まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
前回のあとがきでもかきましたが、
これ、電撃文庫、OAV、ゲーム原作。いろいろと入り混じって会話のシーンなど。
作成しております。
ゆえにOAVとかみてないと?という箇所もあるかとおもいますが。
基本、エミル(世界)視点に近い客観的視点でいっております。
それを御理解くださいな。
ともあれ、…シルヴァランドの700KB超えまで何話になるんだ?編集したら??
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正気をたもつのがやっとのほどな力の奔流。
が、守護せし魔物達ですらその力にまけて狂っていたここしばらく。
ふと、その力が瞬時にして霧散する。
「…イグニス様がようやく目覚められたか……」
ほっとする。
このままだと自分まで狂いかねないほどの力。
孵化手前のコアの状態はマナを狂わせる力がある、とはきかされていたが。
ここまで、とはおもってもいなかった。
長い時のなかで、彼らがコアにもどったとしても必ず他のセンチュリオン様がたがいた。
ゆえに彼ら属性精霊にまで影響がおよばなかった、というのがあるいみ正しい。
ふと、どうやらミトスの枷と楔により
利用されていたはずの護衛の魔物達がもどってくる気配をかんじる。
なぜかおもいっきりびくびくしているのがみてとれる。
「どうした?お前たち?」
どうやら正気をとりもどしたらしい。
ゆえに自らを護っていた炎の結界をとき問いかける。
魔物達はあからさまにうろたえている。
それとともに、周囲の…
否、このあたりの魔物達が一斉に歓喜たる声をあげている声なき声がつたわってくる。
「これは…?」
空気が歓喜に満ち溢れている。
自然そのものが喜びを現しているかのごとくに。
『ラタトスク様が……』
クドゥグハより発せられたその声に思わず目をみひらく。
「お目覚めになられたのか!?」
おもわずそういう彼…イフリートはおそらく間違ってはいないであろう。
四千年も、ずっと眠りにつき、世界の安定に力を注いでいた世界の護り手であり世界そのものたる精霊。
そしてまた…自分達精霊のうみの親たる精霊。
『人の姿をしておられましたが、まぎれもなく……』
その様子からして何となく予測がつく。
というか人の姿であった、というのがかなりきになるが。
気づかずに狂ったままで攻撃をしかけた、そんなところではないだろうか。
どうやらその予測はただしかったらしく、魔物達三体はいまだにおびえているまま。
「そうか。お目覚めに……」
しかしきにかかる。
今、このときにいた、ということは、ミトスがつくりし歪んだ制度の神子とともにいた、ということ。
もしも今のミトスに王のことがしられれば、ミトスは確実に彼を狙うであろう。
裏切られたことはおそらく判ってはいるであろうが。
「…地上の一斉浄化もありえるかもしれないな……」
ぽそり、とつぶやくイフリートだが、誓約の楔がある以上、ここからはなられない。
本来ならば、すぐにでも王のもとにでむきたいのに。
それがとてもはがゆくもある。
さらにセンチュリオン達のねむる祭壇にすら今の彼はいかれない。
ここと、そしてこの上のみに縛られている状態、なのだから。
光と闇の協奏曲 ~砂漠の出来事~
「雪が…やんでる」
遺跡からでてまずロイド達が感じたのはそのこと。
手のひらを上にむけてみても、ひとひらの雪もおちてこない。
「精霊の解放がなされたからかしら?」
リフィルがいうが、クラトスは何もいわない。
そもそも原因はイフリートではないことは、クルシスのコンピューターにおいても判明している。
その原因はクルシスですらつかみきれなかったのである。
この世界…二つの世界にわたりおこっている異常気象は。
「でも助かるわ。雪のままだとコレットを休ませるのにも遺跡の中でしかなかったもの」
遺跡の中だといつ魔物がやってくるともわからないし、
何よりもあんな遺跡の中で焚火をするわけにもいかないであろう。
それゆえのリフィルの台詞。
「それはそうと。エミル?」
「はい?」
「…この、薪の材料…どうしたの?」
ここは砂漠地帯。
これほどまでにどうやって薪が手にはいったのかがきにかかる。
「え?ああ。さっきのテナイドにお願いしたらくれました」
「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
さらり、というエミルの台詞になぜか全員無言となりはてる。
「エミル。あなた、魔物と話しができるの?」
「え?普通できるでしょう?」
「できないよ!」
「できるか!」
さらり、というエミルの言葉に同時につっこみをいれているジーニアスとロイド。
「それはきちんと意識を通わせようとおもわないからじゃないのかなぁ?」
かつてのヒトは自然界とも心を通わせることが可能だったというのに。
その心すら忘れ去れらてひとしい。
あのエルフ達ですらそのことをほとんど忘れかけている。
「それに、きになっていたのだけど。あなたの手のそれ…ソーサリーリングよね?」
「え。あ、はい」
「ええ!?ソーサラーリングって、マーテル教会のたしか聖具でしょ?
