こんにちわ。
寒さに耐えつつ・・昼から打ち込んでいる・・のに。
気付けば・・もう十時過ぎ・・・あはははは(汗)
とりあえず、落ちは・・・夢おちに近いとゆー・・・とんでもない話ですが・・・。
それでもよければ・・・どーぞ・・・(汗)

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     虹雫の涙  第10話        ~虹雫の涙~



ふわぁぁぁぁ!
盛大に背伸びを一つ。
さすがに、この国にきて。
こうも現実離れが次々に。
行く先々で見せ付けられては・・・。
もはや、感覚はほぼ麻痺してきている。
少し森を散歩に。
と出かければ。
森の木が話しかけてきたりとか。
挙句は羽の生えた小さな人間が花を囲んで、おしゃべりをしていたりとか。
さらには。
小さな湖をみつけて一休みをしていたりしたら。
その湖の中から人が出てきたりとか。
 さらに驚くべきことに。
どうみても、絵本や化石のそれでしかみたことがないような。
どうみても、恐竜、それといかいいようのない、生物が、どうして、湖の中から出現してくるのか。
しかも、それが人の言葉を話すのである。
もはや、常識的な思考は、完全にと麻痺してもおかしくはない。
空を見上げても。
当然のように空を飛んでいる人々などの姿が目に止まる。
「・・・・ま、確かに、こんな国が表に出てきたら・・。世界はパニックだがな・・。」
カタンと。
朝日が差し込む窓を開け。
朝のすがすがしい空気を吸い込み、大きく伸びをする。
と。
― ハラリ。
窓の隙間にと差し込まれていた何かが。
彼 ― 中森銀蔵の方にと舞い込んでくる。
「ん?何だ?これ?」
ぱらり。
その紙は、どうやら手紙らしきもの。
そのたたまれているそれを。
開いたその刹那。
ダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!
とるものもとりあえずに。
部屋を飛び出してゆく銀蔵の姿。

「本部長!目暮殿!毛利殿!」
ばたぁぁぁん!
朝の恒例行事。
一応、集まって、とりあえずは、警備は必要がない。
といわれたにもかかわらず。
やはり、職業がら、手分けして警備をしている彼等。
その夜の見回りとその結果を。
こうして朝にと集まって報告しているのであるが。
その集まった、服部本部長の部屋。
そこに駆け込む中森警部の姿。
「どうかしたんですかな?中森警部?」
寝巻のまま、扉を開けて入ってきた銀蔵に話しかけているのは、目暮。
朝なのに、そして、部屋の中にも関らずに。
やはり、帽子をかぶったままで。
「そうそう、何をそんなにあわてて?」
そういっている小五郎。
「こここここここんなものが!」
そういって。
先ほど窓にとはせられていた紙を取り出す。
「?」
それを受けとり。
それに目を通す。
そして。
『な゛!?』
同時に叫ぶ三人の姿。
「お・・おのれぃ!キッドめぇ!どこから侵入したぁ!?」
そういいつつ、拳を握り締める銀蔵。


そこには。

―  拝啓。中森警部どの。
  連日の警備ご苦労様です。
  本日以前予告した通り、『虹雫の涙』頂戴しに参ります。敬具。怪盗キッド ―

そう簡単に書かれている文章と。
そして、似顔絵。
「・・・・・うーむ・・・・・。確か、女王は、ここには。邪な思いを抱くものは侵入できないといってたが・・。」
「では、誰かが、キッドの名前を語って悪戯をしているとでも?」
目暮の言葉に横からいっている小五郎。
「とりあえず、これは、女王に申請して。あの場所の警備を強化するようにと進言しよう。」
冷静な判断を下している服部本部長。


ばたばたばた・・・・。

にわかに。
一部の者達だけが。
王宮の内部で騒がしくなってゆく。


「・・・・あれ?快斗?どこ行ったのかしら?」
食事時。
快斗の姿が見えないので、首をかしげている青子。
「そういや、平次の姿もみえないんやで?知らない?蘭ちゃん?」
蘭にと問いかけている和葉。
「そういえば、コナン君の姿も見えないのよね・・。」
蘭がつぶやき。
「そういえば、哀ちゃんも姿をみてないわよね?」
「おう。きっと、コナンのやつ、迷っているんだぜ?」
「この王宮、本当に広いもんね。歩美も迷いそうになるもん。」
「まさか、灰原さんも迷っているんでしょうか?」
口々にいっている元太、歩美、光彦。
の三人の子供達。
「まあまあ、とりあえずは。先に朝食を食べてから。それでいいじゃないかな?」
そんな会話をしている蘭たちをなだめている阿笠博士。
まったく・・。
新一君もやっかいな役を押し付けてくれたもんだわい・・・。


