If  ~もしも…~合流・そして……~t

「う……」
爆風に吹き飛ばされ思わず狭い結界の球の中でぶつかり…一瞬、気を失っていたものの。
頭が重いのは、
それは、ぶつかったせいなのか、はたまたそれとも別の理由があるものなのか……
「「「…な゛!?」」」
ほぼ同時に目を覚ました彼らが見たものは、眼下に広がる巨大なクレーター。
「やばかったな。」
こちらはこちらで、どうやら気絶していなかったらしく、
じっと眼下をみつつ何やら話しているリナンとレナンとエリーとララ。
「今のアレ、何なんだ?」
「今の何なの?」
そんなララとエリーの言葉に。
『今の魔力波動からして…多分』
爆裂陣ディルブランドね』
そこには四人しかいないはずなのに、なぜかもう二人、どこからか別な声がしているが。
そして、ふと。
「あ、気がついみたいね。」
ふと、ルル達が気づいたのに気づき声をかけているエリー。
「…あの?エリーさん?今誰か別の声が二つしてませんでしたか?」
そんなエリーに問いかけるウィルに。
「まあね。…それはともかく、…とりあえず全員怪我はない?」
「いや、『まあね』って…答えになってないんですけど……」
言いかけるウィルの言葉をさえぎり。
「というか、何がどうなったのだ!?」
何やらわめいているゾルフ、と呼ばれていた男性。
何やら、黒い何かに全身が絡めとられたまでは覚えている。
次に気づけば、なぜかリナン達と同じ場所にいて、しかもなぜか空中にと浮いていた。
見たところ、何やら風の結界らしき球体の中らしい…というのは理解できるが。
「…いったい?」
首をかしげている同じくロディマス、と呼ばれた男性。
首を傾げつつ、呆然と、
眼下に広がるクレーターを眺めているルルにと視線を映している姿がそこにあったりするが。
「…まさか…そんな……」
確か、レゾは、あの体は土で作った人形、といってなかったか。
だとすれば、術の威力は…かなり格段にと落ちているはずである。
にもかかわらず、見たところ、たったの一撃。
しかも、地面などの状態からして…おそらくは…爆裂陣メガブランドを放ったであろうことは明白。
伊達に長いこと曽祖父であるレゾと共に行動していたわけではない。
「まさか…以前より威力が増している??」
ここ最近、いつにもましてレゾの魔力が飛躍的に増したのは気のせいだ。
と自分に言い聞かせていたものの、だがしかし。
こう目の当たりにすると、それは否定する要素はない。
「とりあえず。簡単に説明しとくけど。あんたたちは無謀にもレゾにむかっていってたから。
  とある手段を用いてこの結界の中にと移動させた。
  んでもって、この眼下にあるクレーターはあのレゾが爆裂陣を放った結果できたもの。
  …しゃれになんない魔力容量らしいけど………」
かなりかいつまんで、要点だけを説明しているリナン。
「そんな!?あれが、爆裂陣メガブランド!?」
先ほどのエリーへの質問を綺麗さっぱりと忘れ去り、
今のリナンの説明に、当然ながら驚きの声を上げているウィル。
いくら何でも、たかが爆裂陣ごときで、数キロ四方ものクレーターと化すなどとは。
聞いたことも見たこともない。
黒魔術最大、といわれている竜破斬ドラグスレイブですら、
ここまでのクレーターと化すかどうか、といったところである。
そんな彼らの言葉をうけつつも。
「それはそうと、いつまでこの上空に漂っておくんですか?ヤバクありません?」
とりあえず、先ほどまでは、リナンとレナンとエリーとだけ話していて、
ルル達も気絶してい問題なかったので、
普通の口調…つまりは平常の男言葉に戻っていたララであるが。
ルル達が気がついたのをうけ、またまた猫をかぶった口調にと戻しているララ。
…まあ、それはリナンとレナンにもいえることなのではあるが……
「それもそうだな。…とりあえず、下に下りるけど…異存は??」
ぐるっと全員を見渡して問いかけるレナンの言葉に、誰からも反対の言葉は上がらずに。
というか、はっきりいって状況がつかめていない、というほうが正解なのであるが。
とりあえず。
そのまま、誰からも異存の声が上がらないのをうけ。
今、自分たちが内部にと入っている風の結界の球体をそのままコントロールして。
そのまま地面に向けて移動してゆくレナン。

ウィル達にとっては、何が起こったのかまったくもって理解不能。
降下しがてら、会話の最中において、レゾの放った術によって眼下の惨状が形成された、
というのは理解できるが。
だが…しかし、たったの一発の術においてここまで壊滅的に被害がでるであろうか?
しかも、どうやら話をきけば。
レゾが放ったのは、最もポビュラーな爆裂陣メガブランドらしい…というのであるからなおさらに。

