降魔への旅立ち
「・・・・・ふぅ。」
思わず溜息が漏れるのは仕方のないこと。
別に氷の封印のせいで・・・意識の共通が図れなかったわけではない。
・・・また、人間に一応は高位魔族である覇王将軍が・・そして。
覇王が・・・滅ぼされ・・または殺されたことに対して・・・呼び出しを受けていたからに他ならない。
まさか。
その最中に。
彼のうちに自分の欠片たる分身がいるのは分かっていた。
精神世界を通じて視ていたその結果。
―彼が、自らの力をつかった・・・剣を使ったそのときに。
そして・・・・。
「・・・・確かに、人の心は・・・・強くもあり弱くもありますけど・・・ねぇ・・・。」
溜息をつかずにはいられない。
そして・・・また。
「・・・・だからあわせたくなかったんですよね・・・。」
間違いなく、彼らの手によって滅びるのは・・・目に見えていた。
まあ、たかだか一つの欠片である。
・・・・別に問題などは・・ないといえばないし。
あるといえば・・ある。
以前は目覚めかけた自らの分身たる一部が。
あの御方の術に破れ・・そして、身を置いている人の心に敗れたのは。
彼らがあのときの・・・・。
あの、ガルヴェイラとそして、リーアンの子供の生まれ変わり。
というのは。
一番初めのときにわかっていた。
そして・・また。
「・・・そもそも、あの御方に気に入られているんですよね・・。あの人間・・・リナとかいう人間は・・・・。」
はぁ・・・。
溜息一つ。
普通の人間が。
あの御方を召喚するなどと。
その力量にも感心し。
そして・・また。
近年稀にみる純粋な心の持ち主だと。
喜んでいたりするのを知っている・・・それゆえに。
・・・・あのもの。
ルークが彼らをあの地、サイラーグに呼んだとき。
ルーク=シャブラニグドゥからも命令を受けていた、獣王と海王に。
・・・・・他のものには手出しはしないように。
と命令を出したのは・・・他ならぬ・・・自分。
大きく分けられた力のうち。
すでに一人の人間の手によって二つは滅ぼされ・・・。
・・・・・それゆえに、それに伴う、呼び出しも。
いく度となく受けている。
だがしかし。
「・・・・ふぅ・・・。」行動を・・・起こさないと・・・いけませんか・・・・ね・・・・。
すでに。
別に狙っていたわけではないにしろ。
世界に大量的に発生したデーモンなどの影響で。
空には不安と恐怖の念が渦巻いている。
それは。
今では薄くなってきているものの。
・・・ここに封印されている自分が。
よもや・・・・魔王そのものといっても過言でない本体だと知らない竜王達などは。
この機会を逃さないであろう。
・・・ことごとく。
魔と神の本質を忘れた・・・戦い。
むなしいまでの。
互いに互いを高めあう・・・という崇高なる意思のもとに行われていた戦いは。
・・・今では、どちらの足を引っ張り合い引き摺り下ろすか。
という下賤の・・・・低遇のものにと成り果てている今現在。
ふと。
こんな状況になり過去を思い出す。
一組の人間達の手によって。
分たれた力の一部・・そのうちの二つは滅び去った。
とはいえ。
その力は・・・今では。
あの御方の宮殿掃除を・・・人間に負けたという理由で。
彼の分身たるそれらは行っているのであるが。
そして・・また。
この世界では滅んだものの、他の場所では完全にとは滅んでいない、大切な子供・・・フィブリゾとガーヴのあの二人。
彼らも・・また。
何でも、精進が必要だとかで。
・・同じく掃除をまかされている今の現状。
まあ、そんな理由は人などが知るはずもないが。
「・・・・とりあえず。このまま。この氷の中に・・いる・・というわけには・・。いかないようですねぇ。」
・・・一人だけ。
いや、確実には・・・二人か?
