リモージュの秘密の大作戦♪  ~第十七話~

「陛下、失礼いたしますわ。」
何となく胸騒ぎを感じた。
こんこん。
……シィィィィン……
ノックしても反応がない。
……おかしい。
とりあえず、何どノックしても反応がないので。
そのまま、合鍵を使って部屋を空けると部屋はもぬけの殻。
机の上に、レインボゥ・クリスタルが完全版として置かれている。
つまりは、花状態にと変化しているクリスタルが。
ロザリアは、この花の利用方法などを聞いているので知っている。
というか、リモージュがよく神殿を抜け出して、
子供の姿になって聖地を歩き回っているときも、この手を使われているのだから。
「アンジェェェェェ!!!!何処言ったのぉぉぉぉ!!!!」
ばたばたばたたっ!!!!!
姿の見えない女王を捜して。
一部の者達があわただしく、リモージュの姿を、ロザリアの指示の元に捜してゆく。

「平和ですね。ジュリアス様。」
「うむ。まったくだな。」
取りとめもなく、オスカーと本日の、休暇中だというのに執務をこなし。
休憩時間を兼ねて、オスカーとチェスに興じているジュリアス。
「あ!ジュリアス様!まってください!」
「まったはなしだ。」
「う……」
そのまま、チェス盤をみつつうなるオスカー。

「貴方はあちらを捜してください!」
「私はこっちを!」

ばたばたばた。
外の方で、走り回る音がし、何か言い合う声が響いている。
ばたん。
「何ごとだ?」
ジュリアスが、その騒ぎをききつけ部屋をでて走っているロザリアを捕まえて問いかける。
「ああ!ジュリアス!陛下の姿がどこにも見えられないんです!」 
「何!?」
その言葉に、顔色がかわるジュリアス。
「……また……ですか?」
それを聞き、苦笑しているオスカー。
たまによくリモージュはやっているからして。
「それが……この聖地の中にてはいつもの子供姿の陛下を誰も見てないんです!」
さらに、ロザリアのこの言葉にて二人の顔色が一気に変わる。
そしてしばらく考え込み。
「まさか、聖地の外に行かれている…なんてことは……」
自分もよくやっているので。
ふと。
言葉がすべり、そんな言葉をもらすオスカー。
「まさか!!!!!?」
驚愕するジュリアス。
女王が、聖地に不在。
もしくは、神殿を離れ、聖なる御座を離れるなどとは聞いたことも前例もない。
……実はあるのだが。
「……ロザリア、私は、気が進まないが。クラヴィスに協力をあおいでみる。
  女王が行方不明。こんな大事、外部に知られるわけにはいかないからな。
  ロザリアは陛下の部屋に何か手がかりがないか。よく調べて見れくれ。」
狼狽しながらも、的確に指示を出しているジュリアス。
そしてそのまま、その場からクラヴィスの執務室にと向かってゆく。
「……調べるって……。手紙があったくらいしか……」
かさり。
ベットの上においてあった手紙を取り出すロザリア。
「ロザリア?何て書いてあるんだ?それ?」
オスカーがそれをみて、ロザリアに問いかける。
「夜までには戻るからって……」
その手紙には。

『ロザリアへ♡ちょっと出かけてくるから♡夜までには戻るから心配しないで♡
  それと、クリスタル、おいているから。緊急事態には、すぐ私に分かるようにしてあるから♪
  じゃね♪アンジェリーク=リモージュ。』

完結に、その一文のみが書かれている。
「それで?心当たりは本当にないのか?」
「そういわれても……」

「ふふ♪」
にこにこと笑うリモージュ。
「陛下、ずいぶんと楽しそうですわね。」
ロザリアが、執務をおえて。
お茶しているリモージュをみつつ話しかける。
「あのね♪私の妹の結婚が決まるようなのよ♪」
「妹?そういえば、アンジェ、歳の離れた妹がいるって。いってたわね。」
「そう♡こっちではそんなに時間もかからないけど。あっちでは、あと数年後かしら♡」

