まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ううむ…こんにちわ♪
とりあえず、ひとまず。この一件の後の本編版(まて)が終わったこともあり…
いい加減にこちらの打ち込みですv
どなた様からか(誰だったか不明)リクエストを受けてはいる九巻分。
「理由なき冤罪」編となっておりますv
ちなみに、この回…薫のオリジナルキャラの菫ちゃんがでてきます。
ちなみにSPには出てこないキャラも出てきますが…それは話の流れから(笑
それでもいいよ?という人のみどうぞ…なのですv
(本編と照らし合わせたらよくわかる…?かな?←こらまて)
ではv設定としては、エルメキアから…つまり、ミプロス島からもどってきて。
それからしばし旅をしているリナ(エル様)達一行です♡
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エル様漫遊記 ~理由なき冤罪編~
「……リナ=インバース…だな?」
男が声をかけてきたのは、あるはれた日の昼下がり。
あたしとナーガとユニットが、町のカフェ・テラスで、
優雅に午後のティー・タイムセットの早食い競争をしていたときのこと。
エルメキア帝国から沿岸諸国連合にと入り。
なぜかミプロス島以後、面白そうだから一緒に行動する♡
といってついてきているユニット。
まあ気持ちは判るけど。
年は四十過ぎ。
正確にいえば、四十に再。
ブラウンの短髪でそれなりの格好をしているが。
あたし達の周りでは、なぜか数名の人だかりが出来ており。
その後ろのほうでは店主がなぜか涙を流していたりする。
【ティー・タイムセット。ケーキ食べ放題。飲料追加別料金。銀貨五枚にて】
そう表に書かれている看板。
ゆえに、そのままこの店でケーキでも食べよう。
ということにより、ちょっとしたお遊びでケーキを一番少なく食べた者が三人分の食事代もち。
とそう決めて、優雅に食事をしているあたし達。
「そうだけど?」
あっさりいいつつ、またまたケーキを一口。
余り甘くもなく、まずくもなく。
そこそこの味。
「あ…あの~?もう在庫が切れるのですが……」
しくしく泣きながら何やら後ろのほうで店のオーナーが小さな声でいってるけど。
「ナーガさん。ナーガさんが一番少ないわよ♡」
「…あんたたち、いったいそんなにどこに入るのよっ!」
にこやかなユニットのこと場に、なぜかナーガが突っ込みを入れているけど。
あたしが只今百十二個。
ユニットがなぜか百三十個。
そして…ナーガが只今九十五個目にととりかかっているのだが。
実は、この言いだしっぺってナーガなのよねぇ♡
ケーキの数でお勘定を払う人を決める。といいだしたのは♡
ユニットになら勝てる…とおもってたらし~けど。
ふっ。
甘いわね♡
すでにもう店のケーキはあたし達で品切れ状態になっており、ナーガの負けは明白。
お皿にとっていた残りの一つを口にと運びつつ。
食後の紅茶を飲みだすあたしのすこし後ろ斜め横で、男は胸元からごそごそとある物をとりだして、
「私はルヴィナガルド王国。特別捜査官。ワイザー=フレオンだ。」
何やらルヴィナガルド王家の紋章の刻印が入ったペンダントをかざして言ってくるけど。
ルヴィナガルド王国。
はっきりいってこういう国がある、というのはこの地に住まう存在達にすら余り知られていない。
湾岸諸国連合に名を連ねている小国の内の一つで、
国とはいうものの、領土ははっきりいってこの地でいう一般的な地方領主程度。
というか、かなりの狭さ。
特徴を無理やりに挙げるとすれば、船の材料になるルヴィナ杉の名産地…という。
はっきりいって印象が薄すぎる国。
ゆえにこの国の名前は、はっきりいって知っている人は知っているけども。
『あ~。そういば。沿岸諸国連合の一つにそういうのもあったっけ?』
という知名度だったりする。
あたし達がここに来たのも表向きには、
【やたらと印象が薄い国が近くにあるし。ついでによってみましょう。】
というもの。
本来の目的は実は別にあったりするんだけど。
「おまえたちがこの町に来た。というのは魔道士協会を通してきいた。」
胸元にペンダントをしまいこみながら、わざと周りにいる応援団…もとい、野次馬たちにも聞こえよがしに。
「リナ=インバース。
そんな彼の言葉にしばし沈黙し、そして。
「何ですってぇ~!?ちょっと!?あなた!何なのよ!?その【幼児誘拐】っていうのはっ!」
面白いことにワイザーの言葉に、ナーガが何やら抗議の声を出してるけど。
「ふっ!とぼけても無駄なことっ!
ここ最近のルヴィナガルド各地で起こった連続幼児誘拐事件っ!その容疑にきまっておろうっ!」
そういえば、ワイザーはナーガのこと、一応知らないふりをしてるのよね~。
それくらいしか出てこないし。
そんなことをいいつつも、ちらり、と店の端にと目をやり、そして。
「私の勘がそう告げているっ!おまえ達が犯人だ…とっ!」
「あのねぇ~!ちょっとリナ!何かいってよっ!」
何やらナーガが叫んでるけど。
「あ。ナーガさんの負けね♡ってことでここの勘定はナーガさん持ちね♡」
「そうね♡」
「ちょっと!リナ!スミレちゃんっ!そういう時じゃあっ!」
面白いまでにナーガがうろたえてるけど。
「何もいわんとはっ!やはりそうかっ!
それに次なる犠牲者を連れていることからもおまえたちが犯人なのは明白っ!
大人しく罪を認めるがいいっ!」
何やらワイザーは言ってるけど。
次の犠牲者…って……
なぜかそんなことを思いつつ、あたしを除く全員の視線がユニットにと注がれる。
今日のユニットの服は、薄ピンクのひらひらレース付き、フリル付き。
リボンも合わせてひらひらの赤いやつにかえているけども。
か~なりかわいいわよね♡
この格好♡
「ま。それはともかく♡アレがいるから乗ってあげるけど♪何だってあたしたち…なわけ?」
くすっ。
ちらっと視線を店の隅にいる人物にと向け、にこやかにと問いかけるあたしの言葉に。
…こちらが利用しようとしているのが…わかっているのか?
などとそんなことを思いつつ。
「私が怪しい、と思ったものはみんな犯人だっ!」
「あのねぇ!…ふっ。話にならないわ。いきましょ。リナ。スミレちゃん。」
いって立ち上がり、席を外そうとするナーガに。
「ナーガさん♡お勘定♡」
にっこりといっているユニット。
「ちょっと!今はそれどころじゃないでしょ!?」
もしこんなことがお父様の耳に入ったら…とナーガが一瞬そんなことを思ってるけど。
実は、ワイザーは自力で調べて、ナーガが【誰】なのか。
そして、あたしがルナの【妹】っていうのも調査済みなのよねぇ。
あたしに関してはそこまでしかわかってないようだけど♡
だからこそ、革新的にあたし達にこうしてコンタクトをわざとらしく取ってきてるんだし。
「あら。ナーガ。負けた人がここの代金を持つんでしょ?昨日の盗賊からの収入があるし♪」
「そうそう♡」
「そんなことをしてたら、私たち犯人にされちゃうわよっ!?というかっ!あなたっ!
この
「ふっ。確たる証拠があれば、とっくに捕まえているっ!
しかしっ!様々な証拠はおまえたちが犯人と告げているっ!」
「どういう証拠よっ!」
「その美少女も被害にあわすつもりだろうがっ今の会話からして。
『おごるから。』とかいって連れ歩いているに違いないっ!そんなか弱き小さな女の子を!」
いってユニットをビシっと指差しつつ言っているワイザー。
今日のユニットのこの格好って、面白いことに見た目どうみても。
七歳か八歳そこら…にしか見えなかったりするのよね~。
人間ってすぐに見た目にだまされるんだから、本当に面白いわ♡
「きゃ~♡『かわいい♡』だなんてそんな本当のことを♡」
きゃっきゃと何やら楽しんでいっているユニットだし。
「…ユニット。楽しんでるわね?」
「あら?リナだってわかっているからこそここにきたくせに♡」
「まあね♡」
そんな会話をしているあたし達の前で。
「お~ほっほっほ!語るに落ちたわねっ!つまり『何の根拠もない。』ということじゃないのよっ!
お~ほっほっほっ!ということで、リナ。誤解をといておいたから勘定はリナ持ちね。」
そんなことをいってくるけど。
今のあたしとユニットの会話はどうやら耳にはいってないようだし♡
「あら。別にあたしは誤解をといてくれ。なんていってないし♪」
「リナちゃん…冷たい……」
そんなあたしとナーガの会話をききつつも
「ふっ!この後に及んであくまでもシラをきる気か!?
いいだろう!自らの行った数々の悪事とその状況。忘れたというならば思い出させてやろうっ!」
いいつつ、懐から紙をとりだし。
「今からおよそ一ヶ月前。メテルト村のトム君五歳が行方不明になったとき。
近くの麦畑でみっかったのは、レッサーデーモンのものとおぼしき巨大な足跡!
さらには数日後。ファリト村のジェニーちゃん三歳が行方不明になったとき。
村に面した湖で何か巨大な生物が水面から首を出しているのが目撃され
時を同じくして、ルマフィック村のボブさんが五歳になる自分の息子リック君をつれて、
日暮れの道を荷馬車にのって移動していると、いきなり夜空にオレンジ色の光があらわれ。
光に目がくらんだと思ったら、リック君の姿は消えていた!
これら全て面妖、としかいいようがないっ!
