まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
まえぶりさんで、ミトスとエミルの心情をば。
まだミトスのことを確実に今の状態をしらなかったエミル(ラタトスク)は、
ミトスにたいし、怒りのほうがおおきかったですけど。(物語のはじめのほう)
やはり当人を目の前にしたら、情のほうがでてきていたりする、という。
あらゆる意味でこの世界を生み出した後に、まともに話した初めてのヒト、なんですよね。
ミトスって……
この世界におりたち、すぐさまに魔界ときりわけて門をつくっていたラタトスク。
ゆえに地上はいつも自らの分霊体たる蝶にて把握していただけ、なので。
いつものように(かつてのように)今のようにほいほいと実体化して地上にでていなかったのです。
最も、自らが生み出した原初の生命などには蝶を通じて言葉を直接語りかけてたりはしますけど。
########################################
「ここは……」
みおぼえのない天井だ、とおもう。
だけどもどこかなつかしくもかんじる。
これまで気にもしなかったのに、何だろう。
この匂いは。
かつてよくかいでいた匂い。
なつかしい匂い。
ふと、ああそうか、と思いだす。
これは木の匂い。
それとともに何だか額にひんやりとした感覚も。
体感温度を感じる器官も、匂いを感じる器官も必要ない、とおもい無機化していたはずなのに。
「…何で熱が?」
あのときもおもったが、なぜに無機生命体化している自分達天使が熱をだすなど、
ありえない、とおもう。
それゆえにおもわずぼそり、とつぶやくが。
「あ。おきた?ミトス?」
ふとみれば、扉からはいってくる人影一つ。
「あ、えっと…僕……」
「あの空気で熱がでるってことはかなりミトス、無理してたでしょ?」
「…え?」
いわれている意味がわからない。
「あの森の空気はユミルの森にとてもよく似てるからね。
作用からして、マナの浄化、穢れを払う効果もあっただろうし。
大概、それらの浄化をうけたものは熱をだすしね。石にしろ動物にしろ何にしろ」
そんなエミルの言葉に、
「…穢れ?」
「いきとしいけるものは、なぜか負を抱え、それらを自分で浄化できなかったらどんどんためていき、
やがては生命活動にすら影響を及ぼす穢れを生み出すことがあるんだよ。しらない?」
知らないも何も、きいたことすらない。
「普通は自分達で、悲しみや苦しみを乗り越えてゆく力をもってるはずなんだけど。
それらから目をそらしたものがよく陥る症状の一つだけどね。
その力がやがて器の中に収まりきらなくなったらやがてそれは実体化し、
負の具現化、という形をとってしまうけど」
そういいつつ、ミトスの額に手をあてる。
「ひんやり草を額につけてるからしばらくはそのままでいてね。
あまり熱がたかくなりすぎると器が耐えきれなくなっちゃうよ?」
よくもまあここまで自らのうちに歪みを抱えていた、とおもう。
しかしならばこそ納得もいく。
あれほどまっすぐであったこのミトスがどうしてこのようなことになっているのか、ということが。
つまり、自ら生み出した負にひっぱられていっているのが今の現状なのであろう。
昔から姉以外には甘えをみせなかったミトス。
姉を失い、甘える、という自分が弱い、とおもっている面を誰にもみせることなく、
ずっと自分だけで考え抜いた結果、このようなことになっているのではあろうが。
だからこそため息をつかざるをえない。
「…ねえ。ミトス。誰かに甘えるのは、それは弱さではないよ。
救いを、助けをもとめるのは逆にそれは強さでもあるからね?自分の限界をみとめてこそ、
自分が今後どうすればいいのかもみえてくるものもあるでしょう?」
そんな会話をしている最中。
ドッン!
