まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ただいまの旅の一行の人数。
ロイド・ジーニアス・リフィル・コレットのシルヴァランド組。
しいな・ゼロス・リーガル・プレセアのテセアラ組。
アステル・リヒターの精霊研究所組。
そして…ミトスとエミル。計十二名で旅をしているこの一行。
あるいみ、本気でちょっとした団体旅行……
さらに、エミルの傍にはかならず魔物がどこかしらにいるのでさらに大所帯~v
ようやく闘技場と、登場、ケイトさん。
彼女、やっぱりだしとかないとな。
…○○の娘だし、そもそも捉えられていたときに活躍?してたっぽいし……

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さすがはレザレノ・カンパニー本社。
レアバードを研究してゆく最中、空を飛ぶ簡易的な乗り物を開発。
とは表向き。
「…これは、飛行竜?」
おもわずエミルがそっと近寄り、その巨体をなでる。
そういえば、ある山から人が眠っていたそれを起こした、という報告はうけてはいたが。
「リーガル!これは何だ!?」
「かつての古代文明がのこした乗り物だ。
  魔物を人が乗れるように改良したものらしい。いうなれば機械と生命の合体というところか」
今の技術では到底たちうちできないその技術。
もっとも進化の最中でその改良もその身の一つとしてそのような産まれいでるようになっているが。
そんな事実を今の人類達は当然知るよしもない。
「しかし、エミル、よくしっていたな。たしかにこれは飛行竜とよばれているが……」
「この乗り物はブライアン家の血筋のものでなければ使用することができないんですよ。
  何ぶん気性があらい…はず、なんですけど……」
なのに、なぜだろう。
この格納庫としてある飛行竜の小屋にやってきたが、それがもののみごとに首をうなだれ、
エミルにその体をまかすがままになっている、というこの現状は。
ジョルジュもさすがの想定外らしく言葉に困っているのがみてとれる。
「こんなまだ幼い子に僕達全員を連れて行ってもらうのはしのびないよ。
  やっぱりどの子かよぶよ。この子だってまだ幼体だし」
あまりに幼いときの体の酷使は成長に携わる。
それでなくても今のこのご時世、彼らの主食となる鉱物はあまりとれないはず、である。
「後でベルセリウムをソルムにでも届けさせるね?」
「きゅ~」
エミルの…ラタトスクの感覚からすれば、あまり、とはいうが、
人の世界からみれば絶対に、といっても過言でない。
むしろその物質は今では伝説とまでいわれている物質の一つ。
人に改良され、それらを自らのものとして取り込んで進化していった彼ら飛行竜達は、
その鉱物を主たる主食となしている。
今では文献にすらのっていないのでどうやら失念されているっぽい。
かろうじて近い物質、ジルコンを食べているがゆえにどうやらここまで成長はできたらしい。
古代大戦より前の次代に開発され、野生化していた配下の種族。
とりあえず、この個体には人が使用する魔術はきかないにしろ、念のために新たに防御を軽くほどこしておく。
万が一、この子に対し、攻撃をしかけたものがいれば、倍以上の威力をもち、
そのものにその攻撃がおそいかかるように。
エミルの言葉はロイド達にはわからない。
時折、エミルがよく魔物達に何かいっている言葉のようなきもしなくもないが。
おそらく、理解できていれば、その名称に驚いたであろう。
何しろ伝説といわれている鉱物の名をいっている、のだから。

光と闇の協奏曲 ~ケイトとセレスと~

王都メルトキオの精霊研究所。
結局のところ、人数が人数であることもあり、かといって、あまり認識されていない竜がとんでいれば、
それでなくてもここ最近地震がつづき、人々が不安になっているということもあり、
夜の闇にまぎれ移動することにしたのだが。
アステルによれば、精霊研究所は夜であろうと常に出入りすることが可能らしい。
最も、入るためのパスたるカードをアステル達が所有しているからこそできる技。
「いいこと?私たちが指名手配中だということを忘れないで。目立つ行動は厳禁よ」
ジョルジュに聞かされたのだが、ロイド達が一度、シルヴァランドに向かってからのち、
教皇からゼロスを含めたシルヴァランドの神子一行の手配書が出まわったらしい。
曰く、王国を揺るがす罪人、として。
もっとも、それにあわせ、国王が病に伏せったらしく、一部のものは、教皇が何かしでかしたのではないか。
と怪しんでいるらしいが、確実なる証拠がつかめないままに今にいたるらしい。
最も、アステルもそれに含めていたらしいが、その途中でそれをみたとあるものが、
アステル達の名をおもいっきり消した、らしいが。
彼らもまたアステルに弱みを握られている以上、下手にとばっちりはうけたくなかったらしい。
もっとも教皇はその事態に気づいていないのだが。
念の為に、ということで、ゼロスが提案した地下にあるという地下水路から王都メルトキオへ。
ようやく湿った地下水路を抜け、外にでると同時、おもいっきり深呼吸するロイド達。
と。
「ああ!?」
ふと今、大声をださないように、と注意したにもかかわらず、大声をあげているロイド。