よって、リナ=インバースと
そういうワイザーの言葉に。
「ちょっと!リナはともかくとして私にはそんな真似できないわよっ!」
「え~?ナーガさんの場合は『人徳』でいろいろできると思うなぁ。私。」
「お~ほっほっほ!褒めてくれてありがとう。スミレちゃん。ともかくっ!この私は無関係よっ!」
「ふっ。犯人はたいがい、そういうものだ。」
「それより。ナーガ。お勘定♡」
そんなあたしたちの声に。
「ちょっとっ!今はそれどころじゃっ!」
何かナーガが言いかけているけど、とりあえず…っと。
「さってと。ナーガをからかうのはこのくらいにしておいて♡監視役の人間は外にでていったし♡
素直にこの一件に関して協力してくれ。っていうんなら、考えてもいいわよ♡ワイザー♡」
ワイザーを監視していた人物が外に出たのを確認し、にこやかにと話しかけるあたしの言葉に。
「…な…何を!?」
「あ♡ワイザーさんがうろたえてる♡まあ、監視がついてたしねぇ♡」
「でも、今は外に出て行ったみたいだし。
どうしてもこの一件、『解決したい。』っていうんだったら、協力してあげてもいいけど♡」
あからさまに動揺しているワイザーはひとまず置いとくとして。
「あ。ナーガさん♡このまま犯人扱いをされているフリをしていたら。
この国にいる間、その滞在期間中のお金は全部ワイザーさんが出してくれるって♡
真実の犯人を追い詰めて捕まえるまでは♡」
「なっ!?お…おいっ!」
「ふっ。お~ほっほっほっ!わかったわっ!そういうことなら!
つまり、犯人扱いされているフリをすればいいのねっ!」
ガタッ!
あ、ワイザーがこけかけてる♡
「…いやあの……」
くすっ。
「だ・か・ら♡あたし達を利用して計画を握りつぶす。っていうんだったら。
それくらいの誠意はみせてよね♡ワイザー♡それとも何?本当にあたし達を敵に回す?」
にっこりと微笑みかけるあたしの言葉に。
……まさか全てお見通し!?
などと戸惑いまくっているワイザー。
「あら♡当然じゃない♡わかってていってるのよ♡」
そんなあたしの言葉に。
「うなっ!?ひ…人の心を!?…あの噂の数々って……」
何か面白いまでに戸惑っているワイザーはひとまず無視し。
「さって。話がついたところで♡」
にっこりとユニットがいうと同時。
…いや、私は何も言っていないが……
ワイザーがそんなことを心で思う間もなく。
『きゃぁぁぁぁっ!!!』
店の外から聞こえてくる女性の悲鳴。
「ってことで♡ここの勘定はワイザー持ちね。あたし達はおどらされているフリしとくから♪」
「あら、何かしら。いってみましょ♡」
なぜか呆然としているワイザーをそのままに、軽くテーブルの上を一瞥し。
外にでてゆくあたしとユニット。
そして外にでつつ。
「ナーガ。犯人扱いをされているフリ。忘れないようにね♡お財布が逃げるわよ♡」
「お~ほっほっほっ!任せといて!」
全ての勘定がワイザー持ち、というので先ほど犯人扱いを受けたことをすっかり忘れ去り、
おごってもらうために、ワイザーに踊らされているフリをすることを決めているナーガ。
ま、ナーガは素でも問題ないけど、『おごってもらえる』という言葉があったほうが。
相手にもナーガのミスで気づかれなくてすむし♡
一人呆然と鳥の記されたワイザーに、
「…ワイザー…これ……」
先ほどあたし達の勝負を見ていたうちの一人が声をかける。
ちなみに机の上には簡単に水で文章がつづられていたりする。
それは時間とともにくずれ、水は蒸発し何ごともなかったかのように普通の机に戻ってゆく。
しばし、二人はそんな机の文字をみて顔を見合わせつつも。
…だがしかし、こうでもしないと助けられない…というのは明白。
どうして知ったのか、どこまで知っているのか判らない…が。
そんなことを心で互いに思いつつも、
ともあれ…計画通りに勧めるしか…ない。
そう思い立ち、ひとまず代金を支払い外にと出てゆくワイザーと。
そしてすこし送れて猛一人の男もまた店の外にと出てゆく光景が見受けられていたりする。
くすっ。
これを知っててあたし…ここに実は来たのよね♪
「ねえねえ。あのぉ?何かあったんですか?」
その辺りにいる通行人を捕まえて話しかけているユニット。
相手は一瞬、ユニットのかわいさに、ぼ~となるものの、すぐにはっと我にと戻り。
「何かまた子供がさわられたって誰かがいっていたんだが……」
何やらそんな答えを返してくる。
「何!?私は王国
店からでてて問いかけるワイザーの言葉に、その彼の肩書きに別の通行人が、
「湖のほうですっ!」
などと何かいってるけど。
見れば、当人たちからすれば気づかれていないつもりらしいけど。
露骨に怪しいワイザーの監視役の人間も人ごみにまぎれているけど。
野次馬たちと同じく、湖のほうにと、ワイザーともども駆け出してゆく。
「って!なぜ私がおまえたちの勘定を払わなければならんのだ!?」
何やら走りつつ、文句を言ってくるワイザーだけど。
「お~ほっほっほっ!人を犯人扱いしたお詫びでしょうがっ!」
「あのなっ!」
「あ♡あれ♡」
ワイザーの言葉をさえぎり、ユニットが息も乱さず上空を指し示す。
といっても、あたしもナーガも、ついでにワイザーも息一つ乱してないけれど。
みれば上空に飛んでいる黒い影一つ。
「なっ!?何でんなものがいるのよっ!?」
「あら~。レッサーデーモナねぇ。しっかもかなり下級の下級のやつね。あれ。」
「どうせならもっとましなヤツを憑依されればいいのにねぇ♡」
そんなほのぼのとしたあたしとユニットの会話に。
「……下級って…やはりおまえたちがアレを操っているのだろうっ!?
捜査官と対面しているときに別のモノを使って事件を起こし、
そちらに目をそらせようとするっ!ありがちな手だなっ!」
なにやらいいかけようとするワイザーだが、
斜め横を走ってきている野次馬のフリをしている監視役の人間に気づき、そんなことをいってくるけど。
「お~ほっほっほっ!そんなことするはずないじゃないっ!
それにっ!リナだったらそんな小細工を使わなくても人を消すくらいどうってことなくてよっ!絶対にっ!」
「ナーガさん♡それ、褒めてるの?」
「お~ほっほっほっ!深くつっこまないで……」
ユニットの突っ込みに高笑いしつつも、消え入りそうな声になっているナーガ。
そりゃ簡単だけどね。そんなことは♡
そんな会話をしつつも、空を飛ぶレッサーデーモンもどきを追いかけて、
やがて他の野次馬として付いてきている人間達と友に、あたし達は湖のそばへとたどり着く。
湖の中央にはちょっとした霧が立ち込め、そこにあるモノを覆い隠していたりする。
おもいっきり魔力によって霧が生み出されているって丸判りだけど。
「子供がっ!」
「誰かっ!あのデーモンをっ!」
「子供が巻き込まれたらどうするのよっ!」
「誰かっ!子供を助けてくれたらお礼をするわっ!」
何やら集まっている人々がそんな会話をしてるけど。
「お~ほっほっほっ!この
子供の両親の声を小耳に挟み、ナーガはふぁさり、と髪をかきあげて。
そういいつつも、カオスワーズをつむぎだしているナーガ。
「ねぇねぇ。リナ。私がいってもい~い?」
目をきらきらとさせてあたしに聞いてくるユニットだけど。
「いいわよ。」
「わ~い♡」
ふいっ。
あたしの返事をうけて、ユニットがその場から姿を掻き消すと同時。
『な゛っ!?』
それをみてなぜか驚きの声を上げているものたちと、
そしてまた、それと同時に完成した術を解き放つナーガの姿をみて声を上げる人々の声が一致する。
「
ガーヴの能力を借りた黒魔法。
一応効果は些細だけど多少あったりする。
ほんとうに微々たるものだけど。
あたしからすれば効果ともいえない分野だけど。
ともあれ、ナーガのさした手の平から伸びた赤い光が、
空中のレッサーデーモンに向かってまっすぐに突き進み。
そしてその光がレッサーデーモンに直撃するその直前。
「やっほ~♪」
びくうっ!
・・・
「でぇぇいっ!仮にも魔族が驚くんじゃないわよっ!」
思わずその光景をみ、素直な感想がもれてしまう。
子供を運んでいたレッサーデーモンもどきは、いきなり目の前にと出現したユニットに驚いて、
一瞬空中でびくり、と震えて止まってるし……
さらには何か驚いていたりもするし……
まったくもって一応魔族ともあろうものが情けないっ!
羽ばたきを止めるとほぼ同時。
ナーガの放った術がそれを直撃し、
「…がっ!?」
何か短い悲鳴を上げて死んでるけど……姿はそのまま無と化していっていたりする。
「…いくら下っ端とはいえ…情けないったら……」
あたしのつぶやきと、
「はい。保護完了♡」
すとっ。
ユニットがレッサーデーモンもどきの手から零れ落ちた子供を受け止めたのはまったく同時。
にこやかに、何やら空中でそんなことをいっているユニットだけど。
ちなみに、当然何の力も使うことなく浮いているので、風などの抵抗…というのもまったくない。
呆気にとられている人々の目前で、ふいっとユニットと子供の姿が湖の上から掻き消え。
そして。
「はい♡到着♡」
『……うわっ!?』
湖の上空から掻き消えると同時。
あたしの横に出現したユニットと子供をみてなぜか本気で驚いているこの場にいる人間達。
子供のほうはといえば、何が起こったのか理解できずに、目をぱちくりとさせているけども。
「お~ほっほっほっ!このナーガ様にかかればこんなものよっ!さあ!子供は助けたわよっ!」
そんなナーガの高笑いにはっと我にと戻り。
「てめぇ~!なんつ~危ないことをっ!」
「子供が巻き添えになったらどうするつもりだったのよ~!」
「わ~ん。おか~さん、こわかったよ~!」
「おひぃぃ!!??」
面白いまでに子供の両親にタコ殴りにされているナーガに、そしてまた泣き喚いている子供。
そして。
「…いや、今の…どうやったの?」
「すごい速さだねぇ。」
「まだ小さいのに呪文が仕えるの?お嬢ちゃん。」
わいわい、がやがやと何やらあたし達…というか、ユニットの周りに出来ている人だかり。
ふりふり、ふわふわの服を着た美少女が、小さな子供を抱きかかえている…ある意味、絵になるけどねぇ。
「それはそうと♪湖って調べたのかしら?とりあえず、納得してもらうためにも、
こっちはかってに真犯人を追い詰めるから♪」
ちらり、と野次馬の中にいるワイザーを監視している国王配下の存在の姿を垣間見て、
にこやかにわざとそんな彼らにも聞こえるようにワイザーにと話しかける。
【話はあわせてね♪で、あたしたちに奢る、という件をお忘れなく♪】
ぱしっ。
とりあえず、ワイザーと、実はもう一人ほどいるワイザーの協力者の脳裏に直接言葉を送り込む。
何かたかがその程度のことで驚いてるワイザーたちだけど。
とりあえず、
「…し、真犯人…だと!?どうせそんなことをいって逃げるのだろうがっ!そうはさせんぞ!
