虹雫の涙  第2話  ~ 事は動き出す・・~


コッコッコッ・・・・。
廊下に響き渡る足音。
コッ。
磨き上げられた廊下の床に、歩いている人物の姿が映し出されている。
顔の口の上のひげが結構似合っているその男性。
黒い服に身をつつみ。

そして。
目的のドアの前にて立ち止まる。
コンコンコン。
そのまま、姿勢をただし、扉をノックする。
「・・入りたまえ。」
扉の中から聞こえてくる声。
「失礼したします。」
頭を下げ。
扉のドアノブを開ける。

壁には、様々な肖像画。
それと、棚の上に並ぶトロフィー。
ふかふかのじゅうたんが、その部屋には敷き詰められている。
彼が頭をさげつつ、部屋の中に入ると。
そこにいたのは、二名。
一人は、この部屋の主であり。
そして、もう一人は・・。
「失礼したします。大阪府警、本部長。服部平蔵。お呼びにより参上したしました。」
ぴしっ。
目の前の二人に敬礼を送る。
「よくきましたね。まあ、かけなさい。」
「・・はっ・・(汗)」
警視局長長官。
大臣も兼任していたりするが。
女性ながらに切れ者。と、市民の間でも、支持率が高い女性。
長い髪をきりっと。
みつあみにして、後ろで束ねている。
その言葉に、内心冷や汗かきつつも。
局長室の居間に。
進められるまま、その椅子にと腰をかける。
「実は、内々に呼んだのは、他でもない。これは、総理、直々の依頼でもあるからな・・。」
目配せしている警視庁刑事局長長官。
「・・は・(汗)」
内々に伝達があったのは先日のこと。
「一応、専属部署である。彼にもその旨は伝えている。彼と、一緒にいってもらうことになるのだが・・。」
窓の外をみつつ。
いう警察庁のすべての総責任者である彼女の言葉に。
「それは、もう。こちらは願ってもないことです。」
汗をハンカチでぬぐいつつ、いう平蔵の言葉に。
「表向きは、あくまでも、バカンスで通してくれ。国際問題に発展しかねないからな。」
「・・はっ(汗)」
しかし、どうやって、そこにいくのか。
「詳しくは・・彼女に聞いてくれ。」
いって。
横の扉をみる局長。
その扉の先には。
コッ。
「それでは、私から、説明させていただきます。」
身長160より少し上。
茶色の髪をポニーテールにしている女性が出てくる。
カッ。
その少し高さがあるハイヒールが、彼女の脚線美をさらに美しく奏でているが。
そんな一人の女性が言葉を発しつつ、扉から出てくる。
「紹介しておこう。かの国から今回の件でこられている。ジュピター殿。詳しくは彼女から聞くように。」
「始めまして。ジュピターと申します。今回は、無茶なお願いとは存じますが。
  何とも、主の命ですので。ご足労頂きたく存じます。」
にっこり。
笑う彼女に。
「い・・いえ。こちらこそ。」
そう答えるしかない平蔵であった。


「失礼したします。お呼びと伺ったのですが・・。」
部屋に入ると。
「ま、かけたまえ。」
「・・はっ。」
いきなり、上層部から呼び出しがかかった。
何ごとかとおもいつつ。
すぐにこの場にやってきた彼。
警視庁、捜査二課警部。
中森銀蔵。
目の前にいるのは、警視局長。
この警視庁の中で、一番偉い人物である。
「君を呼んだのは、他でもない。・・・・じつは。ある王国に、予告状が届いたらしくてな。
   何しろ、ことは、国際問題にもなりかねん。そちらの国から、専属刑事である貴殿の名前が挙げられた。」
「・・・・は?」
「これが、その予告状のコピーだそうだ。」

