まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

容量的にゲスト登場までいけるかな~とやってたら、
それいれたらこの話しの容量が70KBを超えた件…
なので、そのゲストさんは次回に振り分けました…ううむむ……
今回、話しがほとんどすすんでません。
あるいみおさらい回のようなものになっています。あしからず。

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以前に捉えたときにつけていた発信機。
それを頼りにしてみれば、今では入ることすら不可能、といわれているかの地に彼らがいっている。
その報告をしたところ、下った指示は、自分達もかの地にむかうように、とのこと。
密偵として放っている教皇騎士団にもぐりこませている一人より、
教皇騎士団もそちらにむかった、という報告をうけてのこと。
乗り物として利用している飛竜より、双眼鏡にて眼下を確認する。
その視界の先に、たしかに教皇騎士団らしきものの姿がみてとれる。
…問題なのは、その騎士団の周りに数多の魔物がいる、ということ。
そして、遺跡の中央らしき場所にみえる、月灯りにてらされし金の髪。
あの一行で金の髪といえば神子か、もしくは魔物使いの子供か。
…まあ、魔物使いのほうであろう。
それほどまでの魔物の数。
しかし、双眼鏡の向こうにみえた光景は絶句せざるをえないもの。
いきなり騎士団らしきものの足元に暗闇が出現したかともうと、
彼らは叫びのようなものをあげ…上空にすらとどくようなかなきりごえ。
それらをあげて闇の渦の中にと呑みこまれてゆく。
しばし、上空にて様子をみていた彼ら…レネゲードの一員達は絶句せざるをえない。
すなわち、それが意味することは。
あの魔物使いの少年は、手を下すこともなく、魔物にそういった技をつかわせることが可能。
ということなのだから。

光と闇の協奏曲 ~新たなる旅の始動?~

「うわ!?」
「ここはどこだ?」
それは浮遊感といってもよい。
光の渦に呑みこまれ感じたは、何かやわらかなふわふわしたようなものにつつまれた、不思議な感覚。
それにつつまれ、ふとその浮遊感がきえたその直後。
ふと目をひらけばそこは先ほどまでの場所ではあきらかにないのがみてとれる。
あれほどあった巨大な岩はまったくみえず、見渡すかぎりの平原。
どこかでみたような感じがするのはおそらくロイドの気のせいではないであろう。
手の平に感じる土の感触。
さんさんと降り注ぐ、月の灯りで周囲が確認できる。
「……たぶん、パルマコスタの外れだわ……」
みおぼえがある、幾度もとおった道。
よくよくみれば、月灯りに照らされて、かなりみおぼえのある街道が視界にみてとれる。
リフィルが慎重に周囲を確認しつつ、おもわずつぶやく。
あのときと同じ。
あのときも、光りにつつまれ、自分達はこのあたりにいた。
「シルヴァランドですか?」
そんなリフィルの台詞に信じられないとばかりにプレセアが首をかしげる。
「マナの量は…やっぱり前とかわってないや。あのときから。でも…間違いないよ」
感じる風の匂いも空気も、まちがいなくここはシルヴァランドだ、と断言できる。
それゆえにリフィルの言葉を肯定するかのようにジーニアスも答える。
そもそもこのあたりは幾度か通った道。
何しろパルマコスタとの往復で何往復したのか、数えるのもばからしい。
「うひゃぁ。こんな形でこっちにくるなんて思ってなかったなぁ」
二人にいわれ、ゼロスが素直な感想をもらす。
こんな形でもう一つの世界といわれているシルヴァランドにくることになる、とはおもわなかった。
衰退世界、といわれている世界。
八百年も停滞している世界であり、その犠牲の上に繁栄しているテセアラ。
それらは論理上はしっていても、実際にみたことがなかったのだからその感想はまあわからなくはない。
「ゼロス!どうして邪魔したんだい!」
そんなゼロスにしいながくってかかるが。
「あのなぁ。お前だって死にたかったわけじゃないだろうが。
 それに第一、お前が死のうが死ぬまいが、あいつらは俺様達を狙ってきたはずだ。教皇の命令なら、な」
それでもって、責任を押し付けるために一行を、というのはいわずもがな。
「くちなわが…教皇とつるんでいる、っていうのかい?」
しんじたくはない。
ないが、今まで自分達がむかう先に教皇の手のものが先回りしていたのもまた事実。
くちなわから渡されていたお守りをなくしていることにふときづく。
普通、お守りの中身までは確認しない。
もしもそれが式神のようなものであったのなら、先回りができてきたことにも納得がいく。
できてしまう。
「そうね。一緒にいたのはまちがいなく教皇ののものでしょうね」
「まちがいない。あれは教皇騎士団だ」
リフィルの指摘にリーガルがしみじみうなづく。
とある時より暗黒部隊となりはてた、教皇直属の騎士団。
「しいな、むちゃしたらだめだよ。私と同じ間違いはしちゃだめ
  自分を犠牲にしてもいいことはないよ」
あのときは、そう、信じていた。
自分が死ぬことで世界が救われる。
と。
しかし、それは偽りの平和であったというのは今ではわかっている。
それでも、死ぬことを前提に育てられている以上、その感情が割り切れるものでもないが。
そんなコレットの台詞に、
「そういうこと。ゼロスにお礼をいえよ。しいな」
ろいどがしいなにと語りかける。
「あ…ありがとう」
しいなが小さくお礼をいうが、
