蒼き水晶の歌姫  第21話





ざわざわざわ。

それは、確かに彼らにも感じられた。
一気に活気付いてゆく研究所。
先日、というか昨日から、確かにこの地の空気が活性化しているのが目に見えて。
数値ですらそう示されている。
自然科学研究所。
ここではこの星の様々な現象を研究している。
自分たちが住んでいる惑星をしることにより。
今後起こりえるであろう災害の予測など、そして前をしることにより、今後の目安にもなってくる。
だがしかし。
今起こっているこの数値は。
現実とは捉えられない。
だが数値が指し示すその値は紛れもなく現実で。
「…いったい、何が?」
呆然とする以外の何ものでもない。
突如として活性化している自然界。
その数値はあからさまにと浄化されていると、示されている。
こんなにあからさまの変化は、今までにないこと。
いや、あるといえばあるのかもしれない。
数年前から、この兆候は見受けられていたのであるからして。
「…やっぱり、この歌に関係があるのでは?」
そういいつつ。
実験室の中にある植物にと目を留める。
完全防音としているその中で。
一人が音楽による植物などへの影響を調べようとし。
百合香の歌を使ったのがそもそもの発端。
普通の歌では見えられない目にみえる変化を実験はもたらした。
それゆえに。
百合香が歌う歌には何らかの力があるのでは?
という予測のもとに、ひとつの実験として行っているのであるが。
「…大気の浄化具合もこの歌が流れたときと同じ?」
呆然とつぶやきつつ。
ただただ、モニターが表示してゆく、大気の浄化具合の数値を眺めるしかない研究員たちの姿が。
ここ、自然科学研究所にて。
しばし見受けられてゆく ―


「でも、すごいわよねぇ。」
ぶらぶら。
いいつつ、その足を岩の上よりたらす。
「何が?」
いいつつも、こちらはこちらで。
浸かっている温泉のお湯を体にと降りかけている由香子。
そんな由香子の言葉に。
くす。
軽く笑いつつ。
「『何が?』じゃないわよ。由香。というか、よくいろいろとできるわよね。
   由香子、歌とか歌詞とかだけでなく。舞とかまでできるんだから。うらやましい。」
そんな悦子の言葉に。
「んー。まあ。」
伊達にずっと長く生きているわけではないし。
などとは思うが。
そんなことは口にはできない。
自分が人でないなどと、知られたくない。
それで今まで何人の友人が離れていったことか。
今はともかく。
普通の子供として蓬莱町でも表向きは扱われていたものの。
だがその実情はどこか全員由香子を崇め奉っていた節がある。
確かに自分はそう思われてもしかたがない存在なのかもしれない。
それは生み出されたときにすでに決まっていた出来事。
それを思えば…
「…姫様はもっと……」
そんなことをふと思う。
自分は、否、自分たちのような存在は。
その役目を終えればすべてなる彼女のもとにと還りゆく。
そして、彼女の慈悲の元、普通の存在にと転生する存在も少なくない。
…まあ、そのまま消滅されてしまう存在も多々といたりするのであるが。
「?由香。何かいった?」
そういいつつこちらはこちらで温泉からあがり、体を洗っている洋子の言葉に。
「ううん。独り言。」
そういってにっこり笑う由香子。
昼間の撮影が終わり、それぞれに撮影陣は撮影陣が泊まっている宿にと戻り。
そしてまた。
由香子たちもまた、いつものようにそんな彼らをまきつつ。
普通に自分たちが泊まっているホテルにと戻っている彼女たち三人。
このホテルでのメインともいえるのは。
外を見渡せる露天風呂。
それが各部屋にと存在し。
それゆえに、かなりの値段となるのだが。
普通ならば。
だがしかし、どういうわけか、由香子というかここの経営者は、
蓬莱町の関係者らしく。
かなりの格安の金額で彼女たちは泊まっているのだが。
そうでなければたかが、学生、しかも高校生三人。
こんな場所にと泊まれるはずもない。
そのあたりのことは詳しくは洋子も悦子もわからないが。
まあ、格安で泊まれる、というのであれば話は別。
そんな会話をしている、洋子、悦子、そして由香子、この三人。
ホテルにと戻り、露天風呂にと入りつつ。
今日の出来事を話している女性三人。
「とにかく、洋子たちのおかげで記者とかは、またまけたし。ありがとねv」
にこやかに笑うそんな由香子のその言葉に。
思わず苦笑している洋子と悦子。
「…いい加減に本名とか教えてもいいんじゃない?」
苦笑しつつそういうそんな洋子の言葉に。
「冗談!というか、じゃ、聞くけど。もし、私が鳳凰学園に在籍しているとわかったら…記者とかうるさいわよ?」
「「・・・・・・・・・・」」
その言葉にしばし無言。

岡村由香子。
その黒い髪に黒い瞳。
そしてその長い髪はいつもきちんと結われており、大概、ミツアミにとセットしている。
だが、その実情は。
数年前から謎のアイドル歌手として世界的にも有名な、星空百合香である。
という事実を知っているのは。
学園内部では、理事長をはじめとし、ここにいる同じクラスメートの二人のみ。
姫野洋子。
その黒い髪をおかっぱより短めにし、めがねをたまにとかけているときすらもあるが。
木野悦子。
由香子のクラスメートであり淡い茶色い髪を肩の辺りまで伸ばしている少女。


「ま…まあ、確かに。百合香はもう世界的に有名すぎるからねぇ。」
などとつぶやく悦子の言葉に。
「私としてもここまでなんでか有名になるなんて予想外よ…というか、どうしてこんなアイドルなんかになったことやら…」
つぶやく由香子のその台詞に。
くすくすと笑いつつ。
「それはもう、運命なのよ。由香子。」
二人は由香子から、どうして歌手になったのかその経緯を聞かされている。
「…ありえるかも…」
ぽつり。
そんなつぶやきをもらしている由香子の言葉は。
二人の耳にと届き。
『?』
二人して首をかしげるよりほかにはないが。

