遥かなる記憶の彼方に・・
「今日は、これv」
毎日のように、妹にかかりっきりとなっているミリーに、多少苦笑する。
「あのね?まだ赤ちゃんなんだから?そんなにいろいろと玩具とかをあげても?」
くすくす笑いつつ、そういう母親マリアの言葉に。
「ええ?でも、ミレア、喜んでるし?」
まだ人格はきちんと生成されてないが。
その根本なところで喜んでいるのが分かる。
赤ん坊は泣くことよってしか、意思表示ができない。
と、一般にはよく言われるが。
それでも、生まれたばかりの赤ん坊にも。
お腹の中にいた時点から、その自我は生成されているわけで。
生まれた瞬間には、言葉は話せなくとも、その意思表示などは、まだ発展途中とはいえ形勢されている。
目の前の人物が自分の姉なのだと。
お腹にいるときから、話しかけられていたミレアは知っている。
お腹にいた当時。
この姉の周りに、そのまだ開かない瞳に映ったのは、まるで深遠の闇そのもの。
とても暖かくて、それは、今でも微弱ながらに感じ取られる。
それが何を意味するのか。
淡い金色の髪に深い水色の髪をしている赤ん坊は、当然分かるはずもなく。
何しろ、ミリー、本人ですら、思い出してはいないのだからして。
思い出していないというか、記憶を封印しているというほうが正しいが。
「今日は、絵本を読んであげるね?」
「まあまあ、すっきり、お姉ちゃんしてるわね。」
「ミリー、ほどほとにな?」
「はーい!」
くすくす、妹の面倒を率先してみている娘の姿をみつつ。
優しく微笑んで見守る夫婦の姿がそこにはあった。
優しい両親、姉に囲まれて。
ノクターン家の次女。
ミレア=バール=ノクターンは。
健やかに成長を遂げてゆく。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
思わず身を乗り出す。
初めてつれてきてもらった、宇宙空間。
宇宙船の中から見える景色はやはり、本などでみるのとは、格段に違う。
ユニバース学園、幼少部。
それに入学が決まったお祝いに。
まだ早いかもしれないけど。
といって、ミレアを宇宙空間につれてきているミリー。
当然のことながら、二人が乗っているこの船もミリーの手作りである。
その、手作りとは思えない精巧さ。
何が便利かと言えば。
あまり、装置に頼らずに、精神力で動かせるというのがかなりのネック。
つまりは、様々な機械や装置も配備されてはいるが。
殆ど、それらを使わずに。
ミリーの・・つまりは、乗り手の精神力で、この船は動いているのである。
人の精神は、時に莫大な力を発する。
そのことは、もう、周知の事実となっている今の世の中。
精神力を利用した、様々な品物も発売されていたりする。
たとえば、その精神力を具現化させるために精神を鍛える装置とか。
その、頭などで考えていた事柄を。
その、精神力で映像化する装置など。
人の生活に密着した形でそれらの進歩は遂げている。
「気に入った?ミレア?」
にこにこと。
小さな体を乗り出して。
窓ガラスの向こうを凝視している、最愛の妹の姿をみつつ。
さらり。
長く伸びた、その淡い色の金髪を手ですくい。
その、深く、青い瞳でそんな窓に張り付いている、
淡い金色の髪をようやく腰の辺りの少し上まで伸ばし、その大きな水色の瞳をぱちくりと見開いて。
外を凝視している妹を暖かく見守るミリー。
ミレア、三歳。
ミリー、十二歳。
ミリーがもう少しで十になるというときに、ミレアが産まれた。
「うん!ありがと!姉様!」
まだ三歳だというのに。
姉の教育もあいまって、礼儀作法などはきっちりしているミレア。
まあ、赤ん坊のときから、ミリーはさまざまな知識を。
妹であミレアに教え込んでいたという事実もあるからして。
賢く成長するのは当然といえば当然なのだが。
映像などでは見たことがあるが。
やはり、実際に自分が星の外にでて、風景を見るのとでは意味が違う。
その、まるで神秘的なまでの圧倒される、宇宙空間。
そこに、まるで奇跡のように浮かぶ、自分達の住んでいる惑星。
暗闇の中にぽっかり浮かぶ緑の惑星。
昔から、星空は好きなほう。
大好きな姉と、まるで同じ感覚を受けるから。
どこがどう同じ、と説明しろといわれたら、まずミレアは困るであろうが。
全てを包み込む、その抱擁力と、暖かさ。
姉からも、星空の空間からも、そんな感じを感じるから。
だから、ミレアは、星などにもかなり興味を持っている。
三歳にして、全ての星座などを暗記で言えるのはまずあまり類を見ないであろう。
「どこかに行きたい所ある?」
そういう姉の言葉に。
「何処でもいけるの?」
「大丈夫よ。これは。」
試したことはないけど、理論上。
自分が作ったこの船は、何処にでも行くことが短時間のうちにできるから、と。
確証はないが、断言できる。
「じゃあね!」
ミレアの口から。
本の知識でしか知らなかった様々な場所が見たいという言葉が発せられ。
それを受けて。
ミリーは、船をミレアの望むままの位置に進めるべく。
「それじゃ、出発!」
元気よくそう言い放つと。
ヴン・・・。
音を殆ど立てずに。
船は静かに、光の速度を越えて、一気に進み始めてゆく。
「ミレア、いいもの見せたげる♡」
何となく、ふとだが。
それが分かった。
船を操って、とある銀河にと移動する。
「・・・姉様?」
そこは、かなり離れた、今だにようやく宇宙地図に載るか載らないか。
という位置にある、辺境の銀河。
「ま、見てごらん。」
そういいつつ、ミリーが窓の外を指すと。
次の瞬間に。
一瞬。
ギュン!
