まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

こんにちわ♪
何と!久方ぶりの漫遊記番外編!リクエストくださった、水島飛鳥さんサンクスです!
今回の話し。2003年、月間ドラゴンマガジン一月号・二月号。
あれに掲載されたオールディズ・プライドです。
というわけで(こらまて!)読んでない人は・・ネタバレごめん!
というわけで・・それを了解した人のみどうぞなのです♡
何と!んふふ♡
神坂先生の記念すべきSP100本目の作品です!
パチパチパチチvvそれでは・・いっきます♡

ちなみに。設定は第二部に入るところの前!
つまりは、キャラとしては。エル様(リナ)ガウリイ、菫ちゃん♡
話しからすると・・この番外編・第14話のその後のようなものです。というわけで。
これは、アニメ、トライのその後の話しとなってます。
つまりは、トライから、元の場所に戻ってからの話しです。


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エル様漫遊記 ~オールディズ・プライド偏~

「おお!あなたがあの、リナ=インバースさんですかいのぉ!」
そういって、よろよろと歩いて握手を求めてくる、老人一人。
とりあえず、部下Dもとい、デュグラディグドゥたちの暴走も何とかつつがなく終了し。
ついでにいうと、只今。
Sこと、シャブラニグドゥと、Rこと、スィーフィードは、ちょっと、とある世界で修復の手伝いの真っ只中♡
アメリアはセイルーンにとフィルにと足止めされ。
ゼルはゼルで自力で必要な物質を探し出すとかで今はあたしと一緒には行動していない。
まあ、少しばかり一緒に旅していた、黄金竜のミルガズィアと、エルフのメンフィスもあたし達から離れ。
それぞれの旅にと戻っている。
まあ、あたしのことをかなり調べる気満々のようだけど。
そんなのまさか、すぐに分かるわけもないのにね♡
あたしの正体。
知ってるのって、ごく一部も一部、殆どいないしね♡
そんなこんなで。
今、あたしの旅の連れは。
ガウリイ=ガブリエフ。
容姿は、金髪碧眼長身の一応、流れの傭兵をしていた人間。
そして、あたしの親友であり、別の場所のあたしと同質の存在である、ユニット。
その黒い長い髪を赤いレース状のリボンで喋々結びにして、
高い位置でポニーテールにし、見た目は十歳前後の女の子。
ちなみに。
彼女の通り名は、『宇宙の姫ユニバース・オブ・ザ・プリンセス
というのが、彼女の世界での呼び名である。
まあ、あたしが『悪夢を統べる王』とか。『金色の王ロードオブナイトメア』と呼ばれているのと同様に。
まあ、そんなのはどうでもいいことだけど。
モンティール・シティ。
魔道士協会、評議長ミルトン=サンクール。
歳は、一応、九十二歳。
……どうでもいいけど。
もっと戦力になる人間……評議長に添えておきなさいよね……
腰を曲げ、それでいて、その髪は以前の黒髪の原型も留めていなく完全に白髪と化し。
それでいて、その頭上の髪の毛はすでに毛根が死んおり、
耳の後ろの辺りとその周辺に白髪を生やし。
鼻の下に白い口ひげを生やしているのがこのミルトンの容姿であるのだが。
やはり、人間の魔道士として、一応生活しているあたしにとってはその魔道士という立場柄。
旅行く先々で、魔道士協会にと顔を見せるのは。
あたしがゼフィーリアを出て一人旅を初めてからのここでの慣習である。
まあそんなこんなこんなでここ、モンテール・シティでも、面白そうなこと……
でなくて、やはり、ここは、形というものが大切♡というわけで。
魔道士協会の評議長の部屋にと挨拶に来ているあたし達三人。
ちなみに。
ゼロスは今、報告にゼラスのところに戻っているが。
なんか、情けないことに。
Sがいなくなって、仕事がたまってるから……しばらく戻ってこれないとか何とか……
まあ、別にどうでもいいけどねぇ。
あたしは。
よぼよぼと歩いて席を立ち、あたし達の前にとやってくるミルトン。
身長は、はっきりいって、ユニットとほぼ同じ。
「儂はここの評議長のミルトン=サンルークというもんですじゃ。
  リナさんのお噂はかねがね。あちらこちらで聞いております。」
にこにこと満面の笑みでいっているミルトン。
「あら。当然じゃない♡」
「……ま、普通じゃないからなぁ……リナもユニットちゃんも……」
にっこりするあたしに。
ぼそぼそとつぶやいているガウリイ。
「いやあ、真意のほどは定かでないですが。
  何でも、今外との交流が始まったのは。リナさん達の活躍のおかげとかと聞いておりますじゃ。」
そういって、きょろきょろと周りを見渡して。
「……実は、そんなリナさん達を見込んで、お願というか、
  ほんのちょっと頼みたいことがあるんですがのぉ。」
「……それって…早く楽にしてくれとかか?」
さらりと面白いことを言っているガウリイ。
「まあ、ちょっとしたことならいいわよね♡リナ♡」
あたしを見て、くすくすと笑いつつ、言ってくるユニット。
「そうね。」
くすくすくす。
あたしも少し笑みを浮かべる。
そんなあたしとユニットの声に、再度、周りに誰もいないのを確認し、声を低めて。
「その……この年寄りに攻撃魔法を教えてはくれんかのぉ?」
『あら♡』
「ええええ!?爺さん死にたいのか!?リナ達にそんなことを頼んだら!絶対とんでもないっ……!」
ザス!
――キュウ……
何かわめくガウリイをとりあえず黙らしておく。
「何かわめいてるこいつは気にしないでくださいね♡」
にっこりというあたしの言葉に。
「いや……あの……」
なぜか、背中にスコップをつきたてられて。
少しばかり血をながしてその場に倒れたガウリイをみて、少し冷や汗を流しているミルトン。

