んっふふふ!頂きましたのですv水島飛鳥さん、ありがとうなのです!
というわけでvいくのです!!!
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堕天使達への追悼歌 ~第1話~
「お~ほほほほほほほほほほ、お~ほほほほほほほほほ」
ずべしっ!
とりあえず、地べたに突っ伏す。
い、いきなりかい・・・・・・
「グレイシアさん!言っときますけれど!その人たち、盗賊ですからね!」
「何言ってるのよ、リーシェ、ご飯をおごってくれる人に、悪い人はいないっていうでしょ!」
お~い・・・本気でそんなこと・・・・・
・・・・・言って・・・いるんだろうなぁ・・・・・・
「・・・聞きますけど・・・本当におかしいとは思わなかったんですか・・・・・・・・・」
「何言ってるのよ・・・」
しかし、続きを言われる前に、私は口を挟む。
「とりあえず、こんなところで話すのもなんですし・・・;
町まで行って、食事でもしながらっていうことにしませんか?奢りますよ?」
「あら、いい心がけね、リーシェ、有り難く思いなさい、奢られてやるから。」
そういいながら、グレイシアさんは、既に町のほうへと足を進めている。
「ちょ、ちょっと待ってください、姉御!なんだ、小娘、姉御の・・・」
しかし、彼らは、最後までいい終わることは出来なかった。
「暴爆呪!!」;
ちゅっど~おぉんん!!
この私を、小娘などと呼んだものの、末路である。
「で、出てきた盗賊を撃退して、アジトへ追いかけていったら、グレイシアさんが、さっきの盗賊と一緒に出てきたんです。」
盗賊退治の依頼・・・はっきり言って、面倒なので、やる気は無かった。
ただし、最近増えたという、強敵・・・
妙な格好をした、女魔道士の事を聞くまでは。
である。
・・・・・・そんなもん、グレイシアさんしかいないと思ったし、実際そうだったし・・・。
そんなことを考えていると、ふと、本当にふと・・・
男たちの、声を殺した会話が聞こえる。
小さな声ではあるが・・・
エルフ並みの(本当にエルフの血も入ってるわけだし)耳をした私には、ちゃんと聞こえる。
「じゃあ、やっぱあの・・・・・・」
「ああ、間違いない、あの『どらまたリナ』だ。」
・・・・・・いや、そこ、ちょっと待て。
・・・なんか横でグレイシアさんが妙なこと言って、報酬の分け前を要求しているような気がするけど、
そんなことを気にしている場合じゃなさそうだ。
普段だったら、そんなやり取りも楽しんでるところなんだけど・・・・・・
「グレイシアさん、報酬なら全額提供しますし、ちゃんと此処も奢るから、少し教えてほしい事があるんですけれど・・・」
もちろん。
私の提案を、グレイシアさんは、一も二もなく受けたのだった・・・
「へっへっへ、姉ちゃん、嬢ちゃん・・・悪いが、その荷物全部置いて・・・」
暴爆呪!
「まあ、俺たちの前に現れたのが、運のつき・・・」
風魔咆哮弾!!
「くっくっく・・・か弱い女ふた・・・」
アルテマ!
「ちょ、ちょっとリーシェ?今の呪文いったい・・・?」
「それは秘密ですっ♪」
と、まあ、なんだかよく分からない場面も含みつつ、
私とグレイシアさんは、
なみいる盗賊をぶちのめしつつ、セシリアという町を目指していた。
セシリアの町・・・あそこでは、今、実は密か・・・でもないが、魔王信仰が行なわれているのである。
・・・それも、間違った。
あの町は、私にとって、縁の深い町である為、どちらにせよ、そこを目指していたのだが・・・
その途中、どうも師匠がセシリアの町の方に行ったらしいということを聞いたのである。
冗談ではない。
どいつもこいつも・・・師匠の正体なんて分からないから、碌でもない事しかしないに決まってるんだぁぁ!!
盗賊が多いのは、セシリアの町がちかずいている証拠・・
・・・・ではあるのだが。
いくらなんでも、鬱陶しいにも程がある。
あ~~もう、こうなったら・・・
「グレイシアさん!もう、いい加減、さっさと行っちゃいますんで、しっかりつかまっててください!」
「さっさと・・・っていったい何する気?」
「空間移動♡師匠がなんどもやっているでしょう?」
・・・・・・・・・あれ?返事がない・・・・・・??