「いいか!?博士!?俺達はキッドを捕まえるべく行動するから!
   蘭たちがそれに気付かないように、どうにか話しをごまかしておいてくれ!」
コナンの言葉に。
「私は、その虹雫の涙。それに興味があるわ。あれは、確か、薔薇水晶といってたし。
   例の涙を流すといわれている宝石に関るかもしれないし。」
そういっているのは哀。
「せやけど。そういえば、キッドのやつ・・。何を考えてルンや?今さら?」
腕を組んでいる平次。
「まあ、とにかく。あいつは現行犯で捕まえる。そう互いに約束してるからな・・。」
自分の正体が先に知られ。
そして。
キッドの正体もその後知った新一。
やはり、怪盗はよくないと諭すにも関らず。
それでも。
父を殺した組織を追い詰めたい。
という熱意は伝わり。
ましてや、それが新一の体を小さくした組織に関ることと分かった以上 ―。
あるいみ、不思議な協力関係にある新一と快斗達。
永遠のライバルというか相手にふさわしいとはまさにこのことかもしれない。

そんな会話が。
朝方、交わされていたのであるが。



「おお!工藤君!」
「な゛!?お前もいたのか!?」
「ほう・・君が・・・。」
「何や、おやじたちもここにいたんかいな。」
この宮殿の地下の一室。
先日、通された、聖石を安置している部屋で。
そこに移動した新一達。
今は、コナンは、その姿を、本来の姿―新一の姿にと変えている。
哀も同じく。
そんな新一の姿をみつけ。
声をあげている目暮。
そして、驚愕の声を上げている小五郎。
英理は、この場には参加していないが。
とりあえず、今までの関ったという事件のおさらいを兼ねて、部屋にて取りまとめているのである。
この王室には、全ての出来事がファイルされている部屋が存在し。
それを利用しつつのことであるのだが。
新一の姿をみて、感心したような声を上げているのは、平次の父親である平蔵。
「毛利の叔父さん!それに、目暮警部も。あ、始めまして。工藤新一です。」
ぺこりと頭を下げている新一。
平蔵に対して。
「それで・・・・君は?」
見慣れない、姿をみて。
首をかしげている目暮。
「・・・・・・宮野志保です。」
それだけしかいわない志保。
「・・・・ん?どこかであったことがないか?」
そんな志保をみていっている小五郎。
「・・・・多分、それ・・姉かと・・。偽名を使ってましたけど・・姉は。姉の名前は明美です。」
そういって目を伏せる。
「明美さんって・・・あの、三億円の!?」
思わず声を上げている小五郎。
「小五郎の叔父さん。ひょっとして知らなかったのか?あの事件・・・・・ヤツラがらみってこと?」
怪訝そうにいっている新一の言葉に。
『・・・・・な゛!?』
短く声を上げている小五郎、平蔵、目暮の三人。
「あの事件が元で、この志保さん。
  彼等の組織から抜けたものの、命を狙われているので。保護しているんです♡」
にこにこにこ。
その場にいた黒い髪の少女がにこにこという。
「まあまあ。とりあえず。今はそんなことよりも。先にその手紙というのを見せていただけませんか?」
にこにこにこ。
そういっているヴィーナス。
女王は、用事があるとかで。
今、この場には存在していない。
ヴィーナスにいわれて。
銀蔵が窓に挟まれていたそれを手渡す。
かさり。
それに目を通し。
「なるほど。それで?どうしても、欲しいのですか?涙が?」
銀蔵にといっているヴィーナス。
『・・・・・・な゛!?』
「は?だから、それは・・・キッドが・・。」
そうはいうが。
「・・・あのですね・・・。ここでそんな変装は無駄なんですよ?」
さらり。
「・・・・・くっ!」
だん!
その言葉に飛びすがる。
「な゛!?まさか、貴様!?」
ばさり。
平蔵の言葉に。
かるくマントを何処からともなく、取り出して自分にまきつける。
そのあとには。
タキシード姿の、いつもの姿。
怪盗キッド、その姿。
「ま、ばれちゃ、しょうがない・・・・っと♡)」
にっこり笑って。
ポン!
懐から、小さな球を取り出して。
ポム!
その球を床にと叩きつけて。
煙幕を作り出す。
「く・・・・おえ!」
「逃がすか!」
そういって。
煙幕の端々に。
見えている人影を追ってゆく平蔵と目暮。
「あ!まってくださいよ!警部!本部長!」
そのあとを追いかけてゆく小五郎の姿。
もうもうと、煙幕が立ち込める中。
どうして、そんな煙の中でも、人影が見えるのか。
まったく疑問も持たずに追いかけてゆくのは、
やはり、この国に来て、全員感覚が少し麻痺しているからに他ならない。
いつもなら、ひっかからないようなそんな些細なことに、思い切り引っかかっている平蔵。
まあ、目暮や、小五郎は。
いつもの通常通りであるのだが・・・。
やがて。
部屋からその影を追いかけて。
出てゆく姿をその目の端にと捉える、新一と平次。