ふとその視線の先をみれば、みおぼえるあの人影がひとつ。
「クラトス!?」
そこにはいるはずのないクラトスの姿が。
「少しきく。神木はオゼット付近にしか生息しないときいたが間違いないか?」
そんなロイドの疑問は何のその。
関係ない、とばかりにつかつかとちかよってきてプレセアにとといかけているクラトスの姿がそこにある。
「は、はい」
「そうか…やはり、やむをえないか」
なぜか聞くだけきいてそのままそのまま立ち去ろうとするクラトスに対し、
「まてよ!クルシスの連中がどうして神木のことなんかきにするんだよ」
ロイドの問いかけにふりむきもせず、
「必要だからだ。理由は…今はお前に説明する必要を感じない。
  そんなことより、お前達が行っている精霊との契約だが……」
そこまでいい、ようやくふりむき、じっとロイドをみつめるクラトス。
そんなクラトスの様子におもわずたじろぎつつも、
「な、何だよ?」
そう言葉を発するロイドに対し、
「どうなってしまうのか予想のできない行為は危険だ。
  取り返しのつかない事態になるやもしれぬ。やめるのだな」
「やめられるかよ!二つの世界を同時に救う方法は他にないんだぞ!」
いきなりやめろ、といわれ、おもわずいきりたつロイドにたいし、ふっと視線をはずし、
「…焦るなよ。ロイド」
そういうなり、そのまま振り返らずにそのまま早足でその場をたちさるクラトス。
「なんだっていうんだよ。あいつは」
「うん。何がいいたいんだろ?クラトスさん?」
ロイドの言葉にコレットも首をかしげる。
リフィルのみは今のクラトスの言葉に少し考えるそぶりをしているようではあるが。
「とりあえず、これからどうします?今からすぐにいきます?」
そんなエミルの問いかけに、
「…いや、さきに俺様の家にいこうぜ。何か情報があるかもしれないしな」
せっかく王都にまでやってきたのである。
何でもブルーキャンドルがあるのならば確実に王都のほうがあるだろう、というアステルの言葉からなのだが。
そんなゼロスの提案をうけ、ひとまず一行はゼロスの屋敷へと向かうことに。

「これはゼロス様、それにお連れの皆さまも」
あいもかわらず、というべきか。
いきなり戻ってきたというのに普通の対応をしてくるセバスチャンの姿。
その姿はリフィル達が初めてこの屋敷にやってきたときとまったくもってかわっていない。
「おう。今もどったぜ。何かかわったことはあったか?」
「教皇からゼロス様がおもどりになりましたらすぐさまに連絡を、とうけておりますが」
「あのひひ爺のいうことなんかきかなくていいぞ。無視しとけ」
「わかりました」
それでいいのか?
というようなロイドの視線をさらり、と無視し、
「それで、他には?何かあったか?」
「そうですね。あの健康だけが取り柄の国王陛下がなぜか原因不明の病気で寝込んでおられるのと。
  それと、近日中に王立研究院に所属していたハーフエルフの研究院が処刑されるそうでございます。
  もしやとおもいますが、神子様にゆかりのあったかたでは、とおもいまして、念のため」
てきぱきと戻ってきたゼロス達の身の回りの世話をしつつも、そういってくるセバスチャンにたいし、
「…ちょっとまて。そいつの名は?」
「ケイトでございます。何でも国を滅ぼそうとした罪人を匿い協力した罪だとか。
  もしかしたら神子様達のことではないか、とおもいまして」
そんな彼の言葉に。
「ええ!?ケイトが?まさか!?ありえない!」
おもわず声をあげているアステルに、
「いや、あの教皇ならありえるだろうが。アステル」
「でも、リヒター、ケイトは!」
何やら訳知り顔らしいアステルとリヒター。
「相変わらずいい勘してるぜ。セバスチャンよ。そいつはたしかに俺様達の知り合いだ」
ゼロスも彼女とは幾度か面識がある。
それゆえの台詞。
まあ、いつかはやるだろう、とはおもっていたが、それでもまさか、とはおもうのもまた事実。
「さようでございましたか」
「こうしちゃいられない。ケイトをたすけないと!」
「ねえ。ロイド。私たちもケイトさんって人をたすけてあげようよ」
この反応からしてどうやら、アステル達の共通の知り合いらしい。
まあ同じ職場で働いているのであろうから知り合いであってもおかしくはないとはおもうが。
「ロイドさん。私も助けてあげたい、とおもいます。それに……」
ケイト、という名には心当たりがある。
自分がこの石を埋め込んだときにいた、たしかハーフエルフの研究院。
どうして自分だったのか、とかいろいろとききたい。
それにもしかしたらアリシアのことがわかるかもしれない。
どうして妹まで利用されたのか、ということが。
そんなプレセアの言葉にうなづき、
「ふむ。闘技場で行われている試合にでてみる、というのはどうだ?」
しばし考え込んだのち、リーガルがそんなことをいってくる。
「闘技場?どうしてまたそんな?」
「あれは元々、罪人と猛獣の戦いをみせるために創られた施設だ。
  罪人を闘技場へ連行するため、監獄に繋がっている。
  建設、設計、またメンテナンスをわが社が引き受けているがゆえに構造は把握している」
「たしかに。それだと確実に潜入できるかもしれないわね。
  あと、ゼロス、ミトスをここで一時預かってもらえないかしら?