…ロイドがきづいたらもってきてちゃったけど……」
ロイドの手にはソーサラーリングがはめられている。
エミルの手にもにたような指輪があるがゆえのリフィルの言葉。
しかしロイドのものとエミルのものとは何かこう何かが違う。
「何であなたのような子どもがそんなものをもってるの?」
「え?何で、って始めからもってるから、としかいいようがないんですけど?」
それ以外に説明のしようがない。
人の姿を模すときには、必要となるがゆえにいつもつねに身につけている道具のひとつ。
何しろ媒体もなにもなくいきなり力をあつかえば、なぜかヒトはいぶかしむ。
「遺跡では詳しくきけなかったわね。あなたの旅の目的は?何で一人で旅をしているの?」
今までいろいろとあり、きけなかったことをといかける。
その視線はするどいまま。
「とりあえずは、この異常気象を直すこと、ですね」
八柱全員をとりあえずおこさなければ話しにならない。
イグニスを起こしたことにより、八柱いる、というのは思い出している。
そしてその子たちの名前も。
エイト・センチュリオン。
それが彼らの名称。
役割としての名。
その言葉にクラトスの視線がするどくなる。
「それは、精霊の解放と関係があるのかしら?」
「さあ?」
そもそもどうして封印などという台詞がでているのかすらエミルにはわからない。
エミルは…ラタトスクは眠っていたがゆえに知らない。
今の世界にあるこの仕組みを。
そもそも、世界を二つにわけるときですら、精霊を封印云々という話題はひとつもなかった。
ただ、それぞれの神殿で、一年ごとにマナをわけあたえ、
世界にいまあるマナを調整し、あまったマナを実りにむける。
今うみだせるマナに限りがあり、マナさえあれば実りも発芽が可能、
そういったのはほかならぬラタトスク自身。
それをうけてそう提案してきたのはほかならぬミトス。
ならばやってみるがいい、といい、彼らに手渡したのがことのはじまり。
あまりに地表で血がながされるので扉の封印を護るにのに手いっぱいでそこまで力が当時なかった。
それでも媒介となる樹がまともならばどうにかなったというのに。
人はおろかにもその樹すらをも枯らした。
だからもう、地表は一度好きにさせて海に還してしまえばいい、自滅するのをまてばいい。
とおもっていたのもまた事実。
どうでもいいが、砂漠だというのにやわらかな草…これもテナイドにお願いしてもらったらしい。
彼らの魔物の枝などについている葉っぱ。
それらがしきつめられ、簡易的な寝床をつくられ、そこに横たえられているコレット。
布にひたされた水はジーニアスがスプラッシュの術で生み出したもの。
エミルの周囲にはこのあたりにいたであろう魔物がなぜかまとわりついており、
その周囲にぺたり、と座りこんでいるのがみてとれる。
どうでもいいが、恐怖の代名詞とまでいわれるドラゴン・ナイトまでどうしているのだろうか。
そんな思いもあるにしろ。
薪をとりにいってくる、といって戻ってきたエミルにつきしたがっていたのは数多なる魔物達。
おもわずかまえたリフィル達だが、エミルの一言で魔物達はそのまま待機の姿勢をみせていた。
さらにその中には人を石化する、とまでいわれており、
さらにその鱗が万能薬にもなる、といわれているバジリスクまでいたりするのだからあるいみ洒落になっていない。
それでも今は戻ってきたときより魔物達はのこっていない。
エミルが『ありがとうね』そういって魔物達に別れの言葉をいうとともに、
魔物達はそれぞれ砂漠の中へときえていった。
その光景に唖然としたのは記憶にあたらしいついさきほどのこと。
どこかの一族には魔物を使役するものがいる、とはきいていたが、
このエミルという子供はその一族なのかもしれない。
そうおもうがそれは口にはださず、エミルから何か情報をききだそうとしているリフィルの姿。
「もしかして、魔物達と一緒にいるからエミルってディザイアンにも襲われずに旅できてるとか?」
ふと何かに思いついたようにジーニアスがつぶやくが。
「あの?ですから、そのディザイアンって何なんですか?」
わからないがゆえに本気で首をかしげといかける。
目覚めた僕二柱もしらない、といっていた。
だからこその問いかけ。
「おまえ、本当にしらないのか!?」
「え、は、はい。あの?」
「信じられないわ…まあいいわ。時間があるし。説明しましょう。
あなた、今、この世界の事情どこまでしっているの?」
「?」
リフィルの言葉に本気で首をかしげるエミル。
どうやらわかっていないらしい。
そういえば、記憶が何かあいまいのようなことをいっていたような気がする。
ゆえにおもいっきりため息をつき、
「歴史のおさらいをかねてあなたに説明するわね。ジーアス、ロイド。歴史のおさらいよ」
「げ」
リフィルのことばに盛大にロイドがひきつる。
「一番のきっかけとなったら、まずは古代大戦から」
「また?まあいいけど。姉さん。
えっと、古代大戦は勇者ミトスによって聖地カーラーンで停戦されました。
その後、勇者ミトスは女神マーテルとの契約によって戦乱の原因であるディザイアンを封印しました」
「はい。よくできました」
「…は?」
そんな二人の言葉におもわず声がもれる。
というか、そもそも女神マーテルって何だ?
