まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

うちこみ時間がかなりあきました…自覚あり。
とりあえず、さらっと流します。セルシウス編……
セルシウスの涙は私的にはドライアイスに近いものだという認識だったりします。
あれは二酸化炭素の塊、ですけどね…
ようやく残りの精霊もあとわずか~
原作では大樹の暴走、しかし、この話しでは?
何はともあれ、いっきま~す。

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「ふむ。あと残りはアスカ達とシャドウになるか」
ミトスによる契約による楔の解放。
人が始めたことは人の手で。
この世界の精霊の理として契約をもってして力を貸し与える。
そのための誓約。
それをたがえることはままならない、とした理。
それゆえに精霊達は基本、嘘をつくことができなくなってはいるが、へりくつは可能。
そもそも嘘をつかなければいいだけのこと。
「すでに新たな理は引き終えた。あとは実行のみ」
そう。
すでに新たな理はひきおえている。
伊達に地上に自らが出向いていたわけではない。
「それでラタトスク様。どのように?」
この場に集っている全ての精霊達を代表し、オリジンが問いかけてくる。
「そろそろお前達に説明してもよいかもしれんな。それは……」
人が自らマナを認識しなければいい。
ただそれだけでマナの消費…無用なる消費はおさえられる。
もっとも隠すだけでそこにあることは事実なれど。
まあ、しばらくは混乱がつづくであろうが、それは人のあるいみ自業自得。
エルフ達にしろ自分達がまいた種、ともいえることなのだから。

光と闇の協奏曲 ~氷の洞窟と精霊と~

「さむ~!」
何か前にも同じようなことをいったような気がするな。
そうはおもうが寒いものはさむい。
そもそも服だけでは積もった雪にて靴の中にはいりこんでしまうことから、
ブーツを購入しなければ、確実に靴の中に雪がはいりこみ、足が寒さで凍えてしまいそうなほど。
宿として解放している宿舎にいってみれば、人数分の部屋は確保できずそれぞれ数名づつ、ひと部屋に。
という形でとりあえず部屋のみは確保したものの、部屋の数は三つほど。
計算上は一部屋に三人づつ、もしくは四人、という形で寝泊まりする形にはなっている。
何やらその力をみとめられ、祭りの雪運びに駆り出されてしまったプレセアはともかくとして。
仕方なく、宿にのこるもの、祭りに協力するもの、そして精霊のもとにいくもの。
三つの組にとわけての別行動。
宿にのこったリフィルとリヒターはミトスの看病がてら。
もっとも、二人とも料理の腕が壊滅的なことから、料理は宿舎の料理人にまかすように、
とロイドはいってきたがどこまで守られるかどうかはかいもく不明。
ジーニアスはプレセアを手伝う、といい、リーガルは何やら宿舎のもの、
すなわちレザレノ・カンパニーに所属しているという人物と話しがあるとかで同行はしていない。
ゼロスからいわせてみれば、それは仕方がない、といいきっていたが。
精霊との契約をするにあたり、しいなは絶対にかかせない。
ゼロスは街に残るよりは洞窟にいったほうがまし、といい契約組にと参加している。
結局のところ、宿にミトスがのこり、それの看病にてリヒターとリフィルがのこり、
リーガル、プレセア、ジーニアスは祭りにあるいみ参加に駆り出され、
それ以外のもの。
すなわち、エミルを含めた、ロイド、コレット、しいな、ゼロス、アステル。
十二人の内、そのうちの半分の六人で精霊が住まうという洞窟に向かっている今現在。
「でも、雪の中を進んでいたら本当に旅にでた直後のこと思いだすよね。ロイド」
コレットが何やらそんなことをいっているが。
それでも雪をわざわざ手袋をはずしてつかんで、つめたい、とはしゃいでいる様は、
あるいみほほえましいというか何というか。
「コレットさんは雪がすきなんですか?」
そんなコレットをみてアステルがといかけるが。
「好き、というか。冷たい、とわかるのが嬉しいの」
そういうコレットの言葉におもわずしいなが顔をくもらせる。
しいなが顔をくもらせたのは、その理由をしっているがゆえ。
「つうか。コレットちゃん。旅にでた直後をおもいだすって、シルヴァランドにも雪がふってたのか?」
さりげなく話題をかえてといかけてくるゼロスに対し、
「うん。私が神託をうけて旅にでたとき、雪がすごかったんだよ」
ディザイアンの主が復活し、世界に異常気象がおこっている。
それをとめるためにもこのたびの旅は成功させなければならない。
そういわれていた。
しかし、現実にはディザイアンの主なるものはおらず、また異常気象もなぜか、
旅の最中にぱたり、とやんだ。
いまだにどうしてあのような現象になっていたのかは正確にコレット達はしらない。
最も、エミルがいうには、エミルが目覚めさせていたセンチュリオンという存在がかかわっている。
というのは何となくではあるがつかめはしたが。
そのセンチュリオンが何なのか、ということまではいまだにコレット達は知らない。
「ああ、そういえばそちらでも異常気象があったそうですね。
  こちらの上層部はそちらの再生の儀式が始まった影響とかわけのわからないことをいってましたけど」
そもそも、再生の儀式はマナの流れを変換させるもののはず。
いまだに儀式が始まってない最中にそのようなことがおこるはずもなく。
もっとも、あちらの世界で始まったかどうか、ということを正確につかめることはできないが。
しかし、アステル達、もともと精霊やマナを研究していたものからしてみれば、
あのときの異常気象の原因はそれではない、と常々おもっていたのもまた事実。
「そういえば、アスカードの偽の精霊の一件ののち、綺麗さっぱり異常気象なくなったっぽいよな」
ふとロイドが思い出したようにいってくる。
「あ。そろそろ洞窟がみえてくるころじゃないですか?」
どうも話題がウェントスのことに触れかねない。
まあ別に話題がうつっても問題ないような気もしなくもないが、念には念をいれたほうがいいのもまた事実。
ちょうどいいことに、視界の先に雪に覆われた山らしきものがみえてくる。
「ああ。あの麓にあるはずですよ。あ、あと注意しておきますけど。
  氷におおわれた地面があってもそこにのらないようにしてくださいね?
