まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

う~む。白のハルシフォムの出番がなかなか……
いつになったら、母娘の会話できるかな~(こらこら
とりあえず、頑張ってこの二巻分を完成させるのですv
というか…企画小説よりもこっちのほうが先にできそうな予感がひしひしと(汗
何はともあれ、いっきますv

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If  ~もしも…~合成獣キメラ軍団~

魔族との契約。
かつて、魔族と不死の契約を交わした魔道士などは幾人もいたらしい。
そのあたりの知識は姉ちゃんなどから嫌でも叩き込まれている。
表立っての記録にはまともに残っていない闇の記録。
だがしかし、魔族との不死の契約というものは、完全なる不死ではなく。
あくまでもかりそめのもの。
魔族と不死の契約を取り交わしたものは、自らの魂を契約の石とやらに基本的には封じ込めるらしい。
そして、そのかりそめの不死を手にいれたものは、たとえ斬ろうが突こうが何をしても死ぬことがなく。
契約を交わした若さのままで生きるという。
とはいえ、契約の石が打ち砕かれたとき。
または、もしくは約束を交わした魔族が滅びを迎えたとき、その不死は失われる。

「それを知ってから…わしは、かつて永遠の命の探求が全盛を極めたころの資料を調べあげ、
  なんとかあやつを倒す方法をさがした。
  むろん、評議会やリトハーン公に相談する。という手もおもいついたんじゃが……
  そうしたところで奴を封じる手が無いのでは話にもならんしの。
  あれを滅ぼすことのできる方法は決してすくなくない」
「すなわち。契約を交わした魔族を倒したとき。またはあるいは契約の石を打ち砕いたとき。ですね」
さすがにこの辺りはルルも知っているらしく、タリムの台詞に続けざまに答えていたりする。
たぶんおそらく、そのあたりはレゾから得ている知識なのだろう。
「もしくは。契約を交わした魔族よりも高位の魔族による干渉があった場合。
  すなわち、よく知られているところでいえば、この世界の魔族の王。
  赤眼の魔王ルビーアイの力を借りた呪文。
  つまりは竜破斬ドラグスレイブなどをもってすれば契約を交わしている相手だとて倒すことは可能」
続けざまに言う私の言葉に、
「でも、リナンさん。竜破斬ドラグスレイブ…って、簡単にいいますけど……」
横でウィルが突っ込みをいれてくる。
「たしかに。街中でつかったりでもしたら。
  こんな街くらいあとかたもなく手加減してもある程度はクレーターになるけど。
  まあ、高位の存在の干渉ってあれだけじゃないし。呪文的には」
先日つかった重破斬などの力の源。
という手もある。
…あんまりはっきりいってあの力は使いたくないのが本音だが。
もしくは、てっとりばやいのは暁の竜神フレアドラゴンの力かもしんない。
ゴルンノヴァ光の剣の力が回復していればあれにやらす。
というのが一番てっとりばやいのだが。
「一番確実なのは。契約の石を見つけ出して壊すのが確実ですわね。
  それだと回りにも被害はでませんし」
ルルがしばらく考え込むように、一番いい方法を模索しながらいってくる。
「まあ。それはそうじゃ。それはそうじゃが…問題は、石を見つけることができるか。どうか……
  そもそも、その石とやらがどんな形をしているのかすらわからんのじゃよ。わしもそれゆえに、
  結局はそのころハルシフォムのやつとの仲が険悪になっておったデイミアを、
  評議長の椅子は欲しくないか。なんぞとたきつけて、
  ハルシフォムを封じ込めるにとどまったわけじゃが……」
いって再び目を閉じるタリムの姿。
「ですから。あのとき事情もわからずに開放するのはどうか。といいましたのに……」
ため息をつきながらも、横にいるウィルにそんなことをいっているルル。
…そ~いや、ルルは止めたっていってたっけ。
ま、ウィルがそれで聞くはずもないけど。
「で、でもっ!白い服をきていたんですよっ!?」
そんなルルの台詞にきっぱりと何やらいいきってくるウィル。
「「「「…それに何の意味が……」」」」
思わず私達、つまりは私、ルル、ララだけでなくタリムの声まで重なってるけど。