…姫様の性格からして…ありえるわよね…確かに…
などと心でそんなことをおもいつつも。
だがしかし。
そんなことをいえるはずもなく。

「ともかく、明日からもお願いねv」
にこやかに微笑むそんな由香子の言葉に。
「…というか、いつもいつも私たちがそばにいたらすぐにそのうちにばれるんじゃない?」
そうつぶやく洋子の言葉に。
「大丈夫よv何のために日程を流出させてるとおもってるのよ♡
  あそこまでファンがごった返している中。わかるはずないって♡」
にこやかに微笑むそんな由香子の言葉に。
「…どうりでこと細かく、関係者以外しかわからないような情報まで流出してるわけね…」
おもわずじと目でにこやかにいう由香子をみつつつぶやく悦子。
「そういうことvま、とりあえず、撮影日程はあと数日。ちなみにツアーも数日それにあわせて組まれてるし。
   ごめんだけどもう少し付き合ってねvとりあえずここでの撮影は私はあと二日だけだし。」
主たる撮影は別の場所で行われたり。
またはCGを使ったりなどして、作品は出来上がる。
「とりあえず、それより、夕飯にしましょ!」
「そーいえば、お腹がすいたわね。」
そんな会話をしつつ。
三人は露天風呂を満喫してゆく。




ざわざわざわ。
「…本当にばれないものなのね…」
思わずあきれるが。
結局のところ、撮影が込んでいる、二日目。
今日で百合香の登場シーンの撮影は一通りに完了する。
だがしかし。
いつもいつも、撮影がおわり姿をくらます百合香の姿は誰の目にも留まることなく。
こうして、今普通の旅行者兼ファンの一陣にとまぎれている由香子の姿が横にあれば。
「だからいったでしょ?」
こうして人ごみにとまぎれれば、確かに。
誰が誰だかわからない。
にこやかに微笑む由香子の言葉に。
「…確かに。」
しかし、ここまでまさか、一般的には平日というのにもかかわらずに。
こうもファンが押し寄せているなどとは。
その熱狂振りが百合香のファン層が具間見える。
「…これでもし百合香が誰なのかわかったら。確かに大騒動になるかもね…」
百合香の姿が消えても、いまだに熱狂振りは治まらずに。
百合香の姿を一目見ようと人々は活気だっている。
「そういうこと。さっ!今日のこれで撮影は無事に終了したから! 今からは本当の観光旅行にとしゃれ込みましょ!」
元気に言い放つそんな由香子の言葉に。
くすりと互いに顔を笑いつつ。
「それもそうね。」
「それじゃ、どこにいく?」
そんな会話をしつつ、撮影現場よりと離れてゆく彼女たち。




「だぁぁ!!百合香ちゃんはどこだぁぁぁぁ!?」
気がつけば、撮影が終われば、
忽然とまたいつものように姿をけした百合香に対して絶叫をあげているスタッフたちに。
「…それが、目を離したすきに……。あ、でも、携帯ありますけど………」
そういいつつ、電話を入れる。
― が。
電源が入っておらずに。
そのままいつものようにと伝言をいれる。
それはいつものこと。
確かに、連絡手段は与えられてはいるが。
いつも大体留守電にと伝言をいれ。
その後にと百合香から連絡が入る状態にとなっている。
それは、彼女がデビューしてからこれまでずっと続いている日常的のこと。
そんなことをいいつつ。
いつものようにと留守電にと入れてゆく。
「山崎さん、とりあえず…打ち上げくらいにはるようにとどうにか連絡つけて…」
なきそうになりつつも、監督からそんな台詞がもれていたりする。
「は…はぁ。」
連絡つけても彼女のことだからこないような気もするんですけど…
などとは思うが。とりあえず。
「あ、でもまだ彼女、未成年ですし。…打ち上げとかに顔を出すのは、気持ち的には阻まれるんじゃ?」
 とりあえず。
伊達に数年、彼女のマネージャーをやっているわけではない。
「…それはわかってるけど…でもね。…主人公がいない打ち上げって、それほど寂しいものもないんだよぉ…」
「……それは確かに。」
そんな会話をしつつも。
どこの世界というか土地においても。
まったく同じような会話が繰り広げられてゆくのであった。



                                         -続くー

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まえがき:
   うーん。
   続くのね・・・・。
   いや、終わりかとおもってたよ。十二国記。んでもバインダーにはまだ続く、とかいてあったし。
   ということは、ドラマCDとなってた東の海神をやるのかぁ。
   ・・・・ということは、更夜もでてくるのねv
   ・・・・私としては翼をやってほしい・・・・。ねぇ?珠晶vv
   とりあえず、次の休みにいっとかないと・・・・続くから予約は継続ですねv
   などと、まあ近況報告はおいとくとして。
 
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  あとがきもどき:
       薫:・・・・・・・・あはははは(汗)
         前回打ち込んだのは一ヶ月前ですね(あはは・・・)
         何はともあれ。
         ・・・・・うーん、観光旅行・・・表現できるかな?
         ・・・・まあ、少しくらい打ち込みしてから、例のテロにといくか・・・。
         どこの世界でも馬鹿たれちゃんはいる、ということで。
         ・・・・・でもま、この時期だからまだいいかな?これやるの・・・・。
         いや、一年まえの九月とかにやってたら、
         ・・・・・・・・・やばいだろうしね・・・・飛行機テロ・・・・(汗
         とりあえずこっちのテロはそんなレベルじゃないけどさ(あははは・・・
         何はともあれ。
         またまた次回でv

    2003年11月28日某日

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