だがその茶番、つきあってやろうっ!そのうち尻尾をだすだろうしなっ!」
何か多少声を振るわせつつ、ワイザーがとある場所をみつつも視線をそらしながら言ってくる。
どうやら、了解したみたいね♪
話をあわせる…というので意見もまとまったことでv
「そういえば。何かこの湖の周りに面した村々で行方不明者がでているんですって?」
にっこりと、自分の周りにタムロしている野次馬たちに笑みを浮かべてわかりきったことを聞いているユニット。
その笑みに周囲の人々は、一瞬惚けつつも、
「よくわからないけど。そうらしいよ。
君もはやくこんなところにいないで、両親のところに戻ったほうがいいよ?」
野次馬の中の一人の人間の言葉に。
「…両親…なんていませんけど?」
「馬鹿っ!」
「てめぇっ!こんないたいけな子供に聞いちゃならねぇことをっ!」
あ~らら♪
完全に彼ら、遊ばれてるわv
すこし寂しそうな表情をつくり、うつむき…といっても、うつむいて忍び笑いをしているけど……
そんなユニットの姿をみて、何やら野次馬たちはといえば面白いことになっているようだけど。
どうも泣いてる…と勘違いしてるようなのよねぇ。
ほんと、人間って面白いわ♪
「まさかあんたっ!あの子を親元から誘拐してきているんじゃないでしょうねっ!」
「違うってばっ!」
こちらはこちらで、そんな会話を小耳に挟んだナーガを袋だたきにしていた、
連れさらわれそうになっていた男の子の両親が、ナーガを攻め立てていたりするけども。
というか、あたしにもユニットにも【両親】なんて元々いないんだけどねぇ。
仮にそういうようにしていたりする存在は、その時々の暇つぶし…もとい、
状況によって変わってくるけど。
例えば、今あたしがインバース夫妻の娘、という形式上でいえばしている。
ということとか…ね♪
そんなほのぼのとした会話をしつつも。
何事もなくしばしの時間はすぎてゆく。
実は、この湖に関してはこの国の上のほうから。
『国家機密。人に聞かれても応えるな。応えた場合は反逆罪として処刑する。』
そんなお達しが湖近辺の村には内密に出されているがゆえに、誰も手出しができていない。
というこの状況。
まったく…そういうおふれを出すこと自体、
【何かここで国がらみでやってます。】といってるようなものでしょうにね♪
あからさまに誰の目からみても怪しい湖。
湖のことを詳しく調べれば国がらみで何かしている。
というのは赤ん坊でもわかる事実。
湖の周辺にはいくつかの村や町がほんの数十個弱存在しており、
そのほとんどの村や町で被害が起こっている。
唯一、あからさまに何もおきていない村が一つ。
はっきりいって、そこを拠点にしています…といっているようなモノ。
湖のすぐそばにある小さな村。
家もほんの十数棟。
という何とも小さな場所。
湖の中央には、常に霧が立ち込めており、あからさまに怪しさ丸出し。
町の人々がいうには、湖の真ん中には小さい島があり、
霧がかかって猟師たちが遠出をしなくなったのは約半年くらい前から。
湖に定期的に出ている船を知っているか。
との問いには、町の人たちは『よく知らない。』との返答。
対して、湖の周辺の猟師たち曰く。
『知らない。何もしらない。絶対知らない。』の一点ばり。
「何かあるぞっ!って言っているようなものよね~。」
「そうね~。」
優雅にテーブルにつき紅茶を一口。
「……いやあの…というか……」
何か横ではじと汗流しつつ、固まっているワイザーの姿。
「お~ほっほっほっ!しかし。リナが一緒だと野宿も楽ねっ!家だせるしっ!」
「普通できますよ?ナーガさん♡」
「……いや……できんとおもうぞ?」
この近くには、泊まるような宿もないので、湖のふもと近くに、
ちょっとした、いつも野宿となったときに使う小さな家もどきを出現させて、その中で夕食をとっているあたし達。
ナーガは幾度か見慣れているのでもう余り動じることはなくなっているけども。
ワイザーのほうはといえば、完全になぜか怯えていたりする
「あら。誰でもできるってば。物質を収縮させて簡単に持ち運んだりするのは♡」
「―――・・・・・・・・・」
ぽつり、とつぶやくワイザーに、にこやかに話しかけるとなぜか無言と成り果てていたりする。
そういえば、外にいる連中も何やら唖然となっているようだけど。
別にどうってことはないのにね♪
「それはそうと。外の人間達にトラップは教えなくていいの?」
こくこくと、ホットミルクを飲みつつも、あたしに聞いてくるユニットに対し。
「別に教えなくても問題ないでしょ♪」
「それもそ~ね。」
「?リナ?そのトラップ…って何よ?スミレちゃんも?」
未だに無言のままで、何やら固まっているワイザーとは対照的に、
ナーガがワイングラスをもって問いかけてくる。
「え?ああ。ただこの『家』に攻撃呪文とかでも放とうものなら。
その術者の体内に入り込んで内部からその肉体を溶かしていって食べるだけのことよ。」
「生き物の心拍数に反応するらから【嘘等をついて動揺などしたりしたら、さらに活性化する。】
という性質をもっているそれが入り込む。ただそれだけのことなんですけどね。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・』
あたしとユニットの説明になぜか無言となっているナーガとワイザー。
…いや、
などとナーガは思っているけど。
「あら?魔族だけじゃないのよ?あっちに生息している生命体って♪」
「ちょっと!リナ!何度もいうけど、かってに人の心の中を読まないでよっ!」
「……いや…【心の中を読む】って……」
そんなあたしとナーガのやりとりに、何やらぽつり、とつぶやくワイザー。
「と…ともかく。私は外にいる……」
女の子三人の中に男が一人…しかも泊まる…というわけにはいかないし。
……それに……
などと思いつつも、何やらふらふらと外にでてゆくワイザーの姿が見受けられていたりする。
とりあえず♪
今晩にでも当人たち以外…つまり彼ら以外の全員に、彼らのやり取りの夢でもみせておきますか♡
く~す~ぴ~……
ナーガは布団の中で爆睡中。
ちゅごごぉぉん!
予想通り…とはいうものの、あたし達がいる建物の外より聞こえるちょっとした音。
「…なっ!?…ぐっ!馬鹿な!?」
「うぎゃぁぁ~!!」
何かそれと同時に短くしたとある声と叫び声が静かな真夜中の空にと響き渡っていたりする。
何やら面白いまでに顔を隠した数名の男たちがそれをみて驚いていたりするけど。
くすっ。
「…馬鹿も何も。普通みれば判るでしょうに♪」
「そうそう。あの家にちょっとした仕掛けがしてあることくらい…ねぇ♡」
そんな男たちの上空…つまり、正確にいえば生い茂っている木々の上。
そこから、そんな男たちにと話しかけているあたしとユニット。
というか…本当にみただけでちょっぴし空間操作がされている…ということくらい判りなさいよね……
それも魔力に関してのみの、魔力干渉による空間操作なんだし……
「というか。自分の放った術で黒焦げになっている、そこの人の人の手当をしなくてもいいのかしら?」
くすくすと、笑いつつ足をぶらぶらさせて、木の枝に座って下を見下ろし言っているユニット。
情けないことに、あたし達がいる【建物】に向かって
とある空間干渉が施されている……
というのすらにも気づかずに、自らの術をそのままわが身にと受けている襲撃者。
そんな姿が眼下に見えていたりする。
くすっ。
「…しっかし。ベルギスもほんと、考えがないわよねぇ。たかが四人程度を差し向けるなんて。」
「「なっ!!??」」
あたしの投げかけた言葉に、面白いまでに動揺を見せる男たち。
そもそもわざと、あたし達は『目立つように聞き込みをしていた。』
ということすら、こいつらは気づいてなかったようだしねぇ。
わざと目立てば、おのずから獲物は向こうからやってくるし。
そう、今のように。
「とりあえず♪見張り役と連絡係の人は凍っちゃったわよ?」
あたし達の眼下にいるのは三人。
一人は何やら黒焦げと成り果て、一人は動揺を隠し切れず。
さらに残りの一人は何やら叫びながら地面をのたうちまわっていたりする。
何か内部からとある【虫】がその人間を溶かして食べ始めているようだけど。
別に問題ないし♪
見張り役と連絡係をかねていた残りの一人はといえば、すこし離れた場所にいたものの。
なぜかあっさりと凍りついていたりする。
なので、ちょうどいいので湖の中にといるとある生物のご飯代わりに投げ込んでみたりしてるけど。
「あ。逃げられないわよ♡」
くすっ。
『い…いつの間に?!』
その場から動けないことに今さらながらにようやく気づき叫んでいる二人の黒尽くめの男たち。
たかが、月明かりを利用して、人で言うところの
「正直に、素直にいわないと、あなたたちもそこのミゼットさんみたいに体が溶けちゃうわよ?」
みれば情けないことに、体の中から手足が半分ほど溶かされて、のたうちまわっている黒尽くめの男が一人。
そんな彼の姿が、彼らの視界に映りこむ。
「さ~て。生き証人もゲットしたし。共和国連合
とりあえずこの二人を連れて戻って議会に差し出してもい~わよ♪」
「……なっ!?」
何やら男たちがあたしの言葉に叫ぶけど。
「はい♪捕獲♪」
パチン♪
軽く指を鳴らすと同時に、男たちの頭上に水晶が出現し、彼らを水晶の中にと閉じ込める。
それと同時に、がさり…と音がし。
「…な、…なんで私のことを……」
いいつつ出てくる一見したところ、どこにでもいる村人その一のような格好をしている一人の男性。
そして、その後ろには。
「……いやあの……今何をしたんだ?」
なぜか呆然とあたしに聞いてくるワイザーの姿が。
くすっ。
「何でって。あたし達がこの国に入ったとき。あの店で食べ放題をやっている。って。
わざと情報をあたし達にくれたじゃない♪ワイザーがあたし達と接触しやすいように♡」
この国、ルヴィナガルド王国にと入り、これみよがしに行商人のふりをして。
とある店の食べほうだいの情報を教えてきたのが、他でもないこのライド。
ちなみに沿岸諸国連合のいくつかの国々で発足させている『共同議会』における、
【
この沿岸諸国連合そのものが、小さな国々などが集まって一まとめに見られることもあり。
かといって小さな国などにおいては、もし万が一、
大きな犯罪や、また国としては動けない状況下などに置かれたときのために、
それぞれ代表国が代表者を選び、治安にあたっていたりする…という現実がある。
このライドもそんなメンバーの中の捜査官…という立場の人間。
ちなみに、ワイザーとはすこし前の事件で顔見知りだったりもする人物。
一年前、ルヴィナガルドはその連合代表委員会から一方的に抜け出して、
そしてこのたびの計画を実行に移していたりするんだけど。
いきなりの脱退を不審に思い、ワイザーも。
そしてまた、このライドも内密に内情を調べていたからねぇ。
というか、本当、この国の国王のベルギスってどこかが抜けてるわよねぇ~。
「常に私たちの近くにいて、近衛団の人たちの動きをライドさんは探っていたじゃないですか♡」
「ナーガは気づいてなかったようだけどね。」
くすっ。
交互にいいつ、思わず笑みをこぼすユニットとあたしの台詞に。
『・・・・・・・・・・・・・・・』
なぜか無言と成り果て、その場に固まっているワイザーとライド。
…初めから、もしかして、もしかしなくても…よまれてたのか?
