遥かなる記憶の彼方に・・


「・・・・・・・・・・・?」
何か頭にもやがかかっているかのように・・頭が重い。
「お目覚めですか?」
そういって、話しかけてくるのは。
いつも側にいてくれる、一人の女性。
いや、しかし。
いつものその姿でなく。
自分たちと同じくらい。
つまりは、自分たちと同じ。
七歳程度の姿にとその姿を変えているのに少し驚く。
「え・・と・・・。ファー・・・姿・・・自在に・・あれ?何で変えられるの・・分かるんだろ?」
しばし、自分が聞かないのに。
ふと。
脳裏に転換可能。という単語が浮かび。
頭を抱える、金色の髪に青い瞳の少女。
ベットに起き上がりつつ、小さくかるく頭を抱える。
「お疲れになったんでしょう。フィラ様は。さ、もう少し横になっててください。」
パシャリ。
そういって、横にと寝かされて、その額に濡れたタオルが当てられてゆく。
「??私・・どうしたの?」
素朴な疑問を投げかける。
「気を失われたんですよ。―きっと、はしゃぎすぎていたんじゃありませんか?フィラ様は?」
そうにっこりと言われて。
・・・・確かに・・そーかも・・。
かなり、異例のことで舞い上がっていたという事実もあるであろう。
そして。
見るもの全てが珍しく―いや、珍しいはずであるのに。
どこか懐かしく感じた親近感(デジャヴ)・・・・。
とりあえず、促されるままにベットに横になる。
― 一体、いつ、自分たちにあてがわれた部屋にと戻ってきたのかも。
はっきりいって思い出せない。
ひどく・・頭が・・重い。
「さ。もう少し横になられていてくださいな。・・・体調を崩したら。いけませんからね。」
「うん。」
そういって、冷たい感覚を額に受けつつ。
それが異様に心地よく感じて。
そして。
意識が落ちかけるその寸前。
「― ゴメンね・・・わがままばっかりで・・・・フェアリー・・・・。」
「!!!!!!?」
すぅ・・・・。
小さくつぶやき。
はじかれるようにみれば。
完全に寝息を立てている金色の髪の少女・・ミリアムの姿。
名前を呼ばれたことで、力がみなぎるのが分かる。
本来の力を発揮するのには。
一応、許可なくても出来るのであるが。
このファー。
とある特定の存在によって、その本名を呼ばれることにより。
その自身の本体である物質から力をかなり得ることが可能なのである。
本名を呼ばれたことにより。
ダイレクトにその考えというか―思考を無意識に伝えたかったらしく。
ミリアムの思考が直結するかのごとくに理解できる。
それに小さく溜息交じりの苦笑を浮かべて。
「・・・・・姫様、私は姫様がいるから・・・こうして存在しているってこと。お分かりでしょうに。」
そっとその眠ってしまった少女の髪をなでる。

気付いたら、側に彼女が常にいた。
自分が何であるのか。
そして・・彼女が何であるのか。
その本質は、すぐに理解ができた。
―そして。
彼女の中に、常に存在する『孤独』という文字。
それを少しでも消したいから。
・・・だから、自ら望んで。
今、自分はここにいる事実。
気が強く、それでいて優しくて。
毅然として、近寄りがたいまでのその崇高なる存在。
それでも。
どこか、とても弱いところがあるのを。
長いが付き合いであるファーであるからこそ理解している。
本人は絶対にその感情を表には出さないが。
自分がどんな存在であるかを、理解しているがために。

いくら、どんなにたとえ、世界が―宇宙が広がろうとも。
それでも。
ここには、『彼女』と対等なる存在など、いるはずもなく。
近年。
というか、しばらく前に。
同じ『存在』達のことを知り。
ようやく連絡を取り合い、互いに行き来するまでにとなっているが。
― それでも。
そんな『彼等』の奥底に、常に付きまとうは・・やはり……
……『孤独』という二文字。

ずっと、『彼女』とともにいるファーだからこそ。
だからこそ。
一時の安らぎというか。
その使命というか本質を忘れて暮らせるのならば・・。
それはそれでいい。
そう願っているのもまた事実。

