まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
祝!!!六万ヒット!!!ありがとうございますぅぅぅ!
ちなみに。
これ……
CANARUさん!ありがとうなのです!(爆!)
いやぁ……(笑)
シャドウガウリイの話のところをみて……ねえ?(だからまて!)
ではではv短編……いっきます!
#####################################
鏡の果てに望むもの
「……それで?」
目深にかぶった白いフードを取りつつ。
その肌に岩が混じった男性が、横にいる白い巫女服を着ている少女に話しかける。
「間違いありません!私の情報によれば!
もしかしたら、ゼルガディスさんの体を元に戻す方法に近いかもしれません!」
きっぱりはっきり言い切るその言葉に。
「……まあ、確かに。彼は有名ではあるが……」
かさり。
そういいつつ。
手渡された紙をもう一度開く。
ディルスの王が死亡した。
そういう噂が流れてきたのは。
なぜか野良デーモン達が多くなっていた矢先のこと。
とりあえず。
そのデーモン討伐を兼ねつつ。
世の中の力のない人々を助けるために旅に出ます!
そういって、父親を説得し。
たむろしている野良デーモンを倒すために一人で旅に出ているこの少女。
そんな中、見つけたとある文献が一つ……
「ちっ。しけてるわねぇ。ここには、これだけしかないなんて……」
じゃらじゃらじゃら。
そういいつつ、その辺りにある、お宝を袋に詰めている栗色の髪の少女。
「お~い。リナぁ。こんな所に隠し通路があるぞ?」
そこを見て指差しているのは。
長身長髪。
しかも、金髪碧眼の美男子。
「よっしゃぁ!ガウリイ!さんきゅう!」
一人、その言葉にガッツポーズをとるのは。
彼女の名前は、リナ。
リナ=インバース。
横にいる、男性、ガウリイ=ガブリエフと一緒に旅をしている自称天才美少女魔道士である。
まあ、事実。
このリナは、かなり天才ではあるのだが。
ストレス発散とばかりに。
さすがに、ねちねちとした取調べには、さすがのリナもうんざりし。
…リナ曰く、【記憶力がないガウリイ】といわれているガウリイですら。
そらで、その取調べの質問内容がすらすらと言えるほどに。
それほどまでに、長いこと、リナ達は、ディルスで取り調べを受けていたのだ。
ディルスで先日起こった事件。
それは、今だに伝説としか認識されていない。
この世界の超高位魔族。
その暗躍があったとある事件。
それを見事、解決し、その事件を一緒に解決した。
とある黄金竜や、無差別自然破壊魔エルフ。
そして、トレジャーハンターの玉砕男に冷静な銀髪美女。
そんな彼らと別れて。
今、リナとガウリイは。
とりあえず。
その一件のために、長々と、ディルスに足止めをくらい。
溜まったストレス発散とばかりに辺りの盗賊を叩きのめし、また遺跡めぐりなどをしていたりする。
大概、こういった古い遺跡などには、盗賊のような輩が住み着いているのがお約束。
それゆえに。
盗賊いじめが趣味であるリナにとっては、かなりおいしい状況と成り果てているのだ。
そんなこんなで。
今日も今日とて。
とある遺跡に住み着いていた盗賊を叩きのめし。
そこに溜め込んでいた彼らのお宝を全て没収し。
盗賊がいなくなった遺跡を調査しているリナとガウリイ。
そんな中。
ある程度地下にもぐったときに。
ガウリイが、壁の一角に隠し扉を発見したのだ。
がこん。
そのレンガを押すと。
ゴゴゴゴ……
音と共にそこがはぜ割れる。
「う~ん、灯りがあるということは。誰かがいるってことかしら?」
そういいつつ、足を進めるリナに。
「……なあ、リナ?誰かいるぞ?」
そういって、灯りの向こうを指差すガウリイ。
「……扉?」
なぜか、頑丈そうな扉の奥から漏れ出している光。
「ガウリイv」
リナがくいっとその扉を指差すと。
「おう!」
きぃぃぃぃん!