「白い服を着ている人は、いい人にきまってますっ!」
がくっ。
きっぱりはっきり言い切るウィルの台詞に思わず全身から力が抜ける。
…どうやらタリムとて同じ思いを抱いたらしい……
「まあ。過ぎてしまったことはしかたないとして。とりあえずほうっておくわけにもいかないし。
  始末は私達でつけますよ。ハルシフォム評議長は私達がとめてみせます」
というか、このまま放っておいたらそれこそ私の命はない。
…いや、ハルシフォムとかセイグラムとかが怖い。
というのではなく、何といっても郷里の姉ちゃんの反応が……ぶるっ……
そんな私の決意を込めたその台詞に、何か思うところがあったのか、
「すまんの。初めからきちんと説明しておけばよかったんじゃがの。
  おまえさんたちの実力に気づきながらも評議会の体面が傷つくことを恐れ、
  事実を誰にも打ち明けようとはしなんだ……それがそもそもの間違いじゃった。
  おまえさん達になら、あやつを倒すことが必ずできる。とわしはおもっておる……」
いって再び目を閉じて、そしてしばし何やら考え込んだような表情をした後に、
「今のわしには、アドバイスを何もしてやることなどはできんが……
  気をつけていってくるんじゃぞ。と、あやうく言い忘れるところじゃったが、この部屋をでていく前に。
  わしの願いを一つ、きいてやってはくれんかの?」
静かに目を閉じたままでいってくるそんなタリムの言葉に、
「何ですか?私達でできることならば……」
ウィルが多少申し訳なさそうにと答えてるが。
どうやら多少というかかなり、自分の独断でハルシフォムを解き放ったことに対して罪悪感をもっているらしい。
「この…わしの入っておる水槽からはみ出した、このいまいましいチュープを、
  ちょっとひっこぬいてくれんかの?」
『!?』
さらっといってくるタリムの台詞に思わず声を失う私達。
彼の不安定な命をかろうじてつないでいるのは、今かれがいった色とりどりのチューブであることは明白。
当然、彼とてそんなことはわかっているはずなのだが……
「でも。それって殺してくれ。といってるのでは……」
判っているのにわざわざ確認をしているのは、ルルらしいというか何というか。
「で…できませんっ!そんなことはっ!」
即座にウィルがそんなタリムに対して言ってるけど。
「たのむよ。確かに、わしは今も話をすることもできるし、水を震わせて言葉を紡ぐこともできる。
  じゃがの、これはこれでかなりつらいところがあっての。
  それにこれでは好物のハマキをすうこともできんし、うまいものを食うこともできんて。
  こんな生なんぞ、何の意味がある……紫のタリムはもう死んだんじゃよ……」
彼の言いたいことはわかる。
どこをどうして生きている、というラインをひくか。
というのは人それぞれ。
確かにこれでは生き殺しといって過言でない。
「ですけど、それでもあなたはまだいきていますっ!」
「!よけろっ!」
ウィルが叫ぶのと、ララが叫ぶのとほぼ同時。
背後に殺気が膨れ上がる。
「よけるんじゃ!あんたらっ!」
ララの声とほぼ同時に発せられるタリムの声。
そのまま反射的に身を翻す。
呆然としているウィルの手をひっぱってウィルもまた横にとひっぱる。
それとほぼ同時。
強圧的な破壊力をもった風がそんな私達の目の前を駆け抜ける。
たった今まで私達が立っていたその空間を。
それは私達が止める間もなく、タリムの入った水槽を粉微塵に打ち砕く。
『――!?』
それをみて、思わず声にならない声をあげているウィルとルル。
私は…ただ静かに、攻撃が飛んできたほうこうをララとともに見つめ返す。
「あら。外れてしまいましたわね。おほほほほ。
  もう少し気づくのが遅ければあなたたちにきちんとあたっていたでしょぅにね」
私がみているその先にたたずんでいるのは一人の白い服を纏っている人物。
この場にそぐわない何とも陽気な声。
「なるほど。あんたが白のハルシフォム。始めまして。というべきかな?」
警戒を解かずにそちらにむかって話しかける。
そこにたたずんでいるのは真っ白いローブをまとっているぱっとみため男性にも見える女性。
なぜ男性に見えるのかといえばいたって簡単。
ローブの形式が男性のものにほかならないがゆえ。
