まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ようやくコレット救出~次から精霊との契約にようやくはいる・・・
ミトスの出番ももうすこし。
そういえば、あのミトスとジーニアスのイベント…動画さんでみるけどなかなかみつからず…
イベントシーンのみの編集、とか誰かないかなぁ…
ゲームさんでもあればいいのに、イベント総集編、みたいな感じでクリア特典として…
チャットはあるけどさ……
あとがき別3話しあり

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「今が好機です。施設の中にいきましょう」
「あ、まてよ!エミル!俺もいく!」
エミルにつづき、ロイドもあわててレアバードから降り、浮遊大陸っぽい大地の上へ。
飛竜の巣とよばれし場所はちょっとした島程度の大きさがあり、
それらは常に空に浮かんでいるあるいみ天然の要塞でもある。
この浮遊大陸は本来、彼ら飛竜の産卵場所。
にもかかわらず、人が勝手に手をくわえ、彼らの要塞施設にしているにすぎない。
「今のは……」
あきらかにあのエミルと名乗っている少年が何かした、そうとしかおもえない。
そもそも、伝説のあのティアマトを呼びだした時点で普通ではない、とはおもったが。
大樹の枝をもっている、ということといい、魔物を使役できること、といい。
どうかんがえてもあの精霊とのかかわりがどうしても捨てきれない。
しかし、だとすれば納得できるものもある。
今現在、大いなる実りからでるマナはあきらかに涸渇状態にもかかわらず、
二つの世界のマナはゆっくりとではあるが確実に増えていっている。
大樹の精霊の直属たる配下のセンチュリオン達が目覚め、
もしもマナを紡いでいるとするならば……
マーテルにつれられ、というか無理やりにひきずられ、恋人、と紹介されたあのとき。
マーテルがのほほんとといかけ、ふときになることをかの精霊はいっていた。
今は大樹が枯れかけているのにどうして精霊達は存続できるのか、という問いかけに。
かの精霊はこう答えた。
地表の大樹が枯れたとしても、大地たる地下には大樹の根を張り巡らせているゆえに、
地表がすぐさまに魔界ニブルヘイムのような瘴気に満たされることはまずない、と。
予測されていた飛竜の襲撃がないことから、レネゲード達もそれぞれ、大地にとおりたち、
そのまま施設の中へ突入している様がみてとれる。
いつの間にか雪はやんでおり、上空にいたはずの魔物の姿もいつのまにかきえている。
みれば施設内部にはいってゆくエミルとなのっている少年と、それにつづいておいかけていっているロイドの姿。
「ボーダ」
「は。おきをつけて」
とりあえず部下にその場をまかし、ユアンもまたロイド達のあとをおいかけてゆくことに。

光と闇の協奏曲 ~飛竜の巣にて~


「これは……」
施設の中をすすんでゆくことしばし。
なぜかどこからともなく現れた魔物達がこぞってそこにいるディザイアン達を襲撃しているようではあるが。
そんな中、異様に警戒が強い場所を選んでエミルが進んでいっていることにロイドは気づかない。
否、誘導されている、ということにすら気づいていない。
まあ、入り組んでいる建物というか地下施設の中。
どうみても迷路みたいになっている道を一人で突き進んだとしても、
いきつくさきは行き止まり、と相場はきまっている。
実際に幾度か一人でつきすすみ、行き止まりになったがゆえにさすがに反省しているらしい。
無駄に鎧のみがのこっている道。
行きどまりになってはそれらの鎧を目安にし
…なぜかそれらの鎧を食べている魔物もいたりしたがそれらはさらりと無視。
気にしてもしかたがない、とどうやらロイド的に割り切ったらしい。
入り組んだ道をすすんでゆくことしばし。
奥まった部屋。
開け放たれた部屋からはほんのりとした明るさがもれている。
そこにはどこかの施設でみたような巨大なスクリーン…リフィルがそう説明していた…があり、
様々な場所が映し出されているのがみてとれる。
そしてまた、その先にはいくつものカプセルのような筒のようなものが天井にむけて設置されており、
その中に…信じられないものがいくつもはいっているのが眼にとまる。
それは異形、としかいいようがないもの。
人であったのであろう、体半分が人で、それでいてそれ以外は魔物のような姿になっているのも。
腕のみが翼をもつものになっているのも。
あげくは、首だけ、四肢のみとなっているもの。
そんなものがところかしことならぶカプセルのようなものの中に浮いている。
「これは一体……」
ロイドがそれらをみておもわず顔をしかめる。
牧場でみたそれらよりもかなりタチがわるい、とロイドはおもう。
牧場はあくまでもエクスフィアの苗床、という理由もあって人に危害は加えられてはいない。
が、ここにあるのはどうみても人為的に何かしでかされている、そうとしかおもえないものたちばかり。
「ここはどうやら合成物キメラの実験場のようだな」
そんなロイドの後ろからやってきたユアンが淡々といってくる。
「キメ?何だ?それ?」
「簡単にいうと、異なる生物同士をむりやりに融合させ、かけあわせた人為的な戦力を生み出しているということだ」
カプセルの中には飛竜…の子供であろうものの姿もちらほらとみてとれる。
と。
「「「ひっ!わ、私達はわるく…!」」」
奥のほうから何やら人の声が。
みれば奥まった場所にマントとフードを着こんだ数名のヒトらしきものの姿がみてとれる。
そしてその前にはエミルと、そして数体の魔物達の姿も。
「悪くない?よくもまあ。命をもてあそんで、悪くない、とは。本当に人、とは愚かな……」
淡々というエミルの声には感情がこもっていない。
むしろ冷めきっている。
解放してほしい、苦しい。
そんな思いがこの場には満ち溢れている。
「自分達の机上の論理たる研究をするためだけに手をかした愚かなるものたち。
  おまえたちのようなものは、世界にとって害にしかならぬ。死をもってしての償いもお前たちには緩すぎる」
「「「ひっ」」」
目の前にいるからこそわかる。
エミルの瞳が緑から深紅にかわったということは。
しかしそれは、ロイド達にはわからない。
あくまでも人々は壁際におり、その前にエミルはたっている。
そしてその壁はロイド達がはいってきた入口側とは反対側。
すなわち、ロイド達はエミルの背中しかみえていない。

