まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ようやく次で石舞台~
しかし、これ、しばらくはラタさんのほうの内容がない(笑
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遺跡の街としての収入源は、観光客といってもよい。
にもかかわらず、さいきんの異常気象につづき、この突風。
絶対に遺跡に何か原因があるはず。
だからこそ。
「兄さん、やめたほうが……」
「しかし、このままでは、街が!」
止められるものの、これはあるいみチャンスでもある。
村長にかけあっても話しにならない。
ならば自力で調べるしかない。
その結果、何がおこるか、などとはゆめにも思わずに。
光と闇の協奏曲 ~遺跡の街アスカード~
北方向にと足をむけ、長い階段をのぼったさき。
山の頂上に設置されている、通称、精霊の石舞台。
北方向に足をむけ、石舞台へと続く道をとるとリフィルの足が次第に早くなる。
「先生。ちょっとおちつけよ」
エミルが宿をとった、と報告にきて、洞窟からでてみれば。
あれほどつよかった風は完全にやんでおり、それどころか風がやわらかくなっているような感じすらする。
エミルはどうやら精霊の石舞台、とよばれている場所のことも聞きこんできたらしく、
とりあえずその石舞台が封印に違いない、というリフィルのあるいみごりおしにて、
石舞台をめざしている一行六人。
ロイドが石階段をものすごい速さでかけあがってゆくリフィルに声をかけているが、
どうやら興奮し、遺跡モード、とよばれるものにさっそく変化している彼女には、
どうやら伝わっていないらしい。
そのまま長い階段をかけあがる。
山の頂上につくられしその空間はぽっかりと開けた空間をその場にさらけだしている。
「おおお!これぞ、アスカードだ!アスカード遺跡の石舞台、すばらしい!」
舞台は四角、中央には円陣が描かれている。
四方にはとある模様が描かれし石柱がたち、かつてはここにて風の精霊をまつるため、
もしくは感謝の気持ちをこめた舞いがふるまわれていた。
それをうけて、風の恩恵がこの地にあるのをしめすかのように、風が舞いのあとにふきつけ、
その風の様子をみてその年の吉兆を占う…そのようなことがなされていたのだが。
その四つの石柱の間をしずまった風がしずかに吹き抜け、ちょっとした音をそれぞれかもしだしている。
「何だ?これ?」
ロイドが石柱の横にとあるオブジェらしきものをみて首をかしげていると、
「もう。ここは神殿だったんだよ。クイレオ三世が一週間続いた嵐を鎮めるために、
ここで風の精霊に生贄をささげる儀式をしたんだ。ちゃんと授業でやったじゃない」
「はあ?俺、全然覚えてねぇ」
「生贄…ね」
いつの時代もなぜかヒトは生贄をささげる傾向がある。
それでどうにかなる、というものでもないのに。
こちらからしてみれば、血で穢すな、といいたいのに。
いくら全力で世界の安定に力を注いでいようとも、媒介となる樹が失われている状態で、
無意味に血がながされつづければ、魔族達とてそこにつけいるすきをみつけ、
そこから地表にでてこようとするのが手にとるように嫌でも理解できる。
そもそも、きちんと別惑星までをうみだしてそこに移動させているのだから文句はない、とおもうのに。
本来、何もない空間から惑星をつくるのが世界樹、としての力である。
ゆえに少し力を別な場所にと解放し、惑星一つくらいつくるのはわけがないこと。
魔界への門はそんな場所とこの地をむすぶもの。
あるいみ次元の扉、といっても過言でない。
ロイドの声に、リフィルはふりむきざま、きっとロイドをにらみつけ、
「きさま!何という態度だ!いいか、この石はマナを大量に含んでいるともいわれる貴重なものだ。