「・・・・・・・で?何がしたかったんだ?てめえは?」
そういって。
部屋の中央にある光の柱、その一角に視線を向けている新一。
その言葉に。
はらり・・。
そこの光の柱の色が、まるではがれるようにと落ちていき。
その中から。
タキシードを着ている怪盗キッド、その姿が出現する。
「・・・さすがだな。工藤新一、あのおとりにひっかからなかったか。」
そういって。
ぱさりと。
何もなかったかのように。
一瞬のうちにと、その布をしまいこむ。
「とゆーか、何でおやじがあんな簡単なトリックに引っかかったのかが。そもそも俺は疑問やがな。」
そういっている平次。
「・・・・それで?あなたは何がしたいわけ?黒羽君?」
そんなキッドこと快斗をあきれたようにと見ている志保。
「そうですわ。こんな回りくどいことをしなくても。私達には、その理由、すでに理解しているのですから。
    どうして、素直にお願いされないんですの?別に邪なことに使うわけでもないですのに。」
にこにこといっているヴィーナス。
・・・・・。
「・・・・ちょっとまて!すると、もしかして、俺が何のために!?
    『虹雫の涙』を欲しがっているのか、知ってるってことか!?」
ヴィーナスの言葉に、思わず抗議の声を上げている快斗。
「・・・・どーでもいいが。おまえ、その姿。どうにかしないと。そのうち、おやじたちが戻ってくるぜ?」
快斗の姿をみていっている平次。
「おっと。それもそーだな。」
そういって。
バサリ。
マントを翻す。
その一瞬の早業で。
着がえている快斗。
快斗はマジックを得意としているがために。
こういった早業も得意分野としているのである。
あとは。
変装なども得意ではあるが。
「・・・・それで?その虹雫の涙って・・一体何なの?」
そういって、菫の方に視線を向ける志保。
「それは、これのことよ。」
すっ。
その透き通るまでの白い手を。
上にと掲げると。
その手の上に。
光の柱の中から。
ほのかに、花の形をした水晶が光り輝き。
その手の上にと出現する。
大きさは、手にすっぽりと入る程度の大きさで。
そして。
そのまま。
その手にと入る大きさの水晶を。
新一達の目の前にと持って行き。
空中にとそれを留まらせる。
その、見たことのないような美しさの水晶に目を奪われつつも。
何もトリックも何もなく。
ただただ。
そこに浮いている水晶を呆然とながめつつ。
目の前にいる少女が。
何かをするのを。
ただただ、眺めている新一、平次、志保、快斗の四人。
そして。
ふわ。
軽く手を握り。
開いたその手に。
小さな水晶の小瓶が菫の手に握られており。
「あなたたちも聞いたことがあるでしょう?
   ― 満月に掲げると涙を流さん ―
  という、今世間に出回ってしまっている聖石のあれね。あれは、この特性をあらわしているのよ。」
そういって。
その小瓶を。
その目の前にと浮かんでいる、水晶の真下にと持ってゆく。
そして。
シャラァン・・・。
小さく、その水晶を指ではじく。
まるで澄んだ音色が響き渡り。
その音が響き終わるその刹那。
その虹色にと輝く、まるで表現するならば、薔薇の花びらというか花の形をしている水晶から。
水晶と同じく、虹色にと輝く、一滴の粒が。
煌きつつも、出現してゆく。
その水晶から落ちそうになったその雫を。
水晶の小瓶にと入れている菫。
― ポチャン・・。
まるで吸い込まれるようにと、小瓶の中にと吸い込まれてゆく雫の一滴。
ふっ。
その雫を取り出したその直後。
黒い髪の少女『菫』が新一達の目の前にと浮かんでいる水晶に、手をかざしたその刹那。
ふっ。
掻き消えるようにと。
目の前から消え去り、再び光の柱の中にと戻ってゆくこの星の聖石。
別名、薔薇水晶その小さな水晶の一つ。
目の前のほんの一瞬の出来事に。
思わず目をぱちくりとさせ。
そんな新一達の目の前に。
その小瓶を突き出す少女の姿。
 虹色にと輝く、液体がその小さな水晶の小瓶の中で。
不規則に怪しいまでにと輝いてゆく。
「― これが、伝説の元になっている。― 虹雫の涙。そのオリジナルの一滴よ。」
そういって。
唖然としている快斗にとそれを手渡す菫。
「― 本来、この水晶を扱えるのは。女王、もしくは宇宙の姫様しかおられないんです。
  そのために、他のものがこの力を利用するときは。
  その力を借りて、水晶から力の結晶の一部である。
  外見は虹色に輝く液体にすぎないそれを取り出して、力を使おうとするその生き物に。
  捧げるまたは、飲ませることによって。その力を発揮するんです。
  いつのころからか。水晶が涙を流すかのごとくに液体を出すのを表現して。
  涙。虹雫の涙。そう表現されてますけどね。」
そういって。
説明しているヴィーナス。
「・・・・ちょっとまってくれ。すると・・・何か?例の【ビッグジュエル】の中にある宝石が流す涙というのは・・。」
そういいつつ。
手の中にある小瓶をみてつぶやく快斗。
「ええ。この薔薇水晶の欠片でもあるあれの。力の結晶です。」
「これは、一般には、万物の霊薬。として昔から伝説化はしてるけど・・・。
    事実は、これも全ての要素が含まれているにすぎないのよ♡」
だから。
ほとんどがそのことを知らない。
これを利用した昔の人々が。
万物の霊薬として。
噂が広まっていたその背景には。
その利用方法が。
ただ、病などを治すために使われていたに過ぎないという事実。
はっきりいって、これを使えば、死人すらもよみがえらせることが可能である。
その事実が知られていないだけ。
まあ、病気程度であるならば。
この国に流れている水を飲むことでも、回復は可能であるのだが・・。
それでは、全てを清浄化してしまうがゆえに。
この国以外の汚れた大気の中にと戻った時に。
その大気にと病むことも出てくる近年の状況。
「だから、これを渡すのは。まず口が堅い存在のみ。下手に噂が広まると、面倒だからね。」
事実。
過去、その噂が広まり。
滅んだ文明も数知れず。
「それ、華南ちゃんに使ったら。残りは快斗さんがもってなさいな。
    それを使えば、欠片は、こっちに戻ってくるから。つまりは、何の力もない宝石にもどるから。」
快斗の目的。
それは、大きな宝石の中にと込められているという。
とある宝石の破壊。
あと約半年後にと迫っているボレー彗星。
その、一万年に一度起こるとされているその宝石が流すといわれている、涙を阻止すること。
「それは、あなたようにと出現させた雫であるから。
   他の人間などが、快斗さんの許可なくしては。その力を引き出すことは不可能だから♡」
にこにこにこ。
にこにこと言い切っている菫。
「・・・・・だったら、何でもっと早くにこいつにこれ・・・やらんかったんや?」
疑問を投げかけている平次。
「あらvだって、その方が楽しいじゃない♡」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
きっばりと言い切られるその言葉に。
しばし、四人は全員顔を見渡す。


