蒼き水晶の歌姫  第7話



切符を買い、電車に乗り込む。
かつては、一部でしか見られなかったその乗り物。
まず、ようやく、近年では、世界的に注目出され始めている、その仕組み。
今だに研究途中ではあるのだが。
音を立てずに空気も汚さない、しかも安全で快適。
この利点が注目されて。
今や、殆どの在来線が、この方法にと代わり始めている。
電車に乗り込み、席にと座る。
そのふかふかの椅子は。
他に資金をかける必要がないので。
その内装などに凝っているのが見てとれる。

「でも、いつも思うけど・・・。人間の進化って・・・・急激よね・・・。」
昔は、こんなことは想像すらできなかったであろう。
まさか、数時間もたたないうちに。
大陸を横断できるような乗り物が完成するなどとは。
そうつぶやく、洋子の言葉に。
「そうかな?」
そういいつつ、外を眺めている由香子。
あまり、急激とも思えないのは。
今は、多少、問題化している表面化している、自然破壊などは目につくにしろ。
それでも。
昔ほどではない。
という思いが由香子の中にあるからこそ。
・・・・あの時のような思いは・・・・二度と・・・。
あの当時。
身を切られる思いで、行動に踏み切った。
この星を守るために・・・。
それしか方法がなかった。
自らの欲と力におぼれて、自然のことや。
自らが生活しているこの大地のことには、
一切目をくれなかった、かつての存在達。
今はそれでも。
中には気にかけて自然を守ろうという存在達がいるからこそ。
だから。
以前ほど、問題ではない。

― そう。
隕石を用いて、一度、この地上全てを無に戻す。
そんな必要は・・・今のところない。

彼女達、由香子、洋子、悦子が乗っている電車は。
一般には、リフレイカーと呼ばれている乗り物。
それは。
未だに研究が世界中の科学者たちの間で成されているのであるが。
その大地・・つまり、地面に含まれているとある物質と異なる性質をもつ。
いわゆる反物質と呼ばれる物質を乗り物の移動部分に辺る、かつて車輪などを使っていた部分にそれをあてがい。
その結果。
始め普及を始めていた、磁石の反発を利用したリニアモーターカー。
それよりも早く、快適に移動が出来る乗り物が誕生したのは、今から少し前のこと。
始めは、伝説とされていた、蓬莱町からの出発であったそれは。
今や、あっという間に。
その便利性が評価されて。
まずどこにいっても、今やこの製法がこういった乗り物には使われていたりする今の現状。
地面と反する反物質。
それゆえに。
別に地面に何かを引くわけでもなく。
ただ。
道を作ればいいだけのこと。
そして。
その道を構成するのは、同じその反物質を利用して、その道から『乗り物』が出ないようにするだけ。
ただそれだけのこと。
かなり、コストなどもかからずに。
それでいて、まず劣化現象などに悩まされることはない。
これらを開発したのも、やはり。
今は、その一部ではあるものの、ようやく出入りが可能となった、この世界の七不思議のひとつの町。
蓬莱町。
そこに拠点を構えるとある企業。
今や、こういった、自然に優しいものを作り出している企業などの、その九割以上が、
元をただせば、そこの町に拠点を構える企業なのであるが。

余談だが、その物質構成などの性質を完全に把握して。
たとえばそれまでリサイクルが難しいとされていた品物なども。
まったくの元の物質に戻すことを開発したのも。
元をただせば、蓬莱町の住人の手によるもの。

一応、乗り手の気分に合わせて、様々なそれらが儲けられている。
たとえば本当に急ぐ人などには特急。
それは、文字通り、まるで光の速度より早い時間で移動するがために。
これまたまだその仕組みは完全に解明されていないものの。
空中を走り抜けるという乗り物。
そして、通常の乗り物は。
今、彼女達が乗っているこれと同じスピード。
別に急ぎもしないが、ゆっくりもしない。
という一般向けのそれではある。
大概の時速は、約50キロ前後。
そして。
ゆっくりと旅を楽しみたいという人などには鈍行。
これは、時速20キロ前後というゆっくりしたスピードで、景色を楽しみつつ、移動が出来るという乗り物。
主に地上におけるこれら、通行手段の乗り物の一つ、電車といわれている。
分野においては、この三つが今や主流。


