その短くまとめている黒い髪に水色の瞳をもち。。
かつて、ミリー達が、
ここ、本部にと社会見学にやってきていたときの、ミリアムたちのチームの案内係をしてくれていた女性。
わらわらと。
そんな二人の周りに。
あっという間に人だかり。
「きゃぁvミリーちゃん、久しぶりぃvすごいかわいく成長してるわv」
「あら、この子もかわいいわよ♡ようこそ、本部へ♡」
などと、口々にいいつつ。
二人はそんな彼女達にともみくちゃにとされていた。
ぐでっ・・・・。
ようやく開放されたときには。
ミメットはかなり疲れたように。
「・・・・ミリー、有名人ね・・。」
「・・・・なぜかね・・・・。」
二人して、互いに顔を見合わせて。
『・・・・・・・はぁ・・・・・。』
軽く溜息をつくミリーとミメットであった。
「で、何処に配属されるのかしら?ミリーちゃんたち?」
先ほどかつて、ここにやってきていたあの時は、幼い少女。
成長して、今度は、見学ではなく、本採用として、ここにやってきたミリアムを思いつつ。
仕事をこなしながら、会話をしている隊員たち。
「まあ、恒例通り、しばらく、外周りと内部勤務を任されるでしょうけど・・・。・・・争奪戦が予想されるわよねぇ。」
くすくすくす。
そういって笑っている、かつてのミリーを知っている隊員の一人。
事実。
ミリーがここに就職が決まったのも。
確かに、上層部が決定した。
という事実もあるにはあるのだが。
それ以上に。
・・・・未だに、この十年間で。
かつて、ミリーが創り出した、翻訳装置などなど。
ここの様々な道具や、兵器、船などを開発している機関の人々は。
ミリーのような高性能な機械を未だに作れないという事実がある。
それゆえに、【彼女をぜひ!我が部署(ところ)に!】
という声も少なくない。
それは、ミリーが知らない水面下でのことであるが。
一通り、場所を確認しつつ、道を確認し。
ミメットに割り当てられた部屋にと戻る二人の姿がしばらく後に見受けられていた。
「・・・・・・・・・・・・で?この、荷物・・・全部?」
思わず目を点にするミリー。
部屋にこれでもか!と積み上げられている荷物の山。
家具はとりあえず、指定した場所にちゃんと備え付けられている。
思わず、こめかみを押さえ。
「・・・・・えっと・・・。・・・・ミメット、とりあえず・・・何処に何をしまう気なのか・・。・・・・ちょっと、覗かせて・・・。」
「・・・・・・・・え?」
そういわれて意味が分かるはずもないが。
その言葉と同時に。
ぴたり。
ミメットの額に指を数本当て、目をつむるミリー。
刹那。
ミメットが脳裏で考えている、荷物の整理方法が。
ミリーの脳裏に直接に、ダイレクトにと伝わってくる。
手を当てたのは、ほんの数秒間の間だけ。
そっと、目を開き。
「なるほど。じゃ・・・とっとと、片付けるから。あ、ミメット、動かないでね?危ないからv」
にっこりとそう微笑まれ。
「????」
意味が分からず、キョトンとする。
「さってとvじゃ、今見たとおりにv」
そういいつつ、すっ。
手を掲げ、
パチンv
その掲げた手を軽く鳴らす。
刹那。
――カッ!!
まるで、荷物が生き物のように・・いや、自ら意思を持っているがごとくに。
一瞬のうちに、ミメットが思っていた通りの場所に、荷物自らが移動してゆき。
一瞬、部屋の中を荷物が飛び乱れてゆく。
その間。
ほんの数秒にも満たない時間であったのだが。
「・・・・・・・え?」
さすがに、これにはかなり驚いたらしく。
ミメットは呆然と、部屋を飛び交う荷物と、ミリーとを見比べていた。
ストッ・・・・。
最後の荷物の一つが。
きちんと、机の中にとしまわれてゆく。
「はいv片付け、終わりv」
そういいつつ、パンパンと手を叩くミリーに。
「す・・・・すっごぉぉぉぉぃ!ねね!ミリー!そのやり方・・・教えて!!」
目をキラきらさせて。
そのしまい方のやり方を乞うミメット。
そんなミメットの言葉に少し首をかしげ。
「え?別に、それぞれの荷物に、何処に行けばいいのか、指示を送っただけのことよ?」
物質で作られている以上、様々な道具や荷物などにも生命はある。
それは殆ど知られていないが。
その命に直接、何処に行けばいいのか指示しただけ。
まあ、それらは、自分では動けないのだが。
それらが動けるように力を少し、貸し与えただけのこと。
当然のようにきょとんとして言い切るミリーに。
「・・・・・よくそんなことができるわね・・。」
さすがに驚いたのか。
こめかみを押さえるしかないミメットであった。
今日より。
二人は、ここ。
銀河連邦にて、生活を始めてゆく。
-続くー
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あとがきもどき:
・・・・ちなみに。
これ。
ミリーが覚醒した時点で・・終わるかもしれません(かなりまて!)
というか・・・。
最後のエピソード・・。
・・・・別の副題というか題名・・つけてるんですよね・・・・・。
まあ、どうなるかはイマダニ不明!(まてまてまてぃ!)
あ゛・・・クスリが効いて来た・・・(汗)
瞼が・・おもひ・・・(汗)
というわけで、朝ですv
ミリー・・・・薫の一人突っ込み!
絶対に誰にもできませんって!!(爆!)
しっかし・・・まだ覚醒・・してないというのに・・。
むちゃくちゃに常識を外れている・・・・とと。
何でもないです・・・・。(後ろで何か気配がする・・・汗)
んではではv