まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ようやくあと少しで大樹暴走シーン。
打ち込みやってて、あのシーン、いろいろと候補がでてきていますが(まて)
どれにするかここまできてようやくかたまってきたり。
他作品ではそれを利用してさくって大樹復活させてたりしてますがね(苦笑)
ともあれ、いっきますv
あとがきに別話10在り(トリエット遺跡)
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「…ようやく積年の思いを果たした」
だというのに、なぜだろう。
この晴れない想いは。
「…リーガルさんはこれからどうするのですか?」
その想いはプレセアも同じこと。
それゆえに気になってしまう。
妹を実質的に殺したのは目の前のリーガルなれど、その原因となったのはあのヴァーリ。
そして、教皇。
「我が復讐に付き合ってくれたロイド達の為にも、アリシアの為にも。
  クルシス妥当に協力する。私の力は微々たるものでしかないがな」
「そうですね…ヴァーリを倒して、それで全てが終わったわけではないですね」
それは自分自身にも語りかける問いかけ。
「…むしろ、始まりなのかもしれぬな」
「始まり?」
「過去から未来へ目を向けるための始まりだ」
それはプレセアにいったものでもあり、またリーガル自身に言い聞かせているものでもある。
いつまでも過去に捕われているわけにはいかない。
だけども、ふんぎりがつかないのも、また事実。
他人にいうことにより、自分自身に言い聞かせているにすぎない。
それに、何よりも、クルシスがある限り、
また同じような被害者が増えてゆくのは目にみえている。
今は、その根源を断ちきる、それを目下の目的にすべきなのだ。
全てはそれから。
何がおこるかわからないが、すくなくとも、今のままでは停滞するばかり、なのだから。

光と闇の協奏曲 ~教皇~

ゼロスがききだした、という場所は、予想外といえば予想外で、
納得がいくといえば納得のいく場所。
マーテル教会の一番奥に位置しているとある部屋。
そこはここ、マーテル教会の教皇の部屋だ、という。
ひとまず城に侵入するのを後まわしにし、マーテル教会へ。
と。
「あれは……」
ふとみおぼえのある人物が城の方からあるいてくるのがみてとれる。
「クラトス・・・・あいつ、何で城から……」
なぜかみおぼえのある紅き髪。
ロイド達もよくしっている人物…クラトスが城のほうからでてくるのを目の当たりにし、戸惑いの声をあげるロイド。
「さあな。どうでもいいじゃん。あんなやつ」
そんなロイドにたいし、ゼロスがぶっきらぼうに言い放ち、
「それに、あいつの奇行は今に始まったことじゃないだろ?」
つうか、あいつ息子をストーカーしてるし。
そういいかけてその言葉をどうにかのみこむ。
事実、ストーカー、という以外にないとおもう。
どうでもいいが変なところで親ばか根性を発揮しまくっている、とおもうのは、
おそらくゼロスの気のせいではないであろう。
…どうやら他のものたちは気づいていないようだが。
エミルは気づいているそぶりはあるが無視していることからほうっておいても問題ない、
ととらえているのか、それとも自分には関係ない、とおもっているのか。
その想いはゼロスにはわからない。
「そんなわけにはいかないだろ。王様がクルシスと手を組んだりしたら大変じゃねぇか。
  あいつをおいかけよう!」
そうはいうが、その国王そのものが今はふせっている、というのを完全に失念していないか。
というよりは目先のことに捕われてその肝心なことをすっかり綺麗に忘れているらしい。
それにきづきゼロスはただただため息をつかざるをえない。
みればリフィル達も同じおもいらしく、盛大にため息をつき、
リフィルなどはこめかみに手をあてておもいっきり息を吐き出しているのだが。
そんなリフィルの様子にロイドは気づくこともなく、そのまま停止の声もそのままに走り出す。
「…はん。仕方ないやつだなぁ。君子あやうきに近寄らずって言葉をしらねぇのかよ」
ゼロスがそういうが、すでにロイドは駆けだしたあと。
「…あの子はいつもいつも感情のままに動くからね。…この旅ですこしは見直されたとはおもったけど」
そういうリフィルも頭がいたい。
どうも後先考えずに行動する、その悪い癖がロイドはいまだになおらない。
なおりそうにない。
その都度反省はしているようではあるが、それをいかせなければ意味がない。
「では、神木はたしかに。町の外へ運んでおきます」
「クラトス!」
何やら神官らしき人物とはなしているクラトスにたいし、いきなり声をかけているロイド。
「…こんな場所で戦うつもりか?」
クラトスの名をよびつつも、剣に手をかけていれば意味がない。
というよりここが王都、しかも城の前、というのをわかっていないのか。
とおもい思わずコメカミに手をあててしまうクラトス。
もしもここで抜刀すれば、確実にロイドは不穏因子、もしくは罪人、として捉えられるであろう。
どうやらそれすらロイドは理解していないらしい。
ぐっ。
クラトスにいわれ、剣に手をかけていたが何とかおしとどめ、
「クラトス。今、神木ってきこえた。神木を何につかうんだ」
気になったのは、相手が神木といっていたこと。
たしか以前にプレセアにクラトスがプレセアにきいていたような気もしなくもない。
「お前達が知る必要はない」
そんなロイドの言葉をぴしゃり、と遮る。
「…神木は、通常の薪の数倍以上の火で燃えるそうです」
プレセアがぽつり、といい。
「まさか…アイオトニスを溶かすのかしら?」
通常以上の熱が必要になるもの、といえばそれくらいしかおもいつかない。
それゆえにリフィルが警戒をしつつもといかけるが、
「?」
ロイドは意味がわかっていないらしく首をかしげるのみ。
「アイオ…なんかきいたような気がするんだが?」
「アイオニトスは空想の鉱石、といわれているものよ。
  もっとも、デリス・カーラーンでとれる、ともいわれているけども」
ロイドの疑問にリフィルが答える。
もっとも、このリフィルの説明でもロイドは理解していない。
「そうだな。そういわれているな」
「もったいぶった言い回しじゃねえか。って、まてよ!」
そういうなり、そのまますたすたとロイド達の横をすりぬけようとするクラトスにたいし、
再びロイドが声をあらげる。
「どけ」
「まてっていってるだろ!」
「…時間がたてばたつほど取り返しのつかないことになる。お前達、精霊との契約はやめておくのだな」
「な!」
それだけいいすて、そのままその場を走り去るようにたちさってゆくクラトスの姿。
そんなクラトスの姿を見送りつつ、
「あいつ…何かんがえてるんだかわかんねぇぇ!」
やめておけ、というばかりで実力行使にでるわけでもなく。
だからこそロイドの叫びもわからなくはないが、
「…とりあえず、とっとと今、俺様達がすべきことをしようぜ?」
「今回はゼロスの意見にあたしも賛成だよ」
たしかに、教皇をおいつめるあるいみ絶好の機会、といえるであろう。
何しろ、国王を毒殺しようとしたのは、これで二度目、なのだから。
懲りない、というのはまさにあのような男のことをいうのかもしれない。
あるいみ、こりない、という面ではくちなわと似たりよったり、なのかもしれない。
周囲を巻き込んででも、自分が正しい、とおもいし歪んだ行動を実行している。
という点に関してはたしかに教皇とくちなわは似た存在同士、といえるであろう。