一瞬の閃光と共に。
ガコン。
人が軽く一人や二人通れるくらいの穴が扉に開く。
「……誰?」
聞き覚えのある声。
そんな女性の声が。
部屋の奥から……聞こえてくるまでは。
リナは何とも思わなかったのであるが……
「誰…誰なの?って。まあ!リナさん!お久しぶりですぅ!この私を助けに来てくれたのですね♡」
だだっ!
扉に開けた穴から入るなり。
聞き覚えのある声と共に。
誰かが、自分にすがるような感触。
…みたくない…みたくない……
「……リナ。お前、双子だったのか?」
思わず唖然と言っているガウリイに。
「……だぁぁぁぁぁぁ!!!!!何であんたがこんなところにいるのよぉぉ!シャドゥぅぅ!」
思わず、リナはその場に頭を抱えてしゃがみこんでいた。
シャドウ。
それは、かつて。
リナがちょっとしたことでかかわった、伝説とされていた影の鏡から生まれたリナの影。
「ひどい…そんな…どならなくたって……」
うるうる。
両手を組み、そんなリナを見上げていっている栗色の髪に紅の瞳の少女。
服装が異なるだけで、それ以外は、まったくそこにいるリナとまったく同じ容姿。
「ナーガさんと旅をしてたら。ナーガさんが道に迷っちゃいまして・・。
それで、近くのこの遺跡に入り込んだら。私、掴まっちゃいまして・・。」
うるうると、瞳に涙をためていっている彼女の台詞に。
「……なあ?リナ?こいつ、お前と気配が似ているけど?でも別人だよな?
何か鏡に映った影のような気配のようだけど?」
もう一人のリナをみつつ。
そんなことを言っているガウリイ。
「……あんたそんなことまでわかるの?」
その言葉に多少唖然とする。
確かに。
目の前にいるもう一人の自分は。
影の鏡と言われていたシャドウリフレクターから誕生した存在。
それを何も説明もせずにずばりと言い当てるとは……
……ガウリイ……侮れないわね……
というか……こいつの勘……かなり鋭いわよね……
そんなことを内心思っているリナ。
「ええと?リナさん?この人、誰ですか?」
「……頼むから、そのうるうるした瞳でいうのはやめて……」
うるうると瞳をさせたまま。
しかも、リナの服のすそをしつかりと掴み。
リナに聞いてくる、もう一人の『リナ』。
「ガウリイよ。私の相棒」
「そうなんですか。それはそうと。リナさん。
私、怖くてここから一人で出られないので。外までつれてってくれませんか?」
そういいつつ。
うるうるした瞳で見上げられたその日には。
ぷつぷつぷつ……
全身に鳥肌が立つのを自覚するリナ。
「う~ん。乙女チックのリナだとこういう風になるのか。」
しみじみいっているガウリイに。
「そこ!何かいった!?」
「いや、別に。何か本当に鏡の分身みたいだなぁ。リナと性格がまるで逆♡」
「五月蝿い!!そりゃ、確かにこの子は、鏡の分身よ!
古代のシャザード=グランディが創り出したという伝説の鏡より誕生した、
あたしの分身なんだから……って……ねるなぁぁぁぁぁぁあ!」
……ぐぅ。
リナが説明を始めてすぐに。
たったまま寝ているガウリイの姿が。
スッパァァァン!
