希望の行方    ~出会い&始まり~



・・・う~ん・・・・。
ぶつぶつぶつ・・・・。
彼は気づいているのだろうか?
考え込んでいる間に、庭園の奥深くまで入り込んでいることに。
「・・・誰?」
いきなり呼びかけられる声。
彼は一瞬目を疑う。
そこにいるのは、まぎれもなく、彼らが母によく似た少女。
金の髪に、金の瞳。
手には、今つんだばかりの花々をもって。
まるで、絵に描いたような美しさ。
「あ・・・・ええ・・と」
彼が言葉に出そうとすると。
「・・・・?ああ、スィーフィード達と同期のスティルバイトね。・・・・どうしたの??こんな所で?」
きょとんとした少女の声。
少女は、知識だけはしっかりとインプットされているのだ。
「あ!?し・・・・しまったぁぁ!!また迷ってるぅぅぅぅ!!!!!」
言われて、また道に迷っていることに気づくスティルバイト。
「宮殿の本館に用事なの?なら、あたしも戻るから。・・・一緒にいく?」
「ご一緒させていただきます(汗)」
彼はばつの悪そうに頭をかく。
「くすっ。じゃ、いきましょ。」
少女がにっこりと笑う。
まるで全てを飲み込む極上の優しい笑みで。
(・・・・エル様では、絶対こんな表情は・・しないよな??)
そんなとてつもないことをスティルバイトは考えつつ。
「スィルバイトの髪って・・母様に近いのねぇ。綺麗な金髪vv。」
さらさらさら。
彼の髪を触っている少女。
「あ・・あの?貴女は・・・??」
「・・・・・・・・・・・・リ・・リナ様!!!!」
スティルバイトが言いかけたとき。
走ってくる蒼い髪の女性。
「あ、スィーフィードぉ!!」
ぶんぶん手をふる少女。
「一体、何処にいったらしたのですか!!?って・・・あら?。スティルバイト。」
傍らの彼に気づく女性。
「久しぶりだな。ルナ。」
彼は女性に向かっていう。
「そうですわね。って・・何でリナ様と一緒にいるの?あなたが?」
「・・・・・リナ・・様??」
彼が首をかしげると同時に。
「――リナ!!何処にいってたのよ!!心配するじゃない!!」
息を切らせてなぜか走ってくるとっても信じられない人物(?)の姿―。
『エル様!!!!!』
「あ、母様ぁ♪」
「―――え゛。」
彼と女性の声がハモルと同時に。
少女から発せられた言葉は。まさに。
間違えようのない目の前にいる御方に向かって語られていた。
金の髪に金の瞳。
近づきがたい神々しいまでの雰囲気。
絶世の美女であるその姿。
彼らにとって、いや、存在するもの全てにとって、万物の母たる存在。
そして―。
彼は、絶対に見てはならないものをみてしまったような気がした。
「めっ。黙っていなくなったら!!」
こつんと少女のおでこを軽く叩く。
「ごめんなさぃ。でも、ね♡母様に、お花、摘みにいってたの♡」
にっこりと笑って手に持っていた花束を差し出す。
「くぅぅ!!・・・・ほんとっうにかわいい子!!!!」
がし!!!
(・・・・・・・・うそだろ!!!!!!?????????)
彼はそのまましばらくフリーズしてしまった。
あの御方が少女をがっしりと抱きしめているのだ。
こんなことってあるのだろうか!?
「でね。母様、そこのスティルバイトに一緒に連れてきてもらったの♡」
少女の台詞。
実際は、彼が少女に連れてきてもらったのだが。
「あら?部下STじゃない。リナ、つれてきてありがとvv・・・・で?何の用???」
うって変わった表情になる・・・・金色のかの御方。
「・・・母様・・・??お仕事??」
「そうよ。ルナ、リナを連れて行ってて。」
「――分かりました。ほら、いきましょ。リナ様。」
「うん。まったねvvスティルバイトvv」
無邪気に手をふる少女―リナ。
「あ・・あの??え・・エル様??あ・・あの少女は・・?」
疑問に思ったことを素直にきくのは、彼の特権でもある。
「リナ?ああ、あたしの娘vvこの前、S達の世界であたしの欠片が自我をもったからvv娘にしちゃったvv」