「遅かったではないか!」
扉をあけるなり、教皇らしきどなり声があびせられる。
「そりゃどうも。失敬」
教皇からしてみれば招かざれるものの声をきき、おもわずふりむく。
てっきり、毒を受け取りにいっていた部下がもどったとおもったのに。
なぜにここに神子や、シルヴァランドの野蛮人達がいるのだろう。
それが意味することは、すなわちこのたびの計画もまた発覚してしまったということ。
「くっ…お、お前達、どうしてここに……」
しかしまだ、発覚した、とはかぎらない。
むしろ、とんでひにいる夏の虫ともいえるかもしれない。
ここにいるものたちは、ほとんど自らの命令には逆らえないのだから。
「あんたに聞きたいことがあるんだよ」
「陛下に毒をもっているな?」
ゼロスとリーガルの声が交互に発せられるが、
「知らんな」
そんな彼らのことばをさらり、ときってすてる教皇の姿。
「本当につらの皮が厚いなぁ」
呆れたようにそんな教皇をみてゼロスがいうが、まあそれは今に始まったことではないこともゼロスは知っている。
「解毒薬はないのか?」
リーガルに問いかけにも教皇は無言を押し通す。
「じゃあ、この薬はあなたに呑んでもらいましょう。
  どうせすぐきく薬ではないようだし、いいわよね」
にっこりとほほ笑み、リフィルが薬壜をみせてつめよりはじめる。
どうやら本気らしいことを察しし、
「わ、わかった!机の引き出しの中だ!引き出しの中にある!」
正確にいえば解毒、というよりは中和薬、なのだが。
この薬には完全なる解毒、という効果をもつ物質はいまだに発見されていない。
解毒薬、とはいっていないので嘘はいっていない。
そう、嘘は。
コレットがすぐさまに教皇の横にある机の引き出しをしらべ、
毒のはいっているのと同じような壜を発見し、
「ありました~」
それを手にとり、そのままそれをロイドの手へ。
「僕もあんたに聞きたいことがあったんだ。どうしてケイトさんを処刑しようとしたの?
  あんたの娘なんでしょ!?」
「う…うるさい!子供に何がわかる!お前に何がわかる!」
「わかんないよ!わかんないからきいてるんだ!ばっかじゃないの!」
「そうか、ケイトが脱獄したのもお前達の仕業か!おかげでわしの面目はまるつぶれだ!」
処刑しようとしてむかった兵士がいないのにきづき、騒ぎになっているのも事実。
「ハーフエルフの娘をもつあんたがどうして。率先してハーフエルフを虐げるようなきまりをつくったんだ?」
そういえば、とおもう。
ハーフエルフを差別する決まりをつくったのは目の前にいるこの男だ、と。
だからこそ疑問に思い、ロイドは問いかける。
ロイドの問いかけにようやくジーニアス…目の前のハーフエルフの子供のいいたいことを察知したらしく、
「ハーフエルフか…わしだって。若いころはハーフエルフを虐げる制度は間違っている。そう考えていた」
そう吐き捨てるようにいい、それでもどこか遠くをみるようにいいつつ、そして、きっとロイド達をにらむ。
「だったらなぜですか?教会は全ての人々に救いの手を差し伸べるためにあるのでしょう?」
コレットはそう習っている。
少なくとも、そのように習い、そしてそのために神子の命がマナに変換される必要がある、と。
そんなコレットの言葉をかるく鼻で笑い飛ばし、
「はっ。そんなもの…お前達にわかるか?
  自分だけが老いていき、同じ血が流れているはずの子供は老いることがないという恐怖が!」
教皇の芽はぎらぎらと異様な光をはなっている。
「そんなのケイトさんのせいじゃない!」
そんな彼の言葉にジーニアスが叫ぶ。
そう、誰のせいでもない。
誰かのせい、というのならば異なる寿命をもつエルフの間に子をつくった自己責任。
「ハーフエルフはそのような生き物であろう。おぬしとてわかっていたであろうに」
教皇、という立場、否、脅威的に出世していった彼ならばそれくらいわかっていたはずである。
なのに今さら何をいっているのだろうか、ともおもう。
ならば、子などつくらねばよかったのである。
子供に罪はない、のだから。
責任は全て親にあるといってよい。
子は産まれてくる親を選べないのだから。
「そうとも。だから奴らはうとまれる。わしは自分の娘がハーフエルタだからこそ。
  だからこそ虐げるものの気持ちが理解できる。おそろしいのだよ!娘が!」
そんな彼の言葉にかっとなり、
「ならなんだって子供なんてつくったんだよ!」
おもわずしいなが叫ぶ。
ならば、子供などつくならければ、エルフと関係をもたなければよかった。
わかっていたはずなのに、しかしその結果に自らの責任もおえない。
何とも情けないを通り越して人として間違っている、とおもう。
もしくは、自分のように親の手からはなし、育ての親に託すかどうかすれば、
そのような思いも抱かなかったであろうに。
しいなの場合はまあ、イガグリがみつなければ、そのまま死んでいた可能性がはるかに高いが。
自分の娘がおそろしい。
そういう男の気持ちがロイドにはわからない。
わかりたくもない。
どうして同じ血をもっている家族だ、というのに、そんな思いになるのかすらもわからない。
と。
リィン。
机の上にあったスズのようなものをさっと隙をみててにとりおもいっきりならす。
「今、兵士を呼んだ。ここで神子が死ねば教会は名実ともにわしの配下となる」
笑みをたたえていいはなつそんな教皇の台詞に、
「神子なしでマーテル教会を保てるものか」
教会は、神子があってこそといえる。
天使の、天界の神子がいるからこそ天の加護がある、そう民には信じられている。
それがたとえ偽りの真実だ、としても、である。
「ふん。セレスがおるわ!」
「…やっぱりな。妹を巻き込むつもりだったか。このひひじじいめ!」
ゼロスの屋敷にてまだ滞在しているゼロスの妹。
何でもとある修道院に本来はいるべき立場、の人物らしいが。
まあ、いきなり闘技場に乱入してきたときはロイドとしてはたまげたが。
「神子がいけないのだ!お前のようないいかげんな男がなぜ神子なのだ!
  お前さえ…お前さえいなければ!
  私のハーフエルフ追放計画を邪魔するものはいなくなったのに!」
吐き捨てるようにいいはなつ教皇。
そんな教皇の言葉をききつつ、
「…人間は、どうして僕達を邪魔にするの…」
好きで狭間のものに産まれたわけではない。
両親が異なる種族同士であいしあい、結ばれた結果産まれた結果だ、というのに。
「異端のものは排除される。それが世を平和にたもつすべだ」
そして力なきものも。
それが彼の持論。
「ふざけるな!ハーフエルフだろうが何だろうが、この世に産まれてきたかぎり、
  誰だっていきてていいんだ!」
ロイドがいらいらとしつつもおもわず叫ぶ。
さっきから聞いていれば好き勝手なことばかり。
まるでハーフエルフだけが悪い、といわんばかりの言葉。
この世界に産まれてきた以上、生きる権利はあるはず、だというのに。
なのに勝手な思いで排除しようとしているのがきにくわない。
そう、それはまるでディザイアン達が自分達をエクスフィアの苗床にしているかのような。
かなり大声をだしていたからであろう。
物音、というかベルの音をききつけてなのか、数名の兵士達が部屋にとなだれこんでくる。
「み、神子!すいませんがごかくごを!」
震える声で兵士の一人がいってくる。
どうでもいいが手にしている武器が震えているのがみてとれる。
