リモージュの秘密の大作戦♪  ~第六話

「陛下、陛下!!」
「あら、どうしたの?ロザリア?」
きょんとしている金の髪の少女。
「どうしたのじゃありません!!何処にいくおつもりですか!!!」
「あ…あははははは……」
「まったく……。いいですか。陛下は、宮殿からお出にならないように!」
姿を子供に変え、宮殿を抜け出そうとしている女王。
金の髪のアンジェリーク=リモージュ。
「えぇ……。でも、そろそろ品物が届くころだし……」
リモージュの言葉に。
「そういえば、今日にあたるのでしたわね?あれが届くのは。
  私がいきますから、陛下は執務をこなしていてくださいな。」
補佐官であり、大の親友である、ロザリア=デ=カタルヘナの言葉に。
「はぁぃ。あ、でも、ロザリア♡私も、後から呼んでね?一応、私の名前で注文してるし♡」
「まったく……。あなたは……女王としての自覚が……」
そんなリモージュの言葉をきき。
うんちくかんちく。
説教を始めるロザリア。
「ああ!!違うの!!ロザリア!!あのね!!これも、重要なことなの!!
  だから、私から、まだ早いけど……。話だけでもしておきたいのよ!!」
リモージュの言葉に。
「重要?」
「そう♡例の空間にできるはずの力の球体の♡」
「……なるほど。」
その言葉だけで、リモージュが何を考えているのかを察するロザリア。
「陛下・・ひょっとして、後々行う女王試験に関連してですね?」
「ああ!!ロザリア!!それは、まだ、ひ・み・つ♡ね?」
「そうでしたわね。」
互いに顔を見合わせる二人の女性。
「まあ、ともかく。私は、門まで、出迎えにまえりまわ。」
いいつつも、さすがにてきぱきと戸際よく用意を始めてゆくロザリア。
「うん。お願いね。ロザリア♡
  あ、そうねぇ……。守護聖たちには内緒だから……何処に案内しようかしら?」
「なら、私の私室にでも案内しておきますわ。広間だとわかってしまいますものね。」
「いいの?私の部屋にしようかと……」
「あんじぇ~!!まさか、女王の部屋に案内するつもりだったのぉ~!!!」
「は…はは……駄目?」
「当然です!!!!」
まったく。
この子は。
女王になっても、全然、関係ないんだから。
とロザリアは、心で、ここちよい笑に包まれる。
「あ、きかけてるわよ。ロザリア。あと、数時間で、彼ら、門に到着するわ。」
この辺りは、さすがに女王なのよねぇ・・。
などとリモージュの言葉に、ロザリアは感心しつつ。
「では、私はそろそろ出かけますわ。陛下。くれ・ぐ・れ・も!!!お出かけにならないように!!」
「はいはい。そんなに力説してまで、区切っていわなくても……」
「あんたは、目を離すと、どこにいくかわからないからねぇ。」
「いやぁねぇ。もっと、信用してよ?ロザリア♡」
しかし、いっているロザリアの目は優しく笑っているのだが。
「あ、そろそろ、私、次の執務の時間だわ。じゃあ、ロザリア!!彼らのことは、お願いね!!」
そんな会話をしつつも。
ふと思い出したように、リモージュはそういってきびすを返して神殿の奥にと向かってゆく。
「……あの子……早く、姿を元に戻さないと……」
子供の姿のまま、かけてゆく、リモージュをみてちょっと心配になっているロザリアではあるが。
「さて。では、私は、門まで、彼らを出迎えにまいりますか。」
ロザリアもまた。
宮殿からでて、聖地の入り口にあたる門まで、
リモージュと一緒に選んだプレゼントを受けとるためにと、彼らを出迎えにゆくのであった。



「さて……。どうやって中に入れるのか……」
門の前では、途方にくれている数名の人々。
やがて。
「もしもし?もしかして、ウォン財閥の方々ですか?」
声をいきなりかけられる。
声の主は、紫きがかった青い色の髪に縦ロールのかかった女性。
見た目にも、スタイルも抜群。
しかも、結構美人。
「すいません。お待たせしましたでしょうか?聖地へようこそ。」
にっこりと笑うその姿に。
はたと、見とれていた全員がふと正気に戻る。
「あ…あの?」
一人が何とか声を出す。
「あ、私、代理人ですわ。彼女の♡」
なるほど。
代理の人をよこすといっていたのは、この人のことか。
……しかし?
なぜ、すんなりと、この人は、門を素通りできるのだ?
そんな疑問が総帥の頭をよぎる。
「まあ、こんな所で立ち話も何ですから。どうぞ。ご案内しますわ。こちらです。」
いって、門へと入ってゆく、女性。
「あ……あの?」
「大丈夫ですわ。あなた方は、歓迎されていますから門に拒まれることはありません。
  何しろ呼んだのが……」
くすっ。
いいかけて、笑っている女性。
……?
とりあえず、門の前で、立ち話も何なので。
彼らは、女性の後について、門の中へと足を踏み入れてゆく。


『……うわぁぁぁぁぁ!!!』
思わずもれたのは、感嘆のため息と、感嘆の叫び声。
初めてみる聖地とは、さすがにすばらしいもの。
自然と建物が見事に調和して、何より神聖な空気を肌に感じる。
「さ。こちらですわ。」
「そ……そっちは!?」
示された方角に、さすがに驚いている人々。
それはそうであろう。
その道の先には……宮殿しか存在していないがゆえに。
つまりは、女王陛下が存在している、という聖なる神殿しかないはずだ。
だがしかし、すたすたと歩いてゆく女性の後をついていかないわけにはいかず。
そのまま彼女の後ろをついて歩いてゆく彼らの姿が見受けられていたりする。


                          -続く

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