そんなガウリイの頭に。
リナの懐から取り出したスリッパ攻撃が炸裂していた。
シャドウリフレクター。
それは、映した存在の全てを記憶して。
まったく同じ存在を作り出すといわれていた伝説の鏡。
その能力、記憶などまったく同じ性質をもつ存在を無限に作り出すことが可能。
そして、特質すべきは。
鏡ということもあり、逆の性質をもつ存在がうまれるのである。
その鏡に映し出されると。
それが、ただ、思考だけならまだしも。
……まったくその逆の性質をもつ存在を生み出す。
はっきりいって役にたたない代物であったということを。
リナは以前この一件に関わった時に……
……つまりは、目の前にいる彼女が誕生したときに、それはよぉぉく分かっている。
つまり。
その鏡は。
確かに、映したものの記憶や能力。
その時点で全て受け継ぐが。
その性格は…鏡ということもあり…まるで逆。
しかも、敵意がまったくない無害な生き物を作り出す代物であったということを。
あのとき。
鏡が割れても、彼女達は…そのまま。
消えることなく、こうして…今もまだリナの目の前にいる。
「……それで?何でこんな遺跡に入り込んだのよ?」
なるべく目線を合わせないようにしているリナ。
そんなリナの手にすがるように。
ぴくぴく、おどおどと。
進んでいるもう一人のリナ。
リナもあんなに俺にくっついてくれたらなぁ……
とか後ろから歩いているガウリイは思っているのだが。
そんなことはリナは知る由もない。
「実はぁ。この奥から、シャザード様の気配を何となく感じましてぇ。
私達一応、シャザード様が作った鏡から誕生してるので。その気配とか分かるんですぅ」
そういいつつ。
「きゃ!」
思わずリナにしがみつく。
「……どうしたのよ!?」
「……ライティングの影が…何か怖い♡」
「……あ…あのねぇぇぇぇぇえ!」
リナの叫びがむなしく遺跡の中にとこだましてゆくのであった。
「……あれ?何か聞こえませんでしたか?ゼルガディスさん?」
ふと。
足を進めていたアメリアが。
洞窟の何処からか聞こえてきた声に耳を傾ける。
「いや。それより、アメリア。その文献、間違いないんだろうな?」
そういって、アメリアが入手したその文献を見て言っている彼。
彼の名前はゼルガディス=グレイワーズ。
自分の意思とは関係なく、祖父である人物に。
勝手に
「はい!何でも、この洞窟の奥に!
あの!シャザード=グランディが作ったという何らかの魔法具があるのは間違いありません!」
シャザード=グランディ。
その名前を知らない魔道士などはまずいない。
今、世に出回っている魔法具などは、ほとんど彼が開発した道具の改良版であるのだから。
主に、道具の関連で活躍していた昔の魔道士である。
「……確かに。あのシャザードの道具なら。何か手がかりというか役にはたつかもな……」
そういって小さくつぶやくゼルガディスの言葉に。
「そうですよ!だから!さ!ゼルガディスさん!いきましょう!」
旅に出て、すぐに。
偶然に彼―ゼルガディスにとであったアメリア。
それ以後、二人で退治したほうがやりやすい。
というアメリアの意見で。
ゼルガディスは許可してないのだが。
勝手に自分で決めて、ゼルガディスと行動を共にしている、このアメリア。
元気よく手を挙げて。
奥に、奥にと進んでゆくアメリアをみつつ。
「……あいつは、まったく変わらないな……」
ふっ。
そんなアメリアを優しくみつめつつ。
ゼルガディスもまた、ゆっくりと足を進めてゆく。
しばらく進むと。
どこか上の方に穴があるのであろう。
吹き抜けの、広い空間にとリナたちはたどり着く。
見れば。
その部屋の向い側には。
岩肌に彫られている何かの空間。
どうやら、この遺跡。
どこかの洞窟と続いているらしい。
それをみて瞬時に判断しているリナ。
この辺り、流石は場慣れしているだけのことはある。
「どうやら広い空間に出るようだな。」
足音が静かな洞窟に響き渡る。
カツン。
やがて。
鍾乳石などが多々とある洞窟を抜けた先に。
ゼルガディスとアメリアは、広い空間にと足を踏み入れる。
そして。
その場にいるのが。
自分達以外にもいることにそのまま気付く。
「……あれ?きゃぁぁ!ゼル!アメリアじゃない!久しぶりぃ!」
ふと、気配を感じて。
身構えていたリナが、その警戒を解く。
洞窟に続くと見られるそこから。
こちらに近づいてくる気配を感じ、一応警戒していたリナ。
だが。
その洞窟から出てきたのは。
よく見知っている顔立ちが二人。
びくびく。
おどおど。
すざざざざっ!