  下手したらそのまま滑って別の場所に移動しかねませんので」
こちらのほうの道にもいけるのかな?とおもって移動したはいいものの、
そのまま足をふんばることもできずに氷にはばまれ場所を移動したことがあるがゆえの台詞。
そんなアステルの台詞に、
「なんか地面が滑るなんて面白そう。ね、ロイド」
「ああ。時間があったら遊べるのになぁ」
そんなコレットとロイドの会話をききつつ、ため息ひとつ。
「遊びにいくわけじゃないだろうが。ったく。
  しかし、氷の精霊…か。アステル、氷の精霊について詳しい説明をお願いできるかい?」
ため息をつきつつも、精霊のことに詳しいであろうアステルにとといかけているしいな。
「文献では、氷の精霊、セルシウスは常にお供に氷属性をもつ魔物を従えている、
  とのことでしたけど。あと資格なきもの、覚悟なきものは氷に閉じ込められるともありましたね。
  どこまで事実なのかどうかはわかりませんが。ですけど、かつて精霊の力を利用しようとした、
  国の指示のもとに出向いたものが氷に閉じ込められた、というのは有名ですし」
ちなみに氷づけになったその姿をみて当時の上司が憤慨し、その彫像を壊したらしい。
まだ姿が元のままならばどうにかなったであろうが、粉々に壊されてしまえば復活は不可能。
最も、精霊の怒りから氷づけになったのであれば復活できるかどうかは疑問なれど。
まあ、あの子も容赦はしないからなぁ。
そんなアステルの説明をききつつもそんなことを思うエミル。
おそらく確実に上から目線で、しかも命令口調、さらには理不尽なことを愚かなるヒトが要求したのであろう。
自分達でつくりし権力、という愚かなる枠にはめられている人のやりそうなこと。
そんな会話をしている最中、やがて山の麓にとたどりつく。
周囲にうろうろとした人の大きさほどのペンギンのような魔物の姿が垣間見えるが。
ピクリ、と魔物達が反応し、なぜかすっと横によけていく様がみてとれる。
そんなペンギニスト達の様子に思わずこめかみに手をあてるエミルはおそらく間違ってはいないのであろうが。
そのままため息とともに、彼らのみにわかる原語で念の為にと指示をだしておく。
下手にこちらにたいし、かしこまった態度をとられ、こちらの正体に気づかれてでもしたら面倒でしかない。
それゆえの指示。

この時期、本来ならば子育ての時期らしく、魔物達は近づく人間に対しては常に攻撃的。
…のはず、なのだが。
たしかにペンギニストはそこにいる、のにまったく攻撃をしかけてくる様子はみあたらない。
それどころか近寄ってすらこないことに疑問を覚えるが、
幾度かこの場にきたときは、この時期はともかくペンギニスト達に邪魔され、
なかなか研究すらはかどらなかった、というのに。
ゆえにこの時期はこの場は調査対象からは外されている。
下手に魔物を刺激して、そのまま街に繰り出されてもしたら厄介、というのが上の意向。
降り積もっていた雪は、この時期はペンギニスト達の手により、
小さなけもの道が洞窟との間に構成されており、人が行き来するにはあまり苦労はしない。
ペンギニスト達は基本、洞窟の中に巣を構え、このあたりを縄張りにし生息している魔物達。
いまだにその生態系には様々な憶測が交わされているが、
つまるところいまだにきちんとした生態系がきちんと把握されている魔物ではないのもまた事実。
ところどころにあるちょっとした雪の塊。
すこしなだらかな傾斜をすすむことしばし。
やがてぽっかりと山の麓にひらいた洞窟の入口がみえてくる。
「…この時期、子育ての時期なので普通はペンギニスト達といった魔物は人をみたら襲ってくるんですけどね……」
周囲に姿はみえるのにまったくおそってこない魔物をみつつぽそり、とつぶやくアステル。
その視線が何となくエミルにむいているのはおそらく気のせいではないであろう。
襲ってこない原因で考えられるのはエミルの存在しかおもいつかない。
魔物すら使役できるのはこれまでの旅でアステルもまのあたりにしている。
もしくは、エミルのもっているという世界樹の小枝というその波動にきづき襲ってこないのか。
そのあたりは全ては憶測。
いまだにこれ、といった確定できる根拠が見当たらないので断言できないのもまた事実。
もっとも、人にとってペンギニストの卵は栄養価もたかいことから乱獲対象でもあることから、
ペンギニスト達が人をみたら襲いかかる、というのもあるいみ自己防衛、といえるであろう。
人はどうしても己達の基準でしかかんがえないが、
相手の立場からしてみればヒトは自分達の子供をうばいにくる悪者でしかないのだから。

山の麓にとある洞窟への入口。
周囲が雪に埋もれているがゆえに、洞窟の入口はぽっかりひらいた黒い穴のように目立っている。
地面もいたるところが氷つき、気を抜けばおそらく滑ってしまうであろうほどの冷気。