「…ここまでなるものですか?」
思わず、唖然としつつ、そこに広がっている光景…といっても。
レゾの放った術の威力において、地下水が吹き出て、ちょっとした湖ごときになっているのであるが。
しかも、その地下水がかなり沸騰しお湯というか熱湯状態になっていたりするのである。
そんなお湯状態になっている地下水にと手をつけてそんなことをいっているウィル。
そして。
「しかし、ララさん。エリーさん。
  光の剣と聖天の剣をお持ちなら…どうして先にそういってくださらなかったのです?」
すでに、自己紹介などについては、ロディマスやゾルフ、そしてウィルにララ、ルル、そしてリナンにレナン、エリー。
彼らはそれぞれに簡単に説明し終わっている。
どうやら話によれば、ロディマスとゾルフは、ルルがレゾの元を離れた、というのを聞き。
そして、どうやらレゾがルルの元に刺客を放った…というのを聞いて。
彼らは彼らでルルを助けようとこうしてやってきてるらしい。
そして、どうにか少しでもルルの手助けを…というその忠誠心…かどうかは別として。
少なくとも、レゾが、自分の髪の毛を入れた土人形をつくり、それを追ってに差し向けた。
そこまで見届け、そして人形ならば、ルルの手助けができるかも…と思い、こうしてやってきたらしい。
…実際は、土で作られた人形、といえどもかなりの威力を発揮したのであるが……
レゾ本人が術を放てばいったいどれほどの被害がもたらされるものか……
もっとも、人形であるがゆえに、あまりアレンジ等、といった威力を抑える。
ということもできなかったという一つの事実があるのであるが。
「「?いってなかったですっけ?」」
「聞いてないです!」
「私もさっき知りました!」
「「……そうでしたっけ?」」
「「そうです!!」」
何やらそんな会話がルル、ララ、エリー、そしてウィルの間でなされているが。
「しかし…これからどうするか…だな」
「レゾがあのまま黙っている…とは思えませんしね」
そんな会話をしているロディマスとゾルフ。
そして。
ふと。
「ところで…例のモノはえっと…ウィル…さんでしたっけ?」
「ウィル、でいいですよ。ルルさん」
「いえ、そういうわけにも…」
親しい人ならばいざ知らず、今であったばかりの人物である。
いきなり呼び捨て…というのは、何か失礼なような気がする。
そんなことを思いつつ。
「とりあえず、今はウィルさん。とおよびしますわ。例のモノはお持ちですよね?
  モノは相談ですけど、私にそれを譲っていただく…ということはできますか?」
とりあえず、このウィルたちが自分の味方につくのか否か。
というのは、今の段階ではわからない。
わかっていることは…ウィルが【賢者の石】を持っているがゆえに。
レゾも…そして自分もこうして行動を起こしている。ということのみ。
「これですか?…でも、ルルさんはこれをいったいどうするつもりなんですか?」
いいつつも、腰にと下げている小さな鞄から、
ごそごそとオリハルコン製の女神像を取り出して聞いているウィル。
振れば中から小さな音のようなものがしていなくもないが。
おそらは、その音の元が、賢者の石なのであろう。
そうウィルは思っていたりする。
…まあ、あたらずとも遠からず…なのではあるが…
それがたとえ、いくら屑だとしても……
「それは…。見てのとおり、私の体は合成獣キメラです。
  石人形ロックゴーレム邪妖精ブロウデーモンの。
  このような体にしたのは、私の曽祖父であるレゾなのですが…私はこの体を元に戻したいのです。
  こんな体では人並みな生活などはできないだけでなく、私生活にも影響がでますしね」
そんなルルの言葉に。
「ええ!?ルルさん、そんなに綺麗なのにもったいないですよ。今のままでいいじゃないですか」
本気でそんなことをいっているウィル。
そして。
「人間、必要なのは見た目ではありません。必要なのは心です。中身です!
  見た目なんてどうでもいいじゃないですか。しかも、ルルさん、そんなに外見も綺麗なんですから」
そんことを力説しているウィル。
そんなウィルをみて。
ぽそりと。
「…ま、あの父親を見て育ってれば当然…の反応なのか?」
「そうだろうな。」
思わずぼそり、とつぶやいているリナンとレナン。
リナンとレナンは、姉の関係で…実は昔、セイルーンの第一王位継承者に出会ったことがあったりする。
…絶対に王子、とは呼びたくないが……
あの姿は、絶対に、
女性でなくても大概、誰でも王子、というイメージで出会えば…ダメージを食らうはずである。
そんなことを確信しつつ、そんなことをおもっているリナンとレナン。
彼らがそんな会話をしているそんな中。
「どうやら話をしている暇はなさそううですわ」
「そうね、この気配は…多分」
いって…ララとエリーが一点を見つめ、警戒態勢をとり、その手を剣の柄にとかける。
というか、すでにララとエリーはなぜかその剣をお湯で洗っていたがゆえに、
剣はといえば、刃が抜き身の状態のまま構えられていたりするのであるが。
「…さすがに早かった…か…」
「そうみたいだな。」
ララやエリーと同時に、同じく。
空中の一点を見つめてつぶやくリナンとレナン。
「「「「…え?」」」」
そんな四人の声に残りの四人が空を振り仰いでゆくと…そこに見えるものは……

いまだに煙が治まりきらない、そんな空の一点にたたずむ…赤き影が一つ……


                             -続く?-

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あとがき:
エリー:私が活躍して無いわねー。
龍:いや、あの、それは、あのね。
エリー:問答無用よ。エイ
龍:ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。