遥かなる記憶の彼方に・・


「・・・で、あるからして。他に質問は?」
そこに働く存在達を集めて。
簡単な説明という名前の集会を開いている彼等。
あきらかに。
人間とは異なる種族の命あるものも。
その場には、参加している。
ここには、この宇宙全体から。
それぞれの道のエキスパートたちの集団が集っている。
この宇宙たる、広大な一つの空間というか球体で。
彼等の研究で。
宇宙全体が、一つの丸い球体のようにして、構成されている。
というのは、周知の事実。
そんな説明をしている紺色の上下の服に。
銀のとあるマークを縁取ったその彼等の制服を着ている彼の言葉に。
ざわざわざわ。
説明を受けていた彼等は。
ざわざわとざわめいてゆく。


「どうして、わざわざ一般の学校の生徒が?」
「上の考えることは分からないわね?」
「それに乗じて、犯罪者が、入り込んだらどうするのかしら?」
「まあ、上の決定は、覆ることがないから、仕方ないとしても。
  どうして、養成学園の生徒でなく、一般の生徒なの?」
ざわざわざわ。
説明がなされるその前で。
ざわざわしつつ、そんな会話をしている、従業員たちの姿。
いや、従業員という表現は適切ではないであろう。
彼等は、ここでその信念をもって、働いている存在たち。
いわゆるこの宇宙に存在する生きとしいける存在達にとって全ての憧れの的。
銀河連邦総合機関本部。
そこに勤めている彼等だからして。
この機関は。
寄付と、それと、この機関が積極的にと活動している、とある事業の財政にてまかりなかっている。
完結に言えば、ボランティアにほど近い。
つまりは、この莫大な機関を支えるべく。
様々な事業にも手を出し。
それで生計を立てている。
という実体があるのは、暗黙の了解。


「こ・・こほん!」
そんなざわめく彼等の前で咳払い一つする、銀色の髪に銀色の目をした男性。
その長い髪をなぜか、ミツアミにして、後ろで束ねていたりするが。
今回の企画の責任者でもある。
「静かに!」
彼が叫ぶと。
「質問です!」
一人の女性の手が上がる。
「何かね?アケミ君?」
とある星から、ここにと働きにきている彼女の名前は。
明美。
明美=ウィリアムズ=江藤。
その短くまとめている黒い髪が印象深く。
それでいて、水色のその瞳もまた、そんな彼女にしっくりと似合っている。
「どうして、一般の生徒なんですか?」
その質問に。
そうだ!そうだ!
それでなくても。
ここ、本部は。
この宇宙全体に気を配りつつ。
平和を保つという役目があるのに。
何も知らない素人のしかも、学生。
しかも、まだ子供。
そんな子供達を受け入れることは、仕事の差し支えでしかない。
その質問に。
同時にと同じ声が上がってゆく。
「静かに!それは、そうであるが。・・・・・まあ、ここだけの話だが。
  その生徒の中に。『あの御方』に関りがあるのでは?という人物を発見した。
  という上からの極秘任務もある。」
ザワ!!
その言葉に。
一瞬、その場が静まり返り。
やがて、ざわりとどよめきが巻き起こってゆく。

「・・・・・・本当・・です・・・か?」
明美の声が震える。
「確信はない。だが・・・・・・。疑いを上がもったのも。また事実だ。」


『あの御方』
そう、彼等が呼び称するのは、あまり存在しない。
というか、
そういう様に、上層部が呼び称される存在など、一つしかない。
誰でも、ここに就職するときに。
そして、ここで働くことが決まった時に。
そしてー。
宇宙の理の仕組みを習うときに。
全てのものは。
その呼び称される存在のことを。
機密事項の極秘事項として、少なからず全員が学んでいる。
― あまりに、巨大すぎる内容であるがゆえに。


彼等の、ここで働く全ての存在には。
裏の規則というか、全員が固く心にと誓っている。
または、誓わせられていることがある。

それはー


― どんなことがあっても、まず、その『御方』の身の安全が最優先 ―


彼等は。
本質的には理解はしてないが。
もし、その『あの御方』と呼ばれる存在に何かがあったら。
まず、この宇宙そのものが、壊滅的なダメージを受ける。
・・・・そう、全員が学習しているがゆえに。



一部のものなどはその心の闇のまま。
悪行に走る存在などは。
だからこそ、その伝説にしか過ぎないそれの力をつかい。
宇宙制服をたくらむ輩も―いなくならないのもまた現状。