「まずは、セルシウスの涙をさがしましょう。
  セルシウスの祭壇がある地にいくには地底湖を超える必要があるんですけど。
  そこは常に地下水がわき出ていてちょっとやそっとでは渡れなくなってるんです。
  それに、その地下水が異様に熱いために下手に水に入って、というのも危険ですし」
そこまでいい、にこり、とほほ笑み。
「それゆえに常にこの洞窟には霊気と水蒸気によって氷に覆われているとみられている。
  ゆえについた名が氷の洞窟」
ロイド達を見まわすようにといってくるアステルの姿。
「その地下水の熱湯を一時にしろ凍らすためにもセルシウスの涙は必需品なんですけど。
  ついこの間までつづいていた異常気象によってその涙もとれなくなって。
  異常気象の原因が精霊にあるのでは、とおもい研究院が派遣されましたが、
  祭壇にたどり着くことすらできなかったという経緯もありますしね」
急激な水の温度変化は多大なる水蒸気をともなう。
それを利用して最低限のマナにてこの地を氷属性に変換している、というのが人からみての見解。
事実はセルシウスのもとにちょくちょくかつてイフリートが移動するのに、
自分の道、として地下水を利用していたがためにそのようになっているのであるが。
もっとも、いくら水温がたかくても周囲の気温が低いがために逆に水蒸気が発生し、
周囲の気温をさらに下げている、という効果をもたらしているのもまた事実。
さすが精霊を研究している、ということだけはありテセアラ側の認識を説明してきているアステル。
「もともとここは過冷却状態の地底湖だったんですけどね……」
かつてあまりにイフリートが幾度もくるので、下手にどこからでもこられるよりはまし、
とおもい、この場のみを道に、と許可をもとめてきたことは記憶にあたらしい。
そのころはまだ人は魔科学などというものには手をだしてはいなかったが。
「かれ・・・?カレーがなんで湖と関係あるんだ?」
「「「・・・・・・・・・・・」」」
意味がわからないらしくロイドがそんなことをいってくる。
それゆえに一瞬その場にいる全員が思わずだまりこみ。
「…は~……ロイド君よ~。冗談にしてはあまりひねりがないんじゃないのか?」
盛大なるため息とともにゼロスが何やらいってくるが。
「あの、ゼロスさん。どうも感覚からしてロイド…本気でいってるみたいですけど……
  あのね。ロイド、カレー、ではなくて、過冷却かれいきゃく。
  リフィルさんの授業でたぶん習ったことがあるだろうけど、物質におけるとある特徴のことだよ。
  簡単にいうと、過冷却かれいきゃくとは、物質の相変化において、
  変化するべき温度以下でもその状態が変化しないでいる状態を指してるんだよ。
  たとえば液体が凝固点転移点を過ぎて冷却されても固体化せず、液体の状態を保持する現象。
  水であれば摂氏零度以下でもなお凍結しない状態。
  特徴でいえば第一種相転移でいう準安定状態にあたるんだよ」
そんなエミルの説明に、
「詳しいですね」
「基本ですし。個体、液体、気体の状態変化は」
もっともそのようにしているのもまた自らなのだがそれはいう必要がないがゆえにいわないが。
「しかし、過冷却状態であったというのは初耳ですね。
  我々が調べ始めたときにはすでに今の状態だったんですけど。
  もっとも、精霊研究が盛んになったのもまた近年なので一概にいつから、ともいえませんが。
  それでも記録にあるかぎり百年ばかり前にはすでに今の状態であったはずですけど?」
いいつつもアステルが首をかしげるものの、
「それより、氷の花をさがしにいかなくてもいいんですか?」
さらり、と話題をかえているエミル。
まあ、今の人が知るはずもないこと。
そもそも、彼らヒトがいうところの古代大戦より前のこと、なのだから。
「そういえば、少し前までの異常気象でこの洞窟の氷もほとんど溶けてたっていうしな…
  セルシウスの涙はそのためにかなり値上がりしてるってきいたぞ?」
ゼロスがふと思い出したかのようにといってくる。
「そういえば、フラノールの街でセルシウスの涙をみつけたらいいねで買うっていう人もいましたね」
いつものごとく聞きこみをしているがゆえにそのあたりのこともぬかりはないらしい。
「まあ、一商人が払える金額はたかだか知れてるだろうがな~」
「巫女様からしてみればそうでしょうね。まあ僕もあまりお金はつかいませんし」
基本、研究所から配布されるのでことたりている。
「ねえねえ。しいな、そのセルシウスの涙っていったいどんなものなの?」
コレットがつんつんとしいなの服をひっぱりつつもといかける。
「あんたらのところでいう、たぶん砂漠の花の氷版みたいなもんだよ。
  トリエットだっけ?たしか名物だったろ?砂漠の花」
「あ。しってる。砂嵐の後にみつかる砂が薔薇のような形をしたものだよね?