・・・・・・・・・・・びしぃ・・・・・・・・・。

彼はその言葉に、そのまま卒倒した。


「ねえねえ。スィーフィード、あのスティルバイトって人・・また会えるかなぁ♡だって、とっても綺麗な金の髪なんだもん♡」
無邪気に隣の女性に言っている少女―リナ。
「スティルバイトでしたら。私達と同期ですから。・・・・エル様に謁見にきたときにでも遭えますわよ。リナ様。」
「ふぅ・・・ん。・・・・また、会いたいなぁ・・・・。」


スティルバイトと金色の魔王(ロードオブナイトメア)の一人娘のリナ。
(実際の真実の名前は違うのだが。)
初めての出会いであった―。


 「ほぉら、リナ♡高い、高ぁ~い♡」
「キャツ!!キャっ!!キャ!!(はあと)」
こちん。
いつものことながら、その様子に、呼び出されてやってきた紫がかった蒼い髪の女性は、石化した。
塁を見ないほどの絶世の美女である金色の母は、自らとまったくと同じといっていいほどの、金の髪、金色の瞳。
そして、似通った顔立ち。
その女の子を高く、掲げてあやしている。
唯一。
違うといえば、―その女の子の全長が、50センチにも満たない幼子ということのみ。
幼子の名前をリナ。
女性――ルナ達のいる星の世界。
その世界で、三ヶ月前に誕生したばかりの金色の母の一人娘である。
さすがに、リナのことを知ったルナ達はたまげたが。
いや、それ以上に。
金色の母が、自分達が管理している世界、しかも今いる星の大陸のひとつで。
魔法道具店(マジックショップ)をやっていたという驚愕の事実。
退屈だからと、わざわざ人間界に、人間のフリして、・・・・部下達にも秘密で来ていたものだから・・・・。
・・・・大パニックである。
それをルナ達が知ったのは、約二ヶ月前。
リナが、ちょっと、空間移動に失敗して、迷子になって、泣き喚き。
金色の母がいる大陸とついをなす、『暁の竜の大陸・ジーナ』を消滅させたとき。
その結果。
この世界の神―赤の竜神(フレアドラゴン)ルナ=スィーフィードと。
この世界の魔王―赤瞳の魔王(ルビーアイ)レイス=シャブラニグドゥは。
彼らがいるこの惑星の一つの大陸『眠れる竜の大陸』の、
主要都市・魔道都市ジールに、金色のかの御方がいることを知ったのだ。
それ以後。
ルナ――その世界の竜神と、レイス―魔王は、『魔法道具店(マジックショップ)エル』
の店番やったり、リナの子守・・面倒みたりと。
多忙きわまりなくなっていたりする。
「あ・・あの・・エル様・・・(汗)」
なんとか声を出すルナ。
「ああ、来たわね。ルナ。会議中のリナの子守♡よろしくね♡」
「・・・・・え゛(汗)」
いきなり呼び出されて、何ごとかと思いきや。
てっきり、エル様のことだから、会議を繰り上げて始めるとか・・・。
急に早まると思っていたルナは、拍子抜けした。
各エリアごとの部所に渡り。
会議を開くというので、順番に、各世界の代表者が。
この、この場所。
全ての中心である、この場所『混沌宮殿』へと集まってきているのだ。
ルナ達の順番は・・あと、一ヵ月後のはずである。
ちなみに、ルナとついをなす魔王は、店番である。
「・・・ははさま?またおしごと?・・・リナ、さみしい・・・・。」
しゅんとなる幼いリナ。
「くぅぅぅぅ~!!!!かわいい!!!」
がしぃぃい!!
その様子に、強くリナを抱擁する金色のかの御方。
・・・ぴし。
ここ数ヶ月、いつも見ているが・・・。
・・・・なれない。
いつもの、この御方の恐ろしさ・・・もとい、性格を十分にわかっている、部下たるルナだからこそ。
よく、こんなエル様をみて、消滅しなかったよな?
と自分でもルナは思う。
一重に、消滅しなかったのは―曰く。
――ルナもレイスも理解というか分ってしまったのだ。
リナのむちゃくちゃに愛らしいその姿に。
――あ、分かるかも♡
と竜神と魔王が納得してしまうほどに、リナはとっても愛らしいのだ。
エル様のかわいがりようもうなづけるほどに。
何しろ、このリナ。
はっきりいって、金色の母のミニチュア版。
その愛らしい姿で、甘えられては・・・・ひとたまりもないであろう。
さすがに、リナの精神年齢。
――つまり、人間でいえば、5・6ヶ月。
この幼少の姿はさすがに危ない。
いろいろな面で。
そう判断しているかの御方は。
リナに人前では、姿を変えるように、指示している、というか教えている。
だが、まだリナはうまく実体の姿を変えることはできない。
うまく出きるのは、5~6歳の姿と。
こちらの成功率は、ほぼ80%の確率で成功する。
もう一つは。
14~15歳の姿。
こっちは、成功率・・・・10%未満・・・・。
数日前、偶然に、この姿になるのに成功したリナは、母へ花をつみに、庭にでていて、スティルバイトとであったのだが。


