蒼き水晶の歌姫 第8話
「ええと、今回の撮影の日程はこうなっているけど・・。」
一日目。
虹の滝にて撮影。
シーン54。
二日目。
……エトセトラ。
日程が書き記された表が、百合香の手にと手わさたれる。
「なら、これに間に合うように合流すれば、問題ないですね?」
その日程を確認し、うなづく百合香に。
「百合香ちゃぁぁん・・・。お願いだから一緒に行動してよぉ。主人公がいなかったら、話にならないし・・。」
今回の撮影は。
ある映画の撮影。
その主人公は・・・・いうまでもなく百合香。
何でも、百合香の曲を聴いてイメージがわいたとかいう脚本家がこの話をもちこみ。
イメージにぴったりというので。
あれよあれよという間に決まった映画化。
はじめはドラマでもいいのではないか?
という意見もでたのだが。
どうせなら、大スクリーンで。
という意見が勝り。
こうして今回の運びにとなったのである。
そんな監督の言葉ににっこりと微笑みつつ。
「ちゃんと撮影のときにはきますから♡」
そういいつつ、台本とそして。
日程表を肩にかけている鞄にと入れる百合香。
とりあえず、簡単な打ち合わせをし。
「じゃ、また明日。」
そういって席を立つ。
「あ!まって!」
あわてて、部屋から出て行った百合香を追いかけるものの。
― いつものごとくに。
すでに、そこには、百合香の姿は、どこにも見当たらないのであった。
彼女の本名や連絡先。
そういったものが不明のままなのはこれが原因でもある。
突如として何処からともなく現われては・・そして、消える。
いや、消えるという表現は正しくはないのかもしれないが。
ともかく、そうとしかいいようがない。
・・・・事実。
たまぁぁぁぁに、人の気配がなければ。
百合香・・・いや、由香子は。
その場から瞬間移動して移動することもたまぁにあるにはあるが・・。
百合香がそんな能力を持っているなど。
まだ誰も知らない事実・・・・。
「じゃ、明日はここからv」
「そうねv」
虹の滝。
それは、断崖絶壁の景色でも有名ではあるが。
撮影現場となるはずのそのがけ下に、ちょっとした道を発見した。
いや、道といってもいいものか。
ともかく、木の根がその崖にそうように張り巡らされているのである。
大概、撮影どきには。
周りには近づくことなど不可能。
すでに。
明日、ここで行われる撮影目当てに。
かなりの星空百合香のファンたちが、情報を聞きつけて押しかけている今の現状。
はっきりいって。
今、この場にいる観光客の90%以上が。
百合香のファンといっても過言でない。
百合香のファンは老若男女問わず。
その年齢層は幅広い。
何しろ小さな子供から、そしてお年寄りまで。
どの世界でも、百合香のその魅力は健在で。
今や世界的なアイドルと化している百合香。
それゆえか。
おもいっきり、彼女の事務所が今回の撮影の大まかな日程などを。
彼女のホームページで公言しているためか。
辺りには、様々な国の人々の姿も見受けられ。
はっきりいって、今この【虹の滝】ここにいる人の殆どは。
百合香目当ての客・・それ以外の何者でもないのである・・・・・。
「・・・・・どうしたの?二人とも?」
戻ってきてみて思わず唖然とする。
『あ・・・あははは・・・・・。』
なせが、服などに木の葉などをつけて。
少しばかり、擦り傷も負っているような・・・。
由香子の姿は・・・先ほどと異なり。
すでにその髪をいつものように、二つのみつあみとなしている。
戻ってきた由香子の目に映ったのは。
なぜか、その服に。
木の葉などをくっつけている、洋子と悦子の二人の姿・・・・・
「ちょっと・・ねぇ?」
「そうそうv」
互いに顔を見合わせくすりと笑う二人をみて。
首をかしげつつ。
「はい。それでは、由香子さんも戻ってこられましたし?次は何処にいかれますか?」
彼女達三人を案内してくれている運転手。
瞳の言葉に。
三人は顔を見合わせて。
「じゃ、何処にする?」
「あ、私近くの城にいってみたい!」
三人が三人とも相談しつつ。
その日は。
滝を見学した後に。
この町にある古城を見学し。
町並みなどを見学し。
彼女達は。
夕方近く。
宿にと向かうのであった・・。
「ねえ?ここ、露天風呂があるんだって!入らない!?」
目をきらきらさせていってくる洋子たちに。
「あ・・私は・・・。」
後で入るから。
そういう含みを込めて。
断ろうとする由香子。
だがしかし。
そんな由香子の態度をみて。
がしっ!