ぴっ。

掲げられる小さな紙。

― 王国に伝わるという『虹雫の涙』某日に拝領しに参上する。怪盗キッド ―

「・・・こ・・これは!!?」
コピーされた紙を。
わなわなとつかんでいる中森警部。
「そう。あの怪盗キッドから、予告状がかの国に届いたそうだ。これは、国際問題だ。
  いまだに、あの国とは国交は開いているものの。交流はほとんどあの国は持っていない。
  何しろ、入るのすら難しいとされている伝説の国だ。
  それで、あの怪盗キッドの専属である、中森警部。貴殿に護衛にいってもらいたい。」
「それは・・キッドからみなら、何処にでも私はいきます!」
「それは頼もしいな。実は、あちらからの依頼には。もう二名、使命があった。
  一人は、大阪府警本部長。そして・・もう一人は・・。」
警視局長の口から。
残りの一人の名前が滑り出されてゆく。


「阿笠博士ですね?」 
ピンポーン。
チャイムの音がして出てみると。
そこにいたのは、黒い髪を肩まで伸ばしている少女。
歳のころは、十四程度か。
「いかにも・・そうじゃが?」
はて??
こんな子に知り合い・・いたっけ?
「わが女王からの手紙、とどいたでしょうか?お返事を頂きたいのですが♡」
にっこり。
その場で笑いかける。
「・・な゛!?おお、あれか!?」
朝方、届いていた手紙を思い出す。
「わたくし、阿笠博士たちの案内役を仰せつかりました。サターンと申します。」
黒い髪と黒い瞳が印象的。
「い・・いや、案内役って・・。 儂はそんなに有名とも思えんのじゃが?」
博士の言葉に。
「というか、女王は、博士と、そこの哀さんをお招きしたいようですわ。
  ・・一応、我が国とは間接的であるにせよ、関りがありますし。ね。宮野さん・・いえ、シェリーさん?」
「・・・・!!!!!!!!?」
博士の後ろにいた哀が、思わず身構える。
「くすくすくす。ご安心ください。私は組織のものではありません。
   というか、あの組織には、わが国も困っております。それは、貴女がよく知っておられるのでは?」
にっこり。
そう笑いかけられて、図星を言われると言葉もない。
「哀君?」
その場に固まっている哀を心配して、声をかけている阿笠博士。
シェリー。
それは、哀の・・・宮野志保が組織にいたときのコードネーム。
「・・・薬・・・の件・・・ね・・。」
アポトキシン4869。
それが志保が開発していた薬の名称。
なぜに、4869なのか。
それだけ失敗が半世紀前から繰り返されてきた証拠。
元々は、毒薬として創ったわけではない。
人が望んでやまない、究極の薬。
その開発をしていたはず・・であったのだが。
あとくされの残らない、毒薬として組織で使われていたりする。
中には。
本来の働きというか目的どおりに、幼児化した二名もいたりするのだが。
志保・・哀は、その中の一人。
「はい♡来て、いただけますよね?」
にこにこというサターンに。
「・・博士、もしかしたら、例の薬のことが何かわかるかもしれない。」
哀がつつく。
「あ・・ああ。というか哀君?この人、君が抜けた組織のことを知っているようだが・・大丈夫なのかい?」
組織を抜けた哀が命を狙われている。
というのは、博士もよくわかっている。
「大丈夫よ。それに、この人、ミドガルド王国の人でしょ?」
「はい♡あ、もしよろしければ、他の方々も誘ってもかまいませんよ?」
サターンがにこにこという。
「いや・・誘うとは・・一体?」
「専属チャーター機で。あなた方には、王国に招待いたします。
  他にも、招待している方々がおりますので♡その全員一緒に♡」
博士の質問に。
にっこりと笑って、サターンは答えていた。


 コンコンコン。
「はぁぁぁい。」
カチャ。
「あの、こちら、毛利探偵事務所でよろしいのですよね?」
帽子を深くかぶっている女性がいってくる。
「はい。そうですけど。お父さぁん、お客さんよぉ!」
対応に出た蘭が、奥にいる小五郎にと呼びかける。
依頼人か・・。
コナンは入ってくる二名の女性をみつつ。
そっと心でつぶやく。