「なぁに、お礼にキスの一つや二つ、くれてやってもバチはあたらないぜ?」
かろやかに場を和ますつもりなのかいつものゼロスのかるい口調。
「ゼロス君…最低です」
そんなゼロスにたいし、ぽつり、といっているプレセア。
「う、きつい」
「でも、たしかに。ロイド達のいうとおりよ。それによくやったわ。ゼロス。
  しいながしんでしまっては、世界を互いに救うことができなくなってしまうもの」
「あ…あんたね……」
「姉さん、いい方ももうちょい…」
「事実でしょう?しいなしか精霊と契約はできないのよ?」
リフィルのしごくもっともな指摘にがくり、としいながうなだれ、そんなしいなをみてジーニアスがいうが、
淡々と事実のみをいうリフィルの言葉に嘘はない。
「でも、これからどうするんですか?」
そんな彼らの会話をききつつも、ミトスが問いかける。
まあ、こちらにきてしまったのはあるいみ想定外。
プロネーマ達から報告はうけてはいたが、直接おもむいたことは一度とてない。
まあ、ロディルが自分に隠れているつもりでいろいろとやっているのはしっているが。
魔導砲はまだいい。
あまりよくもないが。
しかし、問題なのは、魔血玉デモンブラッドの開発にたずさわっている、ということ。
魔界の瘴気を利用せしもの。
そんなものが普及すれば、マナに影響がでて、姉の復活の妨げになる。
「せっかくシルヴァランドまでもどってきたんだ。ロディルのこともあるし。ディザイアンのことをさぐろう。
  それに……」
テセアラでは精霊と契約をかわしたが、こちらの世界での契約は、いまだにウンディーネのみ。
ついでに契約をしていきつつ、状況を調べるのもわるくない、とそうおもう。
「ミトスはどうするの?このまま巻き込むわけにはいかないよ」
ジーニアスからしてみれば、関係ない、せっかくできた大切な友達。
その友達が危険にさらされるのは避けたい。
もっとも、ジーニアスは気づかない。
この場の中で、ミトスが一番、誰よりもつよい、というその事実に。
「パルマコスタの総督府に預けたらどうかな?」
そんなコレットの台詞にたいし、
「ニールか。そうだな、そうしよう」
たしかに彼ならば何とかしてくれるであろう。
「あ、あの、僕もたたかいます」
そんな彼らの台詞にたいし、ミトスが首をふりつついってくる。
が。
「何いってんだよ。エクスフィアを装備していても危険なんだぜ」
「そうだよ、ミトス」
「気もちはありがたいけど、ね。」
ロイドとジーニアスは心から心配して。
リフィルはいくら同胞とて得体がしれない、とおもっているがゆえ。
しかしそれを悟れることなく、やんわりと否定する。
あのような状況で一人いた、ハーフエルフの子供。
…クルシスの間者、という可能性は捨てきれない、のだから。
「そうですね、わかりました……」
そんな彼らの言葉をうけ、顔をふせるミトス。
あまりごりおししても怪しまれてしまう。
それに、さきほどからじっと自分をみている二人の姿もきにかかる。
よくよくみれば、リヒターとなのりしハーフエルフとアステル、といった少年が、
じっと自分を観察しているのが嫌でもわかる。
まるで少しの違和感をも見逃さない、といったかのごとくに。
それゆえに、ミトスは今は引き下がることを選ぶしかない。
今、自分の正体がわかってしまえば彼らの同行を探ることもできなくなってしまうがゆえに。
「それより、エミルがあの場所にいなかったけど、姉さん、エミルはどこにいったの?」
ミトスがひきさがったのをうけて、ふと思い出したかのようにジーニアスがといかける。
たしかに、どうやら姉はエミルとともにいたはずなのに。
あの場にいたのはリフィルのみ。
それゆえの問いかけ。
「私が遺跡にしばらく一人にしてくれっていったら周囲を見回ってくるっていって離れてたけど…」
もっとも、リフィルは知らない。
離れた直後、エミルがその遺跡の奥。
すなわち、ギンヌンガ・カップに一度もどっていっていた、ということを。
そこから世界全てを視ていた、ということを。
「みおとしたのかなぁ?エミル一人で大丈夫かな?」
上空からでも視力がよくなっているがゆえに見落とすはずがない、とはおもうが。
常に地上をみていたのに。
しかし、まあ岩影などによりかかっていればすくなくともその影にかくれみおとすこともありえる。
それは、あの教皇騎士団達がでてきたことにより、コレットは理解している。
最も、だからといって、あの場にもしエミル一人で残されているのならば、
エミルの身が心配、ということもあり、コレットが不安そうにつぶやくが。
「たしかに。あのくちなわや教皇騎士団がいる中に、一人あの場所に残されていたとすれば…心配だな」
そんなコレットにつづき、リーガルもうなづく。
リーガルはエミルの強さを知らない。
戦っているところをみたことがないので仕方がない、といえば仕方がないのだが。
わかっているのは、なぜか常に魔物とともにいて、しかも魔物を呼寄せたりできる、ということ。
そして、魔物はなぜか彼のいうことを素直にきく、ということのみ。
「まあ、そう悲観することもないんじゃねえか?」
そんな思案顔をしている彼らにむかい、さらっといいきるゼロスの姿。
「む。何でだよ。ゼロス」
おもわずそんなゼロスにたいし、ロイドが突っ込む。
そもそも、ゼロスもあまりエミルの強さをしらないはず、なのに。
なのにどうしてそういえる、というのだろうか。
だからこその突っ込み。
「あのエミル君だぜ?話しにきけばあいつ、ロイド、おまえさんよりつよいっていうじゃないか?」