だけど。
今、彼女から伝わった感情によると・・・・・。



「・・・・・・はぁ・・・・まったく・・・。お願いですから・・・・無茶はしないでください・・姫様・・」
そういいつつ、溜息をついてはいるが。
その笑みから。
安心の表情が見て取れる。
すやすやと、眠っている少女をみつつ。
「・・・さて。じゃ、私はそろそろ・・・・・。この姿を変えますかv」
ふわ。
そういうが否や。
そこにいた、深い深遠の色をした瞳をしている少女は。
瞬くまに、その姿をかき消して。
やがて、小さな光の珠となり。
ミリーの胸元にと吸い込まれてゆく。
その胸元に輝くのは。
そのファーと呼ばれていた少女と同じ色彩を放つ。
不思議な色合いの石を中心に見たことのないデザインの、ペンダントが一つ。
この石こそ。
彼女―ファーの本体である、『石』そのもの。
彼女―ファーは。
この石の精霊なのであるからして。




「・・・・つまりは?」
説明を受けて、うなづく。
「ねぇ?私達には壁にみえたよね?」
支部長と。
そしてまた。
連邦機関総本部長をその前にと向かえて。
多少緊張しつつも。
どうやって、あそこにたどり着いたのかを説明している真紅の髪の色をしている少女。
「そうそう。でもミリーが歩いていって。」
その言葉にうなづく水色の髪をしている少女。
「私たちも手をひかれて歩いたら、先に進めたのよね。」
さすがに子供ということもあり。
すぐに緊張を解いて、和気藹々と話し始める三人の少女たちの姿。
ミリアムの友人であり親友ともいえる、一番仲のいい友人たち。
真紅の髪に真紅の瞳をしているルビー。
水色の髪に水色の瞳をしているマリン。
そして緑の髪に緑の瞳をしているエメット。
この女の子達三人。
彼女達は。
どうやって、あの厳重結界区域に入り込んだのか質問を受けているのである。
その子供達の言葉に顔を見合わせる。


「ありがとうね。あ、そうそう、あの子によろしく。」
『はぁぁぁぃ!』
そういって。
元気よく、連坊機関本部長。
その最高クラスともいえる、まず絶対にお目にかかれない、そんな地位の人の執務室から、送り出される三人。

子供達が出て行ったその後に・・・・。

「・・・・・・・・クオリュ。・・・・どうやら、少なからず。まず関りがあるのは事実と判明したな。」
「・・・・はっ!どうされますか?」
その言葉の意味は・・・・・。

「・・・・・・・・・目を放すな。」
「・・・・・はっ!」

そんな会話がとある一室。
銀河連邦機関総本部。
その最高本部長の部屋にてとり行われてゆく。







「・・・・・あれ?」
目が覚めると。
側にいた気配がない。
いや、気配ならある。
つよく、自分の胸にかかっている石の中に。
その気配が感じられる。
しかし。
「?????????どうして、気配がこの中にあるのに・・・・ファー・・いないの?」
しげしげと。
しゃらりと。
ペンダントを胸から取り出して。
石を見つめるミリアム。
その石の色彩が。
不可思議にと変化してゆくさまをじっとみつつ。
コンコンコン。
「失礼します。」
そんな不思議に思いつつ。
自分が捨てられていた赤ん坊のときに唯一。
身に着けていたという石をみているとき。
扉がノックされる音と、許可を求める声。
「あ。はい。どうぞ。」
そういや。
ルビー達もまだ戻ってきてないみたいね・・。
ふと。
自分と同室であるはずの。
ルビー、マリン、エメットの気配がないので、この部屋にいるのは自分だけだと理解するミリアム。
「あら、お目覚めですか?お友達さん達は、今ちょっと、質問を受けてますから。」
そういって、扉から入ってくる二人の女性。
一人は。
短く、黒い髪に、水色の瞳をしている。
ミリーがここに来てお世話になっているというか、自分たちの班の。
案内役となっている女性―『明美=ウィリアムズ=江藤。』
そして、もう一人は。
髪の長さこそ違えども。
明美が髪が短いのに対して、こちらの髪は長い。
腰の辺りまで伸びているその艶やかな黒い髪が印象深い。
だが、特筆すべきは。
この二人。
まったく瓜二つの顔であるということ。
「・・・・・・えと・・・・明美さん???双子だったんですか?」
少しびっくりしたように。
ぽかんと、明美ともう一人の女性をみるミリーに。
「始めまして。ミリアムさん。私は、美奈。美奈=パール=江藤。明美の姉です。」
そういって。
にっこりと微笑むその雰囲気までまったく一緒。
「話しは妹から聞きましたわ。まあ、いきなり、こんな場所にきたら。
  精神的にもかなり疲れなんかがたまりますし。あまり、気にしないでくださいね♡」
にっこりとそういうので。
「・・・でも、私・・今までこんなことなかったのに・・・。」
結構・・・健康がとりえだったんだけどな・・。
少し残念そうにいうミリー。
事実。
ミリーは、殆ど、風邪の一つもひいたことなど・・この七年間、一度たりとてないのである。
・・・・・当たり前なのであるが。
「それは、仕方ないしょうよ?
   現に、すでに、生徒の報告を受けている救護班からの連絡では。
   舞い上がりすぎて頭に血を上られて。・・・・倒れている生徒も結構いるようですから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
その言葉に思わず目を丸くする。