「それで?魔道士協会では、『他人に攻撃呪文等を教える。』
  ということは、当然ご法度になっているのは知っているんですよね♡」
ぱくり。
そういって、パフェを一口、口にと運ぶユニット。
場を改め魔道士協会から少し離れたカフェテラスで話をしているあたし達。
あたしは、注文のアップルパイを口にして。
ユニットは、注文したストロベリーパフェを口にしつつ。
ガウリイは、いまだにいじけている。
さすがに鬱陶しかったので、協会を出るときに怪我は治しておいたというのに今だに少しいじけていたりする。
まったく。
あんな些細なことでいじいじするんじないわよ!
バンダナを巻いて、旅の魔道士の格好をしているあたしに。
楽なプレートとアーマーで動きやすい旅の剣士の格好をしているガウリイ。
そして、踝の辺りまである少しすその開いたスカートの、薄いピンクのワンピースを着ているユニット。
そのレースの細工が結構細かい。
ミルトン評議長はといえば。
白髪白眉、白い髭。
手には杖をもって、黒いマントを羽織っている。
かなりに目立つ組み合わせ。
まあ、あたしもユニットも、はっきりいって美少女以外の何者でもないから、
視線を受けるのは当然だけどね♡
あたしが本来よくとる形状の方は。
あちらは、はっきりいって、絶世の美女♡という言葉がぴったりとシックリきているけど。
この、人間の振りをして遊んでいるリナの姿も結構美少女だしね♡
「それは……そうなのじゃが……」
ユニットの言葉に口ごもる。
別にあたしは教えてもいいと思うけど。
一応、この世界にある魔道士協会。
すなわち、魔道を教える立場のその取締りの役目も果たしている協会などは。
一応、暗黙の規則なんかがあったりする。
そんな協会の規則の一つが。
【他人に攻撃呪文などを許可なく、簡単に教えたりはしてはいけない。】
というもの。
協会で呪文を教えるのを禁止している理由は、ものすごく単純。
悪用されるから。
という何とも分かりやすいもの。
人などの魔道士が術を使うのには、自分で研究して、その力をくみ上げる。
それが普通なのだが。
わざわざ調べないと分からない存在って……不便よねぇ……
とはいうものの、簡単な精霊魔法。
すなわち、風火水土。
その自然の四大元素の術は、その辺りのどこにでも、その精霊の力は満ちているわけで。
そのカオスワーズ、すなわち呪文を丸暗記して、唱えるだけではっきりいって誰でも使える。
まあ、赤ん坊でも使えるし。
別にカオスワーズが必要なのは。
ただ、単に、人間の精神世界のつながりが極力低いためにその言葉を唱えて繋がりを深くする。
というだけのものであるからして。
いまだにその事実……気づいてないここの人間達なんだけどねぇ……
まあ、とりあえず。
とにかく、呪文を丸暗記しただけで。
誰でも火炎球ファイアーボールなどは発動する。
その魔力容量と、その知識によって威力は異なるが。
とにかく、夜盗、及び盗賊がその呪文を暗記して。
― 金を出さないと呪文の一発でも。 ―
という至極面白い事態になるというのに。
それを器具しての処置。
後は、夫婦喧嘩で竜破斬ドラグスレイブとか、単なる言い争いで、暴爆呪ブラストボムとか。
まあ、知識がない人達ならば。
火の精霊魔法ならば火炎球ファイアーボールか、炎の矢フレアアロー
水の精霊魔法ならば氷の矢フリーズアロー氷結弾フリーズブリッド
などと。
初期の精霊魔法ならば誰でも使えるという事実がある為に。
あたしとしては、その方が面白いと思うけど♡
ゼフィーリアなんて、それが常識になのねぇ♡
特にゼフィール・シティに昔から住んでいる存在とかなんかは♡
ふふふ♡