「ともかく、誰、とは、上からも指示がなかった。それを心がけてくれ。
  だが!くれぐれも、我々がそれを気付いている。
  ということを悟られぬように、普通に接しろ。ということだ。」
何でも、気付かれたら。
これまでの、歴史の中で。
忽然と、その姿を消した記録も残っているその存在。
それが事実か、伝説かは分からないが。
ともかく。
『とんでもない力をもつ何か』がいる。
というのは。
全員が把握している。
というのも。

この、本部には。
誰、一人とて、入れない、一つの部屋というか、空間が存在しているがゆえに ―。

伝説というか、本部の上層部の噂では。

そこに、入れるのは―。

選ばれた存在―つまりは、『かの御方』に許可を得た存在か。
または・・・『かの御方』当人のみ。



ざわめく彼等のその最中。



 ビィィィィ〜〜〜〜!!!!!



本部の中に。
一つの知らせのブザーの音が鳴り響いてゆく。




『すごっ!』
全員が、船のその窓ガラスから。
外をみて、感嘆の声を上げている。
彼等の視線のその先には。
銀河が一つ、丸々本部として作り出されている。
この宇宙に生きるもの全てにとっての憧れの的。
言い換えれば。
ここが、この宇宙の中心地点でもあるその場所に。
それ。
銀河連邦総合機関本部は、存在している。
その総合機関の本部を中心として。
周りに、警備隊、警察などなど。
軍、保安部。などと。
様々に各種の部署が存在している。
その、全ての中心である。
その、本部の空港に。
彼等―ユニバース学園の生徒たちを乗せた宇宙船は。
しずかに、近づいてゆく。


「・・・・来たな。」
銀河連邦総合機関本部庁平和支部長官。
その立場にといる彼―クオレュは。
その連絡を今、受け取った。
「さて・・・・何か手がかりがあればいいが・・・。」
彼女だけを招いたのであれば。
当然、この機関を疎ましく思っている輩や。
そして、何かあるのでは?
と、彼女に危害が加わる可能性が必死。
それゆえに。
彼は……上層部にと提案したのだ。
― 彼女が通う学園の生徒ごと、招いて、真意を少しでも見極めたらどうか? ―
と。
本来なら、一喝されて実現しないと思われた。
その提案は。
今、こうして、実現と相成っている。
上の方々が。
何を思っているのかは分からないが。
それでも。
報告から、何かを感じ取ったのか。
それは、彼にはわからない。
それでも。
確かに。
ここに。
前代未聞の一般の生徒による、『本部の社会見学』は、実現のそのときを迎えている。
広報機関は。
この試みを【開けた組織】にするため。
と、公言しているが。
この結果によって。
今後も続けるかどうか決める。
と、各、情報機関にそう公言している。
この試みは。
いまや。
確認のためというだけでなく。
宇宙に存在する星星にとっても、重要な試みと化しているこの現状。
「・・・・さて・・どうなることやら・・・。」
窓の外をみつつ。
彼―クオレュはつぶやいてゆく。




初めてみるものが、全て新鮮。
光輝く、光の生命体である生き物を見るのもはじめてであるならば。
みたこともない、宇宙船や戦艦をみるのもまた初めて。
そして。
見たこともない、機械らしきものによって。
宇宙にと流れている様々な電波などを。
受信しているその部署も。
手を触れたら、その手が、自分の横から出てくる、
歪んでいる空間の成り立ちと仕組みの説明も。
とりあえず、各クラスごと、数チームにと分断されて。
それぞれ、別々に、案内係がついての、見学。
彼女達―ミリーが含まれるそのチームは十二人ばかりのその集団。
あまり、まとまった人数で移動していると。
仕事をしている邪魔をしてはいけないから。
というので。
各クラスごとに、十人前後で、チームが編成されて。
そのチームごとに。
それぞれ、案内役が一人つく。
そういう感じで。
ミリー達の『社会見学』は始まっていた。