・・・彼はその身に・・自らの力を宿している人間に心当たりがある。
「・・・・自分でうごきます・・・か。」
そういいつつ。
ゆらりと。
氷の結界の中から出現する一人の男性。
黒く長い髪に・・・紅い瞳。
そして・・・ふと意識を集中すれば。
真紅一色であったその瞳に明りが差し込む。
「・・・・さて、では・・・・目的地は・・サイラーグ・・・ですね。」
確実に。
自らの力を多大にその身に封印している一人の女性・・・。
・・・・その力を取り込むべく。
彼・・・レイは。
ちょっとした力のある魔道士程度の実力にその身を代えて。
・・・・・力を取り戻すべく、自ら行動を開始してゆく。
・・・・・・世界は。
平和に満ちたようで・・・・そうでは・・・ない・・・・。
かつて。
人とそして、竜王の手により、目覚めた魔王。
いや、それは故意なのか偶然か。
だがしかし。
光が存在するかぎり闇もまた存在する。
それは、世界の理。
どちらがかけても世界は存続することができない節理。
そのように定められている・・・・事柄。
「ええ?シルフィール=ネルス=ラーダは私ですが?あなたは?」
何かサイラーグで起こっていると聞きつけて。
この地に戻ってきた彼女。
そこで出会った一人の綺麗な男性。
「いや、少しお話をと思いましてね。別にとってくおうとは思いませんので♡」
にこやかにそういわれ。
「実はこの地で起こったこと・・というか。
リナ=インバースさんとガウリイ=ガブリエフさんのことで少しお話が・・・。あ、私はレイといいます♡」
知りあいの名前を出されて警戒を解く。
「あ、ちょっとまってくださいね。今お茶を・・・。」
復興しかけのサイラーグ。
だが。
その爪あとは・・・。
かつて、とあるコピーレゾが行った行為により。
ここには巨大なクレーターが出来上がり。
そして・・また。
その後に起こった超高位魔族との戦いで。
この地はかなり深いクレーターと化している今の実情。
そこを取り囲むようにして復興を始めている、この町サイラーグ。
そして・・・・時期、サイラーグの神官長となるべく女性――シルフィールにと接触を果たしているレイは。
「・・・あら?何か・・・・・めまい・・・が・・。」
ばたり。
何でもない世間話をしながら。
飲み物を飲んでいたシルフィールは。
ふいに襲い来る・・・その目眩に。
ただ・・・・気を失い、テーブルにと突っ伏してゆく。
「・・・・とりあえず。目覚められたらことがおおきくなりますしね(はあと)」
完全に眠ったのを確認し。
彼女ほベットにと運び。
そして。
「・・・・ふむ。やはり間違いないようですね。・・・・すいませんけど・・・戻してもらいますよ?」
そういいつつ。
その額に手を当てる。
ビクン!
その一瞬、シルフィールの体が震えるが。
そして。
シルフィールの体全体から・・無数の小さな紅い光が、
ほとばしったかと思うと。
それはやがて収縮し・・一つの小さな紅い水晶球と化す。
・・・・別に彼女を魔王として覚醒させることはいともたやすい。
だがしかし。
・・まずそんなことをしたら。
・・・・今度はわが身が危うくなるのは。
いやでもわかっている。
今まで、彼は、本気を出していなかった。
リナ=インバースがいるがゆえに。
だが・・しかし。
二度も同じこと・・。
つまりは、知り合いを魔族にと覚醒させれば。
・・・・一体どんな手を使われるか分かったものではない。
そして・・・また。
そんなことになったら自分の身が・・・かなり危険・・・もとい。
先がないのも分かっているがゆえに。
あえて、その欠片を取り出す方向で動くことを決意しているレイ。
「・・・・魔力容量が少なくなるでしょうけど・・。ま、仕方ないですよね・・。」
そう言い放ち。
そして。
そこに置手紙を置き。
そこから姿をかき消してゆく・・・。
・・・・・残り・・・・あと三つに分かれている自らの力を・・取り戻すために・・・。
「・・・・・・・う・・ううん?あら?私・・。」
気がついたらベットの中。
何か体が重いような軽いような・・。
そして気付く、ベットの隅の置手紙。
【用事を思い出したのでこれにて失礼いたします。レイ=マグナス=S。】
「・・・・あのかた?伝説の賢者と同じ名前ですの?」
首を捻りつつも。
何か自分の体に違和感を感じざるを得ない。
それが一体何なのか・・。
シルフィールは・・・気付いていない。
彼女の魔力容量は・・・欠片を失ったことよにより極力変化している・・ということに。
「・・・ねえ?ガウリイ?」
「・・・・ん?」
ガウリイの意見に従って。
目的地をゼフィーリアに決めたはいいものの。
何か負に落ちない。
「・・・・あんた、ゼフィーリアにいって、どーするつもり?」
何となく口から出たその言葉に。
「そうだなぁ。とりあえず。お前の家族に挨拶・・かな?」
「・・・・・・・・は?」
一体何を挨拶するというのか。
きょとんとするリナに。
思わず溜息。
・・・・ふつう・・・挨拶といえば・・・ひとつしかないだろうが・・・。
などと思うが。
「あんたまさか!?あたしの父ちゃんたちに!?あたしの保護者してますっていうんじゃないでしょうね!?」
・・・・ずべべべっ!
