まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
久方ぶりにパソになれがてらに(W10)打ち込みです。
が、もう一つのほうをラストまで打ち込みしてるせいなのか、脳内引き出しがなかなかに(汗
ひとまず、流れをつかむべく、誤字脱字訂正かね修正しつつ続きを打ち込みなのです。
しかし、ずっともう一つのほうを打ち込みしてたせいなのか、
そっちと脳内展開フィルターが混合してたり。
なので改めてさらっと全体的に見直しての打ち込みです。
あ、こっちのほうは、ロイドの母親とか、そのあたりはやってなくて、
基本的にゲーム原作通りだったんだった、と改めて確認。
……変なところで打ち込み私とめてたんだなぁ…と改めて認識中……
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永きにわたり、大いなる実りの中でずっとマナを感じていた。
自身もかつて国々で研究されていた人工精霊に近くなっている、というのはわかっていた。
古には大精霊たちに及ばないまでも、属性を使用できる人工精霊が生み出されたこともある、という。
たわいのない日常の会話にて、センチュリオン・アクアよりそのことは知っていた。
で、あるならば。
自分にもマナを操ることができるはず。
でも、そのままでは不可能というのもわかっている。
あくまでもこの種子は精霊ラタトスクの管理下にある、というのも理解していた。
だからこそ。
他者…それも、どの理にもどうやら当てはまっていない”狭間の存在”に名をつけてもらうことによって、
無垢なる種子から芽吹いた”芽”に強制的に”精霊の楔”の契約を生みこんだ。
これで自分にもこの”苗木”が制御できる。
そのはず、なのに。
なぜにマナがほぼ感じられないのか。
それとも、まだ幼い苗木だからこそなのか。
たぶん、そう、なのだろう。
でもこれで、人ではなくなってしまいはしたが、世界のことは自分たち”人”がどうにかできるはず。
いつかマナがたまれば、新たな精霊もきっと生み出すことができるはず。
あまたといたはずの少女たちの魂の思念が感じられないということは、
すなわち、正しく大樹の種子が発芽した、という証拠のはず。
ゆえに、今はマナが感じられなくても間違いなくこの苗木はマナをうみだしていけるはず。
新たなマナにより精霊を生み出せば、かの精霊たちも当初の予定通り新たな世界に進めるはず、なのだから――
光と闇の協奏曲 ~世界樹と説明されたもの~
「あれは……姉様?いや…違う?」
世界を一つにするために”エターナルソード”を使用した。
そこまではわかっている。
光につつまれ、気が付いたときには自分のみがこの場所にいた。
見覚えのありすぎる空間。
しかしそれ以上に、天井というか空中に映し出されている光景に戸惑わずにはいられない。
映像越しでもわかる。
あれは姉は姉でも、何かが違う、と。
それに。
「……どうして……どういうこと!?ラタトクス!?」
あろうことか、新たに芽吹いた大樹の苗木によりにもよって、ヒトに名をつけさせた。
精霊にかかわる、というか世界に少なからずかかわるものに新たに名をつける、ということは、
新たな”名”でもって、その”存在”を縛る、ということに他ならない。
姉であるマーテルがそのことを知らないはずがない。
むしろよくしっているはず。
なのに。
おもわず、ばっと背後を振り返る。
見覚えのある巨大な扉。
セフィロト・ツリーともいわれている文様が描かれている巨大な扉。
その前に玉座のごとくに多少空中にういている一つの椅子。
人が一人座るには大きいのではないか、とおもわれるその細かな細工が施された椅子に座りしは、
「みての通り、だな。ミトス、お前は我の試練を理由はどうあれ成し遂げた。
だが、マーテルは考えが足りず、試練を突破しきれなかったようだな。
自分で種子…否、大樹が制御できるもの、とての行動だ。
人としてヒトができることはヒトの手で。とおもう気持ちは間違いではないが。
強大なる力も自分ならばどうにかなる、という思い上がりこそが間違いの源。
ときづかなかった果ての行動だな。あれは」
マーテルがそこまで深く考えていない、というのはわかっている。
わかっているのは、自分ならばどうにかなる。
という楽観的というかどこにも根拠もない思い込み。
その一転につきる。
