悪夢の夢(ドリーム・ナイトメア) ~エピローグ~  ~それぞれの・・~





「ごめんくださぃぃ。」
「はぁぁぃ。」
ふと見れば、玄関に誰かがやってきている。
「あ、すいません。ちょっと洗濯物を取り込んでしまうので。中に入っていてもらえます?」
いって。
「エリー!ゴメンだけど、お客さんの案内をお願い!」
家の中にと話しかける。
「はぁぁぃ!」
とたたた。
玄関より出てくる、十三歳のエリー。
ふわふわのストレートの癖のない栗色の髪が走るたびに、少しなびいているが。
「あ、すいません。いらっしゃい。どうぞ。」
にっこりと、微笑んで。
エリーは客人を招きいれた。




「くっ!」
あんな輩に我が負けるはずはない。
そうだ・・・。
あいつを困らせてやる・・・。
あいつには、愛妻がいたはずだ。
それを、我が寝ってやれば、一泡吹かせるな・・。
ふふふ・・。
とある国の貴族が。
ガウリイと手試合を申し込み。
無謀もいいところ。
あっさりと負けて。
それを逆恨み。
どうにか、ガウリイに一泡吹かせようと・・・。
その黒い瞳に、狂気と欺瞞に満ちた笑みを浮かべる。


「はい。どうぞ。」
かたん。
出された紅茶。
・・ふむ。
娘も悪くないな・・。
こんなにすんなりと警戒心なく招き入れるとは・・。
この子も・・・悪くない。
一人、頭の中で。
エリーもどうこうすることを考えめぐらせている男。
「あ、すいませんね。ちょっと、シーツ、片付けてきますので。」
リナが、両手一杯に。
シーツをもって、入ってくる。
結構、家族全員の洗濯物って、毎日でるのよね。
そんなことを思いつつ。
「ああ、手伝いますよ。」
「そうですか?すいません。」
人のよさそうな振りをして。
リナの持っている洗濯物を半分ひょいと持つ。
「それで?何の御用でしょうか?」
「いや、道場のことで、ちょっと。」
にこにこという男にまったく警戒を示していないリナ。


「よいしょ。」
ベットにシーツをセットしているリナ。
「ちょっとまってくださいね。これが終わったら、話をお聞きしますから。」
寝室に。
リナとこの男二人のみ。
カチャリ。
リナに気付かれないように、鍵をかけている男。
「いや、話なら、今から私が別の声を聞きますから・・。」
「・・・は?」
リナが振り向きざまに。
「・・・きゃ!」
足を引っ掛けられるリナ。
「おっと!すいません、足がもつれました。」
わざとらしくいって、リナをベットにと倒れこませる。



抵抗するこの女を羽交い絞めにして・・。
泣き叫ぶその声が、やがて喘ぎの声になって・・。
ふふ・・。
ざまぁみろ!ガウリイ!
などと、一人妄想しているが。


なななななな!?
みれば、足がもつれたようであるが。
自分の上にと倒れこむようにして覆いかぶさってきている男。
そして、その生暖かい、唇が、偶然ではあろうであろうが。
・・肌に直に触れる。
なぜか、手をつかむような形にこの男はしているのは、どういう意味か。
肌に触れたそのとたん。
全身に鳥肌が走る。
・・・・・ぷち。
「ディグボルトォ!!!」
バチバチバチィィィ!!!
「ぎゃぁ!?」
プスプスプス・・・・。
・・・ゴロン・・・。
「まったく!偶然とはいえ!乙女の肌に触れた罪は大きいのよ!」
黒こげになっている男をみて。
ぱんぱんと服をはたいているリナ。
「・・・・あたしに触れていいの・・ガウリイだけなんだからね//
そう小さくいって。
黒こげになっている物体をみつつ。
「・・・邪魔よね。」
いって。
「レビテーション。」
アレンジした呪文にて。
リビングにと浮かせ、移動させる。
「・・あれ?あたし、鍵・・かけたっけ?・・まっ、いっか。」
それで済ませて。
鍵をあけて。
黒こげの物体をそのまま、リビングにと呪文で運んでいくリナ。
アレンジしてあるので。
別に、これをかけるだけで、特定の場所まで勝手に魔法のみで連れて行くことが出来る。
「さて、あたしは、とっとと、全員のシーツの換え、すませておきましょ。」
何ごともなかったかのように、ぱたぱたと作業をしてゆくリナ。

