十数年前。
とある、新婚の夫婦が、森の中の社の前で。
その、妻が、赤ん坊を発見した。
その子は、由香子。
そう名づけられ、すくすくと育ってゆく。
そして、今、十数年の年月を得て。
その子は、
高校に進学するために。
育った、蓬莱町、別名、霧の町を後に。
この大陸の中心に位置している、とある学園。
聖鳳学園。
今、そこに向かって。
新たな生活を始めようとしていた・・・。




    蒼き水晶の歌姫  第2話



この星は、まず五つの大陸にて構成されている。
一つは、ほぼ、星の中心にある。
別名、日本。
そういわれている大陸。
ただ、様々な視点からみて、その大陸の方向から、日が沈んだり、昇ったりするように見える。
という理由から付いた名前。
日が昇る(沈む)大陸。
という意味を持っている。
そして。
その星がもつ、重力などの関係から。
その対象に位置する、軸。
その軸を中心に、この星は、自転を繰り返している。
そのために、夜になったり、朝になったりと、景色が変わるのである。
一つの、太陽というべき星を囲み。
それに属する惑星の一つ。
その重力によって、捕らわれ、そこに位置しているその惑星。
星の外からみれば、まるでそれは、闇に浮かぶ、蒼い水晶。
その星の大半を水で覆われているその惑星は。
この地に住まう生き物たちは。
自らが住んでいるこの地を。
『地球(ちきゅう)』そう呼び親しんでいる。
以前は、信じることなどできなかった。
宇宙空間に、この星がぽっかりと浮かんでいるというなどということも。
科学や技術の発達で。
今では、人類が星の外までいけるようにとなっている。
それでも。
まだ一般の人々が、簡単に宇宙旅行をするまでには至らないが。
今はまだ。
自分達が住んでいる、いや、その大地。
その仕組みのすべてもまだ理解しきっていない。
未知の領域たる、宇宙を知るよりも先に。
自分達が住んでいる惑星のことを知り尽くしたほうが。
いいと思うのは、気のせいではないはずである。

「・・・・・よっし!」
小さな荷物一つで。
背伸びをする。
目の前にあるのは、白いまでの洋館。
 「・・・・やっぱり、手入れを頼んでいただけのことはあるわね。・・・ありがとうね?」
そういって、何もないはずの場所に向かって微笑む少女。
その艶やかな黒い髪がサラリと風にたなびく。
『どうしたしまして。当然のことですから。』
くすくすと。
周りの空気から、声がする。
まず、その勘が発達している人ならば。
そこに、透き通るような、羽の生えた数名の生き物を確認することができたであろう。
― 御伽話の中によく出てくる、妖精。
その姿そのものの姿をしている生き物たちが。
少女の周りを飛び回っているのだから。
長いこと、ここの屋敷は、人が踏み入れたはずなどないというのに。
そんな年月など感じさせなく、新品同様に屋敷はその場にと佇んでいる。
少し、町から離れた場所にある、ちょっとした小高い山。
その森の中にひっそりと佇む、白い洋館。
今日から、ここが。
彼女。
岡村由香子が、生活する、家であり。
彼女のほかには、この家には、誰も人などは・・いない。
一人でこの広さ・・というのは勿体ないような気もしなくもないが。
そんなことはお構いなしに。
久しぶりともいえる、その屋敷の中にと。
長い腰まである、ストレートの髪。
そして、漆黒の黒い瞳。
いわゆる、妖精と思しきそんな生き物と話していたとき。
由香子の瞳の色が、蒼い瞳にと変化していたような気がするのは。
気のせいであろうか。