「……知らない人ですぅ。」
そういいつつ、その辺りにある、岩の陰に身を隠している『リナ』
……ひくっ。
その姿に多少リナの顔が引きつるが。
「「……あ…あの(お…おい)?リナ?」」
見事なまでに、ゼルガディスとアメリアの声が重なる。
二人が目にしたのは。
かつて一緒に旅をしていた仲間のリナと、そしてガウリイの姿。
それだけならまだ分かる。
分かるのだが。
自分達の姿を目にしたとたんに岩陰に隠れたリナと同じ容姿をしている少女に思わず目が点となる。
リナのことを知っている人達でも、知らない人達でも。
まず気にはなるであろう。
……まったく、その容姿から何から何まで同じなのだから。
違うのは、服装のみ。
あと感じる雰囲気というくらいか。
「それより、ひさしぶりじゃない!アメリア!ゼル!何であんた達がここに?」
そんな彼女をまったく無視して、二人に話しかけているリナ。
「ああ、それはですね。ちょっとした文献手にいれまして。
ゼルガディスさんの役にたちそうなので一緒にここまで来たんです。」
とりあえず、もう一人の女性のことが気にはなるが。
とりあえずリナの質問に答えているアメリア。
「そういう、リナ?お前たちこそどうしてここに?」
そういって、リナ達に質問をしているゼルガディス。
「ああ、ストレス解消に盗賊を壊滅させてたのよ。ついでにこの遺跡の探検を兼ねて」
そういって、周りを見渡しているリナ。
ぷるぷるぷる。
未だに、岩の陰で震えている『リナ』には、極力視線を合わそうとせずに。
「と…ところで。リナ?」
後ろにいるリナによく似た女性のことを聞こうとするアメリアだが。
ぎろりとリナに睨まれて、そのまま沈黙。
「お~い?リナ、これ、何だ?」
そんな会話をリナ達が繰り広げていると。
ふと。
ガウリイが、部屋の中央に描かれている文様の一角にはめ込まれている水晶に気付き。
それを無造作に。
ガコン。
何かしらの魔力を感じて、それに近づき。
そのまま、まあ、危ない気配はなさそうだし。
そう思い。
その水晶にガウリイが触れたとたんに。
鈍い音とともに、部屋に一瞬ほとばしる閃光。
「ちょ!?ガウリイ!?何やったの!?」
「……おい、リナ。何かが降りてくるぞ?」
リナの叫びと共に。
ふと。
その閃光が一点に集まり。
何かの形を成して、その文様の中心に落ちてくる気配を感じて天井を振り仰ぐゼル。
「……え?」
見れば。
ゆっくりと光が収縮し。
何か、丸い物体にとその光は形を成して。
ゆっくりと、リナ達の元にと降りてくる。
「?何でしょうか?
首を横にかしげて。
呪文で空にうかび。
そのゆっくりと降りてくるそれを手にするアメリア。
ストン。
地面に降り立つアメリアが手にしているものは。
鈍く輝く、銀色の物体。
その、表の文様に。
なぜか、一つ目の文様が描かれている。
「…………げっ!」
その文様に思いっきり心当たりがあるリナ。
色こそ違えども、そのデザインから何から何まで同じもの。
「ええと。何か書いてあります……」
そんな品物の後ろに書かれている文字に気付き。
それを口に出すべく、アメリアが口を開きかける。
「だぁぁ!やめ!アメリ!」
シュル。
アメリアが口を開くと同時に。
その覆われていた幕の代わりをなしていた文様が左右に開き。
その中から、銀色に輝く、鏡の鏡面が現われる。
そして。
自分に向かい合わせで持っていたアメリアと。
その後ろにいる、ゼルガディスとガウリイを。
その鏡面にと映りこませ。
次の瞬間には。
―――ボシュ!!!!
