「あのね♪ロザリア、これなんかがいいと思うの♡」
「さすが、アンジェね♪」
「ふふ♪」
夜、女王の寝室で。
補佐官ロザリア=デ=カタルヘナと女王アンジェリーク=リモージュの話し合いは……
とどこおりなく進んでいた。
リモージュの秘密の大作戦♪~第三話~
「さぁてと♪」
金の髪の女性の、ふわふわしたウェーブがふわりとなびく。
「今日の執務はおしまい♡」
女王である彼女にとって、仕事は執務だけではないのだが。
この銀河を支え、育てて、導いてゆくのも彼女の役目である。
ま、もっとも、アンジェリークにとっては、この宇宙そのものが、その対象なのだが。
前女王アンジェリークと前補佐官ディア、そして、アンジェリークの協力のもと。
寿命を迎えた銀河が生まれたての銀河に星星を移動させて。
短期間で、銀河の安定度を安定させたアンジェリーク=リモージュ。
当然といえば、当然の結果である。
リモージュは、自室の机にむかいノートパソコンを開く。
「大丈夫のはずよね♡一族も利用してるし♪それに、私の登録は、家族登録にしてるし♪」
きゅいいん。
しゅらぁぁんん……。
パソコンから発せられる音。
「さってと♪アドレス♪アドレス♪」
カチャカチャカチャ♪
かろやかな、指使いで、パソコンに入力していく。
ダーン・・ダーン、ダカダカダァァン!!
聞きなれた音楽。
『ようこそ、ウォン商会の、通信販売サイトへ!!』
パソコンから発せられる入り口の挨拶。
「つながった、つながった♪」
さらに。
カチャカチャカチャ。
利用者の明細を入力し、そして、パスワードを入力する。
何しろ、このネット通信販売ページ。
個人個人で、各掲示板などがそれぞれにユーザー保護のために、設けられ。
しかも、支払い方法も自由に選べて、銀河の中なら、どこにでも、無料で配達。
というのが、売りとなっている。
「ええと。私の個人情報は…と♡あ、まだ生きてる♡」
リモージュは、自分のパスワードとアドレスを入力し、
自分が昔から利用している利用者登録ページへと変更書き込みを開始する。
忘れてはいないだろうが、ここは、聖地。
外界と時間がまったく異なった空間である。
まだ、本格的に、外界との隔たる時間率はもどしてはいないものの。
それでも、外の世界とはまったく時間の進み具合が異なっている。
「ええっ…と♪~♪♪♪」
すでに、リモージュが家族の元から離れて外界では、数年が経過している。
宇宙の安定度が、安定したために、
時間をまた少しもどしたりして様子を見るために、時間を外界とあまり変わらなくしたりしているのだ。
「うん♪変更の場所は…と♪」
カチャカチャカチャ♪
「住所変更…と♪聖地…と♪」
カチャカチャカチャ♪
「よっし♪変更終了♪ふふふ♪次は…と♪」
リモージュは、個人情報を書き換えて、
そして、会員用の、通信販売ページへと入ってゆく。
「♪まずっ…と♪ロザリアには内緒なのよね♡
この服って、ロザリアに似合いそうだし♡
あと、この靴…と♪ネックレスと、イヤリング…とっ…と♪」
まっさきに、目をつけていた品物を買い物籠へ入れてゆくリモージュ。
守護聖たちの、プレゼントというのも、本音のことろは、あるのだが。
何よりも、ロザリアに、プレゼントをあげたいリモージュである。
女王候補のときに、神鳥のブローチをプレゼントしているけど。
それとは別で。
「あと……うふふふふふ♡これは、私、個人用…と♪」
ポチ。
めぼしをつけていた、洋服を自分用に、買い物籠にいれて。
「さって♪あとは、守護聖たちと、彼らの分…と♪」
「まず…ジュリアスは、これね♪っと、次に…♪♪」
ロザリアと話し合い、決めたプレゼントをどんどん買い物籠へパソコンで、注文してゆく。
やがて、全員のを頼み終わり。
「次は、これに関しての、支払い方法とか、……これは、書き込みしなきゃ♡」
個人的に、掲示板などを通してではあるが。
この通信販売の会員となっている者については、かなりサービスが行き届いているのだ。
リモージュが今からやろうとしているのもその一貫。
「これは、プレゼントです…と。別々の包装要♡
あと、プレゼントする人たちには内緒なので。
持ち運びには、ミニ宇宙カプセルでお願いします…と♪」
かろやかに、打ち込みしてゆくリモージュ。
ミニ宇宙カプセル。
物質や、品ものを、小さなカプセルに詰め込み、かさばらなくする品物である。
開発特許権は――ウォン財閥。
このネット通信を運営している民間企業である。
この銀河では、まず、トップクラスの財閥といっても過言でない。
「ええと…。間違いないわね♪じゃ、送信……と♪」
「えい♪」
プチ♪
内容を今一度確認したのち、送信ボタンを押すリモージュ。
そして。
しっかりと、送信が届けられたのを確認して。
「さぁて♪明日にでも、定期検査という名目で、時間…もどしましょ♪」
にっこりと微笑みながら、
「じゃあ、もう寝ましょ。おやすみなさい♡」
ネグリジェをきているリモージュは、パソコンを片付けて、寝室のベットへと向かう。
「ふふ♪・・・絶対に、ミルキーの結婚式には・・いくからね♡」
時間をも、この宇宙の中を全て見守っているアンジェ。
アンジェは、このプレゼント作戦で、自分の服も一緒に頼んだのは……
とある時期に下界に下りるためである。
…女王が神殿を離れる。
ましてや、聖地を離れるなどと……誰にいっても、賛成が得られるはずもない。
それゆえに、秘密裏に作戦を練っているアンジェなのである。
アンジェは、この通信販売をかなり利用していたので、それ専用の口座を作っているのだ。
そこから、引き落としの方法をとる。
これもまた、この通信販売のサービスの一環で、
通信販売用に、口座を設置できるようになっているのだ。
しかも、金額に、制限は…ない。
アンジェは、昔から、もっている財宝などを金額に換算して。
そして、預けているのだ。
かるく、星の一つや二つは買える程度の金額を預けていたりする。
まあ、今は、利用することもないのだが。
ベットに入り。
「おやすみなさい……私の愛しい子供達……」
すぅ……
アンジェは、深い眠りとともに、自らの精神を宇宙と一体化させてゆく。
毎日の日課。
この自分の中ともいえる宇宙の中を把握するために……
-第4話へ―
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