「…う」
事実なのでロイドからはいいかえせない。
「へぇ。あの子、そんなにつよいんですか?」
そんなゼロスの言葉に、首をかしげつつも、リフィルの横に移動し、アステルがリフィルにと問いかける。
アステルもエミルのことを詳しくしらない。
そもそも、地の神殿であってからこのかた、ほとんど日にちもたっていない。
わかるのは、彼が自分とそっくり、という点くらいであろう。
そしてまた、リフィルからきいたが、センチュリオン、となのりしものがともにいた、という事実のみ。
「つよいわね。そもそも封印解放の儀にて試練としてでてくる魔物達ですら一撃ですもの」
トリエットの遺跡で、風の封印の場で。
いともあっさりと一撃のもとに撃退された、封印を司りし魔物達。
一番印象にのこっているのは、アスガードの人間牧場。
あの魔物の襲撃は、まちがいなくエミルがかかわっている、そうリフィルは確信している。
いまだにエミルにといかけても話しをはぐらかされて、答えをもらってはいないが。
「…俺、前、エミルのつれてた小さな鳥の魔物にすらまけた……」
あのときのことをおもいだし、がくり、とうなだれてつぶやくロイド。
事実なのだから仕方がないとはいえ。
小さな鳥の魔物…ついでにいえば世間的にはあまり強くない、
といわれている魔物にすら負けたショックはロイドからしてみれば大きい。
「いや、鳥の魔物にすらまけたって……」
おもわずそんなロイドのつぶやきに突っ込みをいれているリヒター。
まあその気持ちはわからなくもないが、興味があるのかプレセアも目をきょとん、と見開いているのがみてとれる。
それはまた、ミトスにしても然り。
「エミルのやつが強いからさ。稽古つけてくれっていったことがあるんだ。
  だったら、この子にかてたら考えてもいいよっていわれて…そのまま」
それはトリエットの遺跡を過ぎてすこししたころ。
「あのこ、すごいよね。というかさ。…何で鳥が上位にあたる術をほいほいとつかえるの?」
イラプションなどを連続してロイドにはなったのをジーニアスはみている。
ちなみに、そのときにロイドを相手したのはイグニスなのだが、当然ロイドはそれを知るはずもない。
「エミルさんの強さはわかりませんが、普通でないことは確かです。
  飛竜の巣では、飛竜の長とおもわしき飛竜までエミルさんに従ってました」
「あ~……」
プレセアの至極もっともな指摘にそのときのことをしっているものは、おもわず声をもらす。
そのとき、捉われの身でいなかったコレットはそのときのことを知らないが。
「…ついでにいえば、あのとき、エミルは伝説とされている魔物フェンリルまで呼び出してたな…」
リフィルのぽそり、としたつぶやきと、
「そもそも、なぜに人が魔物を呼びだせることができるのだ?」
リーガルの素朴なる疑問はほぼ同時。
それは彼らにとっては素朴なる疑問どころか大いなる疑問であろう。
人が魔物を呼びだせるなど、きいたことすらない。
魔物つかい、とされている一族でも、常に魔物とともにいて、そんな魔物達を使役していた、といわれているというのに。
「…フェンリルを?」
たしか、フェンリルはセルシウスの傍にいる魔物ではなかったのか。
それゆえのミトスの疑問。
それ以外のフェンリルがいるとすれば、ミトスがしっているのはかの地をまもりしフェンリルのみ。
最も、二体もいるのだから他にもいるのかもしれないが。
「あの特徴は間違いないわ。そもそも、エミルもフェンリルだっていってたし」
「あれって、あのフェンリルとかいう魔物が起こした吹雪で飛竜達の動きが鈍ってたよね。
  そのあとなんか、なんでか飛竜のおさ?ぽいのがエミルになついてたし…」
あぶない、とおもったのに、逆にエミルになついていたあの光景。
あれはジーニアスからしても衝撃であった。
リフィルがため息まじりにいい、ジーニアスも思い出すようにいってくる。
「…あの、エミルさんって……」
ミトスの呟きはおそらく、この場にいる誰にも共通するもの、であろう。
「ま、エミル君がどうこう、というのはおいとくとして。
  まあ、どうせひょっこりと合流してくるんじゃないのか?エミル君のことだし」
ありえそう。
ゼロスのかるい口調で、何の根拠もない、といえる言葉だが。
あのエミルのこと。
ありえる、とおもってしまう。
否、絶対にありえる、とおもう。
あの、のほほんとした口調で、あ、みんなここにいたんだ~、そんなことをいいかねない。
切実に。

ゼロスからしてみれば、その意見はしごく最もといえる。
あの場は、異界の扉…アステル達のもくろみでは、世界を隔てし場、ギンヌンガ・カップとよばれし場。
そこにつづいているのでは、といわれている場所。
センチュリオンとともにありし、精霊の関係者。
あのとき、関係者だろう、といっても笑みをうかべられたままで答えはなかったが。
逆に、その考えは皆にはいわないでね、ともいわれた。
その意味が何を示すのか…考えずともわかる。
ゆえに、心配はしていない。
心配なのは…むしろ、あの場にのこったものたち、であろう。
教皇騎士団と、その手引きをしたであろう、あのくちなわ、というもの。
かの場で騒ぎをおこそうとしたものを、エミルが許すかどうかは、わからない、のだから……


パルマコスタには落ち着きと活気がみられている。
といっても夜なので昼間ほどの活気もあまりみうけられないのではあるが。
港のほうからであろう、吹き抜けてくる潮風がここちよい。
ぽつん、と沖のほうにある灯台があわい光りを放っているのがみてとれる。