・・・・・どうも、空間を移動している際、
どこかに落としてきてしまったらしい。
・・まっ、いっか。グレイシアさんだし。
L様、干渉しまくっていたみたいだし。
何とかなるでしょ♪
セシリアの町。
1000年前の降魔戦争の際、町を守って命を落としたとかいう伝説の女性とやらの、伝承がある町である。
まあ、セシリアは本当は死んでなかった訳だし正体はルナ・・
・・・赤の竜神だってことも、知らないから、伝承、かなり面白い事になってるみたいだけど・・・
そんな、赤の竜神とのかかわりが深い町だっていうのに・・・
何故か、今この町では、魔王信仰が、行なわれていたり、するのよね~
Sなんか信仰して、どうしようっていうのかしら?
ま、ルナでも同じだけど。
それで、「闇の前奏曲(ダーク・プレリュート)」
とかいう、Sを信じてる人間と、古くからいたルナを信じている人間との間で・・・
まあ、些細な争いが起こっている様ではあるけれど。
「すみません・・・旅の魔道士の方、ですよね・・・・・・?あの、もしよろしければ、頼みたい事があるんですけど・・・。」
「あら、いいわよ、ネーレ。どうせ、ちょっかい出すつもりだったとこだし♡」
「ありがとうございますって、え・・・えぇ?なんで私の名前を!?」
いや。
見れば分かるし。
まあ本当なら見なくても分かるけど。
金に近い赤毛をショートカットにした美人ではないが、まあ、かわいいとはいえるタイプの普通の女の子。
ネーレの外観を一言で言うと、まあ、そんな感じになる。
確か、父親が神官で、この町では町長も兼ねているんだけど。
その父親が「闇の前奏曲」にやられて、ちょっとした怪我をしていて。
ディリスとかいう恋人が闇の前奏曲に入っちゃって。
それで困り果ててこの私に依頼をしてきたわけだ。
「まあ、いいじゃない。行くわよ、ネーレ。」
「え?行くって・・・どこにですか?」
「決まってるじゃないの♡、怪我、治しに行くのよ。あなたの父親の、ね♡」
「あの・・・本当に、なんで知ってるんですか!!そもそも私は・・・」
「ああ、知ってるわよ♡「闇の前奏曲」の連中を、何とかして欲しいっていうのと、できれば父親の命を助けたい。
あ、あとディリスの事も、入れといたほうがい~い?」
「なっ・・・・・・・・・・・・」
あ、本気で驚いているし。
なんでこのくらいの事で、不思議に思うのかしら?
そもそも、今言った件にしたって、何処か大きな教会まで、
今起こっていることを伝えて欲しいって、言う心算だったみたいだし。
突っ立ったままのネーレを放って置いて、すたすたと神殿の方に歩き出す。
「って・・・ああ!待ってくださ~い!おいてかないで~!!」
闇の前奏曲、子飼いの盗賊団のうちの1つのアジト。
そこは今、破壊と混沌と阿鼻叫喚に包まれていた。
「な、何が起こったって言うんだ!」
彼・・・作者(飛鳥)に名前もつけてもらえない、盗賊の親分は叫んだ。
実際・・・ついさっきまで、彼はなんと言うか、得意気もいい所だったのだ。
街道を一人で歩いていた、不用心な一人の少女を襲った・・・
その少女は、かなりいいところのお嬢様のようで、
彼は、何処かのお嬢様が、家が気に食わないとかそんな理由で、家出したのだろう。
位に思っていた。
それは、とてもいい仕事だった。
1人の世間知らずなお嬢様を襲う・・・
その娘は、かなりの金・・・多量のオリハルコンの欠片すら持っていた。
彼は、この時点で何かがおかしいと気が付けばよかったのかもしれない。
実際、雇っている魔道士もそう進言した。
だが彼は、高価な宝と・・・・少女にすっかり目がくらんでいたのである。
少女・・・本当に少女、子供といっていい・・・・・・てか、まんま子供な年齢である。
彼にはロリコン趣味があったらしい。
上機嫌で酒盛りをして・・・少女に手をつけようとしたら、「これ」である。
もし、その少女が誰だか知っている存在がいたら・・・
楽しむか、あざ笑うか、恐れるか・・・
まあ、楽しむ存在は少ないだろうけど。
とにかく、彼は、世の中には自分の手には終えないものがある。
という事を始めて知った。
ふだんだったら、よかったね、これで一つおりこうになったね。
