遥かなる記憶の彼方に・・・・  ~第6話~

あれから・・・。
・・・・数ヶ月。

今日は初めての試み。
一般の存在を、その本部にと入れるのも。
初めての試みというか、実験を兼ねた。

― 社会見学の日 ―






バタタタ!
「ああああ!遅刻するぅぅ!!」
「ミリー!急がないと、危ないわよ!」
母親であるマリアが。
二階に向かって叫んでいるけど。
「ああ!どれ着ていこう!?」
今だに、服装に悩んでいるミリーの姿。
「・・・・・・全部もっていけばいいんじゃないですか?」
くすくすと笑っているのは。
小さな、淡い金色の光の球にしか、彼女以外には見えない、ファー。
数ヶ月前に。
いきなり、空から飛んできた、どうやら精霊らしいが。
ミリーはあまり深くは考えていない。
というのも。
おそらく、自分が、赤ん坊の時から持っている。
唯一の、彼女の身元を知る手がかりともいえる、不思議な色合いをしている、その石の、気配と。
このファーと名乗る羽の生えている女の子の気配が、同一であるがゆえに。

それに。
ノクターン家の家柄は。
そういった、精霊とか、自然とのつながりが深い一族でもあるという、理由もあいまって。
あまり、疑問に感じてない金色の髪に、青い瞳の少女。
この家の長女であり、一人娘。
そして・・・・。
養女ということも、彼女は理解している。
が。
血のつながりなどはないはずなのに。
その容姿は、どことなく、二人の両親にとよく似ているがゆえに。
知らない存在達などは。
本当の親子だと信じてやまない事実があるのもまた道理。

・・・・・ぽん。
その言葉に、ぽんと手をうつ。
金色の髪に、青い瞳の少女ーミリアムが一つ手をうつ。
「それもそーね。何でそれにきづかなかったんだろ?」
学校の行事である、社会見学。
とはいえ。
彼女達の学園の社会見学は。
一日程度の代物でなく。
大抵、半月から一ヶ月の間。
それに時間をとっている。
というのも、宇宙に出ると、ワープなどの移動方法は。
すでに一般化されてはいるものの。
やはり、数億光年など離れた場所などにいくのに。
少なからず、時間がかかる。
そういった理由から。
ファーの言葉に、うなづきつつ。
小さな、水晶のような球を取り出すミリー。
そして。
その水晶から手を放すと。
ふわ・・・・。
まるで、何かに導かれるようにと、天井の方にと浮かんでゆく。
そして、ちょうど部屋の空間辺りで、止まったそれを確認し。
にっこりと微笑み。
「インv」
言葉と同時に、パチンv
と左手の親指と人差し指で音をたてる。
その刹那。
部屋に散らばっていた服の数々が。
きちんと、ハンガーにかけられて。
そのまま、整理整頓したかのようにとその中にと吸い込まれてゆく。
ミリーのみが開発している、簡易カプセル。
ちなみに、これを商品化しようと、躍起になっている人達もいるけども。
いまだに、この仕組みが理解できずに。
必要なときには。
ミリーに作ってもらって、いる現状がここにある。
ふと。
時計をみて。
「ああああああ!!!!!!!!!!!!!」
おもいっきり叫んでいるミリー。
「時間がないぃぃぃぃ!!!!こーなったら!!お母様!直接にいくから!空港に!!」
そう、階下にと叫びつつ。
「ミリー!?ちょっとまちなさ・・・・!私もいきます!」
そんなミリーの言葉に。
あわてて部屋にとやってくるミリーの母親のマリア。
「空間瞬間移動♡」
ミリーの言葉に。
刹那。
シュン・・・・・。
後には、何も痕跡を残していないかのような。
いつもの、整った子供部屋の風景が広がるのみ。