名を呼ばれ、それでも映像にミトスとしてはくぎ付けにならざるを得ない。
どうして自分がここ、”ギンヌンカ゜・ガップ”にいるのか。
間違いなくここは、”そう”のはず。
映像をみているラタトスクの姿は、今は”エミル”としての姿ではない。
長い不可思議な色彩を放つ銀色の髪に、同じような色彩の貫頭衣にも近しい光沢のある服。
金色の瞳の中の紅き瞳孔が、しずかに一度閉じられミトスにむけて淡々と語られる。
ミトスはこの姿に見覚えがある。
ラタトスクが基本的に人間に近しい姿をとるときに利用しているという、精霊体そのもの。
オリジンたちがそれぞれに”姿”があるように、ラタトスクにも”それ”がある。
最も、ラタトスクに関してのみは、さまざまな姿をその場の状況次第でかえているらしい、が。
「種子の内部に残していたマーテル自らの魂と、タバサという自動機械に入り込んでいた魂。
そして長きにわたって種子の中に蓄積されていたあまたの少女たちの念。
アレは純粋に何の含みもない”感情”に応じて発芽するようには代えてはいたが。
ロイド達の思いよりもマーテルのほうの思念のほうが勝った結果だな。
最も…我が手を出していなければあれはどうになっていたか、考えるまでもないがな」
自分が目覚めていなければ。
そして、種子の中に自らの力の欠片をいれ、ある程度種子にたまった穢れを浄化、転換していなければ。
そして、ミトス。
間違いなくロイド達に討たれることを選んでいたであろうことは容易に予測がつく。
たまりにたまった少女たちの思念体。
望むものは新たに転換させているからこそ、マーテルはまだあの程度ですんでいる。
何も対策をしていなければ、もっと本格的にマーテルの魂ごと変わってしまっていたであろう。
「……まあ、結果はともあれ、お前たちはこれで、種子を発芽させる。
という我との盟約も果たした、と一応はいえる。
あの新しく名をつけられて、大樹カーラーンとは変わってしまったあの”木”は
今後楔として存在することとなる。
あの木が枯れたとき、今度こそ、地表はすべて洗い流され新たな”時”を迎えるであろう」
そこまでいって、かるく手をすっと振るとともに、空中に浮かんでいた映像がふいっと掻き消える。
「さて…ミトスよ。お前のみをここに呼んだのは一応、新たな理を教えておくためだ」
「…新たな…理?」
そういわれ、ミトスは一瞬戸惑うものの、はっとしたような表情となる。
つまり、それが意味することは……
「……マナを制限、もしくは感じ取れなくするの?」
いつだったか、かつてこの場所にやってきたとき。
会話の中でそんな話がでたことがあった。
この場所はかつても今もまったくもって変わらない。
まるで時が止まった空間のごとく。
そうミトスには感じられてしまう。
それほどまでに、かつての当時とまったくもってかわりがない。
あるとすれば、背後にある扉のセフィロトツリーの文様にそれぞれ宝玉らしきものがはめ込まれており、
淡い輝きを放っている、ということくらいか。
「そうだ。どちらにしてもテセアラとシルヴァラント。
あまりにもマナを利用した技術の落差が激しすぎる。
であるならば、そこからまちがいなく愚かなる人は争いに発展するからな。
ゆえに、マナを制限する。何、シルヴァラント側でできていたことだ。
最も、豊かさに慣れた人間たちはそう簡単に認めようとはしないだろうがな」
あくまでも豊かさを求める結果、再び争いを起こし、芽吹いた木をからしてしまえば、
それこそ今いる地上の人々にはもはや救いはなかった、そういうことなのだろう。
「アレが無事に成長すればアレが多少なりとも生み出すマナにより、
新たなるマナをもってして”力”を扱うことも可能となるだろうが。
さて、ミトスよ。お前と交わした盟約は一応これで果たされたこととなるわけだが。
――お前はどうする?すでに新たな理はひきおえた。
お前たちのいう”天使化”しているものも”寿命”というものを設定している。
最も、我の加護を授けているお前たちはソレから今は外れているがな。
お前はどうする?このまま”新たな種族”の”ヒト”として寿命を全うしつつ生きるのか。
それとも――」
それは問いかけ。
ミトスの答えによっては、ミトス達三人の寿命もまた、他の天使化している存在と同一にする。
そのための問いかけ。
天使化しているものたちの寿命は約千年から二千年程度に抑えてある。
あまりに長き”命”も、時とともに愚かな考えに至ることが多いゆえに。