そんな女神なんてものは産んでもいなければつくってもいない。
そもそもディザイアンなんてものは当時いなかった。
そもそも契約したのは…約束したのは自分とであり女神マーテルなどというわけのわからないものではない。
枯れた大樹のもとでたしかに停戦協定はなされたが。
それは事実。
それが古代、とよばれる意味すらもよくわからない。
「今、この世界にはまたディザイアン達がでてきている。それは封印が弱まった証拠。
封印がよわまるとディザイアン達が表にでてくる。
そして、それを防ぐためにマナの神子が旅にとでる。
あなた、世界再生のことはいくら何でもわかってるわよね?」
「??」
さっきからわけのわからない言葉がぽんぼんでてくる。
というか自分が寝ている間に何が地表であったのだろうか。
おなじく意識をむけてみれば、イグニスもテネブラエも首をかしてげてるいのが感覚でわかる。
「おまえまさか世界再生までしらないのか!?」
「その、世界再生って何?」
どうも種を大樹としてよみがえらせる、という
文字通りの意味でいっているようではないような気がする。
それはもうひしひしと。
それゆえに疑問におもい問いかける。
「ロイド。あなたがこたえて」
「え?あ、ああ。…俺より無知なものがいたんだ……
えっと、たしか、世界再生の旅というのはディザイアン達を封印する旅のことで、
女神マーテルの試練をこなすと世界をまもる精霊が復活してマナも復活する…だったか?」
「ロイドにしては上出来ね。そう。
ここ最近の異常気象はディザイアン達の封印がさらに弱まったせい、といわれているわ。
この日照りや食料不足も皆、
ディザイアンが大量にマナを牧場にて大量に消費しているせいだといわれているわ」
そもそも、牧場って何?
マナを大量消費しているのはディなんとかというものでなくてまちがいなく感覚からしてわかるが、
いまだにどうやらこの世界には魔科学なるものが健在らしい。
ミトスはあの魔科学を失わせる必要がある、そういっていたのに。
そのためにしばらく世界をわければ嫌でも人はその技術力も衰退するから、とかいっていたのに。
「牧場?」
「それもしらないの!?嘘でしょう!?」
「あなた、実は記憶喪失じゃなくて?そこまでしらない、というのはおかしすぎるわ」
ならばあの遺跡について不可解なことをしっているのに常識をしらない、というのが理解ができる。
驚愕したジーニアスの台詞と、ため息とともにそんなことをいってくるリフィルの姿。
「少しきいてもいいですか?」
「何かしら?」
「その、古代大戦、とよばれている戦いですけど。それって今からいつのころなんですか?」
「それもしらないのか!?」
「うわ~。ロイドより無知がいたよ。姉さんのいうとおり、こりゃ、記憶喪失なのかも。
ロイドより常識がないってありえないもん」
「どういう意味だよ!ジーニアス!」
何やらじゃれはじめる子供達。
「今から四千年前、といわれているわ」
その言葉に大きくおもわず目を見開いてしまう。
「…四千年……」
おもわずにぎりしめる手に力がこもる。
無意識のうちにクラトスをきっと睨んでしまうのも仕方がないとおもう。
よもやそこまで時が…地表で時が経過しているなど。
どうりで、種の歪みが著しいはずである。
おそらくはながきにわたり歪んだマナを注がれ続け、種はもはや限界に近い。
繋がっているからこそわかる。
それをどうにかするのは、一度、自らのうちに戻す必要がある、ということも。
数多たる人の精神体という異物がはいりこんでしまっている種子を浄化するのにはかなりの力が必要。
おそらく、普通に浄化したのであれば、またたくまに地表全てのマナを使用することにとなる。
『ラタトスク様……』
主の感情がつたわったがゆえにイグニスとテネブラエ達が心配して声をかけてくるが。
「……ヒトを信じた俺が馬鹿だった、というだけのことだ」
それはあるいみ自嘲にちかいつぶやき。
小さくつぶやかれたその言葉は、ロイド達には届いていないが、クラトスには聞こえていたりする。
天使化すると聴覚がするどくなり、聞こえなくてもいい音までひろえるようになる。
それらはなれるとともにコントロールは可能なれど、今のクラトスは、
不審極まりないエミルにたいし注意をむけていたからこそその呟きがききとれた。
だからこそおもわず目を見開かずにはいられない。
なぜ今の会話でそんな言葉がでてくるのか。
まるで…まるで……
つき従う魔物。
かわった空気。