  まだ完全に治りきっていないミトスを監獄とかにつれていったとしてまた悪化してもこまるもの」
「え?僕もいきます。リフィルさん」
「ミトス。無理はしてはだめよ?
  あなた、アルタミラからまた顔色が悪くなっているのよ?自覚してないかもしれないけど」
顔色が悪いのは、体調、ではなくてその心のありかたのせいなのだが。
自分がしていること、しようとしていること。
その葛藤がミトスを今現在、悩ませていっているとよい。
「ミトス。無理したらだめだよ。ケイトさんってひとをたすけたら必ずもどってくるから」
「……うん。わかった。大人しくまってる……」
あまりつよくいっても怪しまれかねない。
それに何よりそろそろプロネーマ達と繋ぎをとってもよいころであろう。
だからこそ、しぶしぶといったようにうなづくミトス。
ジーニアスの言葉にうなづくミトスをみつつ、
「なら、計画をたてましょう。とりあえず…その、ケイトさんのことを詳しくしる必要があるわね」
そんなリフィルの台詞に。
「なら、一度、研究院にいきましょう。詳しいことがわかるでしょうし。
  それに、闇の神殿にいくのならブルーキャンドルも必要ですし、ね」
アステルの言葉に反対する理由もなく、ともあれミトスをゼロスの屋敷にのこし、
一行は一度、精霊研究所にとむかってゆくことに。

「そういえば、ブルー、何だっけ?」
「ブルーキャンドル、ですよ」
「たしか、伝承では闇の力を打ち消す聖なる蝋燭のことだったわね。
  そんなものがここにはあるのかしら?
  以前、雷の神殿の暗闇は…エミルが魔物を呼んで事なきをえたけど……」
いいつつもちらり、とエミルをみてリフィルがいってくるが。
「え?どんな魔物だったんですか?」
アステルがそれにくいつく。
「たしか……」
リフィルが説明しようとするが、
「しかし、伝承にのってるような代物が本当にあるのか?」
ロイドが首をかしげつつ、そんな彼らの会話にわってはいるようにとといかける。
「以前、古文書をたよりに王立研究院の精霊研究所で複製に成功した、ときいている」
リヒターがため息まじりにそんなロイドにと説明をほどこすが。
「で、どこからはいるの?」
すでに周囲はさすがに夜であるせいか人気はいない。
「あ、裏に専用口がありますから。そこにこの認識セキュリティーカードをかざせばはいれます」
アステルが懐よりカードらしきものをとりだし、そこにある機械のようなものにそれをかざす。
ピッ。
認証完了、角膜、声紋照合、パスワードを入力してください。
機械的な声がその場に響く。
「うわ!?どこから声が!?」
ロイドが思わず周囲を見渡すが。
「それも、魔科学、なのかしら?」
「その応用、とはきいてますけどね。よし、と」
ピピ。
認証完了。
それとともに、ガチャリ、という音。
「長くはあいてませんから、とっとと中にはいりましょう」
どうやら裏手の入口たる扉の鍵が開いた音、らしい。
アステルにうながされ、とりあえずそのまま建物の中へ。

「しいな!それに皆さんも!ってアステル!無事だったのか!?
  地の精霊の神殿にいくといったっきり連絡もなくてまたいつもの放浪癖がでたのかとおもってたが」
扉からはいり、奥の部屋へ。
ロイド達もかつてきたことのある部屋にとたどりついたとき、聞き覚えのある声が。
「「放浪癖って……」」
そんな彼のことばに思わず顔をみあわすロイドとジーニアス。
どうやらアステルがよくふらふらしているのは周知の事実、らしい。
「たしか、あなたは以前、サイバックの研究所にいた……」
それは覚えている。
だからこそのリフィルの問いかけに。
「ええ。その説は…しかし、神子様。なんか大変なことに巻き込まれているっぽいですね。
  というかついにあいつは本性を現したとかいいようが……」
そういう言葉にはおもいっきり嫌悪感がただよっている。
かつて、ロイド達にエクフィアの説明をほどこしてくれた、サイバックにいた研究院の一人。
なぜ彼がここにいるのかはわからないが、まあ同じ精霊研究所。
出張してきていても不思議ではない。
「あんなんでも人の親なのか、といいたいよね。切実に。
  ケイトのことはとりあえず、神子様達まかせるとして」
「おい。アステルく~ん」
おもわずそんなアステルの台詞にゼロスから突っ込みがはいるが、さらり、と無視し、
「それより、ブルーキャンドルが必要になったんだけど、在庫ある?」
「ありますけど。アステルももってたはずじゃ?」
「もうつかいきったからね~」
「…つかいきったって、何したんですか。…リヒター、お前がついていながら……」
盛大なるため息がつかれる。
「こいつに何をいっても無駄なのは今に始まったことじゃない。
  しばらく地の神殿の地下にもぐっていたらきづいたら蝋燭がなくなっていただけだ」
「…そういや、数日グミしかたべてないとかあのときいってたっけ……」
あのときのことを思い出し、ぽそり、とつぶやいてるロイド。
『・・・・・・・・・・・・・・』