しばらく、うつむき。
そして、震える声で。
「……ご法度は分かっておる!しかし…しかし!
  儂にはどうしても倒さないといけない男がおるのだ!」
ふるふると震える手を握り締めていっているミルトン。
「…おいおい。爺さんが無理するなよな……
  …というか……リナに頼みごとなんて…何て無……いえ、何でもないです……」
そんなミルトンに言いかけて、あたしの視線に黙りこむガウリイ。
「あやつは……あやつは……儂の孫のルイーズを!」
そういって、カタカタと手を震わせて、コップを握り締める。
「……う~ん……どうやら訳ありみたいだなぁ……とりあえず話だけでも聞いてやるか?リナ?」
そんなミルトンの様子に困ったように、ぽりぽりと頬をかいているガウリイ。
「あら、面白そうじゃない♡」
「そうそう♡」
同時にいうあたしとユニットの言葉に。
ぱっと顔を輝かせ。
「まあ……とにかく何処から話そうか。実は、ここ、モンテールの魔道士協会と。
  少し離れた隣町、ルイーズの魔道士協会は、年に一度親睦会を開いておっての。
  研究やら何やら、いろいろと意見を交わすことで見解を広めようというのが目的じゃ。
  しかし、我の強いものも中にはおる。
  それでお互いの家族を交えて、体を動かすレクリエーション、そのような大会をしておってのぉ。」
そこまでいって言葉を切り。
「しかぁし!今年の大会で惨劇はおこったのじゃ!
  忘れはせん!儂の孫のマイケルがゴールを直前に!
   側を走っておった悪がきに足を引っ掛けられて、倒されたんじゃ!」
―ブッ!
その口に含んでいた紅茶を思わず噴出しているガウリイ。
ぷふぷ。
あたしとユニットは。
始めからこれに関るのが目的だったのもあるので、かなりこみ上げる笑いをこらえているのだが。
ごふごふごふ!
むせこむガウリイの傍らで。
だんだんエキサイトして、目を血走らせて。
そして、右手の指を二本突き立てて。
「あのままだったら、二位だったんじゃよ!?二位!
  ところが倒れた膝小僧をすりむいて涙目になるという大惨事!順位も最下位まで落ちぶれて!
  儂は当然、正義の怒りを爆発させて、親睦会の実行委員にねじ込んだんじゃ!
  うちの孫は頑張ったんだから一位にしろと!」
「……いや……じ~さん……それ無理……」
その言葉に思わず頭を抱えるガウリイが面白い♡
「ところが!じゃ!儂の提案は却下!しかも、あの男!
  マイケルを倒した悪がきの祖父、ルイーズの町のケールの奴は!
  あろうことか先に足を出したのはうちのマイケルの方だ!
  などといい加減な言いがかりをつけてきよったんじゃ!まったく大人げない!」
ぜ~は~……
ごほごほごほっ!
一気にまくし立てて、むせこんで発作を起こしているミルトン。
……楽しい♪
「あやつは……あの男はケールは儂の孫を……マイケルを侮辱しよったんじゃ!
  いくら儂が理を尽くしてとことん説いても納得しおらん!」
あれは、説いているとはいわないわよねぇv
はっきりいって、孫自慢大会になってるし。
言い合っている時の彼等って。
「結局、拉致があかないので、儂のケールが直接勝負して、
  どちらの言い分が正しかったのか決着をつけることになったんじゃ!」
一人息をぜいぜいときらせつつ言っているミルトン。
「……おぉい……リナ……そろそろいこ~ぜ……」
溜息交じりに言ってくるガウリイ。
そんなガウリイに。
「でぇぃ!今の若いもんは、ことの重大性がわかっておらん!
  誰であろうといずれは歳を取りやがて年老いて死んでゆく!これは、大自然の摂理!
  じゃからこそ!人は己の子に孫に、何かを伝え、残そうとする!それが時代をつなぐということじゃ!」
ガウイリの目の前に手を突き出して。
言い放つミルトン。
「……ど~いう理由があるんだよ……」
全然関係ないじゃないか……
はぁ~……
そんなミルトンをみて溜息一つついてるし。
「いいや!理由ならあるわい!子を孫を守るのが先人の務め!
  すなわち!孫のためなら何をしても正義!ビバ!孫ジーク孫ハイル孫!」
「そういや……以前ジークハイルっていう軍人がいたわねぇ。」
「全て自分が正義っていって。いろいろやってたわね。彼は。」
ぱくぱくぱく。
追加に頼んだケーキを食べつつ。
この世界でいうと、約、三十年ほど前に。
かなり面白い軍人が、とある国から誕生し。
面白いことに、全ての国に対して、宣戦布告をして戦争を始めようとした人物。
それが、ジークハイル。
当時十歳程度のとある国の王子の正義の説得によって倒されたりしたけども。
「いや、ちょっとまて!それは、いくらなんでもまずいだろ!?
  何をしてもいいって!?リナ達ならともかく!」
「あら。ガウリイ。どういう意味かしらぁ♡」
にっこりと微笑むあたしに。
「だって……リナ達だったら…殺してもすぐに復活させること可能だろ?」
「そういう問題でもないと思うけど♡」
そんなあっさりといっているガウリイの台詞に。
くすくすと笑っているユニット。
「ええい!そもそも勝負といっても。殺し合いやら決闘やらをやらかすわけではない!
   場所は、こことルイーズの間にある広場。
   親睦会実行委員会の仕切りで、決められた競技を三種目ほど行い、勝負を決める。
   手や足を出しての妨害、暴力は反則負け。そういう試合なんじゃよ……じゃが!
   攻撃呪文を使っちゃいかんというルールがないのじゃ!
   儂もケールも研究者肌の魔道士。元々攻撃呪文なんか使えはせん!
   じゃから制限しなかったんじゃろうが……ならつけ込まない手はないじゃろうが!
   儂の孫の名誉を汚す愚民に、鉄さび交じりの敗北を与えるためには、手段を選ばん!
   今こそわしらが戦わねばならん時なのじゃ!」
かなり、テンションを高くして。
「いや…いくらなんでも……祖父が犯罪者になるのは…嫌だと思うぞオレは……」
ぼそぼそと。
とにかく、諦めさせたいガウリイ。
「ふ。それは無論のことじゃ。儂とてマイケルを、犯罪者の孫になんぞしたくないわい。
  攻撃呪文はあくまでフェイントとして使うつもりじゃ。
  つまりは相手をちょっと驚かせる程度のものでかまわん。
  ……協会の原則を曲げてのたったの頼みですじゃ……依頼料は、前金で金貨十枚。
  後払いで儂のもっておる魔道書の、秘本中の秘本を読ませる。というのはどうじゃろうか?」
その言葉に。
「別に、『悪夢の黙示写本ナイトロードゲイブル』なんか読まなくてもいいわよ。」
というか、それ、あたしのことだし。
「そういえば、テールさんの方には。『四代神魔聖伝ゴットプリマサーガ』の写本があるのよねぇ。リナ?」
ユニットがあたしに聞いてくる。
「そういえばそうよね。」
ま、あっちはあっちで、それ目当てで面白いことになってるようだし♡
「ええと……一応聞くが……何だ?リナ?それは?」
ガウイリが何やら額に汗を流して聞いてくる。
「へ?ここの四界の部下…とと。神と魔王のつかいっぱしりたちのことを示している書物よ。」
きっぱりととりあえず真実を説明しておく。
まあ、あの文字の解読。
今だに、この千年と少しの間で、誰も解読できてないのが情けないけど。
ちなみに、作者はこのあたし♡
ちょっと、退屈だったから、この世界でいうところの、千年ほど前の降魔戦争のとき、
ここで遊んでいたときに書いたものなのよね♡
「・・・・・・・・・・・・」
まあ……リナが、普通でないのは分かってるけど……
しかし……いいのか?
そんなものを書いても……
あ、ガウリイ、あたしが書いたって、あたしの微笑みで理解してるみたい♡
その辺りの勘ってさすがよね♡このガウリイって♡


「ま、暇だし、簡単なものならいいわよ♡」
そういって、ウィンク一つ。
あたし達は数日後にと迫ったテールとミルトンの試合に向けて、ミルトンにと呪文を教えることに決定し。
一方。
こっちの方も……ふふふ♡
「……何!?そんなものが!?」
思わず席を立ち上がっているのは、全身白尽くめの男性。
「ゼルガディスさん!困っている人を助けるのは正義です!
  それに、それになら、ゼルガディスさんの役にたつことが、書いてあるかもしれません!」
目をきらきらさせて隣にいる男性に言っている女性。
「ああ……だが。魔道士協会というか魔道士の掟では。
  他人にむやみに攻撃呪文を教えてはならない。そういう決まりがあるぞ?」
「何をいってるんですか!いい方法があるじゃないですか!それに、日にちもありませんし!」
にっこり。
そんな隣の男性に微笑んでいるその女性。
ふふ…楽しい♡
「……いい方法?」
「はい!!!!」
満面の笑みを浮かべてにっこりと微笑んでいる女性の姿がその一室において見受けられていたりする。
さってと、役者というかメンバーは揃うようね♡



