まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

別なる小説でつかっている設定をこちらに組み入れてみましたv
あのヒトをヒトともおもわない自分勝手な村長さん。
…やってるとおもうんですよね。絶対に…
まあ、ロイド達のあの行動の結果、…改心した、とおもいたい……
こ、この回…ふ…副題が…汗

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「これがわが街がほこる、蒸気船イザベル号です」
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
最新鋭の船にて送り届ける。
そういわれた。
たしかにいわれた。
なのに、何だろう。
この前衛的というか昔ながらの蒸気船がどうして目の前にあるのだろうか。
ゆえにおもわず無言となりはてるゼロス、アステル、リヒターの三人。
しいなからしてもおもわず無言となり、それでも以前にしっていることもありため息ひとつ。
「衰退世界、というので文明も技術もかなり遅れている、とはおもってたけど…」
「こりゃまた、かなり旧式、だな…」
おもわず素直な感想をもらしているアステルとリヒターはおそらく間違ってはいないだろう。
「そういや、こっちの世界ではたしか、タライで海をわたるのもあるとかいってたぞ?」
「「たらい!?」」
ゼロスの台詞に思わず同時にさけぶアステルとリヒター。
「あれは、一種の観光のネタのような気がするんだよね。僕…
  でも、あれはせめて、カヌーとかそのあたりでもいいとおもうんだよね……」
まあ、訂正しそうにないのであのあたりの海流を穏やかにするように、とアクアに命じはしたが。
「さすがにこれだけ大きいと心配もないわね」
リフィルが何やらそんなことをいっているが。
どうやら、エレメンタルカーゴやたらい、などといった海の移動はかなりこりているらしい。
普通の船で大陸をわたったときですら、ただの猟師の船であったのだからさほど大きさもなかったのもまた事実。
「さあ、それでは、みなさん、のりこんでください。
  みなさんで最後になっています」
すでにあちら側の大陸に移動するものたちは乗船しているらしい。
一行が案内されたのは、パルマコスタの港。
そこに停泊している、蒸気船にと案内されたのがついさきほど。
いわく、今現在の最新技術をもってしてつくった、とは蒸気船の船長の談。
もっとも、テセアラ組からしてみれば、どこまで時代錯誤というか、旧式なんだ、といいたいが。
今現在、ほとんどのテセアラの船はエクスフィアをもちいた自動操縦の船となっている。
もっとも、自動操縦とはいえ魔物などの襲撃もあることから、完全なる自動操縦、というわけにはいかないが。
その辺りをかんがえると、テセアラはかなりエクスフィアにたよった発展をしている、といってもよい。
かつては豊富にあるマナをつかった装置が主流、だったらしいが。
エクスフィアのあるいみでいいところは、一度設置してしまえば力を充電しなくてもいい、というところだろう。
もっとも、機能しなくなるエクスフィアも多々とあるにはしても、である。
彼らは気づいていない。
その動力の源が人の魂そのものである、ということを。
だからこそ、普通の道具でしかない、と認識し、機械などに多様する。
「この船では数刻もしないうちに隣の大陸にいけますので」
すでに報告にて、この海路で脅威となっていた絶海牧場は神子一行が壊滅させた、ときいている。
ゆえに憂いがあるとすれば、それは魔物の襲撃くらいであろう。
もっとも、最近は魔物の襲撃もなりをひそめており、こちらからしかけないかぎり、
滅多と襲われることはない。
それまでは、ヒトとみれば魔物はよく襲いかかってきていたのに、である。
魔物達からしてみれば、人を許せたわけではないが、だがしかし、王の絶対的な命令が、
センチュリオン達よりくだっている以上、従わざるをえないがゆえにそのようになっているにすぎない。
もしも、ラタトスクが好きにしろ、でもいえばまちがいなく魔物達はヒトを襲う、であろう。
特にその身に負を背負いしものたちを率先して。
魔物達はマナを調停する役目をもっている。
ゆえに、マナの歪みを視ることも可能。
歪みをもちしものは世界の毒になりえる、とおもって行動する彼らの行為はあるいみ本能、ともいえる。
ゆえにラタトスクもあまりうるさくはいわない。
いう必要がない、とおもっているのでそこまでは干渉していないのもまた事実。
ぼ~
船の汽笛が鳴り響く。
それは出港の合図であり、ゆっくりと船は海にとくりだしてゆく。

光と闇の協奏曲 ~再びイズールド~

「うん。やっぱりこっちのマナの数値も安定してる。みて。これ」
「…テセアラの数値と同じ、だな」
ちゃっかりと、マナの測定機をもちだし、甲板にて調査をしているアステルとリヒター。
収容されていた、という人々もまたそれぞれ甲板にいく人かはでているが、
中にはそのまま船内にとどまり、船室にとじこもっているものもいたりする。
やはり、自分達が捉えられていたであろう海をみるのもつらいヒトもいるらしい。
彼らには一応、バルマコスタの総督府のものが護衛につくことになっており、