「――僕は……」
この世界の現状を生み出してしまったのは自分。
本当ならば、自分が世界の敵、となることで人々をまとめよう、とおもっていた。
しかしその行為が地表の人々に理解されなければ、また真実が伝えられなければ意味がない。
すくなくとも、自分が命をかけようとした意味がなくなってしまう。
だからこそ、ミトスは一瞬、言葉につまる。
「今後、お前たちの元に我ら精霊が姿を現すことはまずありえない。
世界の状況次第、ではあるがな。地表は表面上はマナを必要としない世界となった。
そうみえるであろう。つまるところ、人々はマナを扱えなくなる。
――お前たちがエクスフィアと呼びし精霊石とて同じこと。
お前たちには使用どころか触れることもできなるなる。
もともと、地表に降り立ったデリス・カーラーンの民は力を放棄する、
という約束のもと、地表に降り立っているゆえに、その”盟約”を強制的に実行させたにすぎぬ」
それでも、自然の心さえ感じ取れるようになれば、自然の力を借りうけることは”可能”といえる。
だがしかし、今の人々が、力でもってしておさえつけようとしかしない人々がそんな考えに至る、
ともおもえない。
「……君の加護をうけている以上、僕らにはその”寿命の理”は今のところ関係ないんだよね?」
「”今”のところはな。お前の意見を一応聞いてからのほうがいいとおもってな」
……お前、絶対に我がそのようにすれば、しつこいほどにまた意見をいいにこよう。
とするのが目に見えていたからな」
だからこそ、ミトスだけこの場に呼んだ。
かつてのようにしつこいほどにこの地にやってこられては面倒極まりない。
侵入できないようにしても、ミトスのこと。
しつこいほどにあきらめる、ということはしないはず。
ラタトスクの言葉をうけ、ミトスは静かに目を閉じる。
地表はこれから混乱を極めるであろう。
姿、形、あり方はかわってしまった姉。
でもそこに、姉の魂は確かに存在している。
かつての姉では間違いなくないのであろう。
自分がラタトスクに協力を求めていれば、姉は姉のままでいたのかもしれない。
でもそれは、今、だからこそいえること。
その可能性を却下していたのはほかならぬミトス自身。
「――僕は、いや、僕らは混乱するであろう地表を今後見守り、
また、あの新しい”木”を見守っていく。
愚かな人間たちがまた新たに争いを起こさないように――」
少なくとも、あの新しい”苗木”がしっかりと大地に根を張り多少のことでは枯れない。
そうおもえるその時までは――
見渡す限りの海原。
そんな海原の中に揺らめくように浮いている緑の大地。
大地の下には木の根らしきものがびっしりと敷き詰められ、
それらの大地すべてを包み込むようにして存在している。
そしてそれらの根はゆらゆらと、海面にと浮いている。
そんな中にいくつかの光の柱のようなものが空にむけて立ち上っており、
きらきらと太陽の光を反射してきらめいている。
よくよくみれば、それが単なる光ではなく、水の幕が柱のようになっている、というのが見て取れる。
パシャン、と水がはじける音がする。
きゃっ、キャッ、という小さな子供の声がふたつ。
海面の地上に立ちつつも、小さな二人の子供が水を手ですくっては遊んでいるのが見て取れる。
それは見ていてとても微笑ましい光景。
その足元の海面がどうみても底が見えないくらいに深くみえる、という点以外では。
だがそれは当たり前のこと。
「ほっほっほっ。新たな同胞は元気じゃのぅ」
そんな光景を微笑ましくみている白いひげを生やした男性がそんな二人の子供をみつつも、
目を細め、そんなことをいっている。
「僕たちが生み出されたころのことを思い出すよね。あの子たちみてると」
そんな男性の横では羽の生えた小さな三人の少女らしき人物が空中にふわふわと浮かんだまま、
同じく子供たちの様子をみながらそんなことをぽつり、と漏らす。
それははるかなる過去の記憶であり、すべての彼らにとっての始まりの記憶。
「それで、地上のほうはどんな様子じゃった?」
つい先刻の今である。
いまだ人々は違いに違和感を感じている程度であろう。
最も、常にマナを身近に感じていた存在達はかなり驚愕しているであろうが。
「テセアラ領のほうはまえもって動力源となる精霊石がことごとくなくなっていたからね。
マナを直接動力源にしていたさまざまな機械も動かなくなってはいるけど。