おそらく、エミルが何かしたのであろう。
エミルが手を何かそんな男たちに向けたと同時。
『ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
何ともいえない男たちの悲鳴が響き渡る。
そこにころがるいくつかの肉塊。
しかしそれらは意思をもち、肉体を崩してはいても人の意識はそのままで。
大きさ的にはスライム程度くらいの肉塊の欠片となりはてている数名の男たち。
しかしそれにロイド達はきづかない。
ただ、何か叫びとともに、男たちがそこからきえた、そんな認識しかない。
何しろどうみてもそこにいるのは紅いスライム、のような肉の塊のような魔物、にしかみえないのだから。
しかもなぜか息苦しい。
ここはたしかに上空で空気も薄いかもしれないが。
いきなりずん、と空気がおもくなり、息をするのも苦しくなる理由がロイドにはわからない。
ユアンは息をととのえつつも、何やら目を見開いているのがみてとれるが。
この空気はユアンは覚えがある。
そう、かのわすられた場所において。
冷たくそして息苦しい、この空間、この感覚は……
だが、それらはすぐさまに霧散する。
ゆっくりと背後の二人にきづいたのであろう、振り向いたエミルはいつも通りの表情で。
「あれ?二人とも、どうかしたんですか?」
にこやかにそんな二人にとといかける。
それとともに、重かった空気がふっとかるくなるのを感じるロイド達。
「どうしたも…エミルこそ、何を…?」
そんなロイドに対しエミルは答えることもなく笑みをうかべたままにて、
「それより、ロイド。そこのスクリーンにうつってるけど、コレットの場所がわかったよ?」
みればたしかに、壁にとあるスクリーンのひとつに。
カプセルのようなものにいれられているコレットの姿が映し出されている。
「!コレット!」
「どうやら、ここからさらに地下みたいだね。入口は…」
「私が調べよう」
ユアンがそういい、そこにある装置らしきものにと手をふれる。
そこに映し出されるはこの施設の見取り図。
気になることは山とある。
が、今、優先すべきは神子の奪還。
それゆえのユアンの行動。

目的の場所はこの奥にとある通路から地下にむけていけばたどりつけるらしい。
ロイドからしてみればここにいる…どうみても異形と化した人々を助けたい。
が、どうにもできないのもまた事実。
何もできない無力さににぎりしめる手に力がはいる。
「さて、と」
ふとみれば、エミルが腰から小さな枝のようなものを取り出しているのがみてとれる。
「エミル?」
エミルが何をしようとしているのか、ロイドにはわからない。
「ここをこのまま、にしておくわけにもいかないし。…あの子達をこのまま、というのもね」
取り出した枝をかるくくるり、と一回転し、部屋側。
すなわち、カプセルが多々とある部屋の方向へとむける。
そして。
『歪められし偽りの器にやどりし 我が一部よ 我が力をもってして 我が元に還りゆかん』
エミルの口から不思議な旋律のような歌のような何かが、発せられる。
それとともに、エミルの手にしていた杖からまばゆいばかりの…紅と緑の入り混じった光が部屋を満たす。
あまりの眩しさにロイドは目をつむる。
もしも目を開いていたとするならば、光りの中、その場にあったすべてのものが、
光の粒となり、それらは光りにとけこみ、渦をまくようにエミルのもとにと集まってきている様子がみれたであろう。
はたからみれば枝にと吸い込まれているようにみえなくもないその光景。
「エミル…今、何を…?」
ふと目をあけてみれば、そこにあったはずのカプセルのようなものがことごとくなくなっている。
そしてその中にはいっていたであろう、数多たる異形の物体のようなヒトや魔物達の姿すら。
「さ、いこ」
そんなロイドの言葉に答えることなく、すたすたとエミルは歩きだす。
今、感じたのは膨大なマナの奔流。
眩しい中でも感じた。
この場の全てのものがマナにと還元されて、エミルのもつ枝のほうに吸い込まれていったその流れを。
その力にはユアンも覚えがある。
かつて、マーテルがもっていた世界樹の杖。
それも同じようなことができた。
対象物をマナにともどし…そして杖の中にマナとして取り込む。
マーテルは滅多としてその機能というか力を使うことはなかったが。
「…やはり、あの子のもつあれは、本物…なのか?」
そうつぶやくユアンの言葉に答えてくれるものは、誰もいない。