イズールド出身者はイズールドへとのこり、トリエットの出身者はトリエットへ。
そして、中には数名ではあったが、イセリア出身のものもいた。
ロイド達をみてかなり驚いてはいたが。
ロイド達からしてみてもそれは驚きで。
外にでていって魔物におそわれたのだろう、といわれていた人々がそこにいたのだから。
話しをきけば、村長にたのまれ、とある薬草をとりにでむいたその先にてディザイアンとはちあわせ、
そのまま彼らにつかまってしまった、とのことらしい。
その薬草は魔物が多いといわれている森の中にあり、どうして村長がその薬草を求めたのかはわからないが。
他にもたしかいなくなったものがいたのできいてみれば、やはりほとんどが捉われており、
しかし、他のものは亡くなっているか、もしくはどこにつれていかれたかはわからない、とのことらしい。
一方。
「…何だか、不思議な気分です」
「コレット?」
空をみつつ、ぽつり、とつぶやく。
「先生。私、初めて大陸をでて、海をわたるとき、またこの海にもどってくることはもうない、とおもっていました」
「コレット……」
「神子の再生の旅は、死への旅立ち。自らの死をもってしてその命のマナで世界が救われる。
  …でも、それは解決にはなっていなかった、んですよね」
自分一人の命でロイド達が助かるのなら。
そうおもっていたあのとき。
だけども現実は、それをしてしまうと、逆にさらなる悲劇がまっていた。
知らなければそのまま、再生をはたし、そして…否、下手をすれば世界は滅亡していたかもしれない。
大いなる実りすら失われてしまい。
「コレットちゃんはまじめだねぇ」
そんなコレットの言葉をきき、横にいたゼロスがそんなことをいってくる。
「ゼロスさん、ゼロスさんもでもそうするでしょう?」
「そりゃ、まあな。俺様のほうは繁栄世界のほうだったから、血をより濃くすることが求められていたからな。
  もっとも…話しをきくにかぎり、こちら側により器に最適なものがあらわれた直後、
  うちの世界が衰退世界になっていただろうがな」
エクスフィアの覚醒をうながすのが、恐怖などといった負の感情ならば、
もしくは、クルシスの手によって世界が混沌とかしていたのか。
そのあたりはゼロスにはわからない。
が、スピリュチュア伝説、というのがテセアラにはのこっている。
天の怒りをかった物語とし、死と破壊の女神の伝説。
「神託や資格がなければ神子になれはしない、というのにそれをわかっていない愚かなくそ爺どもが多いというか
  まあ、俺様の場合はもともと輝石をにぎって産まれていた、というのもあるけどな。
  中には血さえあれば輝石なんかあとからでもこじつけでもっていたことにすればいい。
  とか馬鹿な考えもってるやつらが多々といるのも事実だからな~」
それは事実。
だからこそ、ゼロスは常に命を狙われつづけている。
神子の証は、単なるその輝石さえもっていればいいのだ、そう勘違いした輩達から。
「いい例が、あの教皇のやつだな。あいつは常に俺様のもつクルシスの輝石をねらってやがる。
  それを手にいれて絶対的な権力と、あとは操り人形としていうことをすなおにきくものを神子におかざりにおいて。
  国そのものを手にいれようとしてやがるっぽいしな。まったく、そこまで力をもとめてどうするのかねぇ。
  権力なんて…いいものじゃないというのにさ」
「どうせ、愚かなヒトの考えなんだから。力を手にいれて。
  そして、レネゲード達からきかされていたというこっち側。
  すなわちシルヴァランドすらも手にいれて世界の王になろう、ってところじゃないの?
  愚かな人の考えそうなことだよね。…ほんと、昔も今も……」
かつてのきっかけもささいなこと。
隣り合う大陸を手にいれようとした愚かな権力者達がおこしたこぜりあい。
それが発展して、世界を…大陸をも巻き込む戦争にとなっていった。
今、この場にいるのは、コレットとリフィル、ゼロスとエミル、そしてリーガルとしいなのこの五人。
プレセアやロイド、ジーニアス、ミトスは甲板にとでていっている。
アステルとリヒターは海の上でのマナの測定をするといい、やはり甲板のほうにでむいている。
「?昔?エミル?昔って?」
しいながそんなエミルの言葉にふと疑問におもいといかける。
「え?いや。昔からほんと人って同じようなことを繰り返すんだな、と情けなくおもってね」
エミルの言葉に嘘はない。
ただ事実をいっているだけで、それがいつの時代にもあてはまってしまう、というのを除けば。
「たしかに。歴史のヒモをとけば力をもとめて、というのがほとんどでしょうね」
リフィルもそんなエミルの言葉に同意せざるをえない。
今までにみつかっている歴史をしめす文書や遺跡も、
紐をといてみれば、ディザイアンとヒト、もしくは人同士の争いがどこかしこにも記されている。
エミルのいうヒトにディザイアンも含まれているというのなら、たしかにエミルのいうとおり、であろう。
「いつの時代も権力におぼれ、我をわすれるものがいる。それは権力だけでなくその地位や財力にしても然りだ。
  あとは家柄など、というのもあるがな。自らの力でもないのにその力を自分のものだ、と勘違いし、
  周囲を見下す。情けないことに我がテセアラではそのような王侯貴族が多すぎる」
