閉鎖

「大丈夫か?」
それはいつも聞きなれた声であるはずなのに。
それが今では心苦しい。
だからそっけなくしていたのに。
・・・・・ごめんなさい。
実は私はしっていたの。
・・・・自分の死期を。
私は昔から・・・・こういうもっていたくない『力』をもっていた。
あなたにはじめてあったときも・・・・。
・・・・・あなたの未来がふと視えてしまった。
だから・・・・そっけなくしたのに。
どうにもならないことをいって。
「私紅い髪の男性は好きではないの。」
そういえばあなたは私からはなれてゆく・・・私はそう勝手におもった。
・・・・・なのに。
あなたは・・・・。
わざわざそれなら。
と私のために紅い髪に染めて・・・・そして闇から足をあらい。
私と一緒に光の中にと歩んでくれたあなた。
私は素直にはなれない。
・・・・なぜなら私はあなたを置いて死んでしまう。
ということがわかっているから。
誰とも深くかかわろうとはしなかった私。

かつてふと視えた・・・・私の最後。
誰か・・・・とても大切な誰かに看取られつつ・・・・息を引き取る私の姿。
私の予知は・・・はずれたことがない。
そして・・・・今。
その予知は・・・・現実のものとなっている。

・・・・ごめんね?
もっとはやくにあなたを切り離せばよかったのかもしれない。
けれど・・・・私は・・・・あなたのことを・・・・。
だから、私には・・・・もう、これしかいえない。


「・・・・ルーク・・・人を嫌いに・・・ならないで・・・・・」


あのとき視えた・・あなたの未来。
それは・・・あなたの心には・・・すべてに対する・・・・深いほどの悲しみと・・・憎悪。

あのとき・・・あなたのそばにいたあの栗色の髪の女の子と・・金色の髪の男性は・・・・。
知り合うはずがない。
そう言い聞かせていたのに・・・・・。
出会ってしまった。
いつか彼女がきいてきたことがあったわね。
あなたのことを。

『・・・・私は不器用ですから。』

それが私の本音。
私のせいであなたをつらい目に合わせてしまう・・・というのがわかっていたからこそ。
そっけない態度をとりつづけていたのに・・・・。
あなたは私の心に完全にといついてしまった。


・・・・・ルーク・・・・私は・・あなたのことを・・・・愛してます。

それを口に言う資格は私にはない。
だから。
これが私の精一杯。

・・・・どうか、彼が・・・憎しみにとらわれ・・・その身の中の紅き闇に負けないように。

今私にできるのは・・・これだけ。

・・・・・ごめんなさい。最後までわがままで・・・・。

・・・・・いつか、すべてなる母の元に・・・いつか、あなたに私の本当の気持ちを。
・・・・伝えるときがくればいい。
 ・・・・・・できれば・・・・来世でも・・・あなたに・・・・あいたい・・・・。

私の手をにぎりしめてくるあなたの手がとても暖かい。

・・・体力が・・・おちてゆくのが自分でわかる。


「・・・・ルー・・・・・」


私の肉体を抱えて声を押し殺してないているあなたの姿がみえるわ。
お願い・・・・悲しみにとらわれないで・・・。
私は・・・・でもいかなくてはいけない。
・・・・でも、あなたのそばに・・・ずっといるから。
だから・・・・。



私の前で悲しみにとらわれ狂ってゆくあなたをみるのはつらい。
・・・・お願い、ルーク、そばにいる・・・・私に気づいて。

・・・・悲しみにとらわれた・・・・あの人・・・ルークには・・・・私の声は届かない。


「そうか・・・・俺は・・・・あいつのところに・・・いきたかっただけなんだな・・・・・・・わるかった・・・・な・・・・」

ざらり。
あなたの体が・・塵と化す。


・・・・・馬鹿。
・・・・・・私の願いとは違うことをするなんて・・・・・。


『馬鹿。』
『わりぃ・・・約束まもれなかった。』
そういいつつも私を抱きしめてくるあなた。
ううん、本当は私も望んでいたのかもしれない。
あなたと・・・ずっと共にいることを。


運命なんてどうでもいい。
気持ちは・・・・完全にもう・・・・きっと。


『・・・・・いきましょ。』
『そうだな・・・あいつらにも迷惑・・かけたな。』
私の言葉にばつの悪そうに・・・ないているあの子をみているあなた。
・・・・これは私の罰なの?
・・・・ごめんなさい・・・・リナさん。
私に勇気がなかったから・・・・・
でもどこかでルークがそばにいることをうれしく感じているのは・・私は罪な女。
人の心はどうにもならない。
未来は・・・・変えられる・・・そう信じて託した私の遺言。

でも・・・・できたら・・・こんな能力・・・誰にももってほしくない・・・・。
苦しみが・・・ますだけだから。

 
人の心は未知数で・・・・そして閉鎖的。
ルークが私の言葉をうけいれられなかったのも・・・・
人は大切なものを失うと、失いかけると・・・・周りはどうにでもよくなるなる。
・・・・それが人というもの。

・・・・できうればリナさん、ガウリイさん、あなたたちには・・・幸せな未来があることを。




                               −終わりー

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   あとがき:
      薫:状況説明。ミリーナは自分の意思とは関係なく、
        未来を視ることができる能力をもっている。
        そういう設定です。
        ミリーナの・・・・独白?(になってないけど)
        ・・・・・どこかでルークバージョンもいってみるかな?
        それかこの後にでも(おい!)
        んではでは・・・・。



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