もっとも現在では世界的なマナ不足により、この石に含まれているマナもうしなわれつつあるという」
「…ふ…ふぅん……」
形だけのうなづき。
ふんふんと、真剣にエミルとコレットが聞き入っていたりするがそれはそれ。
「石に含まれていたマナが大気中に気化するときに独特の香りを放つのだが、
これがフィラメント現象だ。すなわち香りとともに火花がちるようにマナの輝きがあふれる。
ただでさえ夜になるとマナを含んだ石は青白く輝くらしいのに、だ。
この石舞台の神秘性がました理由にこの二点が考えられるのは当然だが、加えて……」
「へぇ。なんとか三世ってひとがつくったってことになってるんだ」
おもわず素で感心してしまう。
そもそもそれは地上世界でいうならば七万年ばかり前に創ったような記憶がある。
世界規模というか惑星規模の水の浄化より前にこの祭壇は実はつくられている。
一説には、ノアの洪水、ともよばれている災害は自分達がひきおこしたもの。
「ふむ。エミルには今度詳しく歴史を教える必要があるな。
…そういえば、エミルも似たような香りを時折はなってるな」
「え?」
(ラタトスク様は無意識のうちにマナを生成されますからね)
ものすごく当然ともいえるアクアの突っ込み。
いわれてみれば無意識のうちに必要最低限のマナは生成している。
どうやらそれを気づかれていたらしい。
そもそも今のエミルは本体そのものである、ラタトスク・コアを媒介にして具現化させているもの。
ゆえに無意識のうちにマナを生成しているのもまた事実。
「当時の人々はこの石舞台の科学的根拠がわからなかったのであろうな」
「すごいです。先生!あ、でもよくわからなかったのでもう一度説明してください」
「ふ。いいだろう」
「「えええ!?」」
コレットの質問にリフィルが目を輝かしさらに再び説明を開始しているのがみてとれる。
おもわずそんなコレットの質問に同時に叫んでいるロイドとジーニアス。
そして、
そんなリフィルの説明をききながしつつ、そっとその場を離れるロイド。
「よほど遺跡が好きなのか。あるいは幼いころに遺跡にからむ何かあったのか……」
クラトスもさすがにつかれたらしくそんなことをため息まじりにつぶやいていたりする。
ちなみにちゃっかりと離れて避難しているのをわすれていない。
リフィルの真横では真剣に聞き入っているコレットの姿がみてとれる。
そっとその場をたちさろうとすれば、がしっとジーニアスにつかまれ、
「自分だけにげるなんてずるいよ!ロイド!」
などとそんなことをいわれてしまう。
「でもな。先生のあの話しはながくなるぜ?」
「でもずるいよ。で逃げたのがわかったらまた延々とお説教になるんだよ?」
「うっ」
「「・・・・・・・」」
話しが絶対にながくなる。
ゆえに真顔でききっているしいなとコレットの後ろまでさがると、こそこそと後にするロイド。
はっきりいって説明をきいていたらねむくなってしまうのはロイドの悪い癖。
そんなロイドをあわてて追いかけているジーニアス。
ふとみればクラトスまでも少し離れた場所に移動しているのがみてとれる。
あいつも説明きくのいやなんだ、何となくロイドは親近感を覚えるものの、
ふと石舞台の背後にて人の気配がすることにきづく
そのまま石舞台の後ろにとまわりこむ。
そこには二人の若者がむかいあっている
彼らの間には箱型の何かの装置らしきものがおかれている。
「いいか。ライナー。これが俺の発明品。ブレイカーだ。つまりは爆弾だな。
これさえあればこんないまいましい石舞台などこっぱみじんにしてやるぜ」
「ま、まてったら、ハーレイ……」
ライナー、と呼ばれた男性はあわててもう一人の友人らしき人物をおしとどめる。
「これは貴重な遺跡だぞ?それを破壊するなんて……」
「綺麗事を言っている場合か?アイーシャが殺されるかもしれないんだぞ?