自分ですら息苦しくなるほどの圧迫感。
かつて、その感覚をうけたことがある。
そう、それはわすれさられし、魔界と現世の封印の間で。
だがその考えを否定する。
あの精霊は今でもあの間にて魔界の扉をまもっているはず。
ならば目の前の少年はかの精霊の関係者なのかもしれない。
そう考えればある程度のつじつまが合う。
が、報告はできない。
確定できないものを報告するわけにはいかない。
そのままなぜかだまりこんでしまうエミルという少年。
ぎゅっと目をつむり何かを考え込んでいるようだが、それが何をいみするのかロイド達にはわからない。
「…周囲を見回ってきます」
このままここにいたら、まちがいなく、クラトスになぜそんなことになったのか、
と問い詰めたくなってくる。
ゆえにそのまますっと立ち上がりその場をあとにする。
「あいつ、どうかしたのかな?」
「さあ?」
止めようにもなぜか声をかけられなかった。
「四千年…種にどこまで歪みが加わったのかが問題だな」
意識を種にむけるがどうりで最近、種との繋がりがあいまいになってきてるはずである。
そこに数多の異物がはいりこみ、自らとの繋がりを遮断しかけている。
このままでは、大樹の種としての機能すらはたさなくなるであろうことは容易に予測が可能。
「イグニス。ことはどうやら一刻の猶予すらあまりない。
種子に歪みが生じている。時間があまりないらしい。力がもどっていないかもしれないが。
…コアを我が内部にのこしたまま、魔物達との縁をむすびに世界におもむけ」
コアのみを内部にいれたままだと自らにて力を補充させてゆくことが可能。
「しかし、それではラタトスク様に負担が……」
「そんなことをいっている場合ではない、というのがよくわかった。
下手をすれば種は完全に歪む。その前にセンチュリオン全員を目覚めさせる。
この世界のマナを正常に紡ぐ必要がある。…必要とあらば俺の力をつかえ」
自分達からしてみれば四千年、という年月はたしかに一瞬のもの。
だが、まだ完全に熟成していない種からしてみれば、歪むには十分すぎるほどの時間。
「ラタトスク様はいかがなさいますか?」
「…ミトスが、何をしようとしているのかがきにかかる。
神子の試練などわからないものがあるようだしな。
精霊達を捕らえるにしても、捕らえるだけの力が必要となる力場が必要だ。
だとすれば…お前たちセンチュリオンの祭壇たる解放点に捕われている、
かつての精霊達の神殿に彼らはいる、とおもって間違いないだろう。
クラトスが彼らとともにいるのもきにかかる。何かをたくらんでいるのは間違いないだろうしな」
「しかし…あのミトス達が裏切っていたとは…信じられません…」
イグニスの口調は信じたくない、という思いが強い。
つよいが、
「事実は事実だ。人はかわる。いつの時代も、あっけなく、な」
永き時をえているがゆえにそれは身にしみてわかっている。
かつての惑星カーラーンにおいても人の心が大地を穢し、世界を破滅にと導きかけた。
「もしも、本当にラタトスク様をうらぎっているならば、
あなた様が目覚められたことを知ると何をしてくるか……」
「だろうな。かならず接触はしてくるだろう。それまでに力と記憶を取り戻す必要があるのは事実だ」
まだ記憶は完全ではない。
今の説明をうけて感化されたかのようにかつての一部と、力のありようを思い出しただけ。
「どうりで記憶があいまいになっているわけだ。…四千年、とはな」
いいつつも、その場にしゃがみ、そこにある砂をつかむ。
そのまま力をこめて解き放つと、砂の中にあらたな芽がめぶく。
「ラタトスク様……」
テネブラエも何といっていいのかわからない。
あの仲の良かった姉弟を知っているからよけいに。
「今の俺の力は封印のほうにまわしているがゆえに完全ではない。
…解放できるのもこの程度しかない。お前たちが縁をむすぶことにより地表で扱える力もみちる」
本来ある力はすべて封印のほうへとまわしている。
それゆえの台詞。
この程度、と彼はいうがはたから…第三者からみれば信じられないであろう。
何しろ何もないはずの砂漠の砂のなかにいきなり命が芽生えているのだから。
そのまま芽生えたそれを大地にともどす。
それらはみるまに成長していき、ざっと周囲にとひろがってゆく。
砂漠の一角に緑の一角が瞬く間にと出来上がる。
力があれば一気に森林にすることすらも可能のはずなのに、今はそこまで力がない。
いまだに雪はのこっているが、おそらく明日には全て溶けるであろう。