しゅん・・。
「ははさまぁ・・・・。」
しゅんとうなだれるリナ。
それもまた、むちゃくちゃにかわいらしい。
「リナ様・・ルナがついてますから・・・・ね。」
「・・・・うん。」
元気のないリナ。
リナは誰よりも母親が好きなのだ。
自らの母である人物は。
万物の母。
ここのエリア以外にも、数多の世界を抱擁している。
リナの精神の元となる力は、この世界。
母の一部であるこの世界そのものの、混沌そのもの。
ごしごし。
重い目をこするリナ。
「リナ、そろそろおねむの時間かな?♡」
こつん。
リナのおでこに額をくっつける金色の母。
「―・・・うん、眠い・・母様・・。」
すでに、目は半分閉じかけているリナ。
「ルナ、リナを寝室に運んでおいて。とうぜん、寝かしつけてね(はあと)」
「・・・・はい。」
リナがぐずったときの、すごさを身にしみて知っているルナ。
ここは、エル様の宮殿だから問題ないが。
――自分達の世界でぐずられたときには、大変である。
何しろ、リナはまだ力を制御できないのだ。
まだ上手に。
それゆえに、感情と共に、力が暴走する。
――押さえるのに大変なこと、大変なこと。
母親が抱くとぴたりと泣き止むのだが。
金色の母は、知識は全てリナに組み入れた。
だが、知識と力があっても、リナの精神は、まだ真っ白な状態。
きちんとまだ自我が固定してないのだ。
それゆえに―精神と力とが多々としてかみ合わず―暴走する。
リナの精神面においてのリナに負担のかかる、その被害を恐れたリナの母は。
一つの方法を取っている。
―…それは、眠ること。
人間の赤ん坊と同じように、ゆっくりと時間をかけて。
少しずつ、眠りにおいて、力と精神の安定と融合を図っているのだ。
いきなりでは、リナの精神が崩壊しかねないその強大な力ゆえに。
「じゃ、リナ♡お休み♡」
ちゅっ。
娘にかるくキスをする金色の母。
その表情は、万物の母というよりも、たった一人の母親。
・・・・こちぃぃぃん。
またしても、ルナはしばらく凍り付いてしまった。
「じゃ、ルナ、お願いね。」
「は・・はい!!」
ルナにいう、その言葉は。
さきほどまでの母の顔ではなく。
まぎれもなく万物の王たる言葉。
近づきがたい雰囲気をかもし出している。
さきほどと、同一人物だとは思えないほどに。
「さあ、リナ様。お部屋に行きましょう。」
「うん・・。」
こくっ。
手を引かれるリナは半分眠りかけている。
よっぽど、眠いらしく、リナの手はかなり暖かくなっている。