後は空を移動する、飛行機なるものも存在しているが。
それれもまた。
空気を汚さない何らかの物質を使った乗りものが。
今、注目を集め始めている。
そんな現状。

それらが今、この世界の情勢であり、現状なのである。


「とりあえず、始めに宿にいってから。荷物とか置いて回る?それとも・・?」
それとも。
すでに、個人ツアーに申し込みをしているがゆえに。
目的地に着けば。
専属の運転手が待っているはずである。
彼女達三人の足となり、案内をしてくれる旅行会社の従業員が。
「宿は後からでもいつでもいいから。とりあえず、見れる段階で観光、たのしみましょうよ。」
そういって、設置されている折りたたみ式の机を引き出し。
その上にパンフレットを置き、今後の足取りを相談している彼女達。
互いに向かい合った形で三人が三人、席に座り。
わきあいあいと。
持ち込んだお菓子などを食べつつ。
今後のこれからの足取りを相談してゆく。





窓の外には。
移動してゆく景色が。
音もなく静かにただただ、流れているのみ。



リフレイカーの乗り心地は、最適。
そういって過言でない。
何しろ、まったくゆれなどもなく、音もなし。
普通にただ、たとえば家などの中にいて、その周りの景色が。
移動している・・といった感覚。
完結に言えば、そう。
たとえば、画面の中で景色が移動していっている様子をみているかのように。
まったく体に何の負担も抵抗もかからない。
そんな快適な電車の旅を楽しみつつ。

やがて、彼女達を乗せたリフレイカーは。
彼女達の目的地にと。
数時間後。
たどり着いたのであった。




「ようこそ。姫野様、木野様、岡村様の三名さまですね。
    私、これからあなた方のお世話をさせていただきます。瞳といいます。」
駅にたどり着き、改札口に降りた彼女達三人を待ち構えていたのは。
今回の彼女達を案内してくれるはずの。
いわゆる足代わりでもある、ツアーコンダクターの女性。
といっても、個人別のツアーであるからして。
その主な仕事は、お客の目的にあった場所にお客たちを運んでゆく、いわゆる足代わり。
この方法は、かなりヒットを得て。
かなりの大部分の旅行会社などでも。
殆ど、この方法は取られている。
つまり、当地で、足を確保しなくても。
それに申しこむだけで、足が確保できるのである。
自分で車などを運転する必要もなく。
かなり旅行者などには好評を期している。

彼女達をこれから案内してくれるのは。
岡島瞳という、歳のころならば二十代前後の女性。
その黒い肩の辺りまでかかっている髪が印象深い女性ではある。


バタン。
車に荷物を後ろに入れたのちに。
三人が三人とも乗り込み。
「さて・・では、何処に始めにいかれますか?」
これから、数日間。
一緒に彼女と三人は行動を共にする。
その言葉に。
顔を見合わせて。
『虹の滝!』
同時に叫ぶ由香子たち三人。


虹の滝。
そこは、その崖から滴り落ちる雫が。
その辺りの空気に含まれる物質と反動して、常にその水の色が、虹を湛えるがごとくに。
虹色に光っているがゆえについた名前。
昔は本当に虹色の水と思いこんだ人間などが。
その水を神秘なものとして勝手にその水に力があるとか何とかいって。
売りさばいたりして問題となったこともあるにしろ。
その、高い位置から、盛大に流れ落ちる滝の風景も絶品ながら。
そこから、見える周りの風景もまた一段と格別。
少し小高い丘の上に近い山の中間地点にあるそこは。
その少し先の崖の下にまず、内陸まで入り込んでいる、海がその眼下に押し寄せて。
そしてまた。
滝の後ろには、自然の鍾乳洞があり、そこもまた観光の名所として。
とても有名である。
まあ、その切り立った断崖絶壁は。
別の意味。
つまり、命を自ら絶とうとする人間などにとっても都合がいいのか。
そんな綺麗な景色とは裏腹に。

自殺の名所としても別の意味で有名ではあるのだが。

水の色も虹色ながら、絶えず、虹を七つ以上は蓄えている、
その『虹の滝』。
かなりの観光名所で、まず平日でも、その足取りは、途絶えることはまずない。


ザァァァァ・・・・。
ドォォォ・・・・・・。

盛大に流れ落ちる虹色の滝の水。
「すっごぉぃ!本当に虹色だぁ!」
「写真、写真!ほら、由香も!」
歓声の声を上げ。
写真を構える洋子。
「あ、私が。」
そういって、そんな洋子から写真を受け取り、そして構える瞳。
紺の上下のスーツが。
岡島瞳のその仕事の制服。
 胸元に鳥をかたどった文様が刺繍されているが。
滝を背後にその崖のすれすれにある手すりの近くに、由香子達を並べて記念撮影。