服を着替えて。
入学式の数日前。
すでに、一人暮らしをするために。
もう、屋敷の掃除なども済んでいる。
いや、掃除など・・する必要もない。
というのが実際であったりするのだが。
何しろ、しばらく人が入っていないはずのその由香子が住む、その屋敷は。
塵一つ、まったくといっていいほどに落ちてもいなく、汚れてもいなかったのだから。
「ようこそ、お待ちしてましたわ。・・・・・・タイニー様。」
すっと立ち上がり、その場にとフカブカと頭を下げる、中年のいかにも人のよさそうな女性。
部屋の奥にと設けられている、一つの机。
その机の前には、小さな札で。
『理事長』そうかかれている札が置かれている。
そんな女性を静かに見つめ。
「・・・・久しぶり。代わりはない?亜美。」
そういって、まるで旧年の知り合いに出会ったかのように、にっこりと微笑む由香子。
「もったいないお言葉です。」
その言葉に、感激の涙さえ浮かべ。
「とりあえず、ようこそ、我が、聖鳳学園へ。安心してください。絶対に、タイニー様の正体。
     いえ、それより先に・・・星空さんの正体は。誰にも悟らせはしませんから。」
そういいつつ。
カタン。
立ち上がりつつ。
その先にあるテレビをつける。
プチン・・・・。
電源をいれ。
その小さな箱にと映像が映し出され。

『はい。今日のゲストは・・今だに謎のアイドル!謎多き、天使!星空百合香さんです!』
わぁぁぁあ!
テレビの中から歓声の声が巻起こる。
『こんにちわ。』
そういって、テレビの中で、にっこりと微笑む、その艶やかな、長い髪の少女は。
・・・・紛れもなく、亜美と呼ばれた中年の女性の前にいる、少女・・・・由香子、どうみても・・・本人、またはそっくりさん。
それしかいいようのない少女がテレビの中に映し出されていた。

普段は、その長い髪を二つにみつあみして、束ね、眼鏡を着用している由香子。
今は。
その両方ともやっていない。
後ろにあるテレビに映る、その人物と。
目の前の人物が、どこをどう見ても、似ているのは。
まず・・気のせいで済ませるには、あまりに似すぎている。


「・・ま、私も好きで歌手になったわけじゃ・・ないからね・・・。」
そういいつつ、窓を開ける。
窓からは、その先にある海と白い砂浜が見えている。
そして、学園を取り巻く、心地よい緑の海も。
そして、くるりと振り向いて。
「とりあえず、これから三年間、よろしくおねがいしますね。『理事長、亜美。』」
にっこりと、その背に、太陽の光を浴びて。
逆光の中、由香子は、その視線の先にいる、この学園、理事長。
歳のころならば、三十代程度なのだが。
実は、こうみえても、軽く五十は過ぎている。
由香子の故郷である、蓬莱町の出身者の一人。
「こちらこそ。・・・・お世話ができて、光栄です。・・・とりあえず・・。」
そういいかけるその言葉に。
「ええ。・・・・・マスコミとか五月蝿いから・・。ともかく、内緒にしておいてね?」
にっこりと。
微笑んで、その小さな口元に指を当てて、微笑む由香子。
「分かりました。」
そんな由香子の様子をみつつ。
三年間。
秘密を守り通してみせる。
そう固く決意する、この学園の創始者であり、理事長。
鳳凰亜美。
・・・・人が見た目では年齢はわからない。
というのは、まさにこのこと・・・。
この、学園は。
今年で、創立六十年を迎えようとしているのであった。



