希望の行方



「…ねえ?あれ何してるの?みんな?」
きょとんとした視線で問いかける。
少女、否幼女の見ている光景は。
なぜか全員が変装し、町の中を練り歩いている様子。
ああ。
そういえばリナはこれ初めてみるんだったな。
などとおもい苦笑し。
「あれはハロウィンの祭りですよ。リナ様。」
そういいつつ、セリーヌのところより戻る最中。
近くの惑星にと寄ったときに目にしているその光景を説明している金色の髪の男性。
「?ハロウィン?それってなぁに?カウリイ?」
首をかしげる栗色の髪のまだ幼い幼女。
「ええ。そうですね。まあ厄払いのようなものですよ。とある民族の祭り、みたいなものですね。
  子供たちが仮装して、家々を渡り歩いて、『お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ。』
  まあ典型的にそういって家々からお菓子をもらうとい…う…あの?というか、おい?リナ?」
きらきらきらきら。
その言葉をきき、ふとみれば。
その紅い瞳をきらきらさせて顔を向上させているリナの姿が。
「お母さまぁぁぁぁ!リナもやるぅぅぅぅ!ハロウィルゥ!」
などといいつついきなりその場でじたばたし始めてゆくリナの姿が。
「…リナ、ハロウィン……」
すかさずそれに突っ込みをいれているカウリイと呼ばれたその青年。
どうして難しく間違うのか。
などと思わず苦笑しつつも。
「リナもやって、それでおかしもらうの!もらうのぉぉぉぉ!!!!」
じたばたじたばた。
いきなりその場にてじたばたとじれ始めるリナをみつつ。
「リナ様ぁぁ。戻ったらケーキあげますから。」
「それはそれ!リナもおかしたくさん、たくさんもらうのぉぉおお!」
「・・・・・・・」
こうなっては言い出したら聞き分けがない。
というのは常にそばにいて教育係、ともいえる役目をおおせつかっている彼だからこそ。
それは十分に理解している。
「あら、スティルバイト。なぁに、リナを困らせてるのかしらねぇ?」
―ぴしり。
いきなり聞こえてきたその言葉に思わず硬直する。
「あ!母さま!あのね!リナもね!あれやりたいの!あれ!」
そういいつつ、突如としてそこに出現した、絶世の美女。
としかいいようのない金色の光をその身にまとった、長髪金髪、金の瞳、スタイル抜群、その女性にと飛びつくようにしがみつき。
見上げるようにと懇願している栗色の髪に紅い瞳の幼女の姿が。
ちなみにこの姿はリナと呼ばれているこの少女が自分の意思でこのようにしているに過ぎないのだが。
実際というか気を抜けば目の前にいるこの美女とまったく同じ容姿になったりする。
という何ともほほえましい現実があったりするのではあるが。
そんなしがみついてくるリナのその言葉に。
「あら、ハロウィンパーティか。うーん、悪くないわね。リナもあれ、やりたいの?」
そういいつつにっこりと微笑みつつリナの頭をくしゃりとなでる。
ピシシシ。
そんな女性の姿に思わず硬直しつつも、間違いなくほかの存在であれば。
そんな姿をみれば間違いなく滅ぶ間もなく消滅するのは明らか。
まあさすがに見慣れた、といえどもやはり硬直は免れないその青年。
カウチェリィ=キルティッシュ=スティルバイト。
正式名称:碧玉の王(スティファランス)スティルバイト。
スティファレス世界の神魔の王。
「うん!!!それでね。リナね!たくさんのおかしとかもらうの!」
そういいつつしっかりとしがみついてくるリナをやさしく抱きしめつつ。
「そうねぇ。よっし。部下たち全員にハロウィンするように命令しますかv」
「きゃぁぁあ!母さま、だからすき!」
「エ、エル様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
リナのその言葉にあっさりととんでもないことをいっているすべてなる母にと、
思わず絶叫をあげているスティルバイト。
まあ当然ではあろうが。
「じゃ、リナ、リナも何かの仮装、しましょうねv」
「リナね!天使がいいの!」
「まあ、リナにぴったりねv」
などといいつつ。
「それじゃ、早速部下たち全員にその旨を命令しますかねv」
「あわあわあわあわあわわ・・・」
そういいつつにこやかにその場より掻き消えるすべてなる母をみて。
口をばくばくさせているスティルバイト。
「わーい!わーい!あ、そーだ!エメラーダに服つくってもらお!カウリイ!さ、いこ!」
「…はぁ。エル様はリナ様には甘いからなぁ…。わかりました。わかりましたよ…」
深くためいきつきつつ。
おそらくは大混乱になるであろう今後のことを思いつつ。
とりあえずリナにいわれるままにと。
今彼の側近を務めているエメラーダが手伝いをしている、魔法道具屋エル、にと移動してゆくスティルバイト。
「わぁぃ!わぁぃ♡ハロウィルパーティ!」
「…ですから、ハロウィンですってば。」
いまだにいい間違いをしているリナの言葉を訂正しつつ。
ふぃ。
その空間よりリナとスティルバイトの姿は掻き消えてゆく。




『うどわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!????』
いきなり、突如として彼らの上司たる、そして母たる存在より。
勅命、としてとあることが命令され。
このあたり、というかこの場所のすべてなる宇宙においてすべての役目を負っている、それら部下たち全ての悲鳴がこだまする。
「というか、どうしろっていうんだ!?」
「うどわぁ!?しかも無礼講!?といっても下手なことしたら!?」
「後はたのむ。この時期私は逃げる…」
などといった会話がいたるところでこの宇宙全体で見受けられていたりするのだが。




「わぁぃ!やっぱりエメラーダの服ってすごい!」
かなりご機嫌なリナの声が店の中にと響きゆく。
ここは、眠れる竜の大陸の中にと位置する、魔法道具屋、エル。
そういいつつきゃっきやとはしゃぐリナの声。
「ふふ。喜んでいただけて私もうれしいですわ。」
そういう女性はスティルバイトの側近を務めているエメラーダ。
今はリナの専属デザイナーも兼用していたりするのだが。
「リナ様、服ができたの…げっ!?」
そのまま部屋を出ていたスティルバイトが部屋にと入り、リナの姿をみて。
そのままの姿勢で思わず硬直する。
「あ!カウリイ!みてみて!エメラーダがこれつくってくれたの!どう!?この姿だったら天使にみえる!?」
などといいつつその場にてくるりと一回転。
「だぁぁぁぁぁあ!そんな格好で外に出るおつもりですかぁぁぁぁぁ!リナさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」
スティルバイトの絶叫が店ともいわず全体にと響き渡る。

それもそのはず。
大きく背中の開いたスリット、しかも服は真っ白。
ついでに少し変わった素材を使っているので足元の布は少しばかり透けている。
そして胸元はかなりきわどいところで止まり。
それはまだいい。
―そう、それがまだいつもの幼い子供の姿ならば。
が。しかし。
目の前にいるリナの姿はどうみても年のころは十八か七。
しかもスタイルは…いうまでもなく母である金色の母とほぼ同じく文句のつけようはない。
そして、その白い服はぴったりと体にフィットしていたりする。