  水分を含んでかたまったもので取り扱いに気をつけないとすぐにこわれるっていう」
「ああ。その氷版だよ。もっともこっちは取扱にきをつけないといけないのは。
  その氷はかなり温度が低いせいで普通にもったら低温火傷をしちまうってことだけどね。
  ちなみに上流階級ではその花をおいて涼む、というのもはやってるらしいよ」
気温がある程度ある場所におけばゆっくりとその氷の花から冷たく白い煙が発生する。
正確にいうなればその氷によって空気中の水分が凍りつき白煙が発生するのだが。
とある場所でいうところのドライアイスに似ているといってよい。
もっともこの世界において今現在、それらは作成されてはいない。
かつての古代大戦より前はよく普通に人も二酸化炭素をもとにその品を作成、利用してはいたが。
しいなとコレットの会話をききつつもふとそんなことを思い出しているエミル。
おそらく今のテセアラ側の技術でもアレを作るのは難しいであろう。
もっとも、クルシス側ならばできるであろうが。
彼らは体温というか周囲の温度差を感じなくしているがゆえにその必要性を感じてはいないがゆえに、
その開発にまで至っていない。
「たしか、よくセルシウスの涙がとれる場所はあまり足場が安定してないんですよね。
  さすがに七人でいくのは危険かもしれません」
「たしか、ペンギニストミトンをもらってるのはロイドとコレットですよね?」
他のものは手袋を今現在はしていない。
もこもこの格好をしているのは今現在、ロイドのみ。
コレットのほうは最近温度を感じ始めたがゆえに簡単な防寒具を身につけてはいるが、
ロイドほど着こんではいないのもまた事実。
ちなみにロイドがきている服はジーニアスに促され、なしくずしてきに、といっても過言でないのだが。
「とりあえず、場所は僕が説明できますし。
   なら、ロイドさんに一緒にきてもらえますかね?あとしいなさんも。
   セルシウスの涙を手にいれてもずっともっている、というのも危険ですし。
   たしか符術にて対象物を保護する術がありましたよね?」
「わかったよ。でも、だとしたらコレット達はどうするんだい?」
「何なら地底湖の前でなら待ち合わせ、というのはどうです?」
しいなの問いかけに、にこやかにエミルが提案してくる。
たしかにその案は悪くはない。
それゆえに。
「なら、それで」
たしかに足場のわるい場所に大人数でおしかけて、それで何かあっては困るのも事実。
ゆえにひとまず一行は二手にわかれ行動することに。


「うわ~。ものすごい水が噴き出てるね」
二手にわかれ、奥にすすむことしばし。
奥にすすんでゆくとちょっとした地底湖にといきあたる。
その奥には扉らしきものがあり、エミル曰くその先が精霊の祭壇らしきものがある、とのこと。
正確にいえばそこはクルシスによって創られた偽りの祭壇、なのだが。
「これ、ソーサラーリングでも凍らないのかなぁ?」
コレットが湛えられている水をみつつそんなことをいっくてる。
「些細なマナくらいだと凍らないとおもうよ」
もっとも、エミルのもっているソレならば確実に凍らせることは可能なのだが。
「コレットちゃんならこれくらい飛んでいくのも手なんじゃないのか?」
ゼロスがそういうが。
「それはやめといたほうがいいよ。
  ときおり、ここの湖は間欠泉のごとくに噴き出すことがあるから。
  いくらコレットといえど火傷は免れないよ」
ちなみにいくら無機生命化が完全になっていたとしても石にとひびく。
急激なる温度変化はいくら無機生命化…すなわち、無機物となっていても不調をきたす。
ここにあまり天使達がちかよらないのも彼らが身につけているエクスフィアが不調をきたすがゆえ。
あるいみ、セルシウスがこの地の湖を熱いままでおいているのも理由の一つ。
ミトス達にこれ以上干渉されないがための簡単な措置の一つ、といえる。
「しかし、エミル君ならこの先に簡単にいけるような気がするんだけどなぁ。俺様としては」
ゼロスのそんないい分をさらり、とかわし。
「ま、ロイド達をまっているあいだ、飲み物でものんでまってようよ。
  コレットは何がのみたい?あ、ゼロスさんは何がいいですか?」
いいつつも、腰にさげている鞄の中から何やらガラス容器を取り出しているエミル。
ついでにコップもいくつかとりだし、それとともにわらわらとちかよってくる数匹の魔物達。
「あ、皆のもあるから」
