まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

さてさて。2010年、明けましておめでとうございます♪
なんかひたすらに最近疲れか、はたまた年のせいか(おい)小説から遠ざかっていた薫です。
今回は、新年ということもあり、ちょっとした短編をば♪
ちなみに、漫遊記のほうの短編もどきと内容はあるいみ同じです。あしからず(まて
何はともあれ、ゆくのです♪
時間軸は、原作にそってます。
冥王との戦いがおわった直後。んでは、いっきます♪

#####################################

依頼の味

「ちょっとまちなさいよ!アメリア!何勝手にきめてるのよ!」
「何いってるのよ!リナ!困っている人はほうっておけないじゃないっ!」
あ~…またはじまったよ。
この正義おたくは。
は~……
「そもそも。ついさっき別れたばかりなのにまたここで合流するとはな……」
横ではすでにあきらめモードにはいりかけているゼルが何やらいってるけど。
どうにか無事に冥王との決着もつき、それぞれあの場で別れたはずのあたし達。
それぞれ、それぞれの道をゆくためにあの場でわかれたのがつい先刻。
よもや夕方になってこの町で合流するなどいったい誰が想像したであろうか。
「でも、リナさん。アメリアさんの言うこともにも一理あるとおもえます。それに、原因の一端は……」
あ~…もうっ!
アメリアに続いてシルフィールまでっ!
「わかったわよ!引き受ければいいんでしょ!ひきうければ!!」
ことの起こりはこの町にとはいり、ばったりとアメリア達と遭遇したのがそもそもの発端。
何でもシルフィールとアメリアは共にセイルーンにむかっていたらしく、ゼルはそんな二人の護衛として。
この町にと立ち寄ったらしい。
あたしとガウリイはといえばゆっくりやすみたい、というのもあり近くのこの町に立ち寄ったんだけども。
この町の名物はといえば何といってもお菓子!のひとことにつきる。
以前はサイラーグが近くにあったことからいろいろと薬草などを用いた品も多かったらしいが。
以前の原因不明のサイラーグ壊滅によりそれらの入手が困難になったとかそうでないとか。
…その原因不明の壊滅に深くかかわりのあるあたしとしてはたしかに耳がいたいところではある。
で、その変わりに開発した、という新しいお菓子の試食の役目を引き受けてほしい。
となぜかあたし達にそんな話が舞い込んできたのがつい先ほど。
簡単にいえば、試食とは名ばかりのあるいみ毒味に近いこの依頼。
材料を聞いても何だかアヤシイ材料ばかりだったのであたしとしては御免こうむりたいのが本音である。
つ~か、あんな魔法薬なんかつかっていったいどんなお菓子ができるんだ?
困ってる人がいるんです!
と無理やりアメリアとばったり出会ったあとにひこずられるようにつれていかれた一件の家。
何ともいえない異様な匂いが立ち込めている中、その中心となる依頼主はいたりした。
家族はサイラーグのほうに住んでいたらしいのだが、たまたまこの町にきていたときに家族は原因不明の壊滅に巻き込まれた、とのこと。
ついこのあいだ、その家族がみつかった、ときいて出かけていったものの、
なぜだか家族に以前から反対されていた一人暮らしを許可されたとか何とか。
その内情といか事情が嫌々ながらもわかってしまうあたしとしては『そのこと』を出されると断りにくいわけで……
いうまでもなく、家族がその女性を追い出した?のは自分達がすでに死んでおり、冥王の手先としての生でしかない。
そう自覚していたからに他ならないからなのであろう。
もっとも、そんなことをその女性にいえるはずもないのだが。
んで、結局のところ冒頭にいたるわけで……
「とにかく、その依頼を引き受ければいいんでしょぅっ!!!」
なかばヤケになっているあたしの声が宿屋の一階の食堂にと響き渡ってゆく……
ああ。
何であたしってこんなに人がいいんだろ?
は~……