何ともいえない静寂が一瞬部屋をみたしてゆく。
「と、とりあえず。アステル、報告書を提出しろ」
「え~。はいはい。というわけで、僕が報告書を書き終えている間に、
  神子様達はケイトのことを頼みます。それまでにキャンドルは用意しておきますから」
「「「いや、というわけでって……」」」
何やら意見もきかずに勝手に話しが決められているような気がする。
それはもうひしひしと。
それゆえかロイド、ジーニアス、ゼロスの言葉が珍しく同時に重なる。
「そういえば、前回は僕、ノイシュ達といたからここにはきてないんですよね。
  アステルさん、ここにある資料とかみれます?」
「かまいませんよ?でも一緒にいかないんですか?」
「あまり大人数だと目立つだろうし。それに僕がいたら、アステルさんとそっくりなこともあるし。
  目立つような気がするし」
たしかに、ここ首都にておいてアステルを知らないものはまずいないといってよい。
あるいみ歩く災害…もとい、危険人物、とみなされているアステル。
そんなアステルとそっくりなエミルが一緒にいれば下手に警戒されかねないのもまた事実。
エミルのいわんとすることを察し、その場にいた他の研究院達は苦笑をせざるを得ない。
まあ、そっくりなのにはおどろきはしたが。
まあ、雰囲気からしてまったくもって別人なのは一目瞭然。
親戚、といってもまずとおる。
下手をすれば双子といっても通るほどにそっくりなこの二人。
あるいみ、エミルが闘技場に顔をだせばそれだけで騒ぎになりかねない。
神子ゼロスが参加してもあるいみで騒ぎにはなるがそれは別の意味でのこと。
何しろこのゼロス。
こう見えて、闘技場のとある分野のチャンピオンの座に居座っているといってもよい。
暇だったからと参加して、チャンピオンになっているゼロスはさすがとしかいいようがないが。
「今からだと、たしか夜間の部の参加が受付になってる時間か?ぎりぎりか?」
「ですね。というわけで神子様達はよろしくおねがいしますね?」
結局のところ、アステルに押し切られる格好になり、エミルを研究院にのこし、
…しいなも契約した精霊のことで聞きたいことがあるらしくのこるらしいが。
ともあれ、ロイド、ジーニアス、リフィル、コレット、ゼロス、リーガル、プレセア。
この七人で闘技場にと向かうことに。


夜だというのに人でごったがえしているこの場。
メルトキオが誇るという闘技場。
ちなみに登録料さえ払えば誰でも参加できるらしい。
そして戦歴にあわせた報酬やアイテムがもらえる、とのこと。
「今日は参加者が多くて囚人はでないそうだ」
何やらそんな声がどこからともなくきこえてくる。
手に枷をつけているリーガル、しかも服も囚人服のようなぼろ。
ゆえに念のためにつれてこられている囚人なのだろう、とおもいあまり注目されてはいない。
「早くいかないと席がうまっちまうぞ」
夜だというのに熱気にあふれ、人々のそんな声がロイド達の元にととどいてくる。
「いいこと?誰か一人が試合にでるの。…ロイドがいいわね。
  その間に私たちはケイトがいる場所を突き止めましょう」
リフィルがてきぱきと説明する。
「ただし、手配書の件がまだ片付いてないからぐずぐずしないで」
「俺一人でいくのか?」
ロイドがつまらなそうにいうが。
「登録は私がするわ。へんなことあなたはしそうだもの」
リフィルがため息とともにいってくる。
肝心なことをロイドにまかすと下手に目立ちかなねないのはこれまでの経験と、
そしてロイドを担任として教えていたからこそ確信をもっていえる。
「まあいいや。とにかく、派手に相手をやっつけて注意を惹きつけておけばいいんだな?」
ロイドはよくわかっていないらしい。
「いらっしゃいませ。登録ですか、それとも見学ですか?」
いいつつも、てきぱきといいつつも、しばし顔をみつめつつ、
「え?あれ?もしかして、そちらの赤い人、手配書の人では?」
受付嬢のそんな言葉にたいし、
「登録料は五千ガルドだったわね」
「え。はい。そうですけど…」
「じゃあ、彼が参加するわ。はい、五千ガルド。それと、それからこれは私の気持ちよ。
  一万ガルド。受け取って」
「え?」
いきなり、どん、と目の前に一万ガルドが入った袋をおかれ戸惑いを隠しきれない。
そんな受付の女性に対し、
「差額は好きにお使いなさい」
「え、あ、あの……」
戸惑いの声を隠しきれない受付嬢。
好きに、といわれてもこまる。
まあ、彼女もまた教皇がだしたといわれるこの手配書にはかなり疑心暗鬼であるがゆえに、
それにきづいても報告する気はさらさらないのだが。
「お金って、こんな風につかうものなんですね」
プレセアがしみじみとそんな光景をみつついい、
「違うよ。多分……」
ジーニアスも何といっていいのかわからない。
「…とりあえず、神子様からの寄付金、という形にしますね。
  神子様、本日もおそらく神子様までの出番はないとおもわれますが?」
背後にいるゼロスにきづき、そんなことをいってくる。