あらたにうまれし緑は雪とともにまじりいり、雪解け水はそこに小さな泉をつくりだす。
泉は草花にと水分をあたえ、また草花はそんな泉にと栄養をあたえる。
またたくまにと蘇るマナの循環。
「…あの娘はいかがなさいますか?」
「ほうっておく。そもそも彼らが望んでいることのようだしな」
わかっているのかいないのか。
無機生命体にすき好んでなろうとしているのに、わざわざそれを止めてやる必要はないとおもう。
どうやらかつてのように戦いのためなどという理由とかではなさそうなので世界にとって害はない。
「しかし、魔物達がかなり興奮していますね。まあ仕方ありませんが。ラタトスク様のお目覚めですし」
イグニスが周囲をみわたしそんなことをいってくる。
「このあたりはお前の属性配下のものが主だからな。…ここを全て縁を結び直したのち、
空間に隔てられしもうひとつのほうの大地のものたちとも縁をつむげ」
魔物達はヒトと比べて敏感。
もっとも、ヒトと比べればすべての生命体が敏感、といえるであろう。
人はどこまでも愚かすぎる。
大地の恵み、自然の恵みすらわすれ、自分達だけでいきている、そうおもう傲慢な心がある。
そういった心を一時期排除してもヒトは時とともにそのような心をもつにいたる。
ヒトは…いつの時代も鈍感で、最終局面になってすらその愚かさに気づかない。
自分達が死滅する段階にいたり、ようやく悟り、救いをもとめるのである。
本当に愚かでしかない、とつくづくおもう彼の気持ちはおそらく間違ってはいない。
それでもそんなヒトに絶望せずにすんでいるのは、
ごくわずかでもそうでないヒトがいる、とわかっているがゆえ。
そういうものがいるかぎり、どうしても完全に滅することができない、というのもまた事実。
中には完全にあきらめて、ヒトのいない世界を生み出している場所…世界もあるのをしっている。
自らのうちより旅立っていった世界の中には様々な選択をし、世界を広げていっていることも。
ヒトへの想いからすとん、と様々なことが連鎖的に思いだされる。
「俺はイフリートのところへいく。お前は縁をむすびにでむけ」
「かしこまりました」
それとともに、目の前に炎のようなものが出現し、それはまたたくまにとかききえる。
「テネブラエ、なぜお前はいかない?」
「おそばをはなれるわけにはまいりません。イグニスの力がある程度みちたら交代で変わります」
「あいかわらず、だな」
それはディセンダーとして世界に降臨したときも昔からかわらない。
何かあればすぐに自分を護ろうとする、その姿勢はかつても今も健在で。
だからこその言葉。
夜になるとやはり急激の気温の変化がみえてくる。
雪がやみ、どうやら本来の気象にもどったらしい。
それでも昼間、エミルがどこからか…
当人いわく樹の魔物がゆずってくれた、といっていた大量の薪ゆえに火はどうやら朝までもちそうである。
「コレット、ねむっているのか?」
「ううん」
ゆっくり休めるように、とのリフィルの気遣いで、
葉っぱでつくられた簡易的なベットから少し離れた位置にて焚火をおこしている。
いまだに横になっていたコレットはロイドの声をきき、ゆっくりと体をおこす。
「無理するなよ。そのままでいいよ」
「大丈夫」
ロイドはコレットと並んで腰を下ろす。
「晩飯。お前はあんまりたべなかったけどうまかったよな」
「うん。ジーニアスは本当に料理が上手だね」
ありあわせの材料でつくったというジーニアスの料理はマーボーカレーとスープ。
エミルは昼間に視回ってくる、といったっきり、一度もどってきてからのちまたでていった。
そのときに追加の薪やちょっとした食料をもってきてくれたのが助かったが。
「そうだ。コレット、これ」
「ロイド、それ……」
それはコレットが神託をうけたイセリアの聖殿の中でどこかに落してしまったもの。
探したけどみつからずに悲しくおもっていたもの。
「聖殿の中におちていたのをひろっといたんだ。できればもっとよく創りなおしたかったけど…
あ、でも鎖はしっかりと頑丈にしたぞ?」
「ロイド…これ、頑丈って…」
それはおもいっきり鎖、にみえるのだが。
いくつもの細いネックレスを組み合わせ、これでもか、というほどに太くつくられているそれ。
おもわず目をぱちくりさせたあとにくすくすとわらってしまう。
ああ、ロイドらしい、と。
「これならさすがにキレないだろ!」
ここにジーニアスがいれば女の子におくるようなネックレスじゃない!