「そういえば、クララさん…どうなったのかな?」
結局のところ、あれからここに立ち寄ることなく、テセアラにむかってしまっていたので、
その後のことをロイド達は知らない。
そしてまた、
「…カカオさんに説明する義務はある…よな」
結局、カカオにも説明していない。
ショコラが自分達のせいで別の牧場につれていかれている、ということを。
「もう、夜だし。とりあえず、今日のところは宿にとまるとしましょうか」
「先生はどうするんだよ?」
「とりあえず、私は酒場で情報収集をしてみます。何か動きがあったかもしれないもの」
結局のところ、こちら側からみてみれば、世界再生の旅を途中でやめている、といっても過言でない。
おそらくは、救いの塔にむかった、という話しくらいはすでに伝わっているであろう。
大気にみちている安定したマナ。
それでもディザイアンがまだいることから、再生の旅はまだ続いている、と人々はおもっているのか。
あるいは…
そのあたりのことをリフィルは知りたい。
「うむ。では私も…」
「リーガルは、ちょっとね…」
「なぜだ?」
「考えてもみて?そんな手枷をつけている人がいっしょにいたら、人々はどういう反応するかしら?」
「うっ」
いわれてみれば、である。
それゆえにリーガルからしては言葉をつまらせるしかない。
「まあ、客観的にみて、リフィル様達が神子一行だってこの街のひとたちはしってるんだろ?」
「ええ。立ち寄ったことがあるからね」
それに何よりもマグニスの処刑においてかなり大立ち回りをしたがゆえ、
この街で自分達が神子一行…特にコレットが神子だ、と知らないものはまずいないであろう。
それゆえにゼロスの言葉にうなづくリフィル。
「なら俺様も情報収集をするとするかな~」
「あら?護衛でもしてくれるのかしら?」
「リフィル様が望むのならばよろこんで?」
何やらそんな会話をしているリフィルとゼロスに対し、
「あ、僕はならここに酒場とかってあるの?何ごとも情報あつめならば酒場が基本だし。
  たしか、てもちに弱い効果の自白剤…でなかった、お酒があったはず」
「まてこら。アステル!お前はこっちにきてまでまさかアレをつかって情報あつめるつもりか!」
「え~?楽だよ?ちょこ~~と水に数滴たらすだけで、あらふしぎ。お酒の味に。
  あっちでも好評じゃない?」
『・・・・・・・・・』
今、確実に、自白剤、そういった。
ついでにいえば、こっちにきてまで、とリヒターがいった台詞もある。
ゆえにおもわずその場にいる全員が黙りこむ。
「そういえば、ロイド、ノイシュつれてはいったけどいいの?」
「問題ないんじゃないか?とりあえずこいつがたしかやすめる宿舎があったはずだし、ここ」
問題なのはそこではない。
このノイシュが神子一行がつれている動物だ、とこの街の人々は認識しているはずである。
その姿をみただけで騒ぎになる、とどうやら思ってもいないらしい。
それゆえにジーニアスはため息をつかざるをえない。
「ノイシュ。ね。ねえ。ロイド、ついでだし。ノイシュをダイクのところにつれていってはどうかしら?」
「え?」
「これからおそらくいろいろと危険になるわ。それよりダイクの所にいたほうが安全ではなくて?
  以前はたしかにノイシュは私たちの足代わりにもなったけど、今はほら、レアバードもあるし」
こちらで使えるのかどうかはわからないが。
まあ、動力源はマナだ、というのだから問題はないはず…多分。
「まあ、実際に試してみなければこちら側でもレアバードがつかえるかどうかはわからないけどね」
一人一人がもっているウィングパック。
といってもレアバードは人数分あるわけではなく、五台分しかないのもまた事実。
リフィル、コレット、ジーニアス、ロイド、しいな、プレセア、リーガル、ゼロス。
これにミトスが加わり今現在いるのは計九人。
ついでにエミルが合流すればすでに十人。
そこにノイシュがくわわれば、五台のみのレアバードでは足がたりない。
リフィルの懸念は、その場合、あのエミルが何の魔物を呼び出すかがわからない、というものもある。
実際問題として、かの異界の扉にいくまでにエミルがのっていたのは、エミル自身がレアバードをもっていない、
というのもあって…プレセアにそれを渡していたので。
ともあれ、だからといって魔物でも精霊でもない何か
…センチュリオン、と名乗りし存在を呼びだしたのを目の当たりにしている。
ついでにノイシュはかなりの人見知り。
今ですらロイド、もしくはエミルとでなければレアバードにのることすら怖がっているふしがある。
「情報をあつめがてら、一度、あちらの大陸に戻るのも一つの手よ。
  それに、あちらにはイフリートもいるわ」
「ああ、炎の精霊、かい?たしかに。こっちにきたんだから、ついでに契約してもいいかもしれないね。
  こっちにいたのは、たしかあと……」
リフィルの言葉にしいなが納得したようにおもわずつぶやく。
しいながこちらにて契約しているのはウンディーネのみ。
「イフリートとシルフ、そしてマナの守護塔にいた月の精霊ルナとおもわしき精霊ね」
「あれ?姉さん。たしかあのとき、あのルナと名乗った精霊のような人って、
  アスカはどことかいってなかった?」
アスカはどこ?アスカがいなければ何もできない、契約も何も、そういっていたような気がする。
ひしひしと。
それをおもいだし、ふとジーニアスがそんな会話にわってはいってくる。
「月の精霊ルナですって!?それにアスカとは光の精霊アスカですか!?