「ぜいぜい……老人はもっといたわらんにゃ……」
少しの攻撃呪文だけで息を切らせているミルトン。
教えるより実戦あるのみ。
とにかく、術を交わして、その力の特性を読み取るという教えをしているのだが。
一番簡単な方法なのにねぇ♡
悲鳴を上げて逃げ惑い、すでに息もあらく、震える声でいってくるミルトン。
「……なあ?リナ?もう明日だぞ?」
ガウリイがすでに暮れてしまった太陽をみて、もはや諦めた表情でつぶやいているけど。
「何ぃぃ!こうなったら!リナ達!手段はかまわんから!」
そういってくるミルトンに。
「あ!リナ!私がやる!面白そう♡」
すぐさま手を上げて、言ってくるユニット。
「えぇ~……あたしも楽しもうと思ったのに……ま、いっか。」
とりあえず。
身長的にもユニットなら違和感ないし。
あっちは面白いことになってるけどね♡
とりあえずその日の残り時間においては、作戦をミルトンにと説明してゆくだけでつぶれてゆく。
あちらはあちらでテールに説明しているし♡
楽しくなりそう♡


モンテールとルイーズ。
隣り合いながも、双方それなりに、発展してきた二つの町。
部下達にも多少はこの発展というか働きぶりを見習って欲しいものであるけど……
まあ、何にしろ。
その二つの町の中心。
山の麓に流れる川の横に少しの開けた場所が存在している。
ピクニックの場所として、かなり最適の場所として子供などにはかなり人気があるその場所。
そんな場所の緑の草と花々が咲き乱れた広場の一角に。
いやいやながらも溜息交じりに参加している、黒いローブを身にまとっている人々の姿の一団。

「おう、諸君、またせたのぉ。」
そういうミルトンに一同は目をやって。
そして、そのこめかみを引くつかせる。
ミルトンの体を力で浮かせて。
そのミルトンの前のマントの中に入っているのはユニット。
そんなわけで。
ミルトンは長いすそのローブを着て、題して俗にいうところの【二人羽織り】をしていたり。
呪文も何もなしで、いきなり空中に浮かべられたミルトンは少し驚いていたけど。
何をあの程度のことでv
そんなミルトンの横にいる、あたしとガウリイ。
あたし達の視線の先で、黒ローブに黒マントの魔道士たちがあたし達とミルトンを交互にと見つめ。
そして、あさっての方をみつつ。
「……さあ、始めますか……」
「……そうね……」
「……あ~……」
「……競技の内容をもう一回再検討しようか……」
現実逃避をしまくってそんな会話をしている実行委員の人達の姿。
「??なあ?リナ?何で、何も言ってこないんだ?」
そんな彼等を見て取り、ガウイリがぽそりとつぶやいてくる。
当然、といえば当然よね♡
彼らとしてはどうでもいいしねv今回のこの一件は♡
「それで、ケールのやつはどうしたのかのぉ?」
ミルトンの問いかけにミルトンを見ようともせずに。
「もうきてますよ。そちらです。」
テントの後ろを指差す彼等。
ブッ!
そちらに視線をむけて、思わず噴出しているガウリイ。
「あっれぇ!?リナさんにガウリイさんじゃないですかぁ!久しぶりです!」
ばくばくばく。
草むらに、シーツを敷いて一人、サンドイッチなどを広げ、
白いゆったりとした動きやすい服にその手と腰に星の護符ジュエルズアミュレトを身につけて、
食事をしている一人の女性の姿と、そして。
『だぁ!?何でガウリイとリナがそっちにいるんだ!?』
そんな視線の先で、うごめいているローブ。
「駄目ですよ。しゃべったら。」
そういって、ローブの中に、サンドイッチを押し込んでいる女性。
言わずとしれた、セイルーンの巫女、アメリア。
こちらは、頭のてっぺんの髪の毛は残っている。
その白く色細胞の枯渇した白い髪と、
そして、あごにとはやした、これまた白い口髭を一緒にしている人物。
つまりは、そこに一人の老人がたっていたり。
特質すべきは。
頭のすぐ後ろの黒いローブとマントが頭一つぶんほど盛り上がり、
丈の長いローブのすそから覗くのは白いズボン。
やせているその老人の足ではないことは一目瞭然。
彼の足のはずはない。
まあ、それも当然。
あちらは、アメリアの案で彼の胸元にケールを結び付けているのだから。
「……なあ、ゼルのやつ……何やってんだ?あれ……」
そんなケールを指差して質問してくるガウリイ。
「あら。あっちは、『四代神魔聖伝ゴットプリマサーガ』あれが目的みたいよ。あれの閲覧が♡」
にっこりというあたしの台詞に。
「……ゼル……死ぬなよ……相手はユニットちゃんだぞ……」
なぜか、汗を流してつぶやいているガウリイ。
そのガウリイの呟きが、手を引っ張られてあたし達の方にと歩いてきているケールに届き。
びくりと、ローブの中身が震えていたりする。
「きゃぁ!リナさん達!元気でしたか!?」
あたしに飛びついてくるアメリア。
「まあね。そういうアメリアは?」
「はい!私は、父さんを説得して!
  とりあえず、収集した情報のなかに、ある有力な情報があったから!
  セイルーンの情報網を駆使して!ゼルガディスさんを見つけ出して一緒に行動してるんです!」
にっこりとそんなあたしの質問に微笑んで答えてくるアメリア。
「……まあ、二人がこれじゃ……誰もつっこめないのは当然だよな……」
ケールとミルトンを見て小さくつぶやくガウリイ。
アメリア曰く。
「当人が汗と労働をしてこそ!得る価値があるというものです!」
といって、嫌がるゼルガディスに無理やりケールをくくりつけて、
ひっぱるようにしてここにつれてきたのだけど♡
「ふっほっほつほっ。しかし、逃げずにずうずうしくもよくもきおったのぉ?ケール?」
のんびりと会話をしているあたし達の横で、ミルトンが目の前にいるケールにと向かって言い放つ。
「やっはっはっはっ。主こそのこのことよく来たもんじゃのお。ミルトン。
  いっておくが、今日の儂はいつもの儂と違うぞ?」
ミルトンの言葉に負け時と言い返すケール。
「ああ……目立ってる……目立ってる……何で俺かこんなことをしないといけないんだ……」
ぶつぶつと、ケールのマントの中から漏れるようにと聞こえている声
その声に気づくこともなく。
ミルトンとケールの二人はというと。
「ふっ。貴様がどう咆えようとも、儂の孫の正義は揺るがんわい!
  たっぷりと目にものをみせてやろうぞ!」
「それは、こっちの台詞じゃわい!全ては孫のために!」
ぱちぱち!
そういって火花を散らすミルトンとケール。
意地というか思い込みの激しさは二人とも譲らないしね♡
頑固だし♡
「はいはい、それじゃ、とっとと、さくさくと試合をやっつけちゃいますよぉ。お連れの人もどうぞ~。」
完全に棒読みに、やる気のない口調で実行委員の一人、片眼鏡モノクルをかけた女魔道士が言ってくる。
ふふ。
さて、ちょっとはたのしめそうかしら♡