「まあ!こんなにも自殺志…いえ、頼みを聞いてくれる人がいるなんて!ありがとうございます!アメリアさん!」
きらきらきら。
おひ。
今、この人、自殺志願といいかけなかったか?
瞳をきらきらさせて、この家の主だという女性がいってくる。
ちなみに髪は茶色で肩のあたりまでその髪をのばしている。
その髪をきゅ、とひとつにたばねた一件どこにでもいるような女性。
みたところ年のころはあたしとそう変わりがないようにみえなくもない。
が、歳は十八だ、というのだからあたしよりは確実に年上である。
「いえ!困っている人を助けるのは当たり前のことです!ジェシーさん!」
この女性の名前はジェシー、というらしい。
「で、結局どういうことなんだ?」
「…あんたは昨夜、あれだけ説明したのにまだ理解してないのか?」
後ろのほうでぽそっとゼルにとといかけているガウリイ。
・・・・・・・・・・・なんかこいつ、フィブリゾにとっつかまってたからかさらにものおぼえがわるくなってないか?
そんなガウリイにとゼルがため息をつきながら何やらいってるけど。
と、とにかく、面倒なことはとっとと終わらせよう。
うん。
「と、いうわけで。この二人が協力してくれるって♪」
ずいっ。
にっこりとほほ笑みつつも、ゼルとガウリイを指差しつつ、ぐいっと二人を前にと押し出す。
「ってまていっ!リナ!どういうつもりだ!」
「お~い。ゼル。何をびっくりしてるんだ?」
あせるゼルとは対照的に事態を判っていないらしいガウリイ。
「あら?あんたたち。乙女にわけのわからないものをたべさすき?」
にっこり。
「お!何かくいものくれるのか!?」
にこやかにほほ笑むあたしの言葉になぜかおしだまるゼルに、
たべる、という言葉に反応して目を輝かしているガウリイの姿。
…こいつ、絶対に死にそうにないわよね……
「そうですか。ご協力ありがとうございます!ではまず、これからたべてみてください!」
物事に動じない、というか何というか。
いそいそと奥にひっこんだジェシーがもってきた籠の中には様々な形をしたビスケットらしきものが多数。
「ちょっと!リナさん!ガウリイ様になんてものをたべさすんですか!?」
シルフィールが何やら抗議の声をあげてきてるけど。
「じゃ、シルフィール。あんたがかわりにたべる?」
「…ガウリイ様。がんばってくださいね♡」
あたしの言葉ににこやかにさらっと意見変えしているシルフィールだし。
ほんと、この子もけっこういい性格してるわ。
「ちょうど腹へってたんだ。いただきま~す!」
「あ、おい!ちょっとまて!」
ゼルがとめるのも何のその。
そのまま差し出されたクッキーに手をつけているガウリイ。
「うん!うまい!」
…おいしいのか?ほんとに?
しばらく様子みて、何ゴトもないようならあたしもたべてみよっかな?
「…ええい!ままよ!」
ぱくっ。
あ、たべた。
そんなガウリイの横でゼルが決意したのかクッキーをひとつつまんで口にはこんでるけど。
ガウリイのほうはといえば…あ、まとめてたべてるし……
「どうやら何もないみたいですね。じゃ、私も」
アメリアがいって手をのばしかけたその刹那。
ポッン!
もくもくもく……
ガウリイとゼルの体を煙が覆い尽くし、次の瞬間……
『えええええ!?』
部屋の中、あたし達の声がもののみごとにきれいに重なる。
煙がのいたそこには、なぜか犬と鳥が一匹と一羽……
「きゃあ!成功ですわっ!」
一人、なんでかはしゃいでいるジェシー。
「…成功?」
何だかはてしな~く面倒な予感がするのはあたしの気のせい?
ねえ?
「えええ!?ゼルガディスさんが犬に!?」
「ガウリイ様が鶏に!?どういうことなんですか!?」
アメリアとシルフィールの驚愕の問いかけはほぼ同時。
きかないほうがいいとおもう。
切実に。
「このお菓子。たべた人をこの動物の形に変化させるものなんです。
  きちんとその魔法薬が効くかどうかが問題だったんですよ」
しれっと何でもないようにジェシーがいい、
「あ、でも心配しないでくださいね。これは試作品ですから。
  一時間もしたら元の姿に戻れるはずですから。……たぶん」
「わんわんわんわんっ!!」
「ケー!コケー!!」
あ~…ゼルとガウリイが何やら抗議してるわ。
…たべなくてよかった。
本気で。
「本来は一日に設定して、そしてたべた数だけの日数をその姿で過ごせるようにしたいんです。
  まだまだ試作段階ですので、これからもご協力おねがいしますね♡」
にっこりと、邪気のない笑みでジェシーがいってくるし。
「…アメリア。今度からはきちんと依頼内容をきいてから請け負いなさいね」
「…はい。そうします……」
さすがに人が変わるのをみたからかアメリアも骨身に染みたようである……

ちなみに、あたし達がその町を後にしたのは二週間後のことであるのをここにのべておく。
ガウリイとゼルは初回は一時間しても姿がもどらず二日以上もその動物の姿のままであったりしたのだが。
…どうかジェシーがあのお菓子の開発をあきらめてくれますように。
そんなことを願いつつ、あたし達はそのままその町でと再び別れることに。

あれが発売されたら下手をしたら魔族の脅威よりも厄介かもしれない。
そんなことをあたしは心の中で思いつつ次なる場所にとむかってゆく。
人生、何があるのかわからない。
だからこそ先を切り開くためにも進まなければ。
…って、現実逃避をしてもどうにもならないけど、…だれか、ジェシーをとめてぇぇっ!!!


                                   -終了♪ー 

HOME    TOP    BACK

#####################################

あとがき: 
さてさて。今回被害にあったのはガウリイとゼルでした(笑
ゼルは忠実なる犬でガウリイは鳥頭、とかいわれるので鳥にしてみました(なにげにひどい?笑
spののりで終わりはそれぞれの心の中で~みたいな終わり方をば♪
ひさかたぶりに、これ書きなぐりさんに投稿しよっかな?とはおもってますが(まてこら
何はともあれ、新年明けましておめでとうございますv
それでは、またいつか~♪

2010年1月3日(日)某日

HOME    TOP    BACK