特に貴族の子供達にその傾向が強い。
ゆえにリーガルからしてはため息をつかざるをえない。
「今の国王陛下は好戦的ではないゆえにまだいいだろうが。
  次期女王でありし王女殿下の夫になるべき御方がどのように対策をするかが怖いがな」
いくら王女が賢明でも、伴侶となったものの資質によってそれはいっきにくつがえる。
それゆえのリーガルの懸念。
「あら。きになっていたのだけど。テセアラでの王制継続はどうなっているのかしら?」
「男女とわず、第一子が継承者、ときまっている。それは血をより確実にするためらしいが。
  しかし、賢帝ともいわれし女王陛下も今まではいたが、夫にもよるのも史実がかたっている」
かつては、第一皇子のみ、となっていたらしいが。
それによってあまりにも血がながれたのでそのようにきめられた。
「ああ。たしかに。それまでは実質的な政治体制をひいていても、
  恋におぼれた女王陛下が国を乱した、ということも幾度かあったね。たしか」
リーガルのことばに、おもいだしたようにしいながいう。
このあたりの歴史は、さすがにみずほの民、というだけのことはあり調べている。
「中には、第一子が国王になる、というのをみこし、陛下の御子をことごとく暗殺し、
  自らの血縁者がうみしものを王にして権力をにぎろうとしたものもいるときく」
結局、第一子、ときめてもなかなか権力欲におぼれた輩たちの愚かな行動はとめられはしていないが。
ゆえに、今では出産時にはかなりの大人数による公開出産となっている。
たとえば、産まれた子供をすりかえたり、その場で殺したりすることのないように。
「ああ。たしか実質的に大臣が国の政策をのっとってたってやつだろ?あったね。
  そのときの大臣が神子を殺せと命じてたしかスピリチュアの…クルシスの天界の怒りをかったんだっけ?」
「うむ。歴史ではそうなっているな」
リーガルとしいなのそんな会話に、
「おまえさんたちまじめだねぇ。そういえば、こっちにもどうやらスピリチュアの伝説はあるようだけど。
  そのあたりはどうなの?リフィル様ぁ~」
「そういえば、テセアラとシルヴァランドの伝承を見比べるという検証はしていなかったわね。
  いい機会なのかもしれないわ。より詳しく世界のありようを把握するためにも」
ゼロスのことば、いままでその格差の検証をしていなかったことにおもいあたる。
「まあ、どちらにしても、人がつたえている歴史とかいうのは、
  そのときの権力者によっていいように歪められまくってるものがおおいから、
  真実をあらわしている、とはいえませんけどね。
  真実を確実にしっているとすれば、あの語り部さんくらいだとおもいますけど?」
エミルのいい分も至極もっとも。
歴史はいつも、権力者の手によりゆがめられ、その時の勢力者のいいようにと彎曲される。
その彎曲された真実、偽りの真実を人々はそれこそが真実だ、とおもいこまされてしまう。
そこに間違いがある、とはゆめにもおもわずに。


港町、イズールド。
そこは、この大陸での唯一の港町、といってもよい。
もっとも、ここシルヴァランドにて港町、といえるまともな街はこのイズールドとパルマコスタしかないのだが。
町といっても規模的には村といって過言でない。
生計をたてているのはもっぱらほとんどのものが猟師などで日々の暮らしをまかなっている。
南東に位置している小島の下のあたりにディザイアンの人間牧場がある、
その点さえのぞけばこのあたりはディザイアンの脅威もあまりないひかくてきおだやかな場所、ともいえる。
ここからオサ山道、という山道をこえれば、砂漠地帯にと突入し、さらに北のほうにいけば、
ディザイアンの人間牧場のあるイセリア方面へとたどりつく。
「へぇ。では、ここには、町はここと、あとトリエットという場所、あとはイセリアというところだけなんですか?」
港におりたつと、人々は何事か、というようにわらわらとあつまりだし、
そして、パルマコスタの船だというのがわかり、彼らよりきかされたのは、
絶海牧場が壊滅した、という何とも彼らにとってはおめでたい話し。
わっと、人々が喜びにあふれたのはいうまでもなく。
そしてまた、ディザイアンにつかまった、あるいは魔物に殺されたのだろう、という
かつての同郷の人も幾人かもどってきたのをみてさらに喜び。
小さな村はちょっとした御祭状態。
船はまだ用事があるから、というので人々を下したのち、
護衛役となった総督府につかえし陸軍のものをのぞき、そのままこの場をたちさってゆくが。
もっとも、ここイズールドの港はもっぱら猟師達が利用するものであり、
巨大なまでの船をうけいれるほどの港ではない。
ゆえに、普通に海岸沿いに乗りつけたのではあるが。
大陸にとおりたちつつも、横にいるリフィルにとといかけているアステル。
みたところちょっとした小さな港町というよりは、猟師たちが集まってつくっている小さな集落、というところだろう。
地図にはのらないほどの小さなこんな漁港はテセアラにもいくつか確認されている、というのをしっている。
どうやらこちら、シルヴァランドではこのような小さな漁港もきちんと地図にのせているらしい。
このあたりはテセアラも見習うべきだとおもうな。
そんなことをふとアステルはおもう。