突如として何かがつきあげる音と、そしてまた、ぐらり、と大地が揺れ始める。
「え?」
「地震だね。この家の作りはしっかりしてるっぽいから大丈夫だとおもうよ?」
海を挟んだ大陸においても、当然地震の発生源があるいみ大地そのもの、ともいえるもの。
ゆえに、均等にこの地震はどちらの世界、テセアラとシルヴァランド。
どちらの世界のどの大陸にも同じようにおこっていたりする。
それはどの場所にもいえること。
付きあげるような振動と、それにつづく左右の揺れ。
「…この地震は……」
おそらくは、あらたな精霊の楔が抜けた証。
地上におりてわかったマナの安定。
それが意味していることはわからない。
考えられるとすれば、センチュリオン達が目覚め何をかしているということ。
しかし、ともおもう。
彼らは絶対にラタトスク以外の命令はきかない、はずである。
しかし、門に影響するようならば話しは別だがな。
当時の言葉を思い出す。
門に影響するようなことといえば当然魔族のことしか思い当たらない。
そして、魔族といえば、思い当たるは例の禁書。
だけどもあれはエルフの里にて保管されている、はずなのにとおもう。
さらにその封印を強化するためにその表紙と裏にはエクスフィアもつけている。
あれは魔族にとってはあるいみで有害だ、そうきいたがゆえの措置。
例の石は自らが回収しある場所に保管してはいる。
しかし、魔族はいつも隙をついてこの地上を手にいれようとしていることを、
かつて、あの書物に仮初めに封じ込めたことがあるがゆえにミトスは知っている。
だけども、とおもう。
仮初めに魔界との小窓などがひらくとしても、それはありえるとすればテセアラ側。
もしくは、ロディルが開発していた石に影響しているのか。
それはわからない。
だけども、もしもラタトスクが目覚めているのならば…今のまま、というのはおそらくは…
そこまで考えふとおもう。
魔物を使役できる目の前のエミル。
何もない空間から呼びだすこともできる、らしい。
現にミトスがみたのは伝説ともいわれている魔物を何でもないように使役していた。
精霊の加護をうけたのはあの当時、自分達だけ、だとはおもっていた。
だけど、あれから時はたっている。
もしも他に隠された加護をうけていたものがいても…不思議では、ない。
一番いい方法は仲間にひきこむこと。
しかし、このエミル、という少年もよくわからない。
これまで共にいてもかなりの人嫌い、というのがわかるのに、それでもヒトの世話をやく。
ジーニアスがよく話しかけてくるので話しをさりげにエミルの話題にもっていき、
きけば、信用はしていないけど絶望まではしていない、と以前にいっていたことがあるらしい。
とも。
何だか自分らしくない考えが後ろ向きになっているような気がする。
いつだったか、姉様がいってたっけ。
病気のときには気分が低下し、悪いことなどを連想するようになることがある、と。
自分の考えにひたりこんでいたがゆえに、ミトスは気づかない。
外はまだ揺れている、というのにこの部屋だけは揺れが収まっている、というその事実に。
「もう少しゆっくりやすんでて。ミトス。…そうしたら……」
あのとき、もっと反対すればよかったか、ともおもう。
当時もすでにエクスフィアはつけてはいたが、天使化まではしていなかったミトスとマーテル。
それでも、ミトスは自分達ヒトがおこしたことは自分達でけりをつけなければいけない。
そういい、マーテルは弟とともにいきるためにその方法を選んだあの当時。
絶対にエンブレムは手放さないように、そういったはずなのに。
自ら前線にたち戦うミトスは、自らの体を無機化することが多かった。
だから、なのだろう。
長期間、無機化していれば肉体に変化がある、と忠告はしていた。
それを抑えるための加護…デリスエンブレムだ、と。
自分のことよりも弟を優先し、自らのエンブレムをもミトスにわたしていたマーテル。
その結果、マーテルは下手をすれば体全部が結晶化してしまうところでもあった。
それでも、自分達ヒトがしたことは自分達がすべきこと。
そういって前をむいていた、あのヒトのこたち。
もっとも、自分が加護をあたえなければ、このものたちはとっくに全員が結晶化してしまっていたであろう。
天使化のことは、クラトスからその方法をきいていた、のだから……
「…だから、あのとき僕は反対したんだよ。君たちはまっすぐすぎる。
…自分の身を犠牲にしてまで、なしとげようとするその心は、時として歪んでしまうことがあるから」
すっとエミルが手をかざすと、ミトスは強烈なるすい魔におそわれ、
そのまま、再びベットにと横になる。
そんな横になったミトスをみて、ぽつり、とつぶやくエミル。
「…せめて、君が忘れている、必要ない、とおもったものがどれほど大切なのか。
今一度見直して…今のままだと君はもし死を選んだとしてもそれは救いがない、から…」
加護をうけながら世界を裏切った、そのまま自分が許してもこの世界そのものはそうではないであろう。
また、堕ちてしまった魂は魔族にとって格好の獲物といえる。
特にミトスは…自らの加護をその魂にうけている、のだから……
ミトスが必要ない、と切り捨てたもの。
それは、生きるものにとってもっとも重要な、感性、ともいえる感覚、そのもの……