とでも言ってやるが、それは無理だった。
に名前も分からなかった彼は、
こうして、自らが何をしたかも分からぬまま滅びていった・・
・・・死んだんじゃなくって滅びて逝った。
でも、彼の地獄はこれから始まる。
・・・合掌。
子馬亭・・・この町で一番大きな宿屋兼酒場兼食堂である。
因みにこの店はさっきまで我らがL様こと、リナ=インバースのいた食堂である。
そこに今、1人の少女が現れた。
白い髪、蒼とも碧ともつかぬ目、右の目は髪に隠れているが、
肩より少し伸ばした髪が、わずかに金の色を帯びて・・・
はっきり言って滅茶苦茶美少女である。
具体的に言うと、自分の魅力というか、そういう物を抑えている今のL様には、問答無用で勝ってる位には。
少女に、そこにいた人間の視線が集まる・・・・・・それを待って、少女―リーシェは口を開いた。
「人を探しているの。私と同じくらいの年齢で、栗色の髪に、赤い目をした女魔道士を知らない?」
そこにいた人間は・・・皆、心当たりがあった・・・
当たり前だ。
ついさっきまで此処に居たのだ。
しかもあれだけの美少女で・・・・・・
おまけに、とんでもない量の食事をしたとあらば。
だが・・・此処にいた人間は・・・同時に別のことも考えた。
すなわち――厄介ごとはごめんだ。
此処に現れた少女は、魔道剣士の格好をしていた。
少女が探している相手は、魔道士で・・・・・・
しかも、さっきネーレ・・・神官長の娘の依頼を受けていた。
さらに言及すれば今ここでの、闇の前奏曲と神殿の関係を知らぬものはいない。
口を閉ざしたもの当たり前だ。
だが・・・分からないほうが無理というものだ。
なんと言っても本当についさっきまで居たもので・・・・・・
食器の山は、まだテーブルの上、少しずつ運んでいる最中だったのである・・・
「ありがとうございます!なんとお礼を言ってよいのか・・・・・・」
フォルト・・・この町の神殿の神官長である。
高々、彼に盛られていた毒の効力を消しただけでこの騒ぎである。
怪我の悪化だとばかり思っていたようだが、
実際は短剣に、毒が塗られていたのである。
たっく・・・こんな毒、それこそ麗浄和で消せるでしょうが!
「あの、本当にありがとうございます。それで・・・・・・とりあえず、依頼したいことがあるのですが・・・
まあ、まずはお礼がてら食事でも。ところで・・・まだ、お名前を伺っていませんでしたが・・・」
「リナよ。リナ=インバース」
『あ、あなたがあのっ!!??』
「いや~世間の噂とは、当てにならない物ですなあ・・・・・・・」
「すみません、リナさん。私もう、2度とあなたのことを・・・」
バシュッ!!
いきなり黙りこくる2人。
ちょっとばかし、外の庭木が吹っ飛んだだけなのに・・・・・・なんでそんなに怖がるのかしらねえ?
「あの、食事の支度ができましたが・・・」
そう告げる声に、
「い、いや~そうですな、この辺は、山ケルルが逸品ですぞ(汗)」
「そ、そうですわね、お父様。今の季節ならちょうど旬ですし・・・あ、リナさんも早く・・・(汗)」
なぜか、2人とも、目を泳がせて、そこはかとなく汗をかいている様な気がするが・・・
まあ、そんなことは気にせず、山ケルルの方に思いを馳せる事にした。
あれ、なかなかおいしいのよねぇ~♡
それに・・・そろそろ他も着きそうだし♪
私は・・・・・・困っていた。
少しばかり。
まあ、寄って来た相手から、
無理やり神殿に行っただろうと言うことを聞き出し、神殿に向かおうとした。
その途中・・・俗に言う所の、ごろつき、という奴に囲まれてしまったのである。
愚かにも、この私に手出しをしようとしたので、少しばかりあしらってやったら・・・この騒ぎである。
「へっへっへ・・・姉ちゃんよう・・・・・・別にいいんだぜ、俺たちはあんたがどうなろうと。
それをせっかく親切心から言ってやってるんだから・・・素直にきかねえと、なぁ・・・」
はっきり言ってウザイ。だが、此処は街中。
あまり派手な事をするわけには・・・・・・
「姉ちゃん・・・いい事教えてやるよ・・・俺たちの後ろには、闇の前奏曲が・・・」
―――暴爆呪っ!!