まだ、単なる故障、としかみられてないみたい」
いまだ、人々は魔物とよばれし存在達の姿が完全に認識できなくなった。
そのことにすらまだ気が付いていない。
魔物たちは基本、ある意味でマナを調停する役目をおっているがゆえに、マナがより濃いい。
人々がマナを認識できなくなったと同時に、魔物たちもまた認識できなくなっている。
最も、一応は、他社と契約などを交わしている一部の魔物たちに関しては、
温情、として認識の存続を許されてはいるようだが。
それもそう長くは続かない。
そういった通達は受けている。
「さて、人間たちはどんな道をたどることやら」
シルヴァラント領に住んでいたものたちはあまりかわらないであろう。
かわるとすれば、これまで魔物などを利用した生活をしていた存在達くらい。
もしくは、魔物を狩るなどして生計を立てていたものたち。
だが、テセアラ領に住まいしものたちは違う。
基本的に彼らは道具を…マナを無駄に利用した道具をつかうことになれきっている。
一部の存在などは無駄に使い捨てるというのすら当たり前になっていたほどに。
豊かさに慣れたものが突如としての豊かさを傍受できない、とわかればどうなるのか。
行き着く先は目に見えている。
今の地上がかつての大地のように、単なる地殻の一部となり果てるか。
それは、今をいきる人間たちの行動次第、といってよい。
すでに自分たち精霊はこの界へと移動になっている。
本来あるべき大地より遠く離れた、といっても一応は惑星内部にとあたるこの場所。
地表から約五、六十KMほど離れた位置に創造られたこの場所は
すっぽりとこの惑星そのものを覆いつくしている。
人々が認識できなくても、この場所にこの”界”が存在する以上、
万が一にも人類などが惑星外に飛び立とうとした場合、
この空間を抜け切るときはかなりの負担がかかるであろう。
かつて、今の人間たちが古代大戦と呼んでいたよりもはるかに以前の時代。
一時、人類が天空を飛び交う乗り物を開発していたときに言われていたのは、
この場所あたりの上空域を含めた特定の範囲を”大気圏”とそう呼んでいた。
かつてこの惑星の人類は惑星外にまで飛び出す技術をもっていたという。
ある程度の範囲以上はマナが保てなくなる、という理が引かれていたがゆえ、
この大地に降り立たデリス・カーラーンの民の子孫たちはそこまで到達してはいないが。
それでも成層圏、とかつて呼ばれていたという高度くらいまでは到達していた。
マナから原子へ。
マナ、という純粋な力でなく、調べようとおもえば調べられる自らがつかさどりし”力”。
人間たちがどんな”道”をたどるのかは、それは今後の人々次第――
「……おかしいわ」
深い霧をぬけた先。
周囲の光景には見覚えがない。
でも、それ以上に、”何か”が違う。
思わず、眉を顰め、ついつい無意識のうちに言葉がでてしまう。
「…姉さん……どういう…こと?何で?どうして?……マナが……」
ロイドが新たに名付けた、世界樹ユグドラシル。
新たによみがえったはずの大樹カーラーンの新たなる若木。
なのに、どうして。
マナがまったく感じられない。
あれほど身近にあったマナの恩恵がまったくもって感じられない。
さきほどまであった大地の揺らぎはもう起こっていない。
世界は確かに統合された、のであろう。
実際に確認していないが、世界が光に包まれたのは事実。
ふと、空をみあげてみれば、あれほど覆いつくすようにあった赤身を帯びた紫がかったもの。
すなわち、彗星デリス・カーラーンの姿はみあたらない。
それどころか空は完全にと澄み渡っている。
まるで、そう。
つい先刻までの光景が嘘のように。
「……あれは何でしょう?」
ふと、プレセアが上空をみつつ、とある一点を指し示す。
時刻は夕刻に近いらしく、天空は夕焼け色にと染まっている。
薄い雲が静かに流れ、太陽は西にと傾いている。
プレセアが指し示したそこに、空に浮かんでいる何か、がみてとれる。
時間と季節的に月であろうことは間違いない。
ないが。
なぜそこに、見慣れた月一つではなく、色の異なる、そして多少大きさもことなる、
同じような球体もまたみられるのだろうか。
それとも、アレがこの惑星から離れていった彗星だ、とでもいうのだろうか。
何もかもがわからない。
わからないことすぎる。
ふと背後をみれば、そこには深い霧と、霧の中に森のようなものがみうけられる。
その背後と左右には山らしきものも。
