遥かなる記憶の彼方に・・
 

「うーん。楽しかったね!」
帰りの船の中。
子供達の声が響き渡る。
初めての試みにしては、大成功といえるであろう。
「でも、ミリー、本気で勧誘されてなかった?」
お別れ会のときに。
ルビーとミリーの元に、平和支部長官。クオレュがやってきて。
― 本気でここで働いてみませんか?
と、ミリーに声をかけていたのを、エメットたちは知っている。
「社交辞令じゃない?」
そんな言葉に対して、その一言で済ませているミリー。
「そ~かなぁ・・・私はそうは見えなかったけど・・・。」
「そういえば、何でか、絶対に。あそこにいる間中・・・・誰かが私みてたのよね?何でだろ?」
まるで隠れるようにして、ずっと自分に注がれていた視線をミリーは知っている。
それは。
ミリーの正体を探るべく、監視として付けられていた、とある精神生命体なのだが。
普通は、その姿は目に見えない。
― が。
ミリーには、その姿ははっきりと見えていた。
「でも・・・・いいなぁ・・・・・姉妹かぁ・・・。」
自分達を担当していた、あの明美さん。
双子の姉妹というのは、すごくうらやましくもあり。
一人っ子であるミリーにとっては、ものすごくうらやましかった。
「・・・・・・私も妹・・・・欲しいな・・・・。」
そうぽつりと、つぶやくミリーの姿が、帰りの船の中で見受けられていた。


明美の連絡を受けて。
救護隊が、エリア9602×Z。2-2045ZX。
そこにたどり着き、指示通りに、そのRTに位置するエリアDC。
つまりは、その辺りを捜索していると。
情報通りに、そこに一つの船が一隻。
『銀河連邦警備隊、応答願います。救援信号を受けましたので参上しました。』
共通の電波にあわせて、相手に通信を送る。
その通信を受けて。
『おおおお!』
全員の歓喜の声が巻き起こる。
すでに、燃料が危険区域に差し掛かっていたのである。
装置で今いる自分達の位置を確認すると。
先ほど、自分達がいた場所よりも。
コントロール不能になる前にいた位置よりもかなりかけ離れた位置にと、彼等は出ていたために。
その、位置の瞬間的な移動にも近い移動距離から。
自分達が、宇宙嵐(スペースツイン)に巻き込まれたのだと理解できたが。

宇宙嵐(スペースツイン)とは、いわゆる、惑星などでよく多発する、乱気流のようなもの。
ただ、惑星とは違い、これが何処でいつ発生するか。
今だに研究の最中ではある。
大概よく発生するのは、誕生したての銀河か、寿命の末期にある銀河(宇宙)。
まずそれに巻き込まれると、大概は無機質であれど、有機質であれど、まず、方向感覚などが狂い。
そのまま、一気に、その嵐に巻き込まれて、遭難するものは・・・・少なくない事実。
生きとし生けるものたちが。
自分達が住んでいた惑星から進出した時点で。
それは、追わなければならないリスク。
近年、ようやく、その仕組みの原理が理解されかけている。
それほどまでに今だに未知の領域の宇宙現象。


やがて。
船が直結され。
とりあえずは、宇宙次元移動(ワープ)によって。
彼等は、無事にと、とりあえず。
銀河連邦警備部署にとつれられてゆく。



「いやあ、一時はどうなるかとおもいましたよ。」
見た目は人間のそれであるのだが。
その瞳が一色で覆われている彼等の種族。
いくら、救援信号を送っても反応なし。
しかも、まったく装置そのものが反応しなかったのだから。
諦めかけていたときに、通信機から聞こえてきた子供の声。
「とりあえず、これが通信記録です。」
一応、念のために。
どうして、遭難しかかったのか。
これから、少しの事情聴取と。
そのために、数日の滞在を余儀なくされる。
乗組員の安堵の声に。
警備隊員にと、通信記録を手渡す船長。
「確かに。」
そういって受け取り。
何処に向かう目的なのか。
何をしていたのか。
いつ、どうして、何がおこって、遭難する状況に陥ったのか。
形式的な事情聴取が行われてゆく―。