ザワザワザワ・・・・・。
すでに。
まだ時間はあるというのに。
ロビーにはかなりの同級生たちが。
もう待ちきれなかったのか、集まっていた。
ストン。
人気のない場所のロビーの中に。
ふわり。
と、まるで薔薇の匂いが立ち込めて。
金色の光のような虹色の光が一瞬その場を埋め尽くし、その場にと出現してゆく、二人の女性。
いや、女性というか、女の子と、その母親。
「はい。母様。この中に、車、入ってるから。」
小さな、カプセルのような水晶を取り出して、マリアに手渡すミリー。
ミリーは。
持ち運びも便利に。
家具などをこういった小さな水晶カプセルに入れて持ち運ぶことが可能。
「あら、そういえば、私、移動する足をもってきてなかったわ。」
今さらながらに気付いているマリア。
「お母様、何かいつもぬけてるもんv」
くすくすと笑うミリーに。
「そうなのかしら・・・・。」
ふと、考え込んでいるマリア。
この辺りの、ちょっとしたお間抜けのところが。
かなり、彼女のチャームポイントなのであるけど。
本人にその自覚がないだけで。
周りはしっかりと承知している。
そんな親子のほのぼのとした会話をしつつ。
人気のないそのロビーの一角の隅から。
でてゆく二人。

ロビーの広間にでると。
そこには。
一般客もさることながら。
情報機関の人々など。
何しろ、初めての試み。
銀河ニュースや新聞社などが、ほうっておくはずもなく。
中には、嬉々として、その質問に、答えている子供達の姿も見て取れる。
ダイヤモンドの上の硬度をもち。
透明度は、さらにその上。
見た目、水晶のような、その壁は。
アレンジしだいで、様々に色付けが可能。
色というものは、光の屈折から視野に入るものであるからして。
その色を遮断するような物質をそれに塗れば。
それは、その色となす。
災害などにも強い材質なので。
好んで、公共施設などによく使われている物質。
「あ、ミリー!」
元気に、声が聞こえてくる。
みれば、すでに。
待ちきれなくてやってきていた。
ミリーの親友でもあるルビーの姿。
服装は、シンプルなまでも、青い色彩に統一された、ちょっとしたワンピース。
公式行事なのだから。
一応、学園指定の制服でもいいと思うのだが。
制服でも、私服でも可能。
という先生の言葉に。
半々くらいの確率で。
半数が制服。
半数が、私服。
私服の場合は、何かある場合に必要となりえることがあるので、制服持参のこと。
という条件はあるものの。
やはり、子供心としては、お洒落なども興味があるお年頃。
「ルビー!早いわね!」
いって、大きく手を振るミリー。

ザワザワザワ・・・・・。
「はい!ユニバース学園の生徒の皆様。そろそろ集まってください!」
引率の一人。
学年主任の言葉に。
ざわざわしながら。
その指定されている場所にと集まってゆく、ユニバース学園。
そのニ学年。
この春、全員で、進級したばかり。
話としては、数ヶ月前に出ていたものの。
やはり、いろいろと手続きなどがあり。
彼等が、一年のときでなく。
二年になるまで。
いろいろと上の方で作業があった事実があるのだが。
そんなことは生徒たちは知る由もない。
「いい?先生のいうことをよく聞いて。」
「迷子にならないように気をつけるのよ?」
「知らない空間というか宇宙なんだから。勝手な行動はしないようにね?」
引率してきていた保護者たちは。
各自。
自分達の子供に言い聞かせてゆく。
そんな親たちの言葉をうけて。
「いってきます!」
元気よく答える子供達。


「それでは、各クラスごとに、人数を確認したあと。
  出発ロビーで簡単な手続きをしたのちに。用意されている船に乗りこんでください。」
各クラス担任の言葉に従い。
それぞれに。
一応、身分照明を持参し。
出発の許可を正式に貰い。
こういった、公共施設など、公共の乗り物を利用し。
宇宙に出る再には。
恒例として、執務的ながらも、一応、手続きが必要となっているシステムがゆえに。
といっても。
身分というか、身元を証明するカードは。
それぞれ、うまれたときに、星から支給され。
人口管理など、それを利用して行っているこの星のシステム。
―ピッ。
カードを提出し。
それ専用の機械で。
その情報を一瞬のうちにと登録し。
一秒もしないうちにと。
そのカードは元の持ち主にと戻されてゆく。
ちなみに。
このカードに入る情報は。
産まれてから死ぬまで。
たとえば、何回、宇宙に出かけたとか。
といっても、個人的に出かけた場合は除くが。
あとは、犯罪暦。
そういったものも、一目で分かるシステムになっている。

わいわいわい。
それぞれに、ちょっとした小奇麗な鞄などを手にもって。
和やかに、会話しつつ。
手続きが終わった人達から。
彼等専用となっているステップから、用意されている船にと乗り込んでゆく。