「わからないわ。……とにかく、いきましょう。ウィングパックは……」
ふとおもい、懐にあるウィングパックを起動する。
「きゃっ!?」
起動した直後、ウィングパックが果てしなく熱く感じ、思わずそれを手落としてしまう。
地面に落ちるとともに、ウィングパックは一瞬の光を帯びたのち、
なぜか大気に掻き消えるようにときえてゆく。
光がおさまったあとには、内部にいれていたはずのレアバードが数機。
「…ダメだ。燃料が完全にゼロになってる」
マナの残滓を示すメーターが完全にとゼロになっている。
リフィルがじっと自らの両手をみつめている中、
しいなが出現したレアバードを確認し、
燃料がゼロになっていることを皆にもわかるようにと誰にともなく言い放つ。
そんな中。
「……少し、これをみてちょうだい」
いって、リフィルがすっと片手を差し出す。
リフィルが差し出した手。
その手の甲には、ロイドが手直しをした要の紋、とよばれる希少な金属がつけられている。
だが、その要の紋の中心にあるべき石…エクスフィアが見当たらない。
「…え?…えええ!?僕のもない!?」
「あたしもだ……」
「…ない…です」
「……母…さん?」
リフィルの言葉をきっかけに、それぞれ身に着けていたエクスフィアを確認する。
だが確認するまでもなく。
ジーニアスもまた手につけていたはずのエクスフィアがきえており、
プレセアは胸元につけられていた石が、石のみきれいに消えている。
あれほど嫌悪していたはずなのに。
いざなくなっている、と気づけば途端に不安になってくる。
ロイドなどは、幾度もごしごしと目をこすっては、手の甲を確認し、
要の紋の中心に見慣れた赤い石がなくなっているのを改めて認識するとともに、
突如として。
「何で、どうして、母さんの…っ」
あからさまにその場にてうろたえ始める。
かつて、その石を投げ捨てようとしたことがあるとは思えないほどの狼狽ぶり。
「えっと…私の石はあるけど…でも、この石、何かこれまでとは…違う?
ゼロスのほうは?」
一方で、コレットもまた自分の胸元についているはずのクルシスの輝石、
とよばれし、ハイエクスフィアともよばれる石に片手をあてつつも、
これまでとは何かが違う感覚を何となくだが直感的に感じ取る。
「たぶんだけど、違うな。
何となく勘だけど、世界が一つになったことによって、
エクスフィアの中にいた”何か”が解き放たれたことが原因じゃあねえのか?」
何となく勘ではあるが、以前、エミルとした会話を思い出す。
マナが認識できるがゆえに過ちを犯す、そういった会話をトリエット砂漠のオアシスにて、
ゼロスはエミルと会話を交わしたことがある。
認識をかえるなり何なりする、という意見をいったのはゼロスなれど。
あの時のエミルの口ぶりから察するに、間違いなくあの時、
いや、それ以前から何らかの対処を考えられていた可能性もある。
そこから考えられるに世界が一つになるとともに何らかの処置が大樹の精霊ラタトスクにより施された。
そうみてまず間違いないであろう。
妹セレスに石を預けていたとはいえ、年月でいえばコレットよりもゼロスのほうが石との付き合いは長い。
だからこそ、これまでの”クルシスの輝石”とは異なる、というのが直感でわかる。
どうやら自分とコレット、二人のみが”石”としての形を残しているらしい。
「うわ!?ロイド、何やってるのさ!?」
ふとみれば、ロイドがいきなり服を脱ぎだそうとしているのをあわててジーニアスが止めている。
「だって…母さんの形見が!!」
「……ほんっと、ロイド君は不足の事態に対する態勢がないねぇ~」
どうやら形見でもある石を探すべく、いきなり服を脱ぎだそうとしているらしい。
そんなロイドをみて、ゼロスがやれやれ、とばかりに口にする。
ゼロスの視線の先では、ロイドが服をぬぎ、バサバサしたのち、
ついにはズボンにまで手をかけようとしてるのがみてとれる。
クラトスが実の父親、と分かったときにしてもしかり。
どうもロイドは他人のことならば、対外のことはさらり、と受け入れるが、
自分自身にそのような想定外のことが降りかかったとき、
受け入れることができずに狼狽する傾向がある、とつくづくゼロスは思う。
それはあるいみで致命的。
もっと簡単にいえば、小さな子供が物事を受け入れることができずに癇癪などを起こすようなもの。
子供というものは、いや、大人にもいえることではあるが、