「どうぞ。」
ソファーに座った依頼人に、蘭がお茶を差し出す。
「どうも。それで、あの、今朝方出していました。手紙、読んでいただけましたでしょうか?」
ぱさり。
帽子を脱ぎ去ると。
そこから。
金色の髪が流れ落ちてゆく。
後ろのリボンがチャームポイントとなっているその髪形。
そして。
もう一人も帽子を脱ぐと。
水色の髪のショートカットが表れる。
「改めまして、ご挨拶させていただきます。私、ミドガルド王国、女王親衛隊、ヴィーナスと申します。」
「同じく、私は、マーキュリーと申します。」
『な゛!!!!』
思わず、コナン、蘭、小五郎。
三人の声が一致する。
「実は、こうしてお願いに上がったのは。
  先日、わが国に、この国の怪盗からの予告状が届きまして・・。そのご依頼なのですが・・。」
にっこりと。
ヴィーナスの口から。
依頼内容が語られてゆく・・・。


「分かりました!その依頼、受けましょう!」
何といっても、バカンス。という名目で。
しかも費用はすべてあちらもち。
かなりおいしい依頼である。
「それでは、3日後。成田空港、特別発着口にて、お待ちしております。」
 
にこ。
頭を下げて。
毛利探偵事務所をでてゆく二人。
「あ、僕、飴玉あげるわね。」
いって、コナンに飴玉を渡しているマーキュリー。
「あ・・ありがとう。」
そのアメを受け取り一応お礼をいう。 
はは・・・。
アメもらって喜ぶ歳じゃないっていうの・・。
ま、仕方ないけどな・・・・。


部屋に戻り。
とりあえず、折角だし。
というので、ランドセルを背負いつつ。
「・・はは。高校二年にもなって、またランドセルだもんな・・。」
ぼやいているコナン。
本当は、今、17歳なのに。
薬のせいで、今、6つくらいの姿になっているのだから仕方ない。
かさ。
「現直しにアメでも食べるか…」
などとつぶやきつつ、飴玉を開くと。
「・・あれ?何かかいて・・?」
アメを包んでいる紙に、何かが書かれている。
というか、包装してある袋の中に、
分からないように、さらにその下の紙に。
上からは、見えないように。


かさかさかさ。


「・・・・・な゛!!?」


思わず。
その書かれている内容をみて、言葉をとぎらせる。


― 拝啓:工藤新一様。
      ミドガルド王国にて、ご依頼したい件あり。例の組織のことにて。
   セレーネ=エターニナル。 ―

アメの中に入っていた紙には。
コナンが新一だとわかっていて書かれている依頼の言葉。
「・・・・例の組織って・・黒づくめの!」
ぐしゃ。
そのまま、紙を丸めて。
ポケットの中に入っていたライターで火をつける。
こんなのが蘭の目に入ったら。
どうなることか・・・。
 
 「・・俺の正体が・・ばれてる?」
ふと。
今朝方の夢を思い出す。
「・・はは。ま、あそこの王国は、何があっても本当、不思議じゃないか・・。」

昔。
蘭と両親とでいったことがある。
一言でいえば。
常識はずれもいいとこの国であった。
各世界と積極的に交流も持たないわけも。
一度いっている彼だからこそ理解ができる。
・・してはいけないのだ・・と。
してもいいが、そうしたら。
根本的に、人類は、どこかできっと間違いなく過ちを犯すであろう。
古今東西。
今も昔も。
人は・・不老不死。
不老長寿にあこがれているのだからして・・・。


「ええええええ!!!!灰原さん、旅行にいくのぉ!?この連休にぃ!?いいな、いいなぁぁ!」
学校にて。
歩美がかなりうらやましがっている。
「・・なんだ、灰原、お前もか?」
コナンの言葉に。
「あら、江戸川君も?」
冷ややかに問いかける哀。
「ああ。今朝、おっちゃんのところに依頼人が来てな。蘭と俺と、おっちゃんとで。いくことになっている。」 
コナンの言葉に。
「ずっるぅぅぅぅぃぃぃぃい!!」
いまだにわめいている歩美。