などと思いつつ、何やら互いに冷や汗を流していたりするけども。
「あら。だから。そういってるじゃないのよ。初めから♡とりあえず、もう夜も遅いし♪
明日の朝一番で、小島の塔にいくつもりだし。ということで後は任せるわ♡」
「そうね。今からいってもいいけど、もう暗いしね♡」
本当は暗さなどは関係ないけど。
なぜか固まる二人をそのままに、ひとまず【建物】の中にと入ってゆくあたしとユニット。
後には。
「……さすがというか…初めからお見通し…って訳か……」
なぜか脂汗を流しつつ、つぶやいているワイザーに。
「……ま、まあ。あのリナ=インバース殿は。あの
あたし達から手渡された黒尽くめたちの入った水晶を眺めつつも何やらつぶやいているライド。
くすっ。
さって。
明日は明日で面白くなりそうね♪
次の日の翌朝。
日も昇っていない朝もやがかかるそんな中。
湖のほとりを歩いているあたし達。
「…それはそうと……こんな時間から船はどうするんですか?」
なぜかデスマス口調となっているワイザー。
「まあ。この時間だとまだなぜか、誰も起きてないしねぇ。」
くすっ。
というか、実は今。
この国を中心とした諸国を含めて、昨夜のうちに面白い出来事が起こっていたりするのよね。
それも国民といわず、全体的に。
それでなぜか騒ぎになっているところはなっていたりするし。
まあ、それはそれとして。
「ねぇねぇ?リナ、船どうする?つくる?」
ちょこん、と首をかしげて言ってくるユニットの言葉に。
「そねぇ。」
いって、ふいっと湖に向かって手をかざす。
と。
ざっ!!
水が瞬く間にと空中にとせり上がり、それは一つの塊となり。
それはやがて一つの固体と成してゆく。
見た目、【透き通った船】の出来上がり♪
ちなみに材料は水で出来ていても、別に乗っても濡れたりする心配は皆無。
「さ♡いきましょ♡」
「ふっ。ま、リナだし。…というか、これ、一種の水の術…よね?のっても平気?」
ふぁさっと髪を書き上げ、問いかけてくるナーガに対し。
「……いや、突っ込むところが違う気が……」
何やらうなっているワイザー。
ちなみに、昨夜のうちにライドは証人入りの水晶を持って、一度戻っていたりするけど。
別にナーガには説明する必要もないので彼のことなどは説明してないけども。
「あら♡ワイザーさんはのらないんですか?まあ別にいいですけど。
子供たちがどんな目にあっていてもいいのなら♡」
何やら固まっているワイザーに、にこやかに話しかけているユニット。
というか、【ここ】にいる子供たちはまた、【実験体】にされる前の子供たちだからねぇ。
実験施設は、城の近くのとある設備にいくつか分かれてあったりするんだし♪
「…うっ!…わ、わかった。」
何よりもこの半年で行方不明となった子供たちの保護が何よりも最優先。
そう自分に言い聞かし、何やらうめくようにいってくるワイザーの姿が。
とりあえず、あたしたち全員。
水の船にのって湖の上を移動してゆく。
タプン……
水面上を滑るように、あたし達四人ののた【水の船】は進んでゆく。
もやの中からは、水面をはねる水の音。
「なるほどね。水の精霊にも干渉して、水面の上を滑るように勧める。
さっすが私の生涯最大のライバルねっ!リナ=インバース!
なぜか船の先端に立ち尽くし、無意味なまでに胸をそり、高笑いを上げていっているナーガ。
「あ。ナーガ♡そんなところにつったっていたら……♡」
「クラーケンにつかまりますよ♡」
そんなナーガに、にこやかにあたしとユニットがいうと同時。
ビュルッ!
ばっちゃぁぁ~~んっ!!
水面から伸びてきた白っぽい触手が高笑いしているナーガの体を絡めとり、
そして、そのまま湖の中にとひっぱりこんでるし♡
それと同時。
「のきゃぁぁ~~!?」
「何だぁ!?これはっ!?」
ナーガとワイザーの声が、霧のかかる水面にとこどまする。
みれば水面から出てきたタコとイカを足したよう触手に絡め取られているナーガの姿が。
「クラーケンか!?」
それをみて、ワイザーが恐怖と驚愕の混じった声を何やら上げているけど。
どうしてこの程度の生き物が出てきたくらいで驚かないといけないのかしらねぇ~……
一般では、なぜかその巨体…ともいえない、些細な大きさの体が生み出す破壊力が恐ろしい。
といわれている、何ともポビュラーな生き物。
主に湖や海に基本的には生息していたりする。
ちょっとした小さな船などは、なぜか攻撃…ともいえないモノをうけただけで、いともあさりと転覆。
もしくは転覆したりする。といわれていたりする。
最も、このクラーケンも実験の過程で生み出された生き物だけど。
触手は大きくしなり、ぺいっ…とナーガをこちらにむかって投げはなってくるけど。
「あ♡どうやらナーガさんをこれにぶつけて船ごと沈めるつもりみたい♡」
「みたいね~♡」
「って!!あんたらっ!何をのんきなっ!!」
のんびりという、ユニットとあたしの声に、なぜか抗議の声を上げてくるワイザー。
「あら♡平気だってば♡」
あたしの言葉が言い終わるよりも早く。
ばちっ!!
「んきぁぁ~~!!」
叩きつけられそうになっていたナーガが、船の上空にてはじかれ、
その反動で反対側にと弾き飛ばされてゆく。
「あら~。風の気流が取り巻いているの…気づいてなかったのねぇ。」
「ま。ナーガさんだし。」
そんなあたしたちの会話に。
「……いや、【風の気流】って……それに、あの人も仲間なんじゃあ……」
ワイザーがなぜか飛んでゆくナーガをみつつ、冷や汗流していってくるけど。
「それより。次がくるわよ♡」
あたしの言葉と同時。
ざばざばぁぁ!!
船を取り囲むようにして出てくる触手が十数本。
それらが正確にいうならば十六体ほど、船を取り囲むようにして出現していたりする。
「うわっ!?こんなのが湖にこんなにっ!?地元の猟師たちが困るではないかっ!」
何かワイザーが叫んでるけど。
「ねえねえ♡リナ♡あそんでいい?いい?」
わくわく。
うずうず。
目をきらきらさせて、両手を組んであたしに言ってきているユニット。
う~ん……ま、いっか♡
「湖を蒸発。もとい消滅させない程度にね♡再生するのも馬鹿らしいから。」
「うんっ!」
ふわっ。
あたしの言葉をうけて、ふわっとユニットが上空にと浮かび。
そして。
ふわり、と水面上にと着地する。
水面上にと立っている状態のユニットをみて。
「…なっ!?お…おいっ!?」
ワイザーが言いかけるのと同時。
「じゃ、私はちょっとこれで遊ぶ…もとい、お掃除しておくから。リナ達は先にいってて♡」
そんなことを言っているユニットにむけて、クラーケンたちが触手を伸ばしてくる…が。
バシュッ。
ユニットに届く前に、触手はことごとく無と化してゆく。
元々、ユニットは、たしかに、ここに【いる】ようにはみえてても、
その意識が実体化しているだけであって。
本来は、ユニットは別の世界の存在だしねぇ。
あたしの世界だし……ここ……
ゆえに、傷とかなどは当然、つけられるはずもなく。
って元々傷とかって、実はあたしたちはわざとそのように自分自身でそのように見せかけるだけだし。
「じゃあ、あたしたちはいきましょ♡」
そんなあたしの言葉に。
「…お、おいっ!あんな子供を一人のこしていくのか!?」
何やらワイザーが叫んでくるけど。
「じゃぁ、ワイザーは、あれに巻き込まれたい?」
にっこりいって、視線で指し示したその先には。
きゃ~きゃ~いいつつも、細い槍状にした雷を、自分の周囲に降り注がせて遊んでいるユニットの姿が。
「………。さあっ!先を急ごうっ!」
その光景を目の当たりにし、なぜか額からつうっ…と汗を流しつつ。
いって、びしっと小島のほうを指差すワイザー。
とりあえず、ユニットをその場にのこし、あたしたちは小島にと向かってゆく。
そのまま船をすすめていき、そしてあと少しで小島に差し掛かる…というそんな中。
ざばぁぁ!