「どうにかならんのか!?」
必至で装置を操作するものの、肝心たる制御する根本の箇所が壊れてしまってはどうにもならない。
「魔道砲が折れてしまってはどうにも!」
それはあるいみ叫び。
あちらに回していたはずの力が完全に逆流している。
「ダメだ!制御できん!くそ!」
必至に装置を操作しようとするが、すでにエネルギーの逆流ははじまっており、
バチバチ!とした音とともにその場の機械全てが小刻みにと爆発してゆく。
「エネルギーが暴走するぞ!退避、全員退避~!」
それとともに、ビー、ビー、という警戒音が施設内にと響き渡る。
この場を管理していたのであろうディザイアン達がその場から一歩あとずさろうとしたその刹那。
背後に感じるいくつもの気配。
それとともに、
トッン。
突如として意識が刈り取られる。
「侵入者か!?」
誰かがさけび、攻撃しようとするものの、だがしかし。
このままここにいてもまちがいなく爆発に巻き込まれる。
それゆえに、彼らはどうやら撤退することにきめたらしく、その場にきた彼らを無視し、
そのまま入口のほうへ。
「おいおいおい。…どうみても、お姫様が捉われている部屋、というわけではないよなぁ?」
戦闘になるまえに逃げだしたディザイアンらしきものたち。
ゼロスはディザイアン、というものを初めてみるが、
たしかにあのレネゲード、となのっていたものたちと同じような格好をしているのはわかる。
そこはいくつもの機械がおいてあり、中心には巨大な球体のような装置らしきものがあり、
それからばちばちとおもいっきり不安をさそう小刻みたる電気がほとばしっているのがみてとれる。
あからさまに自分達を無視してにげだしてゆくこの場にいたものたち。
そしてこの部屋。
どうみても目的の場所ではない。
「潜入ミッションはなれている。道案内はまかせろ。といっていたのに。任せた結果がこれ?」
ゼロスにつづき、ジーニアスがじと目で横にいるしいなをみていっているが。
事実、しいなが潜入し目的の場所にいくのはあたしらみずほの民の得意とするところさ。
そういい、しいなにまかせ、ここまでやってきたのだが…
たどりついたはどうみても目的地ではない。
それだけは確信をもっていえる。
それゆえのジーニアスの突っ込み。
「う、うるさいねぇ。たまには感がはずれることだってあるんだよ」
しいながそんな彼らにあせったようにいっているが。
「今回が初めてではないのでは?」
「うっ」
プレセアの淡々とした指摘にしいなが言葉をつまらせる。
「時間がないわ。二手にわかれて、ロイド達とコレットを探しましょう」
ここでいいあっていても仕方がない。
リフィル達はロイド達とは少し遅れて施設の中にはいったこともあり、
また入った場所が違ったからかいまだにロイド達にはおいつけていない。
たしかにこの施設は入り組んでおり、それゆえに行き違いになった可能性もなくはない。
「了解。しいな」
リフィルの指摘にゼロスが同意をしめし、そのまますたすたとあるきだす。
そしてかるく腕をふり、しいなを呼んでいる様がみてとれるが。
「ちょっと。なんであんたがきめんのよ。もう。ったく」
文句をいいつつもゼロスとともに移動してゆくしいなの姿。
「一緒のチームだね」
「そうですね」
「さ、私たちも出発しましょう」
残されたのはしいなとゼロスを除く、リフィル・リーガル・プレセア・ジーニアスの四人。
ジーニアスの言葉に淡々とこたえているプレセアの言葉は事実をいっているのみ。
リフィルの言葉をうけて、このままここにいても仕方がない。
そうとばかりに彼らもまた施設の内部へと再びもどってゆく。
どちらにしても、機械が暴走している以上、今のリフィル達にできることはない。
完全に装置が暴走し、爆発するよりさきに
ロイド達と合流し、コレットをたすけだす必要性が出てきた、ということなのだから。

警戒音が施設内部全体にとなりひびく。
制御をうしなったエネルギーのゆきつく先は決まっている。
すなわちそれはこの場の消滅。
だがしかし、ここは飛竜達の元々は巣。
それゆえに、それらが発するマナを瞬時にととのえ、方向性を指定する。
この場にて乱れたマナを整えるのはエミルに…否、ラタトスクとにってはたやすいこと。
ついでにエネルギーを原動力にしている魔物をセンチュリオンに命じこの場にと移動させておく。
こうすることにより、巣への被害は最小限にと食い止められる。