山は緑にと輝き、流れる川の水面は日差しを照り返して煌いている。
気候と気温は熱くもなく、寒くもなくほがらかな春日より。
川原の片隅に『大会本部』と書かれているテントが張られ。
その下に木の箱を並べているだけの椅子に、実行委員の数名が腰掛けている。
本部の側に少し高い台があり、その前で。
ゼルを背後に持っているケールと、ユニットを前にと纏っているミルトンが、にらみ合っていたりする。
その台の上に実行委員の一人。
先ほどの眼鏡をかけた女性が溜息まじりに。
「はいはい、それでは。只今より。
  『第一回、冷水杯争奪戦 どっちの孫が間違っているか大会』を開催しますからね。」
ほとんど棒読みで投げやりにと答える女性。
「死なないように頑張ってください!」
にこにこと笑みを浮かべて、ゼルガディスに声援を送っているアメリア。
ひくっ!
その声にローブの中のゼルがひくついていたりする。
その開催の言葉にあわせ、お義理にもただぱちぱちと手を叩いているだけの人間達の姿。
「というわけで第一回目の競技。
  ここから、遥か北の山には、人々を苦しめる悪い竜がいるといいます。
  というわけでそいつを先にやっつけたほうの勝ち。はい、スタート。」
『……って何じゃそりゃぁぁ!?』
その言葉に、ミルトンとケールの絶叫が山間にとこだまする。
「ドラゴン退治って、いくら何でも無茶じゃろ!そんなこと!」
抗議の声を上げるミルトン。
「第一北の山にドラゴンがいるなんぞと、そんな話は聞いたことがないぞ!」
これまた叫んでいるケール。
「ふ~ん、不満なんですか。」
そのまま、枝毛を風の術で切り取りながら。
『当たり前だ!』
その声に同時に叫んでいるミルトンとケール。
「じゃ、棄権を宣言してください。
  先に宣言したほうが第一回戦、負け決定。第二回戦いに進みますから。」
『……!』
枝毛を切りつつ淡々と進行役の人物にとそう言い放たれ、絶句しているミルトンとケール。
「えと……リナさん?本当に北の山にドラゴンなんているんですか?」
ずずっ。
お茶をのみつつ、聞いてくるアメリア。
竜達の峰ラドラゴンズ・ピークとかも、北にあるわよ。あと、カタートも♡」
「それって、正義じゃないじゃないですか!
  ああ!折角ゼルガディスさんの目的に近い知識が得られるかもしれないというのに!」
何やらいいつつも、何だか叫んでいるアメリア。
「……いや……アメリア。とゆ~か、そのゴットプリ……何とかって……
  ……以前リナが書いたやつらしいぞ……」
そんなアメリアにぽつり、とつぶやくように言っているガウリイ。
「……え゛?」
ガウリイの言葉にそのまま固まっているアメリア。
「以前暇している時期にね♡
  あいつたち八人の特性と、ついでに弱点。それ書いてちょっとした実験考えてたら。
  その書いた紙の内容をとある魔道士がほしがってねぇ♡だからあげたの♡以前、その魔道士に♡」
ま、嘘ではないし。
実際に、部下達のちょっと、説得コースの新材料を兼ねて。
とりあえず、暇だったので。
その説得コースのフルコースを書き出して、あいつたちの特性と弱点なんかも書き出してたら。
その書いてた本を買いたいっていう面白い人間がいたのよねぇ。
だから売ったのよね♡あたし♡

あたし達がそんな会話をしている最中。
 無理難題と思えることを吹っかければ、目を覚ますであろうという実行委員会の人達の目論見。
だけど、この二人にそれが通用するわけないのにね♪
「……だと。ほれ、とっとと諦めろ。ケール。」
ぎろりと睨んでミルトンがケールに向かって言い放つ。
「ああああん?何じゃと?ミルトン?
  まさか、お主、自分が怖いからといって、儂に棄権を進めているのか?」
そんなミルトンを睨み返して言い返しているケール。
「この儂の孫ほの思いがそんな貧弱なものだとおもうてか?
  そんなに怖ければ貴様の方こそ棄権をすればよかろう?」
「何じゃとぉ!?」
そういいつつ、互いに顔を突きつけて。
「そちらがくたばらないように親切心で忠告してやっているというのに!
  そこまで抜かすならばこの儂の孫への思い、見せてやろうぞ!」
「ふぉっふっおっふぉっ!口だけは達者なようじゃが、果たして、お主に何処まで出来るかな!?」
はっきりいって、数ミリ単位の近くまで顔を近づけて、言い合っている、ミルトンとケール。
ちなみに。
ユニットがミルトンを浮かせているので、
身長の高さ的にはケールと同じ高さになっているのであるけど。
そんな二人をみて、溜息一つ。
「あ~。ならさっさといってくださいね。まあ、ずんずん北にと進んでいけばそのうちに、
  竜達の峰ラドラゴンズ・ピークかカタート山脈に行き当たりますから。
  ドラゴンの一匹くらいにはであうでしょうし。」
髪をいじりつつ、棒読みで言い放つ実行委員。
だけど、二人がその程度であきらめるわけないじゃない♡