「さて、会議ね・・・・。」
凛とした雰囲気の金色の王の姿がそこにあった。


「お着替えしましょうね。」
かくん、かくん。
「あらあら・・・。」
すでに、たったまま、眠ろうとしているリナ。
ルナは、リナの子供部屋へといき、リナにネグリジェを着せ始める。
ピンクのネグリジェだが。
その生地は、オーロラから紡ぎだされた糸で織り上げられ、所かしこに刺繍されている模様は、虹から紡ぎだされた糸で構成されている。
リナの愛らしい姿がいっそう引き立つデザインである。
この服は、・・・・金色の母の手作り。
この世にリナしかもっていない、服でもある。
というか、虹やオーロラを具現化させて、なおかつ、固定して、糸として紡ぎだす・・・・・。
そんな細かい芸当が誰ができようか?
しかも、銀河から放出されられるエネルギーの光も紡いで糸にして。
リナの服にかわいらしい模様が刺繍として縫い付けられている。
一見すると。
どこかの、お姫様か、どこかの人形。
といっても過言ではないリナの姿。
この姿をみれば、誰でも、リナを自分のものにしたい。
と思ってしまうであろうほどに。
リナはとっても愛らしい。
それゆえ、この姿だと、リナは誘拐される確立が非情に高い。
リナは、まだ人を疑うということも知らないのである。
・・・・だから母に反逆してる存在に、ついて行って。
そこで、泣き喚いて、一つの世界を消滅させたのはついこの前のこと。
リナが消滅させた世界は。
混沌に変える統べもない。
リナそのものに、組み込まれてしまうから。
リナがそれを復活させようとはしない限り。
リナの一部として、吸収、消化されてしまうのだ。
金色の母は、リナのことに関しては、リナに自分で行うように、なるべく手をかけないようにしている。
・・・・つもりらしいが。
むちゃくちゃに過保護にしているのも、また事実。
「お休み・・・・。」
ぱた。
くぅ・・・・。
よほど眠かったのであろう。
リナは、一つの惑星以上の広さはあろう自室のベットで。
床につくなり、そのまま眠る。
ルナは、しばらく、そんなリナに付き添っているのだが。
いきなり目覚めたとき、リナは一人だと・・・・。
・・・・・かなり、なくのである。



「・・・・エル様、リナ様、完全に眠りましたわ。」
「そう。ご苦労様、ルナ。・・・会議の報告書♡早くね♡」
「・・・・・はい(汗)」
会議の途中だが、一応報告しているルナ。
「・・・あ・・あの?エル様??・・リナ様って??」
ほとんどのその場の存在が聞き返す。
「え??ああ、あたしの娘♡この世界のあたしの一部を切り離してね♡自我をもたせたの♡
  いうなれば、ここの『時期金色の存在』ね。そのうち、皆にも、力の使い方で、協力してもらうから♡」


・・・・・びしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!!!!

あまりの、とうとつの万物の母の言葉に。
会議に来ていた、全ての世界の魔王や、神々、そして、それらを束ねる存在は。
完全無欠に固まって・・・気絶した。


・・・いうなれば、エル様が二人になった。
ということなのだ。


それを判断した、エル様曰く、部下達は。
ただただ、頭をかかえ、涙するより術はなかった。



きょろきょろ。
「・・・・ふぇ・・。」
リナはふと目を覚ました。
・・・・辺りには、誰もいない。
広すぎるまでの部屋が異様に大きく感じる。
部屋には、一杯に、全世界のヌイグルミや、珍しいものが飾られている。
だが・・リナの視界には・・誰もいない。
「ふぇ・・ふぇぇぇぇ・・・・。」
リナが泣き始める。
リナは、寝覚めに、一人をもっとも嫌がるのだ。
一人ぼっちがいやなのである。
リナの大本は、混沌の闇。
そこに、ただ一人、取り残されたような感じがして。
いつもは、母が、そして、ルナが、側にいる。
・・だが、今は誰もいない。
「ふぇ・・・・ふぇぇぇ!!!」
このままでは、本格的に泣き始めるのは必死。
しかし、ルナは、一ヵ月後に迫っている会議の資料作成に今は追われている。
母たる金色の御方も、今は会議中。
だが。
リナは、今回は泣くのをやめる。
・・・・誰かいる。
・・・この気配。
きょろきょろとしているリナ。
この気配は、確か、数日前に出会ったことがある。
―そう。
母様と同じさらさらの長い金の髪。
「・・・・わ~い!!!!」
寝ぼけているにも関らず。
寝ぼけているときの、空間移動はリナにはまだ無理。
それにも関らず。
母の注意を完全に忘れて。
というか、眠いので、覚えてないリナは。
そのままの、姿。
幼女の姿で、しかもネグリジェを着た姿のまま―。
気配の元へと移動していった。