  テラアセでは伝説になっている精霊はやはりこちら側にいるんですね!」
きらきらきらきら。
アステルの目がそんな彼らの台詞をきき、おもわず輝く。
「あ、アスカに関することならまかしてください!興味があってとことん古代文献よりしらべまくってます!
  たしか、光の精霊アスカが好むのは、リンカの木とよばれしものがつける木の実。
  それらの木の実がうみだせし音に敏感に反応する、といわれています。
  古代では、その木の実よりうみだせし笛によりアスカを呼びだした、という記録ものこっているほどです!」
ぐっと力をこめていいはなつアステルの顔は何よりもいきいきしている。
「うわ。さすがテセアラで右にでるものがいない、といわれている精霊通……」
そんなアステルをみておもわずしいながひいているが。
ふと、ユニコーンがいなくてよかったよ。
つくづくおもう。
あのユニコーンがまだいたとなれば、このアステルのこと。
どのような暴走をしでかすのか、考えたくもない。
そうおもい、おもわずため息をつくしいなの気持ちは、
まあアステルのことを知っているものからすれば、わからなくはないであろう。
「え?ノイシュとおわかれするの?」
コレットのさみしそうな声。
「これからの旅で何があるのかわからないのよ?
  これまではなぜかエミルが常に傍にいてくれたからいいけども。
  ノイシュに危険がおよばない、ともかぎらないわ」
リフィルのいい分も至極もっとも。
それに、とおもう。
下手にテセアラでノイシュを見失ったりでもして、テセアラで主流となっている…認めてたくはないが。
それでも国公認でやっている、という生体実験にノイシュが巻き込まれない、ともかぎらない。
リフィルとてノイシュの生態系にはとても興味がある。
ありすぎる。
どうみても犬ではなき、不思議な生物。
アステルの研究資料の中にあった、太古の生命体、プロトゾーン。
その進化系の大地をかける聖獣アーシスにノイシュの特徴は一致しすぎているといってもよい。
もっとも、古代の文献なので挿絵などもないのでいちがいに、そうだ、ともいえないが。
きになるのは、エルフの里において、エルフ達がノイシュのことを、たしかにアーシスだ、といっていたこと。
そしてまた、率先して里のものはノイシュの世話をしたがっていたのが印象深い。
自分達には遠巻きにしていたのに、である。
「それに…私たちはこちら側で、パルマコスタ、アスガード、二つの牧場を壊滅させたけども。
  まだわかっている牧場はあと二つ。絶海牧場とイセリアの牧場。
  その二つのこともきにかかるわ。あと…ディザイアン達がどうしているのか、というのもね」
人間牧場を壊滅させられて、ディザイアン達があれからこちらでどうしていたのか、リフィルは知らない。
また、ロイド達も知らない。
それゆえの台詞。
もしかしたら新たな牧場を建設するために、人員を確保するために、
またディザイアン達による人狩りが行われていたとしても不思議でなはい。
彼らがそんな会話をしているのは街の入口から少しはいった場所。
少し開けたそこからは、港につづく小舟などがおいてある、ちょっとした桟橋などもある場所。
その少し奥にはパルマコスタの総督府があり、さらにその奥には酒場があったりする。
グゥゥゥ……
『・・・・・・・・・・・・』
「あ、わ、わるい。ほら。けどさ、今朝からまともにたべてない、というか……」
リフィルをさがしまくっていたのでまともにたべていない。
もっとも聞きこみをしながらも露店があったりしたのでそこでかいぐいをロイドはしているが。
そんなあるいみまじめな話しをしている最中、ロイドのお腹の音が鳴り響く。
「…しかたないわね。この時間帯だと、おそらく食事ができる場所は酒場、くらいでしょうし。
  …ノイシュは宿にあずけて、私たちは食事にしましょう」
「でもさ。ノイシュを預けて大丈夫なのかな?姉さん?」
「……信仰の対象にはなるでしょうけど…まあ、いくらノイシュでも身に危険がせまれば逃げるでしょう」
ノイシュの逃げ足だけはリフィルも認めている。
だからこその台詞。

さすがはこの街にてあるいみ大立ち回りをしただけのことはあるというべきか。
リフィル達が宿にはいると、宿のものがリフィル達、もとい神子一行を覚えており、
無料でいい、といわれ、コレットも遠慮しまくったのだが、あるいみで押し切られ状態。
宿の部屋はあまりあいておらず、一人部屋や二人部屋、というものものこってはいないらしい。
何でもここ最近、海がとても穏やかで…魔物の姿は多々とみえるが、
なぜか人を襲わないのにきづき、これ幸い、と今までできなかった漁などでにぎわっている、とのこと。
宿のものがいうには、やはり海にもこれまでみたことのない魔物が増えており、
それでもなぜか魔物はこれまでのように率先して人を襲ってはあまりこない、という。
まあ、魔物の群れの中やおそらく魔物のテリトリー?範囲にはいれば一概にはそう、ともいえないらしいが。