「?ゼロス、ここに参加したことがあるのか?」
「神子様はこの闘技場のある部門における挑戦者をうける立場ですから」
最も、それは挑戦者がそれを望んだときに限る、のだが。
受付嬢がにこやかにいい、
「とにかく、受付は完了しました。それでは、参加者はそちらの扉から。
  それ以外の方はこの入口からははいれませんので御遠慮ください」
さすがに荒くれ者達がつどう闘技場の受付をしているだけはある。
動じることなく自分の役目をこなしつつ、いつものように営業スマイル。
そして、ちらり、とゼロス達をみつつ、小声にて、
「…あの扉の奥が監獄に続いているといわれています。あの、ケイトさんをよろしくおねがいします」
そういってくるその女性は、かつてケイトに幾度もたすけられたことがある。
ゆえに今このときにゼロス達がやってきた思惑をすぐさま見破り、小声でいってくる。
しばらくすると、受付嬢は何やらやってきた見回りの兵士らしきものと話しをはじめているのがみてとれる。
どうやら兵士の気をひいてくれているらしい。
「よし、いこう。参加者が規定数に達しないとき、囚人はあの扉からひきだされる。
  中はかなり広いからすこしばかり時間がかかるやもしれん」
「いきましょう」
ロイドはすでに案内人に導かれ、フィールドのほうへといっている。
どうやら参加者達が集う部屋につれていかれるらしい。
どうやら鍵はかかっていないらしく、そのまま鉄製の扉を開く。
「鍵が必要かもしれないわね」
「それならば、万が一のことがあり、ここにスペアの鍵が納められている」
リーガルがいいつつ、一つの壁の一角を軽く押すと、
ガコン、という音とともに小さな鍵の束が出現する。
「…何でこんなところに鍵があるのさ?」
「…ときどき鍵を落とす輩がいてな。そのためにここに隠しているときく。
  それに、わが社が点検をするときにいちいち兵士に断り、鍵を預かる時間がおしい」
ジーニアスの問いかけに淡々とこたえるリーガル。
あるいみ確かにその通り、ではあるが。
もっとも、そこに鍵がある、としっているのは関係者以外にはいない。
それに鍵が隠されている壁はどうみても普通の壁、すなわちレンガの壁でしかないのだから、
そこにそんなものがあるなど誰もがおもうはずもない。
ちなみに目印は入って四つ目の灯りの下にあるレンガの十二番目。
そのレンガを強く推すことにより、小さい隠し部屋、すなわち鍵が隠されている空間が出現する。
その空間を閉じるときもまた同じレンガを押すことにより、再び閉ざされ、
鍵がそこにあったとはぱっと見た目では絶対に誰にもわからない。
「では、簡単に牢の配置について説明する」
どうやらさすがに責任者という立場であることからこの構造も完全に把握しているらしい。
自らも知らなければいいものは創れない、というレザレノ社の社訓はどうやら上層部にも浸透しているらしい。
もっとも、上が率先して行っているので下のものも、というほうが正しいといえるのだが。
ともあれ、リーガルから簡単に牢の配置について説明をきき、
それらをくみあわせ、リフィルが一番効率のいい順路を導きだし、
それにのっとり用心深く一行は歩きだすことに。

「……何でこんなに広いんだろう」
リーガルが広い、といっていたがここまでとはおもっていなかったらしく、おもわずジーニアスが愚痴をこぼす。
「そうか。失念していたな。処刑間近といっていたな。奥の厨房かもしれん。
  それならこの先だ」
と、何やらウォー、という完成が遠くから響いてくる。
「?闘技場の人達の声…でしょうか?」
プレセアが首をかしげると、なぜか視界の先にみおぼえのある姿がうつりこんでくる。
「…どうしてあなた達がここにいるの?」
牢の中にぽつん、と座り込んでいる一つの人影。
そこに神子の…ゼロスの姿と、そしてプレセアの姿をみとめ、思わず声をだす。
「助けにきたにきまってるんだろ」
そんなゼロスの台詞に、
「ありがとう。神子様。でも、いいわ」
何かを達観したかのような声をだしているのは青い髪の女性。
「よくないだろうが」
おもわずゼロスが言い換えすが。
「それより、神子様、危険です。というより教皇は神子様をもなきものにしようとしています」
「それは今に始まったこっちゃないだろうが」
「それは……」
ゼロスのいかにもな台詞にしばしくちごもり、そして視線をプレセアにとむける。
「…あなた、プレセアね。…そう、報告にあったとおり感情を取り戻しているのね」
そういうその声に憂いはない。
「何か事情がありそうね。でも時間もあまりないの。
  事情があるならここをでてからきくわ。とりあえず、コレット」
「はい」
リフィルにいわれ、コレットが牢の鍵をがちゃり、とあける。
「いそごう」
プレセアも聞きたいことがあるが、しかし何といっていいのかがわからない。
そのまま元きた道をもどってゆき、リーガルが鍵を元の場所に戻すと同時。
「おおっと!挑戦者、乱入者を撃退~!シングル戦の優勝者がきまりました~!」
おおおおお!