とつっこみがあっただろうが、不幸にもすでにジーニアスは眠っている。
「うん。そうだね。ねえ、ロイドの手でつけてくれる?」
「お、ああ。なんか誕生日プレゼントというか天使となった記念のプレゼントになっちゃったな」
「おかしいかな?」
「天使になろうが何になろうが、コレットはコレットだろ?でもいいな~。空がとべるんだろ?」
ほんとうにロイドらしい。
そんなロイドの言葉に笑みをうかべる。
このまま時がとまればいいのに、とおもうがもう匙はなげられた。
それは自分が産まれたときからきまっていたこと。
「じゃあ、ロイドをかかえてとんでみよっか?」
「やめてくれ…男としての矜持が……」
コレットが異様に力もちなのはしっている。
だがしかし、男として譲れないものがある。
そんなことをされたら確実に数日はへこむ自信がある。
「?変なロイド」
「しかし、お前やはりまだ元気がないみたいだな。とにかく今日はもうねろ」
「うん。おやすみ。ロイド」
いいつつも、別れの言葉をいい、ロイドが遠ざかる気配。
遠ざかる、といってもそこまで場所は離れてはいない。
ふと、あわてて口元をおさえ、けほけほとせき込みだす。
体中が夕食で食べたものを拒絶し、排除しようとしているのがわかる。
「げほっ」
そのまま再び嘔吐する。
どうしちゃったんだろう…わたし、今までと違う…っ
恐怖と孤独が入り混じった感情がおそいくる。
そのまま無意識のうちに自分の体をだきしめる。
離れた場所では焚火を囲んでいるリフィル達の姿もみえる。
もし声をかければすぐにきてくれるだろう。
だが、それはできない。
これは、試練、試練なのよ。
そう自分自身にいいきかせ、ひたすらにただ体をかかえつつも横になる。
眠ればきっといつものようにもどる、そう信じつつ。
「コレットも落ち着いてきたみたいね」
横になっているコレットをみつつリフィルがつぶやく。
隠しているようだがまた吐いたらしいのをまのあたりにしたが、
そのまま横になったのをみると休むことにしたらしい。
リフィルの言葉にロイドも頷いた。
「……あぁ、天使になるのも大変なんだな」
光の羽の生えたコレット。
今でもその瞬間を思い出すことが出来る。
そして、コレットが倒れたことも……
「そうね、生態組織も変わっているのかしら」
「せいたいそしき?」
「要するに違う生き物になるのかしら、ということよ」
リフィルの言葉にロイドは首を傾げる。
違う生き物になったコレットなんて想像出来ない。
否、そんな事よりも……
「コレットはコレットだろ?」
違う生き物になってもコレットはコレットだ。
それだけははっきりと分かった。
「……えぇ、そうね。貴方はいつも真実を口にするわ」
ロイドの言葉に数回瞬きをしたリフィルは微笑む。
誉められたロイドは照れ臭そうに頬を掻いた。
「ま、まーなー」
「本能だけで生きてるからね」
「ジーニアス……!」
ジーニアスの言葉に怒るロイド。
追い掛けてくるロイドから笑いながら逃げ回るジーニアス。
そんな二人の姿を見ながらリフィルは悲しそうに目を閉じた。
どうにかジーニアスをシめたロイドは焚き火から離れた場所にいるノイシュに近寄る。
ノイシュは主人が近付いて来たことに気が付き、身体を起こした。
「ノイシュ、ちゃんと食ったか?」
「ワフッ!」
食べたとアピールするノイシュ。
ちゃんと食べたことを確認したロイドはノイシュの頭を撫でた。
撫で終えるとノイシュは再びクラトスの隣に寝そべった。
「アンタ、本当にノイシュに好かれてんだな……」
人見知りの激しいノイシュが珍しいとノイシュを見るロイド。
ノイシュは安心しきっているのか目を閉じたまま動かなかった。
クラトスを見ればクラトスもまたロイドを見つめていた。
「何だよ?」
「いや……お前のエクスフィアは不思議な形をしていると思っただけだ」
クラトスの言葉に自分のエクスフィアを見るロイド。
そして、クラトスのエクスフィアと比べる。
「確かにアンタや皆のとはちょっと違うみたいだな」
ロイドはクラトスにふと抱いていた疑問を口にした。
「そういえばアンタはどうしてエクスフィアを持ってるんだ?」
「ディザイアンから奪い取った」
エクスフィアを持たない人間がディザイアンから奪い取れるのかという疑問が浮かぶが、
何故かクラトスならば出来る気がした。
「元々エクスフィアは奴等が自分で使うために牧場の人間に作らせていると聞く」
「だからマーブルばーちゃんもエクスフィアを持ってたのか……」
そして、マーブルは……
「私からも聞いていいか?」
「あ、あぁ、別にいいけど……」
クラトスからの言葉に驚くロイド。
人に質問するような人間には思えなかったからだ。
「どういう経緯でドワーフに育てられたのだ?」
その問いに瞠目する。それでもよく聞かれた質問であったためすぐに答えることが出来た。
「森で母さんとノイシュと一緒に行き倒れてた所を親父に拾われたんだ。
もっとも実際はディザイアンに襲われたってことみたいだけどさ」
ディザイアンに襲われたということは村のあの出来事の前にダイク、親父から聞いた。
それまでディザイアンに襲われたことも、このエクスフィアが母の形見であることも知らなかった。
「……なるほどな。その話を聞く限りでは父親も生きてはいないな」
「……多分な」
自分達を見付けた時、父親らしき人物いなかったと聞いていた。
ロイドはディザイアンに殺されたのだと思っている。
自分達を見捨てたのではないと。
ロイドの言葉に一瞬クラトスは黙り込む。
あのとき。子供も無事ではない、と諦めた。
我が子を人質にとられ、そして異形にと成り果てた愛する妻。
ノイシュには妻と子を護るようにといっていた。
崖から落ちた妻達をおうように、ノイシュもまた飛び降りた。
が、しかし崖の下を確認しても姿がみあたらなかったのもまた事実。
その直前、何かが爆発するような巨大な力を感じてしまったのも。
ゆえに、妻があのエクスフィアの影響で爆発してしまったのだ、そうおもった。
無気力になりはて、そのままユグラシドルの元にもどった。
きちんとしたハイエクスフィアが完成したらそんなこともなくなるよ?
