リモージュの秘密の大作戦♪ ~第二十話~
「エターニア家の方々?あの、この人達は?」
ラズリセス家の人々が、リモージュたちの席の回りのあたりに集まってくる。
「ああ。失礼したしまた。招待もされていないのに。いきなり乱入いたしましてぇ。
いやあ。私達は、知り合いのカティスを尋ねてきたんですけどぉ。」
にこにこと挨拶しているルヴァ。
その人柄の良さに、思わず心が和む。
「まさか、アンジェリークまでいるとわねぇ……」
そういいつつ、リモージュをみているオリヴィエ。
きっと、今ごろロザリアたちがたいへんでしょぅねぇ。
などと人事におもっていたりするが。
「あ。ひょっとして、おめ~、俺達に休暇とかいってたの。これも目的じゃなかったのか?」
「あら♪さすがにゼフィルね♡これも目的の一つだったのよ♪
あ、でも、休めるときに休んでおきなさい♡っていうのも事実だからね♪」
にっこりと。
あっさりと認めるリモージュ。
「でも、陛下……じゃなかった。アンジェ。勝手に宮殿抜け出して、大丈夫なの?」
「とゆ~か、お前、よくふらふらしてるからなぁ。そんなんで宇宙、大丈夫なのか?」
少し心配になって聞いているマルセルとゼフェル。
……いや、宮殿って……宇宙って……
確か、この花嫁のお姉さんは・・女王候補に選ばれた…は……ず……
ま…まさか……な……
そんなことを思っている人々も数名いたりするのだが。
「……なあ、今…陛下っていわなかったか?あの男の子??」
「ああ……確かにいったな……」
「…ま…まさかでも……なぁ……」
彼らが来るまで。
リモージュに言い寄っていた。
というか、まだ言い寄ろうとしていた、席の周りにたむろしていた男達。
そんな会話をしつつも、かなりその表情は引きつっている。
さすがに、かなりの美人なので。
独身の男がほっておくはずはなく。
女性にしても話をしてみたくて。
始終、数名以上に囲まれている状態がずっとリモージュは続いていたのである。
マルセルたちが歩み寄ってきて、その輪が彼らのために開かれたようなもの。
「ああ、ミルキー。ちょうどいいわ。紹介しておくわねvv」
にっこりといって、リモージュが五人を指差す。
「まず、彼が、ルヴァ。地の守護聖で、守護聖の中でも、知識の人よ♡」
ずるっ。
数名がその言葉に椅子から転げ落ちる。
リモージュが指差したのは。
頭にターバンを巻いていて、いかにも人のよさそうな感じの男性。
「次に、彼がオリヴィエ。夢の守護聖よ。美しさをもらしてくれるわ。センスは抜群にいいのよ♡」
にぃぃこり♡
周りを見渡してにっこりと笑っているリモージュ。
ガタタタッ。
何ごとかと少し聞き耳たてていた、これまた数名が椅子から滑り落ちる。
「はぁぁぃ♪」
そのリモージュの紹介に、ひらひらと手をふって答えているオリヴィエ。
「……なあ、いいのか?正体ばらして?」
ゼフェルがいうが。
「あら。別にかまわないとおもうわよ。
それに、一般人が守護聖に会う機会なんて滅多にないんだし。このくらいサービスしなきゃ♡」
にこにこというリモージュに。
『いや……そういう問題じゃないとおもう(ぞ)(けど)?』
カティスたちと、そしてリモージュの両親もまた突っ込んでいる。
「で、今話していたのが、ゼフェル。鋼の守護聖よ。手先の器用さでは誰にもまけないのよ♡」
その言葉に。
半ばてれているゼフェル。
「よかったねぇ!ゼフェル!!珍しくほめてもらって!」
マルセルが本気で言っているが。
悪気がないのが分かるから、結構堪えるのである。
「で、彼がマルセル。緑の守護聖。守護聖の中では一番年下よ。
ちなみに、カティスはマルセルの前の緑の守護聖♡」
どんがらがっしゃぁぁぁん!
その言葉を、たまたま聞いてしまった会場の従業員が派手にひっくり返る。
「で、彼がランディ♪風の守護聖を務めているわ♡」
派手に転んだ従業員のために、全員がリモージュたちの方を注目していたところに。
リモージュの声のみが会場に静かに響く。
ドドドガガシャァァァァン!!!!
シィィィィィン………
「ま……まじ……?」
「じ……冗談…よ。いやぁ、かなりきつい冗談を……」
各席などで、そんな会話がなされているが。
『いや……でも…まさか……』
彼らのもつ雰囲気からして、嘘ではないように思えるのは。
気のせいではないだろうが。
……しかし。
雲の上の存在である守護聖が。
たかが、一般の結婚式に姿をみせるのであろうか?
……そういえば、この花嫁の姉たる、あの女性は……
つぅ……
と、冷や汗をながしつつも、リモージュの方をみている数十人。
確か……
女王候補として……聖地に召喚……されたという噂が……
紹介でも聖地からきた。と紹介されてたし……
それで戻ってないということは。
女王になったか。
または、女王補佐官になったかの、そのどちらか。
上流階級の家柄の人々は、そんなことを思いつつしばし固まっていたりする。
シィィィィン……
「あら?何か静かになったわねぇ。」
そんな会場を不思議そうにみるリモージュ。
「普通、そうなんじゃなぁい?望ましくないけど。私達守護聖ってどうしても特別にみられるしねぇ。」
少しいやそうにいうオリヴィエ。
この寂寥感がどうしても好きになれない。
それは、守護聖として仕方がないことなのかもしれないが。
「でも、守護聖だからといっても。陛下の許可がなければ何もできないんですよ?
宇宙の均衡のためには。」
ランディがそんなことをいっていたりするが。
その会話に完全に石化している参列者達。
「まあ、てんでばらばらにやってたらとっとと宇宙が滅びるから。
自由に力が使えないのは、そのためなんだって理解はしてるけどよぉ。」
などと、はき捨てるようにいうゼフェルに対し、
「あら?でもその力が暴走したら、かるく星ひとつ程度はどうにでもなるからね♡
各自の判断できちんと管理できてたら。そういう基準は外してもいいけど?」
以前はそういう基準はなかった。
というか、そもそも守護聖とは。
リモージュが宇宙を創り出していく上で、必要とされる石を作り出し。
それらが、意思をもち実体化し。
さらには、その彼らが、自分達の力をゆだねる存在にその力をゆだねた。
そこから始まっていたりする。
もうそのことを覚えているは、いないが。
この宇宙が誕生した原始の時の話ゆえに。
「そんなこともできるんですか?」
知らなかった。
という表情のマルセル。
「へぇ。陛下ってすごいんだなぁ。」
『ば……馬鹿!!!!』
「あ゛~!!ランディぃぃい!!!!?」
ぽろりと結構はっきりと言い切ったランディの言葉に。
カティス、マルセル、ゼフィル、オリヴィエ。
そして、ルヴァの。
異なる二つの声が一致する。
ぴっきぃぃぃぃぃぃぃん……
そのまま。
会場中は、しばらく静寂が訪れてゆく……
-続くー
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