まず。
こんな、はっきりいって。
雲の上の機関ともいっても過言でない。
この銀河というか宇宙に生きている存在達にとっては、神聖なる場所。
その、銀河連邦機関の、しかも本部に。
前代未聞とはいえ、『社会見学』でやってきたその日には・・・。
まず、舞い上がってもしかたないであろうが・・・。
そのために、オーバーヒットしても。
事実、この一日の間に。
すでに、大概平均、一クラス・・・十名以上。
のぼせて、救護班の世話にとなっていたりするのであった・・・。

その言葉に一瞬目を見開いて。
そして。
次の瞬間には。
「ぷ・・・・・あははは!なんだぁ!私もやっぱり緊張してたんだ!あはははははははは!」
自分もそれと同じなのだと、一人納得し。
何か少し悩んでいたのが馬鹿みたい。
と、一人。
笑い始めるミリアムの姿が、そこに見受けられてゆく。
…事実はそれとは異なる、ということには気づくこともなく……




かちゃ。
「・・・・どう思う?美奈姉さん?」
「・・・・どう見ても普通の女の子なんだけど・・・。・・・・・・・でも・・・・・分からないわよね・・。」
「・・・・そうね・・・。」
そんな会話をしつつ。
部屋を出てゆく二人の会話は。
しばらく、一人涙を流してまで笑っているミリアムの耳には、届いてはいない・・・・・・・。






数日もすると。
全員が、大分ここになれてきて。
そして。
見学の最後の3日間は。
実地で現場で働いてみるのも勉強になる。
ということで。
それぞれが、見習いとして。
これもまた異例ではあるが。
実際に銀河連邦機関で、働くことと日程ではなっている。



「ふふふふふふふふふふふ♡」
満面に笑みがこぼれている。
その紺色に銀の筋が施され。
動きやすさを重視している、銀河連邦機関のその制服に身を包み、にこにことしているルビー。
「まさか、憧れの制服を着ることができるとは!」
そういって、かなりガッツポーズをとっている。
それぞれにと手渡された、子供用の制服。
それは。
正式に、とはいえどもそこはそれ。。
見習いとしてであるからして。
試みととして、その旨が宇宙文字で刻まれているので、普通の公認の制服とは異なるが。
デザイン的には殆ど公式のものと同じ。
記念として。
ここにきている、ユニバース学園の小学部、一学年のそのメンバー。
彼等全員にと配布されているその服を着て、すでに舞い上がっているルビー。
「・・・・そういえばルビー・・ここに就職したいって・・言ってたもんね・・。」
苦笑するエメット。
ここの敷居はかなり高く。
まず、試験を一万人が受けて一人通るかどうか。
そこまでレベルが高い。
ましてや、本部など・・・。
その試験に合格する確率は。
一つの銀河系の存在全てが試験を受けたとして―ほんの数名。
それほどに、ここの敷居は高いのである。
だからこそ。
ここに働きたいと願う存在などは多々といる。
そのために。
この連邦機関直属の、育成学園というのも存在しているのである。
その直経営の学園の生徒たちですら、この本部には足を踏み入れたことなどはない。
自分たちの、それも、まったく関係ない、ユニバース学園が。
初めてその試みに選ばれたのは、奇跡としかいいようがない。
それは、ミリー達も、そして。
引率している先生達も、そしてまた。
学園関係者、全員がそう思っている事実。
「夢は持ち続けるわよ!だって・・・夢を持つのは悪いことじゃないもん!
   だけど・・・社会知識の勉強にって・・こんな・・・うふふふふふふふふ♡」
かなり舞い上がるルビーに対して。
「・・・・・ルビー・・・・あまり舞い上がったら・・。何か失敗するわよ・・・。」
あきれてつぶやくそんなルビーと一緒にいるミリー。
その言葉に。
うんうんうなづく他のメンバー。
とりあえずは。
四人組みにと別れて。
それぞれの部署の・・
あまり、素人が出入りしても差し支えのないような場所に限ってだが・・・。
そこに、一学年全てのクラスの人数を分担して。
そして、見習いにと入り始めるのだ。
今日から。
そして。
ミリー達が今日から、働く場所は。
・・・なぜか、傍受の機関にと位置している。
― オペレーターの引継ぎ場所。
かなりの、トップクラスの場所であり。
まず素人が出入りして、どうにかなる場所ではない。
何しろ。
そこは、宇宙、全ての情報やトラブルなどが集まる場所。
それを、きちんと把握して。
その、担当部署にと引き継いでいく、その要の入り口の重要なる役目。
中には。
緊急時などは。
その通信だけで、指示を出すこともしばしば。
それゆえに。
そこには。
全てに長けている存在でないと、配属されない。
というかなり高度な知識と応用力が、試される部署。
―なぜか、そんな部署にとミリー達は、見習いとして、今日から3日間そこで働くことと相成っていた。