結局、大部屋を二つ。
コレット、リフィル、プレセア、しいなの四人が同室。
そして、ロイド、ジーニアス、ミトス。
アステル、リヒター、ゼロスの三人が同室に。
計、三部屋にとそれぞれ部屋割をきめ、とりあえずノイシュを騎獣の宿舎にあずけ、
遅い夕飯をとるために、一行は酒場へと向かうことに。

酒場の扉はなぜか真新しい木の匂いがのこっている。
何でも以前の襲撃…興奮した民衆が勢い余った壊したらしいのだが。
自分達の力だけでマグニスを追い払えた、そうおもった民衆が御祭騒ぎとなり、
その結果、調子にのった若者がどうやら建造物の一部を壊してしまったらしい。
そう説明してきたのは、酒場の前にいた呼子の一人。
酒場の中は日もくれているせいか、旅人や猟師、ついでにこの街の人達なのだろう。
さまざまな人々で賑わっているのがみてとれる。
酒場の棚にはパルマコスタワインが陳列されており、ようやく安定した気候にはなったものの、
まだ新たなワインをつくるのは時間が到底たりない。
ゆえに並べられているのはもっぱら、いまだに品質が劣るワインしかなかったりするのだが。
もっとも、天候不良となる前に製造されているワインはかなりの高値がついてりおり、
それらのワインも一応酒場では取り扱ってはいるが、その金額はかなり高い。
ゆえに高い代物なので当然、目につく棚などには飾ってなどはいない。
と。
「だから、このシルヴァランドにもかつてのような国があれば!」
何やら奥のほうが騒がしい。
みれば、頭がつるり、とはげている男性が何やらわめいているのがみてとれる。
「まぁたはじまったよ。プルートさんのあれ」
「ああ。シルヴァランド王朝の末裔だとかいうあれだろ?
  しかし、ドア提督がいなくなった今、それは魅力ではあるよな」
「ドア総督の後継者ともいわれていたプルートさんだしな」
総督の後継者はキリアしかおらず、次の総督はブルートへ、というのはほとんどの街の人々の希望であった。
もっとも、プルート自身はドアがいるのであれば、と自分ができることを、
といって人々のためになるようなことをしていたのではあるが。
時折、このようにして酒場で酒がはいると、自分の理論を持ち出すことがある。
それゆえのまちの人々の反応はいつものこと、といってわりきっている。
「シルヴァランド王朝が復活すれば、今のようにディザイアン達がすきかってするようなことも!
  また、罪をおかしたものが逃げることもできなくなる!統一した法ができるのだからな!」
だんっ。
そういいつつ、何やらビールジョッキらしきものを片手にそんなことをいっている男の姿が目にとまる。
「こりゃ、プルートさん、あの偽神子の一行が簡単に釈放されたのがいまだに許せないっぽいねぇ」
「しかたないんじゃないかい?あの偽神子一行。
  厳重注意をうけて解放されたあとに、他の街でかなり人々から資金をだまし取っていたらしいじゃない?
  その情報がこっちにまで伝わってこなかったがゆえに、釈放されたわけだし」
『・・・・・・・・・』
そんな会話がきこえてきて、おもわずロイド達は顔をみあわせる。
もっとも、ゼロス達テセアラ組は何のことだか理解不能ではあるが、
ロイド達、シルヴァランド組はしっている。
そもそも、この街に初めてきたときに、その偽神子一行とおもわしきものと出会っているのだから。
あのときは、コレットのことをしる教会の祭司がそこにいたので偽物のことがすぐにわかった、のだが。
「そもそも、八百年前はあれほど繁栄していたシルヴァランド王朝が滅亡したのはクルシスの怒りをかったから。
  ともいわれてるんじゃなかったっけ?」
「それこそいいがかりだ!うちは代々、そのときあらわれたディザイアン達との戦いのすえ、
  彼らの非道なる仕打ちにて国が滅ぼされた、と聞かされている!」
ディザイアンが現れたのは、今から八百年ばかり前、といわれている。
ぴたり、と王朝が滅んだあたりと一致することから、そのあたりで封印が弱まったのだろう。
とは学者達のだれもが大概一致している歴史の事情。
「でもさ。たしか王国が保護していた神子様が殺されて、クルシスの怒りをかったっていう説もあるんじゃあ?」
当時の神子が殺されて、天の怒りをかい、国は滅ぼされた。
そのように認識されている王朝。
「でも。考えてもみれば、救いの塔があらわれた以上、天の怒りはとけたのかもしれないぜ?」
「たしかに。今までの神子様は途中で死んでいたらしいけど。
  このたびの神子様は救いの塔へむかった、まではわかってるしなぁ」
そんな会話がロイド達の耳にととどいてくる。
さすがに十人近くいる、というのもあり、一番広い座敷にと案内されてゆく途中、
嫌でもきこえてくるそんな会話。
「…コレットにフードをかぶってもらって正解だったわね」
ちなみに、あきらかにあやしい、とはわかってはいるが。
この街では一行はめだつ。