「え?何かおかしい?おかしーの?カウリイ?」
きょとんとして彼を見上げるリナではあるが。
「そ、そういう問題ではありません!というか絶対にそんな格好したらだめです!」
「ええええ!?何でよ!!!?カウリイ!?」
「何ででもですぅぅぅぅう!」
顔を真っ赤にして怒鳴るスティルバイトに。
ひくっ。
「カウリイ、何かこわい。何で?ね。リナ、そんなにこの格好おかしいの?」
その瞳に見る間にと涙がたまってゆく。
「いや、ものすごくかわいい・・ではなくて!そんな格好だと危なすぎます!」
「???何が?」
「…あぅっ。」
わかってない、わかってなさすぎる。リナは。
まったく理解してない様子のリナに思わず頭を抱えるよりほかにはなく。
「いいもん!カウリイがおかしいっていってもこれでいくんだもん!」
「だぁぁぁぁ!それだけはやめてくださいぃぃい!」
必死になって止めるスティルバイトではあるが。
ま、まあ気持ちはいたいほどにわかる。
わかるけども、
「あらあら、いいじゃありませんか。スティルバイト様。リナ様魅力的ですし。」
にこやかに微笑むエメラーダに。
「だからいけないっていうんだよ!リナに悪い虫がついたらどうするんだ!」
「あらvもうつきかけてるじゃないですかv」
「何?!」
くすくすくす。
主の想いをまだ彼が自覚してないにもかかわらずに見抜いているこのエメラーダ。
それはさすがというべきなのか。
そんなエメラーダの言葉に。
「どこにそんなやつがいる!?」
などといって真剣な面持ちで怒鳴っているスティルバイト。
ととととと。
そんな二人が会話をしている中。
そのままの格好で外にでようとしているリナではあるが。
「だぁぁぁあ!リナ!だからそれはやめるんだ!」
などと必死にそんなリナを止めている彼のその言葉に。
ぷぅ。
ふくれて、
「どうしてカウリイは邪魔するのよ。」
などといいつつぷいっとそっぽを向いているリナ。
「確かにその格好はものすごくかわいいけど。だけど!そんな格好で外にいかれるんだったら、オレ、死ぬからな。リナ。」
ほとんど最後の言葉は脅しというか本気。
「えええええ!カウリイが死んだらおいしいおかしがたべられなくなる!」
ずるっ!
その場にいたスティルバイトが思わずその台詞にこけかけ。
「ぷっ!くくくくくくくっ!」
エメラーダといえばおなかを抱えて笑っていたりする。
きょとん。
そんなエメラーダを意味がわからない、といった表情できょとんとみつめ。
「でも、リナ、この天使の格好がいいんだもん…」
などとほとんど泣きべそ状態。
「せ、せめて年頃の女性の姿はやめてください…」
がしっとリナの肩をつかんで懇願するスティルバイトの言葉に。
「?だったら、いつもの姿だったらいーの?」
「その姿でなければもうどうでもいいです!おねがいですから!」
こちらもほとんど必死。
その言葉に。
「うん!この姿のほうがいろいろとものもらえるってエメラーダがいうから。これになったんだけど。
  そのかわりにカウリイがかわりにいっぱいお菓子、ちょうだいねv」
にっこりと微笑むリナに。
「エ、エメラーダぁぁ!貴様の仕業か!?」
「あら、おほほほほほ。事実じゃないですか。スティルバイトさま。」
などといいつつころころと笑っているエメラーダ。
「だぁぁ!リナの身に万が一のことがあったらどうする!」
ほとんど血の叫びのような叫び声をあげている主の言葉に。
「リナさまもいろいろと知るべきだとおもいますけど。おほほほほ。」
「そんなのは絶対にゆるせるかぁぁぁぁ!」
などといった主従の会話がなされていたりする中で。
「カウリイのお菓子がたべられなくなるのはやだし。とりあえず、それじゃ、いつもの格好になろっとv」
そういいつつも、そのまま。
ゆらり。
そのまま姿を揺らぎさせながら容姿を変化させてゆくリナ。
エメラーダの服は別にその身長とかは関係なく伸縮自在。
それゆえに。
いつものまだ幼女の姿。
五歳程度の女の子。
その姿になってもその白い服はそのままに。
背中に生えている真っ白な羽。
真っ白いワンピースがはっきりいってかなりその愛らしさを引き立てていたりする。
「うぐっ。」
…違う意味でこれはこれで危険のような(汗)
そんなリナの姿をみてかなり冷や汗を流しているスティルバイトなのではあるが。
「あ!母さまにみせにいこ!」
そのまま。
タタタタタ。
と部屋の奥にといる金色の母にとその格好を見せるためにと奥にとかけてゆくリナ。
「…はぁ。リナにはこれからそあいう方面での危機感とかも教えたほうがいいのか。それとも…はぁ…」
だがあまりに純粋すぎるリナにそういったことは教えたくない。
というのが本音。
「おほほ。いつかリナさまにもいい人ができるのですから。いろいろと知っておく必要はあるとおもわれますけと。おほほほほ。」
「―そんなやつが現れたら-…滅ぼす。」
自分でも信じられないくらいの低い声がスティルバイトの口より発せられる。
リナの隣に自分でないやつがいる。
そんなことを考えただけで、なぜかむかむかする。
―なぜ?
まだ彼はリナのことを好きになっている、と気づいてはいない。
ただ、そのリナという存在をとにかく守りたい。
―ただそれだけ。
「おほほほほ。」
これはこれからが楽しみですわvリナさまもスティルバイト様もv
おほほほほほv
これはこれでまた楽しみが増えていい暇つぶしにはなりそうですわねv
などとそんな主の様子をみてくすくすと微笑んでいるエメラーダではあるが。
…かなりいい性格なのである。
このエメラーダは。