「はいv翻訳機v」
『サンキュ~♡ミリー♡』
一応、様々な宇宙人と交信する部署である。
当然、翻訳機は必要となってくる。
ミリーはそのオペレーターの手伝いをすることにと決まったその事柄を受けて。
自身で作っていた多種類自動翻訳機をルビー、エメット、マリンにと手渡す。
さすがに。
全ての存在の言葉をしゃべるというか勝手に翻訳されて、相手に伝わるのであるが・・。
そこにと移動したときに。
話しかけられ、全てのメンバーにその結果。
何の問題もなく対応が出来たこの四人。
それ以後。
ミリーにいたっては。
その翻訳機の作り方を教えてくれと。始終、開発部にと属する研究者などもが詰め寄せていたりする現実もあったりする。
素人というのに、結構活躍している子供達。
とりあえずは、取次ぎの仕事をしているのだが。
それでも。
かなり、即戦力になるというのは間違いはなく。
その場の、オペレーターや、関係者。
その全員を驚愕させるには十分すぎるほど。



「・・・・・・・・・・・・・UEOZ>DV#$L!&LWPEIRX!?」
通信機の中から、聞こえてくる、聞いたことのない声。
丁度、昼の休憩で。
交代制で休んでいるそのときに。
その通信は入ってくる。
「はい。こちらは、銀河連邦総本部です。どうされましたか?」
その区画に残っているのは、明美とミリーのみ。
明美は他の対応にと追われている。
普通なら、この時点でパニックを起こすのが素人なのだが。
まるで慣れたもので。
冷静に問いかけているミリー。
かなり、通信にノイズが走り、聞き取りにくい。
『いきなり、全ての装置が制御不能になった!自動操縦をしようにも、どうしていいのか分からない!助けれくれ!』
聞き取りにくいその通信の言葉でも。
ミリーにははっきりとその声が聞こえてくる。
・・・・実際は。
『・・・・・・・な・・・・そ・・・・ふの・・・・じ・・・・わから・・・たす・・・』
としか、聞こえてないのだが。
その声にふと眉を染める。
『不能とは、具体的にどうなったのかを教えてください。もしかして、船が宇宙磁場にと捉えられた可能性と。
   または故障の可能性。そして・・真空の重力。 様々な可能性が考えられます。』
丁寧に。
彼等の言葉で対応しているミリー。
翻訳装置によってではなく、確かにミリーがその言葉を発しているのである。
今だにようやく連邦に所属したばかりの、宇宙の辺境にと位置している。
その星の言葉を。
今だに、この言葉は。
ここ、銀河連邦でも。
その言語の翻訳を取り掛かったばかりだというのに。
伝わるその声は。
やはり、普通ならば、そのノイズにさえぎられ。
本来ならば、きちんと伝わらないはずであるのだが。
その助けを求めて、SOSを発しているその宇宙船には。
はっきりと、その子供の声が届いてゆく。


