遥かなる記憶の彼方に・・
 

「・・・・えと・・・何処にいったのかしら?」
首をかしげ、気配を感じる。
書類をきちんと、持っていく部署にと届け。
そして、あわてて。
子供達の後を追ってきた短く黒い髪をまとめ、水色の瞳をしている女性―明美は。
廊下の先にある壁にと手をつけて。
何やら、ぶつぶつとつぶやくと。
ゆらり。
と壁がまるで、水のように揺らめいて。
壁の中にと吸い込まれるようにと消えてゆく。
その壁の先にも続く、長い廊下。
しばらくいくと、いくつもの分岐点。
ここは、なぜ、結界が施されているかといえば。
様々な場所に行くための近道に近い道であるからして。
完結に言い換えれば。
ここから、わざわざ、宇宙(そと)をいかなくても、本部の中の何処にでも移動が可能。
それゆえに、乱用とか、悪用がされないように許可ない存在は、入れないようにと防犯体制がなっているのである。
あるのであるが。
今、事実。
あっさりと、子供、女の子が四人。
この奥にと入っていっているのを明美は知っている。
残像として残る、気配を辿りつつ。
廊下を走ってゆくが。
しばらくすると。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うそ?(汗)」
気配を辿っていた明美は完全にと固まった。

何十重にも、施された、光のカーテンによる結界。
その先にあるのは。
噂では、聞いたことがあるものの。
あまり、一般には知られていない、場所にと移動ができる、唯一の道。
そして。
この本部の責任者の部屋にと続く唯一の道。
つまりは、最高幹部達がいる場所にと続く道。
そちらにと向かって、気配は向かっている。
「・・・・・・・この光の結界をものともせずに?」
・・・・なぜ?
普通、これに触れただけで。
けたたましく、そのセキュリティシステムが働き。
ガードマンなどが駆けつけてくる仕組みとなっているはずである。
しかし。
そんな気配などは微塵もない。
「・・・・・故障?」
そんなことも頭をよぎるが。
そんなわけ、あるはずもなく。
常に、チェックは、何重にも、施されているのである。

ミリー達は、ただの、光のカーテンと感じて、これをくぐったのだが。
事実。
この光は、壁よりも、さらに固く。
完全に、その前にある、チェックを突破しないと、この光の壁は、消えることはない。
しかも。
長い時間でなく。
ほんの数秒にも満たない間。
それすべて。
安全対策に他ならないのであるが。

「・・・・と。・・・とりあえず・・。」
ブレスレットを取り出して。
― ピピピピ・・・・。
彼女の上司・・では、上にたどり着くまでに時間がかかる。
それゆえに。
一応、直接の連絡コードをしっている平和支部長、クオレュにと。
ブレスレットの通信装置で、連絡をとりはじめる明美の姿。


―ピピピ。
ふと。
緊急連絡コードに通信が入った。
一応、今回の、試みに辺り。
生徒たち、を受け持っている隊員たちには。
すべて。
それ専用のコードを教えている。
何かあったときに、スムーズに対応ができるように・・という名目で。


コード番号を確認すると、それは一人の隊員から。
コード番号と、その隊員の名前が記される。
― 明美=ウィリアムズ=江藤。

「・・・・何かあったか?」
一番、気にかけていた組み分けのチームを担当している彼女からである。
平和支部長・クオレュはそう思いつつ、通信をとってゆく。



「「何かあったのか?」」
通信機から、聞こえる声。
・・・・本当に直通なのねぇ。
 しみじみと、感慨に一瞬ふけるが。
「あ、すいません。私、第345部署、オペレーター所属。明美=ウィリアムズ=江藤。
   実は、私が担当している子供達の一部。そのうち、四人が、立ち入り禁止区域に入りまして・・・。」
「「・・・・何?防犯システム装置にかからずに?」」
「それは、私が知りたいです。・・・しかも、気配を辿って、分岐点までにはきているんですが・・・。その・・・・。」
そこまでいって、言葉を濁す明美。
「「いい、続けろ。」」
「は・・はい。実は・・・再興区域立ち入り区域に・・。
    ・・・・・・・入り込んでしまったようです・・・・。・・・・・光の防壁を物ともせずに・・。」
なぜかはわからないが。
しかし、残る残像の気配から、それは間違いなく事実。
「「・・・・ふむ・・・・。」」
声の先で。
何か考え込む声がする。
「「・・・わかった。道をあける。私もその先に向かおう。待機しておいてくれ。」」
「・・・・・・は?!」
その言葉に、目が点となる。
 自分のようなものが、【この先に進んでいい。】といわれたことも前代未聞。
しかも、それが、平和支部長、自らがくるというのも、また前代未聞。
一応、連絡をとっているこの彼は、上層部のメンバーの一人。
この、銀河の平和支部をいってに預かる最高幹部の一人である。
そして。
驚愕する明美の前で。
光の壁が。
シュン・・・・。
何らかの作業をしたのであろう。
瞬時に消え去り、そして……道が、開かれてゆく。