それに今がチャンスだ。あれだけ強かった風がなんでか収まりをみせている」
「それは…そうだけど……」
異変が始まるまえとおなじ空気になっているのがわかったからこそここにきた。
「それでなくても、竜巻の発生につづいて、アレの復活。…遺跡さえなくなればアイーシャは助かる」
「だけど!」
何やら破壊だの殺されるだの穏やかでない会話をしているのはおそらくロイドの気のせいではない。
「おい。何やってるんだ?」
ロイドが声をかけると二人は飛び上がらんばかりに驚きを隠し切れていない。
「な、何だ!?お前は!?」
「あの騒動の中ここにくる人がいるなんて!?ぼ、僕たち別に遺跡を破壊なんかしやしません!」
どうやら街の騒動を隠れ蓑にここで何かをやるつもりだったらしい。
ライナーと呼ばれた人物がそう叫んだその直後。
石舞台の上を走る足音が近づいてきたかとおもうと、
「はあっ!」
ロイド達の前に石舞台の上からリフィルが飛び降りてくる。
どうやら破壊云々、という言葉をききつけてこちらに駆け寄ってきたらしい。
ライナーがあわてて叫んだその直後。
「きさま!今何といった!?」
「げ。姉さん」
「先生。こいつらこの石舞台を破壊するんだってよ」
「!きさま!それでも人間か!」
いいつつも問答無用でふたりにたいして足蹴りをかます。
「お、俺はハーフエルフだ!」
「ふん。それがどうした。お前たちはこの遺跡の重要性がまるでわかっていない!」
いいつつも。
バシ。
リフィルは傍らにとある装置をいつもの癖で机のようにしておもいっきり叩く。
「「「「あ」」」」
「この素晴らしい遺跡を破壊するだと!?いいか、この遺跡はパラグラフ王朝の最盛期に……」
「…先生、それ……」
ロイドがハーレイに目で尋ねる。
彼は無言でこくこくとうなづいていたりする。
「姉さん、姉さんってば!」
規則正しい機械音が間違いなくそれから聞こえてきているのはおそらく気のせいではないであろう。
あせったようなジーニアスの言葉にも耳をかたむけず、延々と遺跡の重要性をといているリフィルの姿。
「何だ。質問ならあとでうけつける!」
「そうでなくて!」
「爆弾のスイッチがはいったんだよ!」
「質問ならあとで…と、何!?なぜだ!?」
ようやくここにいたり、爆弾のカウンターが進んでいるのにきづいたらしく、
今さらながら驚いたような声をあげているリフィルであるが。
「だから!先生が今、爆弾のスイッチをおしちゃったんだよ!」
「姉さん。いつもの癖で机をたたく動作したでしょ?そのときにスイッチがはいったんだよ!」
「女!お前のせいで爆弾のスイッチがはいってしまったんだぞ!数分後には爆発だ!」
げしっ。
「ひとのせいにするな!」
またまたリフィルのとび蹴り。
「そんなことより!解除スイッチはないのか!?」
「そんなものがあるかっ!」
「えばるな!」
どげしっ。
再び炸裂するリフィルのとび蹴り。
さすがに不意打ちであったがためにハーレイはよろよろとその場にしりもちをついてしまう。
「…はぁ。仕方がない。俺が何とかするよ」
ロイドはそういいつつ、爆弾の前にひざまづき、そのまま解除作業をはじめてゆく。
一方で、
「これってあんなちゃちな衝撃じゃどうにもならないけど……」
そんな彼らの会話がきこえていたがゆえにぽそっとつぶやいているエミル。
そしてまた。
「そうだな。この遺跡は通常の衝撃ではびくともせん」
クラトスとてここに始め封印を、というミトスの意見で作業しようとし、
ことごとくその作業が拒まれている経験があるのでエミルの言い分はよくわかる。
そもそもこの石はいわくマナの塊。
いいかえれば、彗星デリスカーラーンを構成している成分とまったくもってほぼ同質なもの。
すこしばかりその性質が異なるのは、ここを扉、として作成したからに他ならない。
(というか壊すこと自体むりなのに。これは。人ってほんとうにかわったことをしますよね)
アクアの言葉にエミルはただ苦笑するしかない。
いうまでもなく彼らは奥で会話されている話しを耳にしている。
というかあれだけ大声で話していればいやでもきこえてしまうというのが正解。
「へぇ。お前器用だな。制御不能のブレイカーを止めるとは……」
「制御できないもんをつくるなっつ~の!」
カチャカチャと器用にも解除してゆくロイドをみて感心した声をあげていたりする。
「?何があったの?」
気になったのかコレットもまた石舞台にあがり、こちらのほうにあるいてきているが。
みればしいなも一緒にどうやらやってきたらしい。
そんな会話をしている最中。
「こらぁ!石舞台は今は立ち入り禁止じゃあ!」
初老の男がこちらにむけてやってくるのが目にはいる。
「いけない!町長だ!」
「先生!はやくにげよう!」
「え?でもまだこの遺跡を詳しく調べて……」
「何やってるんだ!あんたらもにげろ!」
「今、この場は本来、立ち入り禁止になってるんですよ。危険という理由で、もしみつかれば確実に何らかの……」
「いこう、先生!」
また牢にいられるのはごめん、とばかりにロイドがそのまま彼らの意見に同意する。
刹那。
周囲を激しい風がふきつける。
おもわずこちらにやってきているヒトがまきあがる埃で目をつむっているのがみてとれる。
そんな彼らの横をそのまますりぬけ、
よく理解していないコレット達にも一度の撤退をつたえ、そのまま階段をかけおりてゆくロイドの姿。
一方で。
(…ソルム。やりすぎでは?)