つんつん。
「頼んだぞ?」
ローブの下でユニットの肩を叩きつついっているミルトンに。
「頼んだぞ!勝てたら読ますだけでなくやるから!」
後ろのゼルに言っているケール。
眠っているときに、アメリアにケールをくくりつけられ。
しかも、アメリアの許可なく解こうとすると、
電撃の強化版が流れる仕組みの縄に溜息一つ、つきつつも。
「ええええい!こうなったらやけだぁぁ!」
半ばヤケで叫んでいるゼル。
「ふぅん。ドラゴンねぇ♡リナ♡」
「別にい~わよ♡」
ミルトンのローブの下からユニットの声。
その明るいまでの口調に、うきうきとしているユニットの様子が視てとれる。
「……って!?ちょっとまってください!?何をする気ですか!?リナさん!?ユニットちゃん!?」
本部と書かれているテントから少し離れた木の下で。
シートをひいて、お茶などを飲んでいるあたしとガウリイとアメリア。
クッキーをかじっているあたしに言ってくるアメリアに。
『だから、つまりは、それが北から来れば問題ないわけよね♡』
あたし達の声が同時に重なり。
パチンvv
あたしは軽く指を鳴らす。
ちなみに。
この辺りの結界はユニットが張ってるけど。
ユラリ。
北の山間から黒い雲が出現し。
そしてその中から、黒い闇の衣を纏ったかのごとくのちょっとした些細な大きさの竜と。
同じく、漆黒の翼をその身に四枚宿している些細な大きさの竜が雲の中から出現してくる。
というか。
―どでっ!
思いっきり音をたて、地面に落ちてるし……こいつらは……
『!!!!!!!!?????』
なぜか、それをみて絶句している実行委員の人達。
黒い闇の衣を纏っていた竜は。
地面に落ちると同時に、その姿を人のそれへと変換させているけど。
そこにいるのは、長い髪の男性に。
マントの先に羽のようなものをつけている服を着こなしている、女性にと変換させている漆黒の竜。
『あ゛あ゛あ゛!ヴォルフィード(さん)に、デュグラディグドゥ(さん)!!?』
その姿をみて、アメリアとゼルの声がなぜか一致していたりする。

「な゛な゛な゛!?」
「あ゛あ゛あ゛!?」
周りを見渡して、そしてふと気づいたようにあたしの方にと視線をむけて悲鳴を上げている二人だし……
あんた達ねぇぇぇぇぇえ!!
「二人とも♡今回のその二人の戦いに協力しなさいね♡
  ちなみに、怪我とか死亡させたらそれなりの…数百倍の行動で示してもらうからね♡」
そんな二人をみてにこやかなまでに言い放つそんなあたしの言葉になぜか怯えている二人の部下たち。
そしてまた、ふと気づいたように、ぽんと手をうち。
「そっか。そ~いや、ダークスターとかいうやつも。ナイトドラゴンとかいうやつも、竜だもんなぁ。」
のほほ~んとのんびりと言っているガウリイ。
「こらまて!どうしてこいつらがここにいるんだ!?リナ!?」
ローブの下からその手を突き出して、
今だに頭を抱えて絶叫している二人を指差しつつ、完全にわめいているゼル。
「あら♡やっぱり、こういうイベントって『敵』がいなくちゃ面白くないじゃない♡ってことで♡」
そんなゼルの質問に親切にも答えてあげるあたしって何て親切なのかしら♡
だがしかし、まったく状況を理解してない存在ものも多数。
といってもあたし達の関係者以外全員が理解してないようだけど。
それゆえに。
『……なあ、誰なんじゃ?この人達って?』
同時に聞いているミルトンとケール。
なぜか二人とも、大量に冷や汗などを流していたりするけども。
「……異世界の魔王。闇を撒くものダースクター……」
「あらvDとVよ♡
  つまりは、ここの世界と同じく、同時期に誕生しているここの世界とは別の竜神と魔王♡」
声を震わせて言っているゼルと。
にここにと楽しそうに説明がてらにわざと全員に聞こえるように言っているユニット。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
なぜかユニットの言葉に会場が一瞬静まり返るけど。
「ええと……本日はお日柄もよく……」
なぜか完全に現実逃避に走り出している実行委員の人達。
「ここで少しは楽しませてくれたら♡この間のことは、少しは勘弁してあげる♡」
にっこりと言うそのあたしの言葉に。
なぜか、ヴォルフィードこと部下Vとデュグラディグドゥこと、部下Dの額に一筋の汗。
「……リナさん。何かあの人達……怯えてませんか?あの時も思いましたけど?」
そんな二人をみて、つぶやいているアメリア。
「気のせいよ♡ってことで♡期限は日没まで♡そこの人間達と戦いなさいね♡
  手加減したら駄目♡かといって、どちらの人間にも傷つけたりしたら、お仕置きね♡」
さらりとアメリアをかわし、にこやかに指示を出す。
『ええええええええ!!!!!?そんなぁぁぁあ!?』
そのあたしの台詞に。
抗議の声を上げている二人だし。
とりあえずっ…と。
「あ、魔道士の皆さんv【力試し】をやってみませんか?自分の実力試すいい機会よ♡」
あたしの言葉に、なぜかぶんぶんと首を横に振る実行委員の魔道士達。
まったく、根性がなってないというか。
魔王とかという些細な言葉で完全に固まっていたりするし……
しばし、そんなあたしの台詞に、二人、顔を見合わせ。
「ね……ねぇ?やるしかないんじゃない?」
「……だな……どっちにしてもお仕置きは決定だろうしな……」
何やら完全に怯えてつつもそんなことをいっているこの部下二人。
ほぉう。
あとで覚えときなさいよ♡
二人とも♡
「こらまて!リナ!こんなお年よりを相手に、こんな奴等を呼び出して!殺したらどうする!」
ふと、我にと戻り。
だけども思いっきり面白いほどに混乱して叫んでいるゼルが何やら叫んでいたりする。
「あら♡大丈夫よ♡『魂は肉体から逃れられないようにこの空間ではしてるから♡』」
きっちりと、重ねていうあたしとユニットの言葉に。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
なぜか、面白いほどに、全員が沈黙してゆく。
「えええええい!もうこうなったら!第一回戦開始!」
かなり、混乱して叫んでいる実行委員の女性。
この程度で混乱しなくてもいいじゃないのよ♡
いきなり、人が空間から出現して。
それでいて、彼等が見たことのない姿の竜から人の形態にと姿を変えた程度くらいで混乱してるし。
う~ん。
根性が足りないわねぇ♡