「……きっゃ!?」
「アメリア!?(汗)」
思いっきり、鏡から吹き付ける煙に巻かれて、思わず叫ぶアメリア。
カラララン……
その反動で、手にしていたその物質・・つまりは鏡を放り出す。
「大丈夫か?アメリア?」
よろけるアメリアを支えているゼルガディス。
「だ…大丈夫です。」
そういいつつ、ぺろりと舌を出しているアメリアをみて。
ほっと胸をなでおろす。
「だ……だぁぁぁ!逃げるわよ!ガウリイ!アメリア!ゼル!」
顔を真っ青にして叫ぶリナに。
「「リナ?」」
アメリア、ゼルガディス、ガウリイ。
この三人が同時に叫ぶ。
ポシュ……
やがて、辺りに漂う煙が四つの形を成して行き始め。
『――え?』
次の瞬間には。
アメリアとゼルガディスの目が点と成り果てていた。
「そういえば、シャザード様は、対を成す鏡を作られてましたようですし……」
おどおどと。
未だに物陰に隠れて何かいっている『リナ』。
「お…おい?リナ?何か、あれ……あの子と同じ感覚する奴等なんだが?
というか、世の中には、そっくりの奴等がいるんだなぁ」
のほほんといっているガウリイに。
「何寝とぼけたことをいってるのよぉぉ!
それより!早く!こいつらが気がつくまえにここから立ち去るわよ!」
顔を真っ青にして叫ぶリナに。
「……おい?リナ。どういうことだ?」
目の前にいるのは、まったく自分達と同じ姿をしている人間が四人。
今までそんな人物はいなかったはずである。
リナが何か原因を知っていると判断して聞いているゼルガディス。
「……だぁ!ゼルも聞いたことがあるでしょ!?あれ…【シャドウ・レフレクター】よ!」
『――何(ですって)!?どうしてそんなことを知っている(んですか)!?リナ!?』
シャドウ・リフレクター。
この名前を知らない魔道士などはまずいない。
その映したもののまったく同じ能力と知識を。
そのままに受け継がせて、逆の性質をもつ味方を無限に作り出せるという代物。
伝説の一つ、
「以前、ちょっと関りがあったのよ!
それはあたし達が壊したんだけど!まだ残って…い…いやぁぁぁぁ!」
そう叫んで逃げようとするリナの目に飛び込んだのは。
「……ここは?」
おどおどとして周りを見渡している、
リナと服装から何から何まで一緒の少女。
「へい。お嬢さん。そんなに怯える必要はないよ?さあ、この俺の手をとって」
にかっ。
その白い歯をにっこりと浮かべて、
隣にいる白い服を着ている少女に手を差し出しているゼルガディスにそっくりの男性。
「うう……狭くて暗くて怖いの……」
ふるふると震えているアメリアそっくりの少女。
そして。
「知らない人だぁ……怖いよ、怖いよぉ……(涙)」
そういいつつ、すぐさま物陰に隠れている、ガウリイそっくりの金髪碧眼の男性……
――ごけっ!