一方。
「ふぅ・・・・。さすがに早かったかなァ・・・・。・・でも、また俺のことだから迷ってもなぁ・・・・。」
エル様の宮殿に続く、平原で。
なぜ、混沌の世界に平原があるのか?
それは、ただの、金色の王の気まぐれ。
しかも、この平原。
時空が取り乱れている果てしない迷路と成り果てているのだ。
ひとたび、迷えば、到底脱出は不可能ともいえるほどに。
「・・・・ひょっとして・・また、迷ったか??(汗)」
何回も来ているにも関らず。
また迷っている金色の髪を長く伸ばし、
透き通るほどの碧玉の瞳の持ち主―。
金色の母の世界の一つである。
スティファレス世界の神魔の王。
碧玉の王(スティファランス)カウチュリィ=キルティッシュ=スティルバイト。
一般には、碧玉の王(スティファランス)スティルバイト。
エルは、部下STと呼んでいるが。
なんでも、赤瞳の魔王が部下Sだからとか・・・。
彼とルナたち・・赤の竜神・赤瞳の魔王・白霧・蒼窮の王・闇を撒く者。
その他の十数個の異世界の神魔王たちと彼は同期でもある。
このスティルバイト。
並み居る魔王や神々の中でも、抜群に。
いや、この人物の上をいくのは、おそらくエル様だけであろう。
それほどまでに、剣術の達人である。
だから、全ての存在に、一目おかれている存在なのだが・・。
そんな彼だからこそ、いいよる存在も少なくない。
―まあ、彼はかるくあしらっているようだが。
なぜか、彼は、どの存在に対しても、真剣になれないのである。
そんな彼が今気にしているのは。
「・・・そういや・・・・。リナ・・様・・だっけ?」
数日前に、偶然に、エル様の宮殿で出会った少女。
母たる金色のかの御方の一部で、かの御方の娘・・・。
やけに、人懐こかったな・・。
外見とはうらはらに、自分の髪をいじくままわしていた、その無邪気な姿。
それをふと思い出していた。


―と。
ひゅるるるぅ・・・・・・。
「・・・・・うん?」
上空より音がする。
彼が、音にきずき、上を見上げた瞬間。
・・・どこめめがぎゃ!!!!!!
ずしゃぁぁぁぁ!!
どずずべしゃ!!!!