その言葉をうけて。
「もう!こうなったら!あの御方の少しでもお仕置きを免れるために、頑張るわよ!」
「しかたない!いくぞ!キャナル!」
泣き叫びつつ言ってる二人。
だ・か・ら♡
どうしてそんなに泣く必要があるっていうのよね♡
ドッガァァァァン!
バチバチバチ!!
「だぁぁぁぁあ!!!! こんな奴等を呼び寄せるなぁぁ!
  というかどうしてこんなのの召還とかが可能なんだよ!リナ!お前はぁぁぁぁぁぁ!!」
叫びつつも、走り回り、逃げ惑っているゼル。
ローブの下から、その攻撃を無と化しているユニット。
目をきらきらさせて。
「リナさん!異界の魔王に対して、正義の鉄槌!私もやってもいいですか!?」
少し違うところで聞いてきているアメリア。
「いいわよ♡」
あたしの至極当然な返事に。
「よぉぉし!あの時は、何もできなくて終わったけど!このアメリア!
  この正義の心をもってして!デュクラディグドゥさんを、正義の使者にしてみせます!」
などと、一人燃え上がり。
「ゼルガディスさぁぁん!私も手伝います!」
ぱたぱたぱた。
そういって、ケールとゼルの元に走ってゆくアメリア。
そして。
「動きにくそうですし。」
そういいつつ、無理やりにとくっつけていた、ゼルとケールの縄を解除しているアメリアの姿が♡
どさり。
それとともに、そのまま崩れるようにして、
ケールの後ろにと倒れこんでいるゼルの姿がそこにあったりするけども。

「……って。何でわしらにくるんじゃあ!?」
攻撃が、ケールとミルトン、二人に対してのみに向かってやってくるのをみて、何やら叫ぶケール。
「……そ~いえば、リナは『あんた達二人』って…そう言ったからじゃないのか?」
ふと気づいたように冷や汗を流しつつもつぶやいているゼル。
「あわあわあわ。」
空中に浮かべられたまま、右往左往しているミルトン。
「あら?ケールが一人になったし?どうする?ミルトン評議長?」
くすくすと笑って、後ろのミルトンに聞いているユニット。
「儂を降ろしてくれぃぃぃい!」
そんなユニットの質問とはまったく関係なく、なぜか絶叫を上げているミルトンだし。
う~ん♡
楽しい♡
彼、実は高所恐怖症なのよね♡
「それじゃ♡」
いいつつ、とりあえずミルトンを降ろしローブの下から出てくるユニット。
ユニットの姿をみて、たじろいでいるDとV。
そして、しばしの絶句のうちに。
『どうしてユニット様までこんな所にぃぃぃぃい!!!!!?』
何か頭を抱えて絶叫してるけど。
「面白そうだから♡ね?リナ♡」
「そうそう、気にしない、気にしない♡ほらほら、攻撃の手がやんでいるわよ?
  直撃しなかったら、二倍返しね♡それと、攻撃で怪我を負わしたら、十倍返し♡」
ずざっ!
至極当然なあたしとユニットの言葉にすでに完全に色をなくしてひいてる二人の姿があったりするけど。
お母さん、あんたたちをそんなに情けなく創ったり、育てたりしてはないわよ♡
『さあ。というわけで。ミルトン(さん)ケール(さん)。
  どっちが、正しいのか。その二人と戦って、決めてみましょう♡』
にこにこと笑っていうあたしとユニットの言葉に。
『ちょっとまてぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!』
ミルトンとケールの叫びがこだましてゆく。

辺りに荒れ狂う光の雷雨。
その光景に気絶している情けない実行委員が数名。
バチバチバチぃぃぃい!
漆黒の光の筋が、木の箱が並べられているその場所にと向かってゆく。
『だわわわぁぁ!?』
あわてて、木の箱の上から、飛びのく人々。
あら♡
「あらv確か、あそこには、マイケルとラコックが、入っているけど♡」
「そういえば、実行委員の人達がミルトンさんとケールさんの、お孫さんたち二人。
  連れてきてあの木箱の中に入れてたわね♡」
にこにこと笑いつつ、楽しんでいるあたしとユニットの言葉に。
その耳にと届いた名前に、耳をダンボと化して。
『何いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!?』
おもいっきり頭を抱えて、その白い髪を少し黒く焦げさせて叫んでいるミルトンとケール。
バギャ!!
光の筋がそれに当たると同時、小箱が微塵に砕け散り。
その中からキョトンとした表情の四歳の男の子達が姿を見せていたり。
そして。
目をしばし、瞬かせて周りの状況というか外を確認し。
次の瞬間。
『びぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんん!怖いぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!』
思いっきり、二人は抱き合って泣き叫びだす。
「ああああ!!マイケル!」
「ああああ!ラコック!」
一応、衝撃波などが吹き荒れる中。
そんな二人の元にと駆け寄って孫たちを同時に抱きしめて。
『儂が負けでいいからもうこの戦いはいいいい!!』
ミルトンと、ケールはなぜか二人同時に叫びだす。

「あら……つまんない。」
「う~ん……まだ数時間しかたってないのに……」
残念そうにつぶやくあたしの横で。
「……とゆーか、十分だと思うぞ……オレは……」
とりあえず、些細な攻撃から人々を守っているガウリイが攻撃を叩き落しながらつぶやいているけど。
その言葉に。
腰を抜かして、攻撃が始まった直後。
全員、面白いほどに、髪の色を白く染め上げている実行委員の魔道士達は、
はっと我に戻ったように。
「冷水争奪戦。互いに棄権ということで引き分け!…って!?いやぁぁぁぁぁっ!」
何か叫びつつ、炎の竜から逃げてるけど。