その気配からしてどうやら報告というか交代にきたらしいソルムに苦笑しつつも問いかける。
(ええ!?もう交代の日!?いやぁぁぁ!)
(アクア。文句をいうな。お前もとっとと縁全てを回復させてこい)
そういいつつも、しばし深いため息をつき、
「…そもそも、わざわざ常に誰かが傍にいなくてもいいとおもうのだが……」
『それは賛成しかねます!』
もののみごとにそんなつぶやきに心にひびく目覚めしセンチュリオン達全員の声。
やれ、何があるかわからない、だの、やれ今何かあればコアにもどってしまう、など。
様々すきかってなことをいってくる僕達。
本当に、へんなところで過保護というか心配性な僕達である。
つくづくおもう。
ゆえに一人盛大にため息をつくエミルは…おそらく間違ってはいないであろう。
が、おそらくは、その想いは精霊達とてセンチュリオンと同意するであろう。
彼に万が一、何かあれば即、この世界そのものの消滅、なのだから。
山間につくられし集落ゆえに、特別な建物以外は山肌に穴をほっているだけの住宅も多い。
それでもここしばらくの突風によりそれらの建物や扉がかなり壊れているのが印象深い。
当然のことながら窓はほとんどなく、ゆえに外から内部の様子をうかがいしることはまずできない。
「さっきの男達はどこにいった!?」
リフィルがそんなことをいっているが。
どうやら遺跡を爆破させようとしたのを怒っているらしい。
おそらくは遺跡モードとよばれし性格になっているがゆえに、いっても無駄。
そう判断したのか、ため息まじりに、
「…人にきいたほうがはやいのではないか?」
珍しくそんなことをいってきているクラトスの姿。
そんなクラトスの言葉に、コレットが近くの女性にと話しかける。
街の人もどうやら穏やかになった風にきづいて戸惑いつつも様子をみに外にそれぞれでてきているらしい。
「すいません。ライナーさんという人の家はどこですか?」
コレットの問いかけに、
「ライナー、だって?」
問いかけられた女性はその言葉をきき声をひそめ、眉をゆがませ、
「ライナーの家ならあそこだよ。ほら、あの風車の隣の。アイーシャもかわいそうにねぇ。まったく。
ハーフエルフなんかと一緒にいるから生贄にえらばれちまうのさ」
その言葉にジーニアスとリフィルが顔をみあわせ、
「まったく、人というものは。どこまでも愚かな……」
おもわずぼそり、とつぶやいているエミル。
どうしてこう自分と違うものを排除しようとするのか。
その心そのものが醜くある、ということすら直視しようとしないヒト。
動植物達ですら共存しあい助け合って生きている、というのに。
人は愚かにも他者を排除して、自分だけがよければいい、とおもう傾向がつよい。
本当に愚かでしかない人の心。
それをのりこえれば自然界とともに共存し発展してゆくこともできるのがヒト、というものだというのにである。
「えっと…ありがとうございます」
差別発言した女性の台詞に悲しみをおぼえるものの、しかしまったく見知らずの人に差別はいけない、
といってもまちがいなくききいれられることはないだろう。
それに何か物騒な台詞がきこえたような気がしなくもない。
生贄、と。
「あの人達の家わかったよ~。あの風車の横だって」
いいつつ、ぺこり、と頭をさげつつも、
「あ、あの。種族が違うからって差別するのはどうか、とおもいます。
世界が平和になっても差別とかがあったら悲しい、と思うので」
「救いの塔かい?こんどの神子様は成功すればいいけどね。
どうせならハーフエルフもディザイアンと同様に封印してくれないかねぇ」
そんな台詞にさらに悲しみがつのる。
「…どうしてそこまで嫌悪するんですか?」
「だって、きみがわるいじゃないか。あいつらは歳をとらないんだよ?あたしたちとは、ちがう」
歳はとる。
が、その成長速度が成人すればゆるやかになるだけ。
「そんな……」
「コレット」
ぽん。