光と闇の協奏曲 ~転移、そして……~
「まっていたぞ」
「うわ!?」
いきなりたどり着いた海岸にてそこにいるはずのない人物をみておもわず声をあげる。
巨大地震があったがゆえに津波の心配もある、といわれ、陸沿いにどうにかレアバードをつかい、
ダイクの家の近くにまでやってきた。
ダイクの家にもどろうと、そこにつづく道に足をふみいれると、森の茂みからでてくるいくつかの人影。
「ボーダ!」
その姿をみてロイドがおもわず叫ぶが。
「あ、こんにちわ~」
コレットがそんな人影…ボーダの姿をみてのんびりと言い放つ。
「よく私達がここにくるってわかったわね」
リフィルがそんな彼らにといいはなつ。
地震のあと、見慣れない何かが空をとんでいたら人々が不安になるかもしれない。
ゆえにかなり高い高度にて、人目のない場所をなるべく選んで飛行してきた。
しかし、このイセリアの森に自分達がくる、などとどうしてわかったのであろうか。
この彼らは。
「お前達がどこにいるのかは、大体把握している。地震の前までお前達がいた位置をしらべれば、
おのずとどのあたりにいるかはわかるというものだ。
特にそこのロイドとジーニアス、といったか?村を追放されているという以上、
村には戻ってはいないだろうしな」
たしかにボーダのいうことは一理ある。
そこまでいい、
「我らもいろいろと忙しい。用件だけいうぞ。
とりあえず、明日にはレアバードの空間転移装置は利用可能となる。
が、互いの世界のマナが安定しているとはいえレアバードを動かすには、
おそらく、互いの世界の我らの基地からでなければ不可能だ。
互いの世界を移動するときには、我らの基地の上空にきて、
エネルギー供給をする必要がある。
しかし、飛びつつエネルギー補給をするなど今までしたことがなかったからな。
レアバードの中にある無線機で連絡をとる。基地上空にて待機しておけ。
お前達が一度、テセアラにもどったのち、お前達に預けているレアバードを点検のために回収する」
リヒターとアステルのもっているレアバードにはそもそも、空間を移動する機能は封じられている。
ちゃっかりと渡した当事者がロックをかけているがゆえに、アステルもさほど暴走していない、
ともいえるので、ロックをかけた人物はあるいみ正しかったといえるであろう。
そもそも今もっているレアバードは飛竜の巣に向かうときにレネゲードから借り受けたもの。
ロイド達がテセアラにむかっていったときに使用したレアバードではない。
クラトスからあのとき、みずほの民がレアバードを発見しているだろう、そういわれ。
しかし、出向いていったさきのみずほの里でまっていたのはレネゲード達で。
コレット救出において一時期協定を結んだあのとき。
コレットをたすけだしたあと、ボーダよりレアバードを貸し出す、そういわれ、ずっと今までつかってきている。
たしかにこれまで点検などをしたことはない。
というよりロイド達はみてもわからない。
そもそも、構造がわからない以上、下手に手をだせば確実に壊す。
それはもう間違いなく。
そんなボーダのことばにたしかに、今までまったく点検もしていなかったとおもいあたり、
リフィルが一瞬眉をひそめるが、しかし今はきになることがある。
それゆえに。
「まって。空からみたところ、何か大地に違和感を感じたのだけども……」
何がどう、とはいえないが。
たしかに感じた違和感。
何かが違っていると感じた大地。
その何か、がリフィルにはわからない。
「それは当然だろう。マナの楔を引き抜いたのだからな」
リフィルの問いかけに簡単にこたえ。
「では、我らは伝えることはつたえた。回収にはまたあらためてそちらにおもむく」
伝えることのみつたえ、そのまま再び森の奥へときえてゆく。
そんなボーダたちをみつつ、
「つまり、空の足がなくなるってことか?」
「たしかに、点検は必要でしょうね。下手に空をとんでいて整備不足で墜落しました。
では洒落にならなくてよ?それこそ命にかかわるもの」
それを考えればきちんと点検してくれる、というのだからいいことだといえるのかもしれない。
そんなリフィルの台詞に、
「しかしよ~。空の移動が難しくなったら移動がめんどうでないか?」
ゼロスがいい、
「エミルにいったらたぶん鳥さんよんでくれるとおもうよ~。私、鳥さんで移動するのきにいっちゃった」
「…エミルに頼りすぎるのはどうか、とおもうわよ。コレット……」
「ふかふか、もこもこ、です」
「うむ。それは同感だ」
何やら違うところで意気投合しているプレセアとリーガル。
「どちらにしてもエミル次第なんじゃないかい?」
たしかにしいなのいい分は至極もっとも。
「ま、とりあえず、もどろうぜ。エミル君達もまってるだろうしな」
「…リヒター達もどってきてればいいけどね…なんか下手してディザイアンにつかまってました。
とかなったら洒落にならないよ…」
しいながぽそり、とつぶやくが、よもやその言葉が真実だ、などとはゆめにも思ってすらいない。
「まったく、どうせこのあたりの珍しい植物でもみつけて時間わすれてたんだろ?」
おもわずじと目でもどってきた二人にといいはなつ。
そういうしいなの心情はおそらくは間違ってはいないであろう。
結局、しいなたちが王廟跡からもどってきても、いまだにアステルとリヒターはもどっておらず、