「あ・・・そーいや、ガウリイにのお客さんだったっけ?ま、いっか。目が覚めたら、夢と思うでしょ。」 
全身黒こげになっているのに。
夢と思うわけはないのであるが。
自分が何をされそうになっていたか。
まったく、といっていいほどに。
気づいてないリナであった。



「・・・あーあ。こいつも馬鹿よねぇ。」
「ねえ?エル?回復魔法、かけなくてもいいの?」
「止めといたほうがいいわよ?エリー?」
リビングの一角で。
今やってきていた客をみているエリーとエルスィ。
「何で?」
キョトンとするエリーに。
「何でって・・・。今度は、矛先、エリーに向かうわよ?」 
エルスィの言葉に、きょとんとしているエリー。
エリーは母親に似て。
こういうことには、むちゃくちゃに疎い。
「へぇ。どういう意味かなぁ?」
にこにこにこ。
「あ、ユーリ、お帰り!」
ガウリイの剣術道場に。
指南役として、出かけていたユーリが戻ってくる。
「こいつ、リナに手をだそうとしたのよv」
「?え?お客さんでしょ?」
理解してないエリー。
「・・・・馬鹿だね。」
それでか。
この黒こげになっているのは。
その物体をちらりとみて。
ユーリが苦笑する。
「しかも、リナと一緒にエリーまでねv」
「・・・・何!?」
その言葉に、向ける視線に殺気がこもるが。
エリーはまったく気づいてない。


「ほぎゃぁぁぁぁ!」
「あ、カルが泣いてる!」
ふと、それに気付き。
ぱたぱたと子供部屋にとかけてゆくエリー。
「こいつ、確か、父さんに勝負を挑んでいって。ものの一秒もたたないうちに、負けた、あの国の貴族の馬鹿息子じゃないか・・。」
そういって、黒こげの物体を睨むユーリ。

ふと気付くと。
にっこりと微笑む男の子。
・・確か、あのガウリイの子供だったはず・。
なら、この子を傷つければ・・。
しかし・・・何がどうなったんだ?
あの女を押し倒したまでは覚えているが・・。
とことん、色ボケと勘違いに走っているこの男。
ユーリの微笑みの意味と、そして目が笑ってないのに。
普通ならば誰でも気付くと思うのであるが。

―ぎ・・ギャァァ!!!!


声にならない悲鳴が巻き起こる。
母やエリーに気付かれないように。
先に、喉をつぶしているのが何ともユーリらしいが。


「あら、ユーリ、何遊んでるの?」
ぱたぱたと。
カルを抱いて、リビングに出てくるリナとエリー。
リナとガウリイの一番下の子供。
まだ、数ヶ月にも満たない。
「いや、別に。エル姉ちゃんと、あそんでいただけ。母さん。」
「そうそう。」
「どうでもいいけど。そのお手玉はやめなさいね。」
ふとリナが見れば。
二人とも、黒い塊というか、ちょっと金色がかった小さな球を手にとっている。
これで、お手玉して遊んでいたのね。
そう納得しているリナ。
自分が扱えるんだから。
子供達が扱えても、不思議じゃないし。
それでリナは納得しているのである。
・・金色の王の力を。
「一応、この家には、強化が施してあるから。
  多少は大丈夫でも。普通の人なんかが、それに触れたら、まず死ぬからね。」
カルをあやしながら言っているリナ。
「はぁい。」
返事をしているエルスィ。
「?ねえ、母さん、この人、どうするの?」
エリーが先ほどより、なぜか症状がひどくなっている男を指差しつつ、母親であるリナにと問いかける。
「ああ。何かガウリイのお客らしいし。あいつが戻ってくるまで、このままにしときましょ。」
あっさりいったリナの言葉に。
「・・・回復魔法は?」
問いかけてくるエリー。
今、アンナとレオンは。
遊びに行っているし。
リリーとルルは。
ガウリイの剣術道場に出向いたあとで。
魔道士協会にと通っていたりする。
「いいのよ。偶然とはいえ、あたしの肌に触れたのよ!この男は!」
・・・・・・・・。
母さん・・・それ・・・・偶然じゃない・・。 
胸についた一つのあざをみつつ。
溜息一つついているユーリ。