彼らとてわかっている。
神子に武器をむけること。
それすなわち、天界に武器をむけることと同意語であることから、天罰が下るのではないか。
と。
だからといって教皇に命じられた以上、また教皇が強制的ではあるにしろ、
神子捕獲の手配書をだしている以上、法をまもるもまた彼ら兵士の仕事。
ゼロス達がなだれこんできた兵士達に囲まれると同時、部屋に元々つくられていたのであろう、
壁にとある本棚の一部の本をかるく押し出し、それとともに壁に隠し通路が出現する。
そのままその隠し通路にと走り込んでゆく教皇の姿。
「おいおいおい。このままじゃ、教皇ににげられちまうぜ」
「私がはらいます」
おっかなびっくり囲ってこようとする兵士達にむけ、プレセアが大斧をふりかぶる。
それとともに一定の距離をたもつ兵士達。
が、そんな隙にどうやら教皇は完全に逃げおおせてしまったらしい。
気配が近くに感じられない。
「ご、ごかくごを!」
「きゃっ!」
『!!??』
剣をつきつけられ、コレットが驚きおもわずその場にしりもちをつく。
それとともに、ふとしたはずみでコレットの背に羽が出現する。
「ひ…ひぃぃ!天使だ!天使が降臨した!」
「ああ、やはり!神子様に武器をむけたから!スピリチュアの再臨だ!」
何やら兵士達の驚愕は真にせまっている。
全員顔色がわるいのはおそらくロイド達の気のせいではないであろう。
ピン。
兵士達の様子とコレットの今の姿。
それゆえにすばやく思考をめぐらせ、あることをおもいつく。
そのまま、
「みろ。お前達の神をも畏れぬ行為がクルシスからの使いをもたらしたのだぞ!」
これ幸いと、否、それみたことか、とばかりに高々にいいつのる。
そんなゼロスの言葉に、これでもか、というほどに目をみひらく兵士達。
「神子!で、ではやはり!」
すでに兵士達は武器をそのまま床の上におきそれぞれがひれ伏している状態と成り果てている。
コレット達はこの現状が理解できない。
状況を理解できないロイド達をそのまま無視し、
「そう。彼女こそ、死と破壊の天使、スピリチュアの再来だ!」
「お、御許しを!天使様!」
「ひぃぃぃ!」
兵士達の前ではふわふわとうかんでいるコレットの姿。
真実、羽が生えて浮かんでいるその様は、あきらかに、
マーテル教会が伝えている天使の姿。
それこそ、神子の…クルシスの使いの姿に他ならない。
薄く輝く羽、それがクルシスの使いの証、ともいえる。
マーテル教会の教本にものっている天使の羽の絵姿とコレットのそれはまったく同じもの。
だからこそ兵士達はやはり、という思いからもはやもう恐怖以外の何ものでもない。
神子を手配したときかされたそのときから、またかつてのようなことになるのでは。
という思いは誰の心にもあったのもまた事実。
ゆえにこのような状況になりえるかもしれない、とおもっていたがゆえに恐怖は捨てきれない。
伝説の通りならば、神子に仇なした自分達の行く末はなきに等しい。
「あ、あの?えっと…どうしよう?」
状況がつかめずコレットが思わずつぶやくが、
「おい。どうなってるんだ?」
ロイドもまた理解ができない。
「いいから、俺様に調子をあわせろ」
そんなロイド達に小声でゼロスは指示をだし、そして。
「天使様、このものたちの処遇はいかがいたしましょう」
うやうやしくもコレットにたいし、まるで眼上のものにかたりかけるようにとといかける。
ようやくここにきてゼロスのやりたいことが多少なりとも理解できたらしく、
「コレット、殺すっていえ」
コレットに小声で指示をだす。
コレットの聴覚はいまだに敏感なままで、小さな声でも捉えられるとわかっているがゆえのロイドの指示。
「で、でも」
「いいから。おもいっきりえらそうにな」
ロイドがそういうのなら何か意味があるのかな?
そうおもい。
「えっと。死になさい」
「ひぃぃぃぃぃぃ!お、御許しを、御許しぉお!!」
もはやもう先ほどまでの脅威はどこにやら。
彼ら兵士としても自分達の命があんな教皇の行動でうばわれたくはない。
肝心なる要のその教皇はすでに自分だけ安全な場所に逃げていってしまっている。
伝承のとおりならば、自分達だけでなく、国そのものも消滅の危機が今ここにある。
「天使様。彼らの命、この神子に免じてお助けくださいませ。
  私は天使様に仇なすものを倒し、再び神子としてマーテル様の教えを広めていきますので、どうか」
芝居がかってゼロスの行動は芝居と見破れないほどにさまになっている。
おそらく、この場に第三者がいればこの茶番劇にすっかりとだまされるであろう。
何しろかつて神子に仇なした結果、この国に悲劇が襲いかかった事実があるのだから。
「許すっていってやれ。コレット」
再び小声でのロイドの指示。
「あ、はい。ゆるしましょう」
コレットの台詞はほぼボウヨミなのだが、それに兵士達はきづかない。
気づくことができない。
人間、だれしも命の危険がせまっているときにそんな違和感などを気にかけるはずもない。
「きいたな!天使様は、神子こそ教会の聖なる意識だと認識された!
  即刻引き返し、我にあだなす教皇とその私兵。
  教皇に加担したものたちを捕らえるのだ!」
「わ、わかりました!」
「それと、神子とその仲間達の手配は即刻撤回せよ!」
「か、かならず!皆!神子の命令に従うのだ!」
兵士達は床に再びひれふし、それからあわてたように部屋から駆けだしてゆく。
しばしそんな兵士達の様子を唖然と見送ったのち、
「すご~い。皆ゼロスのいうことをきいたよ!」
自分が何かをした、という認識がないコレットが驚いたようにといってくる。
「ふむ。スピリチュア伝説に助けられたな」
それはここテセアラにすんでいるものならば誰でもしっている伝説。
だからこそのリーガルのつぶやき。
「ゼロス。今、スピリチュアといったけど。シルヴァランドの神子スピリチュアと関係があるのかしら?」
リフィルが同じ名だ、ということに対し疑問におもう。
どうもシルヴァランドとここテセアラではスピリチュアに対する扱いと認識が異なるらしい。
「さあな。詳しい話しは教会の資料でもよんどくれ。
  とにかく、スピリチュアは神子をないがしろにした国王を殺して、
  そして当時の神子を救ったことで有名なんだ」
「ふ~ん。なんだか今の状況ににてるね」
ゼロスの説明に疑問はあるが、しかしたしかに、今まさに、コレット。
すなわちシルヴァランドの神子コレットの手により危機が回避されたのもまた事実。
ロイド達はあまり認識していなかったが、どうやら教皇は、
神子ゼロスとともにシルヴァランドの一行にも手配書をかけていた、らしい。
ゼロスやジーニアス達の会話をききつつも、
「これでもう、追われることはないんでしょうか?」
ぼつり、とプレセアがつぶやく。
「教会関係者は大丈夫だろう。あとは陛下だな」
「とりあえず、毒を盛られていたことだけは伝えないといけなくないか?」
リーガルにつづきロイドがつぶやく。
「ロイドって、ときどきまともな意見をいうよね」
「ときどきってどういういみだよ!」
それまで何ともいえない空気であったというのに、
ジーニアスの言葉とロイドの突っ込みにより、空気が一瞬なごむ。
「とにかく、今度はどうどうと正面から城にいこうぜ」
ゼロスのいい分にも一理ある。
ともあれ、一行は再び今度は正面から城へと向かうことに。