コレットが、一度、家に挨拶にいきたい、といいだし、ならリフィルも村に用事があるから、といい。
ロイドとジーニアスは追放されていた身ゆえにいけるはずもなく。
かといって、手枷をつけているリヒターを村につれていけばそれこそ問題がおこりかねない。
よくもわるくもあのイセリアは狭い村であり、あるいみで噂はあっというまにひろまってしまう。
しかももののみごとにオヒレがついて。
二人がもどってきたのは、コレットとリフィルが村からもどってほんのすこししてから。
「ごめん、ごめん。…リヒター、大丈夫?」
「俺は平気だ」
あの施設において聞かされた話し。
リヒターの母はあるいみで先祖がえりのようなもので、本来ならばハーフエルフ、であったらしい。
が、うまれながらにエルフの血がこくあらわれ、マナのありようもエルフそのもの、であったらしい。
兄が一人ほどいたらしいが、その兄はすでに殺された、という。
しかも、再生の神子一行に。
パルマコスタの牧場を統治していた、という。
それはリヒターにとってはあるいみで衝撃的な事実。
もう自分に身内はいない、とおもっていたのに実は叔父がおり、
しかもその叔父は殺された…という。
他ならぬ、自分達が一緒に行動しているシルヴァランドの一行、に。
しかし、リヒターはリフィル達からシルヴァランドにおいてのディザイアンの行動をきかされている。
テセアラが国をあげてしている…国をあげて、といっても裏でおこなわれているので、
表向きにはそのようなことはおこなわれておらず、当然、人々が知るはずもない。
エクスフィアを生産するための犠牲者はテセアラでは国が、シルヴァランドではディザイアンが。
どちらが非道なのか…リヒターからすればどっちもどっちといえる。
あいつはすぐに頭に血がのぼって考えがないやつだったが、あいつの妹の子ならば違うだろう。
お前は人を使う才能を秘めているはずだ、あいつによくにているしな。
そういってきた、ここの牧場主。
観察していた自分達をたしかに連行のような形で連れていかれはしたが、
しかしその後の態度はとても紳士的でしかも彼らなりの正義、というのがあるらしいともわかった。
それは、アステルがその名をきき、とある史実をおもいだしたがゆえ。
人からは虐殺者などといわれているが、アステルからしてみれば、
それは当時の事件をおこした張本人達がわるいわけで、それを裁いたものに罪はない、とおもっている。
最も、アステルが、ではあなたがあの事変の英雄ですか!?
目をきらきらさせてといかけたとき、相手のほうがかなり驚いていたのが記憶にあたらしい。
よもやヒトに英雄、などといわれなどとは彼…フォスティスはまったく夢にもおもっていなかった。
本気でいっているのかさぐりをいれてみれば、完全にアステルは本気で。
それどころか、ハーフエルフを虐殺しまくっていた当時の実行者達のほうがわるい。
ともののみごとにいいきった。
それをきき、しばし唖然としたのち、盛大に笑われてしまったが。
ヒトにもお前のようなものがいるとはな。
そういわれたが、アステルからしてみればなぜそういわれるかがわからない。
結局、しばしの対談を終えたのち、何も害されることなくそのまま無事に外にと送りだされた。
気がかわったらいつでも我らがもとにこい、そういわれ。
もっとも、ここ、イセリアの人間牧場に出向いていた、ということはアステル達は口にはださない。
近づくな、といわれていたのに近づいたのはまぎれもない事実であり、
また、かつてロイドが近づいたあげくに中にいた人を助けようとし、
ディザイアンを殺してしまったばかりにイセリアの村人が幾人も報復として殺された、ときいている。
説明しないのは下手に余計な心配をさせたくない、というのと、いう必要がない、とおもっているがゆえ。
「とりあえず、こちらは無事に契約はできたわ」
「・・・・・・・・・・・・」
そんな会話が一階よりきこえてくる。
それはすなわち、楔がもう一つ、ぬけてしまったことを意味している。
体の自由がきけば、すぐさまにデリス・カーラーンにともどり、種子の様子をたしかめるようにと指示をだすのに。
しかし、体がなぜかおもくるしい。
熱があるときはどうしても体が重く感じてしまう。
無機生命化をはたし、天使となっている以上、熱などありえない、そうおもうのに。
そういえば、とおもいだす。
今はあの加護たるエンブレムを鍵としとある場所に設置しているから身につけていないが、
あれを常にもっていたときは、天使化したのちも普通に熱さや寒さを感じ、
時には風邪をひくこともあった、と。
姉が病気になってしまったのは、姉のエンブレムを自分に渡してから後のこと。
それらをかんがえれば、あのエンブレムはそういったものを保護する役目をも担っていたのかもしれない。
あのとき、何かをいわれていたような気がする。
しかしそれがおもいだせない。
さすがに聴力は発達しているがゆえに一階の会話は二階で寝ているこの部屋まできこえてくる。
「レネゲードから繋ぎがあったわ。明日、どうやらあちらにもどれるようになるみたい。
だけど、今もっているレアバードを点検する必要があるから、
移動したその後で点検のために回収するって」
リフィルの説明に。
「ついでに僕らのも空間転移できるようにしてもらえないかな~?