・・・・・ごく。
唾をのみこみつつ、足を一歩、前に出してゆく。
「・・・まさか、入ったというので・・・・何かお咎めがあるんじゃないでしょうね・・(汗)」
額に冷や汗を流しつつ。
明美は。
その先にと足を一歩、踏み出してゆく。



一方。
「すごぉぃ!ねね!今度は、あそこ!」
「オッケーv」
完全に、遊んでいる女の子四人、いや、五人といったほうがいいのか。
なぜかは分からないが。
この部屋の操作が金色の髪の少女。
ミリアム・・ミリーができるらしい。
そう分かったら、やはり、いろいろとやってみたいのが子供心。
何しろ、部屋に居ながらに。
様々な場所の様子が、まるで手にとるようにと見ることができるのである。
しかも。
その細部にいたるまでに。
いってみれば。
簡単な、視覚旅行を楽しめるようなもの。
見たこともない、星の風景。
銀河の姿。
挙句は、星が今にも誕生しそうなその一瞬や、滅んでゆくその一瞬。
広大な宇宙の中では。
常に、そういったドラマが、必ず数個は、繰り広げられている。
ふわふわと。
部屋の中ほどに浮かぶ、水晶にミリーが手をかざすと。
ミリーの意思のままに、部屋の風景が変わって行く。
「・・・・?私・・ここを知ってる?」
何となく、ふと。
感じた素朴な疑問。
そして。
「??ねえ、あの先・・何があるんだろ?」
ふと。
マリンが、空間の先を指差す。
そこは。
まるで深遠の闇のようで。
よくみれば、何か、暖かな光も漏れている。
「・・・見てみる?」
『当然!』
三人の声とともに。
ミリーが。
そこの風景を映すようにと指示を出す。

と。

ぶわっ!

部屋に映りこんでいた部屋の映像が、まったく異なるものにと変化してゆく。
光とも闇ともいえない、神秘的な空間。
その先に、宇宙なのであろう。
黒い球体が、数点、見え隠れしている。
その奥には。
ぽう・・・。
淡く、輝く、虹色とも、識別不能な、一つの星。
いや、星といっていいのもか。
しかし。
外見上は、星のそれである。


辺りの空気が、かなり神聖化されているのが。
そこにいる、ミリー、ルビー、マリン、エメットにも鈍いどんな生き物でも感じられるほどに。
突き刺すようでいて、それでいて、全てを包み込むような、
優しく、神秘的で、神々しいまでの、雰囲気がぴしぴしと伝わってくる。

やがて、宇宙空間・・であろうといえる場所に、ずらりと並んでそこにある、花畑。
多分花。
というのも、誰もそんな花の姿は。
見たことがないほどの、綺麗で神秘的な花の姿。

・・・・・・・ここは・・・・・・。
――――まだ駄目!!!
ぐらっ。
『ミリー!!!!!!?』
「きゃぁぁ!?姫様!?」
その先をみていたミリーが。
何か、ふと、その脳裏に、何かが浮かびそうになると。
それに反して。
自分の奥から、何か声がしてくる。
その刹那。
ミリーは、その場にと気絶していた。
驚愕の声をあげる、ルビー達三人に。
悲鳴を上げているファーの姿。



「・・・・まだ、覚醒される時期では・・ないのですね・・。」
小さくつぶやきつつ、倒れたミリーの髪をなでるファー。
そして。
ふっ。
手をかざすと。
何もない空間から、なぜか車椅子が出現する。
「手を貸してもらえます?フィラ様をこれに乗せて。ここから出ましょう。」
そういうファーの言葉に、全員が無言でうなづいた。
ミリーが気絶するなんて。
今までにないことだからして。
顔色も心なしか悪い。
ミリーを心配している親友でもある彼女達は。
心配のあまり、ファーがつぶやいた台詞は、耳にと届いてはいない。


「・・・・私は、この部屋から出ると。やはり、ほかの人には見えませんので。
  あ、でも、あなたたちには、姿を見えるようにとしておきます。」
『??????』
気絶したミリーを車椅子にと乗せ、部屋から出るルビー達三人に。
ファーがふと、気付いたようにと説明する。
とりあえず。
ミリーが気絶するのと同時に部屋の様子がガラリと一辺し。
そこには。
ただ、一面に、鏡が張ってある部屋があるのみ。