ぴくぴくぴく……
あまりといえば、あまりの出来事に。
そのまま、ゼルガディスは、まともに地面にひっくり返り。
アメリアなどは目を点とし。
「あ…あ…ああぁぁぁぁぁぁ!」
頭を抱えて絶叫を上げているリナ。
「なあ、リナ?オレって双子だったのか?」
そんな自分と同じ人物をみてガウリイが一言。
「んなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
リナの突っ込みが、その場にしばらく響き渡っていた……
「……というわけなのよ……」
ふるふるふる。
同じように震えつつ。
抱き合うようにしてその場に座り込んでいる二人の『リナ』。
その横では、
「怖いですぅ。私……」
「大丈夫だ。俺が守ってやるからな」
さわやか好青年のようににっこりと笑い。
震えている『アメリア』を抱き寄せている『ゼルガディス』。
『…………』
リナのシャドウレフレクターに関する説明を受けて。
目を点にしているアメリアとゼル。
まあ、気持ちは分からなくもないが……
「うう……リナぁ、俺怖いよぉ」
そういいつつ、二人のリナの後ろに隠れている『ガウリイ』……
「ガウリイ、私も怖い」
そういって、二人仲良く抱き合っていたりする、今生まれたばかりの、『リナとガウリイ』二人の姿。
ひくひくひく。
そんな姿を目に映しつつ。
リナのこめかみに青筋が立っていたりするが。
「……な…なあ、リナ?精神的によくないから……こいつら…鏡を壊してとっとと消さないか?」
疲れたように、かすれた声を上げているゼルの言葉に。
「……でもゼル?以前と同じだったら…鏡壊しても無駄よ?」
これまた溜息交じりにいっているリナ。
映したものと逆の性質をもつ彼ら。
一人は、かなり好青年と化し。
一人は、かなり臆病と化し。
一人は人見知りが激しく、リナは気づいてないが。
その感情のままにリナに関しては動く人物と化し。
一人は、以前と同じく。
いや、以前と違うことといえば。
「……ガウリイ、好き♡」
「リナ♡」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「……殺す!」
リナが素直にならない反動なのか。
完全に二人の雰囲気を作り出しているシャドウ達。
そんな二人の会話を聞いてリナが思わず立ち上がる。
「……シャドウの方が素直なんですね……リナは」
「まったくだ」
いちゃいちゃしているそんな二人をみて。
ぽつりとつぶやいているアメリアとゼル。
「こら!アメリア!ゼル!どういう意味よぉ!」
顔を真っ赤にして怒鳴っても、説得力などあるはずもない。
「きゃぁ、ガウリイ、リナさんが怒ったの」
「大丈夫さ。あれは照れてるんだから」
「そうなの?」
「ああ、そうさ♡」
そういいつつ、リナを抱き寄せている『ガウリイ』を目にして。
むかむかむか。
同じガウリイの姿をしている奴が。
そんなことをしているのになぜかリナはむかつく。
その意味というか感情をリナは焼もちだとは気付いてもいないが。
リナが焼もちを焼いているのに気付いて。
そんな横では。
かなり内心うれしい本物のガウリイ。
……ぷちり。
「だぁぁぁぁぁぁ!こうなったら、ここごとまとめてふっとバスぅぅぅぅぅぅ!」
さすがに。
目の前で、いちゃついている、二人のカップル……
心臓にもあまりよろしくない。
それでなくても。
リナの性格の真反対で。
乙女チックに、『ガウリイ』の言葉の一つ、一つに。
頬を染めて潤んだ瞳で『ガウリイ』を見上げて見つめている『リナ』の姿を目にするなどと。
乙女チックで人道主義である、もう一人のシャドウだけでもリナは精神的にかなりよろしくないのに。
それに加えて。
もう一人。
今度は、それに加えて。
完全に恋する乙女と化している自分の姿を目にするとなると……
そんなことしたら!
あたしが……あたしがガウリイが好きだって!
ガウリイにぱれちゃうじゃないのよぉ!
そのためにガウリイがあたしから離れたらどうするのよ!
こいつら…許さん!
そんなことを思っているリナなのだが。
「……リナもあれだけ素直だったらなぁ……」
ぽつりとつぶやくガウリイに。
「……ガウリイさん。まだ進展ないんですか?」
「……まあ、相手がリナだからな」
そんな会話を繰り広げているガウリイ、アメリア、ゼルガディス。
頭に血が上っているリナには。
そんな会話は届いていない。
「ふ…ふふふふふふ!今度こそ!まとめてけしてやるぅ!