「・・・こ・・子供!?と・・とにかく!助けてくれ!このままでは!空気がなくなって!」
全ての装置が不能となっている。
蛇行で動いているのと。
どうにか、手動で、向きだけは変えられるというかなり危険な状態。
藁にもすがる思いで。
全ての機関にとSOSを発したが。
この船を取り巻く磁場のせいか、ことごとく全て通信不能。
そして。
唯一、繋がったのである。
しかも。
そこから、はっきりいって、かなり大銀河の一つや二つ、かけ離れた場所にと、位置している―銀河連邦本部。その場所に。


『今いる場所は?』
『おそらく、エリア9602×Z。2-2045ZXの近く。』
はっきりいって。
その言葉だけでは。
何もその類のことを習っていない素人では理解できないであろう。
そして、習っている学生ですら。
瞬時にその場所を判断するなどとは、かなり慣れたオペレーターでも瞬時の判断は、はっきりいって難しい。
この宇宙は、それほどまでに広いのだ。
しかも。
話しからすると。
近くというだけで、はっきりと、場所が特定できない。
しかし。
『・・・・・・・・・右舷に右七十五度、回転してください。そして、落ち着いて、後の数字を。区切りつつ、言い終えたところで。
   逆に左舷七十二度回転。いいですか?こちらが合図したら、方向を変えてください。』


「?????????」
かなり的確に、その度数までも指導してくるその声に。
どうにか。
やはり、文明の利器よりは、昔の物。
そこから見える星の位置で、その角度を計算し。
『今です、回転してください。』
淡々と聞こえる子供の声にしたがって。
船を右舷七十五度の向きにと変えてゆく。
向きを変えたために。
蛇足で動いていた船が、そちらにと向かって進み始めてゆく。
そして。
とにかく、藁にもすがりたいとはこのことで。
言われたとおりに。
落ち着いて五までの数字を数え。
言い終えたところで、左舷七十二度に回転させる。


『しばらく、今度は二十ほど数えて、左舷に百六十度転換。
   そして今度は二十五まで数え・・・・そこでエンジンをふかしてみてください。』


???????????
とにかく、言われるままに行動してゆく。


「・・・・・・百六十・・・転換!」
指示にあわせて、操縦員が船を操る。
今の彼等には、この指示だけが、命の頼り。
すでに、空気の残りはわずかしかない。
まず、宇宙で遭難したら。
生き残る確率はゼロに等しい。
いや、マイナスといっても過言でないが。
それが、運よく宇宙パトロールの道筋に面している場所なれば救助される可能性もあるのであるが。
彼等がいるのは、いまだに発見されたばかりの新生の銀河系。


「・・・・二十!」
ヴン!!!!!!!!!
『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』



言われたとおりの指示通りに。
言葉を二十まで数え終えたとき。
― 奇跡は起きた。


ヴン!!


音を立てて。
今まで凍っていた全ての装置が活動を始めたのである。

乗り込み員(クルーザー)からもれる歓喜の声。



「動きました!あ・・あの!」
通信機にと耳を当てるが・・。


ザァァァァァ・・・・・・・。


そこには。
もはや、ノイズしか入ってはいなかったのである。




「・・・・・船長?・・・・・よく考えてみれば・・。
    ここ・・・・・・・・本部の傍受場所から・・・・かけ離れてますが?」
『・・・・・・・あ゛!』
では?
あの指示は・・・一体?




― はい。こちら、銀河連邦総本部。担当はオペレーター。ミリアム=フィラです?どうなさいましたか? ―



通信記録に確かに残る子供の声。
そして。
その指示の内容も。
「・・・・・じゃあ・・・この声の主は・・・一体?」
危機を脱して。
ふと、冷静に戻り。
この場所が・・自分たちがいる場所が。
連邦本部の位置というかその通信が届かない位置であることに、改めて気付き。
しばし、乗り組み員全員が絶句してゆく姿が。
宇宙のとある一角で見られてゆく―。