そうしたら、いつでもすきなときに二つの世界を行き来しながら調べものとかできるのに」
「なら、だめもとでアステル、あなた達のレアバードも預けてみてはどうかしら?」
「あ、それいい!採用!」
「お前は…早くサイバックにもどらないと何をいわれてもしらんぞ…俺は……」
それでなくても、たしか地の神殿の調査にいってくる、といってでてきているはずである。
まあ、でていって他のことに目がむきもどってこないことは今までも多々とあったので、
研究院のものたちは、ああまたか、ととらえているではあろうが。
ミズホのものいわく、鬼の居ぬ間の何とやら、という諺、があるらしい。
あるいみ、いいえて妙、といえるだろう。
すくなくとも、ほとんどのものの弱みをにぎっており、
さらにはおもいついたら誰か舞わずに実験に利用しようとする…しかも悪気なく素で、
そんなヒトが傍にいたら気が休まるものも普通は休まらない。
翌日。
とりあえず一晩、再びダイクの元で体をやすめ、
目指すはレネゲードの基地がある、このあたりでいうならば、砂漠の基地。
以前ロイドが捉われ、そしてまた、マナの守護塔から一時ロイド達がレネゲード達に保護されていた場所。
朝早くにでたのは、砂漠地帯なので、日がのぼってしまえば気温もたかくなる。
何よりレアバードには天井がない。
つまりは、直接太陽の光や風などを移動するにしてもうけてしまう。
ジ…
ダイクの家のあるイセリアの森からでて、とりあえずはレアバードにとそれぞれ乗り込む。
最も、今回はそのままおそらくは空間移動になるであろうから、
空間を移動できる性能があるレアバードに直接のっていたほうがいい。
そうリフィルが提案し、たしかにその意見も至極もっとも。
ミトスのもっていたレアバードもどうにかその機能があるらしく、
六機の機体にそれぞれのりこむことに。
ロイドとジーニアス、しいなとコレット、ゼロスとリーガル、エミルとプレセア。
アステルとリヒター、そしてリフィルとミトス。
この組み分けにてそれぞれレアバードとのりこみ、目指すはトリエットのレネゲード基地。
それぞれがレアバードをあやつり、砂漠地帯にさしかかったその刹那。
何やらレアバードの前にある様々な機械装置のようなもの一部から何かのおとらしきものがきこえてくる。
そして、
『お前達の機体は今、とらえた。そのまま我らの基地の上空にて待機するがいい。
雷のマナを放出する。しかし、なぜに機体が六機あるのだ?
テセアラの神子や王立研究院のものがもっているものは、空間転移装置はついていないはずだが
もしもその機体にのっているのならば、移動するにあたり取り残されるぞ?』
機械の向こうからきこえてくるボーダの声。
それが無線機、とよばれているものだ、というのはロイド達はわからない。
「これは、双方と会話ができる、のかしら?」
『うむ。もともとそのレアバードは我らが所持していたもの。
こういう不足の事態もありえることより無線機は常に掲載している』
つまりは、離れていても連絡がとりあえるように、という簡易的な処置。
「私たちの連れがあなた達レネゲードから一機、かりていた、ときくわ。
ちょうどいいわ。あとで調整をするために引き取りにきたときにそれももどしますね」
「え?あ、あの?」
いきなり前にいるリヒフィルにいわれ、ミトスが戸惑いの声をあげるが。
「ミトス。あなたもずっと借りてるまま、とはいかないでしょう?
あとから彼らが一度、レアバードを回収にくる、というのだから、そのときにかえしておいたほうが、
あなたも気にならないでしょう?」
リフィルはそういうが、そもそもミトスがのっているレアバードはレネゲードがもっているものではない。
クルシスによってつくらせたうちの一機、である。
もっとも、今のクルシスに所属しているものはこれを使う機会など滅多とないが。
そもそも、わざわざ機械で移動しなくても、普通に魔科学による転移で移動は可能。
わざわざ面倒な移動をする必要はなくなっている。
ここで断れば怪しまれる。
そもそも、回線がつながっている以上、ことわれば、リフィルたちにも、
そしてレネゲードの…この声はまちがいなくあのボーダ。
レネゲードをとりしきるもの。
怪しまれてしまえば面倒きわまりない。
そもそも彼らと合流した理由の一つに、レネゲードが彼ら一行、
すなわちシルヴァランドの神子一行をつかい何かをたくらんでいる、とつかんだがゆえ。
どうやら話しをきくかぎり、精霊と契約をし楔を引き抜くことを前提にしているらしい、が。
話しの端々に大樹を蘇らせるというような会話もでてきているのがきにかかる。
もしも、今の大いなる実りに純粋なるマナを照射したとして、
それで姉が蘇るのならそれでよし。
しかしともおもう。
今の大いなる実りはまさに死滅しかかっている状態で、かろうじてたもたれている状態。
だからこそこれまで幾多もマナを注ぎ込んでも姉の復活にすらなっていない。
神子として誕生させたヒトのマナをも注ぎ込んでいる、というにもかかわらず、である。