そんなやり取りをしていると。
「只今ぁぁぁ!今もどったぞぉ!リナぁ!」
だだだ!
玄関から走ってくるように、そのままリナを抱きしめているガウリイ。
そして、いつものように口付け・・と。
「・・・・・・ん?」
「ガウリイ?」
キョトンとするリナ。
「ちょっとこい!」
「へ・・へへへへへ?」
そのまま、手を引かれて。
寝室にと連れ込まれる。


―どさ。 
「ちょ・・ガウリイ?」
何か怒ってる?
「・・リナ、この痣・・・どうした?」
つう・・・。
肌を伝う手。
「へ?痣?・・・ガウリイがつけたんじゃないの?」
視線を落とせば。
確かに、そこに小さな痣。
「いや、これは・・俺じゃない・・。」
「???あ、じゃあ、さっき、偶然にあの男が倒れてきたとき・・かな?」
その言葉に、ガウリイの目が据わる。
「何かされたのか!?」
「へ?ただ、何かシーツ、一緒にもって、寝室に入ってもらって。
  足がもつれたとかいって、ベットに倒れこんできたけど・・。・・ちよ・・・やめっ!」
「・・・・されたんだな?」
かなり低い声。
「何もないってば!ただ、反動で、唇が触れたから!ディグボルトをお見舞いしてやっただけで!
   ガウリイのお客らしかったし!リビングにいたでしよ!?」
ああ、あの黒こげの・・。
そう理解はするが。
「リナ・・お前、危機感・・なさすぎ。」
「・・・へ?」
きょとんと見上げるリナの表情。
「何いってるの?ガウリイ?」
「・・・・。」
「ちょ・・や・・・やだぁ//」
そのまま、無言で、リナの体をまさぐり始めてゆく。
「・・あ・・・・」
「俺以外のやつと、二人っきりになるんじゃない・・・。何かあってからでは遅いんだぞ・・。」
「こ・・んなことするの・・・あんただけ・・・あん・・。」 
まったく分かってないリナに。
溜息一つつきつつ。
「おまえの魅力、今日はとことん分からせてやるからな・・・」
「・・・馬鹿ぁ//」
いいつつ、手をガウリイに絡ませているリナ。




「・・・・ねえねえ、逃げたほうがいいと思うんだけど?」
黒こげになっている男に。
皆が止めるのにも関らずに。
回復魔法をかけて、復活させているエリー。
何となくだが。
父親の目が据わっていたのは・・。
気のせいではないであろう。
「でも、あんたも馬鹿よねぇ。ガウリイの妻っていったら。リナなのに。旧制、リナ=インバース。・・誰でもしっているわよ?」
エルスィの言葉に。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え゛?(汗)」

その場でしばし、固まる男。

「知らなかったみたいねv」
「まあ、自分で死刑執行の行動起こしたんだから。同情はしないけどねv」
それに、エリーにまで手をだそうとしようとしてたなんて・・。
ふふふふ・・・・。
ユーリの目はとことん据わっている。


「さて、リナとガウリイはしばらくまた出てこないからv今日は、あたしがご飯、作るわねv」
にっこりというエルスィに。
「きゃあ!エルのご飯っておいしいから好きv」
その材料はともかくとして。



しばらく後。

ゼフィーリアで。
一人の男性がしばらく行方不明になり。
そして。
発見されたときには。
自我が崩壊して、完全にと狂ったその男の姿が見られゆく。







どっがぁぁぁぁぁんんんんん!
「これぞ、直伝!!平和主義者クラァァシュ!」
どごごぉぉぉぉんんんん!
「母さん直伝!ドラグスレイブぅぅ!!!!」
神魔融合付きvv

どどがぁぁんんん!!