「・・・・で?何につかうんだ?快斗?」
しっかりとその小瓶を握り締めている快斗に聞いている新一。
「・・・・・・・現代の科学では不可能・・といわれた。知り合いの子供を助けるためにな・・・。」
だから、どうしても。
無理をしてでも。
― そう、盗んででも。手に入れたかった。
まさか、それが。
自分が目標にしている例の宝石と。
関りがあるとは夢にも知らずに。
「でも、よくあっさりと、そんな大切なもの。あまり知らない人にほいほいとあげてもいいの?」
最もな疑問をいっている志保。
その言葉に。
「ああ。そのこと?別にそんなに彼のことは知らないってわけではないわよ♡
   だって、元を正せば。快斗さんの母親はこの国の人間だもの♡
   以前盗一さんがこの国に来た時に。セレーネの従兄弟にあたる子と恋におちてねぇ♡」
どがしゃん!
その言葉に、そのまま。
床を滑って転んでいる快斗。
「あ゛・・・・ああ・・まじかぁ!?」
そのまま、頭を抱えてうずくまる。
「盗一というと・・・。あの世界的に有名なマジシャンだった。黒羽盗一のことか?」
「・・・・たしか、約八年前に、何者かに殺された?」
平次と新一の言葉に。
「・・・・・黒羽盗一。かつての怪盗キッド。
  組織の下っ端の末端が狙っていた宝石に手を出して、組織の手がかかって命を落とした。本家の怪盗キッドね。」
淡々といっている志保。
「?何や?灰原?知ってるのか?」
問いかける新一に。
「八年前というと、私は九歳よ。そのときには、もう組織の手足となって働いていたわよ。」
組織の教育をうけ。
幼いながらに大学も組織の息がかかっているとある大学を主席で卒業した志保。
快斗は、父親を殺した奴等を突き止めるために、怪盗をしていたのに他ならない。
かつての父親と同じく。
盗一もまた。
妻から世間にそれが出回っている。
つまりは、ミドガルド王国の聖石の欠片が出回っているということを聞いて。
それが悪用される前に。
それを回収して、王国にと戻そうとしていたのであるが・・・・。
「快斗君がまだお腹にいる当時。ここに挨拶に来たこともあるしねぇ。」
しみじみいっているヴィーナス。
その言葉に。
「・・・・・ちょっとまってくれ。あんた、一体、今何歳なんや?」
そのヴィーナスの言葉に。
首をかしげる平次。
見たところ、どうみても、十九か二十歳程度にしかみえないのであるからして。
「ええと・・・・。確か、今年で五十と少しになりますわ♡」
ドッダァァァァン!
「あ、こけた♡」
にっこりというヴィーナスのその言葉に。
そのまま、仲良くひっくり返っている平次、新一、志保、快斗の姿。
その様子をにこにこと見ている菫。
「・・・・そーいえば、いってなかったですっけ?」
のんびりといっているヴィーナス。