「ロディル!…今まで、私を利用してきたこと…ゆるせません。コレットさんをかえしなさい!」
部屋にはいるとともにあらわれたロディルの姿をみとめ、
プレセアが問答無用で走りより、その手にもっている斧をふりあげるが。
が、それよりもはやく、ロディルの姿はきえ、次にみえるはコレットがいれられているカプセルのような真横。
そこにある装置のような前にとたっているのがみてとれる。
そのまま、ロディルはそこにある円形状の何か、に手をふれる。
と。
『うわぁぁっ』
突如として、部屋に同じくかけこんできたリフィル達から声がもれる。
きづけば足元に魔方陣らしきものがうかんでおり、そこから発する力がリフィル達の行動をさまたげる。
「どうです?神子のマナの味は?ふふ…ふははははは」
うごけない侵入者達をめのまえにして、ロディルはただ薄笑いをうかべつつ、
「世界を救うどころか仲間をたすけることもできない。まさに神子は愚かなる罪人、というわけですな」
ロディルとなのっていたディザイアンのあざけるような笑い声が部屋の中にこだまする。

そんな光景がみえているのに何もできない。
ごめんね、みんな、ごめんね。
謝ることしかできない自分の力のなさ。
みえているのに、しかし体はうごかない。
そのもどかしさ。

「違います!」
え?
プレセア達にかせられしは、普通の重力よりも数倍おもい重力を加えられている、というもの。
ゆえに動くことも、口をひらくことすらもままならないはずなのに。
ロディルの言葉をきき、ぐっと力をこめてたちあがるプレセアの姿がコレットから視てとれる。
自分の目でみるのではなく、魂で視る、とはこういうことをいうのだろう。
そう、思うが体は動かない。
「悪いのは…コレットさんじゃない。コレットさんは…わるくありません!
  悪いのは…神子に犠牲をしいる…世界のシステムです!」
ぐっと力をこめ、たちあがり、そうきっぱりといいはなつプレセアの言葉に迷いはない。
「くっ。エクスフィアの苗床の分際で!」
いいつつも、さらに装置に手をかざし、彼らの周囲の重力をさらに増やす。
それとともに、ついに完全にたっていられなくなったのであろう、
床にべたん、とおしつぶされるがごとくにその場に倒れ伏しているリフィル達の姿。
「ふふ。ふはははは。こうなったのはすべて神子のせい。
  恨むのなら私でなく、ここにいる愚かな神子となのりし罪人を恨むのですな」
そんな中、笑みを含んだロディルの声だけが部屋の中にとこだまする。
「ちがうっ…コレットさんは…悪くないっ!」
プレセアの意思に反応するかのように、プレセアにつけられているエクスフィアが輝く。
エクスフィアとよばれし鉱石にも意思がある。
永き時…といっても十数年、だが。
それでも、無機質とはいえ彼らにも心はある。
ゆえに苗床にさせられているヒトに力をかすのは、あるいみ当然、といえるのかもしれない。
本来ならば絶対にあうことなどありえないはずの御方とともにいられる、その喜び。
自らを産みだし、世界をも産みだした、そんな御方の傍にいられるその喜びは、
世界の一部たるものだからこそその想いははてしなく強い。
ゆえに、勝手に苗床にさせられてしまっているヒトに本来ならば協力する気などさらさらない。
ないが、ここにいるものたちはあるいみ特別といってよい。
だからこその協力。
自らの力を苗床たるヒトにかしあたえていたりする。
「な…なに!?」
なぜあのマナの奔流の中で動ける。
しかも重力を制御しているマナのはずなのに。
「ありもしない…罪を…なすりつけないでぇぇ!」
感情のまま、いきおいのまま、手にもっている斧を振り下ろす。
一歩、一歩、動くのもくるしい。
けどもあきらめない。
そのまま、ゆっくりと重たい体をどうにかうごかし、ロディルのもとへ。
そのまま勢いのまま振り下ろしたその斧は、ロディルの肩をこえ、背後の装置にと振り下ろされる。
その直後。
遅れてこの部屋にやってきたロイドがみたのは、
プレセアがロディルに斧を振り上げているところ。
そして、拘束されていたであろうリフィル達がその束縛から解き放たれるところ。
だがしかし、ロイドからしてみれば目の前にいるコレットに目が釘づけにされてしまう。
カプセルのようなものの中にいれられているコレット。
その体に何かされたような痕跡はないが、さきほどみた実験にされていたのであろう人々の姿と、
おもいっきり重なってしまう。
「コレット!」
コレットがいれられているのは何かの容器らしきもの。
そのままコレットの元にかけより、力まかせに容器をなぐりつけ破壊し、中にいるコレットのもとへ。
本来ならば普通に殴っただけではカプセルは破壊することなどできはしない。
それでも破壊することができたのは、ロイドが身につけているエクスフィアの協力があってこそ。
すでにロイドのエクスフィアはアンナと完全に意識も同化しているがゆえ、そんな芸当が可能となっている。
その事実にロイドは気づかない。
気づくことができない。
カプセルの中は光りのようなものでみちており、光りの中、コレットに足場もないのにかけよる。
足場もないのに足場があるような、そんな不可思議な感覚がそこにはある。
そのままそっと完成した首飾りをコレットの首にとかけるロイドの姿。