「何だ何だ!?」
静かな山間に響き渡る、爆発音。
見れば、煙の中に、佇む人影が三人。
どうみても、子供。
というか、かなり小さな子供。
こんな人気のない場所に。
子供ばかりが三人。
場所に似つかわしくない。
まだ、昼間であるが。
このうっそうとした森には。
ぶっそうだからといって。
滅多と人などは入ってこないというのに。
煙の中で。
仲間が、ばたばたと倒れてゆく気配がする。
「この世に正義があるかぎり!悪ののさばるためしはありません!」
「あんた達の溜め込んだお宝は、すべて有意義に使わせてもらうからv」
そう言い放っているのは。
どうみても、四歳前後の女の子達。
それと。
「うーん。手ごたえがないなぁ。」
いいつつ、辺りに落ちている剣で。
その剣圧だけで、ばたばたとなぎ倒していっている男の子。
それに、風の魔術が上乗せされているようであるが。
「何ものだ!?」
そのうっそうとした森の中。
彼らのアジトにて。
今日と昨夜の仕事の成果を確認し、酒盛りをしていた最中の、いきなりの急襲。
「とう!」
いうなり、その辺りの建物の上にと飛び乗っている一人の幼い女の子。
ぱっちりした瞳と、その、切りそろえられている髪が少女の愛らしさをかもし出している。
「この世に悪があるかぎり。正義の心は途絶えません!この、アリア=パロ=エルス=セイルーン!!
   正義の名前のもとに!仲良し三人組にて、正義の鉄槌を下します!」
そういう少女は。
どうみても、三歳前後。
しかも、丁寧に、一番高い建物の屋上に飛び上がり。
呪文も使わずに、その体術だけで。
ぴっと、彼ら・・盗賊を指差していたりする。
「んっふふふ♪そういうことでvv私達に素直にやられてねvv」
そう言っているのは。
栗色の髪に、一房、金色の髪が混じり紅い瞳をしている女の子。
こちらは、屋根の上の少女と同じくらいの年齢。
「おーい、アンナ、アリア、ほどほどにしとけよぉ。」
いいつつ、にこにこと。
その辺りの雑魚達を。
なぎ倒していっているのは。
金色の髪に紅い瞳の少年。
どう見ても、五歳前後。
「何を言ってるのよ!レオン君!悪人には手加減は無用です!」
「そうよ。レオン兄ちゃん。母さんも言ってるじゃないvv」
「『悪人に人権はない(ありません)!』ってね♪」
きっちりと、声をハモらせている少女達。
どどがぁぁぁぁん!
辺りには、炎が飛び交い。
がらがらがら・・・。
建物が崩れ行く。
「てめえら!あんな子供達に何してやられてる!」
その盗賊の頭が怒鳴るが。
すでに、その目には怯えの色。
「何やつだ!!」
頭の言葉に。
「ふん。悪人になのる名前はないの。」
さらりと。
髪をかきあげているアンナ。
「・・・・まるで、伝説のリナ=インバース並だな・・。」
一人のぽつりとしたつぶやきに。
「ああ、それ、母さん。」
「それ、うちの両親。」
「それ、アンナちゃんと、レオン君のお母さんです。」
きっちしと。
三人の声が重なる。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
ひゅう・・・。
しばし、無言の風が、盗賊達の中を駆け巡る。
え・・ええと・・・。
しばし、思考能力停止。
しばらく後に。
『な・・・・何ぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!?』
盗賊達の叫びがこだまする。
「ってことで!悪人退治!いっきます!」
「アンナちゃん、どんどんやりましょう!」
「まあ、付き添いってことで、簡便なv」
『まてぃぃぃぃい!!』

どっがぁぁぁぁぁぁんんんんんん!!!!!

ここに。
名のることすらも出来なかった盗賊の一味が。
また一つ、壊滅に追いやられていた。


「うーん・・・・。しけてるわね・・・。」
ぶつぶついいつつ。
姉から貰った、次元式の袋に。
彼らが溜め込んでいた、お宝を没収しつつアンナがつぶやく。
「さあ!この調子で!今日は、ここの森の中に、数点あるという!悪をすべてこらしめましょう!」
一人張り切っているアリア。