一気に、銀河が何かうなり声を上げたかと感じたとたんに。
パァァァァァァァァァァン!!!!!
真空だというのに、激しく音を立てて光の渦が当たりを渦巻き。
そのまま、銀河が、あっという間に収縮して。
次の瞬間には、その銀河が称えていた光の全てを。
あたりに放出して、やがて眩しい光が当たりに立ち込める。
そして、襲い来る衝撃波。
この船は、そんな衝撃波にはまったく動じないつくりになってはいるが。
それでも、吹きつける、まるで風などないはずなのに。
いわゆる宇宙風といわれるものが吹き荒れているのが、窓の外の様子で何となく分かる。
吹き荒れる、何か。
やがて、そのざわめきが終わった後には銀河のあったその場所には。
ただの、暗い・・・暗い、空間が残るのみ。
「今、銀河の寿命が終わったのよ。」
この広い宇宙。
銀河の寿命の終わりがあれば、逆にその命の始まりというものもある。
すでに、その兆候を見せていた、この銀河の人々は。
すでに、前もってこの済みなれていた銀河から離れたために。
これで運命を共にしたのは、理に乗っ取った存在達のみ。
― 星と願いを共にし、星と命を共に導き 高まりに互いに導かん ―
全ての星にとかけられているこの言葉。
その言葉どおりに、運命に従うもの。
運命にあがらうのも、全ては、各自の判断にゆだねられている。
「・・・・銀河の終わり?」
「ほら、今の爆発で、塵とかが宇宙に広がっていったでしょう?やがて、それらの物質が融合を果たして・・・。」
延々と、宇宙の物理的な成長の仕方を聞いて。
思わず聞きほれてしまうミレア。
普通ならば、あまりの話しの濃さに、気絶するのが今までの常識だが。
終わりがあれば、始まりもある。
終わりを迎えた星星や銀河は、新たな星星や銀河たちの始まりの布石でもある。
「・・・・それって、かなり運がいいんじゃ」
まだ幼い知識でも。
直接に、星などの終わりやましてや銀河の終わりをその目で見れたなどとは。
今までに、この星では例を見ない。
「結構綺麗でしょ?ミレアにはみせたかったのよね。これ♡」
そういって、にこりと。
目を見開いて外を眺めているミレアに。
微笑つつ、ミリーはそう言っていた。
・・・・すけて・・・・。
・・・・・・すけて・・・・・。
『た・・・す・・・・・け・・・・・・・て・・・・・』
他の場所をも。
見てみようという意見になり。
そのまま、船を操りしばらくいくことしばし。
無線に救助信号が傍受されてくる。
「・・・・姉様!」
「はいはい。いくわよ。困ってるみたいだからね。」
ミレアの言葉に従って。
そのまま、助けを呼ぶ信号を出した船を見つけ出し。
そのまま、作業を執り行ってゆく・・・・。
-続くー
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あとがきもどき:
薫: ・・・眠いので・・今回は短め・・。
・・・・次回、何の助けか?
・・・・・・・・・・・・・・爆発があったので・・・多分理解できる人は出来るかと・・。
・・・おやすみなさい・・・・・・(ああ・・クスリが強い・・・汗)
よく、赤ん坊は、体内のことを覚えている・・といいますけど。
・・・・・・・・・・夢か幻か。
今ではよく思いださせないのですが・・。
私もよく子供のころに・・。
多分母親の胎内の記憶じゃないかなぁ?と思うような記憶・・ありました。
今、思いだそーとしても、はっきりとは思い出せないのですけどね・・。
小学と中学の始めころまでは・・。はっきりと覚えてましたねぇ・・・・。
漠然と覚えてるのは。・・・・・・お腹をけっているところですけど(お゛い゛!)
夢か、はたまた現実か。
・・・・しかも、赤ん坊のときの会話・・。初めて聞いたのに、覚えてたりとか・・。
・・・・・・・人間の記憶力って・・・・不思議ですよね・・・(まてやこら!)
魂が宿るのは、いつなのでしょうねぇ?
生まれたとき?それとも?細胞分裂を始めた時?
まあ、生まれたときではないでしょうけど・・。
すでにお腹の中にいるときに魂は入っているはずですし・・。
今だに議論はおそらく決着ついてないこの問題・・・・。