そんなリナのかなり的外れの言葉に。
ガウリイは思いっきり地面とキスをしていたりする。
「???ガウリイ?どうしたの?」
まるで理解してないリナに。
またまた溜息をついているガウリイ。
「・・・・ま、いいさ。まだ時間はしっかりあるんだ。」
「・・・・・は?何のこと?」
ゆっくりと起き上がりつつ溜息ついているガウリイに。
きょとんと問いかけているリナ。
そして。
「ま、これからは俺も積極的になるとするかv」
「・・・・だから??何が?」
・・・・リナは分かってない。
ガウリイがどうしてリナの故郷に行きたいといったのか。
「・・・・俺もそろそろ・・我慢の限界だからな・・・。」
リナ・・・どんどん綺麗になってるしなぁ。
そろそろ本格的にアピールするとしますかv
などと思っているガウリイであるが。
そんなぽそりとつぶやくガウリイのその台詞は。
「あ!金貨発見!」
道端に偶然に落ちていた金貨に目を取られているリナには。
・・・・幸か不幸か・・・聞こえていなかったりする。
・・・・サイラーグを後にして。
ゼフィーリアにと向かうリナ=インバースとガウリイ=ガブリエフ。
だが・・しかし。
彼らは・・知らない。
自分達の知らないところで・・・魔王が力を取り戻しているということを。
・・・まあ、リナの姉である赤の竜神の騎士こと。
・・・・赤の竜神そのものがいる限り。
・・・・下手なことにはならないであろう・・・・・。
-完結♪-
HOME TOP BACK
#####################################
まえがき:
うっしゃぁぁぁぁぁ!!
今回で意味もなく続いた話もおしまいですv
いゃぁ・・・・。
まさか視点を変えて書いたら。
ここまで長くなるとは!(爆!)
前回の後書きでも暴露しましたが。
・・・・一番初めに考えてたのは・・魔王の一人称・・・だったんですよねぇ。
でも裏設定とか回りの出来事を入れるには。
一人称だと無理だから・・と。
チャレンジしている客観的視点・・・に切り替えたまでは・・いいけども・・。
・・・・・なぜに50話?(汗)
ま、何はともあれ!
最終回!エピローグです!!!!
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがきもどき:
薫:・・・・とりあえず。
只今原稿用紙状だという。
縦書きに挑戦しております(こらまて!)
あはは・・・・。
多分間違いなく・・挫折すること間違いなし!
うーん・・やっぱりワードにしてもテキストにしても。
横書きが・・楽だ・・・・(爆!)
メッセで講座をききつつ(教えてくださる星野さんサンクスv)
のんびりと頑張りますのですv
・・・とゆーか・・。
これに(ページ編集に)直接打ち込めばいいものを(笑)
私も・・・ねぇ?(笑)
まあ、関係ない今現在(2003年6月5&6日)の現状はおいとくとしてv
何はともあれv
薫:ようやくこれ!降魔への旅立ち!終了です!!!!
わぁぁぁぁぁぁぃぃぃぃ!
当初の魔王視点を変えただけで・・。
結構いろいろと問題発覚などしたりして(・・・おひ・・・)
いや、・・・・魔族サイドだけでなく・・。
回りの様子もいれたかったのよね・・・・。うんうん。
で、意味のわからないものになりはてた・・と(自覚あり)
ちなみに。
最後にリナガウをもってきましたv
え?
この後?
ガウリイ・・苦労しまくります(笑)
何しろストレートにいっても気付かない!(爆!)
・・・結局実家にいって挨拶しても気付かないリナだったとゆー・・・。
・・・・苦労しますなぁ(笑)←他人事
気付いたらいつのまにか。家族たちの手によって。
結婚式のはこびとなり・・で、新婚初夜で・・初めて気付くリナちゃんでした!(こらまて!)
とゆーよーなこの話の裏設定ですv(爆!)
ちなみに。
リナの結婚式には・・・なぜかゼロス達まで出てたりして(笑)
ちなみに、レイも(爆!)
リナはレイの正体・・知りませんv
ではではv
こんな駄文(自覚はあるのよ?文句・・・ありますよね・・あはは・・汗)
にお付き合いいただきましてv
ありがとうございますv
姫:ちなみに、旅立ちという理由は。
この後。
やはり勃発する第三次降魔戦争への序曲ということで。
薫:・・・・やっぱりほうっておかないでしょぅ・・。
竜王達も・・。
で、ルナの正体も発覚・・っと(こらこらこら!)
まあ、何はともあれv
姫&薫:お付き合いいただきましてvどうもなのですv
それでは、また(はあと)
座談会
薫:・・・・あれ?そーいえば今回・・エル様は?
姫:え?ああ、何でもあそことこことあっちと・・エトセトラ。
部下達がなってないとかいって。
視察コースにまわったけど?
薫:・・・・・・・・・え・・ええと。
深く考えないことにします・・(汗)
HOME TOP BACK