そんなコレットの肩にぽん、と手をおき、ふるふると首を横にふるロイド。
「今はそれより、先をいそごう」
ロイドの言葉に、そして女性の言葉に悲しみをおぼえつつも、
そのままコレットもうなづくしかできない。
石を積み上げてつくられているこのあたりでは結構まともな頑丈な家。
「おじゃましま~す」
いいつつも、家の中にとはいると、そこには三人の人物が。
一人の女性をはさんで、さきほど石舞台でみた二人の青年がいるのがみてとれる。
女性の年頃はおそらくは、コレットと同じくらいか少ししたくらいであろう。
ライナー、とよばれていた男性と同じ深い藍色の髪の色をしている。
大きく切りきった窓があるがゆえか家の中は以外と明るい。
「あ。おまえたち!さっきの観光客だな!」
ハーレイがこちらにきづき声をあげてくる。
「観光客ではない。私は学者です」
リフィルが胸をはってきっぱりといいきる。
「何でもいい。でていってくれ」
「やめてよ。ハーレイ。ここは私と兄さんの家よ?」
ハーレイの言葉をさえぎり、藍色の髪をもつ少女がこちらをふりむき、
「さきほど、兄とハーレイをとめてくださったという旅の人達ですね。ありがとうございます」
いってぺこり、とおじぎをしてくる。
「礼なんかいうんじゃねえ!」
「何いってるの?遺跡を破壊されたらこの街の人達はこまってしまうわ。
食べていけなくなってしまうのよ?それでなくてもこの異常気象による突風で、
観光客が減って収入源がとまりかけている、というのに……」
そんな中で誰かが遺跡を破壊したら、その疑惑がどこにむかうかまでわかっていないのだろうか。
まちがいなく…今ですら迫害すれすれにちかい待遇をうけている彼、ハーレイに
その意識は街の人全てむかってしまう。
そんな彼女の台詞にハーレイの瞳に悲しみの色がやどり、
「このごにおよんで他人の心配かよ……このままだとお前が生贄になるんだぞ!?このばか兄きのせいで!」
きっと横にいたライナー、とよんでいた青年をにらみながらもそういいはなつライナー。
「?どういうことだよ?」
ロイドが尋ねると、
「風の精霊を御祭りする儀式なんです…以前は石舞台で踊るだけ、だったのですが……
それにたまたまこの時期、アイーシャが選ばれてしまったんです」
どうやら、妹の名はアイーシャ、というらしい。
「こいつ、ここ最近の異常気象の原因は石舞台にあるかもしれない。とかいって。
勝手に石舞台を調べたあげくに勝手に封印をときやがったんだ。
おかげで風の精霊とやらがよみがえってこともあろうに生贄を要求してきたのさ」
ハーレイが吐き捨てるように話しをひきとりいってくる。
まあたしかに石舞台にある、というよりその地下にあったウェントスが原因なのだが。
入口であるがゆえによりつよい波動がでていたのには間違いはない。
「封印?」
「え、封印って……」
リフィルとコレットが同時に声をあげる。
「そうです。あなたは学者だとおっしゃいましたね。パラグラフ遺跡を研究されているならご存知でしょう。
祭壇のこと。伝説通りでした。封印は実在したのです!」
「何だと!?パラクラフピラーの象形もじのことか!?神話ではなかったのだな!?」
「ええ。ええ。そのとおりです!」
どうやら一瞬にて似た存在どうし、とお互いを認識し通じ合ったらしい。
そのままお互い同じ種類の話しで興奮したように顔を紅潮させ
…もっとも紅潮させているのは男のみだが。
リフィルは嬉々として遺跡モード全開で話しはじめていたりする。
「…姉さん。旅の目的わすれてない?」
そんな姉をみてあきれたようにつぶやくジーニアスに。
「俺達がさがしている封印ではないみたいだな」
神話とかいっていたのでおそらくは関係ないだろう、そう判断しいっているロイド。
「まあよかろう。…まんざら、回り道、というわけではない」
一人そんなことをいっているクラトス。
そんなクラトスの言葉に首をかしげているロイド。