一瞬の後。ついつい呪文を放ってしまった少女と、本来なら即死の筈が、
少女に無理やり生かされているごろつき供の姿があったという・・・
場面は変わって再三に渡って子馬亭。
L様とリーシェが出現しているのに、ちっとも被害が出なかった、奇跡の地である。そこに、一人の少女が現れた。
何処かの盗賊団の残党でも此処にいたら、恐れおののき、そして、大騒ぎになっていた事だろう。
だが、幸か不幸かそんなもんはいなかったし・・・
少女は、誰も目から見ても、ただの愛らしい・・・
こんな所に来るのはおかしいが、それも何か深い事情があるんだろうとか
思ってしまった・・・普通の(?)少女に見えたのである。
基本的に親切な女将さんが、少女の必殺、上目使いウルウル 私、困ってるんです攻撃に
陥落してしまったのも、しょうがない事だったのだろう。
たぶん。
・・・いいのか・・・それで・・・・・・
「まさか・・・あの人数が、やられたというのか・・・・・・」
「はい・・・首領・・・その通りです・・・・・・」
「だが、しかし誰が・・・・・・まさか・・・・・」
「いえ、それがそのぅ・・・どうも、一介の流れ者の様で・・・」
「一介の・・・流れ者、だと・・・・・・まさか・・・そのような・・・」
彼はしばし、考え込み・・・・・・
「いや、まあよい・・・・・・とりあえず、そのものの身元を調べておけ。」
「はい・・・ところで・・・2人、いるのですが・・・?」
「は?2人、だと?」
「はい、魔道士風の娘と、魔道剣士の格好をした娘が・・・」
因みに、青年の元へ、まだ3人目の少女の事は、届いていない。
「?どういうことだ・・・・・・?」
彼はまたしばし考え込み・・・
「まあ、よい。とりあえず、2人とも正体を調べておけ。何か出てくるはずだ・・・・・・
(いや、そうでなくてはならない・・・)承知したな・・・ディリス。」
「はい、承知いたしました・・・必ずや、娘共の正体、暴いてごらんに入れます!」
勢い込んで言って、部屋を飛び出す青年・・・ディリス。
そんな彼が消えた方向を、身じろぎ一つせず、見つめていた「彼」は・・・
ディリスが完全に消えたことを見計らって、後ろを振り返り・・・虚空を仰ぐ。
「どういうことだ?」
「来るのは・・・1人じゃなかったのか?それに・・・私は結局、その娘が何者なのか、聞いていない!」
誰もいない部屋でうろうろ歩き回って、大声で叫び、机にバンと手をつく。
はっきり言ってかなり怪しい。
だが、その虚空より・・・返答はあった。
「そのような事は・・・お前の知るべき事ではない。
私は、お前に力を貸し、お前はそれによって利を得た。それで充分な筈だ。」
それまで、誰もいなかった―当たり前だ―宙に・・・一人の男が浮かんでいた。
因みに、明らかに人外のものと分かる姿である。
「だが、そうは言っても!」
「五月蠅い。」
一言の元にさえぎられ、屈辱に顔をゆがめる男。
現れた存在―――魔族―――は、さらに言葉を紡ぐ。
「私にとって、お前に力を貸すことによって、得られる利などたいしてないのだ。
それをわざわざ―――お前のような、何も知らぬ輩に手を貸したのは・・・・・・
ただ一つ、あの小娘をおびき寄せるため・・・・・・
赤眼の魔王様にこそ、反してはおらぬが・・・
獣王様より、覇王様に下ってまで、成し遂げようとしている事を・・・
貴様如きがつぶした場合・・・どうなるか、分かっているだろうな?」
言葉と共に感じる、すさまじいまでの威圧感。
男は、目の前にいる相手が、紛れもない純魔族―それもかなり高位の―なのだと思い知る。
余談だが、週に1回は同じことやっている辺り、学習能力皆無である。
転げるような勢いで男が部屋を出て行った後、
其処に残った魔族は、さらに言を紡ぐ。
「2人、か・・・いまさら関係ない者が来るとも思わぬし・・・
1人はフィレルとして、もう一人は・・・・邪魔だな・・・
此処に来れた以上、尋常のものではないだろうし・・・
いったい何の目的があって、誰がきたというのか・・・・・・」
「失礼しま~す♪」
セシリアの町の魔道士協会は、かなり大きいほうである。
協会にとって一種の聖地のでもあるので、教会が発展して・・・
共存している魔道士教会が大きくなるのは当たり前・・・とも言える。
なお、此処では、現在ではあまり制度として運営されていないが、
旅の魔道士等は、この町に滞在している間、協会に一時的に登録・・・というか。滞在しているという事を届け出る義務がある。
まあ、今現在の状況じゃ、そんな決まりを律儀にも守るような人はいないので、