一方で。
「さあ!異界の魔王、闇を撒く者さん!今度こそ、正義の心に目覚めてください!」
いいつつ、生の賛歌を聞かせているアメリアに。
「……あんた達も大変だな……一体、あのリナって……本当に何者なんだ?」
ぽんと、ヴォルフィード達の肩に手を置いて、言っているゼル。
「うう……そうなんですよ……あの御方の機嫌を損ねるわけにはいきませんし……
  ……でもそれはいえません……しくしくしく……」
本気で泣いている部下V。
……あのね……
「まあ、二人が棄権するっていうんだから。仕方ないか。ということで。
   ええと、怪我をさせてはないけど。日没までたってないということで♡言ったことはなしね♡」
ひくっ!
あたしの言葉に顔を引きつらせる部下二人。
「じゃ、私。この結果、解くわね♡」
そういって、
ふいと手を空にとかざすユニット。
ふわ。
その手をかざして、結界が退いたその後には。
始めから何事もなかったかのような元の河原があるのみ。
その静かな日差しの下。
完全に気絶して、白めを向いている人間が数名に、また失禁しているものも少なくなく。
だから、どうしてあの程度でそこまでなるのかしらねぇ。
人間って弱いわよね♡

チチチ……
辺りに日差しと鳥の声が響きゆく。
「ってことで。あんた達、戻っていいわよ。」
『しくしく……分かりました……』
とりあえず。
日没までは戦ってなかったので。
あたしとユニット。
二人して、剣とレイピアで二人を突き刺しておいて。
何やらうめいて転がっている二人にとあたしはいう。
あたしの言葉に。
出てきたときと同様に。
ふい。
掻き消えるようにと消え去る二人。

『お爺ちゃんたちの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!』
孫たちにそう叫ばれて。
しばし。
ミルトンとケールは、その場に硬直しているし。
―お爺ちゃんたちがつまらないことで戦おうとしているから。それ、止めて欲しいからきてくれない?―
そういわれて。
ついてきていたミルトンの孫のマイケルとケールの孫のラコック。
今回の出来事が。
それ全て、二人の意地の張り合いというまでは幼い子供達には理解できないが。
とりあえず、祖父に原因があるのは、幼い心ながらにも分かり、
同時に二人、叫んでいるのであるが。
 「……リナに関ったら……本当に命がいくらあっても足りないな……
  ……というか……本気でお前……何者なんだよ……」
疲れたように道を歩きつつ言っているゼル。
その手に、ちゃっかりと。
四代神魔聖伝ゴットプリマサーガと。
ミルトンが泣くようにと渡してきた。
悪夢の黙示写本ナイトロードゲイブル
この二つの書物を持ってはいるが。
ぱらぱらと目を通して。
自分で読めない言語で書かれているので、しばらく、その解読に費やすらしいが。
「……で?アメリアとゼルはこれから、どうするんだ?」
そういうガウリイに。
「そうですね。とりあえずは。一度、セイルーンにゼルガディスさんと戻ります。
   この本、セイルーンでなら解読できるかもしれませんし。」
そういって、にっこりとゼルに微笑むアメリア。
始めから何事もなかった。
という、面白いまでの実行委員達、全員の意見が一致して。
とりあえずそのまま、町を立ち去っているあたし達。


「……なあ、わし等……協力を頼む相手……間違ったのかのぉ……」
「……というか……どうしてあんなものが呪文もなしで。召喚できるんじゃい?
  そこのところを研究してみんかい?ミルトン?」
「……そうじゃな……」
そういって、しばしたそがれる。
モンテール・シティとルイーズ・シティ。
その町の中間に位置する河原で、
その次の日から呆然とそこに佇む二人の姿が目撃されていっているらしいが。

その後。
親睦会は、つつがなく、進行していったらしいが。
今回の一件で。
かなり、研究においても、共同研究などにおいて協力体制が深まり。
かなり、面白い結果となっているし。

そんなこんなで。
新しい道を歩み始めた町を後にし、次なる道にと進んでゆくあたし達。
「……多分…リナって……まさかなぁ……」
そういって、溜息を落としているガウリイ。
あら♡
どうやら、うすうすあたしの正体、気付き始めたようね♡
まあ、確信に近い意識を持ったのは。
部下DとVの一件のときのようだけど♡
ま、今後も楽しくなりそうよね♡

アメリアとゼルと別れて次なる場所にと向かうあたし達。
さぁてvまだまだ楽しめそうよね♡


     ~オールディズ・プライド偏終了~


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あとがき:
薫:んっふふふ!おかげさまで!
   本日2003年2月7日で!私のホムペが開設、一周年です!
   というわけで、記念すべき一周年のこの日に打ち込んだ。この小説vv

姫&エル:あたし(私)達が活躍してないじゃないぃぃぃぃ!

 薫:・・・・・げっ!(滝汗)
エル:しかも!これって、あんたがノートに書いてる。
    思いっきり、まだ一行すらも打ち込んでない!あの回のその後じゃないのよ!
 姫:・・・というより、二度目のセイルーン偏ですら・・この人・・・一行も打ち込んでないわよ・・。
 薫:あ・・・あはは(汗)
   まあ、そこはそれ。この間まで、一周年記念の。
   『白銀の瞳』あれを重点的に打ち込んでましたのでvv
 姫:・・・・あれも投稿すればいいのに・・・。
 薫:いやぁ・・あれは・・・・一応・・シリアスなので・・。
エル:・・・で?
 薫:・・あう(涙)すいません。私が全て悪いんです・・。
 姫:そうよねぇ。次に投稿する長編もまだ取り掛かってないしねぇ。
 薫:しくしくしく・・・・と・・とりあえずは!この場をお借りしまして!皆様に感謝を!
   祝!開設一周年vvわぁぁぃvv(こらまて!)
エル:まあ、そんなどうでもいいことは、おいといて。
  姫:とりあえず、この番外編。まだまだリクエスト、受付中ですv
    スペシャルの回なら、何でもよし!
    あとは、こーいうオリジの話しの設定でみたい!というのでもよし!
エル:リクエストがなかったら。とりあえず一巻分から順番にやっつけていくつもりらしいです。
    こいつは。まあ、一巻分は終わってるけどね・・。ま、そういうことで♡

エル&姫:それでは、またどこかでお会いしましょうvvv

 エル:・・・それで?とうとうリレー小説もどき・・。半年を過ぎたんだけど!?
  薫:アアああああああああああああ!!!!!(絶叫)
     すいません、すいません、ごめんなぁぁぁぁぃ!

ドッガァァァァァン!!!!!

エル:それではv
 姫:まったねvvv


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