闇よりも暗きもの、夜よりもなお深きもの、混沌の海にたゆたいし……」
ゆらりと立ち上がり。
呪文詠唱を始めたリナをみて。
さぁぁぁぁ・・・・・・。
一気に顔色を変えるアメリア達三人。
「……リ…リナ!その呪文はやめろぉぉぉぉ!」
「あああああああああああああ!リナ!その呪文は!」
「こらまて!リナ!お前、こんな所でそんな呪文を!」
ゆらりと立ち上がり。
呪文詠唱するリナを。
どうにか止めようと躍起になるガウリイ、アメリア、ゼルガディス。
ふるふるふる。
そんなリナの姿をみて。
鏡によって生み出された。
ただ震えている二人のリナに。
ガウリイとゼルガディス。
「……我と汝が力もて!等しく滅びを与えんことを!
ドォォォォン!!!!!!!!!!
ガウリイ達の制止もむなしく。
リナの呪文が炸裂する。
リナが唱えていた呪文の魔力結界により。
リナを止めようとしていたアメリアたち三人には。
その呪文の結界によって、まったく無傷であるのだが。
次の瞬間には。
リナを中心に。
ぽっかりと。
辺りに闇の空間が広がっていた。
「ふ……ふふふ!正義は必ず勝つのよ!」
そういって、ポーズを決めるリナに。
「リナ!いきなり何するんですか!私達まで巻き込む気ですかぁ!?」
そんなリナに抗議の声を上げているアメリア。
「……やったな……」
溜息交じりのゼルガディス。
「……まったく、リナ、無茶するなよ。大丈夫か?」
魔力の使いすぎで髪が白く変わったリナを、そっと優しくどさくさにまぎれて抱き寄せているガウリイ。
「……終わったわ。」
これで……
これであの忌まわしいシャドウたちに会うことはもう!
そう思い、リナが感嘆に浸っていると。
ガラガラガラ・……
「ひどいですぅ。いきなりリナさん……金色の母の呪文を唱えるなんてぇ」
「うう・・こわかったですぅ。ゼルガディスさぁん」
「よしよし。俺が慰めてやるからな?アメリア♡」
「ゼルガディスさん……♡」
「ガウリイ♡あたし…こわかったぁ♡」
「リナが無事でよかったよ♡」
もっこりと。
地面の中から沸きあがってくる人影数名……
「い……いやぁぁぁぁぁあ!!?何でぇぇぇぇぇ!?」
――ぷくり。
――バタン。
さすがに。
その姿を目にして倒れているゼルガディスに。
無事な彼らを目にして、絶叫を上げているリナ。
「ガウリイのおかげで助かったわ♡ありがと♡」
そういいつつ、『ガウリイ』に抱きついているリナに。
「リナのためだったら俺は何でもするさ♡」
そういいつつ、『リナ』を抱きしめている『ガウリイ』。
……あいつ……
そんな自分の姿をみて。
今、自分のシャドウが。
リナの放った術の作用を、少し空間をいじり、別の場所に移動させたことに気付いているガウリイ。
リナの前では、絶対に見せないガウリイの能力。
リナにそんな力があることが知られて、嫌われるのが怖い。
自分の過去が知られるのが何よりも。
「……どうして
よぉ・・・・よぉ・・・・・・・よぉ・・・・・
ただただ。
無と化したその山に。
リナのむなしいまでの叫びが静かにこだましていっていた……
「ふ……ふふふふふふふふふふふ!こうなったら!四界の闇を統べる王……」
リナの目が完全に据わり。
「増幅版!
ドッガァァン!!!!!!!!