「ね!母さま!この姿、どう!?」
そのまま椅子にと腰掛優雅に紅茶を飲んでいたエルの元にと走ってゆくリナ。
「うっ!?」
か、かわいい。
などとおもいつつ言葉につまっているすべてなる母、金色の母。
通称-エル。
「あら、リナ、かわいいわねvそれv」
その横でリナの頭をなでているのは彼女の親友でもある、黒く長い髪をポニーテールにしている十歳前後の女の子。
「ほんと!?でもカウリイはね。あたしが年頃の女の子の姿になって。この格好してたらだめだっていうのよ?」
そういいつつ少し膨れるリナに。
がしっ。
「リナ、お願いだからそれだけはやめて。かわいいあんたに悪い虫がついたらどうするのよ。」
こちらもまたスティルバイトと同じようなことをいっているエルではあるが。
「母さま?」
そんな母の言葉に理解してなくきょとんと見上げているリナに。
「あら、エル、これはこれでかなりかわいいから。その気がなくてもさらっていきたくなるわよv」
くすくすと微笑みつつなぜかクッキーをかじっている少女-ユニットの言葉に。
「お目付け役をつけましょうね。――部下ST!」
リナの望みは優先的にかなえたいものの、この姿で一人でうろうろさせるのは、あまりに危険。
「はっ!」
エルにと呼ばれ直後にその場に出現するスティルバイトに。
「あんた、リナと一緒にお供として行動しなさいねv
  ついでにリナに近寄ったりよこしまな考え起こすもの、問答無用で混沌に沈めなさいvあたしが直々に制裁加えるからv」
「了解いたしました。」
にっこりと微笑むそのエルの言葉にふかくうやうやしくお辞儀をしているスティルバイト。
「さ、それじゃ、リナ、いってらっしゃい。」
「はーい!母さま、ユニットお姉ちゃん、いってきまーす!」
にこやかに元気よく出発してゆくリナの姿が。
ここ、魔法道具屋(マジックショップ)エルの内部にて見受けられているのであった。




「ねえ?カウリイ?どーしてみんなねんねしてるの?それとか消えたり?」
「リナさまはきにしなくてもいいんですよ。さ、次の世界にいきましょうね。」
「はーい!」
リナの正体を知らない輩は。
当然というか当然の反応で。
リナをそのまま連れ去ろう、などと思うやからもやはり存在し。
そういった存在には問答無用でリナに気づかれないように。
そのまま混沌にと沈めているスティルバイト。
しばし。
そんな光景が宇宙のいたるところで見受けられてゆく。


数日後。
「わぁぁぃ!たいりょう、たいりょぁう!」
ご機嫌なリナに。
「せっかくだし、リナ、この世界でもこのイベント普及させましょうか?」
「うん!」


―クリスマスに続いて。
このイベント、ハロウィン祭りが、ここジール・シティより
この惑星に普及してゆくのはそうは時間はかからないのであった。


                        -終わり♪ー

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豆知識v  -ハロウィーンー   

基礎知識:
語源:HALLOWEEN → Hallow = Hallow( = 「神聖な」) + een( = even = evening)

万聖節の前夜祭。
古代ケルトが起源で、秋の収穫を祝い悪霊を追い出す祭り。
アメリカでは、カボチャをくり抜き、目鼻口をつけた提灯を飾り、夜には怪物などに仮装した子供たちが
「Trick or treat (いたずらかお菓子か)」と近所を回り菓子を貰ったりする。(All hallow's Eveともいう )

イギリスでは、HalloweenよりGuy Fawkes Night (11月5日)の方が盛ん。
こちらにハロウィーンが吸収されたといわれている。

(参考、ハロウィン通信より)

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まえがき:
こんにちわ。えっと、前回、この希望シリーズ打ち込んだのって・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ノーコメント、ということにしておきましょう。
あはははは(汗)←この言葉が物語ってます・・・・。
こっちの超番外編、というか短編シリーズ。
短編部屋にもしかしたらいきなり移動してるかもしれません(まて)
まあ、何はともあれ、いっきますv


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あとがきもどき:
薫:・・・・いらんとをするなぁ!・・・ぜいぜいぜい。うーん、すこしはすっとしたかな?
  ・・・・・・お仕事でお疲れモードの薫です・・・・・。というか、どーして何回も説明してるのに、しかももう何年も・・・。
  いつもちがったことをするのよぉぉ!(絶叫!)
  あ・・・あと始末に余計に疲れます・・・・あうあうあう・・・・。
  というか何もしてくれないほうが楽だよ・・・いや、まじで・・・・。
  間違い探して訂正して、またはじめから、というよりは、はじめから自分でやったほーが・・・・あうあうあう。
  まあ、何はともあれ。愚痴をいってしまいましたが。
  とりあえずはこんにちわ。上記の理由で心臓がいまだにきりきりと痛んでいる薫です。
  やってきました、心のオアシス、リチェウスィv
  ちなみにはじめのころはガウリイ(スティルバイト)リナに振り回されてますねぇ・・・・ええ、むちゃくちゃに(笑)
  しかし、結局、リナがどうしてガウリイがあわてたのか。
  気づくのは・・・・結婚してからもそれは気づかないという。
  オチがあったりして、あはははは。
  まあ、何はともあれ、ほのぼのリチェスィナファレスでしたv
  それではvまたvこれは突発的に番外編として打ち込みますねー。
  たとえばエル様のマジックショップエル視点とか。
  リナ視点(でもリナの一人称ではない)とか。あははははv
  それではvv
 
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