世界が広がり。
交流が広がるとともに。
治安もソレに伴い悪くなるというか。
それを悪用して、犯罪が激しくなってゆく。
まあ、彼らにしてみれば。
目新しい、物などが入ってくるのであるから。
それを狙わないわけはない。
そんなこんなで。
ちょっと、デーモンなどが。
少し住みついた森などには。
隠れ蓑として、こうした盗賊や、夜盗。
強盗などといった、犯罪組織が。
隠れアジトを作っていたりするこの現在。




「只今!母さん!父さん!」
ぴょん!
城に戻り。
母と父に抱きついているアリア。
「・・・・また、盗賊いじめか?」
あきれている父親でもあるゼルガディス。
「あら。治安もよくなってるんだから。そういわないでよね。叔父さん。」
にこにこと。
さらりといっているアンナの言葉に。
「・・・・リナにそっくりだな・・・。」
冷や汗をかいているゼルガディス。
「よくやりました!アリア!この調子で、正義を広めましょう!」 
「はい!母さん!」
親子して。
ぴしっと指を天井にむけ、ポーズを決めているアリアとアメリア。
「・・・・・はぁ・・・・。」
軽く頭を抱えるゼルガディス。
「・・・・うーん・・・・・。育て方・・・間違ってるのか?そうなのか?」
一人悩んでいたりする。
正義おたくなのは。
母親譲りであるアリアであった。

「あ、フィルさんに、何かいい情報ないかvvきいてこよっとv」
とてててて。
いって、王の間にと行きかけるアンナ。
セイルーンの情報網。
結構、かなりあてになる。
「というか、エル姉ちゃんに聞いたほうが・・早くない?」
的確なことをいっているレオン。
「だって、エル姉様だったら。何処にどれだけ、どんな人数で、どんなお宝があるのか。分かりすぎて、面白みがないじゃないv」
にっこりといっているアンナの言葉に。
「やっぱ、やるからには楽しまないと!」
完全に遊びの一貫で。
盗賊いじめをしているアンナ。
母親仕込みというところか。
「・・・・・・・・・・・・。」
一体・・・・。
リナとガウリイの子供って・・・・。
そんなことを思っているゼルガディスとは対照的に。
ふと見れば。
正義の口上のレクチャーを施している、最愛の妻でもある、アメリアの姿が目に入る。
「・・・・はぁ・・・。」
いつものことながら。
ゼルガディスは、深い溜息をついていた。


というよりか。
よくもまあ、三歳にもならない、皇女でもあるアリアを。
すんなりと、国外に出すことを許可するセイルーンもセイルーンである。




「・・・・ねえ?これって・・・何?」
湖となっているその中心にあるせい神聖木フラグーン。
その、根っこのところで。
一つの在る物を発見する少女の姿。
長い黒髪を一つに三つ編みにして。
「・・・何かの球(オーブ)のようだね。」
いって、ヒョイとそれを手に取っているのは。
少女にはっきりいって振り二つの少年。
ここ、サイラーグ。
魔道都市、サイラーグ。
ここに、魔道士協会本部が設置されてというか復活して。
ようやく、軌道に乗り始めているその矢先。
その、サイラーグのシンボルでもあるフラグーン。
魔力の道筋で、銀色に輝く木にと続いている道が。
かなり、観光名所ともなっていて。
復興には、かなり役立っている。
そこの神官長と、巫女頭の子供でもある。
ホープ=ラグナ=ラーダ。
アリス=ネステ=ラーダ。
よくよく見てみれば。
その球の中には。
「・・ねえ?何か人みたいなのが見えない?」
「とういうか、これ・・人だよ?」
その球の中には。
・・・どう見ても。
人間が入っているようにしか映らない。
それは、かつて。
フラグーンの根元にと。
埋められた人物であるのだが。
そんなことは知らない彼ら。
「シルフィール母さんに相談してみよっか。」
「それか、率直に、エル様に聞くか・・だね。」
両親がいないところでは。
一応様付けで呼んでいる彼ら。
「・・・何か、この人からは。魔族の気配もするんだけど・・。」
「というか、僕は、グレイワーズの血筋の気配を感じるけど?」
神と魔の神気と魔気を常に無意識に受けているというか、生まれたときから浴びている彼らは。
その再生をまっているその人物の本質を。
ずばりと見抜いていたりする。
シルフィールに留まっていた、欠片は。
それらは半分、子供達にと受け継がれ。
さらには、二人とも、金色の王の影響力もあり。
普通では、考えられない、魔力容量を生まれながらに兼ね備えていたりする。
まあ、それだけが理由ではないのであるが。
そんな会話をしつつ。
その、紅い球をもち。
帰路にと還り行いている、マリアとホープ。
母親同様に、ここ。
フラグーンの根元のある洞窟は、彼らの遊び場となっているのである。


