ラストは冥王フィブリゾ一人称を含んでますvv
見果てぬ夢・番外編 ~フィブリゾ偏~第最終話~
「さってと・・・・。」
よし。
この辺りがいいだろうね。
噂はあっという間に広まるだろうし。
そのなりの間者も、まあ、直属の部下はいないけど、部下達に命じてあるから伝わるだろうし。
すぐに、ここの辺りにやってくるはずだし。
それに・・・・。
「ふぅん、どうやら、都合のいいときに、盗賊の焼き討ちがあったみたいだねぇ。」
くすぶる炎。
群がる死体。
まあ、別にどうってことないけど。
「坊や・・一人でどうした?ここは、危険だよ?」
いかにも人のよさそうな人間。
にっこり。
お得意の天子の微笑みを返しておく。
「いやね。僕の役に立ってもらおうかと思ってね。」
ふっ。
僕が手をかざすと。
ドオオオオオオオオオオオオンンンンン・・・・・。
大音響とともに。
その村は、あっという間に、跡形もなく壊滅してゆく。
人間ってもろいよね。
本当に。
「どうぜたったら、始めから何もないほうがやりやすいからね。」
にこにこ。
下手に残っているよりも、全て更地にしたほうが、作戦の仕様があるし。
それに、まだ生きてる人間も数名いたようだから。
とっとと殺して、支配下に置いたほうが、作戦の立てようがあるんだよね。
とりあえず、僕の精神で、村並をあっという間に再建させる。
この村の全てが僕の一部。
「さて・・と。」
ついでに、年寄りと女子供だけ、実態を与えてっ・・と。
死を操る能力。
だから僕はヘルマスターと呼ばれる。
ついでに、人の輪廻転生を視る能力も備わっているけどね。
「あとは・・・・」
とりあえず、形だけ、墓をかなり村並に立てておく。
やがて、目覚めたように立ち上がる人々。
僕のあやつり人形たち。
「さて、これから僕のいうとおりに動いてもらうよ?」
にっこりと、僕は彼らに言い放つ。
さて・・・。
下地はできた・・・と。
あとは、来るのを待つだけというのも何だし・・。
「じゃ、僕でかけてくるから。」
いって、服装をとりあえず、軽いものに変えておく。
さすがに、キチンとした綺麗な服だと、おかしいし。
がさ・・・。
茂みが揺れる。
「誰です?」
茂みの方に向かって声をかける男性。
「あ・・・人?」
聞こえてくる声は・・子供。
「子供?どうかしたのですか?」
「レゾ様、どうやら、この子、怪我を・・・。」
傍らの女性が真っ赤なローブに身を包んでいる男性に語りかける。
「それはいけませんねぇ。どれ。」
いいつつ手をかざすと。
あっという間に怪我がふさがる。
「あ・・・ありが・・・・。」
どさ。
「きゃぁ!僕!?」
茂みから出てきた子供は、そのままその場に崩れ落ちた。
「う・・・。」
身じろぎながら、うめき目をあける。
「気がついた?僕?どこからきたの?」
びくり。
子供が怯える。
「およしなさい。エリス、怖がっているじゃないですか。」
優しく子供に語り掛ける男性。
「・・・だぁれ?」
「私は、レゾといいます。君は?」
問われて。
「・・・・・・フィー・・・・。」
子供は困惑したように言葉を発する。
「あんなところでどうしたんですか?」
その優しい口調に、安心したのか。
「・・・あのね、村から盗まれた村の宝、取り戻しにいくところだったの・・。」
「・・・・村?」
子供の声に顔を見合す男女。
「うん。村・・・この前・・・盗賊に・・。」
ぐすん。
目に涙がたまる。
ぽんぽん。
「それで、一人で?」
「だって、誰かがいかないと・・・大変なことになる・・・。」
「おじちゃん、魔道士?だったら・・お願い!あれ、取り戻して!!お願い!」
しがみついてくる子供に、困惑する男性。
かなり一人で危険な目にあったのか。
今は服を着替えさせたので、そうでもないが。
元着ていた服は、かなりぼろぼろに破けさっていた。
顔色も疲労がはげしく、栄養失調にみえるほどに顔色がわるい。
それは、目の見えない彼にとっても、気配ですぐにつかめていた。
「・・・話をきちんとしてもらえる?」
女性の言葉に。
こくん。
漆黒の肩の辺りまでウェーブのかかった髪の美まごうばかりの美少年は、うなづいた。
「フィーさま!!よく無事で!」
子供を連れて子供が案内した村にたどり着くと。
そこは、まるで、瓦礫の山。
かろうじて、急いでたてる気もなかったのか。
生き残っている村人達は、ひそんで、村はずれの山影に潜伏し。
そこに一つの集落を作り出している。
わらわらと出てくる、みれば、女子供や年寄りばかり。
「この子、この村の子ですね?」
ふと、少年が彼らをみる。
「・・え・・ええ。ようこそ・・。といっても、今は何もないですが・・・。・・・どうぞ。」
長老らしき人に導かれ、掘っ立て小屋へと入ってゆく、レゾとエリス。
互いが自己紹介を終えると。
「それは!では、彼方様が、伝説の赤法師レゾ様!」
「いやぁ、そんなたいそうなものではありませんよ。」
にこにこという男性ーレゾ。
「私は、レゾ様に使えてます、エリシエルといいます。」
側の黒髪の女性がいう。
「そうですか・・。」
ちらり。
つれてきた子供の方をみると。
「ねえ、おじいちゃん、この人達に頼まない?そもそも、あれをこの村で守るのが危険だったんだよ。・・・・だから・・・。」
ぎゅ。
服にしがみついている。
よっぽど怖い目に遭ったのか。
「私でよければ、話だけでもお伺いしますが?何か手助けができるかもしれませんし。」
人のいい笑みを浮かべていうレゾに。
「・・そうですね。では、お話ししましょう。」
いって、静かに語りだす。
「この村は、数週間前、盗賊に襲われ壊滅しました。
ごらんの通り、生き残っているのは、我ら年よりと歳はのいかない、女子供のみ。」
言われてみれば、村のあちこちに、簡易の墓がたっていた。
「この子は、この村の神官の長の子供だったのですが・・。親はすでに・・。」
いいかけた長老の言葉に影がさす。
おそらく、殺された。
というのを安易に語っている。
それを子供の前でいうのをためらっているかのように。
「でも、どうして、こうまで徹底的に盗賊たちは村を壊滅したのですか??