「よし」
「やったか!?」
それをみてガッツボーズをしているしいなとゼロス。
どうやら二人もまた少し遅れてこの場にとやってきたらしい。

「約束したよな。あのできそこないのペンダント。創りなおしてプレゼントするって」
そういったのはついこの間なのに、かなり前のような気がするロイド。
「こんな形になっちまったけど、一生けん命つくったんだ。・・・・おまえの笑顔がもう一度みたくって」
周囲の細工はかつてよりもできがよい、とおもう。
その中央にしている宝石も。
違うのは、中心にはめられている紅き石の中にはいっている小さな葉っぱ。
あの高温の中ですら溶けることなく、形はそのままにたもたれている。
「だから…もどってこいよ」
それだけいい、ロイドはぎゅっとコレットをだきしめる。
もう二度とはなさない、といわんばかりに抱きしめる。
ロイドの言葉にコレットの光を宿さない目に一瞬、光がともる。
が。
「ふ…ふはははは。そう簡単にはわたしはせぬぞ!こぞう!マーテル様の器はユグドラシル様のものだ!」
ロディルがいいはなち…どうやら立ち直ったらしい。
ついさきほどまでプレセアの斧におどろき尻もちをついていた、というのに、である。
そのまま再びそこにある装置に手をかざす。
それとともに、床が四方からせりあがり、そこからでてきたいくつもの管が、
二人の体をがんじがらめにとからめとる。
それとともに、コレットの足元たる床に魔方陣らしきものがうかびあがり、
いくつもの魔方陣が上空にと再び浮かび上がる。
と。
ロイド達の足元の床がせりあがり、それぞれロイドとコレットの体をいくつもの管のようなものが、
二人の体をがんじがらめにして絡め取る。
「これは・・・!?コレットのマナが逆流してるの!?」
そのマナの流れを感じ、ジーニアスが思わず叫ぶ。
そんな中。
「そうはいかないな」
ぐさっ。
背後からかんじる一撃。
「きさま…裏切るのですか…」
「俺様は、気まぐれだからな」
いつのまに移動していたのであろう、ゼロスがロディルの背後にたち、
そのままロディルの背後から剣の一撃をくらわせている。
そのまま胸に剣の一撃をうけてその場にたおれているロディルの姿。
だがしかし、やられっぱなしのはずもなく。
「そのように粗雑で醜きもの…取り除いて…くれる……」
ロディルがいい、息もたえだえになりながら装置に手をかざす。
それまで二人を拘束していた管がさらに数をまし、
そのうちの一つがコレットの首元にかけられた首飾りにとむかってゆく。
その管の先にはアームのようなものがついており、それはコレットの首飾りをのけるべく、
そのままぐっと首飾りをひっぱりはずそうとする。
やめろ、といいたいが、ロイドの口元もすでに管のようなものでおおわれており、口もきけない状態。

「やめて…」
これは…それは…
「や、やめて!」
取り除かれそうになる首飾りをコレットの手がふとつかむ。

ずっと傍でみていた。
せっかくロイドがくれたあきらかに頑張った努力のある首飾り。
誕生日のプレゼント。
それがまた、とられようとしている。
無意識のうちに手をのばした。
その手が体とかさなると同時、とられそうになる首飾りにと触れた。
言葉にでない、とおもっていたその言葉も体から発せられる。
ふときづけば、いつのまにか自分の幽体…エミルのみがこの状態に気づいていた。
エミル曰く、この状態は幽体、というらしいが…ともかく、幽体と肉体がかさなっており、
無意識のうちに自分の口から声がでる。
「これは…これはロイドが…ロイドが私のためにつくってくれた…誕生日プレゼントなんだからっ!」
声をかぎりにさけぶと、何かが解き放たれたような、そんな感覚。
そう、それでいいんだよ?
ふと常にきこえていた声がコレットにとどく。

直後、コレットの背中に翼がはえ、自らのマナをまたたくまに自らの制御のうちにともどしゆく。
その力の逆流により、コレット達の体を拘束していた管はもろくも崩れ去る。

「馬鹿な…だが……」
「って、何でまだいきてるのさ!?」
ジーニアスがさけぶ。
どうみてもゼロスの一撃は、おもいっきり急所であったはずである。
なのに、口から血をはきながらも、いまだに意識があるロディル。
そのままふたたび球体のような装置にと手をかざす。
と。
コレットとロイドの周囲に再び現れる魔方陣。
先ほどとは異なる、かなりの数。
それらの魔方陣により二人の周囲がまたたくまにゼロス達のいる場所と隔離されたような空間と成り果てる。