行く手の水面が音とともに盛り上がる。
「…なっ!?クラーケンが浮かんでくる!?」
水面の盛り上がりと共に出てくる数本の触手。
それをみてワイザーが何か叫んでるけど。
「あら♡ワイザー。これクラーケンでなくて
るぐぉぉ!!
あたしの訂正の声とともに、水面より姿を現すそれ。
くねくねと波打つ蛇の胴体の半ばから触手が数十本、うぢょうぢょとうごめき。
その背にはなぜか羽がついていたりする。
「…な、何だぁ!?」
何やらまたまたそれをみて叫んでいるワイザー。
背後のほうでは、未だに何かが直撃し、湖の上空…といわず、湖の中のほうまでにぎやかだけど。
「あらどうみても
実験の一つとして、あいつら、こんなものも作ってるしねぇ。
ちなみに、余談だけど、
あの人物に
「…なっ!?とと…わっ!?」
ばさっ!
と翼ゃ広げて上空にと飛び上がろうとしている海蛇竜もどき。
ワイザーがとぶのか!?と言いかけるよりも早く。
「
ざしゅっ!
まさに一撃。
水面から吹き上がった水は一枚のちょっとした鋭利な刃と化し、あっさりそれを両断する。
ずぶぶ…
それをうけ、しずみゆく海蛇竜もどきの体が立てる波音をかき分けるようにと響いてくるのは。
「お~ほっほっほっ!たかが
この白蛇のナーガ様に手を出すからこういうことになるのよっ!
せいぜいあの世で後悔することねっ!」
みれば両手を腰の横にあて、水の上に立っているように見えるナーガの姿が。
「…い…いや……水の上に?」
何やらそれをみて驚きの声を上げるワイザーに。
「お~ほっほっほっ!知れたことよっ!船をとりまいていた風の結界にはじかれて。
あわや溺れる、というそのときに通りすがりの大ミズクラゲに助けられたのよっ!
スミレちゃんがいる方向に飛ばされなくて本当に助かったけどねっ!」
いいつつも、なぜかその額に一筋の汗を流しているナーガ。
「……クラゲ?」
そんなナーガの声に思わずナーガの足元を見ているワイザー。
ナーガの立っている足のし他には半透明の生物がふよふよと浮いていたりする。
「ふっ。まあこれも私の人徳といったところかしらね。」
いって無意味に胸をそらし、言い放つナーガに。
「……この人の人徳…って一体……」
何やら頭に手を当てて、ぶつぶつつぶやいているワイザー。
セイルーンの王族って一体…などと心では思っているようだけど。
ま、フィルがあのとおりで、ナーガ…つまりグレイシアはこれ…だしね♡
「ま。ナーガだし♡とりあえず島に向かうわよ♡」
未だにすこし後ろのほうで遊んでいるユニットをそのままに、
あたし達は水クラゲにのったナーガともども、湖の中央にある島にとむかってゆく。
湖をはさんで別の国にと隣接しているこの場所。
ゆえに、他の人間にもわかりそうなものなのに。
さっきのような
島の一角に残橋と、数艘の船の姿がみてとれる。
「…どうでもいいけど…痕跡残しまくり…よねぇ。」
「ふっ。悪人なんてそんなものよ。」
にこやかなあたしの言葉に、水クラゲから降りつつも言っているナーガ。
「漁船…ではなさそうだな。」
ここまできたら、演技してもムダ…のような気がするし。
などと思いつつ、小島の残橋に泊まっている船を見て何やらつぶやいているワイザー。
「ま。ここしばらくは。猟師たちもこの場所まできてないらしいからねぇ~。
まったく。たかが、海蛇竜もどきなどが湖に放たれている…ということくらいで。
湖に漕ぎ出すことすらしないなんて…ねぇ。根性がなってないわよね。」
至極最もなあたしの言葉に。
「…いやあの…普通の人間はびびって何もできんと思うが?…根性以前の問題じゃあ……」
何やらぽつり、とそんなことをいっているワイザー。
「あら♡あれくらいの相手なら、
小石一つか、はたまた枯れ木で十分すぎるほどに対処はどうにでもなるわよ♡」
「それ、リナやあのスミレちゃんだけだと思うわよ?それよりっ!お~ほっほっほっ!
誘拐犯を捕らえたら、その犯人が持っているお宝は私のものよっ!」
などと高笑いしつついうナーガに。
「…あの…
などとため息と共に、何やらつぶやいているワイザー。
未だに周囲は霧に包まれており、見上げても空の色すら霧で見えない状況。
…ま、だからいいんだけどね♪
「とりあえず。こういうのって定番で中央近くにアジトへの入り口ってあるし。
島の中央にむけて進んでいきましょ♪」
にっこりいって、一歩足を前に踏み出すと同時。
あからさまに周囲にと満ちる殺気。
それとともに、たったの二十五個程度の紅い光が霧の中より垣間見え。
「「るぐぉぉぉ~~!!」」
何やら雄たけびとともに、光点…つまりは、炎の矢もどきがあたし達めがけてせまってくる。
「くっ!」
それを間一髪でとびのき、かわしているワイザー。
「…まったく……」
ばしゅっ!
あたしのつぶやきとともに、
あたしに向かってきていた炎の矢もどきは小さな音とともにその場から掻き消え、
そして残りの矢は周囲の空間をやき、そのまま炸裂する。
きゅごごごぉぉおんっ!
「んきゃぁぁ~~!!」
「あらら♡ナーガは逃げ遅れたみたいねぇ。ダメねぇ。こんな術ともいえないものは消滅させないと♡」
「……いや、消滅って…・・・ 」
何やら起き上がりつつも、つぶやくワイザーはひとまずおいとくとして。
みれば、ナーガは今の一撃といえない代物で、目を回して気絶していたりするけども。
ちなみに、直撃されて吹き飛ばされているけどナーガは無傷だったりするのよねぇ。
ま、ナーガだし♡
ワイザーのつぶやきのほぼ直後。
『……何のようだ?』
炎の矢もどきがとんできた方向から聞こえてくる男性の声。
「あら?聞くまでもないでしように♡刺客送ってきたり、見張りがわりに海蛇竜もどき達を飼っていたり。
そんなことをしている、ってことは一応悪いことをしている、っていう自覚はある。
という証拠でしょ♡」
そんなあたしの声に。
『……なるほど…な。しかし、何ゆえにこんなことに首をつっこむ?』
「面白そうだから♪」
「いうまでもないっ!子供を取り戻すためだっ!」
あたしの声とワイザーの声がかさなり。
ふと。
「……いや、面白そうって……」
ちらり、とあたしをみて何やら言いかけてくるワイザー。
『……い、いずれにせよ。ここまできた以上。ただで帰すわけにはいかんな。』
なぜか一瞬の沈黙の後に、そんなことを言い放ってくる霧の向こう側にいる人物。
その声を合図に霧の奥から、ゆっくりと浮かび上がる影が三つ。
どこからどうみてもレッサーデーモンもどき。
「あらあら。たったの三体?」
くすっ。
思わず笑みを漏らすあたしの言葉に。
『…本来なら、一体で十分。…おまえたちにはそれを倒すことなどはできはせまい。
何しろそれは在り方が違うから…な。』
わざとらしい言い回しで姿を見せずに請えのみを、とあるモノを使ってこちらに流してくるけど。
「?どういうことだ!?」
その声に露骨に眉を潜めて問いかけているワイザー。
『確かに。見た目も能力的にもただのレッサーデーモンとかわりはない。
…だが、在り方が違う。普通のレサーデーモンは呪文で異世界より召喚する……』
淡々と、ワイザーの問いかけに答えているけど。
異世界じゃなくって、
物質世界も、精神世界も同じ惑星上のものなんだし。
『…しかし、これは我々が研究の末にあるものをベースに作り上げたもの。
何のために我々が子供を誘拐していた…とおもっているのだ?』
「まさか!?きさまらっ!?」
その声に驚愕の声を上げているワイザー。
『そう。まだ自我の確立されていない子供をベースに使い、レサーデーモンと化す。
それが我々が行っている研究なのだよ。
そして…その成功例がおまえたちの目の前にいる…ということだ。』
などといってくるけど。
というか、何を依代にしているか…なんて、普通みただけでわかるけどねぇ。
「馬鹿なっ!?」
「というか。わざわざ手間をかけなくても。自我をもっている状態でも憑依さらればいいじゃないのよ。
それすらできない下っ端ばかり召喚するから、出来ないのよ。」
ワイザーの叫びと、至極最もなあたしの意見が同時にかさなり。
「…あんたはどっちの味方だ……」
などといいつつ、突っ込みをいれてくるワイザー。
『ふっ。何をたわけたことを。本来、デーモンは召喚した術者の命令しかきかん。』
などといってくるけど。
そんなことないってば。
無知って…本当、ある意味面白いわよねぇ。
あたし達の台詞に動じることなく、淡々と続けざまに。
『つまりは。術者にとっての道具でしかない。
しかし…ある条件を満たし、誰のいうことでもきくデーモンを作り出すことができたなら…
それは最強の軍隊として活用できるのではないか?つまり、デーモンの兵器転用だ。
それを造り出すのに最も適した材料が、人間の子供だった。そういうことだ。
嘘というのは自由だが、デーモンを倒したその後には、
さらわれていた子供たちの死体がおまえたちの目の前に転がっていることになるぞ?』
「…くっ!」
その声に何やら歯をかみ締めているワイザーだけど。
…まったく……
「…あのねぇ~。どこをどうみても、それの元ってねずみじゃないのよ。ね・ず・み♡
それにいっとくけど、憑依している状態の下っ端魔族もどきだけ。
殺したり、消滅させたりするのってものすっごく簡単よ?それなのに兵器転用も何もないわよね~♡」
くすくすくす。
そんなあたしの至極最もな言葉に。
「…?それは?……」
何やら問いかけてきているワイザー。
「だ・か・ら♡人間などを例えば依代などにした場合、ここまで形は変わらないのよ♡
というか、力ももう少し向上するはずだしねぇ。
そもそも、自力で具現化すらできない下っ端が憑依してるんだし。」
くすっ。
レゾから教わった方法…完全にマスターしてないわね♡
最も、召喚している魔族の格が違う。
…という根本的なことすらにも気づいていないこの人間達にいってもムダだろうけど♡
『……意味のわからんことを…とにかく。おしゃべりはここまでにして…やれ。
おまえたちはこのデーモン達には手も足も出せないだろうから…な。』
完全に勝利を確信している声。
いるのよねぇ。
知識が乏しくて勘違いしている存在ってけっこう。
「「ぎぉぉぉぉおおお!!」」
その声に答え、デーモン達が吠え、それぞれの前に数十本の炎の矢を出現させる。
それと同時。
『おまえたちは手も足もだせまいっ!殺せっ!!デーモン達よっ!』
などと命令してるけど。
くすっ。
「あんたたち♡【誰】に向かって攻撃してくる気?」
にっこり。
にっこり微笑み、声にちょっぴり気をこめて言っただけで、
ビクッン!!