ちょいちょい。 
「なあ、灰原、お前、ミドガルド王国・・知ってるのか?」
耳元で哀にのみ聞こえるようにひそひそと話しているコナン。
「知ってるわよ。ある意味、組織と間接的に関りがあるわよ。
  といっても、あっちが勝手にあの国のことを参考にしているだけで。
  誰もまだあの国にはたどりつけてもいないけどね。」
くす。
少し苦笑する。
一年に数回以上。
組織の人間をその国に送り込もうとして。
半世紀以上。
一度も成功していなかったりするのだからして。
「・・・俺が新一だって・・ばれてるようなんだが・・。」
「・・・・うそ・・(汗)こっちもばれたわよ・・私が組織の一員だったって・・。」
互いに顔を見合わせて。
「・・・何かあるな。」
「何かあるわね・・。油断は禁物よ、工藤君。」
「ああ、わかってるさ。」

ひそひそひそ。
そんな会話をしている二人とは別に。
こちらでは、三人組みが話し合っている。
「・・じゃ、博士の車の後ろに・・。」
「両親には、キャンプにいくっていっておきましょぅ!」
「異議なし!」
悪巧みの相談が。
進行していっていたりするのは…哀やコナンは気づいてはいない。


3日後。
大型連休。
丸々一週間と二日。
ゴールデンウィークとは別に。
このほど、政府が作った国民のための休日期間である。
その始まりの初日。

「ほら、お父さん、はやくぅ!」
「まてまて!」
カチャ。 
「どうぞ。お待ち申しておりました。」
「すっごぉぉぃ!リムジンよ!リムジン!」
カチャリと。
探偵事務所の前に止まっているのは、かなり大きなリムジン車。
お出迎えである。


「用意はいいの?」
「おう!」
プスススッ・・・。



「・・・・・・博士、どうする?」
「何がだ?」
哀がバックミラーをみつつ。
ため息一つ。
『ばぁ!!』
「うわぁぁあ!?」
阿笠博士の言葉と同時に。
後部座席の荷物を覆っていたシートの中から三人組が出現する。
高速道路で、博士の運転する車が。
一瞬の間、かなりよろめいていた。


「いいの!?お父さん!?本当に!?」
「すいません。叔父さん。俺まで。」
「青子のたっての願いだしな。」
タクシーの中で会話をしている三人。
バカンスということで。
というので。
カモフラージュのために娘と。
あと、同じマジックをするということで、何か参考になればと快斗を誘ったのだが。
これがまた。
快斗の方にも。
まったく別の依頼として。
国民にマジックを見せてあげて欲しい。
と、あの国から依頼がいっていたりする。
何でも、昔、彼の父親が。
かの国でマジックショーをやったことがあるらしく。
そのつながりでの依頼であるようなのだが。
ちょうどいいので。
三人で。
成田空港特別発着口にと向かってゆく。


                      -続くー

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まえがき:
  こんにちわ♪
  というわけで、第二話です♪
  始めのほうはごちゃごちゃしてますが・・。
  ま、了解くださいな♪(こらまてぃ!)
  んでは♪

 ちなみに、これ、海藤勇馬さんの『乾燥剤』に押し付けてあります♪
  姫:まったく・・・。
    押し付け小説・・・。
    何本抱える気?
    私のでてくるあの小説はどうなったの?
  薫:・・ひ・・・ひゃぃぃ!!!!(滝汗)
    そ・・それでは!!

注記:この、姫と呼んでいるのは。
     『スレイヤーズ』の中にでてくる。
     すべての混沌の源、すべての混沌を抱擁している存在。
     金色の王(ロードオブナイトメア)と別次元(?)の存在であります。
     私の持ちキャラ。
     通称、『宇宙の姫(ユニバース・オブ・ザ・プリンセス』です。
     設定は、この世界は、すみれちゃん(偽名の一つ)が作り出している世界の中の一つ。
     といった形にしています・・・・。
     (簡単にいえば、宇宙空間の暗い部分、あれを創り出している、または、あれそのものの存在です)
     んではでは・・・。
 
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あとがき:
    次回、ようやく、全員が飛行機の中で集合です♪
    新一・・・快斗が、キッドだと、見抜きますがね(まて!)
    現行犯でないと、捕まえないというか、黙っている。
    という親切な部分が・・・・・うまく表現できるかな? 
    ではでは・・・・。


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