それに村人たちまでもが被害に????」
エリスが疑問に思い、聞き返す。
普通、盗賊などに襲われてももう少し生き残りとかいるはずである。
女子供、そして老人だけ、というのは普通に考えては通常の賊などにおいてはあまりありえないこと。
「それは・・・彼らは、徹底的に容赦なく殺戮をしましたので・・・。
どうにか残ったわれら数十名が、こうしてこの場にいるのみ・・。」
そういえば、女子供、そして老人、という村人といえどもかなり数が少ない。
ここは、結構大きな村で、そこそこ繁栄もしていたはず。
「でも、どうして襲われたのですか?」
その言葉に、しばし口を閉ざす。
「ここに、オリハルコンの女神像があったから。」
ふいに。
横から助けてここまでつれてきた子供の声がする。
「??」
そんなこと聞いたこともない。
そういう高価な品があるのなら、噂にくらい上ってもいいであろうに。
その思いを汲み取ったのか。
「フィーさま・・・。」
長老が何かいいかける。
「赤法師レゾにだったら、いいんじゃないの?というか、取り戻して、彼の手で保管してもらったほうがよくない?」
子供の視線が長老を射抜く。
「・・・?どういうことです?」
「ずっと、村が隠していた品物。それが、オリハルコンの女神像。
それが世にでると、世界が滅ぶって代々神官長に伝わってて。・・それを盗賊達は盗んだんだ・・。」
いって、子供は顔を伏せる。
「・・世界が滅ぶ?」
エリシエルの言葉に。
長老が視線を上げて。
「・・・・・・有名なレゾ様なら・・・・・・・・『賢者の石』は、ご存知であろう?」
しばし、レゾは硬直した。
賢者の石。
それは、伝説の中に何回か登場し。
見習い魔道士によって、国が滅んだこともあるという。
強大無比な魔力増幅器。
「女神像の中にそれがあるのをしって、盗んだのかどうかは分からない。多分しらないんだろうけど。
あれだけ純度の高い純粋なオリハルコンで作られた女神像。かなりの値打ちものだから。」
子供の言葉に。
「実は、そのオリハルコンの女神像のなかに、賢者の石が封印されていましてな。
オリハルコンであるならば、魔力が遮断できますがゆえに。」
内心、レゾはほくそえんだ。
それなら・・・目を開くことができるかも・・・・。
どれだけ研究し、白魔法、黒魔法を極めようとも。
絶対に開くことのない、己の目。
「レゾ様!」
エリスが自分をみるのがレゾには分かった。
目が見えなくても感じることはできるのだ。心の目で。
こくん。
小さくうなづく。
「もし、あれが世にでて、災いを運ぶ、とかは僕はどうでもいいの。ただ・・あれは、もつべき人がもつだとおもうの。
・・・だから、もし、取り戻せてくれるのなら・・。見つけてくれたら、おじちゃんにそれあげてもいい。」
淡々という子供。
「フィーさま!」
あわてる長老に。
「両親がいない今となっては、僕があれの継承者?違う?」
見つめられ、そのままその場に黙り込む。
「決まりだね。」
「約束しよう。必ず、それは、取り戻してあげるよ?・・僕もくるかい?」
そういい、少年の頭に手をのせるレゾに対し。
「いや、僕は、することがあるから。」
いって、かりそめの村を見渡す少年。
小さいのにしっかりしている。
そういえば、どうしてこの村が襲われたのか。
噂を聞いたときには多少不思議だったのだ。
だから、ちょっと気がむいて、この村に近寄ったときに。
偶然にこの村の子供を助けただけ。
だが・・。
こんなにいい収穫があるとは。
しばし、しばらく逗留し。
レゾとエリスはその集落を後にした。
「・・エリス、しばらく付き合ってもらうけどいいかい?」
「何なりと、レゾ様のお側にいられるのでしたら。」
「道が開けた。賢者の石・・か。」
くすり。
笑うレゾ。
「とりあえず、万が一のために、別のコマも用意しておこう。・・いくぞ。エリス、サイラーグに。」
「サイラーグの研究室ですね。分かりました。・・賢者の石はどうします?」
「・・・・もう少ししたら、手ごまを増やす・・・・。」
にっこり。
笑ってレゾは、その場から掻き消えた。
空間移動など、お手のものにまで魔力を極めたのにも関らず。