「ええ。そして、今きた大陸側にあるのは、パルマコスタ。
  そして、砦を超えていった先には、冒険者の街といわれているハイマや、
  あとは遺跡の街アスガード、そしてルインね。おおまかなこちらの街はそんなところよ」
「遺跡の街!?」
きらり。
アステルの目が誰のめにもわかるほどにかがやく。
「そ、その遺跡とはいったい!?」
「旧パラグラフ王朝跡の遺跡、ともいわれているわ。石舞台とよばれしものに、壁画に。
  さらにいえば最近では石舞台の下に遺跡があるのでは、といわれているけど。
  いまだにその入口は不明、とされているわ」
もっとも、リフィルは知らない。
あのとき、石舞台で踊りをまったとき、一瞬その入口がみえていた、というその事実に。
さくっとエミルがその道を閉じたがゆえに気づかれていないだけのこと。

「うわ~。なんかこのあいだここをとおったようなのに。なつかしいな~」
ロイドがそんなことをいいはなつ。
が、ふとその表情が一瞬暗くなる。
「ロイド?」
「あ、いや、ちょっと、な」
あのときは、クラトスがいた。
自分にたいし、稽古を暇をみてはつけてくれていたあのクラトスが敵だとはいまだにロイドは信じられない。
信じたくはない。
とりあえず、神子様一行に何かあっては、という兵士達の言葉をやんわりとことわり、
あなた達はあなた達のすべきことを、とリフィルがいいふくめた結果、
とりあえず、あるいみ御祭騒ぎである町で物資の補給などをしたのちに出発しよう、
という話しはまとまっている。
「で、結局、とりあえずはどこにいくんだよ?先生?」
「まずは、トリエットにむかいましょう。クララさん達のいっていたこともきになるしね」
砂漠に最近、巨大な魔物がでる、というその話し。
ロイドの問いかけにリフィルが答え、
「まあ、どっちにしても、ダイクさんのところにいくのなら、通り道だよね。
  というか、姉さん、空とんでいかないの?」
「レアバードに乗るにしても、ちょっとね」
アステルとリヒターはそれぞれにレアバードをもっているらしいが。
しかし、みたところ彼らが乗っていたのは小型版。
どうやらどうみても一人乗り、であり、リフィル達が使用している、
どうにかすれば二人くらいはいける幅はない。
それでなくても、今現在、二人のればけっこうぎりぎりの状態。
それゆえに、徒歩でいくか、レアバードでいくかは、かなり悩みどころといえる。
たしかに、レアバードをつかえば、山道をも超えてかるく砂漠地帯すらこえて、
その先のダイクの家にまですぐにつくであろうが。
もっとも、リフィルの懸念とすれば、皆が乗れないのならばという理由で、
エミルがまたまたとてつもない何かを呼び出しかねない、という懸念も含んでいる。
それでなくてもディザイアンという脅威があるこのシルヴァランド。
魔物にのっているのをみれば、人々はまちがいなく、ディザイアンの仲間か、と疑うであろう。
初めてエミルにであったとき、自分達がそうであったように。

ふむ……
しばし今の現状をみつめ思わずつぶやく。
普通に融合させただけでは今の状態では不都合がかなり生じてしまう。
ある程度大陸を切り分けてそれぞれに融合させていったほうが能率的にはよい。
「どうでもいいが、面倒な区分けをしてくれてるな……」
当時の勢力というか互いの勢力が自ら主張していた区分けで行ったようだが。
それはまさしく本音といえる。
「まだ、彼らの契約は三代のみ。ならば…契約のたびに下地をつくっておくのもわるくはない、か」
どちらにしても、二つに強制的に引き裂かれている大陸を元のように一つの大地に戻すには、
ある程度の互いの大地にちょこっとばかり手をくわえる必要性がある。
「…ま、かつてのままでいいか」
ミトスが世界を二つにわける前までの大陸。
その変化にするのがあるいみ手っとり早い。
しばし目をとじ思考する。
と。
「エミルさん?」
目をつむり、二つの世界に意識を向けていたがゆえに、ふと心配したのかフムレセアが声をかけてくる。
「あ、プレセアさん、何でもないです。とりあえず、結局どうなりそうなんですか?」
いまだに、レアバードでいくか、徒歩でいくか、ロイドやリフィル達は話しあっている。
アステルはせっかくシルヴァランドにきたのだから、徒歩でゆっくりとみていきたい、
とあるいみおもいっきり遅くなりそうな意見をだしていたりするのだが。
「結局、とりあえずはあるきで、砂漠地帯にはいったら、レアバードを使用する、ということになりました」
「そうなんだ。なら、どの子かを呼ぶ必要はとりあえずはないかな?」
「リフィルさんが心配していました。エミルさんがまた魔物さんを呼び出すのではないか、というのを」
「え?でもあの子達にのっていったら移動は楽だよ?」
「…それは、みとめます。が、普通、魔物にいうことはきかせられません」
「あの子達は素直でいい子だけどな~」
それはエミルからの視点であり、普通のヒトからしてみればそれはありえない、と即座につっこみがはいるであろう。
「そういえば、オサ山道ってところを通ることになるはずだけど。
  リンカの木の今の現状をちょっとしりたいかな……」
以前に、ヒトがかの地にあった木々がなくなっていた、というのをいっていたのをきいたことがある。
