プロローグ:

「あ~な~た~という人はぁっ!」
思わず強い口調になってしまうのは仕方がない。
絶対に。
「まあまあ。そう怒るな。アーリー。時には遊び心も大切だとおもうぞ。うん」
しれっと悪びれなくいっているその様子にさらにコメカミをぴくつかせる。
「少しは考えて物を開発しようとしろっ!そもそも。こんなのつくって後世に記録とかのこったらどうする!?」
それでなくてもついこの間、ようやく負の力に冒された創主達を封印したばかり。
負の力に冒された人々は元には戻らない。
そういわれていたが、負の力を封じたことにより聖なる力によって人々はその姿を取り戻した。
しかしこの世界に加わったダメージは計り知れない。
気持ちはわからなくもない。
自分達の力を使えば一瞬ではあるが、それではこの地にいきるものたちの生きる力を邪魔することになってしまう。
人、というものは奇跡を目の当たりにするとその奇跡にすがり努力をしなくなってしまう。
それがわかっているからこそ力を使わずに自然復興に任せていた。
というのに…である。
「しかし。これがあれば少しはシル様の負担が減るとおもうのだが?」
「そういう問題じゃないっ!かつてのことを忘れたわけではないだろう?!
  人は、便利なものがあればそれにたよって間違いをも冒してしまうことがある。
  この地でそれはさけないとっ!ひとつの小さなことが命取りになったらどうするっ!」
「う~む…せっかくつくったんだがなぁ~……」
「その装置で簡単に潜在能力が引き出されてみろっ!それが元に争いになりかねないだろっ!
  創ったものはしかたないにしても。それは台地に融合させるからなっ!」
負の力の毒され、台地もまた病んでいる。
台地における治癒力を高めるくらいの効能はあるだろう。
「まったく。頭がかたいな~。アーリーは」
「エド!お前が考えがなさすぎるんだぁぁっ!!」

乾いた空に黒髪の青年の叫び、ともいえる怒号がこだましてゆく。

「ま~たやってるよ。賢者殿とあの方は」
「やれやれ。今度は何をやらかしたんだ?あの御人は?」
「いつものいたずらじゃない?」
「しかし、ほんと平和になったんだな~」
人々の顔にも活気がもどってきている。
誰もがあきらめていたことを成し遂げた。
そのことを誰よりも誇りに思う。
彼のもとで働き、そして悲願を達成できたことを心底うれしくおもう。
ついこの間までこんなにのんびりとした日々が送れるとは誰もおもっていなかった。
今、世界はかの二人の力により再び生気を取り戻しはじめている。

負の力がはびこり、この地にいきる存在達では手が負えない。
そう判断して降りてきた二人の存在。
だが、彼らが【降りてきた】という事実は…この場にいる誰も知るよしもない……



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