何やら外が騒がしい。

「ななななな、なんでお前がこんなところにいるんだ!セレス!」
ロイドがいるであろう部屋にいくと、なぜかそこには見知らぬ少女が一人。
しかしその少女をみて珍しくあわてたようにゼロスが何やら叫んでいるが。
「おい。ゼロス。知り合いなのか?この子?いきなり闘技場に乱入してきたんだぞ?」
「な!?トクナガ!どういうことだ!それに、セレス、お前は修道院から出てはいけないんだぞ!
  わかってるのか!?」
何やらゼロスにしては珍しくあせったような声をだしているが。
「なんか、いきなり神子様のお供をつとめるのであれば強いのだの何だのといってたけど、こいつ」
「セーレースー?事と次第によっちゃあ、妹でも……」
セレス、と呼ばれし少女はしかしそのままうつむいている。
「お待ちくださいませ。神子様、全ては私の責任でございます」
「話しによるぞ。トクナガ、何がどうなっているのか、説明しろ」
装飾の大目のブラウスに、短いがたっぷりとしたスカート、そして大きめな帽子。
よくよくみれば、ゼロスによく顔立ちもその髪の色もよくにている。
妹、そう確かにゼロスはそういった。
たしかによく似ている、とおもう。
それゆえに納得せざるをえないロイド。
まあいきなりつっかかってこられたのにはたまげたが。
しかも乱入、という形で。
「お待ちください。神子様、違うのでございます。全てはわたくしの責任でございます」
聞けば、ゼロスの妹はとある修道院にいる身で、本来ならば外にでてはいけないらしい。
ゼロス曰く、かなり体が弱いく外にでるのも危険、らしいのだが。
よくもまあそんな少女が闘技場乱入、などしてきたものである。
ゼロスが手配をうけたことをしり、トクナガと呼ばれた人物曰く、いてもたってもいられず、
ゼロスがよるとすれば、王者の一角を担っているここにくるはず、というのでよくここにきていたらしい。
そんな中、ゼロスと共に旅をしているはずの手配書の一人が参加したのをうけ、
なぜか闘技場に乱入した、らしい。
どうにか聞きだしたところによれば、共のものにかてば自分も一緒に旅が認められる、とおもったらしい。
横ではおもいっきりケイトですらコメカミに手をあてているのがみてとれる。
抜けだす手引きをしたであろう、トクナガ、という従者をほめるべきか。
彼女はたしか、幽閉されている、という立場だ、というのに。
それを知っているがゆえにそのような反応をするケイトはおそらく間違ってはいない。
しかもあの一件には彼女の父がかかわっていることをしっているからなおさらに。
「ともかく、話しもいろいろとあるかもしれないけど。今はそんな時間はないわ。
  ひとまずここから無事に出ることが先決よ。ゼロス達もそれでいいわね?」
たしかにリフィルのいうとおり。
ゼロスがいうようにもしも出てはいけない場所からでているのならば、間違いなく騒ぎになる。
それでなくても罪人、としてつかまっていたケイトを脱獄させている今現在。
否、もうなっているのかもしれない。
どうやら闘技場に乱入、という形をとったらしいことからあるいみで目立っていることにはかわりない。
「まあ、闘技場に乱入して戦うというパターンはよくあることだからなぁ」
ため息とともにゼロスがそんなことをいっているが。
しかし、とおもう。
妹に嫌われているはずなのに、なぜにこの妹はわざわざあの修道院をでてまで、
自分の安否確認のような真似をしているのやら、と。
「うむ。騒ぎが本館的に大きくなる前にここから離れるのが最善であろう」
リーガルもそんなリフィルの意見にうなづき答えてくるが。
すぐにはケイトが脱獄したことはわからないであろう。
しかし、時間がたてばたつほどにそれは確実にわかること。

シングル戦に参加するのは始めは誰もが初級編。
参加料は五千ガルドなれど、優勝すれば一万二千ガルドとお薬セットが進呈される。
ロイドは時間稼ぎ、といわれていたがゆえに、そのままその上のコース。
すなわち、賞金において中級編にも登録し、そのまま戦闘。
その賞金、二万ガルドと薬草セットをもとにして、シングル戦の最終。
すなわち、上級編にも登録して戦ったらしい。
ちなみに上級編の参加費用は三万ガルド。
優勝賞金は三万二千ガルドとクローナーシンボルといわれし装飾品。
それと、各個人むけに応じたちょっとした武器。
ちなみに、ロイドはワルキューレセイバーとよばれし剣をもらったらしい。
その贈呈式のときにどうやらセレスが乱入してきた、らしいのだが。
ジーニアス達がきいた、観客席のほうからの声はどうやらその乱入者によって、
会場が一気に沸いたときの声、らしい。
何やら少し離れたところではゼロスと妹だというセリス、そしてそんなセリスの付き人だというトクナガ。