断ればおそらく怪しまれるであろう。
だが、逆にこうもかんがえられる。
これはクルシスが所有しているもの。
すなわち、どこにあろうともその位置を特定することが可能。
ならば、完全なる彼らの拠点や、移動につかっているであろうレアバードの格納庫。
それらを把握することができる可能性のほうがたかい。
それゆえに。
「え、あ、はい。おねがいします」
とまどったふうによそおいながらもリフィルに返事をかえすミトスの姿がみてとれる。
そんなミトスの心情を当然、無線機の向こうにいるボーダ達は知るよしもなく、
『これより、マナを放出する。それとともに機体にある赤いボタンと黄色いボタンを同時におせ。
それで空間転移が作動する』
いわるままに、今現在はレネゲードの基地上空で待機している状態。
それとともに、青白いような光りが基地から上空にむけて発せられる。
『そこのマナの数値を示すメーターが降りきれると同時にボタンをおせ。それで移動は可能だ』
ぐんぐんとマナの数値を示しているであろう・・・と以前リフィルがいい、
しいなからもそうきかされていたそのまるいような装置の場所。
その針のようなメーター?とよばれしそれがふりきれる。
それと同時、それぞれのレアバードの操縦席側にのっていたものが、
いわれるままにとボタンを押し操作をする。
刹那、
ぐんっと何やらひっぱられる感覚と、そしてまた。
上空にひらく黒いような渦がひとつ。
それは、かつてロイド達がテセアラにむかったときにみた光景とまったく同じもの。
「うわ!?」
「何だい、これ!?」
本来ならば右も左も、上も下もわからないような空間、であったはず。
なのに、黒い渦の中に突入し、すぐさまに異様なほどに空間全体に雷らしきものが鳴り響いている。
いたるところに発生している落雷、そして機体を制御するのもむずかしいほどの風。
まるで、乱気流の中にはいりこんだかのごとく。
「皆、気をつけ…きゃぁぁ!」
「うわぁぁ!?」
ふと気付けば、装置が示している数値がゼロにとなっている。
それが示すこと、それはすなわち。
「な!?何でマナの残量がゼロになってるんだい!?」
しいなの叫びはそのまま落雷の音によってかきけされる。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
しばし、何ともいえない彼らの悲鳴が周囲にとこだまする。
すでに精霊達がかつて強制的にほどこされた楔の解除。
それとともに、世界を一つにするために、ちょこっとそれぞれの次元をつないでいるこの空間、
その場に世界の歪み全てを集めていたにすぎない。
それゆえに、巨大地震があったというのにもかかわらず、
世界に大津波などといった被害はでてはいない。
もっとも、ここにて集められた歪みはそのまエミルの内にと還るようにと理をひいている。
それらの歪みはすべてマナにと変換されている。
そして、そのマナはあらたな大地を構成するのに利用することにしているエミルだが。
当然、ロイド達はそのような内情を知るよしも…ない。
「う…ん……」
亜空間、といってもよい、シルヴァランドでもテセアラでもない空間。
シルヴァランドからテセアラに移動しようとし、巻き込まれたなぜか嵐のようなもの。
亜空間にそのようなものがありえるのか、という疑問はつきないが。
実際に経験した以上、ない、とはいいきれないのもまた事実。
「は!?ここは……」
「う…ん。皆、無事か!?」
どうやらざっとみわたせば、どうやらどこかに墜落、したらしい。
プスプスとレアバードが何やら煙をたててそれぞれそのあたりにころがっている。
そしてみれば、それぞれにのっていた一行の姿もその場に倒れている姿がみてとれる。
きになるのは、レアバードにのっていたはず、なのに全員が地面に横たえられている。
というこの現状。
「ふむ。きがついたようじゃの」
ふとみれば、そこに見知らぬ一人の男性の姿がみてとれる。
空気が何やら冷たく感じるのはおそらくロイド達の気のせい、ではないであろう。
みれば、それぞれが大地に横たわっている…大地?
そこまでおもい、ふと違和感を感じる。
何かが違う。
よくよくみれば、なぜだろう。
自分達の足元をすりぬけてゆく白い何か。
そして、すぐ手をのばせば手がとどくほどの位置にみもえる白い塊。
さらに、視線を周囲にむけてみれば、自分達がいる場所と並行し、
どこぞでみたような何かがういて、いるのがみてとれる。
あるはずのものがそこにはない。
普通ならば、どこまでもつづく大地か、もしくは海、のようなものがみえるはず、なのに。
「うわ~。ロイド、みてみて~。なんかここからのぞいたら、何か雲さんみたいなのがみえるよ~」
事実、自分達がいるその場所から少しはなれた場所は何やら断崖のようにみえなくもない。
そこからのぞきこんだコレットが…どうやらロイド達よりもはやく目がさめていたらしい。
「あの…ここは……」
戸惑いの声をあげるプレセアに。
「まさか、これは、雲?それに、ここから眼下にみえるのは…大陸?