パシャリ。

真ん中に、由香子、右に洋子、左に悦子。

虹の滝を背景に。
三人同時に記念撮影をしている彼女達。


一通り、三人で行動を共にした後に。
「あ、私、ちょっと、創作するのに、一人になるね。そんなに時間はかからないとおもうけど。」
ちらりと。
腕にはめた時間を気にして。
鍾乳洞を観光していた由香子は。
一緒に行動していた洋子たちに、さりげなく断りを入れる。
「何か思い浮かんだの?じゃ、戻るときは連絡するね。」
そういいつつ、携帯電話を取り出す洋子。
「わかった。」
そろそろ時間が迫っている。
だからといって。
本当のことを言うわけにもいかないので。
嘘ではないけど真実全てでもない理由をいって。

理由をつけて、一人、悦子と洋子から離れる由香子。
「?あの?岡村さん、どうかしたんですか?」
そんな由香子をみて、首をかしげる瞳に。
「え?ああ、由香の趣味。詩とか歌とか作るの、彼女趣味なのよ。
  ついでに絵とかも。そのときは大概一人で行動するの。」
そんな瞳の疑問に答える悦子。
「まあ、そうなんですか。」
一人遠ざかってゆく由香子をみつつ。
感心の声を上げている瞳の姿が見受けられていた。



一人の方が創作意欲がわく。
そう聞いているので、あえて何もいわない洋子たち。
それは、いつも学校でもそうなので。
別に気にも留めないこと。



後ろを振り返り、誰もいないことを確かめる。
「・・・さて。」
そのまま、まだ道になっていない、洞窟の奥にと足を進め。
やがて。
一般公開されている道筋から少し離れた場所に、小さな横穴。
そこに、滑り込む。
そこは、どうみても、ただの岩の壁のはずなのに。
そのまま、岩に吸い込まれるように姿が掻き消える由香子。
洞窟の中だというのに、辺りが明るい。
洞窟の空間そのものが、虹色に光り輝いている。
それは、周りにある、様々な水晶が光を反射して。
洞窟の内部を照らしているからなのであるが。
「ある意味、虹の滝っていう言葉は的を得ているわよね。」
そうつぶやきつつ、さらに奥にと進む。
ここは、人がまだ誰も侵入したことがないことを示すかのように。
地面には水晶という水晶が無数に存在し。
歩く道筋すら、ない状態。
だが、そんなことは構わずに。
どんどんその奥にと進んでゆく由香子。
別にここが隠されているわけでもなく。
ただ、自然界における光の屈折率からして。
ここの入り口が岩壁に見えているだけ。
だが、未だにその事実に気付いた人間達などはいなく。
今だにここは、人の手が入らない、自然の天然石の結晶の、宝庫となっている状態。
まあ、この世界では高く取引されている天然石の一つ。
金剛石・・ダイヤモンドの純粋たる結晶も。
辺りにはかなり多様な色彩からして見受けられていたりする。
そんなものには目も暮れずに。
すたすたと。
先にある、洞窟の奥にと足を勧めてゆく由香子。
その黒いはずの瞳が。
深い青い色に染まっているのは気のせいであろうか。

周りにある自然石の結晶には目も暮れずに。
やがて。
その先にある、小さな洞窟の奥にとたどり着く。
そこは、空間的に、虹色の光と青い光が交互に交錯している、まるで幻想的な雰囲気を立たずまえている小さな部屋。
だが、その岩の断面などからは、あきらかに。
かつて、いつなのか分からないが、何らかの生き物の手が加わっているのは一目瞭然。
その綺麗に壁が磨かれて切り抜かれているその部屋の更に少し奥。
白い大理石の橋を立たずまえ。
その先にあるのは小さな泉。
その泉を囲むように立ち並ぶ、白い柱。
その七つの柱のその中心に。
七色に輝く小さな泉が。
そこに見受けられている。
どうみても、あきらかに、何らかの手が加わり。
ここを神殿のような感じにしているのが見てとれるが。
その柱の様子からして、年月を見てとっても。
それらが、そこにある鍾乳石や、自然石の結晶と同化していることから。
軽くどうみつもっても、かなりの年月が経過しているのが見てとれる。
その白い橋を渡り。
その整えられた青い石が敷き詰められた、その場所に。
すたすたとあるいてゆき。
「ここ、まだ誰も気づいてないのよね。」
ま、別に気づかれても、困る・・というわけでもないけど。
今この世の中の人間の観念だと・・。
信じられないでしょうね。
そんなことを思いつつ、クスリと軽く笑い。
「さって、とりあえず、行きますか。」
そういって。
パシャン・・・
・・・・と。
・・・・・その七色に輝く泉の上にどうみても、由香子は立っている。
そして、目をつむり。
「・・・・レート。」
軽くそうつぶやく。
その刹那。
バシャ!
その虹色の水が、由香子の周りから彼女を覆いつくし。
その水がやがて泉に戻る時には。
そこにはすでに由香子の姿は。
その洞窟の何処にもみうけられていないのであった。