「やれやれ・・・・。」
「人影の正体が・・・あれだとはな・・・。」
頭をかきつつ。
戻ってくる平蔵たち。
彼等が人影を追いかけて。
ようやく煙がのき。
そこに見たものは。
悪戯好きの妖精のその姿。
ここに滞在している最中。
すでに、誰でも一度はその悪戯に引っかかっているがゆえに。
今回の一件もその要請の悪戯であろう。
そう、なぜか納得しまっている彼等ではあるのだが。
そして。
「・・・・・ん?どうかしたのか?工藤君たちは?」
そこに。
床にと転がり。
ぴくぴくと痙攣している新一達をみて。
「おい、平次、こんな所で寝るとは何事だ?」
「ああ、お嬢さん?こんな所で倒れていると、風邪を引きますよ?」
目暮警部が新一の方をみてつぶやき。
平蔵が息子の姿をみていい。
小五郎が志保の姿をみて揺さぶり。


結局。
その場は。
顔色も多少わるくしつつも。
やはり悪戯であったのだと納得しつつ。
それで事なきを得てゆく。




そんなこんなで3日後の朝。
一応、予告が悪戯であったという決着をみて。
事実はそうではないのであるが。
非公式に世界が混乱しないようにと。
世界にとその勢力を伸ばしている組織が。
これ以上活動を広げないようにと、お願いを彼等にし。