「・・・・では、確認するが。ここに入った子供達の中に。ミリアム=フィラ=ノクターンという名前の女の子が、いたのだな?」
「・・は・・はい!」
緊張し、声が高ぶる。
自分のような、たかが、一般隊員が最高幹部の一人に会い。
しかも、声をかけてもらえるなどとは。
そして。
ふと。
一人の名前を挙げて聞いてきたその台詞に。
ようやく、疑問に思い。
恐る恐ると、問いかける。
「・・あ・・あの?」
「まあ、隠していてもしかたがないであろう。
  ・・・・・『例の御方』に関りがあるかもしれない。
  そして、その人物が、今回の生徒たちの中にいる。という連絡は受けているな?」
すたすたと。
歩きつついうクオレュの言葉に。
「・・・・は・・・はい。・・・・って・・まさか!?」
ぴたり。
足を止めて。
驚愕の声を漏らす。
「上層部でも、あまり確信はないが・・・な。だが、少なくとも、普通の人間でないことは。
   このセキュリティを物ともせず。ここに入り込んだ。というだけでも明白だ。」
つぅ・・・・。
額から、汗が流れる。
たしかに。
『例の御方』に少なからず、関りがあるとすれば。
たかが、こんなちっぽけな存在が作った防犯システムなど皆無に等しいであろう。
だが・・。
『例の御方』とよばれている『姫』の存在など。
― 伝説の中に過ぎないのでは?
ここに入って、【いる】という確信は今だにもてていない。
だが。
『姫』は、確かに、暗黙の了解で、事実、存在している。という事実も、また事実。
いきなり、話の絵物語や。
伝説の中でしか、知らなく。
また、必修項目として習った、その『姫』に関りがあるかもしれない。
という女の子。
そういわれても、ピンとはこないのもまた道理。

すたすたと。
しばらく、何をいうともなく。
無言で。
廊下を進んでゆく。
と。
ふわ。
目の前の空間の一角。
つまりは、壁の一部が。
淡く、金色がかった虹色にとほのかに光り。
やがて。
その、壁であった場所から。
三人の女の子と。
なぜか、背負われている女の子の姿が。


扉の直前で。
なぜか。
「車椅子に乗せてては。話が余計にややこしくなりますので。どなたか、フィラ様を負ぶっていただけませんか?」
本当なら、自分がそうしたいのはやまやまだか。
― 自分が側にいる。
ということになると。
もはや、完全に言い逃れはできはしない。
まさか、当人だとは気付かれないであろうが。
それでも。
やはり、姫様の意思は慎重したい思いから。
そのファーの言葉に従って。
ルビーが、ミリーを背負い。
その後ろから、マリンが支え。
そして、横からはエメットが支えて。


― 壁であったはずの場所から子供達の姿が出現してゆく。


「・・・あれ?クオレュ様!?」
まず、それに気付いたのはルビー。
以前、星で行われた式典で、あったことがあるゆえに。


「・・・・・・・・・な゛!?」
短く、声を上げて硬直したクオレュの姿を。
「・・・?」
疑問の顔で見上げる明美。


彼女は知らない。
その壁の向こうに何があるのか。

そして。


その一番奥の部屋は―。


― 誰一人とて、『姫』の許可なくしては。ることなどできはしない、空間である。

ということをー。


「どうかしたんですか?」
不思議には思うが。
それ以上に。
背中に負ぶっている少女の容態が気になる。
透き通るほどに白い肌は多少青ざめている。
明美の言葉に。
「あ!そうだった!ミリーがいきなり、倒れたんです!」
エメットが、心配そうな声をあげて。
おろおろする。
「・・・・何があったんですか?」
クオレュが、問いかけると。
三人の少女たちは。
分からない。
というように、首を横にと振ってゆく。
「何か、変わった部屋で、いろいろと見ていたんだけど・・。」
「いきなり、ミリーが倒れたのよね?」
「ミリーが気絶したら、部屋の風景も変ったけど。」
口々に一気に説明しているルビー、マリン、エメット。
そして。
ふと。
心配そうにと寄り添っている、もう一人の少女の姿に。
明美も、クオレュも気づいてないのにふと気付き、驚くルビー達三人。

―― 私は、この部屋から出ると。やはり、ほかの人には見えませんので。

その言葉の意味するとおり。
ルビー達以外には。
誰一人として、ミリーの側にと寄り添っているファーの姿は、誰一人として見られることなく。


「・・と・・とりあえず、部屋に戻りましょう。」
そっと、手を額に当てると。
凍るような冷たさに一瞬ぞくりとする。
ミリーの額に手を当てた明美は、その冷たさにと驚きつつ。
支部長と顔を見合わせ。
ルビーが背負っていたミリーを。
クオリュが、抱きかかえ。


彼女達にと割り当てられている部屋にと、とりあえず、戻ってゆく―。

    
                                              −続くー
 

    

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    なんか、文章が・・・変・・・(涙)
    とりあえず。
    この、幼少偏。
    もう少しだし・・・・・・。
    まあ、奇特な人はお付き合いください・・・(涙)