実際のところ調べてみれば、
テセアラとよばれし場所ではリンカの木はかなり座標のたかい位置でしかみうけられなかった。
ここ、シルヴァランド全てに視野を広げて視てみたが、座標の高い位置ですら、マナ不足で枯れかけていた状態。
さくっと再生しようかともおもったが、しかしアスカとの契約のこともある。
ゆえに、それはロイド達にまかせよう、とおもっているのもまた事実。
今、彼らが話しているのは、町からすこしでた場所。
そこにある砂浜にて今後の話しあいをしている今現在。
さすがに、ロイドを始め、シルヴァランド組がロイド、ジーニアス、リフィル、コレットの四人につづき、
テセアラ組がゼロスにしいな、アステルにプレセア、リヒター、リーガルの六人。
それに加え、エミルとミトスが加わり、今現在は十二人のあるいみ大所帯。
ちょっとした旅業の一行、といってさしつかえのない人数となっていたりする。
大体、旅業をおこなうにしても、個人、もしくは家族の単体か、五人以上で行動する、
というのがどちらの世界においてもの常識。
中には腕に自信があるものは、一人ででも旅にでるものはいるにしろ。
さらにそこに、ノイシュ、というある程度の大きさのあるアーシスが加わっているのだから、
かなり一行の様子は目立つといって過言でない。
特に誰、とはいわないが、ゼロスの容姿などはかなり整っておりかなり目立つ。
リフィルの容姿も整ってはいたが、あの一行の中で唯一の大人、というのもあり、
保護者なのだろうな、という認識でとおってきたがゆえにあまりめだたなかっただけのこと。
さらにいうならば、手枷をはめているリーガル、という存在がかなり一行を目立たせる要因となっている。
もっとも、あまりに目立つようならば、こっそりと幻影でもかけておこうかな、
などとエミルはおもっていたりするのだが。
つまり、第三者にはその手枷がみえないように、もしくは関係者以外はみえないようにみせかけておく。
パルマコスタにてそのことをきかれたリフィルが、彼の趣味です、ときっぱりいいきり、
それゆえにあまり深く追求されなかった、という裏事情をのぞけば、それはそれであり、といえるであろう。
「十二人で一緒に行動するのも何だし。何なら二組にわけて行動するようにしませんか?
  六人程度ならば移動するのも楽ですし。別に別々なところにいくわけでもないですし」
とりあえず話しがまとまった、ときき、あらためてそんな彼らのもとにとちかづいていき、
無難な提案をもちだすエミル。
「もしくは四組にわけて、三人組を四組つくるとか」
「お。なら俺様は…」
「こいつを野放しにはできないからね。とりあえずこいつにはあたしがつくとして。
  六人でいいんじゃないのかい?とりあえず。四人とかにしたらお子様組とかに目がとどかなくて不安だし」
「しいな、どういう意味さ?」
「あんたたちだけだと脱線しまくるような気がするからね。
  まあ、ミトスはどうもジーニアスになついている…っていいかたはおかしいか。
  同じ歳くらいの子と一緒のほうがいいだろうから、ロイド達のほうに組み入れるとして。
  ロイド、ジーニアス、コレット、リフィル、それからミトスでいいんじゃないのかい?
  こっちが、あたしにゼロスにアステルにリヒター、それからプレセアだね。
  リーガルとエミルはどっちの組にはいりたい?」
「なら、僕はどちらかといえば、しいなさんたちのほうかな?
  ここは前にロイド達とは行動を共にした場所だし。メンバーが異なるほうが新鮮だろうしね」
さりげにアステルとリフィルを分けたのは、これ以上一緒にさせていれば、
二人そろって旅を脱線しまくらない、という懸念があってこそ。
それをごく自然にいうことにより、その懸念を悟らせないようにしているのはさすがといえばさすがといえよう。
「ミトスもそれでいい?」
「え?あ、う、うん…でも、僕もついていってもいいの?危険とかいわれるとてっきりおもったのに」
危険だからあのまま、パルマコスタにいろ、といわれるとてっきりおもったというのに。
「あなた一人をまたのこしておいて、一人で行動されるよりはよほど安全よ」
そんなミトスにたいし、ぴしゃり、とリフィルが言い放つ。
「それじゃ、その組み分けで決まりだな。しかし、またこの道を戻ることになるとは。
  前にきたときは雪がふってたからあまり熱くなかったけど、もうそうはいかないんだろうなぁ」
「ロイド、あれは熱い云々、というよりもはやもう凍死レベルだったんだから、比べるのは無理とおもうよ」
そんなロイドにむけて、ジーニアスがさらり、とつっこみをいれてくる。
「え?砂漠、というのに雪がふっていたんですか?」
アステルがそんな彼らの言葉に興味をしめし、逆にといかけるが。
「ええ。異常気象のせいでね。砂漠に雪がふり、泉は枯れはて、といろいろとおこっていたのよ」
「こちらのほうでは、雪国のはずのフラノールで雪がやみ、氷がとけ、といろいろとありましたけど。
  あとは突発的な豪雨や晴れているのに常に雷というか落雷が常にひびきわたったりとか。
  土の神殿のあたりでは、ものすごいまでの竜巻などが常に発生していた、ともききますけど。
  あるときを境にぴたり、となくなったのもまた事実なんですよね」
それこそ、まるでほんとうに、ぴたり、とまるで何ごともなかったかのように。
