コズミック・サブリナル ~第13話~
燦々と、太陽の光が降り注ぐ。
見渡すばかりの緑の庭園の先に真っ白くそびえたつ聖なる聖殿。
きちんと剪定が行き届いているそれらの木々は。
そしてその中に位置する水庭など。
まるでそれは絵にかいたような美しい光景。
澄んだ空気もまた、この場の神聖さをかもし出していたりする。
「よっし!とりあえずがんばろう!」
うん!
自分に気合をいれつつも、進む茶色い髪の少女。
よくわからないけど。
確かに、自分たちにしか、あの『聖獣』が見えないのは事実らしい。
女王補佐官とそして女王陛下にはその姿はみえているらしいが。
だが、あれは、見るものによってその姿が違って見えるらしい。
そのようにと説明をうけた。
突如として空からあれが舞い降りてきたときにはただ、怖いとも不思議とも思わずに。
ただただ。
『愛しい』
という感情しかなかった。
それがすべての始まりで、そして今。
自分はここに、よくわからないままに、女王試験として。
あの動物を育成すべく、この場所、聖地にと召喚されている。
いったい、あの『アルフォンシア』となづけた、かわしらしい動物にしかみえないそれに。
守護聖の力を注いでいったらどうなるのか。
それはまだ自分にはわからない。
だけども。
『アルフォンシア』と名づけた彼の望みはかねえてあげたい。
確かに感じた。
『アルフォンシア』のその言葉。
言葉はないものの、確かに、そう、確かに自分は感じることができたのだ。
「…えっと、まずは…っと。アルフォンシアの望みは…」
育成するべき、『聖獣』の望みのままに、守護聖たちから力をかり。
『聖獣』の本体でもある、球体に、サクリアを送り込むのが試験の内容。
ゆえに。
別に女王になりたい、とかそういうのではなく。
ただ、アルフォンシアの望みはかなえてあげたい。
そんなことをおもいつつ。
昨日、聖獣にと名前をつけ、王立研究院にて、出された望みの力の表とにらめっこしつつ。
きれいにと整えられている道を歩いている、茶色い髪の少女。
アンジェリーク=コレット。
真剣に望みの力と思われるそれらが書かれているそれをみつつ。
そのまま、すたすたと道を歩いてゆくアンジェリークの姿が。
ここ、聖地の一角にて見受けられてゆく。
「う~ん、ルーティスの望みは今は水の力。つまりは水の守護聖。リュミエール様のところね。」
研究院から確かに望みの予測はうけとった。
だがしかし。
研究員、としての性格なのか、はたまた、完璧を目指す彼女であるがゆえか。
自らもまたパソコンにとデータを打ち込み、
独自の望みの予測を立てている彼女―『レイチェル=ハート。』
カチャカチャとテーブルにてそんな音をたてている彼女に。
「レイチェル。気持ちはわかりますけど、二度手間では……」
そう横からいってきているのは。
ここ、王立研究員の主任でもあるエルンスト。
そんな彼の言葉に。
「うっさいなぁ。エルンストはだまってて!」
いいつつ、カチャカチャと今あるデータをすべてほんの一時の間にすべて打ち込み。
「よっし!これで!」
カチャリ。
最後に決定キーを押す。
「…ふむ、あのエネルギー球体は……」
ピピピッ。
そこに映し出される予測結果。
それをみて。
カタン。
そのまま席をたち。
「エルンスト、私もう一回ルーティスのところにいってくるから。次元回廊をひらいて。」
いいつつ、ノートパソコンをしまいつつ横にいるエルンストにといっているレイチェル。
「…また。ですか?レイチェル…今日はこれで三度目……」
思わず目を点にしつつつぶやく彼に。
「だぁぁぁぁ!とっととしのごをいわずに開いてよね!何なら、私がかってに開くわよ?」
そういいつつ、しっかりと横にいるエルンストを見つめるレイチェル。
自分が納得するまでとことん調べて突き詰める。
それが、彼女が『天才』といわれているゆえんでもあるが。
生まれ持った才能にこのように何事もにも熱心に取り組み、追求するその姿勢。
それは、誰でももっているようで、誰でもできない行動――
―― 本来ならば、その時間率は明らかに異なるが。
だが、あの一帯は、自らの力にて、時間率を変化させているのもまた事実。
「…陛下?お疲れではないですか?この宇宙だけでなくあちらまで……」
心配そうに執務室にと問いかけてくるそんな補佐官であるロザリアの言葉に。
「大丈夫よ。でも、楽しみよねロザリア。
あの子たち、いったいどんな宇宙をつくっていってくれるのかしらv」
にっこりと書類を片付けつつ微笑んでくるそんな女王-『アンジェリーク=リモージュ』その言葉に。
「そうですわね。まだ今あれは『卵』の状態ですものね。」
代々の女王にと伝わる、宇宙創造。
自分たちがこの宇宙にときたときにはすでにもう宇宙自体は。
生命がすめる惑星は自分たちが育成したあの惑星しか存在しえなかったが。
だが、今彼女たちがこれから育成してゆくあの宇宙は。
文字通り、彼女たちの手によって育ってゆく。
そんなことをおもいつつ、
「陛下。あまり無理をなさらないでくださいね。簡単なものは私がいたしますから。」
それでなくても。
彼女がよく無理をするという事実は。
学生のときから……というか、互いに深く知りあったのは試験のとき。
そのときに十分にと理解はできている。
そんなことをおもいつつ。
書類を片手にたたずむロザリアに。
「大丈夫よv息抜きによく聖殿の外に…あ゛!」
いいかけて、
はたっ。
口を抑えるリモージュのその言葉に。
「アンジェぇぇ?!あなたまだ外に行く気なのぉぉ!?危ない、と何どいわせれば!」
思わずその言葉に叫んでいるロザリアであるが。
「大丈夫。大丈夫。何だったらロザリアも今度一緒にいく?
それに私が女王なんてだぁぁれも気づいてないから、オッケーvね?」
「そういう問題ではありません!!!」
そんな会話が。
女王執務室にてしばし見受けられてゆく。
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