ということは、ここは上空!?は!?まさか、伝説の飛行都市エグザイア!?」
少ない材料でそこにたどりつくアステルはさすが、というべきか。
今たっている場所のはしっこからみえる、遥かなる下にみえる大陸と、
何やらゆっくりと移動している雲のようなもの。
そして、何よりも空気が薄い。
そこから導き出した答えは、世界のどこかをただよっている、といわれている、
伝説の都市、エクザイアの存在。
「…元素のマナが濃い。おそらく間違いはないだろう」
いつのまにか、とりだしたマナの測定装置の示したマナの種類をみてそんなことをいっているリーガル。
飛行都市エグザイア。
ハーフエルフの間でまことしやかに噂されている、ハーフエルフにとっての最後の楽園。
「…トス、ミトスってば!」
「…う…」
移動をするのにあのような現象がおこる、などありえないはず。
そもそも、レアバードが利用している狭間の空間は、つまりは大いなる実りを安置している空間でもある。
互いの世界をつなぐ役割をはたしている空間。
その空間があのようないいかえてしまえば嵐のようなものになっているなど。
ありえない、といって過言でないが、事実あのような現象がおこっていたのもまた事実。
一時つづいた、互いの世界における異常気象、といい。
たしかに、この世界に何かがおこっている、とミトスは改めて認識してしまう。
自分の名をよばれ、ゆっくりと目をみひらくと、小さな子供の姿。
一瞬、誰かわからなかったが、すぐさまに自分が今どうしているのかを思い出す。
「ジーニアス?僕達…」
何やら頭がくらくらする。
熱をだしたときとはちがう、体のだるさの意味はミトスにはわからない。
いまだに目覚めないミトスの名をよびつつ、体をゆすっていたジーニアスは、
ミトスが目をさましたことにほっとして安堵の息をつきつつも、
「とりあえず僕達、たすかったみたい。もう、レネゲード達、何してくれるのさ」
「というか、なんだって亜空間にあんな嵐みたいなのがおこってたんだい?」
ジーニアスがぼやき、しいなが首をかしげる。
ざっと確認したところ、どうやらレアバードは完全に壊れてしまっているらしい。
しかも数値をしめすマナの量までゼロになっている。
おそらくはヴォルトのマナを注いでも、飛行能力すらあやしいかもしれない。
どうみても、動力部と視れる場所からあきらかに煙があがっている。
それはすなわち、要ともいえる動力部に何か不都合がおこっている、ということ。
逆にマナを補充すれば、そのマナが逆流する、ともかぎらない。
そこまでおもいあたり、しいなとしてはため息をつかざるをえない。
つまり、空をレアバードで移動する、という手段が失われた、ということ、なのだから。
「そうね。へたをすれば全員、空間の狭間に取り残されていつまでもさまようことになっていたかもしれないわ。
…ところで、あの、あなたは?」
みれば、まだわかいような青年らしいが、しかし感じるマナは同胞のもの。
ゆえに見た目通りの年齢でないことくらいはリフィルとてわかる。
そんなジーニアスやしいなの言葉をうけつつも、自分達にはなしかけていた青年にとといかける。
「私はワードナという。お前さん達が倒れているから助けてほしい。
とお前さん達の連れ、からいわれてな」
連れ、といわれておもわず首をかしげざるをえない。
ここにたしかに全員…いや、一人いない。
「…エミル?は!?あ、あの、あそこの何やらはしっこでさわいでいる子と同じ姿の子をしりませんか?!」
ここに今いるのは、コレットとアステル…このふたりははしっこで何やら下のほうをのぞきこんでいる。
ロイドもまたそんな彼らの傍にいき、驚いたように幾度も下と上をみては首をふっている姿がめにとまる。
身を乗り出そうとしているコレットやアステルを何やらリヒターが必至で制御しているようにみえなくもないが。
さらに、ジーニアスはさきほどまでミトスを起こしており、
リーガルとしいなはレアバードのほうにちかづき、何やら調べている模様。
「しっかし。おどろいたね。プレセアちゃん」
「…おどろき、ました。雷…すごかったです」
一方で、その場におきあがり…どうやらたちあがったらしいプレセアに話しかけているゼロスの姿。
どうみても一人、たりない。
「ああ、あの子なら心配ないよ。お前さん達がここに倒れているから助けてほしい。
そういってきたのはほかならぬ、その子、だからね」
魔物でもなく精霊でもないものとともにいた人の子。
この地はクルシス達の監視も届いてないがゆえ、センチュリオン達がその姿を擬態せず、
彼らがとっている姿を形どって傍にいたがゆえ、ハーフエルフたる彼ら。
この地に住まうものたちは、精霊の気配をしっている。
それはこの大地そのものが精霊マクスウェルの加護をうけているから、なのだが。
ゆえに、魔物でも精霊でもないその存在の気配に驚きはしたが、
しかし、このマクスウェルが施しているといわれている結界を超えてきた以上、
害をなすものではない、というのはあきらか。
この地は精霊マクスウェルの力により上空にういており、
また、害意あるものはたちいれなくなっていたりする。
それらはすべて、精霊の力によるものだ、とこの地にすまうものたちはきかされている。
最も、害意があっても特殊な理由があれば招き入れざるをえない状況にはなるのだが。
「ここは、忘れられた最後の楽園。飛行都市エグザイア」
それは、ハーフエルフにとって残されている、といわれている伝説の楽園の名。
ワードナ、となのった人物がそうリフィル達にと説明する。
そんな中。
「市長、迷い子達は目がさめましたかの?」
いいつつ、初老の女性がこちらにちかづいてくるのがみてとれる。
「うむ。どうやらレアバードとよばれしものは壊れたようではあるが。
皆、怪我はないようだ」
「ちょっとまってください。レアバードをしっているの?」
リフィルの疑問はしごくもっとも。
「この地には時折、レネゲード、となのるものたちもやってくるからな。
彼らはこの地に迷っているハーフエルフ達を時折つれてくることもある。
行き場をなくしたハーフエルフ達を、な」
それゆえにユアンとの繋がりもここは深い。
もっとも、マクスウェルもミトスにいわないのならば、という約束のもと、
彼らを招き入れることを了承した八百年前。
そういう市長、とよばれしワードナという男性の傍にきつつ、
「ここはかなり高度がたかいからね。とりあえず簡単なものでわるいけども。
ペンギニストフェザーでつくったローブだからすこしは寒さ対策にはなるはずだよ?