「・・・・あーあ。もっとここにいたいな・・・・。」
つぶやく歩美。
「まあまあ、早く戻らないと連休、終わっちゃうよ?」
「・・・・そーね・・・・。」
そういってぼーと空をみている蘭。




「でも、あまり休んでたら!」
「大丈夫だって。蘭も先生達が俺のことでとやかくいうのを聞いてないだろ?
    何か女王の方から学校には話しがいってるらしくてさ。一応、学校にはいってないものの。
    ちゃんと、テストとかはこっちに送られてくるから。受けてるんだぜ?」
そういって。
この前行われたばかりの実力学力テストの票を見せられては・・・・。
しかも。
悔しいことに・・・。
「・・・・新一・・・あんた、順位・・上がってる・・・。」
その順位のよさに少し嫉妬する。
「いやぁ、ここの教え方よくて。スパルタ式だけどな・・・・。」
どこか遠くをみつつそういう新一の言葉に。
だから、先生達も。
長いこと休学していても、何もいわないのか。
と今更ながらに納得したのであるが・・・・。




「・・・・・・早く解決して戻ってきなさいよ・・・馬鹿新一・・・・。」
一緒には戻れないけど。余裕があれば会いにいくさ。蘭も身の回りには十分に気をつけろよ?
そういって、空港の入り口で分かれた新一のことを思いつつ。
蘭は小さくつぶやく。
「蘭姉ちぁぁぁぁん!ほら、早くしないと!おいてかれるよぉ!」
コナンの声が響いてくる。
「あ!まってよ!」
来た時同様に。
やはり。
周りには、見たことないような生き物などが多々と存在しているが。
そのまま、飛行機にと乗り込んでゆく。









はっ!
「・・・・・あれ?僕達・・・どうしてここにいるんでしょうか?」
ブブゥ・・・・。
車の中で、はっと我に戻る。
「確か、私達、今までどこかにいってなかった?」
「確か、灰原さん達に便乗して、車にと入り込んで・・・。そして、空港で・・あれ?それからどうしたっけ?」
首をかしげる。
「うーん・・・・、思い出せない・・・。確かにどこかにいってたのは確実なんだけど・・・。」
腕を組み唸る。
「・・・・どういうことだ?」
数時間もたたないうちにと。
空港にと到着し。
車にのって、帰宅の道にと着いていた阿笠博士と、灰原と。
子供達三人。
「・・・あの国は、これが当然なのよ・・・。」
噂が広まらないその現状は。
あの国のことを話して広めるような存在というか人間などは。
あの国から出ると。
約半日も立たないうちに。
国で過ごした出来事を忘れてしまうという術が掛けられているのである。
その例に漏れずに。
王国での出来事を忘れている歩美、光彦、元太の子供達三人。
阿笠の素朴な疑問に答えている哀。
その首には。
自在に姿を元に戻すことができるという、あの国でもらったペンダントが輝いている。
「まあ、とにかく、親御さん達も心配しているだろうから。 戻るぞ!」
『はぁぁぁぃ!』
ブロロロ・・・・・・。
車は静かに。
高速道路を進んでゆく。




だん!
「・・・・ですが!」
局長の机を叩いている銀蔵。
「そ・・・そうはいうがな。中森君。完全な証拠もなく警察は動けんのだよ?
   それに・・・上に行ったところ、この件に関しては。調査不要という返事が先ほどあった。」
ぎり。
「・・・・つまりは、警察の上層部にも・・・やつらの仲間がいる・・・ということですか?」
「・・・ソウかもしれんし、そうでないのかもしれん。
    まあ、正式な調査依頼でも国を通じてあったのなら。我々が動くことでもないからな。
    中森君は、今まで通りに勤務に励んでくれたまえ。」
戻るなり、所属する警察の局長に報告をし。
黒い服をきた組織のことを進言した中森警部。
だが
それは、数時間もしないうちに、【調査不要】という上からの命令。
「わかり・・・ました・・・・。」
やはり・・・。
あの国で、女王がいっていたことは・・・・。