そういいつつも、大きめの入れ物にシルクで編まれたパックの中にハープをいれこみ、
それを近寄ってきた魔物達の前にとおいているエミル。
それにともない、魔物達が一斉にその入れ物にちかより、呑んでいる様子がみてとれるが。
「魔物さんたちもエミルのハープティーが好きなんだ~」
「…これで動じないコレットちゃんは本当にあるいみ大ものだと俺様はおもうわけで…」
その様子をみても動じないコレットに苦笑するしかないゼロス。
いくら天使化しているとはいえ、最近ではなぜか外気温の変化が手にとるようにわかるようになっているのもまた事実。
それゆえに暖かな飲み物はあるいみ助かるのもまた事実。
寒い中、温いものを体内にとりいれれば、人間、不思議なことにときおり睡魔が襲ってくることがある。
それはどうやら魔物達にもいえるらしい。
よくよくみれば、こくり、こくりと数匹の魔物達が船らしきものをこいでいるのがみてとれる。
何ともほんわかしか光景。
…その対象が魔物達である、というのを除けば、であるが。
と。
「うわ!?」
ふと背後からきこえる聞きなれた声。
みれば、どうやらロイド達がもどってきたらしい。
その声に驚いたのか魔物達が一斉にそのままちらばり、あっという間に姿をけしてゆく。
「あ、おかえり。ロイド達ものむ?ハーブティー?体あたたまるよ?」
「お、サンキュー」
魔物達がいたことに驚きはしたが、そこにエミルがいることからまたか、という思いとともにさらりと無視し、
そのままエミルに促されるままにコップをうけとっているロイド。
「それで?セルシウスの涙はあったのか?」
ゼロスの問いかけに。
「ええ。数はすくなかったですけど。とりあえずこの湖を凍らすくらいならば可能な大きさのをみつけました」
いいつつ、しいなの符につつまれているらしいまるい物体をとりだしつつゼロスにこたえているアステル。
とりあえず一時休憩したのち、そのまま容器をかたずけるエミルを背後にしつつ、
「じゃ、つかいますね」
いいつつも慣れた手つきで符にくるまれたままのソレを取り出すようにして、
中身のみを湖にとほうりなげる。
刹那。
ピシリ。
氷でできた花…幾弁にもわかれた花のようなそれが水に触れるとともにピシリ、という音とともに凍りつく。
またたくまに表面が凍り憑き、通行可能となっているのがみてとれる。
「滑りやすいですから気をつけていきましょう」
「きゃっ!」
いうと同時、そのままコレットがこけているが。
それと同時。
ピシピシピシ…
「「・・・・・・・・・・・・・・・はしれぇぇぇ!!」」
コレットがこれた場所からまたたくまにヒビがはいり、あからさまにあやしい雰囲気。
おもわずロイドとゼロスが顔をみあわせ、そのまま叫ぶ。
ロイドがコレットの手をとり、そのまま走りだす。
滑りやすいが何だろうが人間必至になればどうにかなるもの。
コレットがこけた場所からたしかに凍りついたはずだ、というのに、
またたくまに湯気…否、水蒸気が立ち上り、あっというまに氷が解けていっているのがみてとれる。
必至で走っているロイド達は気づかない。
エミルがのんびりと進んでいるその足元は、たとえそれが水であってもエミルがその上を普通に歩いている、
というその事実に。
どうにか無事に凍りついた…否、凍りついていたはずなのに、
氷がとけかけた湖を走り抜けて一息つく。
ふとみればどうやらその先はちょっとした扉のようなものがあり、
その扉をくぐるとそこはちょっとした広間のようになっているらしい。
どうやら無意識のうちに力任せに扉をひらき、ロイド達はその広間にとはいってきていたらしい。
よくよくみれば四か所に石柱のようなものがあり、
それは何らかの細工がほどこされているのがみてとれる。
その先には普通の石の壁しかみあたらず、よくよくみれば石の壁の一角に、
何やら紋様が描かれている壁がみてとれる。
そして不自然なまでの四隅におかれている石柱の中央に、
黒い石碑のようなものがぽつり、とおかれているのがみてとれる。
「えっと、これ、何ってかいてあるんだ?」
ロイドがその石碑を除きこむが、そこにかかれている文字はロイドにはわからない。
「これ、天使言語だよ。えっと…」
コレットがそれを読もうとするが、
「見渡せる場所に答えはある、とかかれているんですよ。
  この先にすすむには、この四隅の石柱に刻まれた顔の部分を変更する必要があります。
  あれ、回せるのでそれぞれの顔部分が壁際…