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あとがきもどき:
薫:中途半端なところで区切らないとかなり長くなる可能性が…
  なので、短いのでまたまた別話しをのせときます……
とりあえず、またまた別話、ついに10目…トリエット遺跡さんです。


「もともと、トリエットの街はここから南西の方向にあったのよ 
  以前の再生まではね。そのときの神子が儀式をおこなった際に、
  火のマナが精霊とともに解放されたのでオアシスは蒸発してしまったのだ。
  という伝説がのこっているわ。これは授業でも触れたことがあったわよね」
「イフリートの業火による消失だね」
ジーニアスが優等生らしくすらすらとこたえる。
「じゃあ、旧トリエット跡っていうのは昔のトリエットの残骸ってことか」
ロイドがそういうと、
「遺跡といってちょうだい」
すばやく訂正をいれているリフィル。
「イフリートの業火……」
そういえば、たしか少しまえにイフリートが負に侵されかけたことがあったはず。
すぐにイグニスをもちい、ついでにゲーテをひっぱりだしてそれを治めたが。
念のためにソルムをもちい、かの地の保護をも強化した。
朝食時にリフィルから語られたこのあたりの歴史の復習。
朝食をたべてすぐに宿をたったのは、少しでも吹雪にならないうちに、
天候がおちついている間にたどりついたほうがいだろう、という意見から。

「神子はともかく、世界救済の旅をおこなっている一行にはみえんな」
「まだ、ロイドとジーニアスのことを認めていないのかしら?」
「世界の運命を担うには若すぎる。彼らに救済の旅の責任を負い切れるかな。
  エミルは記憶を取り戻す旅だ、ときいているが。思いださないほうがいいこともあるかもしれん。
  あの子が本当に魔物使いの系統ならば、それを狙われて記憶を失ったともかんがえられる」
「…そうね。あの子の能力は欲にかられたものならば手がでるほどほしいでしょうしね。
  でもそんなことをしたら魔物達がだまってないわよ。絶対に。
  今までも山賊とかが外でおそってこようとしたことがあったみたいだけど、
  あの子達のところにたどりつくまで魔物達がかってに倒していたみたいですもの」
「・・・・・・・・・・・」
「それに、私もエルフとはいえ小さな村の教師。あなたはお金で働く傭兵。
  そういう意味では私たちも世界救済という大業は荷がかちすぎているのではなくて?」
「ふ…確かにな……」

真っ白でどこまでもつづく元、砂漠…雪砂漠とでもいうべきか。
とにかく真っ白な景色の中をひたすらあるくことしばし。
やがて真っ白な雪の中にちらほらと黒いもの…古い建物の柱や土台…
全部が石造りでどうみても人工物としかみえないそれらが…白い雪の中からのぞいている。
そんなかつての建造物が雪の中にみえかくれする中をすすむことしばし、
やがてほとんどの部分が雪にうもれた神殿らしきものの前にとたどりつく。
「ここが、封印…なのかなぁ?」
コレットが首をかしげる。
「疲れたぁ……エミルの魔物達による暖房がなけりゃ挫折してたぞ、これ……」
ロイドだけは別の意味で疲れているようだが。
「うん。間違いないとおもうよ?…マナを感じるもの。おしせよてくる感じ。だけども…何か?」
普通、ではない。
マナはたしかに濃い、が何かが狂っている。
「すばらしい!!みろ!この扉!まわりの岩とは明かに性質がちがう!ふふ。くく…くははははははは!」
いきなりリフィルが別人のように高笑いしはじめる。
「おおお!これは古代大戦時に魔術障壁として開発されたカーボネイドだな!
  みろ!その特徴的な性能をもってして雪がこれにはかぶさってない!
  石の性質上、よけいなものをしりぞける効果があるからだ!
  ああ、このすべらかな肌触り・・み、みごとだ!」
リフィルはその場にはいつくばり、そこにほおずりしなでまわす。
周囲は雪におおわれているというのにたしかにそこだけぽっかりと黒い石がみえている。
雪がつもった形跡もない。
それは石の性質で雪がつもってもとけるがゆえ。
「…先生。村にいるときと全然違う……」
ロイドが茫然とつぶやき
「え?先生の家で遺跡関連の話しをするときいつもこんなだよ?」
「…村でも家にいるときはエミルのいうとおりいつもこうだったよ……」
きょとん、としたようにいうエミルと疲れたようにいうジーニアス。
「…いつも、こうなのか?」
こくり、とうなづくエミルとジーニアス。
「……」
クラトスはそんなリフィルの姿をみて盛大にため息をついていたりする。
「む?!これは、このくぼみは神託の石板とかいてあるな。コレット、ここに手をあててみろ!
  これで扉が開くはずだ」
「は、はい!あれ?うちの紋章がある?」
「ほんとかよ?」
「これは神子を識別するための魔術がほどこされた石板だ。間違いない」
コレットがおそるおそるリフィルに示されたくぼみに手をのせると、
ゴゴゴ…音とともに横のカーボネイドが横にずれその下にぽっかりとした階段が出現する。
「ふむ。神子に反応するようにしてつくられているらしいな」
一人何やら感心しているリフィルに、
「ひらきました~。・・・すごい!何だか私本当に神子みたいです」
一人はしゃいでいるコレット。
「みたい、じゃないでしょ。神子なんでしょ。も~……」
「よ~し。わくわくしてきたぞ。とにかく、寒いし、はやく中にはいろうぜ!」
「…その集中力がつづけばいいがな……」
むかしからかなりこの子はあきっぽかった。
それが改善されていればいいが、とは親ゆえの心配。
いいつつも、そのままロイドは遺跡の中へ。
「ノイシュ。お前もだ」
「く~ん…」
「外でまってて吹雪にでもなったらお前でも大変だからな。中ならそんな心配ないだろ」
たしかにロイドのいうとおり。
それに何より今の状態で魔物がこわい、いうことはありえない。
「大丈夫だよ。始めの部屋には気配ないから」
事実、始めの部屋には魔物の気配はない。
ノイシュはそこでまっていればいいとおもう。
そんなエミルの言葉に納得したのかノイシュもまた階段にと足をかけてゆく。

