リモージュの秘密の大作戦♪ ~第二十一話~
「あらあら、ランディ、そうはっきりといったら。みんな固まっちゃったじゃない♡」
くすくすくす♡
くすくす笑っているリモージュ。
「あ~あ……しぃぃらないっと。」
あきれたように見渡しているオリヴィエ。
「馬鹿!もし、正体が知れて陛下の御身に何かあったらどうするんだ!?」
あわてた様子のカティス。
「それなんだけど……。私、少々大丈夫なんだけどなぁ。」
リモージュの言葉は完全に無視される。
「いやぁ、とりあえず陛下。もういいんじゃないでしょうかねぇ?私達が後始末をしたしますからぁ。
ともかく、聖地にとお戻りいただけると……ものすごぉぉくうれしいんですけどねぇ……」
おろおろといっているルヴァの言葉に。
「そ~いえば、陛下。どうやって、聖地からでてきたのぉん?
ロザリアが最近、警備を増量してたのにねぇ?」
なるほど。
ロザリアは、何となく予感してたから警備を増量してたのか。
などと、一人納得しているオリヴィエ。
確かに。
アンジェリークの性格だと。【妹の結婚式に参加する。】と、少し考えればわかるはず。
だから、それを防ぐためにも警備を増やしていたのであろう。
ということも。
「ああ。それなら簡単よ♪空間移動、もしくは次元移動でどこにでも移動できるし♡」
にっこりと言い放つリモージュに。
「あ、ちなみに。一族の大抵は瞬間移動程度なら。
その太陽系中内なら、大概移動できるけど?」
追加説明していたりするリモージュの妹であるミメット。
「……陛下……」
その言葉に、あんぐりしているオリヴィエ。
空間移動などとすれば、どうにも防ぐ手段などなきに等しかったりする。
自分達ですら、次元回廊を通じての移動はできるが。
その身一つというのは、困難というか無理とされているからして。
「……考えてみれば……あの次元回廊も陛下のお力で移動できるんですからぁ~。
なるほどぉ、当然なんでしょうねぇ。」
一人感心しているルヴァ。
聖地のメンバーで話している最中。
今だに、結婚式の会場中は。
水を打ったように静まり返っていたりする……
ばったぁぁぁぁん!!
「クラヴィス!!至急、陛下の妹の結婚式場!!占ってください!!!」
「ロザリア?何ごとですか?」
ハープを奏でていたリュミエールが問いかける。
「きぃぃ!聖地のどこにもいらっしゃらない!ということは!
きっと、陛下は、ご自身の妹の結婚式にいった可能性が高いのですわ!」
「クラヴィス、事は緊急を要する。もし陛下の御身に万が一があってからでは遅いのだ!」
その後ろから、ジュリアスもクラヴィスの執務室にと入ってくる。
「ふっ。その心配なら無用だろうな。」
「クラヴィス、貴様というやつは!」
その言い方にいらいらして、怒りをぶつけようとするジュリアスに。
「すでに、陛下がどこにいるかは、この水晶は捕らえている。
……見るがいい。……なつかしい顔もいるぞ?」
多少苦笑して話しかける。
そういえば。
彼女がいっていたな。
―― 自分達の一族にカティスを迎えている……と。
試験中にリモージュから聞いて、そのことを知っていたクラヴィス。
「何を!」
「じ…ジュリアス様!?」
始めに覗き込んだオスカーが驚愕の声を上げる。
「何だ?」
「かかかかかかかか!」
ぱくぱくと口を開いているオスカーに。
「ええい!何をいいた…………い!!!!!!?」
そこに映っていた人物に、思わずジュリアスの目が点になる。
滅多というか、絶対に見られるような顔ではない。
「これは……カティス様?」
リュミエールがその姿をみつつ、少し驚いたようにいう。
以前、アンジェリークから、彼が一族にはいって。
それゆえに、長寿の生命となっているというのは聞いていましたが……
さすがに聞くだけと目でみるのとでは驚きも異なってくる。
内心そんなことを思いつつ、思わずつぶやくリュミエール。
「それに、みろ。マルセル、オリヴィエ、ゼフェル、ランディ、ルヴァ。この五人までもがいる。
陛下の御身に何かあろうものなら。彼らが何とかその前にするであろう?」
水晶が映し出している風景は
ちょうど。
ランディたちが、会場に入ってしばらくしてからの景色。
「こうしてはおられん!」
ジュリアスがきびすを返そうとすると。
「ジュリアス!次元回廊を開きます!わたくし、陛下をつれもどしてまいりますわ!」
ロザリアがいう。
女王がいない場合。
補佐官の権限でも、回廊を特殊の場合のみ。開くことが可能。
「まて!!私もいく!」
回廊に向かおうとするロザリアを止めているジュリアス。
「クラヴィス様、私達も……」
「ふ。たまには外出もわるくない……か。」
まったく。
陛下は新しい風をことごとく、この聖地に運んでくる……
ふっ。
女王となったリモージュが。
この聖地によい風を運んできているのを、クラヴィスはかなり内心喜んでいるのである。
リュミエールの言葉に。
「ロザリア、我らもいこう。」
「きぃぃぃ!!あんじぇぇぇぇぇ~!!何かあったらどうする気なのよぉぉぉぉ!!!」
完全に血が上り叫んでいるロザリアの姿が見受けられていたりするのだが。
次元回廊を通って。
式場の地下にある駐車場にとたどり着く。
ロザリア、ジュリアス、オスカー、クラヴィス、リュミエール。
初め、正面玄関に移動しようとしたロザリアを。
クラヴィスが、混乱を招くから、それはよしたほうがいい。
と止めて。
それにジュリアスも賛成したからに他ならないのであるが。
そしてそのまま。
ばたばたばたばた!!
あわただしく。
結婚式場の中にと入ってゆく彼らの姿が見受けられ。
「そこのお嬢さん、ちょっと聞きたいんだが♡」
すかさずオスカーがその辺りにいた女性を捕まえて。
リモージュの家……つまりは、エターニア家の結婚式の会場を聞き出していたりする。
式場は。
まったく異なる気高い雰囲気の彼らの登場に、まるで水をうったように静まり返る。
いかんせん。
ジュリアス、クラヴィスのこの二人だけでも目立つのに。
それに、リュミエールと、オスカー。
しかも、全員執務服。
ロザリアもまた然り。
これで目立たぬはずもなく。
「ここですわね!」
ぱったぁぁぁぁぁんんんん!!
ロザリアが扉を開け放ったのは。
ちょうど、五人の自己紹介が終わり。
リモージュたちの会話が響くばかりで、静まりかえっている会場中であった……
-続くー
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