  中央に向かないようにかえないとこの先の道はひらかれませんよ」
伊達に幾度かここに訪れているわけではない、そんなアステルの説明に。
「けっこう楽な仕掛けだな」
そうおもうが、しかしヒントも何もなければわからなかったであろうことにロイドは気づかない。
最も、ここにリフィルがいれば、石碑にかかれている文字のみで正解にたどり着いていたであろうが。
ガコン。
四隅にある石柱をまわし、それぞれの石柱の上にある顔らしき部分をそれぞれ別方向にとむけてゆく。
それとともに、がこん、という音とともに、さきほどみた何らかの紋様がかかれている扉が開かれる。
「この奥に精霊の祭壇があります。もっともいまだに僕らも氷の精霊には御目にかかれないんですけど」
そこに祭壇があるがゆえにそこにいるのは確か、なのであろうが。
いまだに精霊を目撃した、という情報がないのもまた事実。
無理やりに精霊と繋ぎをとろうとすればそのものはまずまちがいなく氷の彫像と化している。
ノームからここに確実に氷の精霊セルシウスがいる、という確証は得てはいるが、
アステルもいまだ氷の精霊そのものにあったことはないといってもよい。
だからこそ精霊の神殿にいくというこの一行についてきたのもまた事実。
開かれた壁をくぐりぬければそこはかなり開かれた場所。
中央にロイド達にとっては見慣れたものがみてとれる。
それはこれまでの精霊の封印の場でみていた祭壇のような何か。
と。
刹那。
瞬時のうちに部屋そのものが凍りつく。
それまで普通の大地であったそれらが全て凍りつき、完全にこの部屋そのものが氷の部屋とかしている。
それはほんの一瞬の出来事。
それとともに、
【契約の資格をもつものよ。私の名はセルシウス。かつての勇者ミトスと契約するもの】
凛、とした澄んだ女性のような声のみが部屋の中にと響き渡る。
しかし声はすれども姿はみえない。
一瞬顔を見合すロイド達。
が、しいなが意を決し、一歩手前にでつつ、
「我はしいな。セルシウスがミトスとの契約を破棄し、我と契約をすることを望む」
祭壇のようなものの前においてこれまでのように口上をのべるしいな。
と。
【私と?面白い。お前が私を扱えるのか。試してみるがいい。その力、私の前に示してみよ】
それとともに、祭壇の上に濃いマナが凝縮し、それはやがて形をなす。
青き髪を肩よりも少し上できりそろえたような、動きやすそうな服装の青白い肌の女性。
そしてまた、その横には何やらみたことがある魔物が一体。
「あれは…まさか、フェンリル!?」
それをみてアステルが目を見開くが。
「氷属性のフェンリルンだよ。あれは」
そんなアステルにたいしさらり、と追加説明を加えているエミル。
この場にてきづいたのはゼロスのみ。
セルシウスとみうけられる精霊が具現化したその一瞬、
あきらかにこちらにたいし、礼をとった、ということに。
「そちらの人数は六人か。参加できる人数は四人とする。
  契約の資格をもつものは必ず加わるように、汝らの力を私の前に示してみよ」
セルシウスがさらに視線にて深くエミルにたいし深く礼をとったのち、
その視線をしいなたちにむきなおしいってくる。
「僕はここでみてるね~。アステルさんはどうします?」
「僕も戦闘にはむかないし。それに外から精霊セルシウスの行動を観察してみたいのもありますし。
  というわけで僕も参加しませんので皆さんがんばってください」
にこやかにアステルがいい、
「ということは、結局、残された俺様達だけってか?ま、いっか。
  ロイド君よ、準備はいいか?しいな?おまえさんの覚悟は?」
「ああ、いつでもいいよ」
「では、いきます」
セルシウスの声とともに、戦闘が開始される。

ロイド、コレット、しいな、ゼロスによる四人と、セルシウスとそれにともなう魔物フェンリルとの戦闘。
よくよくみれば、薄い膜?のようなものが彼らとエミルとアステルがいる間にできているのがみてとれる。
「これは、いったい?」
「ああ、ただの障壁でしょ?あちらの衝撃がこちら側にとどかないのはこれが理由ですよ」
たしかに、それぞれが術を行使しているのにまったくもってこちら側に反応はない。
それもきになるが。
「でも、精霊とあろうものがあまり攻撃をしかけてないのがきになるんですけど……」
使っているのはどうも同じような術?ばかり。
しかもざっとみるかぎりさほど威力がないものがほとんど。
「あくまで力の確認と覚悟の確認だからじゃないですか?