ザァァァァ・・・・。
最後の指示を出した直後。
掻き消える通信。
「??ミリー????どうして、エリア9602×Zの言葉なんか、話してるの?・・・・・というか・・・・何話してたの?」
自分の通信が終わり。
見れば、横にいるミリーは。
今だに勉強途中のエリア9602×Zの言葉を、自然と話しているのに驚愕すら覚える。
その内容ははっきり言って分からない。
あわてて、その通信につなぎを入れるが。
その言葉も、その今だに勉強途中の言葉で。
しかも。
かなり途切れていたりするのである。
それに対して、何事か言っているミリー。
「・・・・えと・・・どうしよ?切れちゃった・・・・。・・・・うーん・・・エンジンの音が聞こえたから・・大丈夫と思うけど・・。」
雑音のみが響く。
その通信から装置をはずし。
つぶやきつつ。
「あ!とりあえず、えと・・・。エリア9602×Z。2-2045ZX。
  そのRTに位置するエリアDC。そこにどうやら遭難船です。・・・・・何処に連絡したらいいの?明美さん?」
困ったようにつぶやくミリーに。
「なな゛!?ちょっとまちなさい!今の通信って・・・遭難信号!?」
あわてて。
パトロール隊にとつなげてゆく。

やがて。
明美の連絡をうけて。
ばたばたと。
救助パトロール隊が出動してゆくのを確認し。



「― それで?どうして、エリアの位置まで把握が?」
「― え?相手がいってたし?」
通信内容を確認しても。
・・・・・・・・・ほとんどノイズで聞き取れない。
それでも。
ミリーははっきりと断言したのだ。
最後に響くエンジンの音。
それが、何があったのか。
大概想像はつく範囲ではあるが・・・。
キョトンとするミリーを目を見開いてみつつ。
「と・・・とにかく、お疲れ様。― 今日で終わりよね?名残惜しいわ。
   大きくなったら、ミリーちゃん、ここで働きないさいよ?皆、歓迎するわよ?」
そういって。
耳にかけていたイヤホンをのける。


明日には、ミリー達は。
学園にと戻るために。
この銀河連邦総本部から出発してここを発つ。


「う~ん・・・・・・。どうしよっか・・・。」
腕を組んで本気が考え込むミリーに。
「知ってる?あなたの作った翻訳装置。
   躍起になって、開発部のメンバーがそれ以上の性能をって、ライバル視してるのよ?」
くすくすくす。
どうして、こんな子供が!?
あんな精密な機械を!?
というのが全ての意見の一致するところ。
「ライバルっていっても・・・・私には関係ないし・・・。これで働く気・・ないし・・・・。
  ・・・・・ま、考えてみる。だって、まだ私これからだもん!」
まだ、自分は七歳。
早いものでは。子供のときから働く星もあるが。
ミリー達がいる場所では。
大概、働くにしても十七以上と定められている。
― 特例を除き。


とりあえず。
その日は。
さすがに、彼女達・つまりは、ここの銀河の時間率でいうと。
約三ヶ月。
ミリー達の星の時間率でいうと・・・・移動を加えて約一月。
それだけ一緒に行動を共にしていれば情も移る。
それゆえに盛大に。
その夜。
本部に位置する部署。
それら全てが参加して。
といっても、一部の者達は仕事優先であるがために出席できないが。
お別れ会が模様され。


最後の夜を心行くまで楽しむ。
ユニバース学園、その小等部、二学年生達。
生徒全てと引率の先生達をも巻き込んで。
 盛大にとお別れ会は開かれ。


最後の夜は静かに、それでいて充実するほどに過ぎてゆく―


                                       -続くー


    


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   いいわけという名前の後書き:
        ・・・・話は昔に作っているんですよ・・・。
        しかし、文章にする時点で・・。
        今の文章力が・・丸分かりですね・・・しくしくしく・・・・。
        ああ・・・。
        うまく頭の中の光景が表現できない・・・しくしくしく・・・。
        かといって・・。
        多分本気でそのまま思っているというか考えている文そのものを。
        ・・・・打ち込んだら・・・。
        ・・・・・・・・絶対に方言がかなりあるからな・・(確信あり!)
        あと。
        ふと思いついて追加されたエビソードとか・・・(だめじゃん!)
        頭の中では。
        キャラ、全員。
        アニメのごとくに動いております(まてぃ!)
        ではでは・・・・・。