「よっし!今日こそは!」
一人張り切っている女の子。
金色の髪が、印象深い。
「まあ無理はしないのよ?」
その傍らで。
いっている、橙色の髪をしている女性。
新、火竜王、シーメイ。
生まれたときから側にいる、このシーメイと少女は。
どちらかというと、友人に近い。
「今日こそ、叔母さんに勝つんだから!」
「はいはい。」
そういうシーメイの目は笑っている。
「クリス。無茶はしないのよぉ。」
にこにこと、バスケットを広げている、金色の髪の女性と。
「お、フィリア、これ、うまそうだな。」
青い髪が印象深いが。
「ヴァル、つまみ食いはだめよ?」
そういうが。
ひょい。
もぐもぐもぐ。
「うん、うまい。」
「もう、ヴァルったらv」
はっきりいって、二人の世界に入り込んでいるのは。
クリスの両親でもある。
フィリアとヴァル。
黄金竜フィリア=ウル=コプト。
現在名。フィリア=ウル=カーディア。
古代竜、ヴァル=ウル=カーディア。
この二人の間に誕生したのが。
この、クリスティーヌ=ウル=エンシェント=カーディア
両親の、黄金竜とも、古代竜の色とも。
似ても似てつかない、色のピンクの竜である。
それは、互いの力を兼ね備えているからであるのだが。
「今日はどっちが勝つかしらねぇ。」
「まあ、いつも、シーメイは手加減してるしな。」
剣の稽古と、魔術の稽古。
というので、よく手試合をしているクリスとシーメイ。
クリスにとっては、身近な師匠。
ほのぼのとした光景が。
繰り広げられている。



「うーん。ようやく、形になってきましたねぇv」
にこにこと。
辺りを見回し。
納得している男性一人。
「とりあえず、魔界も広めないと・・ねぇ。」
今までも。
一応、精神世界に、それなりの国を創っていたが。
そろそろ、本格的に。
人界、魔界、神界と。
分ける時期になっているのかもしれないし。
というか。
行動しないと、そろそろ怖い。
今、出かけている。
というのが、より一層に、なぜか行動力をひきたててゆく。
「そろそろ、はっきりと。ここの惑星でも区切っても。問題ないでしょうしね。」
そういいつつ。
物質化に余念がない男性。
「姉さんもやっているようですし・・・・。・・・まあ、どうにかなるでしょう。」
にこにことしつつ。
人当りのよさそうな笑みを浮かべている男性。
「魔王様・・・・・。只今もどりました・・・。」
疲れたような声を出しているのは。
銀色の髪の男性。
「ご苦労でしたね。グラウ。」
そういってねぎらっているのは。
この世界の魔王でもある。
赤の瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥ。
「それで?どうでしたか?」
いわなくても。
その表情から、何かしらつかめるようであるのだが。
「・・・・・やはり、レコードには・・載ってないです・・・。」
「・・・そうですか・・・。」
ということは。
やはり。
あの、リナ=インバース・・いや、今はリナ=ガブリエフでしたね。
あの、始めの娘の一人・・・・。
あの御方に関係があるのかもしれませんね・・。

・・・・・・・・・まさか、本人とは露にもしらずに。
一人、考え込んでいる魔王、レイの姿がそこにはあった。



盗賊も、魔族も。
存在に関係なく。
力のない者達にとっては脅威にしか他ならない。
その結果。
冒険者といった、存在などや。
傭兵、魔道士。
といった人々は。
まだまだ世間に必要とされる時代は。
なくなりそうもなく。
おおむね、世界は、平和に過ぎてゆく。


                         -終わり♪ー

       続きはあなたの心の中で……vv


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 あとがき:
    今回の後書きは♪スペシャルバージョン♪