― 警察の上層部にも組織に関っている人間、またはメンバーがいる。


事実なんだと実感し。
歯をかみ締める中森警部の姿が。
そこにはあった。



「・・・・・なるほど・・・。」
かたん。
報告をうけて。
席を立ち上がる白馬警視総監。
その太り気味なお腹をぎゅっと故意に力をいれてひっこめて。
「・・・・では、あの国の女王は・・・そういったわけだな?服部大阪本部長。」
窓に背を向けて。
そう問い返す。
報告に、警察庁本部にと出向いている服部平蔵。
「はっ。」
「・・・・ふむ、実は、その組織のことは・・・・。
   今、全世界で極秘に調査が進んでいる奴等のことだと思う・・・。」
まあ、あの探偵気取りの息子には。
危なくていえないが。
そう心でつぶやきつつ。
「ヤツラは、人の命を何とも思ってない。
   そして、奴等が関った事件は、事件にもならずに。何の証拠もなく事故として扱われる。
   どうにか尻尾を捕まえたいところではあるが・・・・。
   どうやら、奴等の協力者の中には。世界の中枢に関る大物もいるらしくてな・・・。
   それゆえに、表だって調査できないんだよ。」
調査しようとすれば必ず妨害が入り。
そして、調査結果も白。
そうなれば、いくら、警察や軍隊などとはいっても。
手出しが出来ない世界の実情。
そして。
くるりとムキを変えて。
「まあそういうことで、極秘に調べるのはかまわんが・・・・・。
   いいか?殺されるなよ?服部君?君は警察にとって、無くてはならない、人材なんだからね?」
「はっ!肝に命じておきます!」
敬礼する平蔵の姿が。
警察庁本部の軽視総監室にて見られていた。





「オー、ビューティーガール、毛利さん、どこにいってたのですかぁ?何か先生とあうの久しぶりなのですぅ!」
「おや、奇遇だね。」
ぎゅ。
デパートで、偶然に英語の新任教師。
ジョディともう一人に出会っている蘭たち。
王国から戻り。とりあえず、そのまま、デパートで食事を。
済ませてもどろうということで意見がまとまり。
こうしてやってきているのであるが・・・・。
・・・・・なるほど。
下手な振りしている日本語か・・・・。
確かにかなり下手だよな。
それをみて苦笑しているコナン。
「あっれぇ?ジョディ先生こそどうしたの?」
さりげなく蘭をジョディから引き離す。
「ちっちっちっ。先生は人とまちあわせでぇす♡」
そういって、指を振る。


ガタン!
がくがくがく・・・。
三人を家にと送り届け。
折角だからと、食事にと入ったとあるデパート。
その視界の先で・・・・。
ど・・・・どうして、あの人が・・・ここにいるの!?
がくがくと膝が震える。
顔は違うが気配で分かる。
その手の感覚がなくなってきていたように感じていたが。
あの王国に行ってから、その感覚は取り戻しているのは王国を出てすぐに気付いた。
「・・・・・・ベルモッド・・・・。」
「ん?どうかしたのか?哀君?」
がくがくと膝が震える・・・が。
 いや、それよりも前にやることがある。
―そう。
彼等は、自分の幼いときの姿を知っているのだからして。
「・・・博士・・協力してくれない?」
震える声で声を乾かせて哀がつぶやく。




ドン!
「・・・きゃ!?」
「あ・・ごめんなさ・・・い!?」
後ろから一人の女性が蘭にとぶつかり。
振り向いたその直後に。
顔色を変え。
ダダダダ!
そのまま、一気に走り出す。
「・・・オー、ノー!?」
「危ないよ!?」
・・・・シェリー!!!
医師の瞳が怪しく光る。
そんな医師の表情が変わったのに気づいていながらも、平常を保っているジョディ。
ムキを変えて走り去るその女性は。
赤みがかった茶髪の女性。
ドン!
「こらぁ!どこみてあるいてるのよぉ!」
走り去るその先に。
一人の女性とぶつかりながら。
「ご・・・ごめんなさい!急いでいるんです!」
それだけいって、全力で走り抜けてゆく。
「・・・・オー、鈴木さん!?」
「あれぇ?ジョディ先生に蘭じゃない。それに、コナン君も。今そこで阿笠博士と哀ちゃんもいたわよ?」
・・・・どういうこと?
シェリーは鈴木さんに姿を変えて学校に通っているもの。
とばかり思ってたけど・・・。
そう思考は巡るが。
おお、ごめんなさいね!先生、用事を思い出したわ!」
そんなジョディの言葉と。
そして。
「あ、そういえば、僕も用事が…」
などといっている医師。
そういって。
その場から、素早く立ち去ってゆく。
蘭たちの目からは見えないが。
その目は獲物を見つけたするどい目。
ダッ!
人ごみに姿を紛らせて。
その、ドサクサに紛れ。
ジョディが追いかけてくる気配を感じ取り。
そのまま。
フッ・・・。
角を曲がったその直後。
志保の姿は掻き消えてゆく。
事実は、ジョディはベルモットではないのではあるが。
だが、志保は勘違いをしているがゆえに、ジョディのみにターゲットを定めてゆく。