宇宙船といっても。
今や、海を航海するがごとく。
宇宙の海も、星の海同様に、それほど違いはなく。
一昔の話だと。
わざわざ燃料などで打ち上げていたりしたものが。
今では、その一つで、大気圏の離脱や進入が可能となっている。
それゆえに。
様々な形の宇宙船が出回っているのであるが。
彼等が今から乗り込む船もそんな一隻。
さすがに、銀河連邦から支給されている船だけあり。
個室などもしっかりとしている。
さすがに、人数が多いので。
一人一部屋。
というわけにもいかずに。
二人から三人の相部屋。
それでも、各部屋に、必要な家具全般。
バス・トイレ完備。
ちょっとしたワンルームマンションのようなつくりの個室にとなっている。

「すっごぉぉぃぃぃぃ!」
まず、船に乗り込み。
各自が発した言葉は。
この一言であった。


各部屋とは別に。
会議などができる、ちょっとした会議場に。
遊技場。
そして、プールや温泉、サウナなど。
まさに、移動する娯楽施設。
といっても過言でないその宇宙船にと乗り込んで。
全長二十数メートルはあるその船は。
生徒や引率の先生などをのせ。
遥か彼方にと位置している。
連邦本部のある場所にむけて。
たくさんの人々に見送られつつ、船は惑星を出港してゆく、


各自自由に過ごしていい。
という自由主義。
一応、特殊のシールドというか外装がなされているので。
船の外。
つまりは、テラスなどに出ることも可能。
というのも。
透明な物質で。
この船は覆うようにとコーティングされているので。
そのコーティングの中では、どこでも空気があるという状況。
重力なども一定に保たれて。
本部が設定している重力になれるために。
各自、バッジが支給され。
そのバッジをつけている限り。
彼等のいた星と同じ重力が。
そのバッジをつけている範囲数メートルにわたり、効果が実現してゆく。
各星によって、その容積などの差にて。
星にかかる重力が違うのは、周知の事実。
それを解決するために開発されているバッジである。


「すごっ・・・・・・。」
窓の外を眺め。
水色の髪に、水色の瞳。
ゆるやかにウェーブのかかっている女の子。
ミリーと仲のいい友人の一人である、マリンがつぶやく。
「ああ。確か、あそこには、ブラックホールがあるのよね。」
いいつつ。
ミリーもまた、その視線の先にと目をやる。
かなりのスピードでその一点にと、様々な物質が吸い込まれてゆく。
光ですらも。
ブラックホール。
それは、星が死滅したときにできる。
といわれているものであるが。
今だに、よくは解明されていない現象の一つ。
とはいえ。
入り口までは、どうにか解明が出来始めているこのごろ。
といっても、今だに。
ブラックホールに飲み込まれ、消息不明になる存在は数知れず。
公式に出発している船なども。
よく、巻き込まれて、姿を消しているのもまた事実。
今だかつて。
ブラックホールに飲み込まれて。
助かった。
という話しは、公式にも、噂話にても聞いたことなどなく。
また伝わってもいない。
「この船・・大丈夫なのかしら?」
不安そうに、いっているマリンの言葉に。
「ブラックホールの重力圏に入らなければ。
   鑑賞することは、大丈夫よ。それに、入り口程度なら。根性いれたら、脱出できるし。」
というか・・・・。
私、はいったことあるのよね・・。
前。
そんなことを思いつつ。
どうして、そういえば?自分は何ともなかったのかしら??
ふと疑問に思うミリー。
誰にも言っていない事実。
『・・いや、根性って・・・。』
そんなミリーの言葉に。
突っ込んでいる、同じく一緒に行動し。
外をみていたマリン、ルビー、エメットの声が同時にハモル。


窓の外では。
黒い闇にと吸い込まれるように。
光などもその闇にと吸い込まれてゆき。
それに伴い、磁場が狂い、属にいう宇宙オーロラというものが出現している。

生徒たちを乗せたまま。
順調に、航海は進んでゆく。


                                          -続くー

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  あとがきもどき:
      よっし!次回で、ようやく本部に突入(まて!)
      ・・・まじで何話になるかな?
      ではではvまたまた起きたら、十時近くて、打ち込みが遅れている薫でしたv