「ええ。舞台の裏手に小さなくぼみらしきものがありまして……」
ライナーがいいかけると。
「い…いいかげんにしろ!この学者ばかどもが!アイーシャは今晩生贄になるんだぞ!でていってくれ!!」
「あ、ご、ごめんなさい。姉さんが…」
謝るジーニアスをちらり、と横でみて、
「あんたもたいへんだな。学者馬鹿の身内をもつと」
「…あ、あはは……」
その言葉に何とかえしたらいいのかジーニアスには答えるすべがない。
「あの。その、生贄って…」
コレットが心配そうな顔をむけるが、
「いいのよ。きにしないで。もとはといえば兄のせいなのだから。私、覚悟はできてるの」
そういって頬笑みをむけてくるがその笑みには悲しみがみちている。
そもそも生贄を差し出したから、といってアレが街を襲わない、とはかぎらないのである。
そうハーレイがいっても街のひとはききいれなかった。
生贄さえさしだせば何もかもがおさまる、もとはといえばライナーが原因なのだから、と。
「よくわかんねぇけど。今の話の封印って。俺達が探しているやつじゃないみたいだな。
遺跡にもどっても意味ないんじゃないのか?」
ロイドの至極もっともな疑問。
結局のところ、ヴァンガードが街から撤退した、というのをうけて、もう一度石舞台に、
というリフィルの意見に従い、そちらにむけて移動している彼ら達。
「…まんざら回り道というわけではない。まあいいだろう……」
そもそもかつてこの場所に封印の石板の鍵となるものを置いたのはほかならぬクルシス。
あの封印のときにミトスがアレに渡したにすぎない。
神子が誕生し救いの塔が現れたらその封印がとけるようにして。
「うん?何だ?お前たちは?」
どうやら先ほどの霧においてロイド達の姿は確認していなかった模様。
階段の脇のほうからでてくる村長らしき人物と世話役っぽい人物が二人。
「ここは今は立ち入り禁止じゃ」
そんな彼の言葉に。
「生贄のことならばききました」
リフィルが一歩もゆずらない、という表情で三人にと対峙する。
「それなら判るだろう?これ以上、石舞台を調べられて風の精霊様のお怒りをかったら何とする。
この先の石舞台にあがれるのは精霊の踊り手だけだ」
「それが生贄というわけね」
リフィルが不敵な笑みをうかべ、
「でしたら町長。私が踊り手になります。それなら文句はないですね」
「姉さん!」
「先生!」
ジーニアスとロイドの声はほぼ同時。
「再生の書によれば、ここが次の封印であることは間違いないわ。
風の精霊に会えさえすればわかるわよ。
精霊が求めている生贄というのは、マナの神子のことかもしれなくてよ?」
そんなリフィルの指摘に、
「そうかぁ。さすが先生」
感心した声をあげているコレット。
「そうかなぁ?結局は自分が遺跡を調べたいだけなんじゃないの…っ!」
ぽそりとロイドがつぶやいたとたん、おもいっきりリフィルの拳がロイドの頭に振り下ろされる。
「あ~あ、いらないこというから」
そんなロイドをみてあきれていっているジーニアス。
「お願いします。町長」
「・・・・・・・・・好きにするがいい。ただし、命を落としても責任はとれないぞ」
「町長。衣装一式はもうアイーシャに届けてしまいましたが……」
「おかまいなく。勝手にとりにいきますから」
リフィルはにっこりと笑ってみせる。
どうやらこちらの言い分は通ったようである。
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あとがきもどき:
薫:なぜかjpgのスタイルさんにしたら、IEによって画像がでない場合が…なぜだ?
かといって透明さん画像とかはGIF変更したら画像がくずれるし…
自分のパソさんではふつうにみれてるから画像がでない、など夢にもおもわず…謎だ…
2013年6月12日(水)某日
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