「うぎゃ~!遺跡の中まで完全にこおってるよ!」
「でも、外より温いよね~」
「雪の中が温かいと同じ現象がおこっているようだな。しかし石までこう氷つくとは……」
階段をおりきると、周囲の壁がうっすらと凍っているのが嫌でもわかる。
ひんやりとした空気だというのに外よりこころなしか暖かい。
「きゅ~きゅ~きゅ~」
「ぴ~ぴ~ぴ~」
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
すすんでゆくと、なぜか炎の球のような、炎の鳥のようなものが、
エミルの姿をみとめ、なぜか体をちじこませながらばたばふらふらと飛んでくる。
「あ~……」
炎の属性をもつ彼らにとってどうやらイグニスの転換効果によるこれらはかなりきついらしい。
それでも実体をたもっているのはその力の属性が炎によってこの効果がもたらされているがゆえ。
しかも何かうったえているかのようにきゅーきゅー、ぴーぴーとないているように聞こえるのはロイド達の気のせいか
「もう少し辛抱してね?」
そういうと、それらはこくこくと上下にゆれつつも、そのままエミル達を先導するかのようにふわふわと飛んでゆく。
「この子達が案内してくれるそうですよ?」
「それは助かるわ」
「だね」
「まて。この状況でなぜお前たちはつっこまない!?」
至極まっとうなクラトスの意見はしかし、ムジヒにも却下される。
「え?だってエミルだし」
「ええ。エミルですもの」
「エミルだもんね~」
「エミル様を案内するのは当然ですね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう、いい」
すでに半年ばかりエミルの魔物による非常識な行動をみているロイド達、リフィルを含め、
これくらいでは動じなくなっていたりする。
あるいみ慣れ、とは怖いもの、といえるであろう。

進んでゆくことしばし。
遺跡の奥へと続く通路に大きな枯れ木ににた魔物が占領しているのが目にはいる。
どうやら眠っているらしくぴくり、とも動かない。
「おや。デナイドですね」
「どうやってこの遺跡の中に木の魔物がはいりこんだのだ?」
ちなみに魔物達を保護するために魔物達のみは火の神殿にはいれる入口があるのだが。
それは魔物や動物などにしか反応しない。
どうやらこのデナイドはかつての入口を本能で覚えていた口らしい。
「デナイドだと?やっかいな。たしか睡眠中は全ての属性攻撃を吸収するという魔物だったはず。
  この魔物はたしか熱いところを好む魔物であったはずだが?」
「きっとこの寒さで避難してきたんですよ」
にこやかにコレットがいい、
「寝てるってまるで冬眠みたい」
「ジーニアス。クマとかじゃあるまいし。魔物が冬眠とかするかよ」
「おや。心外ですね。魔物達にも冬眠するものは多々といますよ?」
「「うそ!?」」
何やらテネブラエの説明に驚きの声をあげているロイドとジーニアス。
「この魔物をのかすには、定番として、餌でつる、という方法がありますが…」
「ちなみに、きくけどそのえさ、とは?」
「主に淡水系の魔物や魚が好物ですね」
「この辺りの淡水というとトリエットのオアシスかしら?」
淡々と会話をつづけているテネブラエとリフィル。
が。
「はぁ。そんな時間もったいないよ」
「え?」
たしかに餌でつる、というのも手ではあるが、今は少しでも時間がおしい。
それゆえに、眠っているそれにつかつか近づいていき、そっと手をその幹にとあてる。
起きろ!
直接触れることにより念派をデナイドに叩き込む。
刹那。
びくっ。
魔物がはっきりとわかるほどにびくり、となり、そしてなぜかあろうことかその場にて、
その太い幹をうねらせて、まるでおじぎ?らしきボーズをとっているのが目にはいる。
「どこで寝ててもいいけど、通路をふさぐような邪魔をしたらだめだよ?」
にっこりというエミルの言葉がわかるのか、ものすごいいきおいで、ぶんぶんとその頭の木々をゆらし、
そのままデナイドは横にとずれる。
「うん。いい子だね。さ、いこ」
「…エミル様……」
ちらり、とクラトスをみるがどうやら今の念派には気づいていないもよう。
そのことに安堵する。
魔物がふさいでいた道の奥にすすんでゆくと、さらに遺跡の凍りつきぐあいが激しくなっているのがみてとれる。
「…すごいわ。奥にいくほどに遺跡が氷ついてる……」
リフィルが唖然とつぶやく。
「馬鹿な……」
クラトスも何やら思うところがあるのか周囲をみてそんなつぶやきをもらしているのがみてとれる。
やがて祭壇のような場所にたどりつくが、そこもびっしりとなぜか完全に凍りついているのがみてとれる。
「おお!?これはこの場所は全て魔科学でつくられている場所か!?
  しかし、ここが祭壇のはずなのに、ここまで凍りついているのか!?」
「…何、だと?」
クラトスの茫然自失とした呟きはおそらくその真意はロイド達にはわからない。
クルシスが創った祭壇が氷つくなど、ありえない。
ここには、イフリートを縛りつけているのである。
そのイフリートすら凍らす力、などありえない。
どうやら凍り憑いているせいで管制システムにも誤作動が生じているらしく、
コレットがこの場にやってきたのにいまだに起動していない。
まあ、感知システムすら凍り憑いているのでその機能を果たしていない、というほうが正しいのだが。
広間の中央にある円形の台座。
そこはもののみごとにしっかりと氷で覆われつくしていたりする。
「祭壇の前にたって祈りをささげると封印がとけるはず…なんだけど。
  この氷をどうにかしないとだめなのかなぁ?」
まったくもってコレットがちかづいても何の反応もなし。
「はぁ……」
前もってテネブラエに報告にいかせたときに聞いてはいたが。
何やら祭壇のところでは凍りついた周囲をリフィル達が調べているのがみてとれる。
何か仕掛けがあって氷がとけるのでは、などとおもっているらしい。
そのまま、円形の祭壇の向こう側にとある壁にとちかづきそのまますっと手を前にとかざす。
「エミル?」
そんなエミルに気づいてロイドが首をかしげて思わずといかけるが、
エミルが祭壇の完全に向かい側にとある何かしらの模様が描かれている壁に手をかざしたその刹那。
紅と翠の入り交じった光がエミルの手を照らす。
それと同時、模様が描かれていた壁の下部分がぽっかりとひらき、さらなる先の道を示しだす。
「!?道が!」
「何?!」
「うわ~。エミルすご~い」
驚きの声をあげるロイドに、別の意味で驚愕した声をあげているクラトス。
そして一人はしゃいだ声をあげているコレット。
そんな彼らをそのままに、そのまますたすたとぽっかり開いたその先の道へとすすみだす。
「あ!まてよ!おい!」
「あ、ちょっとまってよ!ロイド!」
「すばらしい!この遺跡にはまだ隠された道があったのだな!
  ここが最深部とおもっていたが」
「?クラトスさん?」
かけだすロイドにそんなロイドをおいかけるジーニアス。
そして興奮気味のリフィル。
一方、茫然としているクラトスにきづき、コレットが首をかしげつつ問いかける。
「とりあえず私もいきますね。皆~まって~!」
首をかしげつつも、それでもおいていかれないようにコレットもまた走りだす。
「こんな道があるとは……信じられん……」
たしかにこの遺跡は自分達でも改善不可能な壁等が多々とあったが。
それでもこんな道があるなど報告もあがってなければ知られてもいない。
もともと、今ある祭壇の場所が炎を祀った神殿、として利用されていたのでそれを利用している、というのに。
この遺跡にこんな道があるなどきいてない。
否、ここを改装したときにすらこんな道などみあたらなかった。
あの文様がかかれている壁はイフリートの強力なる力が加わっていたし、
またあの部屋そのものが強力なる力に護られていた。
だからこそあの場を召喚の場、ときめた。
封印の場、としても利用できる、という理由にて。