「しいな!」
往生際のわるいやつ。
それゆえにもう一度、ロディルをきりつけ、その場からあしげりにしそこから引き離す。
直後、ロディルが今まで操作していたであろう装置のもとにしいながかけよるが、
しかし。
「やってるよ。…っ、制御できない!」
マナの逆流はどんどんつよくなっていき、コレットとロイド。
二人の体を完全に光の檻の中にと捉えてゆく。
「ち。魔人剣!」
「もう、彼女のような思いをするものを…増やすわけにはいかんのだ!」
「そうさ…コレットは僕たちと一緒にかえるんだ!七色の裁きをうけよ!プリズムソード!」
「く。皆……」
ロイドにおそいかかる重力の壁。
立っていることすらままならないが、それでも必至にコレットをだきしめる。
「…ごめんね。ロイド…私…世界をすくうことも、ロイドを救うことも…皆を救うこともできない…
  私…中途半端な神子だったよね…やっぱり、あのロディルのいうとおり罪深い神子なんだ……
  せめて、ロイドだけでも……」
「違う!それは違うぞ!コレット!」
自分がこのまましねば、ロイドは助かる。
今、この力の源となっているのはあきらかに自分のマナ。
ならばそのマナがきえればロイドも、そして皆もたすかる。
そんなコレットの覚悟にきづいたのか、あるいは気づいていないのか。
それはもう直感てきなものであろうが、即座にそんなコレットの言葉を否定しているロイド。
そしてまた。
「順序を取り違えてはだめです!コレットさんは…コレットさんは、わるくない!
  どいてください!しいなさん!」
「え?」
「いやぁぁっっっっっっっ!」
がっん。
それはもう本気の一撃。
しいなが必至で制御しようとしている装置におもいっきりプレセアは自らの斧で一撃をくらわせる。
それとともにコレット達を包み込んでいた光が装置にも逆流し、
装置の前にいたプレセアをもまきこんで、盛大な爆発をかもしだす。
それとともに、光は装置の破壊をうけ、そのまま鎖とかしていた管のようなもろともはじけとぶ。
「プレセア!サンキューな!」
ふっと体がかるくなったのをうけロイドがさけぶ。
ばちばちとした音がだんだんと大きくなる。
だがしかしプレセアからの返事はない。
「プレセア!?」
みれば反動からかどさり、とその場にたおれこむプレセアの姿が。
その姿をみてジーニアスが叫ぶ。
「どうやら、今の反動で気をうしなったみたい」
そんなプレセアの横にいき、エミルが冷静にそんなことをいっているが。
そのままひょいっとブレセアを抱きかかえる。
そしてその胸元にある石に手をあて、ちいさく。
「頑張ったね」
小さく、それでいてねぎらいの言葉をかけるエミルの視線はとても優しい。
それは無理やりにうめこまれている『子』にむけてのエミルの言葉。

「コレット!」
「ロイド!」
「ロイド…あ…えへへ。話せなくなってからお話ししたいこといっぱいあったのに…何もでてこないや」
傍でみていたのはほんの一部。
まどろむ意識の中でときおり浮上してはロイド達の旅の様子が視れていた。
ときおり体にもどってはまた体からぬけだしては。
そのくりかえし。
「いいさ。これから今まであったこと全部はなしてやるよ。
  仲間だってふえたんだぜ?皆が協力してくれたからやってこれたんだ。
  かえってたくさんはなしてやるよ」
「おもったとおり、コレットちゃん、かわいい声だなぁ」
そんなやりとりをみつつ、そんなことをいっているゼロス。
「ちょっかいだすんじゃないよ!?」
そんなゼロスに突っ込みをいれているしいな。
「コレット。おかえり」
「…!うん。ただいま、ロイド!」

「おかえり。コレット」
なにやらこの場の雰囲気というか状況を理解しているのだろうか。
このものたちは。
ロイドがコレットに目をやると、彼女は自分の髪をひっぱったり、
体のあちこちを触っていているのがみてとれる。
ジーニアスもそんなコレットにきづき、
「コレット。声だけじゃなくて、他にも元にもどった?感覚とかちゃんとある?」
コレットはしばし考えたのち、にこり、とうなづき、
「っと…うん。大丈夫みたい。皆、ありがとう。それから心配かけてごめんね?
  すごくひさしぶりにお腹もすいてきた気もするし」
「ま~たあやまってる」
ジーニアスが肩をすくめる。
「うん。本当に大丈夫だよ?羽は…まだでるみたいだけど」
「そ…そうか」
ゼロスがコレットの顔をのぞきこみつつ、
「う~ん。やっぱり俺様がみこんだとおり、コレットちゃんは笑っていると断然かわいいぜ」
にこやかにそんなことをいっているが。
「えっと、あなたはたしか、ゼロスさん?」
紅の髪の男をみあげ、確認するようにとといかける。
「おお!俺様のことちゃんと覚えていてくれたんだな。
  同じ神子同士、仲良くしようぜ」
差し出されている手にきづかずに、コレットはぺこり、と頭をさげる。
ゼロスは行き場をうしなった手に目をやりそのままその手を頭にとあてる。
「とにかく。神子の奪還もすんだようだな。ここから脱出するぞ。
  魔道砲のエネルギーが逆流している。ここはまちがいなく爆発するぞ」
ユアンのいい分は至極もっとも。
「どうでもいいけど、あんたって空気とかよくいわれない?」
「ぐっ!」
それはよく昔からいわれていること。
ゆえにゼロスのつっこみにユアンからしてみればおもわず言葉をつまらせる。
「そうね。プレセアのことも気がかりだし」
プレセアはいまだにエミルの腕の中にて意識が目覚めない。
あの重力の中無理やりに動いたのだから体への反動もすごいはず。
リフィルからしてみればコレットもプレセアもどこか落ち着いたとこで休ませたいのが本音。