女性用のローブはもうすこしゆったりとした形式のはずである。
「ハルシフォム評議長さん!?これはいったいどういうことなんですか!?」
その姿をみてウィルが悲鳴に近い声をあげながら問いただす。
判りきったことを聞く、というのは彼とて色々心のうちに葛藤があるがゆえであろう。
「あらあら。そう怖い顔で叫ばないでくださいよ。
  私はただ、あなたがたを楽に死なせてあげよう。そうおもっただけなんですから。
  ああ、でもそのおかげで貴重な実験サンプルを一つ失ってしまいましたけど」
「さ…サンプル!?あなた、人の命を何だとっ!」
「ウィルさん。おそらくいっても無駄ですわ」
にこやかにいってくるハルシフォムの台詞に憤り、叫ぶウィルを静かにルルがたしなめる。
「まあ、結果は同じですけどね」
にこやかにいいながら、呪文を唱え始めるハルシフォム。
…まずいっ!
すばやく対抗するべき呪文をこちらも唱え、
炎の矢フレアアロー!!」
誘蛾弾モスヴァリム!!」
「なっ!?」
ハルシフォムが放った炎の矢は、
私が放った不規則な起動を描く白く輝く光の球によりことごとく撃墜される。
それをみて驚いたらしく小さく声をだしながらその場にたたずむハルシフォム。
そして、それを好機とみてか、
冷氷陣デモナクリスタル!!」
すばやく状況を判断したらしくルルが続けざまにそんなハルシフォムにむかって呪文を解き放つ。
ピシッ…ビシビシビシッ!
「…くっ…!?」
さすがに続けざまに呪文がくるとは思っていなかったのか小さく呻いてそのまま、
ルルの放った氷の中にその場にて閉じ込められるハルシフォムの姿。
「これでしばらくは時間がかせげますわ」
そういってくるルルの言葉に、
「でもそんなに時間はないはずだ。早く契約の石を!」
今の私の魔力では神滅斬ラグナブレードでハルシフォムをぶった切る。
というのはちょこっと無理があるとおもう。
完全版ではなく不完全版ならば使いこなすことは可能であろうが。
…それを相手があっさりと受け止めてくれるかどうか。
何しろ相手はまがりなりにも魔道士協会の評議長を務めていた相手である。
また、魔族セイグラムがどこからでてくるかわからない。
そんな状況の中でバクチをする気はさらさらない。
魂そのものがあの肉体の中に無い以上、ララのもっているゴルンノヴァで普通にきりつけても、
それはハルシフォムを殺すまでには至らない。
…まあ、【喰らう】のならば別であろうが。
「というか。リナンさん?今の術……」
氷づけになったハルシフォムの横を走りぬけ、地下室から抜け出る私に対しウィルが走りながら聞いてくる。
「ああ。ちょっと火災消化用の呪文に若干の手を加えただけだから。それより。いそぐぞっ!」
何しろ時間との勝負である。
おそらくすぐにハルシフォムは氷の中から開放されるであろう。
出入り口にたどり着くと同時に、振動弾ダムブラスをルルと同時に発生させ通路の出口を潰して埋める。
とはいえこれで時間稼ぎに余裕ができた…というほどのものでもないのだが。
「しかし。契約の石…今の地下室にはないのでしょうか?」
素朴で、それでいて不安になりつつつぶやいてくるルルに対し、
「絶対に地下室にはないっ!」
きっぱりはっきりと断言する。
そう。
おそらくは……
「?その契約の石、というのはそもそも何ですの?」
ララが未だに多少猫かぷりてきにそんなことを今更ながらきいてくるけど。
…あうっ。
「ゴルンノヴァにでもきけっ!」
思わず叫んでしまう。
つうか、それくらいおしえとけ。
仮にも異世界の魔王の腹心がマスターとして選んでる人間だろうが。
そんな突っ込みをしたくなってしまうのは…仕方ないとおもう。
「それもそうですわね」
それでいともあっさりと納得し、
「ゴル?で?何ですの?」
などと腰に挿している剣にむかって問いかけているララ。
『……マスタぁぁ~~……』
それと同時に何とも情けない声がララの腰の辺りから聞こえてくるが。
「?またあの声……ララさん。とりあえず契約の石、というものは。
  その契約を交わしたものの魂を封じている。ともいわれているものですわ」
その声に首をかしげながらもルルがご丁寧にもララにと説明していたりするし。
「?つまり、それって人の気配をしている石を探せばいい。ということですの?」
「ま、簡単にいえばそうだけど」