特にシルヴァランド組は。
ということで、購入しているフード付きのローブをそれぞれに羽織っている状態になっている。
聞けば、あの温泉のあった宿にて売っていたのでリフィルが購入していたもの、らしい。
何でそんなものを、とロイドはおもったが、しかし口にはださなかった。
理由が簡単にわかってしまったがゆえ。
なぜかそのローブにはテセアラでも有名…らしい、
とある織物をもじった、紋様がそれぞれはいっているのである。
それは、マナリーフをもらいにいったときにみせられた模様とほぼおなじもの。
エルフが扱う服は高いので、こうした模造品が結構でまわりそれもかなり人気品らしい、とはゼロス談。
最も、それをきたことにより、リーガルの手枷があるいみで目立たなくなっているので、
リーガルをみてぎょっとするようなものがいない、いうのが救いといえば救いかもしれない。
「世界が再生された後には、民衆には強い指導者が必要となる!」
「ああ。はいはい。わかったから、そろそろとめとけよ。ブルートさん。
  マルタちゃんが心配するよ?」
「しかし、ドア総督もいない今、ドア夫人が頑張ってはいるが…ブルートさんのいうことも一理あるよな」
「ゼロから国をたちげるってか?まあ、ブルートさんの人柄はいいから、
  国をつくるっていったらついていく人達もいるだろうけど。
  しかし、他の村や町がそれを許容するかねぇ?天の許可でもあれば別だろうけど」
案内された座敷のどうやらそんな会話をしているものたちは隣で話している、らしい。
そんな会話をききつつも、それぞれが座敷にとすわりつつ、
「シルヴァランド王朝?」
リーガルが思わずつぶやく。
「そういえば、こっちには指導力となる要の国がないんだったね」
しいながふときづいたようにいう。
「そうなんですか?」
アステルの問いかけに、
「ああ。あたしがきいたところによると、ね」
「ふむ。仮に世界が互いに救われたとしても、復興にかかる資金がそれでは問題となるな」
リーガルがふとそんなことをおもわずつぶやく。
「そうか。クルシスを倒しました。はいおわり、じゃないんだよな…」
「いわれてみればそうだよね」
今はただがむしゃらに、クルシスを、そしてこの世界をどうにかしよう、とおもっていていた。
しかし、その後のことをまったくもって考えていなかった。
それゆえにおもわずロイドとジーニアスが顔をみあわす。
「復興計画は何よりも必要だ」
リーガルの淡々とした言葉に裏はない。
「でも、私たちにはそのような計画を進めるようなことができる大きな組織と連携をとってはいないわ」
リフィルのいい分ももっとも。
そもそも、こちら側、シルヴァランドでそのような組織などきいたことすらない。
「大きな組織?レネゲードみたいなものか?」
そもそも、あちら側でもこちら側でも活動してるっぽい組織である。
いくらロイドとてそこそこの規模なのだろう、というのは理解できている。
「いや、できれば国政を司る組織が一番いいのだが。こちら側ではどのような機関が統治しているのだ?」
それは素朴なる疑問。
「どうなんだろ?ずっと昔はパルマコスタ王国があったってきいてるしなぁ。
  もっと昔はアスカードのあたりに王様がいたらしいし」
「まったく、ロイド、あなたは歴史に疎すぎよ。そもそも、ここシルヴァランドにも王国はあったのよ。
  それこそ古代大戦時も、その後もね。一番最近で滅んだ、といわれているのが、旧シルヴァランド王朝ね。
  ディザイアンの復活とともに、その勢力と戦いを繰り広げ、滅ぼされた、といわれているわ」
それこそ今、隣のものが話していたように。
「こちら側…衰退世界はディザイアンに荒らされてそのような国政を司る機関も滅んだ、というわけか……」
「そういえば、こっちでは復興のかじ取りをしてくれる人…いないね」
あらためて考えてみるとまったくいない。
あったとしてもそれは村や町単位であり、一つの国、すなわち世界単位ではない。
「まあ、テセアラには陛下がいるからなぁ」
あれでも、というゼロスからしてみれば注釈はつくが。
「…そう、考えてみればシルヴァランドは難しいかもしれないわね。
  シルヴァランドの中でここ、パルマコスタが一番大きな街ではあるけど、
  全部の街や村に影響力をもっているか、といえば答えは否、ですもの」
それこそ互いに村や町が好き勝手にはじめる可能性がある。
そして、それをきっかけにまたあらたないがみ合いに発展していかない、ともかぎらない。
「それにしてもリーガルってすげぇな。そんなことまで考えてるのかぁ。
  俺、まったく考えてなかったよ」
「幼いころからそのように教育されてきたからな。万物の常に先をみて行動するように、と」
リーガルの言葉に嘘はない。
「幼いころから?それは……」
「まあ、今はとりあえず、できることからしていくしかないんじゃねえの?
  最悪、まあ、かじとりは教会側にやらせばいいんじゃねぇの?
