プロローグ〜

「転校生?」
これまたずいぶんと季節外れの転校生、ときたものだ。
というか、なんで登校日に転校生?
疑問ははてしない。
「家庭の事情で少しばかり入学がおそくなったけど。皆のクラスメートを紹介する」
いって担任の先生が廊下のほうとオレ達のほうをみながらいってくる。
がらっ。
扉が開いたその刹那。
・・・・・・・・・・・え?
一瞬、目の前が真っ暗に。
正確にいうならば、深遠の闇の中に一人たたずんでいる自分が一人。
そしてまた、その周囲にみえるのはなぜか……
「…何、これ?」
おもわずそう、としかいいようがない。
よく星空の写真などでみる銀河などがちりばめられている、そんな感じの風景がそこにある。
それらの光の渦はまるでこちらをも飲み込むようにと輝きをましてゆく。
「うわっ!?」

ばた〜んっ!

「きゃ〜!先生!渋谷君が倒れました!」
「先生〜。だからこの教室、クーラーつけてくださいっていってるのに〜!」
真夏日。
このクラスにはクーラーなどといったものはついてはいない。
それでも常に風はここちよく吹いており熱さで倒れる、といった生徒は今年はまだいない。
みれば椅子から転げ落ちている渋谷有利の姿が目に留まる。
ざわざわざわ。
しばし、教室内はざわめきに満たされてゆく……


「・・・・・え…ええええええ〜!?」
がばっ。
ゆっくりと開いた目に飛び込んできたのは真っ白な天井。
…と、異様に長い黒い髪。
おもわずびっくりして起き上がる。
どうやら状況的にペットに寝かされているらしい。
カーテンの敷居がしてあり一種の隔離状態、ともいえるこの状況。
いやまて。
ちょっとまていっ!
おもわずがばっと体を覆っていた布団をはねのけひとまず確認。
ぺたぺた。
さわさわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんでっ!?
「あら?おきられた?」
一人騒いでいると何やら声がする。
ま、まずいっ!
というかこの状況をどうしろと!?
と、とにかくあわてて布団をかぶる。
じゃっ。
それと同時にカーテンが開かれる音。
ちらり、とみれば白衣を着ている女の人。
「まだきちんと安定しておられなかったようねぇ。でもよかったわ。
  もしも教室の中で変化してたら騒ぎどころじゃなかったし。記憶操作とかも必要となってくるからね。
  やはりシル様の力が強くでてることに関係してるのかしらねぇ?」
いやあの、ちょっとまってください。
教室って…そもそもここはどこですか?!
「宮田先生!」
って…え?
一瞬、その女性の背後がゆらり、と揺らめいたかとおもうとそこにいたのはなんとアンリ。
「あら。アーリー様。いきなり空間移動されては。人にみられては危険なのでは?」
いやあの。
ちょっとまって。
この女性の気というかオーラの色って…義父さんと同じなんですけど…
多少の違いはあれども。
それに、アーリーって…?
なんか最近よくその言葉をきくけど。
アンリの名前の中のひとつなんだろうか?
「いきなりメールがきてびっくりしたんだよ!ってまたユーリが女性体になったってほんと!?」
「ええ。もうこの保健室に担ぎ込まれて横にされてすぐに」
「・・・・・・・教室で変化しなくてよかった・・・・」
「それにはわたくしも同感ですわ」
ちょっとまって。
いったい何がどうなってるのか。
お願いだから説明してくれっ!
「と。ともかく。お〜い。ユーリ。とりあえずこの宮田先生はユーリの事情把握してるから大丈夫だよ〜。
  う〜ん。僕の目算があまかったのかなぁ?とりあえず。まだ他の生徒達もいることだし。
  他の人に気付かれる前に女性の姿はやめとかないとね。ってお〜い?きいてる〜?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・というか。
布団をかぶったままのオレの上でそんなことを何やらアンリはいってるし。
「と、いうか!その人、保険の先生!?事情把握っていったい!?」
「あれ?しらなかったの?宮田先生はボブの配下だよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そ・・・・・・・・・・
「そ〜いうことは先に説明しといてよぉ〜〜!!」
・・・・・・なんかオレの周囲って、あっちもこっちもとんでもないことになってない?
ねえ??



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