「いやあ、今度、ぜひ、オペレーターのミリアム=フィラさん・・でしたか?
  彼女にお礼をよく言っておいてください。
  彼女の適切な指示で、無事にあの嵐から退かれることができたのですから。」
事情聴取のときに、にこにことしていう船長の言葉に。
「????オペレータには、そういう名前の女性は・・・いませんけど?」
担当していた隊員が首をかしげる。
通信記録に、確かに残るのは、本部との通信記録。
しかし。
その、相手となるべきはずの。
そのオペレーターの名前は存在しない。
「まさか!?冗談を。確かに記録にも残っているでしょう?・・・声が子供のような種族ではないのですか?」
様々に星があると同じく。
この宇宙にも、様々に多種多様な種族が存在する。
たとえば、老人の声でいて赤ん坊の姿をしている種族。
あるいは、体が完全に光で出来ている種族。
あるいは、水で。
炎で。
もはや、昔、常識外と言われていた姿などは、もう、通用などはしない。
ぱらぱらと。
オペレーターと、その通信記録のコードから、その部署を割り出して。
そのメンバー一覧を一応確認する隊員だが。
「・・・・やはり、いませんよ?」
ピッ。
小さな薄い箱の用なものから、何かを立体映像で取り出し。
それをめくって確認するが。
― そのコードが示す部署には通信記録に残るその人物の名前などは存在してはいなかった。
そして、ふと。
「・・・・よく、この通信記録だけ、記憶されてましたね?」
そういわれてはっとする。
確かに。
全ての装置が使えなく不能になっていたのに。
・・・・・どうして、この会話だけ、記録されていたのか。
「・・・とりあえず、本部に確認を取ってみますので。」
確かに、通信記録の相手先は、本部となり。
そのコードも実在する。
しかし。
その名乗ったオペレーターが実在しないのは、どういうわけか。


銀河連邦総合機関。
そこに位置する、本部庁平和支部。
その長官『クオレュ』
宇宙の遭難者などの管理も、一応平和活動に一因しているので。
その辺りの仕事もここではこなしている。
いってみれば、この平和支部を上にと配置して。
その下に、警備隊といった組織などが存在しているのだ。
そんなクオレュの元に。
警備部署より、送られてきた、確認事項―。
― オペレータに、『ミリアム=フィラ』という人物がいるか否か? ―
そして。
通信記録のコピー。
それは、こちらの本部でもあるにはあるが。
今だに、その全部の翻訳は出来ていない。
送られてきたのは、翻訳がすでになされているバージョンで。


『はい。こちらは、銀河連邦総本部です。担当はオペレーター。ミリアム=フィラです。どうされましたか?』
『いきなり、全ての装置が制御不能になった!自動操縦をしようにも、どうしていいのか分からない!助けれくれ!』
『不能とは、具体的にどうなったのかを教えてください。
  もしかして、船が宇宙磁場にと捉えられた可能性と。または故障の可能性。
  そして・・真空の重力。様々な可能性が考えられます。』
『今いる場所は?』
『おそらく、エリア9602×Z。2-2045ZXの近く。』
『・・・・・・・・・右舷に右七十五度、回転してください。
   そして、落ち着いて、五の数字を。区切りつつ、言い終えたところで、逆に左舷七十二度回転。
   いいですか?こちらが合図したら、方向を変えてください。』
『しばらく、今度は二十ほど数えて、左舷に百六十度転換。
  そして今度は二十五まで数え・・・・そこでエンジンをふかしてみてください。』



装置を使い、その声の特質を生かしたままの、翻訳された声が。
送られてきたその通信記録のコピーから発せられている。
今、秘密裏に、翻訳を急がしている、あの日の通信であるとすぐさま理解する。
それをもち。
連邦機関最高幹部長を訪ねるクオレュ。
やがて。
それを聞き終えて。
「―― 普通では、ここまで具体的な指示は無理であろう・・。
   何としても、彼女をここに勤めさせるか。・・・・・目の届く場所にいてもらったほうがいいであろう・・。」
そう指示が。
下されてゆく ―。





ざわざわざわざわ。
空港に戻ると。
すでに、辺りには、記者や、マスコミや家族の山。
『お帰りなさい!!』
船から降りてきた子供達を抱きしめる家族。
初めての試みというので、今回の一件はかなり、宇宙的に注目されていたのである。
パンパン!
そんな生徒たちに質問攻めをしようとする記者たちに手を叩き。
「はいはい!生徒たちは疲れてます!取材は、代表して、引率の私達が受けますので!
   生徒たちは、速やかに、家族の元に戻すことを。ご協力ください!」
そう言い放つ、学年主任。
今だに興奮冷めやらぬまま。
生徒達は、それぞれ迎えに来た家族とともに帰路にとついてゆく。