彼は、何か落ちてきたやわらかい物体に押しつぶされていた。
・・しかも、顔面から。

「きゃわわぁぁ~!?」
どごめめがぎゃ!!!
・・・あれ??
痛く・・ない??
キョトンとしている幼女。
「キュウゥ・・・・。」
「ああ!!!クッションだぁぁ!!!!わーいvv」
自分が何かの上に落ちたことを理解した幼い子供。
痛くなかったので、かなり喜んでいる。
「うぅん・・・。やっぱり、まだ移動・・苦手だなぁ・・・。」
ちょっと、自己嫌悪に陥っていたりもするが。
「・・いってぇなぁ・・・。」
どうにか起き上がる下敷きになっている人物。
「・・あれ??ワーイvvははさまといっしょのきんのかみだぁ~!!!」
起き上がるのと、同時に、幼女の目に、お気に入りの金髪が目に入る。
「・・一体・・・・。」
ふと、目を開くと。
自分の上に、なぜか、幼い少女が乗っかっている。
おそらく、この幼子が、上から落っこちてきたのだろう。
そして、自分の上に乗ったまま、自分の金色の髪をキャッキャといって、つかんでいる女の子。
ピンクのドレス(実際はネグリジェ)がかなり女の子の魅力をよりいっそう引き立てている。
彼ですら、一瞬。
その幼子の姿に・・愛らしさに、我を忘れるほどに。
「ああ!!!やっぱりすてぃるばいとだぁぁ~!!!!わぁぁい!!」
ぽす。
小さな身体で、抱きついてくる幼女。
・・・・まてよ?
この金の髪・・金の瞳・・・・。
そして、・・・・・何より、間違えようにもない、かの御方とそっくりのその容姿・・・。
スィルバイトは、自分の上で、はしゃいでいる幼子をみて、しばし考え込む。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
「まままままさか、リナ様ぁぁぁぁぁ!!!!!!!????」
「うん!!わぁぁぃ!!またあえた!!」
無邪気に喜んでいるリナ。
スティルバイトの金の髪は、リナのお気に入りと化しているのだ。
数日前に、出会ったときから。
「・・・・・ええと・・・・。」
いまいち、状況が理解できないスティルバイト。
これだけで、状況判断ができればたいしたものである。
何しろ、リナは、自室から、スティルバイトの気配を感じて。
そして、あいたいから。
お気に入りの金髪に触りたいから。
というなんとも無邪気な心で、空間移動してきているのだから。
しかも、彼の知っている姿ではない。
まだ、幼女の姿である。
彼が出会った姿は・・確か、14・5歳の姿・・・・。
今はどうみても・・・一歳かそこら・・・いや、もしかしたらさらに下かもしれない・・・
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばし硬直するスティルバイト。
「あ・・あの?リナ様・・一体??その姿は??」
「・・・え??あああ!!!!ははさまに、ひとまえでは、このすがたはだめっていわれてるんだったぁぁぁ!!!」
はたと気がつくりな。
「まっててね・・・。ええと・・・・。」
急いで、精神を集中させ始める。
――が。
しゅん。
「ち・・ぢかうぅぅぅぅのぉぉ!!!」
やっぱり、できたのは、歳のころなら六歳前後の少女の姿。
「ええと・・・。」
「ちゃがぅぅぅ!!!」
今度は、完全に赤子の姿・・・・・。
「えとえとえぇとぉ~・・・・。」
必死になって、姿を変えようとしているリナ。
・・・・・・・・・・・・・。
思わず目が点になるスティルバイト。
そして。
「く・・・・くくくくくくっ!!!!!」
いきなり、笑い始める。
「ああ!!!!わらっちゃだめぃなんだよぉ!!」
リナが上に乗っているまま、抗議しているが。
リナは、また、始めの姿になっていたりする。
精神年齢が、まだこの程度のために、この姿になるのが、確率が高いのである。
ひょい。
「・・・?キャ!!キャ!!キャ!!たかぁい!!たかぁぃ!!」
スティルバイトに、抱き上げられて、
まるで、あやすかのように、高く、掲げられるリナ。
リナは、遊んでもらっているとおもって喜んでいたりする。
「・・・くくくくっ!!!」
スティルバイトとすれば、リナを自分の上から、下ろそうとしているだけなのだが。
・・・・・なるほど。
「・・・・くくくくっ!!!」
まだ、笑いが耐えない。
かつて、自分にも、こんなときがあった。
きの遠くなるほど昔に。
創り始められた当初。
力がうまく扱えずに、実体化できないときがあったのではないか?
兄弟・姉妹たちともいえる、彼らと、頑張って、力の安定を図っていた時期は?
力はあるが、うまく扱えない。
それで、いらいらした時期はなかったか?
教育係の下。
世界を管理する存在として学習していた時期の自分もこんなではなかったか?
「・・・くくくくっ!!リ・・リナ様・・つかぬことを聞きますが・・・。・・・誕生して・・今、どれくらいですか?くくくっ!!!」
涙を流しているスティルバイト。
よっぽどおかしいらしい。
今だ、リナは、一生懸命、姿を変えようとしている。
「・・?きょん?」
そのスティルバイトの台詞に。
「ええとね!!るなのせかいでうまれてね!!いま、さんかげつ!!」
まるで、鈴を転がしたような、凛として響くかわいらしい声。
本当は、まだ三ヶ月もたってないのだが・・・・。
「・・・・・くくくく!!!!!」
スティルバイトは理解した。
つまり、このリナ様は・・・・・。
いや、リナは、まだ、生まれて間もないのだ。
かつて、気の遠くなるほど昔自分が体験したのと同じく。
ただ、どうやら違うのは、自分達は、学習という方法で、世界を知っていった。
だが、どうやら、このリナは、創られた・・誕生したときに、知識なんかは与えられているらしい。
それもそうか。
このリナは。
いや、リナ様は。
あの御方の一部が自我を持たされた、いわゆるかのお方の娘。
だから、ここまで、無邪気。
・・人をまだ疑うということすらも、理解できないであろう。
知識では知っていても。
きょん??
笑っているスティルバイトをきょんとして見ているリナ。
結局、姿は、まだ子供・・幼女のままである。
「うぇぇん・・・。おおきなすがたになれないよぉぉ・・・・。」
泣きべそをしまいにはかくしまつ。
リナは、まだ眠いのである。
だから、思うように、力の制御ができないのだ。
簡単なことですら。
今のリナにはまだ難しいこと。
すとん。
スティルバイトに、地面に下ろされて、半分泣きかけているリナ。
「・・くくく!!いいですよ・・。無理しなくても・・・くくくくっ!!!」
スティルバイトはおかしくてたまらない。
こんなに強大な力を持っているであろう、リナですら。
自分達と同じように成長するのだ。
つまり・・・。
今のリナは、力と精神が追いついてない状態。
「でもぉ・・。ははさまが、ひとまえではこのすがただとだめだって・・・。りな、よくわからないけど、なにかあぶないんだって。」
リナがまだ必死で精神を集中させている。
・・・・・なるほど。
エル様の心配も最もだ。
リナが金色の母の一人娘だとは知らなくても。
ここまで、愛らしい姿だと・・・・。
・・・・当然、誰もがほっておかない。
子供は嫌いといっている存在もきっと、つれて帰りたくなるであろう。
それほどまでに。
リナは、むちゃくちゃに愛らしい。
この自分ですら、一瞬、リナの愛らしきに、つれて帰りたいかも・・。
と思ってしまったほどだから。
リナの方は、そんな理由は知らないらしく、ただ、エル様にいわれたから。
この姿は人前ではなっては駄目だと・・・・・。 
おそらく、理由をいっても、まだリナには理解できるはずもないが。
「・・いいですよ。俺が内緒にしといてあげます。・・だったら、問題ないでしょう?」
くくっ。
こみ上げる笑いをこらえていうスティルバイト。
「ほんとう!!だったら!!!りな、このままでいる!!
  ・・・・だって、ねみゅいのに、ちからのしゅうちゅうって・・・・。・・・つかれるんだもん。」
ごしごし目をこすっているリナ。
「・・・・リナ様?眠いのですか?」
「うん・・・。お昼寝時間だったの・・・。」
ごしごし目をこすっているリナ。
「・・・それで、どうしてここに?」
「すてぃるばいとのけはいがしたから!」
「・・・・俺の?」
「そう!!ははさまといっしょのさらさらのきんいろのかみの!!」
眠いながらも、スティルバイトの髪の端を持っているリナ。
「・・・・・・・なるほど。」
つまり、リナ様は・・・・。
自分のこの髪を気に入っているのだな・・・・。
くくくっ!!!
またまた笑がこみあげてくる。
幼いとき。
お気に入りを作っては、それを側においと置かなかったか?
それが、品物でも、世界でも。
力の修行とかいうので、星星を創っていたあのころ。
あれとは違うが。
どうやら、自分のこの金色の髪をリナは気に入っているようである。
「・・・まいったな・・・・くくくっ!!!」
まいったといいながらも、その目は全然困っているようには見えない。
・・むしろ、喜んでいる。