なぜかあからさまにその場に硬直するレッサーデーモンたち。
それらが硬直するのとほぼ同時。
「お~ほっほっほっ!手も足も出させいだろう…ですって!?」
復活してきたナーガが高笑いとともに、すばやく呪文を唱え、
そして。
「
キガキギィィィン!!
ワイザーが止める間もなく、
ナーガの放った術によってデーモンの体が一瞬にして氷結し、砕けて白い塵と化す。
「どわぁぁ!?きさまぁぁ!?何ということをぉぉ!?」
面白いまでに意味もなく叫ぶワイザーの声をさらり、と無視し。
「ほ~ほっほっほっ!どう?倒してあげたわよっ!
この白蛇のナーガ様に向かって、あんなたわごとをいうなんて!それこそ十年早いわねっ!」
胸をそらしつつ、高笑いしているナーガ。
そんなナーガはともかくとして、あからさまにナーガの行動に驚きを隠さずに、
『…ば…馬鹿な!?なぜあれが嘘だとわかった!?』
などといっている声の主。
「なっ!?今の話はハッタリだったのか!?」
「というか、だから、普通みただけで依代になっている生物ってわかるから。
すぐに嘘だってわかるって、ワイザー。」
そんなワイザーにとひとまず突っ込みをいれておく。
『……くっ!!』
悔しがるうめき声一つを残し、それっきり途絶える声と。
「お~ほっほっほっ!どうやらこの私に挑んだことの愚かさを悟って逃げ出したようねっ!」
まったく違うことを言っているナーガ。
「……いや、見ただけで判るって……普通、わからんと思うぞ?
しかし……ううむ……今の今まで、あんたのことはただのオマケ、とおもっていたが。
あの嘘をあさりと見破るとは!このワイザー、感心したぞっ!さ……」
さすがは、セイルーンの…といいかけるワイザーの声より早く。
「ほ~ほっほっほっ!…?嘘って?」
高笑いを続けていたナーガが、笑いを止めて逆に問いかけてきていたりする。
「……いや、だからだな。あのデーモンが誘拐された子供たちをペースに造られた…という話を……」
目を点にしつつ、説明するワイザーの言葉に、ただただナーガは眉を潜めるばかり。
くすっ。
「あら。ワイザー♡ナーガは初めの一撃で目を回していたから。
さっきのやつのハッタリは聞いてないわよ♡」
そんなあたしの言葉に続き。
「ふっ。細かいことを気にしないのよ。リナ。気がついたら、誰かの声がしてて。
しかも、『おまえたちにはこのデーモンには手も足もだせまい。』
なんてえらそうにいっていたから。かる~く倒してみただけよ。」
ふぁさり、と髪をかきあげ言ってくるナーガだけど。
そんなナーガの言葉に。
「……しかし…ハッタリだったからよかったものの……」
何やらぶつぶつとつぶやいているワイザーの姿が。
「だ・か・ら♡みただけで依代となっている生物くらいわからなきゃ♡」
「いや、それは無理だと思うぞ?」
あたしの言葉に、なぜか額に汗を一筋流しつつも突っ込んでくるワイザー。
「?ちょっとリナ。どういうことよ?」
意味がわからずに、問いかけてくるナーガはひとまずおいとくとして…と。
「とりあえず。この島の中にある施設その一にでもいきましょ♡ワイザーも異論はないでしょ?」
実は、ここにいる子供たちって…まずは適正を見るために仮に集められているのよね~♪
主たる実験は、面白いことにしろの中の研究所とか、町中の王国保有施設とかでやってるし♡
そんなあたしの言葉に。
「…無論だ。子供たちかに実験材料にされる前に、早く助け出さねば……」
ここにいるのは、ここ一ヶ月の間に集められた子供たちばかり…だけどね♡
「ちょっと!どういうことなのか説明してよっ!」
未だに、何やらわめいているナーガだけど。
とりあえずひとまず無視し、あたし達はそのまま、島の中央にと進んでゆく。
軽く指を鳴らしただけで、あからさまにバレバレのカモフラージュ…もどきで隠されていた、
地下にと続く入り口の扉はあっさりと消滅する。
地下へと続く階段の置くには、ヒカリゴケに寺差出された白い通路があるのみ。
周囲に人の気配はないる
…というか、確かに『遊んでもいい。』とはいったけど…
…何やらユニットのほうは面白いことしてるわねぇ~……
国全体、というか主に首都が面白いまでにそれをうけてパニックになってるし。
そしてまた、朝起きて外に出た人々も、空を見上げて何か叫んでるし♡
ま、ここにいるナーガやワイザーには説明する必要もないからいわないけど…ね♪
「ほ~ほっほっほっ!」
階段にナーガの高笑いが響き渡る。
階段を降りてゆくと、湖の下の洞窟にと続いており、
天然の洞窟を利用した均されている道を突き進んでゆく。
途中には、人が術で掘った場所も点在しており、一種の簡単な隠れ施設状態となっているこの場所。
「どうでもいいけど…どうせこういった場所をを作るくらいなら……仕掛けくらいつくりなさいよね……」
思わずつぶやくあたしの言葉に。
「お金がなかったのよ。きっと。」
あさりといいきり、そして。
「だって、壁に伝声管が張り巡らさせれてるし。」
壁にと伝わっている管をみて、そんなことを言っているナーガだけど。
「みたいね♡」
あたしがナーガに答えると同時。
『やはり、しつこくやってきおったか。』
その管から伝わってくるのは先ほどの男性の声。
「何!?どこだ!?姿をみせろっ!」
立ち止まり、きょろきょろと辺りを見渡しながら言っているワイザー。
「だ・か・らぁ。ここにはいないってば。声だけを伝声管使って飛ばしてるのよ。」
どうなら、こんなものをつかわずに、声くらい様々な場所に飛ばしなさいよねぇ~……
そんなあたしの言葉に。
『ご明察のとおり。…しかし、ここまできたからには、こちらも腹をきめるしかないな。』
「あら。案外思い切りがいいのね。」
その声に素直な感想を述べているナーガ。
そんなナーガの声にはおかまいなしに。
『こうなっては。我らときさまら。もはや決着をつけるしかない。お互いつまらん小細工は抜きだ。
そのまま通路をまっすぐ通って右に折れ、最初のドアからはいってこい。
その部屋に私もいる。そこで決着をつけてやる。』
「別にいいけど。それじゃ、いきましょ♡」
「――ちょっとまてっ!どう考えても罠だぞ!?これは!?」
あたしの言葉にワイザーが突っ込んでくるけど。
「お~ほっほっほ!わかってないわねっ!ワイザー!真の美学というものがっ!
たとえ罠だとわかっていても、あえて敵地に侵入し、なおかつ戦いに勝利するっ!
これぞ究極の戦法の一つよっ!」
そんなワイザーに高笑いしつつも、何やらどうでもいいようなことを述べているナーガの姿。
そんな二人をそのままに、何はともあれ、指示されたほうにと進んでゆくことに。
しばく進み、やがてあるのは一つの扉。
「おいっ!本気で行く気か!?」
何やら未だにわめいているワイザー。
さってと。
パチン♪
軽く指を鳴らすと同時。
ボシュッ。
目の前の扉が、なぜか瞬く間に消滅し、扉の向こう側の空間が垣間見える。
その先にと見えているのは住人ほどの魔道士姿の人間と。
そして様々な種類の
たかがほんの十八匹。
元々は、倉庫にしていた空間であるがゆえに、彼ら人間にとっては待ち伏せには最適。
だがしかし、いきなり扉が消滅したのをうけ、面白いまでにおろおろしている
彼らが受けていた命令は、【扉が開いたら炎の矢を扉に向けて解き放て。】というもの。
扉が消滅…即ち、掻き消える…というような状況における命令はうけていない。
「「…なっ!??」」
扉が消滅したという些細な程度で驚きの声を上げている魔道士たちの姿もみえていたりする。
「……いやあの…今…何をしたんだ?」
なぜか多少声を振るわせつつつぶやいているワイザーに。
「ほ~ほっほっほっ!観念して集めていたお宝全部よこすのねっ!!」
まったく関係ないことを高々と言い放っているナーガ。
そんなナーガの声に、はた、とれにと戻り。
「…あ、あいつらをやっ……っ!」
「凍♡」
こっきぃぃ~ん
にっこりとあたしがつぶやくと同時、
なぜか待ち伏せしていたそれらは全て、ちょっとした凍りに覆われて身動きが取れなくなっていたりする。
『――…なっ!?』
それと同時に聞こえてくるあからさまな驚愕の声。
「あら?この程度で驚いてどうするのよ?というかそっちがこの部屋にいない。
というのは初めからわかってたし。…あ、こいつらは別に気にしなくてもいいわよ♡
たかが、カタートの氷と同じ強度だから、どうとでもなるし♡」
ちなみに、Sを氷付けにしているアレと同じ物にしてみたり♪
別に説明することでもないので言わないけど♪
「ふっ。読めたわよ。ここで待っている。といったわりに。私たちのことは他の者に任せて。
そして自分だけは安全な場所で高みの見物する気だったのねっ!」
声がしてくる場所がわからないからか、
氷付けになっている氷のオブジェに、ピシっ!と指を突きつけ言い放つナーガ。
『…な、何を根拠に!?』
ナーガの指摘に、面白いまでにうろたえた声を出してくる声の主。
「お~ほっほっほ!この白蛇のナーガ様をなめてもらっては困るわねっ!