凍り付いた遺跡の中にある祭壇。
先ほどの円形の祭壇とは違う、それこそ台座のような完全なる祭壇が
ぽっかりと開けた空間の中央に鎮座している様子がみてとれる。
道をすすむごとになぜか息苦しいわけでもないのに足がすすまなくなり、
すでにクラトスは途中でがくり、と膝をつきそのままの姿勢でうごけなくなっていたりする。
何か圧倒的な力が拒絶反応をおこしているかのごとく、そんな威圧感。
「あれは……?花の…蕾?」
祭壇の上にあるのは、蓮の花のような綺麗な透き通った形をしたもののうえに、
ふわふわと暖かな紅い光を発している花の蕾のような何か。
それが不思議なことに蓮の花の上に浮いているようにしてそこにある。
先にいっていたエミルはすでにその祭壇の目の前におり、しばしそれを眺めているのが目にはいる。
「蕾…じゃない、あれは…いきてる?」
感覚であれは蕾とかいう生易しいものじゃない。
それは本能てきな直感。
気のせいではなく空気がぴりぴりと痛い。
祭壇の前にいるのはたしかにエミルのはずなのに、そこにいるのがエミルでないような気すらしてしまう。
背をむけてたっているのでリフィル、コレット、ロイド、ジーニアスの四人にエミルの顔はみることができない。
そしてまた、何か圧倒的な畏怖感のようなものを感じ取り、それ以上近づくことすらできない。
精霊でもない、圧倒的なまでの力をもつ、何か。
そんな感覚がつぼみのようなものから感じ取られるのはマナに敏感なエルフの血をひくがゆえ。
ジーニアスとリフィルの顔色は気のせいではなく蒼白になりかけている。
「とにかく、エミルのところにいってみようぜ?」
一人あまり影響がないのか、はたまた鈍感なのか、ロイドがエミルのほうに近づこうとするが、
「「「だめ!」」」
異口同音で三人から制止の声。
無意識のうちにロイドにしがみつきロイドがそれ以上さきにいかないように制止する。
「?なんだよ?先生まで?」
みればリフィルまで自分をとめているのにきづき不満そうな声をあげるロイドであるが。
「ダメよ。ロイド。それ以上は、近づいたら…ダメ」
本能が叫んでいる。
これ以上近づいたら、何かが危険だ、と。
エミルは大丈夫かしら、という思いもあるが近づけないのもまた事実。
「ダメだよ。ロイド。近寄ったら…だめ」
おそらく、自分達ではあれに近寄ったら…ただではすまない、そうおもうから。

「やはり孵化前までになってたか」
「魔界の瘴気はさすがにこたえますからね」
爆発的な力がたしかに働きはしたが、コア化、だけではどうやらすまなかったらしい。
気づかれないように特殊結界におおったところでの戦いであったがゆえに他者には気づかれずにすんだはすんだが。
祭壇の前にてそれをみて、おもわずつぶやくエミル…否、ラタトスクに対し、
横にいるテネブラエが返事を返す。
「回復のために周囲のマナを取り込んでいたようだな」
紅くほのかにひかっているということは、起こすのにはすでに問題ない、ということ。
そのままそっとそこにあるそれをふわり、とすくいあげ、そっとそれを空中へと解き放つ。

エミルが両手をひろげ、すくいあげたらしい蕾のようなものをはなすと、
それはゆっくりと上昇を始め、空中に浮いた蕾は花がひらくようにゆっくりと開いてゆく。
それは何とも不思議で神秘的で…そして畏怖すら抱かせるような、そんな光景。
ゆっくりと花弁が一枚一枚ひらくようにして開いていたそれは、
開ききった瞬間、まばゆいばかりの光を発する。
強烈な光にロイド達は思わず目蓋を閉じる。
ロイド達が目を開けるとソレは透き通る球形の宝石に変わっていた。
内包する紋様を美しく輝かせながら暖かな光を発している。
『-------、-----』
何かエミルが話しているような気もするがその声はロイド達の耳には届かない。

「ラタトスク様…申し訳ありません。不覚をとりました」
ふわり、と浮かぶそれから発せられる声はまず謝罪の声。
「イグニス、気にするな。そもそもあれであそこにいた魔族どもは消滅、または送り返せたのだからな」
何しろ自分すら衝撃をうけたのである。
配下たる彼らに衝撃がいかないほうがあるいみおかしい。
「さて。イグニス。あのときとはまた状況がかわった。
  再生の旅が開始されている。それにあわせて今、俺は様子をみている。
  これを機会に精霊達の楔をヒトの手で解放させる予定だ」
「かつてのように、ですか?」
「そうだ」
かつて同じようにヒトが精霊の楔をときはなったことがある。
それは遥か昔の出来事。
また同じ歴史を繰り返している人にあるいみ呆れざるを得ないのもまた事実だが。
「イグニス。具現化はできそうですか?できましたら具現化しておいてください。
  …あのクラトスが旅の中にいますので、保険は少しでも高くしておいたほうがいいので」
「…では、やはり今回も裏切ったのは…わかりました。ラタトスク様。よろしいですか?」
「…あいつらの前ではあくまでもエミルだ。いいな?」
「御意」
その言葉をうけ、さらに空に浮かんだ宝石が輝きをます。
その輝きは炎のごとく周囲にひろがってゆき、やがてその光は爆発する。
まぶしすぎる紅き炎の奔流のごとくの光。
その場にやってきていたロイド達も、そしてその先にいるクラトスもその眩しさに思わず目をつぶり、
そしてそのまま彼らはその圧倒的なまでの力にたえきれずその場にて気絶する。
「ふむ。全員気絶したか。ちょうどいい。…偽装祭壇の手前まで彼らを移動させるとするか」
そうつぶやくエミルの瞳の色は…深紅。
いつもの温和な表情ではなくむしろ近寄りがたい雰囲気をもっている。
そのまま、ふっとエミルが手を振ると同時。
その場にいた全員の姿がかききえる。
そしてまた、続くようにエミルと、そしてテネブラエの姿もまたその場からかききえる。
まるでそこに始めから誰もいなかったのごとくに……