  ヴォルトのときにあの子がいってんですけど、契約の破棄だけはみとめる云々といってたくらいですし。
  覚悟なきものが力をえても、また間違いをおかしかねないからだとおもいますけどね」
いいつつも。
「そういえばアステルさんはどうして精霊を研究しようとおもったんですか?」
それがきになる。
切実に。
そもそも自力で自分の存在にたどり着いていることすらにも驚愕せざるを得ないが。
ほとんどの資料をクルシスが…ミトスが破棄している中でたどり着けている、というその事実。
偽りの真実を人に信じ込ませるためには真実をつたえるものは邪魔だとばかりに率先し、
ミトスはそれらの資料になるであろうものを破壊していっている。
ラタトスク自身を裏切っている証拠といえる行動の一つ。
「マナ、というその存在そのものに興味があったから。
  何しろ万物のもとといえる源ですし。それを解明できればもっと便利になるのじゃないか。
  とおもって。それがまずのきっかけですね」
始まりのきっかけは、目の前にて魔物が死したときに光りとなって大気にとけたこと。
まだ幼かったアステルにはそれはとても衝撃であった。
そんなアステルの説明にふとエミルは顔をふせる。
その先にあるもの、それは、豊かさのみを追い求め、破滅に導いた人の行動。
かつてにおいても、そしてこの大地においても。
やはり、目に見えてわかるものがそこにあれば人はそれを追い求めようとするのであろうか。
そんな思いもふとよぎる。
他の場においては、たしかにマナを利用していても人の目に触れないようにすることにおいて、
それが悪用されるようなことは滅多とおこっていないというのに。
それは今までの経験上においていえること。
「?あの?」
「ううん。何でもないんです。あ、そろそろ終了するみたいですよ」
よくよくみれば、どうやら戦闘も終盤、らしい。
もっとも、どうみてもロイド達が翻弄されまくっているのがみてとれるが。
「ふむ。実力はまだまだ普及点、といったところであるな。
  だが、まあよかろう。お前達が私と契約することを認めよう」
「「「え?」」」
決定的なまでの一撃を加えられたわけではない。
むしろ翻弄されまくっていた。
にもかかわらずの精霊の申し出。
だからこそセルシウスの言葉に思わず異口同音で言葉を発するロイド、しいな、ゼロスの三人。
コレットのみは理解していないのかきょとん、としているままではあるが。
ふと、しいなはイフリートとの契約のときを思い出す。
あのときも戦闘という戦闘はまったくもってなかった、といえる。
逆に精霊にたいし同情してしまったのもまた事実。
…エミルがいったい精霊に何をどう説教?したのかがかなりきになるが、
結局怖くてきけなかったあのとき。
今をもってしてもあのときのことは詳しくきけていない。
否、聞くことができていない。
そんなしいなの心の葛藤など気にかけるはずもなく、
「さあ、誓いをたてよ。私を使役できるような誓いを」
「えっと…いいのか?俺達かってないのに?」
「いいんでないの?相手がいいっていってるんだし。さ、しいな」
ロイドが戸惑いの声をあげ、ゼロスがさらり、とそんなロイドの言葉をながししいなをうながす。
「あ、ああ。二つの世界がお互いを犠牲にしなくてもいい世界を作るために。
  セルシウス。あなたの力をかしてほしい」
何か符におちないが、相手…精霊がいい、というのだからいいのであろう。
というか、イフリートのときといい、どうも調子が狂うといってよい。
しかも戦闘もどうも相手がおもいっきり手加減してくれているのがひしひしと感じられる。
そこまでしてミトスとの契約の破棄を精霊が望んでいるのか、それとも別の理由があるのか。
それはしいなにはわからない。
「承知した。が、汝らが自らの誓いを破りしとき、または我らの力を悪用しようとしたとき。
  我ら自らがその契約が破棄できることを誓いに組み込ませてもらう」
「あ。ああ。それでいいよ」
その言葉とともに、光りがはじけ、しいなの手の中に一つの指輪がゆっくりとおりてくる。
それはサファイアが組み込まれている指輪。
氷の精霊との契約の証。
しいなが指輪を手にするとほぼ同時。
きっん。
赤い光がセルシウスの少し真後ろのあたりにと出現する。
それはまたたくまに一つの形をなしてゆく。
「……セルシウス。久しいな、というべきか?」
「ち。お前か。そうか。先にお前達はそういえばイフリートの契約を済ませていたのであったな。
  というか、お前、具現化できるほどに回復していたのか。そのままでいればよかったものを」
ちなみに、イフリートが一瞬、具現化できなくなっていたことはセルシウスはきいている。
というよりは報告にきたグラキエスがその旨をセルシウスに報告していたから、なのだが。
「ぐっ。互いに相容れぬとはいえそうも我をさけるか」
「……ほんと、役目だけきちんとこなして大人しくしておけばいいものを」
何やら言葉につまりつついっているその場にあらわれたイフリートにたいしばっさりと切り捨ているセルシウス。