そんな会話をしているさなか。
ギィ……
私達がいた部屋の先にとある扉がひとりでに開く。
そして、そこにたっていたのは。
その手にランプをてにしている赤い髪の女性が一人。
確か、ハルシフォム評議長のところのあのルビアとかいう女性である。
「らっき~!さって。教えてもらえるかな?
  ハルシフォム評議長の大事な契約の石。それはいったいどこにあるのか。を」
にこやかにいいながら、手の平に光の球を出現させてそんな彼女のほうにとむけてゆく。
別に脅しているわけではない。
正真正銘、誠意ある交渉である。
なぜか私の手の平に生まれた光の球を怯えた様子でしばし見つめ、
そして交互に私達全員を見渡した後、
「……それが…その石があれば…あの人を…とめられるのですね?」
瞳に深い悲しみの色をたたえながらも、静かに震える声でいってくる。
そんな彼女の台詞に交互に顔をみあわせ、
「?どういうことですか?その、止められる。というのは……」
戸惑いながらも問いかけているウィルであるが。
「わたしは……わたしは、あの人がやっていることを知っていました。
  何度ももうこんなことは止めて欲しい。と説得しました。けれど、やっぱり……」
そんなウィルの問いかけに唇をかんで下をうつむく。
どうやら彼女にも出来なかったらしい。
あのハルシフォムを止めることは。
だからこそ、あのとき私とララにいったのであろう。
この一件には関わるな。
と。
タリムとデイミアに封じられたハルシフォムを二度と解き放たないために。
これ以上の犠牲者を出さないために。
「誰かに相談しよう。とかおもわなかったんですの?」
そんな彼女にと珍しく話しについてきているララが問いかけていたりするけど。
はうっ。
根本的によくわかってないようである。
「あのな。いえなかったんだよ。彼女は。確かに、このことを誰かに相談するのはたやすい。
  その誰かがハルシフォムのやっていることを公表して糾弾することも簡単。
  だけど、もしそれでハルシフォムが開き直って牙をむいたとき。
  あのハルシフォムを止めることができる人は一人として存在していなかった。
  つまり、そういうことなんだろ?」
そんな私の言葉にこくりとうなづくその彼女。
「それで、その…あなたは?」
ルルがおそらく何となくであるがわかっているであろうに念のために確認をこめて問いかける。
「わたしは…ルビアといいます」
うつむき加減にそんなルルの疑問に静かに答えてくる目の前の女性。
「でも。いいんですか?私達があのハルシフォムを止める。ということは。
  それは即ち、あのハルシフォムを倒す。ということになりますけど……」
戸惑いぎみに、それでいてはっきりと相手の意思を確認するためにと再び問いかけるルル。
…言いにくいことをけっこうずばずば聞くなぁ。
ルルは。
もしかしたらこういったことは慣れているのかもしれない。
私はこういったことに幾度か巻き込まれ経験したりしているが、未だになれないのが現実だ。
「わかって…いるつもりです……」
その瞳に悲壮なまでの決意を込めて、多少瞳に涙をうかべながらこくりとうなづいてくるルビアと名乗った女性。
……姉ちゃんに、女子供は泣かすことなかれ。
と、とことん叩き込まれているが、こういったときに何といっていいものか……
と、とにかく話題を変えよう。
「とりあえず。契約の石のことなんだが……」
問いかける私の言葉に、
「それでしたら。あのひとが以前、占いしがよく使うような水晶球ほどの大きさの……」
ゴウッン!
彼女の言葉をさえぎるかのように、くぐもった轟音が地下室のほうから響いてくる。
って、まさかもうあれを突破した!?
……どうやら伊達に魔道士協会の評議長の地位にいたものではないらしい。
……攻撃呪文などにたけているようである。
出来れば、机の上の議論上のみの研究一筋のタイプであってほしかったが……
もっとも、戦闘用の合成獣キメラ等を多数作り出している点で、
すでにその可能性はきっぱりと失われていたのではあるが。
「とにかく。どうやら時間がないようですわ。そこに案内していただけますか?」
ルルですらその声に多少あせりをにじませながらも、ルビアに対して語りかける。
「わかりました」
いって彼女は私達を案内しながら、屋敷の中を駆け出してゆく。