「うう・・・・・・百合香はまだかぁ!?」
そんな男性の言葉に。
「まあまあ、社長、落ち着いてください。ほら、メール入ってますし。」
そういいつつ、際ほど携帯電話に入っていたメールをみせる。
そこには、【もうすぐいく。】
という伝言が、その当の百合香本人から入っていたりする。
「大体!別行動をなぜ許すんだぁ!?こういうときがチャンスだろうが!百合香の正確な連絡手段を確保するのは!」
そう叫んでいるのは、彼女・・・
山崎優。
百合香の付き人というかマネージャー。
その青い髪が印象的なショートカットの髪の女性。
そんな彼女が所属している事務所の社長。
サーチェプロダクション、社長本人に他ならない。
「あらあら、社長、そんなに怒鳴ってたら。廊下まで聞こえますけど?」
くすくすとした笑い声と共に。
ガラリと。
彼等がいた宿の扉が開かれる。
そこにいたのは。

その艶やかなストレートの長い髪。
前で綺麗に切りそろえられている前髪に。
私服なのであろう、薄いピンクのワンピースを着ている。
彼等が待ち望んでいた相手。

アイドル歌手、星空百合香。
その百合香そのものが、そこの廊下に立っていたのであった。



「こんにちわ。百合香ちゃん。今日もぎりぎりね。」
いつものことなのでなれてきている優にむかい。
「それで?また社長は私の連絡先で怒鳴っていたんですか?
    何回もいってますけど・・。本当に言わないといけないのであれば、私、やめますから。」
別にすきでなったわけではないし。
その方が何かと都合がいい。
「いや!それはだから何回もいっているけど、困るから。
  ・・・う・・ま・・まあ、百合香ちゃんがその気になるまで、こっちは待つけど・・。」
どちらかといえば、まるで罠にはめるように、
アイドルと化してしまったという負い目もある。
連絡先を教えるくらいなら、やめる。
そういう彼女にどうして無理がいえようか。
・・・本気で止められたら、かなりの損害になることは。
それは、すでに、世界的にも有名となっている百合香は。
すでに、彼が保有するプロダクションだけの問題ではない。
それはすでに社会現象というよりは、世界現象に至るほど。
彼女・・・百合香のファンは。
この惑星の殆どの地域といって、かなりいる状況と。
まだデビューして一年位しか経過していないというのに。
短い間で人々の心を掴んでいるこの百合香。

世界的に有名な歌手。
星空百合香。
その本名が・・・・岡村由香子という、普通の学生であるということは。
・・・彼女が生まれ育った町の関係者以外は。
今のところ誰も・・・知りえない情報・・・・・。


「ま、それはそうとして、とりあえず、今回のロケーションの日程、説明してもらえますか?」
ガラリと扉を開けて、部屋に入ってきた百合香は。
そうにっこりと。
そこにいる付き人である優や他のスタッフたちに。
確認の言葉を投げかけてゆく。
                                     -続くー


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まえがき:
 こんにちわv
 え?どーして上にいつも設定を持ってくるかって?
 ・・・ノートを引っ張り出すのがメンドーなのです!(こらまて!)
 それにそーしておいたほーが。間違いも少なくなるし。
 
 ?:・・・・・・・・・・・・・・・。

  ・・・・ぎく!(汗)
 な・・何か菫ちゃんの視線が・・って・・ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


(周りに何か黒いものが浸食してゆく・・・・)

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あとがきもどき:
姫:はーいvどこかに薫はいきましたv
  というわけで代理の菫です♡
  え?その辺りでうごめいている、赤黒い肉の塊は何かって?
   ちょっとまってねv
   
パチンv
ポシュ。
(黒い髪をポニーテールにしている女の子が指を鳴らすと、そこにあった赤黒いかなりの数の肉の塊が、一瞬のうちに消滅する)


姫:はい。これでよしっと。
  これ、私がまったくでてこないのよねぇ。ま、それはそれでよくないけど。
   とりあえず、これの主人公はタイニーよv
   彼女、創った当時、フェアリーと仲がよくなったから。
   フェアリー、私の許可とって。自分の名前を役目につくときに与えているけどね。
   ま、とりあえず、タイニーの正体・・・。
   この人、いつごろ触れるのかしら?
   ま、別にいいけど。それでは、まったねv

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