そういわれ。
ロイドの手にあるエクスフィアをみたときには驚いた。
始めはただ面影をもつ子供に驚きを隠しきれなかった。
なつかしきマナをもっている子供だ、とはおもった。
次にまさか、とおもったのはノイシュとあってから。
ノイシュ、か?
震える声で尋ねたときに嬉しそうにこたえたノイシュの鳴き声。
ゆえにわかった。
否、わかってしまった。
ロイド・アーヴィングは我が子である、と。
そして…こんかいのいけにえである神子にとって大切な人である、と。
ロイドだけでも助けたい。
悲しい思いはさせたくない。
…なのにすでに我が子はかの牧場のせいで経験しなくてもいいかなしい思いをしていたりする。
クルシスとしては神子が器にふさわしいか見極めることが必然。
たしかに、今回の神子は今まで以上にマーテルに似通ったマナを持っている。
ゆえに器にするには確かに最適、なのかもしれないが…
それによって子供から大切な人をうばっていいのか、という何ともいえない葛藤。
そして…なぜかわからないが、あのエミル、という少年に警戒心がとけきれないものの、
だがしかし、彼を排除しよう、という気にはならない。
そのような気がおこりそうになると不思議と罪悪感がクラトスに襲いかかってくる。
また、間違うのか。
このままでは、大樹は永遠に産まれない。
ユアンもいっていた。マーテルの目覚めはすなわち、種子の力全てを変換することになるだろう。
なれば永遠に地上から大樹というマナを生み出す樹はうまれなくなる!
と。
大樹カーラーンのことは皆覚えている。
が、その精霊の名をしったのは、ミトスがたまたま出向いた先にいた、
光の精霊アスカからきいたセンチュリオン、という存在ゆえ。
アスカを通じ、センチュリオン・ルーメンと知り合った。
ルーメンに導かれていった、世界から忘れ去られた地、封印の地…ギンヌンガ・カップ。
一度は全員でいったがその後は世界情勢のこともあり、ほとんどミトスとマーテルのみがその場を訪れていた。
ミトスが世界を分けよう、とおもいたったのもまた、精霊の存在をしったがゆえ。
異界の扉、ギンヌンガ・カップの護り手。
大樹が枯れた今、下手をすれば異界の扉…魔界の扉が開かれてしまう。
しかしそうなっていない、ということは種がのこっているからなのだろう。
そしてまた、かの精霊がその力をもってして扉を完全に眠りについてまで力全てを注いでいるからだろう。
と予測されている。
そう勝手にと解釈し、そして…今のような世界を作り上げる結果と成り果てた。
よもや地下に大樹の根が残っている、などとはゆめにもおもわず。
まあ、後者の予測は事実ではあるにしろ。
永き時の中、マナが涸渇しない、という疑念をもつこともなく……
しばしの沈黙の後、
「ディザイアンは両親の仇、か。お前の人生はことごとく奴等によって歪められているのだな」
突如としてぽつり、とつむがれるクラトスの言葉。
「え?」
「両親を殺され、村を追われた」
否、父親は殺されていない。
自分がしかし母親を殺したのだ。どうしようもなかったとはいえ。
子供だけでもたすけよう、そうおもって。
かすかにのこった意識の中、あのとき彼女もそういった。
私を殺してこの子をたすけて、と。
「村のことは俺の責任だよ」
クラトスの質問に対し、考えるよりも先に言葉が出る。
「俺がアイツ等を呼び込む切っ掛けを作ったんだから」
もしも、自分が勝手なことをしなければ。
もしも、顔を見られるような事がなければ。
そう考えると終わりが見えない。
それでも先に進むしかない。
進まなければならない。
本日であったエミルの言葉がなければ深く考えもしなかったかもしれない。
行動には結果がともなう。
わかっていたつもりだけども、あのように説明されるまでわかっていなかったのもまた事実。
ヒトは…目的のために他者の命を無意味に巻き込む。
それのどこがひどくないのか、魔物は生きるためにしていることだが、ヒトはどうだ。
そう問いかけられたような内容に、ロイドも…そしてそのことにたいし、誰もがはっきりと答えを返せなかった。
「亡くなった人のためにも、俺自身のためにも逃げ出せない」
そのためにロイドはコレットの後を追った。
コレットを守るために。
あのときよりその想いはとても大きい。
「……目を背けても始まらない、か」
目を閉じる。目を閉じればいつでも思い出せる優しい記憶。
そして、絶望に満ちた記憶。
今のミトスをみてかの精霊はどうおもうのだろうか。
マーテルが復活すれば種は消滅する。
ユアンがそういってもミトスはそんなことはありえない、とききいれなかった。