もっとも、落雷などといった現象のみはしばらく続いていはしたが。
それでも、その落雷もかの神殿がある大陸のみにその時をさかいに改善された。
「数値もこちらもあちらも同じになっている、というのが不思議なんですよね。
  そもそも、僕らの調べでは、再生の儀式はマナの流れを逆転させる要因のはず、なのに。
  陰陽の役目をおわせている、と僕としてはにらんでいたのですけど」
「奇遇ね。私もそれにはおもいあたっていたわ。でも、テセアラとこちらのマナの数値が同じ、
  というのは間違いなくて?」
「ええ。この数値をみてください」
何やら機械らしきものに示されているそれをとりだし、
いきなりその場にすわりこみ、話し始める気配満々のリフィルとアステルの姿。
そんな二人にたいし、
「あ~。はいはい。そこの研究馬鹿ふたり!ったく、とにかく、ここで話しこんでいても時間がたつばかりなんだから。
  とりあえず、とっとと用事をすましにいくよ!まずはここの火の精霊イフリートと契約して、
  それから、ロイドの育ての親だっていうダイクっていうドワーフのところによったあと、 
  それから海路でも空路でもいいから、海をわたれば、バラグラフ王廟跡地にいるシルフのところにつけるし」
ぴしゃり、と言い放っているしいな。
しいなのいい分はたしかにそのとおり。
ここ、シルヴァランドの地形ではたしかにそうなっている。
「そういえば、ジーニアス達が迷惑をかけたのよね。
  …ダイクのところにいったときに、私はとりあえず村長にお詫びをいいにいっておくわ」
「あ、姉さん、僕は…」
「あなたはロイド達とともにいなさい」
ジーニアスが、僕も、といいかけるが、そんな弟の言葉をぴしゃりとさえぎるリフィル。
「あ、先生。私もいってもいいですか?おばあさまにご挨拶をしたいんです」
旅にでた以上、二度とあうことはない、とおもっていたが。
旅にでるということはそれは死を示しているもの。
だけど、家族には、特に祖母には真実をいっておきたい、というのがある。
それゆえのコレットの言葉。
「そうね。…ファイドラ様はたしかに、真実を知る必要があるかもしれないわね」
神子の家の責任者ともいえるファイドラもおそらくクルシスの、否、神子の真実をしらないであろう。
「というわけで、そのときにはゼロス、あなたにも同行をねがうわ。できればアステルもいいかしら?」
「え?僕がですか?」
「あなた、おそらく神子の歴史にもくわしいのでしょう?」
「ええ。興味があったので調べていますけど」
「よくわかんねぇけど。とりあえず、じゃあ、砂漠にむかって、レッツゴー!
  こんどはオス山道ってのをいくんだろ?」
「もう。ロイド、オサ山道!どうやったらいつもそう器用にまちがえられるのさ!」
そんなロイドにすかさず突っ込みをいれているジーニアス。
「…頭がいたいわ……」
「…苦労しているのだな。リフィル殿も」
そんなロイドをみてため息をつきつつも、額をおさえるリフィルをみて、
リーガルがしみじみとねぎらいの言葉をかける。
「とりあえず、いくのならはやくいかないと。山道をぬけるにしても、
  あまりおそくなったら夜、山の中で一夜をすごすことになるとおもうんですけど?
  まあ、別に問題ないといえばそれまでですけど」
そもそも、すでに全ての魔物はすべて把握ずみ。
すべて自らの配下に戻っている。
ゆえに自分達を襲うような愚かなものは、いるとすれば分別のないまだわかいものか、
もしくは愚かなヒトか、そのどちらかしかない。
もっとも、わかいものとて、そのようなことをすれば、ほかの魔物達がだまっていないであろうが。
たしかにエミルのいうとおり。
ここでぐだぐだ話している間にも時間は過ぎ去っていっている。
山の中で一夜をあかす、というのはたしかにあまりよろしくない、であろう。
特に砂漠地帯の夜と昼の温度差は歴然としている。
山のあたりはそこまでひどくはない、とはきいてはいるが。
それでも、深い霧が発生する、というのはリフィルとて知っている。
山道で霧が発生すれば、そこに何か不都合がおこらない、ともかぎらない。
山道もきちんと整備されているという道ではなく、ところどころ崖をはさんだ道すらあるのだからして。
「そういえば、エミル」
「はい?」
「そのこんどはまたみたことない魔物がそこにいるのは……」
「その姿は、たしか、おそらくは雷属性の魔物、ですよね?」
まあ、その黒き体に常に帯電しているかのような雷をまとっていればそう捕らえるであろう。
紺色の小さな小人のような姿にて、その顔は黒く、その中心にある目は金色。
エビタフ、とよばれし魔法生物の一種、とおもわれし魔物のその容姿。
肩にはいつのまにか、真赤な鳥らしきものが止まっており、
その容姿はどうみても魔物の中でもフェニックス、とよばれている魔物にほど近い。
結局のところジャンケン大会をこのたび勝ち抜いたのはこの二柱であるらしく、
パルマコスタをでるときにようやく決着がついたとのことで、この二柱がやってきたのだが。
「ああ。今はこのような姿をしているだけですよ。ちなみに僕の家族ですけど」
「家族…って、あのテネブとかいうやつらと同じ仲間なのかい?」
「ええ」