しょせん、あなたは、その程度の器の持ち主ってことよっ!」
一応、ナーガ。
たまぁぁに、こういう面では鋭いからぇ。
一応、これでもあの国の王族だし。
このナーガって♡
「普通子供でもわかるわよ。だってこの部屋には下っ端デーモンすらいないし。」
「ふっ。そういうことね!」
「…というか、たかが、レッサーデーモン程度クラスの下っ端呼び出しても役に立たないでしょうに。
あ~んな能力ないやつを呼び出すより、せめて純魔族。
もしくはこの世界で言われているところの高位魔族くらい呼び出しなさいよねぇ♡」
そんな至極もっともなあたし達の意見に。
「……いや…能力のないって……十分に一般人には脅威かと……」
あたしの言葉に、何やら後ろでつぶやいているワイザーがいたりするけど。
「とりあえず♡この部屋であたし達を何とかしよう。とおもった。ってことは。
リセウムがいるのはこの奥ってことね♪今からいくからまってなさいね♡」
『…って、まてぃぃ~!?何でこの私の名前を知っている?!』
あたしの声に、あからさまに反応してくる声の主。
「あら?普通、声とか、あと姿を視たりするくらい。どんなに離れていたとしても簡単よ?
普通誰だってわかるってば♡」
「…それは、リナの基準だと思うけど……」
にこやかに言い切るあたしに、ナーガが何やら突っ込みをいれてくるけど。
「まったく。ワイザーも。ナーガも、些細なことを気にしないの♡ともかくいきましょ♡」
にっこり微笑み、かるく、パチン♪と指を鳴らすと同時。
あたし達の姿はその場から掻き消え、
次の瞬間。
「…うわっ!!??」
何やらあからさまな驚愕した声は…目の前にいる人間から。
そして、なぜか思いっきり震えつつ、恐怖という名の負の感情を辺りに撒き散らしていたりする。
目の前にいるのは貧相な中年魔道士。
ちなみに名前をリセウム♡
リセウムはそのまま、震えながら鉄扉の横にすえつけられたとあるレバーにと手をかけて。
「子供たちは全員!この鉄扉の向こうにいるっ!
しかしっ!私がこのレバーをひけばどうなるとおもうっ!?」
ひゅるるる……
ばしゅっ!!!!
そんなリセウムの言葉と同時。
なぜか地上のほうから降ってきたちょっとした光珠が、その場にいた幾匹かのレッサーデーモンを無に還し。
そして、それと同時に、さらにリセウムまでをも吹き飛ばす。
薄暗かった地下がそれと同時に、太陽の光で満ち溢れる。
「…て…天井が!?」
それに気づき、何やら叫ぶワイザーに。
「あら♡どうってことないわよ♡たかが、この洞窟の天井部分が消滅しただけだし♡」
説明するあたしの言葉に続き。
「リナ~♡こっちは終わったわよ~♡何か国全体が面白いことになってるけど♪」
ふわっ。
そんなことをいいつつも、上のほうからふわり、と降りてくる少女が一人。
「…なっ!?なななっ!?」
そしてまた…空を振り仰ぎ、何やらナの字を連発しているリセウムの姿。
ぽっかりと開けた上空にて、そこから見えている空。
その空をスクリーンに見立てて映し出されている光景は――
「……いや、ちょっとまて…何をしたんだ!?何を!?」
何やら空をみて、口をあんぐりあけつつも、言っているワイザー。
「え?ただ、別に。人々が知りたがっていたことを視せたり、聞かせたりしてるだけですけど?」
にっこりと応えているのは、いうまでもなく……
「あら♡何かこの光景みて首都では暴動が起こっているみたいね♡」
くすっ。
ユニットとあたしの協力…もとい、心優しき思いから、人々の知りたがっていること。
即ち。
今、この国で何が行われているか♪
という詳細な映像が空に映し出されていたりするんだけど。
その映像を目にすると、自然とその『会話』が脳裏にと直接響く…というオマケ付き♪
おもいっきり、この国の国王ベルギスが、人体実験を指示している様子や。
そして子供たちが実験体にされる様子。
そしてまた、その施設がある場所などにかおいては、なぜか映像が空に映し出されると同時、
空から降ってきたちょっとした隕石によって、実験施設は思いっきり誰の目にも明らかなほど。
人の目にとさらされている。
ちなみに、その隕石の被害は微々たるもので、施設の存在が誰の目にも明らかになる。
という程度のもの。
そんなユニットとあたしの言葉に。
「?ちょっとリナ?どういうことよ?」
空を振り仰いだ後に、あたしにと聞いてくるナーガ。
「だから。簡単にいったら、この国の国王の指示の元に行われていた実験。
それらが、一般の人々の目にも触れた…というだけのことよ♡
どうなら、この場所はまず第一段階目の適正を調べる施設みたいだし。
つまりは、まだ実験に使われる前の子供たちしかいないようだけど。
国の施設の地下などで行われていた実験の内容や状況は空の映像を見ても判るとおり。
何か偶然振ってきた隕石によって、人目に触れているようだし♡」
そんなあたしの至極心優しい説明に。
「…なっ!?馬鹿な!?ま…まやかしだっ!こんな…こんなことが!?」
面白いまでに動揺し、パニックに陥っているリセウム。
「…何というか……こういうパニックになるようなことは…避けたかったのだがな……」
まさかこんなことまでできるとは…などと内心思いつつ。
「と…とにかく。もはやこれで終わり…ということだ。おまえたちのやろうとしていたことは。
ここにいる旅のリナ=インバース殿と、この私。
淡々と語りつつも、なぜか空に映し出されている光景をみて、一筋汗を流しているワイザーに。
「…なっ!?
そんなものがここにいるハズはないっ!それに…リナ=インバース…だとぉぉ!?」
何やらわめいているリセウムの姿が。
どうやらあたしに関するちょっとした噂は耳にしたことがあるので、驚愕の声を出しているようだけど。
「あら♡その【人間とは思えないあの!リナ=インバース!?】というのは、どういう意味かしらねぇ♪」
…なっ!?心の中を!?