「大丈夫ですか?」
ふとふらふらする頭をふりかぶりおきあがる。
まず聞こえてきたのは心配そうなエミルの声。
みれば周囲にロイド達も倒れているのがみてとれる。
「ここは?…は!?エミル。今のは何だ!?」
「え?何がですか?」
「何が、とは…あれ?ここは…?」
先ほどまでいた祭壇、ではない。
たしかここは、円形の祭壇の前にづつく扉の前。
「ううん…」
リフィルがまっさきに目をさまし、続いて倒れているコレット達もまた目をさます。
「…あれ?」
きょろきょろと起き上がりつつ周囲をみつめ、首をかしげているコレット達。
「さっきのは?」
「エミル。さっきの何?」
「え?皆がなんでか倒れてたので心配してたんですよ?」
嘘ではない。
というか先ほどのことに触れていないだけ。
「何らかの衝撃か何かで夢でもみたのではないですか?」
そんな彼らに平然とそんなことをいっているテネブラエ。
彼らは精霊ではないがゆえに嘘をつく権限が一応あたえられている。
もっともエミルはその基本属性が精霊であるがゆえに嘘をつくことができない。
もっとも屁理屈というかこじつけなどはかなりごまかすのが得意なのだが。
たしか円形の祭壇が凍りついていてその先の壁に道がつづき、さらにその先に別の祭壇があった。
そしてそこに花の蕾のようなものがあり、そして
「ここは……今のは……」
周囲をみれば祭壇の出入口。
眩しい光に意識をもっていかれたまでは覚えているが、ここにきたまでの記憶がない。
というかここまで戻ってきたのかすら。
「エミル…ずっとそこにいたのか?」
「え?はい。いましたけど?」
皆をここに運んできてからは、という注釈がつくが、嘘はいっていない。
「それにしても、これ綺麗ですよね~」
いいつつ壁にはりついてるきらきら光る小さな花のようなものをみてにこやかにいっているエミル。
それはキノコの一種なのだが、知る人ぞしる効果をもつキノコでもある。
「これは…まさか!?夢見のキノコか!?」
胞子を吸い込んだもの、同時に吸い込んだものに共通して同じ夢をみさせる、という代物。
その胞子は幻影薬としても重宝され、かなり貴重品としてもあつかわれる品。
エミルがにこやかにいいつつも、壁についている花のような淡き色をはなつそれをゆびさし、
つんつんしているのをみてリフィルが驚愕の声をはっし、
「夢見のキノコ・・・だと?では、今のは…夢…か?神子。この先にまずはすすもう」
夢でないならば祭壇は凍りついていたはずである。
しかし夢であったならば祭壇は無事のはず。
そもそもクルシスがつくった祭壇があんなふうに凍りつくなど絶対に考えられないこと。
属性もちの精霊達より上のオリジンは自らが封じているし、マクスウェルは行方不明のまま。
そんな状態で凍らせる…すなわち、システムをダウンさせるものがいるなど信じられない。
「ジーニアス!そこにあるキノコを丁寧に採取しろ!
  それ一つでかるく売れば千Gにはなるぞ!旅の資金にやくだつ!」
「ええ?!これが!?」
「よっしゃ!まかせろ!先生!」
どうやら今の現状に首をかしげていたものの、千Gという言葉をきき不思議な思いがふっとんだらしい。
「あの?皆?」
そんな彼らをただただ首をかしげてエミルはただ見つめるのみ。
というか、あっさりとこれでごまかせるって…この人達、単純すぎるよね。
そんなことを思いつつ……
「しかしなんか明るいなぁ…」
「って、うわっ!?」
必至でキノコを集めていたが、ふとここは遺跡の中だ、というのに昼間のようにかなり明るい。
それにきづき、思わず天井をみあげて驚きの声をあげるロイド達。
よくよくみれば先のほうにまでびっちりと魔物の姿がみてとれる。
しかもずらり、と整列して。
ゴーレムなどはお座りし、その膝の上に別の魔物がすわっていたりしているのが目にはいる。
「あのお?エミルさん?これはどういう状況なんでしょうか?」
おもわず丁寧語で問いかけるロイドは間違ってはいないであろう。
「なんかここで皆がおきるのまってたら皆がよってきただけだよ?いろいろとお話ししてたんだ~」
「そ、そうなんだ……」
「こまったわね。この先にいこうとしたらその子たちもついてきそうね」
「いや。リフィル。そういう問題か!?」
もはや突っ込みたくないがつっこまずにはいられないクラトス。
「祭壇のあるお部屋、皆はいれるかな~?」
「いや。コレット、無理だから、絶対に無理だから!」
真剣に数えながらいっているコレットにあわてて訂正突っ込みをいれているジーニアス。
この様子では皆も一緒にいこう、といいだしかねないゆえの判断。
これほどまでの魔物と一緒に狭い場所にはいればそれこそつぶされてしまいかねない……

「これは!何とすばらしい!この祭壇の全ては魔科学でつくられている!」
部屋の中にはいり、リフィルがまた同じようなことをいいつつ興奮する。
結局のところ、エミルが移動すると魔物も移動する、ということもあり、
エミルは部屋の前で待機、という形でこの場にやってきたロイド達。
部屋はさほど広くなく、もしもエミルがやってきていたとすれば、魔物達もわれさきに、とついてきて。
とてつもないことになっていたであろう。
先ほどみたときはたしかに部屋全体が完全に凍りついていたはず。
が、今部屋にはいってみればそんな気配はさらさらない。
むしろ凍っていた、という形跡すら見当たらない。
「やはりあれは、胞子による幻覚だったのか?」
クラトスが思わずつぶやく。
いいつつもその奥にある壁のほうをみるがやはり道らしきものはみあたらない。
「うわっ、何!?」
祭壇の前までくるとほのかな灯りが祭壇から立ち昇る。
闇の中に突然、燃え盛る炎が出現する。
「あれがイフリートかよ」
「違う。とおもう。もっと邪悪な……」
ロイドの言葉にコレットが答えかけたとたん、鋭く長い針が幾本もとんでくる。
そしてそれらの針はロイド達の目前の床にとぐさりと突きささる。
「あぶない!この封印を守護しているクトゥグハだ。奴は針を飛ばして九るぞ。油断するな!」
クラトスが叫ぶ。
クトゥグハは全員から噴き出す炎に自らをつつみ、そのシルエットを浮かせている。
長い尾をもった四本足の獣のような姿をしているそれがどうやら、封印の魔物、らしい。
「エミルがいたらあれもなつくのかなぁ?」
「「ありえそうだ」」
それをみてコレットがのほほんといい、思わず顔をみあわせて異口同音でいっているロイドとジーニア
ス。
「馬鹿いってないで、くるわよ!」
リフィルの声をきっかけに、彼らにむかい、封印の魔物というそれは攻撃をしかけてくる……

