リモージュの秘密の大作戦♪ ~第九話~
「あ、それと、こちらは、個人用に頼まれた品です。」
はっと我にもどったかのように気づき、アルタスはアンジェに手渡ししている品物一つ。
一つといっても、圧縮された球なので、中に数点の品物が入っているが。
「きゃぁぁぁぁん♪ありがとう!」
それをうれしそうに受け取っているアンジェ。
「……アンジェ、何頼んだの?」
「ふふ♪秘密♪ちょっと気に入ったものがあったからね♪」
ロザリアのプレゼントも実は、こっちに入っている。
というのは、本人、ぴっくりさせるから教えない♡
ぴっと、人差し指で、口をあてて、左右にふっているリモージュに。
「……何か嫌な予感がしますわ。」
さすがにロザリアは、アンジェがここの核として存在するようになってからも、
ずっと続けて親友をやっているだけのことはある。
本人はそのことを覚えてないというか、思い出してもいないが。
その勘で、何となくアンジェの行動を見通していたりする。
……ぎくっ。
「いやぁねぇ♡ロザリア♡気のせいよ♡」
にっこりというアンジェ。
……怪しい。
そんな親友でもあるリモージュをみているロザリア。
絶対に何かたくらんでるわ……この子……
まさか、王宮を抜け出すつもりじゃ……
そんなことを考えているロザリアだが。
すご勘である。
危ない、危ない。
ロザリアに気づかれたら……絶対に反対されちゃう。
内心そんなことを思っているリモージュ。
そして、互いに顔を見合わせて。
『うふふふふふふふふ♡』
なぜか互いに笑いあう二人の姿が見受けられていたりする。
「何か楽しそうですな。陛下、ロザリア。」
客間の扉の向こうから声がする。
「こんな所におられたのですか。捜しましたよ。」
そういって、入ってくるのは、金の髪の男性と赤い髪の男性。
「あら、ジュリアス、オスカー♡」
その声のほうをみて。
にっこりというアンジェ。
そして、二人をみつつ、アルタスに気づいて。
「これは、お客様でしたか。―陛下、お客様であれば、私どもが官に命じましたものを……」
憮然というジュリアス。
「ちょうどいいわ。この機会だから紹介しておくわね。ジュリアス、オスカー。」
にっこり笑うリモージュ。
「こちら、ウォン財閥総帥。アルタス=ウルド=ウォン。
そして、ウォン財閥社長、アルタイル=ウォン。その長男。チャールズ=ウォン。
つまりは、このアルタスのお孫さん♡」
「陛下は今度、この聖地でのかかりつけ。
つまり。おかかえの商会にとしてウォン財閥を考えていらっしゃるのですわ。」
リモージュの言葉に付けたししているロザリア。
真実すべてではないが嘘でもない。
「ふふ。ここも、外界と隔てられているからね。
それだと、ここで働いている人々や住んでいる人達が娯楽施設がない。ってよく聞くからね♡」
にっこりというリモージュに。
「……確かに……」
はっ!!(汗)
思わず賛同して、ジュリアスににらまれて口を押さえているオスカー。
「畏れながら、何も、陛下自らがお話になるようなことでも……
いってくだされば、我ら守護生一同、いつでも、そのような役割はいたしますのに……
というか、使いのもので十分なのでは?」
そんなリモージュの言葉に眉を潜めているジュリアス。
「ジュリアス、陛下には、陛下のお考えがあるのですよ。」
「分かっておりますが……。陛下が自ら出向いて、万が一、ということもございます。」
互いの目が互いを譲らないように見据えるが。
視線をそらしたのはジュリアスの方。
そんな二人のやりとりをニコニコとかわし。
「あ、アルタス、こっちは、守護聖の長。光の守護聖、ジュリアスと。
そして、その右腕ともいえる、炎の守護聖、オスカーよ♡」
にっこり。
アルタスにジュリアス達を紹介しているリモージュ。
・・・・・・・・・びしぃぃ!
その言葉に。
何の心構えもなかった、アルタスはその場に石化していたりする。
「ま、完全に協力してもらうのは、あと少し先だけどね♡うふふふふふ♪」
くすくすと笑う女王に。
『陛下?』
意味がわからずに、顔を見合わせている光と炎の守護聖たち。
「やれやれ……。寿命が縮まったような気がする……」
はぅ……
ため息一つ。
はっきりいって、あの後のことは、ぼうっとしてあまり記憶にない。
よりによって、女王陛下に女王補佐官。
それだけでも、雲の上の存在であるのに。
それにプラス、守護聖までと話したりして。
「じゃ、お願いできるかしら♡」
「私からもお願いしますわ。」
リモージュと、ロザリアに言われては断れるわけもない。
聖地への行商の協力。
それは、彼ら財閥にとっても、願ってもないことであるからして。
「分かりました。私の財閥でよければ、謹んで、お受けいたします。」
ここに、ウォン財閥と、聖地の取引が内定されてゆく。
「いやあ、一生の運をすべて使い果たしたような気がしますね。」
帰りの道筋は、わざわざ、女王が、専用の船を用意までしてくれていた。
シャルロッテに聖地を案内してもらっていた付随の人達は。
その貴重な体験をいろいろと話し合っていたりする。
「写真、とりまくってましたよ。」
「私、あそこの土を持って帰ってます!」
「私は、湖の水を!」
「公園の花の種を。」
口々に全員がテンション上がっていたりする。
銀の船が下界に降りたつ。
「……二十年後…か。」
光の守護聖と炎の守護聖には聞こえないように、彼にいった、女王の台詞。
「その、チャールズが二十三歳になったときに、正式に依頼します。
彼には、あの子達の支えになってもらうつもりですから♡」
あの子達。
というのが何を示すのかはわからないが。
ま、一般人である自分に分かることでもないのであろう。
とにかく、この子・・孫のチャールズが二十三になったとき。
すべてがわかるはず。
そのときのために……
「チャールズ、これから、商人魂をどんどん詰め込んでいくからな。」
そのときまで、自分は生きてはいないであろうが。
女王や守護聖たちの役にたつように、この孫息子を鍛えないと。
アルタスは帰りの船の中でその決意を新たにしていた。
その一方。
まだ、興奮さめやらない、一緒に聖地に向かったものは絶えることなく、話が弾んでいるまま。
彼らは、やがて、ウォン財閥本部にと帰り着いてゆく。
-第10話に続くー
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