まったく・・・・。
どうして、いつも僕が・・。
まあ、魔王様はともかくとして。
ゼラス様のためでないと・・。
やりませんよ・・こんなこと・・。
ぶつぶついいつつ。
あまりというか、近寄りたくない場所にとやってきている、黒い神官服の男性。
見れば。
その視界に。
小さな、二人の赤ん坊。
「エルスィ!エリー!すごいすごい!」
「おお!もう、五ヶ月なのに立てるのか!」
・・・・・・。
・・・・おかしい・・・と思わないんでしょうか・・・。
この二人は・・・。
まあ、でも・・。
リナさんとガウリイさんの娘ですしねぇ・・・。
人でいうところの世間一般の常識では。
五ヶ月で、すでに立てる。
というのは、かなり異常である。
手を叩いて喜んでいるリナに。
同じく喜んでいるガウリイの姿が精神世界から除き見るのに視えている。
「・・・まったく・・・。」
あの御方の何らかの干渉がかかっているだろうから、それを出来れば調査してくれ。
というのが、勅令。
渋るゼロスに出された条件が。
ゼラスと共に、しばらくの休暇を与える。
ということもあり。
引き受けたゼロス。
しばらく覗いていると。
ふいに。
「あ、そろそろご飯の準備しなきゃ。」
「リナvあれやってくれv」
「いや!///」
「ええええええ~・・・・どうしても?」
「う・・・今度だけだからね・・・・。」
「じゃその前に、それなりの行動をvv」
「・・・・馬鹿///」
真っ赤になってうつむきながらも、こくんとうなづいているリナ。
それを確認し。
ニコニコとしながら。
リナの手をひいて。
寝室にと向かってゆくガウリイ。

おやおや・・・。
これは、ちょうどいいチャンスかもしれませんね・・・。

やがて。
寝室の方から、喘ぎ声が聞こえ始めたのを確認し。
そのまま、赤ん坊達の方にと向かってゆく。

『・・・・何か遊ぶもの。ないかなぁ。』
声には出さないが。
いっているエリー。
『あ、じゃ、ちょうどいいのがあるわよ。』
いいつつ。
―ぐいっ。
「・・・・・へ?」
いきなり。
自分がいる精神世界に。
赤ん坊の手が入り込んでくる。
それだけならまだしも・・・・。
『これ、切り刻んで、積み木でもしましょv』
『あ、ソレ面白そうv』
やっぱり、人間になったからにはvv
子供の遊び、堪能しないとねvv
そう思っているエルスィなのであるが。
何が起こったのか、理解不能のまま。
そのまま、ゼロスの本体は。
何の先触れもなく細切れにとされてゆく。
「ちょ・・・ちょっとまってくださぃ!」
だくだくと涙を流しつつ、懇願するが。
相手は赤ん坊。
聞き遂げられるのか否か・・。
そんなことを考え張り巡らせるゼロスであるのだが。
「ほらほら、文句いわないの。ちょっと、切り刻んだだけなんだから。」
「そーそー。」
いっているその赤ん坊は。
まだ、五ヶ月というにもかからずに。
立ってる。
歩いてる。
・・・・話している。
・・・・・・すでに、頭は混乱気味となるゼロス。
しかも、その一人の手には。
黒い何かが握られていて。
その黒いナイフで、本体が切り刻まれてゆく。
「こ・・これって・・あの御方の力じゃないですかぁぁ!!(涙)」
涙もむなしく。
そのまま切り刻まれて。
遊び道具に改造されていっているゼロスの姿。


 数時間後。
「あら、そんなのぽいしなさい。」
真っ赤になりつつ。
それでいて、エプロンの上から、ガウンを纏っているリナが。
台所に行く前に。
二人の子供部屋にとやってきて。
遊んでいる、その黒い三角錐や、積み木もどきをみて。
そのまま。
「ラティルトv」
―ポシュ・・・。
一言のうちに、それは一瞬のうちに消滅してゆく。