そんな会話をしたのは。
守護聖たちにプレゼントを渡す少し前のこと。

……まさか!?
「まさか!?」
思わず声を張り上げる。
「何か心当たりでも?」
そんなロザリアに問いかけるオスカー。
「まさか、あのこったら……。自分の妹の結婚式にいったんじゃないでしょぅねぇぇ~!!」
さすがに伊達に親友はやっていない。
リモージュの行動を完全に把握しているロザリアであった。


一方。
「ええ!?本当ですか!?」
マルセルが目を輝かせる。
見慣れた人物画を目にしたからであるが。
「へえ。カティス、まだ生きてるんだねぇ。しぶといねぇ。」
「あ゛~。オリヴィエ……。そういう言い方は……」
いいつつも。
すでに、前緑の守護聖カティスが聖地を立ち去って、
気の遠くなる時間が過ぎ去っているのはよくわかっている。
それでいて。
ここ、惑星カイサスにて。
最近立ち寄ったという、旅の商人との肖像画をみた彼ら。
地の守護聖、ルヴァと、夢の守護聖オリヴィエは、ある意味感心していたりするのであるが。
「まあ、カティスのやつは、アンジェのやつが、自分の一族になってるって。
  女王候補時代のときにいってたからな。」
さらりといっているぜフェルに。
「えええええ!?本当ですかぁ!?ゼフェルゥ!?」
かなり驚いているルヴァ。
「あれ?いってなかったっけ?」
「きいてませんよぉぉぉぉ!!!
  はっ!?そういえば、陛下はあの一族の長とかいってましたよね!?
  すると、その力で一族にできるというのは。やはり伝説では!?」
などといいながら。
ぱらぱらと、分厚い本を取り出してめくりだしているルヴァ。
「あのねぇ。ルヴァちゃん。どうでもいいけど。周りに人がいるっていうの。忘れてなぁぃ?」
オリヴィエが、それでなくても。
注目を集めている周りのギャラリーをみやりつつ、ルヴァをたしなめる。
ルヴァは、興味のあることなどになると。
周りを省みずに、そのまま行動することがあるので、多少のセーブをするものが必要なのである。
ちょっとした宿屋の一角にて食事をとっていた彼ら五人。
出されてきたハーブを使ったその食事は。
マルセルも、そして、ゼフェルもルヴァも、ランディも、オリヴィエも、
よぉぉく知っている懐かしい味であった。
そしてふと視線を見上げると、そこに懐かしい顔ぶれの肖像画がかかっていたのである。
ちらりと、そんな風変わりな一行をみる観光客たち。
だが。
まさか、守護聖などとは分かるはずもないので。
そのまま、何ごともなかったかのように食事にと戻り専念してゆく。
「それで、この人って今何処にいるか分かりますか?」
ランディが店の主人に問いかける。
「ああ。それなら。何でも、恩のある人の妹さんの結婚式があるからって。
  この前、つい先日、主星にむかったよ。」
そういいつつ。
「貴方、何か、困ったことがあったら。連絡してくれって。いわれた連絡先。あったでしょう?」
「そういや、そうだったな。」
いいつつ。
とりあえず、予定の決まっている場所までの、連絡先が書かれている紙をもって出てくる女性。
「サンキュウ。ええと。主星のブライダルギラクシーで行われる……」

「ここですね!」
マルセルが一人はしゃいでいる。
「でも、いいんでしょぅか?僕たち招待されてませんが?」
少し心配そうにいっているランディ。
「でも、ランディ♪陛下の妹ってみてみたくなぁぃ?」
オリヴィエの言葉に。
「それもそうですね!」
あっさりと納得しているランディに。
「いやぁ、カティスですか……。なつかしいですねぇ。
  それに、陛下の一族の人達にも合えるでしょうし。」
「おっさん、おっさん。その本は……どうにでもいいからしまえよな。」
うんざりしつついっているぜフェル。

彼らは。
今。
結婚式が行われている式場にとやってきていたりするのであった……


                   ー続くー

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