ざわざわざわ・・・・。
合格発表が掲示されている、その前で。
「やったぁ!」
ぴょんびょんと飛び跳ねている女の子達。
中には、胴上げされている子供達の姿も多々と見える。
ここ、聖鳳学園は、一応、私立。
しかし、その学力の高さと、様々な分野に置いて。
まず、普通の親や、子供達があこがれるには、
十分過ぎるほどの設備などを備えている。
まずそんなに多くはない。
この星に害をなさないエネルギーの需要供給の仕組みと。
それらを利用する方法などの授業を施す学校などは。
まず、この学園から、これまで、かなりの数の、世界的に有名となった学者なども多々と出身している。
というのもあいまって。
ここに合格すれば、未来が開ける。
そう思い、受験してる生徒は・・・年々、衰えることなどはない。
今、この世界というか、星では。
一時。
人が生活するときに称じた、その汚染により、壊滅的な被害などをもたらしたりしたが。
ここ、最近は。
心配されていた、星を取り巻く、とある有害物質を、吸収していた空気の層が。
少しづつではあるが、回復をみせ始め。
人々の努力の成果が出てきているのか、いないのか。
かつて、人が草木を切り倒し、砂漠と化してしまったその場所にも。
少なからず、緑がよみがえりつつあるこの今。
自然に優しいエネルギーの利用方法を学ぶことができる、この学園は。
かなり、注目されているところでもあるのである。

少し、他の学園というか、高校と違うのは。
その合格発表のすぐ後に説明会があり。
その数日後には、入学式が控えている。
というところが普通とは異なっている。
ここの、入試の問題は。
他と違い、まず、一般に普及されている、テレビで公開されることはまずなく。
試験が終わったそのときに、すべての答えが手渡される。
という仕組みとなっている。
それで自己採点をするのもよし。
しないのもよし。
個性を十分に尊重した仕組みをとっているのだ。


説明会のその数日後。
新品の制服にと身を包み。
その青い色のジャケットに、白いブラウス。
その首筋にある、紅いリボン。
それが、ここ、聖鳳学園の制服。
スカート丈は、膝より少し長く、膝下十センチと少し。
ちなみに、男子生徒のリボンは、リボンではなく、ネクタイで。
こちらの色は、青。
ジャケットと同じ色にとなっている。
まずこの制服を着ていたら。
あこがれるというか尊敬されるのは間違いなし。
ここは、それほどまでに、敷居が高い。
そういわれている高等部なのである。
ここ、日本と呼ばれている国では。
義務教育と称して。
成人・・・この国では、19を持って成人とみなされる。
七歳から十二歳までを小学。
十三から十五までを中学。
その二つに行くことが義務付けられている。
それ以上学問をする場合には。
まず、定番として、十六から十八までの三年間。
高等部。
なるものが存在する。
さらにその上には、大学や、大学院など。
勉強するにはまだ先が長いのだが。
殆どの子供が、まず高校には通う。
この世界は、実力主義。
どんなに小さな子供でも、その能力さえあれば、企業は採用する。
最近は、そんな企業も多くなっている。
それでも。
やはり。
高校までは出ていたほうが、後々の為になる。
という理由から。
高校に通う子供は後を絶たない。
まあ、未だに。
昔の体制で。
高卒以上は就職はさせない。
という、頭の固い企業も存在している状況では、それは仕方のないことなのかもしれないが。

「はい、席についてください。・・今日から、一年間、あなたたちと一緒に、過ごしてゆく担任です。名前を。」
かきかきかき。
緑川哀。
そう教室の前にある黒い黒板にと書き込む、女性教師。
今だに教室の中は。
ざわめきで満ちている。