施設内部に響いている警戒音はより甲高く鳴り響いており、
すでにみうけられるディザイアン達の姿もまばら。
ユアンのいい分も一理ある。
それゆえに脱出すべく、再び地上へと。
が。
「クラトス!?」
そこにいるはずのない人物をみておもわずロイドは身構える。
その背後にコレットをかばいつつ。
「貴様、何をしにきた」
そんなクラトスにユアンが警戒をふくめて問いかけるが。
「しりぞけ、ユアン。ユグドラシル様が呼んでいる」
それは淡々とした口調。
「…何?神子をつれていくのか?」
それだけは許容できない。
そんなユアンの心情がわかっているのかいないのか、
「いや。捨て置く。…例の疾患だ」
それはユアンとて把握している。
あの救いの塔で彼らをたすけだしたとき、すでにコレットには疾患の症状があらわれていたのだから。
「……あとはまかせたぞ」
そこにいるボーダにといい、ユアンが剣を納める。
「あ、おい!まてよ!」
だが、ユアンはロイド達に背をむけるとそのままふわり、と飛び上がる。
「せ…背中に羽!?あいつも天使だったのかい!?」
ユアンの背に薄い輝く翼が出現し、そのままふわり、と空にと飛び上がってゆく。
その光景をみて驚愕した声をあげているしいな。
ロイドも絶句するものの、だがしかし、今きになるのはクラトスのこと。
「クラトス、お前!」
クラトスにロイトが叫ぶものの、
そのままロイドにちらり、と視線をむけただけで、クラトスもそのまま空にと舞いあがり…そして、消える。
「どういうことさ!あのユアンも天使なの!?」
そこにいるボーダにジーニアスが問いかけるが。
「今は脱出が優先だ。すでに神子の奪還ははたせた。
  …そのレアバードはお前達に貸し出そう。我らは我らですることができた」
それだけいい、ボーダが号令をかけるとともに、レネゲード達も一斉にどうやら撤退準備はすませていたらしい。
それぞれ乗り物にのりその場からとびあがる。
なぜか攻撃してくるであろう飛竜達はおとなしいまま。
「…世界を救いたいのならば、精霊との契約をこなすのだな」
「あ、おい!」
「撤収!」
いいたいことだけいいすて、ボーダの声とともにレネゲード達は一斉にと飛び上がる。
そうこうしているうちにも、大地をおそう振動ははげしくなってくる。
「私たちもいきましょう!」
リフィルの声にうながされるまま、ロイド達もひとまずその場からはなれることに。

ズズッン…
飛び上がりしばらくすると、背後のほうからきこえてくる振動。
ロイド達は直接みていないからわからないが、それはヒトがつくりし施設が壊滅しただけのことであり、
それに生じた爆発力などはエミルがセンチュリオンに命じて呼びださせせておいた魔物の糧となっている。
ゆえに基本たる飛竜の巣自体にはあまり被害は及んではいない。
もっとも、施設があった場所は完全に無機質を好む魔物たちにより喰われ、
本来あるべき大地の姿へと戻されていたりするのだが。
その事実すらロイド達は知るよしもない。


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あとがきもどき:
薫:さらり、とコレット救出です。ロディルがしぶとい理由。そろそろ判る人にはわかってるかとv
  クルシスそのものをのっとろうとしていたとおもわれる彼ならぜったいに魔族好みだとおもうので。
  ふと、前回のまえぶりさんの続きをすこしばかりのせときまーす。