あたしの言葉に、なぜかその場で脂汗を大量にかき、硬直してるリセウムだし……
「リナ~♪子供たち、助けたわよ♡」
そんな会話の最中。
鉄の扉を開き、そこに捕らわれていた子供たちを部屋から出して解き放っているユニット。
子供たちはなぜか、ほとんど震えて泣いていたりするけども。
ユニットが微笑みかけると、泣いている子供たちもピタリ、と泣き止んでいたりする。
この辺りはさすがユニット、といえなくもないけども。
子供って、同じ子供同士だと安心する…という傾向があるからねぇ。
ユニットの場合はそれだけじゃないけど♡
「ここにいるハズはない。といれても…ここにこうして、私やリナ殿がいるのは事実。
それに…上空の映像が事実だとすれば…もはや全て白日の下にされされている。
とそういうことだ。ゆえに、救いの手はどこからもない、というのは明白。」
すでに城にも国民がおしかけて、対応に追われていたりするし♪
というか、兵士なども知らなかった
事実を見極めようと国民たちと同じく、それぞれに行動していたりするし。
そんなワイザーの言葉に、がっくりと膝をそのばにつけて崩れ落ちるリセウムの姿が。
まったく…ほんと、何かあったときに弱いわよねぇ。
お役所仕事の存在達って♡
しばらく数時間の間。
ベルギスの行動における一部始終の詳細と…そしてまた。
それぞれの実験施設においての実験内容が空にと映し出されてゆく光景と……
そして、何やら怯えつつも、ひとまず一瞬のうちにと湖の中央にある小島の下の地下。
つまりは、子供たちが捕らわれていた場所より…それぞれが湖のほとりに移動し。
その映像の中に自分達の子供の姿をみつけたそれぞれの家族が、映像をたよりにやってきて。
そして、しばしの対面を果たしてゆく光景が見受けられてゆく。
なぜか、リセウムは未だに力が抜けたようになってるけど。
まったく…この程度のことで…情けないわねぇ~……
「…しっかし。何考えてるのかしら?人間って。」
「お~ほっほっほっ!食べ放題よっ!」
「欲と権力に目をくらませた
何やら目の前に椅子にて、顔色の悪いワイザーと、そして戻ってきていたライドの二人の姿。
向かいのテーブルでは、あたしとナーガとユニットが一つのテーブルを囲み、ちょっとした食事タイム。
一昨日の出来事は、当然のことながらすぐさま国内に事実として伝わり。
そしてまた。
沿岸諸国共同議会に参加している国々にも当然伝わり…
結果、この国は王室そのものが解体される運びとなっていたりする。
最も。
施設のことごとくが人目にさらされ、圧力などをかけても不可能。
と悟った国王とその直属の近衛団隊員の面々は、国民の弾圧や、そしてまた、
他の国々などの操作の手が入るまえに、主たる実験の結果の資料をもって逃亡を図っており。
残されたのは、城内の実験施設と…黒く焼け焦げて判別不能な何かがあった場所。
そしてまた、国のいくつかの場所に点在していた数点あった施設のみ。
それら、国内にあった施設などからは、姿の変わり果てた行方不明であった人々や。
そしてまた、子供たちなども次々と見つかり。
今、この国、ルヴィナガルドにおいては、悲しみ、怒り…などといった、様々な負の気で満ち溢れている。
「…一つ、いまさらながらに聞くが……リナ殿?貴殿はもしや初めから全て知っていたのでは?」
本気で今さらながらに聞いてくるワイザー。
「当たり前じゃない。というか、誰でも知ってたってば♪」
「「……いや、誰でもって……」」
「ほ~ほっほっほっ!ちょっと!ビールジョッキ特大おかわりねっ!」
そんな会話をしているあたし達とはうってかわり、
次々にビールを飲み干して、おかわりをしつつ、食事を追加注文しているナーガの姿。
「そもそも。国王自らが指揮をとっていたようだしねぇ。」
「というか、子供でもすこし考えたら。このたびの一件はこのルヴィナガルドの王室。
もしくは、国の中枢近くにいる人間が裏について圧力をかけている。って丸判りだったし♡」
そんなあたしとユニットの言葉に。
「?どういうこと?というか。
何で自分の国の子供を攫ってデーモンにする。なんてバカなことをしてたわけ?」
食事の手をとめることもなく、横から聞いてくるナーガ。
「あら。この国って何のとりえもないし。場所的に交易の拠点にもなれないし。
かといって、これ、といった観光名所すらも作ってないし。」
「名産品…といえば、唯一、自然の恵みのルヴィナ杉だけだし。
そもそも。この国って植林とかも率先してやってないようだし。
いつかは資源に限りが出てくるのは目に見えてるわよね。」
自然の資源は補充をしない限り、いつかは尽きるもの。
木々の生長速度などを一気に勧める…ということすら、ここの
ユニットとあたしで交互に説明しつつ。
「でもって。その艇柵としてあげられたのが。
【誰にでもコントロールが可能なデーモンの制作。】なんでしょ。
というか、あんな自力で具現化すらもできない下っ端の魔族もどきをつかっても、
さしたる結果は得られないでしょうけど。」
いって、言葉をくぎり、ティーカップにと口を運び紅茶を飲み干す。
「そんな役に立たないモノをよその国に売りつけたり。
自国でつかって戦争をしかけたり。などといろいろと画策していたようだけどね。」
「まったく、欲と権力と力とに目をくらませた
本当面白いわよねぇ~♡どこかが抜けてるし♡」
そんなあたし達の会話に。
「……いや、【あまり役に立たない】って……」
「…十分に一般の人々には脅威なんじゃあ……」
何やら小さくつぶやいているワイザーとライド。
そして、あたしとユニットの言葉をうけ。
「ふっ。そういうこと。上にたつものは自らに自信をもたないとね。
そういう安易な考えに走るのは力がない、と認めている。というようなものね。
お~ほっほっほっほ!」
何やら一人いいつつも、無意味に胸をそらせて高笑いを上げているナーガ。
そして
「まあ、つまりはそういうことね。
他の国などから子供などをさらえば、調査の手が伸びてくる可能性がある。
そうなったら国際問題になるので、事をもみ消しやすいように自国から人々…
…つまり、実験体を確保する。そうすれば、上から圧力がかかれば下の存在は手出しができない。」
「あら。ナーガさん♡めずらしくまともな意見♡」
「私はいつでもまともなことをいっているわよっ!」
ナーガの指摘ににこやかに言うユニットに、なぜかナーガが突っ込んでいるけど。
一応このナーガ。
上に立つものとしての自覚など…というのもは、王宮教育で受けているからねぇ。
いつも、【まともなことをいっている。】というたわごとはともかくとしても。
「ナーガの戯言はおいといて。つまり、このナーガですらすこし考えれば判るんだから。
あたしが知ってても当たり前でしょ?共和国連合の人々すらも知ってたくらいだし。
ま、作戦としてはまずまずね。そもそも、国王が指揮している以上。
王国そのまのから圧力がかかれば、王国
共和国連合
その点、あたし達を【犯人】と相手には思っているように振舞ってさえいれば、
国王ベルギスの域のかかった人間達も、『的外れな捜査をしている。』とおもって圧力をかけてこないし。
あたし達が動くことによって、国王のたくらみをつぶす。というのは。
でも、いくら理由がわかっていたとしても♡
人をいきなり罪人扱いした報いはきちんと受けてもらうからね♡」
にこやかなあたしの言葉に。
「「…むくいって……」」
なぜか異口同音でつぶやくワイザーとライド。
そんな二人に対し、にっこりと。
「あたし達が連盟に参加している国に滞在中の食事代や宿泊費など。
それら全てあんたたちにうけもってもらうから♡」
ずざっ!!
なぜかそんなかなり優しいあたしの提案に血の気をなぜかひかせ、顔色をまともにかえている二人だけど。
そしてまた。
「お~ほっほっほっ!これで当分、確実に暖かいお布団でねれるのねっ!
それに食事代にも困らない、というわけねっ!さすがリナっ!」
何やらビールジョッキ片手に高笑いをしているナーガの姿があったりするけど。
結局のところ……
この近辺での食事代などといったモノは彼らもち。
ということで、話はまとまり。
あたし達はのんびりと、この周辺でしばらく過ごすことに。
ちなみに、ベルギスは追っ手が自らの身に及ぶ前に、
近衛兵を数人連れて国外へ逃げていっていたりするけど。
ま、あの人間はあのままほっときますか♡
そのほうが、後々楽しめるしね♡
ルヴィナガルド王室がらみの今回の一件は全て明るみとなり、王室は解体され
この国は新たな共和国として再出発することになるみたいだけど。
それは別にあたし達にとってはどうでもいいこと。
さってと。
資金源もできたことだし。
しばらくのんびりとして楽しみますか…ね♡
――理由なき冤罪編・終了――
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あとがきもどき:今回はちと嗜好を変えて・・(こらこら・・・
わ~わ~……
何やら外が騒がしい。
一体……
ばたんっ!
「…こ…国王!大変ですっ!」
「何ごとだ!?」
「実は…実は!?」
自らの近衛を勤めているものの言い方も何やら不可解。
そしてまた。
「陛下っ!あれはいったいどういうことなのですかっ!?」
「陛下っ!」
「国王陛下っ!」
何やら次々と、やってくるこのたびの一件を知らしてなかった重臣たち。
一部の重臣は知ってはいたが、基本的に。
何やら人権問題がどうの…とかうるさくいうような人物には関わらせてはなかった。
「何ごとだ!騒々しいぞ!」
凛、として言い放つ、そんな彼の言葉に。
「それはこちらの台詞ですっ!国王ベルギス様。あれはいったいどういう意味なのか…
きちんとご説明いただけますでしょうか!?」
アレ…というのは。
先刻、人の目にもあらわになったとある施設の内部。
そこには…あからさまに、元が人間であろう…ものたちが異形と化している姿が。
クリスタルケースの中において、国民はおろか兵士達の目にも確認されている。
「何ゆえに、陛下が指定された施設の内部から、あのようなモノが!?
あんな…あんな、非道…ともまさる、人体実験の証などっ!!」
「……なっ!?」
あの実験は内密に行っていたはず。
実験も地下で行っていたのだから人目につくはずはない。
「実は…陛下。さきほど、正体不明な何かが施設に落下しまして……
一階部分は消滅…地下施設が人目にさらされております……」
「……なっ!?馬鹿な!?」
一番初めに報告にやってきた人物より…そのことをきき。
驚愕の声をあげるこの国、ルヴィナガルド王国国王ベルギスの姿が。
国王の私室において見受けられていたことは…国民たちの目にもあきらか。
というのも、その光景までもが空に映像…として流れていたりするのだからして。
…知らないのは…当人ばかりなり……
――END?――
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本当のあとがきもどき?:
薫:はいっ!ようやく「理由なき冤罪」編の打ち込み完了ですっ!
L:・・あたし達が活躍してる部分・・あんたはしょってない?
薫:・・・ぎくっ!!
姫:・・私のシーンもカットされてるし……
薫:・・ぎくぎくぎくっ!
姫:せっかく、いろいろと遊んで…もとい、お灸をすえてたのにv
L:ユニットばっかりずるいわよっ!まあ、あたしも後からちょこっと遊んだけどv
薫:・・・・・異形とかしてたまだ魂がのこってる人とかを元に戻したりとか…
挙句は実はもう転生してるのに、その人を生き返らせて・・
転生していた別の存在が消滅したり・・とかが、ちょこっとですか?(滝汗・・・
L:ちょこっとよ。というか、あれはただの遊びじゃくて。気がむいただけv遊びはまた別よ~♪
姫:そうよねぇ。
薫:・・ふかく考えないようにします(汗
L:とりあえず。ようやくこの番外編を打ち込みしたようだけど…
先に、この後の一件に関わるとある話を打ち込みしてるのに…
後からこれじゃ、順番が逆じゃないのv
薫:・・・・あ、あのぉ?ところで?おふたりがその手の後ろにもっているそれ・・はいったい・・
L:あらvプレゼントv
姫:そうそうv遠慮なくうけとってねv薫さんv
薫:いやあのっ!何やらはげしくうけとり・・・・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!
ぐちゅっ・・・
L:さってと。何かに噛み砕かれて飲み込まれた薫はおいといて。
姫:私たちがあまり活躍してなかったけど、・・次こそは活躍させるようにしっかりと言い聞かせておくからv
L:それじゃ、まったね♪
姫&L:それでは、まったね~~♪
(後にはずるずると・・・何かながいものが移動してゆく・・・・)
2006年1月26日某日
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