「ともあれ、これで私とイフリートのマナ。ミトスが貸していたマナの楔が解放されたというわけだが。
  まあ、我らのマナが分断された形になったのは喜ばしいことではあるのだろうな」
もっとも、すでにその枷というものは関係なくなってはいるが。
「然り。世界を揺るがす事態であることは事実ではあるがな」
そこに嘘はない。
ラタトスクが目覚めていようがなかろうが、どちらにしても世界を揺るがす事実には違いない。
ただ、今現在、ラタトスクが目覚めていることにより、
危惧していた危険はまったくもってないという事実をいっていないだけ。
「ふむ。たしかにその通りではあるがな。あとはこの契約者達に託すしかない、ということか」
どちらにしても、王が傍にいる以上、自分達がどうこういえる立場でもない。
「そうだな。我ら相反する存在はお前達に託す」
何を、とはいわない。
ただそこに真実を正確にいっていないだけでその言葉からはどうとでもうけとれる。
全てを託された、というようにも、またそれとは異なるようにも。
その言葉の受け取り方は個々次第。
そのまま視線をかわしつつ、姿をかきけしてゆく二体の精霊達。
人の目にて視えない状態になった精霊体になった状態にてラタトスクに対しうやうやしく礼をとりつつ、
『では、我らは役目に戻ります』
『くれぐれも気づかれぬようにな』
『御衣に』
念派において会話をかわし、そのまま精霊達はその場からかききえる。
しばし唖然と消えていった精霊達がいた祭壇の上部分をみつつも、
「よ、よ~し計画通り!」
ロイドがそんな声をあげてくる。
「とりあえず、町にもどらないとね。今後のこともあるし」
「ですね」
エミルのいい分は至極もっとも。
ともあれ、この場にはすでに用事はない。
それゆえに再びもときた道を戻ることに対し、誰からも反対の声はおこらない。

「セルシウス様ってぱ。クールビューティー。さすがだったぜ」
「…お前、相手が女の人なら誰でもくどくのか?」
帰り道。
何やらゼロスがそんなことをいっているが。
「ああ、こいつはあるくわいせつ物だからねぇ」
「どういう意味だ!」
「文字通りだよ」
しいなとゼロスの言葉の掛け合いはあるいみ漫才のようなもの。
それゆえにロイド達もしばし共にいるためにもはやもう慣れたもの。
「ん?まてよ?そうか。俺様が常に男の色気を放っているってそういいたいんだな」
「何が色気だい、この色魔!」
「いやいや、そんな。はっはっはっ」
どうみてもじゃれ合っている、としかみえない二人の会話。
そんな二人の会話をききつつも、
「なあ、しきまって何だ?くえるのか?」
首をかしげてぽつり、とつぶやいているロイド。
そんなロイドの言葉に、しぱし、ん~、と首を横にかしげたのち、
ぽん、と手をかるくたたき、
「わかった。サイン色紙のことだよ。ロイド、だってゼロスって有名人なんでしょ?
  だったらよくサインもねだられてるんだろうし」
「おお、なるほど!ってことはゼロスは常にサイン色紙をもってるのかぁ」
おもいっきり話しがはずれているロイドとコレットの会話。
「…いや、違うから。おもいっきり」
そんな二人の会話をききつつも、おもわずぽつり、とつっこみをいれているアステル。
ある意味で平和といえば平和な光景。
「それより、先生達、きっとまちくたびれてるね」
「……先生が料理つくってさらにミトスの容体があっかしてないといいけどな……」
「「あ…あはは……」」
ロイドのその憂いをこめたその言葉におもわず乾いた笑いをあげるしかないしいなとゼロス。
「とりあえず外にでたら飛べる子呼ぶね。さくっと町にもどれるし」
「お。たのむぜ、エミル」
「あと、えっと、精霊さんでのこってるのは……」
「シャドウ、そしてアスカとルナだね。アスカはたしかルナと一緒でないと契約しないとかいってたし。
  なら闇の神殿にいるというシャドウと先に契約したほうがいいだろうね」
たわいのない会話をしつつも、やがて洞窟の出口にとさしかかる。
セルシウスの解放の影響なのであろうか。
先ほど溶けていたはずの地底湖は再び凍っており、今度は無事に通り抜けることができ、
外にでるには外につづく氷の滑り台のようなものを通り、…それはアステルが指摘し、
そのような道があることをしり、それを利用したにすぎないのだが。
ともあれ、そのまま無事に洞窟をでて、エミルのよんだ魔物にのり、一行は町へともどってゆくことに。
一刻でもはやく、契約が完了したことを伝えるために。


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あとがきもどき:
薫:ちょこっとプロローグを編集しなおしました。
  …人物描写がまったくなかったので汗
  しかし、打ち込みがとまってはや一月…理由?
  …なんか打ち込み気力が…あうあうあう…というか休みプリーズ…涙
  仕事先の一人がずっとやすんでいるがために御休みがとれません…しくしくしく……

2013年8月25日(日)某日

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