たたたたた!
「只今!!!!お母様!!」
「お帰り、ミリー。」
駆け寄ってくる娘を抱きしめるマリア。
その娘と同じ金色の髪がふわりとなびく。
この親子を知らない存在がみれば、まず本当の親子だと疑わないであろう。
「あれ?お父様は?」
そこに、父親の姿がないのに気づき、ミリーは首をかしげる。
「・・くす。」
その言葉にくすくす笑い出すミリーの母親―マリア。
「あのね・・・リュクったらね・・。くすくすくす・・。
  ミリーが戻ってくるからっていって・・・。興奮した挙句に・・くすくすくす・・。
  階段から転げ落ちてね・・・くすくすくす・・。」
「えええええええ!?それで!?父様大丈夫なの!?」
「大丈夫よ。、ただ、足を捻挫しているから駄目だっていうのに。
    無理にでも迎えに来ようとするから。睡眠薬盛って来ちゃった♡」
くすくす笑っていっているマリア。
「・・・な・・何か父様らしい・・。」
ぷっ。
その様子が想像ついて。
母親と同じく、ミリーも笑い出す。
「さ、リュクがまってるわよ。戻りましょ。ミリー。お話聞かせてね?」
「うん!!!」


家に戻るまでも。
そして、夕飯のときまでも。
まるでずっと、言葉を途切れさせずに両親に報告してゆくミリー。
それをにこにことして聞いている二人。
「・・・でね?明美さんと、美奈さんって二人がね。双子の姉妹でね・・。」
「ミリー、手が止まってるよ?」
フォークが完全に止っている。
優しい目をして指摘するリュクに。
「あ・・・はぁぃ。」
そのまま、食事の続きをしてゆく、この家族。



くう・・。
「・・・疲れたみたいね・・・・。」
「・・・・まあ、アレだけ一気にしゃべればなぁ・・。」
ベットに横になる娘をみて、互いに顔を見合わせてクスリと笑う。


寝る前に。
「・・・私にも妹・・できないかなぁ。ね?お母様?」
そういって、ぴとりと、おなかに手を当てていた娘。
「・・・・・やっぱり、姉妹が欲しいのかしら?」
娘の布団を直しつつ、そっとつぶやく。
「まあ、こればっかりはな。」
そういって、妻の後ろから軽く抱きしめる。
ミリーを養女にする前の、医者の宣告は・・。
今でも妻に入ってないリュク。
妻の受精するための卵子は、弱く、万が一にも妊娠したら・・・妻の・・マリアの命すら危ないまでになるであろう。
という事実を。
― だから、万が一を怖れて、リュクは毎晩できないようにと心がけているのだ。
「・・・・私もミリーの願いは叶えてあげたいけど・・・。」
「まあ、すぐに気絶しなければ、大丈夫なんじゃないのか?」
「!!!!////リュク!!!!////」
くすくす笑っていう夫に対し、真っ赤になって、ぽかぽか叩く。
「まあ、いいじゃないか。・・・俺達には、ミリーがいる・・だろ?」
「・・・・・ええ・・・。」
すやすやと眠るミリーをみて。
互いに顔を見合わせてかクル微笑み。
ミリーの両親は、二人、二人の寝室にと消えてゆく。



その日から。
何となく、母親のお腹に手を当てて。
「赤ちゃんができますように♡」
祈るミリーの姿が。
しばらく見受けられ始めていた。
・・・・かなり、明美と美奈がうらやましかったようである・・・・。



                                       -続くー

    

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    なにげに・・・。
    一部分。
    過去に考えているこの話に追加した台詞があります(爆!)
    ・・・・・さて・・どれだv(って・・・まるわかりだって・・汗)
    

    んや?
    ミリーがお腹に手を当てる?
    さあ・・それが意味するのはv
    んっふふふふふvvvvvv
    さあ、医者も驚愕だ!!(まてぃ!)
    んではではvv


     あ゛・・打ち込んでたら・・十二時・・過ぎた・・。
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