未だに、切望する己の目は・・開こうとしない・・・・。
立ち去る二人を見送る村人達。
「ごくろう。よく芝居してくれたね♡」
ぱちん♪
にっこりと、少年が指を鳴らすと。
跡形もなく掻き消えてゆく人々たち。
いや、すでに死んでいたのをかりそめの肉体を与えられていたのにすぎない。
彼の力で保たれていた村並も、あっという間に、散々たるものと化す。
「・・これで、後は、勝手にあの人間が魔王様を復活させてくれるのをまつだけと。」
ふと。
「ゴルアス、あの人間の配下になって、様子を伺え。」
「我ごときに勅命、痛み入ります・・・・。」
虚空から声が響き。
それは、瞬くまに掻き消えた。
「さぁぁてと♪とりあえず、これで、よし♪あとの残りの欠片を捜さなくちゃ♪」
にっこり。
少年は笑い。
その場から掻き消えた。
「フィブ、賢者の石の情報・・彼にもらしたんだって?」
「ああ、ゼラス。そっちはどんな具合?」
同僚の言葉に。
僕はくすくすとわらう。
「どうやら、ゼロスの報告だと、ガーヴが何かまたしているようだけど。・・・・魔王様はほっといていい。といわれていたけど・・。」
「まあ、そのうちに、考えようよ。ガーヴには、生粋の魔族に戻ってもらわなくちゃ、困るし。」
それでなくても、間違いなく。
一つの欠片は、お母様の元に出向いているし・・。
・・・・考えるのよそう。
怖いから。
「とりあえず、近い将来、彼、目覚めるよ。おのずから。」
人とは愚かなもので。
自分の力を過信する。
その結果が、自分達には、都合のいい結果となりえるのだけれど。
「ま、貴様がいうのなら、私はいいけどね。」
「・・・ゼラス、・・まっ、どうにかなるよ。」
「じゃ、私はこれで。」
「何?またデート?」
「いけない?部下と出歩いちゃ?」
「・・いや・・いいけど・・・。」
どうして、こうなのだろうか?
まあ・・ダルフィンよりはましだろうけど。
そのうち、結構便利だから、ゼラスからゼロスを借りて何かしてみよう。
まあ今でも雑用はよくお願いしているけど。
消え去る同僚であり、獣王であるゼラス=メタリオムをみつつ。
どこか苦笑を僕は覚えていた。
「さて・・今度こそ、成功してよねvv」
静かな冥王神殿に主のくすくすと笑う声がこだまする。
復活のための場は整った。
それに対抗するための、力も。
あとは・・・・・。
シャラン・・・・。
ぶんぶんぶん!
必死で剣の練習をしている自分の血筋。
彼の直系の血筋に当たる、曾孫。
いつのころからか、強くなりたい。
と願っている孫。
「・・・強くなりたいか?」
問いかけに。
しばし呆然とした彼は小さくうなづいた。
「私の手伝いをするなら、力を与えてあげましょう。どうです?・・・ゼルガディス?」
黒髪の十ニになったばかりの青年は。
何も考えずに、ただ、力を欲してうなづき。
そして……
シャラァァァンン・・・。
レゾのもつ仗が怪しく光った。
それは・・・・・・・・
リナが旅立つ直後のこと。
運命の輪は。
悪戯によって、大きく回転を始めた。
-番外編終わり♪ー
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あとがき:
かお:・・・・終わりましたぁぁぁぁ!!
ちなみに、レゾが賢者の石の情報を知ったのは・・・・フィブリゾのたくらみでした(爆!)
姫:ついでにいうなら、このとき。リナ、十歳。ルナ、十四年。
ゼルガディス十二歳。ガウリイ十八歳。アメリア十歳。ナーガ(グレイシア)十二歳よ♪
かお:・・・そーです(汗)
年齢表・・つくってるんですよね(笑)これは(爆!)
だって、登場人物が多すぎて・・(爆!)
これから、三年後。ゼルガディスはリナと出会うのですが(笑)
この辺りののりは、テレビ版ののりですな(爆!)
ま・・・あぶなすぎて投稿しませんがね(汗)
姫:それでは、ながくお付き合いいただきまして♪
かお&姫:ありがとうございました!!
かお:・・・で?エル様は?
姫:どこかにお仕置きしに降りたみたいよ♪
かお:・・・・聞かなかったことにします・・・(汗)
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