「きゃぁぁ!?ゼロス?!どうしたの!?」
獣王の宮殿で。
ゼロスを介抱するゼラスの姿が。
約半月ほど。
見受けられていた。



「リィナvそれじゃ、駄目だぞぉ。」
「や・・恥ずかしい///」
後ろからガウンを脱がしているガウリイ。
「俺達以外には、誰もいないんだから・・な♡」
「だからって・・・絶対に今回だけだかんね・・///」
真っ赤になって、ガウリイを睨んでいるリナ。
それでも。
ガウリイの希望通りの格好をしていたりするのであるが。
さすが、新婚いまだに一年目にも満たないだけはある。
「それがそそるんだよv」
「・・・馬鹿///まだやる気?///」
「当然v」
「あ・・・。」
うーん。
裸にエプロンって・・・すっごくソソラレるんだよなvv
そのまま、後ろから胸を掴み。
そのまま、リビングで始めるガウリイの姿が見受けられていた。



「ねえねえ。エル、これ、使い終わったら、どうするの?」 
「何かのままごとというか。食事にでも使うように。冷蔵庫の中にでも入れときましょv」
「そーね。」
精神のみで会話しつつ。
しばらく。
ゼロスの破片で、遊びながら。
飽きたころには、食材として。
家の冷蔵庫にと入れているエリーとエルスィの姿。



「あああ!遅くなったわ!」
乱れた髪をそのままに。
あわてて、夕食の準備をしているリナ。
「リナ、手伝うぞv」
「あ・・当たり前でしょうがぁぁあ!!誰のせいで遅くなったのよぉぉお!!」
「もちろんvv俺vv」
「エリー達がお腹、空かせるでしょうがぁあ!」
すばこぉぉん!
おたまが。
ガウリイを直撃していた。




エリーとエルスィが誕生して。
まだ五ヶ月と少しのときの。
ガブリエフ家の日常的な風景の一つ・・・・。


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まえがき:

 こんにちわ♪
 ・・・まったく・・・・(怒)
 朝、起きて小説打ち込もうかと思って、とりあえず、一階に降りたら・・・・。
 ・・・・・・。
 ハナ(犬)の馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁあ!! 
 とんでもないことになってた・・・・。
 部屋が砂と土もぐれ・・・。
 猫草のセット・・・。 
 二つもぼろぼろにしているしぃぃ! 
 しかも、薬まで食べてるし!!
 ・・・・・馬鹿犬ぅぅぅぅぅぅぅぅう!!
 ・・・まだ六ヶ月とはいえ・・・(涙)
 落ち着くのだろうか・・・・(涙・・涙)
 こんなに悪い子・・初めてだわ・・・・・。
 ナナもチビもいい子だったのに・・しくしくしく・・・。
 まあ、愚痴をいいましたが。

いよいよラスト♪
 よくよく考えてみれば、一ヶ月で終わらせてますね。
 この全30話・・・・・。
 あはははは♪
 他のをサボってたのがよくわかる(爆!)
 それでは、予定がくるいまくったので♪
 本日中の打ち込み・・・怪しい私ですがいくのです♪



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あとがきもどき:


 姫:・・・・・・・・・・・・・・私の出番はぁぁぁ!!!!?
   薫:・・・・・・・ぎくぅ!ないです!(断言!)
   姫:・・・・へぇぇぇぇぇぇ(はあと)
   薫:ああああああああ!!
     すいませんなのですぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!
   姫:エルは、人間になってるし・・つまんない・・・・。
   薫:・・・・(似たようなことをいつもやってるのは・・すみれちゃん・・)
   姫:えいvv

  ―バシュ・・・。
  

  姫:さてさて。
     こんな駄文にここまでお付き合いいただきまして。
     ありがとうございますvv
     別に、エルや私が世界にいるからって。
     悪夢でも何でもなく。
     むしろ喜ばしいことでしょうにねぇ(はあと)
     それでは、皆様v
     この辺りで、失礼しますねv


  さて・・・。
    私は、もう少し、こいつの根性をたたき直しますかvv



  薫:い・・・いやぁぁぁぁ!!!!


  遺言:
     ―なぜかガウリイ・・・暴走しまくりですけど(汗)
      苦情等・・・・うけつけます・・はい(汗)
      ・・・・のりは、輝ちゃんののりだったはずなんだけどなぁ・・(汗)
      それでは。
      お付き合いいただきまして、ありがとうございますのです!―

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