通路を走る私達の背後に異様な殺気が追いすがる。
ちなみになぜか複数。
「……あ゛~……」
それが何なのか思い当たり、思わずため息ともいえない息をつく私とは対照的に、
「って!?何ですか!?あれはっ!総動員じゃないですかっ!」
何やらそれをみて叫んでいるウィル。
だがしかし、さすがはウィルというか何というか。
「あなたたち!悪事に手をかすとは何事ですっ!」
それらにむかって説教をはじめているウィルだし。
「…彼等にそれは無駄だとおもいますが……」
そんなウィルに対してものすごく的確なことをいっているルル。
私達に対し、先日の毎度おなじみともいえる人造人間ホムンクルスをはじめとし。
種々様々な合成獣たちが私達のあとを追いかけてやってきていたりする。
ちなみに、先ほどの部屋でみた奴等ばかり。
おそらくハルシフォムが通路がふさがれている、と知ったや否や、
実験室にととってかえし合成獣キメラたちを水槽から解き放ち、
閉ざされた通路を開通させる人足がわりにしたのであろう。
それと私達に対しての追っ手をかねて。
このままでは緒いつかけるのもそう先ではない。
そうなれば通路の幅が結構あるぶん、通常に考えて多勢に無勢。
普通に考えればこちらが不利となる。
そう、普通に考えれば。
だがしかしっ!
こちらには、少し前に手にいれた賢者の石の完全版。
いうなれば魔血玉デモンブラッドとよばれるらしきものがある。
まだ完全に魔力は回復していない私でも、通常程度の魔力使用はそれゆえに可能。
氷窟蔦ヴァンレイル
さすがに鬱陶しいとおもったのか、ルルがぴたりと壁にと手をあて呪文を解き放つ。
それらはルルが手を当てた場所を起点にし、
十数条の氷の意図が螺旋を描いて壁と床、そして天井を這い回る。
それらは一直線にこちらにむかってくる合成獣キメラの軍団にむかって進んでゆく。
それらに触れると同時、氷の糸はそれらの足に絡みつき這い上がる。
そして瞬時にしていくつもの氷の彫像が出来上がる。
まあ、ある意味壁にはなるか。
「しっかし、何であんな群れなんかつくったんでしょうか?」
素朴な疑問を抱いたらしく、ララが何やらぽそりとそれらをみつついってくるけど。
「実験の一環だ。といってましたが。生命力の強いもの同士を掛け合わせていたみたいですが……」
「それって、かなり迷惑極まりないですね。…レゾもやってましたけど」
やってたんだ。
ルビアの説明にぽそりとルルが答えてるし。
そんな会話をしつつも、
「あ、あちらです」
いいながらも二階に続く階段を指差すルビア。
と、同時。
ばさっ!
二階の頭上から聞こえてくるちょっとした羽音。
「ふせろっ!」
すばやく反射的に叫んでそのまま床にと伏せる。
それと同時に私達の上を何かが飛んでゆく。
風がすぎさり、何が飛んできたのか確認するためにそちらをみてみれば、そこには
レッサーデーモンの面構えより多少凶悪にしたような顔。
生白い肌に背中の翼。
実験室で垣間見た、どうやらトロルと竜のあいのこのような合成獣キメラがそこにいたりする。
「みんな。大丈夫か!?」
そんな私の叫びに、
「う~。顔をおもいっきり階段でうちました……」
あ、みればウィルの顔に多少の線がはいってる。
「あ~。面倒だし。ララ、もうゴルンノヴァのやつ使えるか?」
「多少は。あれを喰らっても回復すのるかしら?」
『…あまりおいしそうじゃないんですけど…マスター……』
そんな私の問いにララが答え、何やら腰のあたりからゴルンノヴァこと光の剣が文句をいってくるけど。
今はそんなことをいっている場合ではない。
だけども、セイグラムとの戦いにおいて、まだこちらの手のうちを見せないほうがいい…か。
そんなことを思いつつ。
「ともあれ。振動弾ダムブラスっ!」
ごばぎゃっ!
おっしゃっ!
私の放った術はもののみごとに、その竜もどきの頭を粉砕する。
…頭が弱点のような気がしたから狙いを定めたんだけど、どうやらビンゴだったようである。
「…と、とにかく。いそぎましょう」
それを目の当たりにしルビアが多少面食らいながらも階段を駆け上ってゆく。
さって。
そこに本当に契約の石があるかどうか。
もしかしたら、もしかしなくても、あのセイグラムの仮面が怪しいような気がするのは…気のせいだろうか?


                              -続く?-

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あとがきもどき:
ウィル:気のせいでしょうか?何か第三者の声がたまにきこえてるんですけど?
 ルル:気のせいではないとおもいますわ。それにリナンさんもララさんもわかってるようですし。
ウィル:あ。わかりました!きっと守護天使ですっ!
 ルル:……それはないとおもうのですけど……
ウィル:きっとそうにきまってます!やはり私達は正義の使者として選ばれ…
 ルル:あ、ウィルさん。それよりおいていかれてしまいますわよ。いそぎましょう。
ウィル:ああ!リナンさんもララさんも!おいてくなんてひどいですっ!
 ルル:……何かあのウィルさん…ほっといたらどんどん暴走するような気がひしひしと……
     …セイルーンのあのフィル殿下といい…大丈夫なのでしょうか?あの国……

(何やらリナンとララをあわてておいかけてゆくウィルをみながらルルがため息とともに独白してゆく…)

2007年2月22日(木)某日

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