その日。
その遺跡があった山ごと。
原因不明の自然現象で。
一瞬のうちに。
その辺りの山数個を含めて消滅していっていたのであった。
風の噂に後日。
リナが耳に挟んだのは。
すごい人見知りをする剣士と。
人道主義を唱える魔道士と。
にっこりにこやか好青年の白い魔剣士と。
怯えつつも、そんな彼らと一緒に行動する。
四人の姿を聞いたのだが。
リナ達は聞かなかったことにしたのであった。
「……それはそうと、ガウリイ、新しい剣、見つけたようだな」
「ああvリナが見つけてくれたんだv」
とりあえず。
山を数個消滅させて。
リナが疲れているということもあり。
逃げるようにその町から逃げ出したアメリア、ガウリイ、ゼルガディス、リナの四人組み。
数個先の小さな村の食堂で。
再会を祝してご飯などを食べつつ。
にこやかに会話をしていたりする。
「ガウリイさん?その剣?何ですか?」
「
―ぷぴっ!
アメリアの質問に答えるリナ。
まだ髪の色は白いままだが。
『ぶ……
かつて。
ガウリイが持っていた光の剣に匹敵する、伝説の魔力剣。
「それより、リナ達はこれからどうするんですか?剣もみつかったんでしょ?」
アメリアの最もな質問にぎくりとなるリナ。
「オレはリナと一生一緒に過ごすつもりだしな。」
のほほんというガウリイに。
……こいつは。
そんな勘違いするようなことをさらりというんじゃないぃい!
そう心で絶叫を上げて。
真っ赤になっていたりするリナ。
勘違いでなくガウリイの本心だということを……リナは未だに気づいてない。
「と…ところで?アメリア達はどうするの?」
リナの質問に。
「とれあえず。私はまだデーモンが大量発生してますので!それを駆逐しつつ正義を広めます!」
だんっ!
そういいつつ、椅子に片足を乗せてポーズを決めているアメリア。
「……俺はとりあえず。今回のアメリアの持っていた文献の情報では。
この体を元に戻す方法はなかったからな。また情報を探して旅にでるさ。」
そういうゼルガディスに。
「ええええええ!?ゼルガディスさん!一緒に正義を広めてくれるんじゃないんですか!?」
「誰がだ!」
そんなほのぼのとした会話を繰り広げ。
数日後。
それぞれ、未だに魔力が回復しないリナをそこに置き。
アメリアとゼルは再び旅立ってゆく。
「さって。リナ、あまり無理するなよ?何か食べたいものはあるか?」
「……林檎……」
「よっし!まってろ!」
布団を目深にかぶり。
リナの魔力が完全に回復するまで。
つきっきりでリナを看病するガウリイの姿が、しばらく数週間に渡り見受けられていた。
「……あいつ、あのあたしのシャドウをみて……
……うん。気付いてるわけないわよね……
……でも何であいつのシャドウ…あんなにあたしとその……べたべたしてたんだろ?」
互いに抑えていたり、素直にならない部分が表に出て、ああなっている。
ということにまったく気付かずに。
「……そんなにあたし、あいつにとって・・・子供なのかな?」
……まったく違う意味で、シャドウたちの行動を捉えている、リナなのであった。
……ガウリイの道のりは……まだまだ険しいようである……
-終わり♪ー
HOME TOP BACK
###################################
あとがきもどき:
薫:・・・題名と小説がリンクしてません!(笑)
いや、掲示板でね?ガウリイのシャドウの話しがでて・・・。
かなり激しく人見知りするガウリイの話しがでて・・。
それで思いついたのが。これ(笑)
リナ以外には、人見知りしまくって。
でもリナがいたら周りに目が向かなくなるガウリイ君が(笑)
ついでに。アメリアの正義おたくのあの性格は。
逆に、かなり臆病になり、ある意味。リナより性質が悪いかも(汗)
怖くていきなりファイアーボールなどは。どこでも乱発するシャドウです(汗)
ちなみに、ゼルガディスは。・・・かなり好青年で。
人目をはばからずに、女性に対してかなりのフェミニスト(爆!)
歯の浮くような台詞をさらっとあの容姿でいっていたりするという・・。
うまく表現できてないのは。まあ、即席ということで(かなりまちなさい!)
んではではvv
とりあえず、こんなのを。
六万ヒット小説にしてみたりv
ではではvv
2003年3月29日。某日。
HOME TOP BACK