「・・・・ちっ・・・・逃げたわね・・・・。シェリー・・・。」
姿を見られたとすれば。
もうこの街にはいなくなるかもしれないわね・・・。
そうはき捨てつつ。
悔しそうにと言い放つとある医師の姿が。
デパートの一角で見受けられていたのは、哀は知るはずもないこと。

「おや?コナン君に蘭君じゃないか。こんな所で会うなんて奇遇じゃな?」
立ち止まり志保を追いかけようとしていたジョディの目に。
阿笠博士と。
その横に。
赤みがかった茶髪の少女の姿が視界に入る。
が。
そのかなり先には、今だにダッシュで逃げている志保の姿も捉えられる。
やはり、優先を志保にと定め。
その場から立ち去っているジョディの姿。
彼女は哀が何らかの、何か鍵になる人物ではないか?と思っているがゆえに。


「・・・・おい、どういうことだよ?灰原?」
哀が貰った能力を使い、自分を二人にと分けているのは。
すぐにわかった・・・が。
「・・・・気をつけるのね・・・・あれ・・・ベルモッドよ・・・・。」
声をかすれさせつつ。
つぶやく哀。
「わかってるよ。というか、クリス・ヴィンヤード。
  アメリカのムービースター。・・・・コードネームがベルモッドっていうのか・・・。」
「・・・・そーいうこと・・・(汗)
   とにかく・・・私と志保が別人だって・・・あいつらに思わせないと・・・。
   私の幼少期のこの顔・・組織の誰もが知ってるからね・・・。」
小声で話しているコナンと哀。
そして。
「・・・博士・・・・私何か気分悪い・・・。食事はいいから・・・戻りましょ・・・。」
ぎゅ。
阿笠の服のすそを掴む。
「おお、そりゃいかん。じゃあな。蘭君。コナン君。」
そういって。
足早にと立ち去る阿笠の姿。


あとには。
「まあ、よくわからんが。食事をして戻るぞ!蘭!コナン!」
一人平和な小五郎の姿がそこにはあった。



ガタガタガタ・・・・・・。
震えが止まらない・・・・・。
「・・・・どうしたんじゃ?哀君?」
そんな後部席に座っている哀を気遣っている阿笠。
「・・・・ベルモッドが・・この街に・・・怖い・・・。」
ぎゅ。
貰っているこの能力で。
どこまで奴等をごまかせるのか。
裏切り者の結末は。
伊達に十七年、組織の中で育っているわけではない。
家に戻るなり。
しばらく、部屋にと閉じこもる哀の姿がしばらく見受けられていた。


全ての関係者と時間を巻き込んで。
今、物語は新たな道を進んでゆく・・・・。


                                   -エピローグへ―

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     あとがき:
         姫:・・・・というか、今原作では・・・・。
           志保がベルモッドに姿を見られて。
           ジンに写真を取られているんじゃ・・・。
         薫:・・・・それは言わないでください・・・・。
           まあ、いまだに連載されている名探偵コナン。
           連載最中に菫ちやん乱入として創ってるこの話ですから・・・・。
         姫:たしか、ジョディとかが出てくる前に創ってたやつは・・・。
           私がいきなりコナンのクラスに転入する話が始めだったわよねぇ・・。
         薫:・・・ぎくぎくぎく!(滝汗)
            で・・・ですから、気に入った話には・・・全て乱入話を・・。
            創る癖(?)があるんですよ・・・。(実話)
         姫:・・・ま、いーけど・・・。
           それで?私の活躍は♡
         薫:・・・・ぎくぅ!そ・・・・それでは!
         姫:あ!待ちなさい!!
 
 
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