それに加え、セバスチャンも含めて話しているのがみてとれるが。
まあ、家族の間のことに口をだすのもやぼ、それゆえに。
「ケイトっていったよな?家族とかはいないのか?」
「そうね。たしかに、研究所に戻るのは危険かもしれないわね」
むしろ、脱獄の手引きをしたとか因縁を研究員達がつけかねられない。
ロイドの意見にリフィルが考えつつもいってくる。
「えっと。これからケイトさんはどうするんですか?」
心配そうにといかけるそんなコレットの姿やロイド達をしばしみたのち、しばし目をとじ、
「…母は亡くなったわ。父は…ダメ」
どこか諦めを含んだかのようなそんな表情を浮かべていってくる。
「?ダメって、どうして?」
ジーニアスがそんなケイトにたいし、といかけるが。
だがしかし、ケイトは無言で首を横にふりつつもそれには答えず、
「…お願いがあるの。私をオゼットまでつれていってくれないかしら?」
そんなことをいってくる。
「オゼット?」
「あそこは今……」
そういえば、絶海牧場から脱出したものの中に、かの村の人達がいたらしいが。
結局彼らはいまだにあちら側、すなわちシルヴァランド側にいる状態。
まあ、普通のものがテセアラに移動できるか、といえば答えは否。
いくらレネゲードとて一般人たる彼らを送り届けるようなことをするとは到底思えない。
「今、あの場所は無人になってるはず…だよね?」
コレットが首をかしげ、ロイドが言葉をにごし、ジーニアスが続けざまにいってくる。
プレセアをちらり、とみればうつむいているままではあるが、
家族そのものをあるいみ排除というかほぼ村八分にしていた村人たちとはいえ、
一応、彼女もまた思うところがあるらしい。
「それでもいいの?」
それは確認をこめたリフィルの問いかけ。
「ええ。あそこは私の故郷なの。お願い」
たしかに産まれ育った場所に戻りたい、という思いはわかる。
だからこそそれぞれに顔をみあわせ、
「わかったわ」
リフィルがそういうが、そんな彼女の言葉にしばし顔をふせたのち、
「…助けてくれてありがとう。…私は、そこの子を…プレセアを実験に使っていたのに……」
その言葉に思わずプレセアとケイトを見比べるロイド達。
プレセアはただしずかに首を縦にふるのみ。
「教皇の…命令だ、とききました」
命令に反対すれば間違いなく自分達の身のほうが危険になる。
だからこそかかわったのだろう、そうプレセアは判断している。
だからといって許せるようなものでもないのもまた事実だが。
「理不尽なことを強いられているものをたすけるのは当たり前だろ?」
そんなロイドの意見に
「…私の正体をしっても?」
「「?正体?」」
ケイトの言葉にロイドとジーニアスの声が重なる。
ロイド達は知らない。
ケイトが誰の娘なのか、ということを。
以前にアステルがいっていた女性がよもや目の前の女性だ、とはゆめにも思わない。
「…私の母はエルフだった。父は人間。そして、今はマーテル教会の教皇の地位にいるわ」
そんなケイトの告白に声をつまらせるロイド達。
しいなやゼロスはその事実をしっている。
「ち、ちょっとまってよ?!じゃぁ…あの教皇は…自分の娘を処刑しようとしたわけ?!」
「…それどころか、自分の娘がハーフエルフにも関わらず、ハーフエルフを排除するような法を通しているわね」
ジーニアスが思わず叫び、リフィルがハーフエルフに対するこの国、テセアラの法律のことを思い出しいってくる。
以前、地の精霊の洞窟において、アステル達がいっていた会話を思い出す。
『そもそも教皇も間違ってるよ。今のようにひどくなったのは教皇のせいなのにさ。
自分こそエルフと恋におちて、子供までつくっておいて?
なのにハーフエルフを処刑なんていう制度を提案して国に採用させてさ』
アステルは確かにそう言っていた。
まさかその女性が目の前にいる女性だとは夢にもおもわなかったが。
「ケイトさんってお母さんに?姉さんみたいに?」
自らの実の母だというバージニアはたしかに姉、リフィルと瓜二つであった。
自分達のことは狂っている今現在は把握できないようではあったが。
それでも、自分達のことを大切にしているのは言動からわかった。
母が姉だとおもって抱いていた人形は、かつて自分が産まれたときに、
姉が誕生祝い、といってつくった人形であるらしい。
心を壊すような出来事がいったいどんな出来事であったのかはジーニアスにはわからない。
だけども、うとまれていなかった、ということがわかっただけでも救いであったのもまた事実。
だけど、目の前の女性、ケイトは…
そんな会話をしている最中、どうやらゼロス達の話しあいもおわったらしく、
「まあ、このケイトは母親似らしいからなぁ」
どうやら話しをきいていた、らしい。
「だけど、そんな。そんなのひどい。ひどすぎるじゃないか!