― 今日は、初めて。
ここの生徒として、彼ら、新入生が入学式の前に。
ここ、聖鳳学園にとやってきた日なのである。
今日は、これから使う、ノートや教科書。
そして、各個人用のノートパソコン。
それらが受け渡される日。
ここでは、入学した生徒には。
・・無料で、未だに、市販では、少し高く。
学生では手が出ない、携帯可能なちょっとしたサイズの大きさのノート型パソコンが配布されるのである。
ちなみに、この電源となっているものは太陽エネルギー。
しかも、今この世界で主流になってきている、
いわゆるネット。
そういうのも、ここ、学園ですべてサポートがされている。
この学園は、それように。
・・・星の軌道上に、この学園の衛星を保有しているのである。
そのために。
世界の仕組みなども、瞬時に判断することができる。
しかも、未だに何処の国ですら。
この学園が保有するほどの、衛星の能力を用いていない。
そんなことにも、未だに。
各世界の重要人物たちは、気付いてさえもいないのであるが。
この衛星が打ち上げられたというか。
軌道に運ばれたのは・・今から五十年と少し前。
今だに。
この地では、よくやく、人類が始めて、星の外に出れたとき。
鳳凰町の人々は。
すでに。
昔から、この星の全景を・・・掴んでいたという事実を、各国の人々は知らない。
いや、この国の人達ですら。
パン!
ざわめく生徒たちを前に。
「はい、それでは。今から紙を配ります。先生も早く、皆さんの名前と顔を一致させるように。頑張りますので。
  皆さんも、自分のことをその紙に書いてぐださいね。急がなくてもいいですから。期限は、あさってまでです。
  今から、皆さんには、自己紹介タイムを行ってもらいます。
  これから、一年間、同じクラスで学ぶ大切な友達たちです。簡単な自己紹介をこちらの席から、お願いしますね。」
そういいつつ。
廊下側に座っている生徒の方を振り向く。
その茶色い髪を後ろでみつあみに束ねた、黒い瞳の女性。
彼女もまた・・・由香子と同じく。
蓬莱町の出身者であるのを、由香子は知っている。


「私の名前は、岡村由香子。・・・趣味は音楽鑑賞と、詩の作成です。あとは、自然浴です。」
森林浴。
それと同時に、自然と触れ合うことを目的に、自然浴というものがある。
森林浴は、文字通り、森や山の中を歩き、緑や植物の気に触れることだが。
それらだけでなく、すべての自然を感じることを。
今では、自然浴。
そういって呼び親しまれるようになっている。
席を立ち上がり。
黒い瞳に眼鏡をかけ。
長いかみをきちんと、二つに紺色のゴムで。
きちんと束ねている少女が。
窓際の自分の席から立ち上がり、自己紹介を完結に述べてゆく。

昔は、そんなに、【自然浴】などは、あまり主流ではなかった。
それらが根付いたのは・・・・。
一人のアイドルの影響からであるのだが。


完結に自己紹介をのべて、席にと再び座る。
「私の名前は。」
次の席の女の子が。
順番どおりに完結に自己紹介を始めてゆく。

すべての自己紹介が終わり。
「はい、それでは、これから、よろしくお願いしますね。皆さん、よい一年を一緒に過ごしましょうね♡」
にっこり微笑む担任のその言葉に。
『はぁぃ!』
生徒たちの全員の元気な声が教室にと響いていた。


ぱらり・・・。
職員室で、生徒たちの自己紹介をしている紙をみる。
「・・・・・確かに、趣味・・・・詩の作成・・ともいえますわね・・。」
くすり。
かかれている、その内容をみつつ。
少し微笑む。

そして。
「・・・・・・・・絶対に隠し通してみせますわ。」
同じ、町の出身者。
・・・それは。
岡村由香子。
そう名乗っている少女が、誰であるのか・・・。
知っている数すくない人物の一人でもあるということを指し示している。

「・・・その前に、よく彼女の日程を。聞いておかないと・・。」
いつどこで。
どのようなことでばれるとも限らない。

・・・すでに。
彼女は、あの町だけの大切な存在では・・・なくなっているのだから。

思いをはぜつつ。
今ここに。
彼女達の高校生活は幕を開けていた。



                                            -続くー

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     あとがきもどき:
         殆ど現代に設定は近いです。これ・・・・。
         ・・・・ま、これを考えたときは・・・小学のとき・・・。
         つまりは、オゾン層とかいろいろ習ったときだからな・・
         何の影響で思いついたのか・・・・
         分かる人には分かるという(かなりまて!)
         んではではv
         次回、いつになるか分かりませんが、果てしなく。
         気の長い人だけ温かくまってやってくださいなのです!(お゛い゛!)
         ではでは・・・また・・・・♡


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