リモージュの秘密の大作戦♪  ~第七話

彼らが歩いていると。
「おや、ロザリア様、お客様ですか?」
道行く人が声をかける。
「ええ。そうですの。」
にっこりという女性。
……?
ろ……ロザリア……?
ま…まさか!?
とあることを思い出す総帥。
注文のあった、少女のことを調べているとき。
もう一人。
同じく、聖地に召喚されていた少女の名前―。
「あ…あの?ひ、ひょっとして?貴女様のお名前は……ロザリア=デ=カタルヘナ様……では。」
怖いが、おそるおそる聞き返す。
「あら、私をご存知ですの?
  まあ、ウォン財閥にはカタルヘナ家もお世話にはなっていますが……
  お目にかかったことはありませんことよ?」
そんな彼らの質問に多少首をかしげてロザリアが答えるが。
ま……まさかまさかまさかまかまか!?
思考が混乱してくる。
ま……まてよ?確か、彼女達は…女王試験で聖地に……
あ……あわわわわ!?
す…すると!?
ち……注文したのってぇぇ!!?
頭を抱え、内心パニックになりかけているウォン財閥総帥とは裏腹に。
くるり。
と彼らにと向き直り。
「あ、そうそう、自己紹介が遅れましたわ。」
そこで、にっこりとロザリアは笑い。
「私、女王補佐官のロザリアと申します♡」
……ブラックアウト。
……ノックアウトとはまさにこのこと。
彼の考えは、見事に肯定されていたりする……
「え゛……じ……女王…補佐…官……!?」
驚愕するその他の人々。
噂には聞いたことがある。
女王陛下には、その意向を伝える補佐官がいるというのを。
確か……世界と、女王とを結ぶ、連絡係……
「あ……あわあわあわ!?」
その言葉に、他の人々も取り乱す。
「さて。全員をさすがに、宮殿に案内。というわけには、まいりませんの♡
  恐れいりますが、話が終わるまで他の人々は……
  この聖地でも、ゆっくりと観光していていただけませんこと?そうですわねぇ。」
いって、ロザリアは、とある人物に声をかける。
「あ、シャルロッテ。ごめんなさいだけど、この人達に聖地の案内をしてくださらない?」
視線の先にいるとある女性にと、にっこりと笑いかけるロザリア。
黒い髪のメイド。
彼女は、ロザリアとも、リモージュとも面識が大いにある。
以前は、飛行都市にいたのだが、リモージュのラブコールに答えて、この聖地で今は働いている。
彼女は、リモージュとロザリアが女王試験をしていたときの特別寮のメイドだった人物であるのだが。
「あら、ロザリアさん……じゃなかった。ロザリア様。この人達は?」
「ふふ。アンジェの客人♡」
「……。なるほど。また何かたくらんでますね……」
二人の性格を見極め始めているシャルロッテ。
まあ、当然といえるが。
「分かりました。私でよければ。用事が済むまで、彼らの案内、引き受けますわ♡」
「よかった♡お願いね。シャルロッテ♡」
「まあ、信用できない人には、任せられないんでしょう?」
「ふふ♡貴女なら、安心だからね♡陛下も、私も、信用してるから♡」
……びし。
シャルロッテと、ロザリアのほのぼのとした会話に。
陛下……つ…つまりは女王陛下ぁぁあ!!!!?
混乱しまくる、人々の姿がしばし見受けられてゆく。


「さて。じゃあ、こんな私ですが。
  ロザリア様のお願いですもの♡聖地の案内させていただきますわ♡」
にっこりというシャルロッテの言葉に。
「……あ…あのぉ?……注文した人の名前……アンジェリーク=リモージュさんっ……て……」
一人が勇気を出して口に出す。
「即位すれば、名前を呼ぶことはまずないですからね。
  ええ。女王陛下ですが?陛下が何かご注文を?」
……ずしゃぁぁぁぁ!!!!
ごがしゃ!!!!!
ううん……
ロザリアと一緒に行かなかった総帥と共に来ていた人々は、
一斉に目を回して倒れ付したのだった……

「さて……。では、宮殿に案内いたしますわ。」
ロザリアと、一緒に進むは。
総裁と、そして、その孫のチャールズのみ。
……さて、守護聖たちに、見つかったときの、言い訳…と。
ロザリアは、リモージュとともに。
用意していた言い訳…もとい、考えをまとめなおしている。
いきなり、私室に案内するわけにもいかないし。 
とりあえず、客間に、案内してゆくロザリアの姿がそこにて見受けられてゆく。



「とりあえず、ご注文のあった品は、これです。」
ウォン財閥総裁、アルタスが丁寧にロザリアに差し出す。
客間の一室で。
ことがことだけに、人払いをしてはいるが。
「分かりました。」
その明細を確認するロザリア。
一応、二つに分けられているうちの一つを確認し。
「ふむ……」
各自のこのみの品を注文しているのを確認し、品物とリストを照らし合わせてゆく。
「しかし、まさか聖地にくることがあろうとは……」
感嘆のため息をついているアルタス。
「まあ、ここは、外界とは切り離されている空間ですからね。」
いいながら、ロザリアが紅茶を注ぎ、それに伴いさらに恐縮しているアルタスの姿が。


「じゃあ、そっちは、大分充実してきているのね?」
にっこりと微笑むアンジェリークの言葉に。
「はあ……。しかし、陛下……一体、何があるというのですか?」
直にかつての閉鎖された空間。
つまりは、今。
この真宇宙に移動する前の銀河があった空間を、定期的に調べてその数値を報告するように。
そう、内々に秘令があったのは、こちらの宇宙が安定し、しばらくしてからのこと。
移動してすぐに、その力のバランスを保った新女王の力には全員が感嘆のため息をつくところであるが。
アンジェリークにしてみれば、それは些細なことでしかない。
「うふふふふ♡それは、まだ秘密♡」
にっこりと。
天使の微笑みで言い返すアンジェリーク。
「とりあえず、今しばらく監視を続けます。」
いって、報告を終える。
「ご苦労様♡エルンスト♡これからも大変でしょうが、頑張ってもらわないといけないからね♡」
にっこり。
アンジェの微笑みに。
「もったいないお言葉です。」
頭を下げて、退出してゆくエルンスト。
王立研究院の責任者。
「さってと、本日の公務はおしまい♡」
にっこりといい、そのまま、辺りを見回して。
「誰もいないわよね?じゃ、いきましょ♪」
ふっ。
誰もいないのを確認し、空間転移を行うアンジェリーク。
実は簡単に彼女は出来たりする。
それを知っているのは、ごく一部のものであるのだが……
後には、ただ、彼女の姿がそこにあったものなど…何も示すものはない。
ただ、光の羽が静かに舞い落ちて掻き消えてゆく……


                       -第8話に続くー


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