笑みを浮かべて、くつろいでいた畳の間にて。
由香子の両手を互いに掴み。
「こらこら、由香子、折角来たんだから、付き合いなさいよねv」
「そうそう、裸のお付き合いっ・・てね♡」
にっこり笑って由香子を腕で絡めとり。
そのまま。
ずるすると引っ張ってゆく二人の姿が。
彼らが泊まっている温泉宿の一室で見受けられ。
「・・・・・ええええ!?ちょ・・・まってよぉぉ!!!!(汗)」
抗議する由香子の言葉もむなしく。
一応風呂には入る準備はすでにしていたので。
その荷物すら、洋子たちに持たれて。
ずるずると。
露天風呂にひこずられてゆく、由香子の姿が。
見受けられてゆくのであった・・・・。
「あ・・・私は・・後で・・。」
どうにか逃げ出そうとする由香子に。
がっしりと腕を絡ませて。
「ゆぅか♡折角なんだしv一緒にはいりましょ♡」
にっこり微笑みかけてくる洋子たち。
「・・・・・ええと・・・・でも・・あの・・。」
というか。
出来れば・・いや、絶対、はっきりいって確実に。
それははっきりいって由香子としては避けたい。
・・・何しろ、風呂に入るということは。
まあ、かけてなくても同じという事実があるのだが。
度の入っていない眼鏡を外し風呂に入るということ。
・・・さすがに。
それは気付きかれない。
というか。
百合香として活動しているときの由香子は。
ただ、眼鏡を外して、そして髪の毛を下ろしているだけ。
ただそれだけ・・・・。
そっくりさん・・・で済ませられるレベルでもなく。
かといって。
・・・・・二人が自分のファンであることを知っていることもあり。
さすがにその戸惑いは隠せない。
「ほらほら、とっとと脱ぐ!」
「はい!眼鏡もとって!」
そういいつつ、まるで楽しむように由香子の服に手をかける洋子に。
眼鏡をすっとのけている悦子。
「ああああ!二人とも!ちょっとまってよぉぉお!!」
あわてて。
眼鏡を外されたのにあわてて、抗議をし。
手を伸ばし、眼鏡を取り替えそうとする由香子。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?』
彼女達は眼鏡をとった由香子をみたのはこれがはじめて。
・・・・・・はっきりいって、瓜二つ。
いや・・・他人だとしてもここまでそっくりということがあるのであろうか?
ぱっちりとした黒く大きな黒い瞳・・。
切りそろえられた前髪・・・・。
「・・・・・返してってば!」
あわてて。
眼鏡を奪い取り。
再び眼鏡をかける由香子に。
「・・・ねえ?由香?誰かに似てるっていわれない?」
― ぎくっぅぅぅぅぅ!!
その言葉に。
しばし、由香子は。
その場にと硬直してゆくのであった・・・・。
似ているも何も。
岡村由香子は。
世界的アイドル歌手。
星空百合香。
・・・・当人である。
そのことを。
姫野洋子。
木野悦子。
まだこのとき。
この二人は知らない事実なのであった・・・・・・・・。
-続くー
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あとがきもどき:
薫:・・・とりあえず、温泉に入る三人に触れてv
・・・でも眼鏡はかけたまま(笑)
んでもって、よーやく撮影ですね(爆!)
さて、洋子たちが服を少し汚していたのは・・・どうしてでしょう?(笑)
その原因もすぐにわかりますv
ちなみに。
おそらく、天空の城ラ○ュタが好きな人は。
・・・あれ?と思っても気にしないでくださいねv
んではではvまた、次回でvvv
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