魔物が倒れると祭壇のあたりがうっすら明るくなり、
炎の残滓のようなものが祭壇の上にと浮かんでいるのがみてとれる
光りの中に浮かび上がった影はロイド達に危害を加えるわけでもなく、さらに強い光となって、
あたりに静かに飛び散りきえてゆく。
と、祭壇のはるか時よぅ喰うから聞き覚えのある声が静かにきこえてくる。
再生の神子よ。祭壇に祈りをささげよ
「はい」
どうやらレミエミルが再び現れたらしい。
「大地を護り育むおおいなる女神マーテルよ。御身のちからをここに」
コレットが祭壇に祈りをささげると、ゆっくりとレミエルがおりてくる。
「我が娘コレット。見事な働きだった」
「ありがとうございます。お父…さま」
「封印を守護するものは倒れ、第一の封印はとかれ、間もなくイフリートも目覚めよう。
  クルシスの名のもと、天使の力をあたえよう」
じゃあ、さっきのあの影がイフリートなのか?
光りの中に浮かんだ影。
それを思い出しふと思うロイド。
「はい。ありがとうございます」
コレットの後ろにいたロイドはあやあく叫びそうになってしまう。
コレットの周りに光りが集い、それがコレットに吸い込まれると同時、
コレットの背中から光り輝く羽がはえてくる。
羽は薄くすけており、孵化したての地洋のようにやわらかく繊細にみえる。
「天使への変化は苦しみがともなう。それも一夜のこと。たえることだ」
淡々とその姿を目の当たりにしてもレミエルはどうじることなくただ伝えるのみ。
「試練なのですね。わかりました」
苦しみ、といわれ緊張するものの、しかしそれもそうか、とおもいなおし気丈にうなづく。
たしかに試練があっても不思議ではない。
でなければ今までの神子達もあっさりと再生の旅を成功、もしくは封印解放を成功させていたはずなのだから。
「次の封印はここよりはるか東。海を隔てた先にある。かの地の祭壇で祈りをささげよ」
「はい。レミエル様」
「次の封印でまっている。再生の神子にして最愛の娘コレットよ」
いいたいことだけいってしまうと、コレットが勇気をだして父とよんだのにそれに答えることもなく、
そのまま用事はすんだ、とばかりにレミエルはきえてゆく。
「え・・・コレットに、はねが…」
「うん。それにほら、しまえるんだよ?」
戸惑いの声をあげるロイドに、にこやかに羽を出し入れして説明しているコレット。
羽がはえたときに感覚でわかった。
この羽の使い道は。
「すご~い!かっこいい!」
「ほらほら、みて!」
それまで大人しくしていたジーニアスがコレットにかけより興奮した声をあげる。
そしてまた、コレットも面白いらしく幾度も羽を出し入れしてはぱたぱたと羽をばたつかせる。
ピンク、というのがいかにもコレットらしいよな。
そんなことをロイドはおもってしまう。
コレットの雰囲気にとても似合っている、とも。
とりあえず、今は。
「それにしても海か。すっげえ。船旅だぜ!はやくいこうぜ!」
ロイドがはりきって振り向くとリフィルがなぜか目をそらすようにし、
「ふ…ふね、ねえ?このご時世に船がでているのかしら?」
なぜかあさってのほうをみながら歯切れがわるくいってくる。
「まずは、海岸線にでてみるのもよかろう」
たしかにこの最近、海はひたすらに荒れているときく。
魔物がでるとも。
そんな中船をだしているのかたしかにあやしい。
「え。まあそうね」
クラトスの言葉にあいまいにうなづくリフィル。
「二人とも。わかったからもうやめろって」
「「は~い」」
いまだに羽をばたぱたと出し入れしては、いつのまにかジーニアスをつかまえて空にういては降りて。
と遊んでいた二人に苦笑しながら声をかけるロイド。
どうやらコレットの羽は誰かをもったまま運ぶことも可能、らしい。
「んじゃ、エミルもまってるだろうし。ここにはもう用はないんだろ?ならいこうぜ」
たしかにロイドのいうとおり。
「…?クラトス?」
「ああ。何でもない。いくか」
とりあえずあのとき見たような気がした…幻覚なのか夢なのかはわからない。
壁にと手をふれ一応確認。
やはりそこにはただ文様が描かれている壁、しかない。
この先に道がつづいている気配はまったくない。
「…やはり、あれは胞子がみせた幻覚…だったのか?」
何だかもやもやしてやりきれないが、道がみつからないのもまた、事実。
もやもやする気持ちをそのままに、とりあえずクラトスもまた部屋を出てゆくことに合意する。
彼は知らない。
その先につづく道は、ラタトスクの許可を得たものでなければ決してはいることができない、ということを。
衰退世界になっている以上、人々が何をしでかすかわからない、とおもい、
マナの調整をかねてラタトスクが祭壇・・・すなわち、大樹の根の解放点にあたりとっている処置である。
ということを。


「…ラタトスク様……」
イグニスが目覚めていたことは知っていた。
そしてこの一年ばかりコアにもどっていたことも。
彼らが動いている、ということはあきらかに王が目覚めた証でもあった。
それゆえに歓喜の声をあげる気持ちはおそらく間違ってはいない。
一応、アレラに気取られないように姿というか影だけはみせておいた。
「御苦労。イフリート」
「……あいかわらずそのお姿なんですね……」
苦笑せざるを得ない。
ここだけではなく別の世界においてもこの彼はいつもこの姿を好んでいる。
もっとも一度この世界というか惑星が滅びかけ自分達は彼により再構成されたわけではあるが。
「気にいっているからな。それで?例の計画はできそうか?」
「…はい。かつての時とおなじく、ですよね?」
記憶の継承はなされている。
また同じようなことになったのにあきれもしたが。
「あの時とは異なり、このたびはレインの力の発動とともに一気に理をかきかえる」
すでにもう下地は完全にできあがっている。
あとはきっかけ。
どちらにしてもあのマーテルは精霊であることよりもヒトであることを望んだ。
ゆえに精霊となっても間違いなく記憶の継承などできるはずもない。
記憶の継承はあるいみ精霊としての自覚、というものに所以する。
「まあ、マーテルのやつがヒトを選ぶのはわかりきっていたがな。
  …ここのマーテルは精霊、として必要なものがかけていたからな」
必ず必要となる、怒りや悲しみ、といった感情はもっているがそれをただためこむだけで、
どうにかしよう、という行動を彼女はおこすことが一切なかった。
…自分を護るディセンダーを生み出すことすらしなかった。
ただ、時の流れに身をまかすのみで。
あまりにアレだったのでしかたなく、彼女が生みだす精霊だけでは世界が絶対になりたたない、
と判断し幾人かの精霊は彼女が生みだした新たな精霊とともに生きることを選んだわけではあるが。
彼女がかつて生み出した精霊は今はもう、いない。
精霊としての姿ではなく、ヒトとしての姿で自分達の前にでてくる王の姿にももう慣れたもの。
ついでに他人の目があるときに、エミル、とよべ、といわれているのももはや慣れっこ。
…だからこそ、ミトスはエミルがラタトスクだ、と最後まで気づかなかった。
精霊達もエミル、と呼んでいたがゆえに。
「イグニスを使いによこす。あちらの世界もそれとなく干渉し、下地をつくっておけ」
「わかりました」
丁寧に礼をとり、そのままその場から姿をかきけしてゆく。
「さてと。まあ、混乱はするだろうが…これもまあ、ヒトにあたえる試練、というところだろうな」
にやり、と笑うエミルはいつもの温和のそれではなく、どこか近寄りがたい雰囲気をもつ。
この場に第三者がいれば、おもわずもらしたであろう。
魔王、と。


2013年9月1日(日)某日

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