  こっちでも教会ってある程度の権力もってるんじゃねえの?コレットちゃん?」
「教会で一番発言権をもっている、とすればやはりおばあさまかなぁ……
  祭司様方はかならず、おばあさまのもとで研修をすることになっているし」
神子の家系の長のもとでかならず研修をすること。
それがマーテル教祭司に最低限かせられている修業。
「教会もすべて寄付などでまかなわれているから復興資金があやしいわね。
  そもそも、精霊と契約したあとどうなるかすらわかっていないのだもの。
  二つの世界が切り離されて終わり、なのか。それとも、一つの世界にもどるのか。
  切り離された場合は、その場合、少ないマナで世界の存続が可能か、という問題もまた含まれるわね」
そこまでいい、ため息をひとつつき。
「だからこそ、あのレネゲードも大いなる実りを発芽させようとしているのでしょうけど」
マーテルが復活すれば、それもかなわない。
それは、マナの消失を意味している。
それはすなわち、世界の滅亡。
神子がマーテルの器にされてしまえば、大いなる実りは発芽することがない、そういっていた。
あのユアンが天使であり、ユグドラシルに呼ばれている、といってクラトスとともにいなくなったあのとき。
そしてまた、ラーセオン峡谷できいた四英雄達の名。
「語り部のひとがいってたこと…か」
堕ちた勇者。
ミトス・ユグドラシルとその仲間達。
クラトスの名もその中に含まれていた。
四天使。
それは、クルシスにつたわりし、四大天使、というのにそのまま直結している、とはコレット談。
その名までは知られてはいないようではあるが、クルシスにはマーテル様につかえる、
四大天使様、というのがいるんだよ、と。
そのように教えられた、と。
「戦闘能力の一つ…か。人とはどこまでも愚かなことを考えつくのだな」
リーガルとてそのことをきき、何もおもわなかったわけではない。
人為的に人を人でなくするようにする、などと。
「オリジン…魔剣。かぁ。オリジンってどこにいるんだろ?ね、しいな?」
「だから、あたしにきかないどくれよ。アステル、あんたはしってるんじゃないのかい?」
ジーニアスにいわれ、しいながあわててアステルにといかける。
精霊のことならば、アステルにきくのがてっとりはやい。
それゆえにしいながアステルにと話しをふりわける。
「ああ、このあいだ、エミルといっしょにトレントの森にはいったときに、石板はみつけましたよ?」
あれをつけられたことがアステルにとってかなり収穫であったといえる。
あるのはわかっていが、どこにあるのかがわからなかった伝説の石板。
ひたすらに石板にかかれている文字をそのまま書き写していたら、
ふと気分がとおくなり、きづけばいつのまにか森の入口にと倒れていた。
リヒターとともに。
「みつけたのかい!あの伝説のオリジンが宿りし石板を!?」
「ええ。ここにそこにかかれていた文字は全てかきとってますけど」
「ということは、やはりオリジンはユミルの森の奥。ヘイムダールのさらに奥にいる、というわけね」
そんな彼らの会話をきき、彼らは天使、というものがどういう存在なのか、理解してしまっている、という事実にきづく。
どうやら、あのマナリーフの門番から彼らは話しをきいていたらしい。
なぜあの場にいけたのか、などという思いもあるにしろ。
ミトスとていちいち世界のことを把握しているわけではない。
ゆえに、テセアラでおこった小さな事件などは気にもとめてすらいなかった。
テセアラの王立研究院が手にいれようとして、逃した子供、
そんな些細な出来事は、当然、ミトスの耳に伝わってすらいない。
かの王立研究院はミトスの…クルシスの管理する機関ではなく、
あくまでも国が管理せし機関であるがゆえの障害といえよう。
「すくなくとも、大樹カーラーンを復活させなければどうにもならないのも事実であろう。
  しかし、今からその後のことは考えておいたほうがよいであろう」
リーガルのそのいい分はしごくもっとも。
大樹をよみがえらせました。
これでマナの心配はなくなりました、はいおわり、ではないのだから。
ミトスは彼らがかの地においてどんな話しをしていたのかはしらない。
ミトスがあの地を襲撃するように命じたとき、ちょうどロイド達はラーセオン渓谷にいた。
そのことすらミトスは知らなかったといってもよい。
あれほど早くにやってきたがゆえに、近くにいたのだろう、という認識しかなかったのもまた事実。
何しろいきなり村はずれにロイド達の気配は突如として出現したのである。
襲撃させていた天使たちをひきあげさせ、自分が倒れているようにみせかけ、
唯一のこしていた家に火をはなった。
その真下に倒れ込むようにして気絶したふりをしたそのほぼ直後にロイド達がやってきた、といってもよい。
もっとも、ロイド達はそんな裏事情は知らない。
理解しているのは、エミルとセンチュリオンのみといってもよい。
ロイド達からしてみれば、襲撃の中でたった一人いきのこった村の子供。
そんな認識しかないのだから疑うことすらしていない。



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あとがきもどき:
薫:今回、まったく話しがすすんでおらず、あるいみおさらい回。
  んで、さらにユアンからもおさらいのように認識確認をうながされ、
  それからようやく絶海牧場です。
  …何話しになるんだろ?これ、まじで…汗

2013年7月17日(水)某日

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