北門を抜けるとやがて道幅が狭まってくる。
両脇にしつらえれらた棚にはマーテル教会の紋章が染め抜かれた布があしらわれ、
ここが特別に神聖な通路であることを示している。
「うわ~。すげぇ。まだ光がでてらぁ」
ロイドは首が痛くるほど上をむき、ぽかっと口をあけてそんな感想をもらす。
切り立った崖に抱かれるようにして立っている聖堂の丸い屋根から放たれている光は、
まっすぐ天にのぽってゆくまばゆい光の帯としていまだはっきりとみえている。
「・・ねえ?何か…におわない?」
ふと風にのって何かの匂いが。
鉄さびにも似た匂い。
ふと、聖堂の入口からつづく長い石段にさしかかり、そのまま足をとめてしまう。
そこに、何やら鎧のようなものをきこんだヒト?らしきものがいくつも階段に倒れているのがみてとれる。
「ディザイアン!?」
ジーニアスが悲鳴のような声をあげ、ロイドがおもわず身構える。
が、彼らはぴくり、ともうごかない。
「…え?……しんでる……」
みればそこに倒れているディザイアンらしき格好をした男たちはことごとく息絶えているらしい。
恐る恐るちかづいてみれば、皆びくり、とも反応しない。
中には何かのツメできりさかれたようなものもいれば、のど元を食いちぎられたようなあとも。
それぞれのディザイアンの表情にはあからさまに恐怖?らしきものが張り付いたまま死んでいる。
「何だか上のほうがさわがしくない?」
何かたしかに騒がしい。
「…!神子様!?」
ふと聞きなれた声がし、ふと階段のほうをみてみれば、
見慣れた顔の祭司が数名、駆け下りてくるのがみてとれる。
「祭司長様!?」
それはコレットにとって見慣れた人物。
「よかった。神子様、ご無事でしたか!」
「…エミル殿に感謝ですな」
「まったくです」
何やら口ぐちに降りてきた祭司達がそんなことをいっているが。
「あ、あの?何が……」
「ん?エミルがいるのか?」
「何かあったのですか?」
コレットが心配そうにといかけると、
「ディザイアンらしきもの達が突然、不可侵条約に反して攻め込んできたのです。神子様。
  が、やられるとおもった直後、魔物達が一斉に彼らに飛びかかりまして……」
「「「あ~……」」」
「みればエミル殿がやってきてまして。何か不穏な空気を感じたとかいわれまして。
  で、ディザイアンどもがエミル殿に標的をしぽった刹那、今度は空から一聖に魔物達が……」
「「・・・・・・・・・・」」
何だかいわれなくてもその様子が手にとるようにわかってしまう。
いや、わかりたはくない、ないがわかってしまう。
「魔物さんたちも大好きなエミル護るために頑張ってるんだね」
「それですむ問題か?おい?」
にこやかにいうコレットの台詞におもわず突っ込みをいれているロイド。
「…まあ、エミルだからね~……」
この半年でもう突っ込むことに疲れてしまったがゆえに、そんなものだ、とわりきることにしているジーニアス。
「それで、上では魔物とディザイアン達のにらみ合いが続いていまして。
  不思議なことにディザイアン共は魔術を使用できなくなっているのか使う気配がないのですが……」
彼らとて驚いているだろう。
つかえるはずの魔術がまったくもって使えないのである。
そもそも彼らがあつかう魔術はマナを使用しているもの。
…マナを司る【王】が許可していなければ使用できるはずもない。
封じたり消し去ることなどいともたやすい、のだから。
「このままではラチがあかない。とおもいまして。私どもが神子様をお迎えにいこうと。
   エミル殿にもそういわれまして」
それまでこの人達おさえてるから。
にこやかにいわれれば、素直に従うしかない。
むしろディザイアン達のほうが驚愕であろう。
にこにことしながら魔物を従えている少年がいるなど、夢にもおもわなかったであろうから。
「……村長達がエミルを救いの旅に同行させたい、といっていたのがよくわかるよね…これ…」
「エミルも、記憶の手がかりになるかもしれないからそのときは同行させてほしいっていってたしね」
危険な旅になるであろう再生の旅。
今までの神子は道中、魔物、もしくはディザイアンに襲われ命をおとした、ときいている。
が、少なくとも魔物をなぜか従えさせられる…エミル曰く、友達が力をかしてくれてるんだよ。
とのことだが…とにかく魔物に異様になつかれるエミルがいれば、
魔物の脅威ははっきりいって皆無となる。
ゆえに彼らが即決したのは…まあ、いうまでもないこと。
「・・・みて!ロイド!」
「…あ」
ふと、階段にいたディザイアン達の体が淡く光ったかとおもうと、
その体は光の粒となりそのまま大気の中にとかききえる。
「…本当に死んだ、んだね。あのディザイアン達……」
「…ああ……」
この世界では、不思議なことに死したものは一定の時間をおくとその姿を失う。
残されるはそれらが着ていた服や装飾品のみ。
学者達いわく、死ねばその体は大気に還り、マナにと還る、とのこと。
全ての命はマナにて構成されているので死ぬとマナにと還元される、というのが一般的な説。
「とにかく。いきましょう」
「はい」
人が死んで消えてゆく光景を今初めてまのあたりにした。
それゆえに心ならずとも顔色がわるい。
「コレット。俺らもついてくよ」
「僕も」
「平和な世界が訪れるように皆で努力しよう。か。…この皆は魔物も含まれてるんだろうな……」
ヒト同士だけ、とおもっていた。
が、エミルにであってその感覚はかわってきたといってもいい。
エミルいわく、怖いのはヒトの心だ、といっていた。
横にいるテネブラエも。
「テネブちゃんがいつもいってるものね。世の中で怖いのはヒトの心だって」
「テネブの意見にそれは僕も同感」
いつの世も世の中を乱すのは、ヒトの心が原因、なのだから。
「今日は予言の日。私が産まれた日であり、
  神託をこの十六の誕生日にうけるのは産まれたときからきまっていたこと。
  司祭長様。よろしくおねがいいたします」
「こちらこそ。神子、コレット。あなたは私たちが無事に送り届けます」
あの光の帯がきえるまえに、神託の間にたどりつかねば、意味がない。


こんな感じの冒頭シーンでした、あしからず・・・・
さて、次回さんは実はまだ完全に打ち込みしてない、という…
そろそろストックつきてきた……


2013年7月3日(水)某日

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