そしてならば別のマナをそそぎこんでいけば種もそして姉様も失われない。
そういってはじまった…神子制度。
「……そうか、ならばこの先どんなことがあってもその決心を忘れないことだ」
クラトスの表情にロイドは目を見開く。
いつも険しい表情のクラトスが笑っていた。
時折見せるモノとは違う、穏やかな笑みを。
「……っていうか、何でアンタにこんな話してるんだ」
見たこともない笑みを直視出来ず、顔を背ける。
そして、まだ誰にも打ち明けていないことを簡単に話してしまった自分に僅かに驚く。
クラトスには負けたくない、そう思っているのに……
それでも、クラトスに聞いて貰えて良かったと思った。
と。
穏やかな眼差しでロイドを見つめていたクラトスの眼光が鋭くなる。
地面へと置いていた剣の柄を握り締めた。
砂を踏み締める音にハッとするロイド。
聞こえた方を見るとエミルがいた。
どうやら戻ってきたようだ。
そもそも、野営をする、と提案されたときに、なら念のために周囲を確認してきますね。
そういってまたまた別れていたエミル。
一人では危険だ、というロイド達の前で再び魔物達をよびよせ、
「この子達がいますし」
にこやかにそういって、
「じゃ、いってきますね」
そのまま大人組みが何かをいうまえにいつのまにかすたすたと離れていっていた。
「エミル」
「明日の朝には雪は溶けそうです。異常もないみたいでした」
敵でないと分かり、柄から手を放すクラトス。
焚き火の近くに座ったエミルの近くに魔物達も腰を下ろす。
魔物の気配が苦手なノイシュはクラトスの後ろに隠れた。
否、隠れたようにみえた。
といったほうが正しい。
その姿にノイシュは目を見開いていたりする。
あきらかになつかしき気配ものもがそこにいる。
それは…センチュリオン、としての気配。
まさか…まさか、まさかまさか…
イシュの混乱はおそらくロイド達には伝わらない……
そんなノイシュの態度をみて、いつものように人見知りしてるんだろう、そう解釈したのち、
ふと大事なことにきづき、
「なぁ、エミル。お前平気なのか?」
「え?」
確認をこめてエミルにとといかけるロイド。
首を傾げるエミルにロイドは言葉を続けた。
「お前、一時俺達からはなれてたし。それになんかさっき具合わるそうだったし…」
リフィルから古代の話しをきいたとき、あきらかにエミルの様子がおかしかった。
それゆえに問いかけ。
「大丈夫ですよ」
「そっか!なら良かったぜ!」
不安に思っていたことがなくなり笑顔を見せるロイド。
そして、ある事に気が付く。
「何で敬語なんか使ってんだ?」
「え?へ、変、ですか……?」
「変って……友達なんだから敬語なんて使わなくていいって!」
おもわず目をぱちくりさせてしまう。
このまっすぐさがかつてのミトスをおもいだし…時折イライラしてしまうが。
ミトスとこの少年は違う、というのもわかっている。
それでも、どうしても重ねてしまう。
友達になりたいんだ!
そういっていた彼。
そんなことをいってくるものなど永にひとしかったというのに。
だが、その結果は…四千年、という地表時間における裏切りがまっていたというこの事実。
ゆえにしばし目をとじおもわずだまる。
「そういえば、まだ紹介してなかったよな。犬のノイシュだ」
いいつつも、そこにいる生物にといて紹介してくるロイド。
どうやらエミルの葛藤には気づいていないらしい。
ノイシュは動けない。
判ってしまった。
否、理解したがゆえに動くことができない。
いくら彼とて始めにこの地上にておいて生み出された生命体。
センチュリオンとともにいるものが普通であるはずがない、というのも。
そしてまた、魔物を従えることができるのは、かの王でしかありえない、ということも理解している。
なぜ人の姿をしているのかはわからない。
どうして地表にでてきているのかも。
王はどう思うだろうか。
大樹をまもるためにうみだされし生命体である自分が臆病になっている、というその事実を……
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あとがきもどき:
薫:この回において、ラタトスク様、時間がどれだけ地上で経過していたのかようやく判明v
ちなみに、生命達にとってラタトスクは産みの親であり、また世界の王、でもあるので。
魔物達や生命達視点では、ラタ様のことを王、ともよびますv
まだまだ先はながい……
2013年6月3日(月)某日
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