それはすなわち、そこにいる二体の魔物もセンチュリオンだ、ということ。
すでになぜかはりきり進みだしているロイドをおいかけるようにして、
もうひと組のロイド組のほうは遥か前にとすすんでいる。
のんびりとすすんでいるのはエミルが属している俗にいうテセアラ組のほう。
そんなエミルにしいながといかけたのは、これまたみたことのない魔物がエミルの傍に自然といたがゆえ。
船の中でもみなかった、というのに、町からでたとたんに普通にいるのはこれいかに。
「そういや、そいつらって姿をけせるとか、ゼロスの家でいってたっけね……」
ふと、テセアラにもどったときのことをおもいだし、しいなが遠い目をしつつもおもわずつぶやく。
彼らはたしかに、姿を消すことができる、そういっていた。
実際に、何もいなかったはずの空間がゆらぎ、姿を現したのを目の当たりにしている。
最も、姿が自在にかえられる、というのを聞かされたときには驚きもしたが。
しかし、魔物の中でも擬態するものがいる、というのはあるいみ常識で。
ゆえにさほど驚かなかったのもまた事実。
アステルもまた、リフィルからきいて知っている。
いろいろと彼らに関して聞きたいことはありはすれど、常にエミルの傍にいて、
また、なかなか機会がないのもまた事実。
しかし、なぜだか、エミルをみているとその質問をするのをついつい失念してしまい、今にいたるこの現状。
本当に、自分達が調べたあのセンチュリオンなのかそのあたりを聞きたい。
切実に。
しかし、おそらくは問いかけてもはぐらかされるだろう、と何となく予測もついてしまう。
そんな会話をしている最中、やがて山道につづく道がみえてくる。

「…悪夢を思い出すよ…ここにきたら……」
ふと、あのときのことをおもいだし、しいながぽつり、とおもわずつぶやく。
あのとき、シルヴァランドの神子の命を狙うためにたしかにいきなり攻撃をしかけようとした。
が、そのまま落とし穴のようなものにおちてしまったのは今でもしいなの中にはしっかりと記憶されている。
「そういえば、しいなさんにききたかったんですけど。
  何であのとき、どうみてもそこに扉がありますよ~?とあからさまにわかる場所の真上に移動したんですか?」
それはちょっとした疑問。
あのときからちょこっと疑問におもっていたがゆえのといかけ。
「き…きづかなかったんだよ」
「え?」
しいなが目をそらしつつもそんなことをいうが、そんなしいなの台詞におもわず目を点にしてしまう。
エミルにしては珍しいといえば珍しい反応といえる。
現に、
『珍しい。ラタトスク様を唖然とさせているヒトがいます』
何やら二柱が同時にそんなことをつぶやいているのがきこえてくるが。
そんなトニトルスとイグニスの言葉はさらっと無視し、
「…あんなあからさまに、ここに入口がありますよ?というようなものだったのに?」
「あ、あのときは。神子しか…コレットしか目にはいってなかったんだよ!」
テンパッテいた、ともいう。
「で、コレットがこけて、レバーをひいてそのまま扉の中におちていった、と。
  そもそもあそこってきちんと階段もありましたよね?階段につかまることもなくおちてたでしょ?」
「うっ!」
エミルのつっこみにさらに言葉につまるしいなであるが。
「…おい。しいな、おまえ、何やったんだよ?」
ゼロスがそんなしいなの様子に疑問におもい、おもわずといかけるものの。
「ああ、しいなさんが初めて僕たちの前にあらわれたときなんですけど。
  いきなり、神子はいるか、ときいてきて、それから、覚悟、といって襲いかかってきたはいいんですけど。
  ここの山道を管理するための道の出入口をかねている扉の真上になぜか立ち止まって。
  コレットがちょうど何もないのにこけてそのまま開かれた扉の中に、すとん、としいなさん、おちてしまって」
「…おまえ、また落とし穴におちたのか?」
「うっ!」
「また?」
「こいつはそういう原始的な罠にはよくひっかかるんだよ。
  逆にこった罠だとすぐに見破るくせにな」
じとめでみつついうゼロスにしいなはいいかえせない。
首をかしげといかけるエミルにたいし、ゼロスがそう説明をしてくるが。
「ああ、なるほど。つまり本当にあれにきづいてなかったんですね。
  …珍しいとおもったんですよね。あれ」
『…たしかに』
あのとき、テネブラエがエミルと共にいた。
そしてまた、イグニスも契約を配下の魔物からそのときのことは聞かされている。
それゆえに同意せざるをえない。
「そういえば、ここのあたりは管理用の道がある、ということは何かあったんですか?」
山の高さはそこそこといってもよいが。
ざっとみるかぎり、ずらり、と山並みがつづいている。
これらの山並みが向こう側の砂漠側とを隔てているらしい。
「ここは、かつて鉱山があったらしいですよ?
  今はもう閉鎖されているみたいですけど、以前はドワーフ達の鉱山があった、とのことです」
エミルの説明に嘘はない。
「ドワーフの!?つまり、その坑道あともまた遺跡みたいなものじゃないですか!」
「まあ、遺跡といえば遺跡みたいなものですね」
「しいなさん!その、管理用の道、というのはいったいどこに!?」
目をきらきらとさせつつも、アステルがしいなにつめよるが。
「アステルさん。ならアステルさん達はそっちにいきます?