大きさはそっちの大柄な人にはすこし小さいかもしれないけど、がまんしておくれ」
子供用には子供ようの、大人用のは一般的なサイズのものをこの場にもってきて、
それぞれ一人一人にてわたしてゆく女性であるが、
ふと、
「バージニア!?」
リフィルの顔をみて思わず驚きの声をあげる。
「え?あ、あの?母を…母をしっているのですか!?」
ここでまさかの母親の名。
それゆえにリフィルがおもわず問いかける。
「母?では、お前さんが、リフィル…では、そっちの男の子がジーニアス…かい?」
「「?!」」
その言葉にリフィルとジーニアスが顔をみあわせる。
「母を…母のことを御存じならば教えてください!」
リフィルの言葉に、しばし互いに顔をみあわせ、
「…あわないほうがいい。あっても…無駄だろう」
「しかし、市長、もしかしたら子供達をみたら、彼女も……」
「しかし、もしも無駄だったら?このものたちにつらいおもいをさせることになるぞ?」
何やら二人でそんな会話をしているが。
そんな二人にたいし、
「お願いします、母を、ご存じなんですね!?この街にいるんですね!?」
成長するにつれて、記憶の中にある母とそっくりになっている、という自覚はあった。
それゆえのリフィルの言葉。
「…この都市には宿屋のようなものはない。
とりあえず、お前さん達は地上にもどる手段はあるのか?」
そういわれてもおもいつかない。
あったとしても、のこっているのはゼロスとアステルとリヒターがもっている三機のレアバード。
十二人全員を地上にもどせるか、といえばおそらくは無理。
幾度も往復すれば話しは別、かもしれないが。
そんな彼らの戸惑いの表情を視てとり、
「ふむ。では私はおまえさんたちを地上にもどせるように交渉、してみよう。
まあ、それまではこの街をみてまわるといい。
しかし、騒ぎはおこさないように」
それだけいいつつ、市長とよばれていたワードナという男性はこの場をあとにしてゆく。
「あ、あの、母は…」
リフィルがそんなワードナにさらにといかけようとするが、
「リフィルといったな。おまえさん。お前さんの気持ちはわかる。わかるからこそあわないほうがいいよ。
…期待がおおきければ、それにともなう反動もまた大きくなってしまうからね」
もしも、子供の姿をみて正気をとりもどせば、ともおもうが。
だけどもそうでない可能性もありえる。
むしろそのほうが高い、かもしれない。
「私はこの先の道具やで雑貨やをいとなんでいる。何かいるものがあればおいで」
リフィルたちに何やら憂いめいた視線をおくり、
ロイド達全員にフード付きローブを渡した女性もまたこの場をあとにしてゆく。
どうやら今、彼らがいるのは街並みから離れた場所にあるらしく、
このあたりは開けた空間がひろがっている。
おそらくは、発着場か何かにしているのであろう。
少し先に何でできているのかわからないような道、のようなものがあり、
それは鈍く白い輝きをたもちつつも、別なる浮いている島のようなもの。
そこにつづいているのがみてとれる。
ここから周囲をみてみれば、そのようなものでいくつかの浮島がつながっているのがみてとれるのだが。
それは異様に視力が発達しているコレットやゼロス、そしてミトスにしかわからない。
そして、ミトスはこの場所を始めからしっている。
しばし、そんな二人が立ち去ったあとをみつめつつ、
「…ロイド、お願い。バージニア、という人を探して……」
リフィルにしてはかぼそき声。
「あ、ああ。わかった…しかし、エミルのやつ、どこいったんだ?」
どちらにしろ、エミルを探さなければどうしょうもない。
レアバードはどうみても壊れている。
ならば、ミエルにたのんで、空を飛べる魔物でもよんでもらってここから脱出するより統べはない……
――Go To Next
Home TOP BACK NEXT
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
あとがきもどき:
薫:よ、ようやくエグザイアのさわりに……
どうやってあそこにいくかどのパターンにするか、いろいろと悩みましたけど。
ミトスがいる状態で、にしたかったんですよね。なのであえて、
テセアラにもどるときに、嵐?にまきこまれてたどり着いたようにしてみましたv
2013年7月31日(水)某日
Home TOP BACK NEXT