  自分の娘を処刑しようとするなんて!」
ジーニアスが何やら叫ぶが、
「しかしなぁ。ハーフエルフが罪を犯した場合、例外なく処刑、と決めたのは、ほかならぬ教皇なんだぜ?」
そんなジーニアスにたいしゼロスが説明する。
そもそも、あの教皇があのような法を強制的に発動したゆえに今のように、
人種差別がひどくなっているのもまた事実。
「何だよ、それ!自分の娘がハーフエルフなのにどうしてそんなことができるんだよ!」
ゼロスの言葉にジーニアスが叫ぶ。
そんなジーニアスの態度に首をかるくすくませ、手をかるくあげたのち、
「おいおい。俺にかみつくな」
「絶対に教皇を許せない!」
一人何やらあつくなっているジーニアス。
その横では何やらロイドもうんうんとうなづいているのがみてとれるが。
「まって。父にひどいことしないで」
彼らは何かやる、といったら本当にやりそう。
ゆえにケイトはあわててとめる。
「どうして?あなたはひどいことをされてるのに!」
プレセアの実験の命令をだしたのも教皇、だという。
そんな人物をどうしてかばうのか、ジーニアスにはわからない。
「だって…それでも、父親だもの。父が私にエクスフィアを…クルシスの輝石を作る実験を命令したとき、
  正直いってうれしかった。やっと私のことをみてくれたって……」
「わかんない、わかんないよ!」
ジーニアスにはその感情がわからない。
常に姉に護られていたジーニアスにはそのあたりのことがわからない。
家族から…唯一の姉から拒絶されたことなど一度もないジーニアスはなおさらに。
実母たるバージニアにはあったが、実感がないのもまた事実。
「ジーニアス。おちつきなさい」
そんな弟にたいし、リフィルがいなすが。
「だって!」
ジーニアスのそんな言葉を遮り、
「…私、少しわかる」
「コレット……」
今までだまっていたコレットがぽつり、とつぶやく。
「レミエルが私のお父さんかもしれないっておもったとき、
  あれが死ぬための旅だったのに、それでもお父さんがやっと会いに来てくれたとおもったら嬉しかったから」
物ごころついたころから実の娘ではない、お前は天使の子なのだから。
そういわれて育っていた。
父のことは大切におもっている。
結局、育ての親が真実、本当の両親、であったわけだが。
「…とりあえず、私たちだけで研究院にいきましょう。
   どちらにしろ、今の私たちには足がないのだもの。
   普通に歩いてオゼットに向かったとしても、追手にみつかりかねないわ。
   仕方ないけど、エミルに協力を仰ぎましょう」
それが一番あるいみ無難。
夜に紛れ、そのままオゼットにむかえば、おそらく追手もまさか一夜でそこまで移動した、
とは思わないであろう。
それゆえのリフィルの提案。
「ついでにセレスのやつも修道院に送り届けてもらえるかねぇ。
  …ったく。まあ、俺様もエミル君に聞きたいことができたしな」
セレスがいうには、修道院に自分から、といってエミルがとある首飾りを届けにきたらしい。
自分はそんなことを頼んではいないが。
トクナガ曰く、それを身につけてからセレスはなぜか異様に体調がいいらしい。
ペンダントトップがプローチをもかねており、取り外せばプローチとしても使用可能。
深いまでの青き石、まるで海の、空の青さを湛えたかのような石が組み込まれているちょっとした細工。
かわいらしいイルカのブローチ。
その目の部分と、そしてヒレの部分に石が使われているのがみてとれる。
形的には二匹のイルカがジャンプしている所をイメージしたのか、重なり合っているデザイン。
青と白で色とられたそのイルカのネックレスをとめている金具もまた白くきらり、と光っている。
ちなみによくよくみればその鎖もすこし蒼みがかかっているのがみてとれるであろうが、
そこまで気づくはずもなく。
そのイルカに触れた刹那、ゼロスでもわかった巨大なる何かの力。
それはとても暖かく、ふとあのときの会話を思い出す。
自分は確かに、エミルにあのとき、セレスの健康を願った。
そして自由を。
確かめる必要がある。
最もそれはセレスには説明できないし、またロイド達にも説明はできない。
もしも、自分の想像通り…今、彼女が妹が身につけているソレが、
伝説のかの物質ならば、逆にセレスの身が危険に陥るかもしれない危険性がある、のだからして。
ともあれ、外にでるのはまずい、ということで。
セレスとケイトを屋敷に残し、一度ロイド達のみで精霊研究所にと戻ることに。


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あとがきもどき:
薫:一気にイベントが続きます(まてこら)
  ミトスをどこまで合流させとこうかな、とおもったけど。
  やはり、一度オゼットにもどったときにアルタステのところにおいていかないと、
  今後の展開にも面倒になるのもまた事実。
  ともあれ、次回はオゼットと、アルタステの家になるかとおもわれます。
  それからようやく闇の神殿~
  ではまた次回にてv

2013年8月28&29日(水&木)某日

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