  僕は前にきいた、この山道の頂上付近にあったというリンカの木が気になってるのでそっちにいきますけど」
さらり、というエミルの言葉に、さらに、はっと顔をあげ、
「ええ!?この山道にリンカの木があった、んですか!?」
「以前、旅をしていた家族の人がいっていたところによるとあった、らしいですよ?
  でもそのあといったときにはそこにはなかった、というので。
  ちょっときになってるんですよね。僕としたら」
完全にすでにそれらが死んでいるのか、まだいきているのか。
それに応じて蘇らせるか、もしくはそのまま次になる命につづかせるか。
直接みてからきめよう、とおもっているのもまた事実。
「でも、今はない、んですか?」
「ええ。その旅の人達がいうには、次に訪れたときにはみえなかった、といっていましたので」
そんなエミルの説明にしばし考えたのち。
「なら、僕は坑道のほうがきになります。というわけで、しいなさん、案内おねがいします!」
「何でそうなるのさ!?」
「え?でもしいなさん、今の話しをきくかぎり、管理用の道をとおったことがあるんでしょう?
  なら、案内もできるじゃないですか」
にっこりというアステルのそんな台詞にたいし、
「そ、そりゃあ、出口とか入口はわかってる…けどさ」
あのときは、魔物達がうようよいる中におとされ、右もひだりもわからずに、
ひたすらに逃げ回っていたらようやく光がみえた、といってもよい。
「あの道をいくのなら、山をあるいみつっきっている道なのでたしかに山道よりは早くつくでしょうけど。
  でも、中の坑道は入り組んでいるらしいので気をつけてくださいね?
  いざとなったら風の流れをつかんで道を確認する必要があるとおもいますけど。
  そのあたりはリヒターさんがいれば問題ないですよね?」
にっこりと、何でもないようにいいはなつ、そんなエミルにたいし。
「たしかに、オレはそれを感じることはできるが…」
ハーフエルフだからこそ、マナの流れには敏感。
そしてまた、風もまた、マナの一部でもある。
「プレセアはどっちにいく?地下をすすむ?それとも、山のほうにする?」
「…山、にします。山道はおちつきます」
山の中にいるとオゼットを思い出す。
「で、ゼロスさんは?」
「ん~。アステル君達のみにしてたら永遠においついてきそうにないよねぇ。
  ちなみに、きくけど、どっちの道が楽なわけ?」
「え?そりゃあ、山道をあるくのと、普通に坑道の道は山をつきぬけたあるいみトンネルのようなものですから、
  どっちが楽か、とは人それぞれかと。距離からしてみればトンネルを突き抜けたほうが早いですけど。
  ちなみに、ロイド達はどうやら山道をすすんでいったみたいですね」
リフィルもどうやらオサ山道にくるにあたり、あの家族連れの言葉を思い出したらしい。
それゆえに、リンカの木を確認するために、あえて山道を選択しているらしいが。
ロイド達には、以前は地下道をとおったので次は山道でもいいのでは、という意見でおしとおしているっぽい。
「お。なら、俺様は地下組だな。ロイド君達より先にまっていて、おどろかしてやろ。うひゃひゃ」
「…ゼロスさん、子供です」
「う。プレセアちゃぁん……」
そんな会話をしている最中、やがて、問題のぽっかりとあいた洞窟のような場所にとたどりつく。
そこはちょっとした開けた場所となっており、
簡単な柵らしきものがその洞窟の前につけられているのがみてとれる。
「あ、前にしいなさんが壊したこの扉、誰かが治したみたいですね」
「う、うるさいね!ああもう!いくんならいくよ!ったく、何でまたあたしがこの中に…」
ぶつぶついいつつも、そのままその洞窟の中へとはいってゆく。
ちなみに今度は前のようにそのまま柵全部を壊すのではなく、
きちんと出入り口ようにつけられている場所を通って中にはいっているのをみれば、一応は進歩しているっぽい。
「じゃ、プレセアさん、いこっか」
「はい。でも、皆大丈夫でしょうか?」
「ここの子達は誰も襲いかかったりしないから平気だとおもうよ?
  まあ、いるとしたらこの付近を縄張りにしてる盗賊くらいじゃないの?」
ついでにいえば、坑道の中にその盗賊達が一部、アジトを構えているがゆえに、
このあたり一帯での盗賊の目撃情報…すなわち、シーフの目撃情報があとをたたないのだが。
世界に害がない以上、センチュリオンもまた魔物達に駆除するように、とは命じてはいない。
そんな会話をしつつも、とりあえず、エミルとプレセアの二人のみが山道をのぼることにし、
それ以外の四人は坑道にある道をつきぬけることに。


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あとがきもどき:
薫:ようやくシルヴァランドにもどってきたけどまた話しがすすんでない~
  たぶん、この調子では容量的に次回もまたすすまない…
  い、いつ、砂漠のイベント回?にいけるんだ?ううう…
  ともあれ、次回もまたまたすすんでません。あしからず……

2013年7月23日(火)某日

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