ミリアムたちの案内をしてくれたのは。
何でも、情報機関に所属するという。
明美。
という女性。
「はじめまして。私は、アケミ。明美=ウィリアムズ=江藤。
  今回、私があなたたちの案内役を仰せつかりました。
  これから、しばらくおねがいしますね?」
にっこりと笑って挨拶したその女性は。
ミリーたちには、とても好感が持てていた。
黒い髪を短くまとめているのも印象深いが。
なぜか、それにしっくりくるような水色の瞳もまた。
「アケミさんは、何処に所属しているんですか?」
好奇心旺盛に、聞いているミリアム。
その、綺麗な金髪を、ミリーはその後ろで編みこみにして今は束ねている。
「私は、今、あなたたちに案内した、傍受の機関の。オペレーターです。」
このオペレーターという業務。
そう簡単なものではない。
何しろ。
そこは、宇宙、全ての情報やトラブルなどが集まる場所。
それを、きちんと把握して。
その、担当部署にと引き継いでいく、その要の入り口の重要なる役目。
中には。
緊急時などにおいては、その通信だけで、指示を出すこともしばしば。
それゆえに。
そこには。
全てに長けている存在でないと、配属されない。
というかなり高度な知識と応用力が、試される部署。
ここには。
さまざまなトラブルや。
挙句は、今の宇宙の状態。
どこのどこで、星が消滅し、誕生し。
ブラックホールの重力圏。
銀河の寿命によって、活動するその移動の周期。
全ての情報が。
ひとたび、一度、全て、そのオペレーターを通じて。
正確なその一時、一時の宇宙の情報が。
この、今の一時も、完全にと把握されている。
そして、これには。
すぐに熱くならない存在が、配属される。
ということもまた決まっている事項ではある。
というのも。
すぐに熱くなって、喧嘩などに発展しないための考慮である。
「ふぅん。じゃ、エキスパートなんですね?」
何気なくぽつりといったそのミリアムの言葉に。
「あら、よく知ってますわね。ここで働き出して、ようやく知る事柄というのに?」
まじまじと、そうつぶやいたミリアムを見ている明美。
澄んだその青い瞳と黒い瞳孔のその奥に。
何か一瞬。
何かの光というか影をみたような気がするが。
「だって、あそこで働いていた皆。周りの空気というか気配から、違ってたから。」
「そーいや、ミリーは、ノクターン家の血筋で。そういった気配とかには鋭いのよね。」
ミリーの言葉に。
ぽんっ!
とそんなミリーの背中を叩いている、マリン。
― ノクターン家。
・・・あら?
確か、あの家の子供は・・・・・。
・・・・・・・養女では?
即座に、その脳を回転させて、情報を引き出している明美。
・・・・・・・血筋でないのに、気配がつかめるの?
ノクターン家の血筋と、その血がもつ力は。
精霊の声を聞き、そして、その力を借りれる、というもの。
そして。
その血筋は。
あまり今や存在が確認されていない、星の声も聞こえる血筋の持ち主。
星とて、生きているのには他ならない。
絶えず、何かしら、自分が乗せて進化させていっている、
自分の子供達にと向かって、何かしらのメッセージを向けているものである。
だが。
その、自分達が存在する星の恵みを忘れて。
欲だけを目の先に。
自分達の住む星や銀河を、むざむざと死なせて行く存在もまた存在するこの事実。


「存在している、全ての者達が。そういった声や気配をつかめると。この宇宙も平和に発展するんでしょうけどね。」
それは、明美の願いでもある。
彼女は。
ここに就職を決めたのは。
彼女が住んでいた星が、銀河戦争にと巻き込まれたから。
もう、今は、彼女の故郷である星は存在していない。
かろうじて、生き残った科学者たちが創り出した。
人口の星が、彼女の第二の故郷。
だからこそ。
自分の二の舞を味わって欲しくないためにも。
彼女は。
ここ、連邦機関にと就職を決め。
必死の勉強と実技訓練を得て。
ここに、就職を果たしているに他ならない。

彼女の願いはタダ一つ。


誰もが争いなく、平和に暮らせるその世界。



それでも、やはり、生きている限り。
争いは耐えることなく。
それを少しでも、被害を食い止めるために。
彼女は、今、ここにいる。

やがて。
とりあえず、今回は。
この棟を案内するだけで時間は過ぎてゆく。



全員が、集まっての食事の後は。

各自、自由時間―。


                                            −続くー

    


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   あとがきもどき:
       ようやく、自由時間v
        さて?何が起こりますかな?(まてぃ!)
        んではでは・・・・・・・・・。
        これを打ち込むより、
        投稿している小説を先に打ち込むのが
        礼儀なんですけど・・・・ねぇ?(自覚はあるのに・・・・汗)
        それではv
        また次回でvv