自分と異なる”何か”を他者にみつけた場合、受け入れるか、それとも排除するか。
表面上は何事もないようにふるまうか。
そのどれかに当てはまる。
そして、自分自身にその”何か”が降りかかった場合、自分なりに納得し受け入れるか、
それとも受け入れられずに反発するか、もしくはうろたえ、さらに何かにその憤りをぶつけるか。
「それにしても……しいな、気づいてるか?」
「ああ。……魔物の姿が全く見えないね」
襲ってこないにしても、どこかに一体くらいは常に魔物らしき姿がみえていた。
が、森…どうやらあの若木が芽吹いた場所はどこかの森、の中であったらしい。
ともあれ背後の森を抜ける間も、森からでてもまったく魔物のマ、の字もみあたらない。
ゼロスにもしいなにもマナを直接感じ取ることはできない。
が、これまでとは何がか違う。
そう、何かが。
静か。
そう、大地が静かすぎる。
よくよく考えれば、森をでるまで動物の姿もまったくみなかったような。
さらにいえば小さな虫などもまったくもってみていない。
この付近がどのあたりになるのかもわからない。
そもそも、これまでの認識が今では通用しないはず。
世界は一つになったはず。
はず、というのは確実に確かめていないがゆえ。
だが、たしかに世界は本来あるべく姿にと戻ったのであろう。
ミトスがこの場にいないのもきになるが、おそらくかの精霊が確実にかかわっている。
永きにわたり、世界を二つに分けていたであろう当事者。
そんな彼、ミトスに状況の何の説明もなされない、というのはありえないゆえ。
最も、何の情報もなしに、未知なる世界に放り出される、という可能性も否定できないが。
実際、今の自分たちがまさにその状態。
これまで認識していた地理はあてにならない。
「しいな。念のため、海とか湖とかあったらエレメンタルカーゴを出してみてくれ。
レアバードのこともある。アレもまた利用できなくなっている可能性が高い」
かの乗り物も、土、そして水のマナを利用して動く。
もしもゼロスの勘が正しければ、まちがいなくかの乗りものも使用できなくなっているはず。
「あ、ああ」
しいなもまた、何となく嫌な予感がしてゼロスの言葉に重々しくうなづく。
「とりあえず、いきましょう。ここがどのあたりなのか、今の地上がどうなっているのか。
何もわからないけども、少なくとも、どこか町、もしくは村にたどりつければいいんだけど……」
そんな中、リフィルがロイドとジーニアスのやり取りをみながらも、
深く、それこそ深いほどにため息をついたのち、
手をかるく、パンパン、とたたきつも全員を見渡しいってくる。
エクスフィアが消えたことはきにはなる。
以前、リーガルのいっていた、各地でエクスフィアが消えている現象が起こっている。
その現象が自分たちにも襲い掛かった。
そうみてほぼ間違いない。
それ以上に気になるのは、マナがまったく感じられない、ということ。
マナが感じられないのに大地は存続し、自然も確かにここにある。
だとすれば。
可能性としてエルフの血族もまた、ヒト、と同じようにマナを感じ取ることができなくなった。
そんな思いがふとリフィルの脳裏に浮かぶ。
レアバードがない以上、移動手段は徒歩となる。
――Go To Next
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あとがきもどき:
~簡単大気圏内部説明~
~大気圏の特徴~
大気圏とは地球をとりまく大気の層。(地上から百Kmくらいまでのこと)
大気は四層構造をしており、
下から”対流圏””成層圏””中間圏””熱圏”と名付けられている
大気圏の外側は、一般に宇宙空間、いわゆる宇宙と呼ばれている
下記、簡単内訳:
〇外気圏〇
高度約八百Km以上。ほぼ真空
※資料によっては五百kmもあり
〇熱圏〇
高度約八十~八百Kmまでの範囲
高度四百kで千℃
それ以上の高度となると二千℃にまで達することも
また、スペースシャトルや宇宙ステーションが飛行している圏内
〇中間圏〇
高度約五十~八十Kmまでの範囲
中間層上限においてはマイナス92,5℃とかなりの低温の箇所も
〇成層圏〇
高度約十二Kmから約五十Kmの範囲
〇対流圏〇
いわば、地表付近
高度約十kmまでをいう
~~~~
薫:
2019年9月日()某日
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