一方。
「あ゛あ゛あ゛!!!!リナ様ぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!」
リナの姿が見えないのに気づいたルナが、大慌てで探しまくっていた。
ちょっと、寝顔の確認に行ったところ。
ベットはもぬけの殻である。
宮殿の中をきまなく探しても。
リナの姿はどこにもない。
「・・・・・・はっ!!!!!!!まさか!!!!!」
ルナはある可能性に気づいて、真っ青になる。
「・・・・ま・・・まさか、ねぼけて、どこかの世界に移動したのではぁぁあ!!?」
・・・・よくやるのだ。
リナは。
力を無意識で使うことは。
そして、エル様に対する反逆者に狙われたことも、
この三ヶ月。
一ヶ月に五六回はあったりする。
だが、彼らは、リナがエル様の娘だとは知らずにちょっかいかけてきた。
という点があるのだが・・。
容姿がにっくき金色の王に似ているからとかいう理由で。
反逆者なのに、なぜ、エル様の容姿を知っているのか?
そんな疑問も多々とあるが。
魂に刻み込まれているのであろう。
全ての母なる人物たる姿は。
それほどまでに、強烈で強大な存在。
元は、混沌より誕生せし生命ゆえに。
「リナ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
ルナの悲鳴は。
当然、エル様の耳にもすぐ届く。



「リナ!!!!!」
会議をほったらかして、リナの元へとやってくる金色の御方。
――びし。
さすがに、いきなり現れるとは予想だもしていなかった、スティルバイト。
完全無欠に硬直していたりする。
「よかったぁぁぁあ!!!!無事だったのね!!!!」
がしぃぃぃい!!!!!
「わぁぁぃ!!!ははさまだぁぁぁ!!!!」
母親に甘えているリナ。
ぴっしぃぃぃぃぃぃんんん・・・・・・・・
しばしのフリーズ状態・・・・・。
あああああああああああああああああのええええええええエル様がぁぁ!!?
完全に思考が混乱してくるスティルバイト。
彼は、ここまでの姿を見たことがない。
・・・当たり前だが。
完全に、リナを抱きしめる顔は、ほころび、優しいまでの微笑み。
・・・・彼らは、微笑みといったら、・・・・。
・・・・・想像するのも恐ろしい優しい笑み・・・。
その裏には、しっかりと。
根強い恐怖・・・・。
だが、その今恐怖すらも感じさせない。
・・・・まさしく、一人の母として、本気で心配している母親の姿・・・・。
・・・・う・・・・・うそだろぉぉぉぉ!!!!!!
絶叫を上げるスティルバイト。
―だが。
・・・・あ、でも、何かわかるなぁ・・・・・・・・。 
リナ様・・・・愛らしいものなぁ・・・・・。
どこかで、納得しているスティルバイトであった。


「めっ!!!駄目じゃない!!かってに宮殿からでちゃあ!!それに・・ああ!!!!リナ、姿!!姿!!!!
  あ!!部下STに見られてるぅぅぅぅ!!!!!」
リナの姿が、いつもの幼女のことに今更気づき。
うろたえているエル様。
「・・・・んっふふふ!!!部下ST!!リナのこの姿みたからには・・ふふふ♡」
いうエル様の目は・・・静かに座っている。
「ああ!!ははさま!!ちょめなんだよ!!すてぃるばいとはりなのおきにいりなの!!!!だからだめ!!」
リナがいう。
「・・・こいつの何処が!?」
「ははさまとおなじ、さらさらのきんのかみ!!!」
か・・かわいい!!!!!!
にっこりという娘の言葉に。
自分の面影をこのスティルバイトの金の髪に感じていることをわかってしまう。
・・つまり。
さみしいのだ。
いつも、側に自分がいれないから。
だから、自分と同じ、似通ったものをお気に入りとする。
「くぅぅぅ!!!ゴメンねぇぇ!!!さみしかったのねぇぇぇ!!!!もう、会議なんてどうてもいいわぁ!!!」
『え・・エル様・・・(汗)』
追いかけてきたルナと、スティルバイトの台詞が一致する。
「・・・ちっ。そうはいかないか・・・・。」
舌打ちするかの御方。
「ううん・・・・。仕方ないわねぇ・・・・。リナも、部下STの髪・・放しそうにないし・・・。」
リナは、いまだに、しっかりと、スティルバイトの髪を握っている。
どうやら、かなり、気に入っているらしい。
子供は、気に入ったものは、てこでも放さない。


こくっこくっ・・・。
スティルバイトの髪の毛をつかんだまま。
ルナは完全に睡魔に襲われる。
『――リナ(様)!!!!?』
ぽすん。
抱きとめる金色の母。
リナは完全に眠ってしまった。
押し寄せる睡魔に勝てなかったのである。
・・だが。
「・・・・エル様・・リナ様・・・・離しませんね・・・・・。」
完全に眠っても、まだ髪の毛を離さないリナ。
あるいみ、頑固。
そっとはがそうとすると。
「ふぇぇぇ・・・・。」
眠っているまま、泣き出しそうになる。
「・・・・しかたない・・。部下ST!!いや、スティルバイト!!!! リナが起きるまで、リナの側にいなさい!!!
   あ当然、変なことしたり、考えたりしたら・・・・・。即、滅ぼすか、消滅させるか、お仕置きだから♡」
「ええ!!!は・・・はぁ・・・。分かりました・・。」
いやいやながらに言っているようでも。
「・・・・スティルバイト・・顔がほころんでいるわよ・・・・・。・・・・まあ、無理もないけど・・・・。」
ルナが冷静に、突っ込んでいるのであった。



結局。
スティルバイトは。
リナが目覚めるまで。
リナの子守を命令されているのであった。


・・・ここから、二人の運命が大きく関ってくるとは夢にも思わずに。
リナはまだ、たんなるお気に入りでしかない。
そして、スティルバイトは―。

「・・・・リナ・・様・・か。守ってやらないとなぁ・・・・。力が上手に使えないってのはなぁ・・・・。」
かつての自分と照らし合わせ。
よりいっそうに、保護よくを沸き立たたせているのであった。
この感情が。
恋愛感情に発展するとは夢にも思わずに・・・・。



           -続くー

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まえがき:
こんにちわ♪
未来への希望♪
前ぶり過去話のまとめです♪ではでは♪
ちなみに。
希望の行方の本編とダブっている場所もあるのは・・かんぺんvvてへvv(まて!


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あとがきもどき:
薫:はい♪小説の前ぶりように、打ち込んでいる過去話のみの編集です♪
  へージのスペースの無駄かも・・(まて!)
  ま、いっか♪(だからまて!)
  それでは♪まだまだ、前ぶり過去話、続きます♪


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