受付は暇・・・閑職もいいところ。だったのだが・・・
この日、久々に登録者がやってきた。
「リーシェ=M=インバース」
所属魔道士協会:ゼフィーリア魔道士協会。
この名は、そこにいた人間を、恐怖に陥れるのには充分だった。
さらに。
さらにである。
「リーシェ」の出現によって、大恐慌に陥ってるというのに・・・
まあ、そういう時は、えてして追い討ちがかかるものである。
栗毛に赤い瞳の美少女。白髪赤瞳(アルビノ)の美少女。
鑑賞対象としてはかなりの物。ものすごく眼の保養になる(笑)
だが、その名前が尋常ではなかった。
そして何より・・・その2人が交わした会話の内容が尋常ではなく・・・
特に、一部思い当たる節があった人々は、聞かなかった事にするという
ある意味この上もなく賢い選択肢を選んだのであった。
「やっほ~!リーシェ、元気そうね♡」
「(びくっ)・・・・・・え、え、(L様といいそうになった)え~~~と・・・師匠!?なんでこんな所に!?」
「あら、別になんでもないわよ♪ただ単に、この町に来たからにはってことで登録しに来ただけよ♡」
「(絶対嘘だ・・・・・・・)まあ・・・私もそうなんですけど。ところで師匠。闇の前奏曲ってとうぜん知ってますよね?」
(此処でその声が聞こえた全員が側耳だてる)
「もちろんじゃない♡元々それ知ってるから此処に来たんだし♡
ついでに神殿の依頼も受けて、首を突っ込む準備も満タン♪
も・ち・ろ・ん・リーシェは依頼、手伝ってくれるわよね?(にっこり)」
「当たり前じゃないですか!そもそもそっちが手を出さなくとも、私は手を出すつもりでしたし!
だいたい・・・何もしなかったら。どうなると思っているんですか!?
たぶん制裁を受けるのが落ちです!!!・・・・・・違います?」
「あら、制裁なんて・・・そんなつもりはないわよ♡
まあ、ただちょっとばかり・・・役立たずな部下にはお仕置きするかもしれないけど♡
お前には関係ないでしょう?」
「いえ・・・そう関係ないと、一概にも言えないんですが・・・・・・(汗)
ま、いっか・・・・・・ところで、これからどうするんです?
闇の前奏曲のアジトなら、此処の地下にありますけど・・・・・・」
ガラガラガッシャーン!!
(聞き耳立てていた連中がこけたりした音)
「ま、そうすぐ手出ししてもつまらないでしょ♡
とりあえず、神殿に戻るとしますか・・・って、リーシェ。
聞くけど、何処から何処まで分かってる?♡」
「・・・・・・答えなきゃ駄目ですか?」
「もちろん♡」
「え~と、先ず、この町で、闇の前奏曲って言う組織が暗躍していて、
まあ、この町に本部があるって言うだけで、もっと広域で活動している組織ですし、
暗躍って言っても、暗黙の了解で、全員知っているみたいですけど・・・・・・
で、その組織が、とりあえず、魔王信仰のクセに、世界征服とかそれに近い事を言っている事でしょう?
其処の首領が、此処の魔道士教会の評議長だって言う事と、
後は・・・・・・・せいぜいそいつが、フェリスターレスと、契約しているって言う事位です。」
「じゃあ・・・・・・その、フェリスターレスの目的は?♡」
「・・・そもそも、それが分からなかったから来たっていうのもあるんですけど・・・」
至極普通に話してはいるが、いかんせん、話している内容が普通ではない。
しかも、いうまでも無いが、2名とも、大変な美少女である。
人間、顔ではないとか言いつつ、やっぱり美人の方が注目を集める。
2人の会話を聞いてしまって、泡を吹いている哀れなる犠牲者の数・・・押して、知るべし。
「ネーレ・・・久しぶりだな。元気か?」
神殿の前で、リナを待っていたネーレ。
声をかけてきた人間に・・・彼女は思わず息を呑んだ。
「ディ、ディリス!!??」
そう、声をかけてきたのは・・・
彼女の恋人にして、敵(闇の前奏曲)へと走った・・・ディリスだったのである。
「ネーレ・・・・・・」
「ディリス・・・・・・」
なんだか辺りにハートマークが飛び散ってるって感じ・・・だが。
トスッ
「ディ・・リ・・・ス・・・何・・・を・・・・・・?」
いきなりその場に膝をつくネーレ。
「ネーレ・・・悪い・・・・・・」
そう、ポツリとつぶやき
・・・ディリスは、ネーレを抱えて、消えてしまう・・・・・・
だが。
「ネ、ネーレお嬢様!?」 「ネーレ様が・・・消えた!?」
神殿の神官(及び巫女)、公舎で使っている使用人・・・
其処にいた誰もが、ディリスの存在に、気がつかなかったのである・・・・・・
余談だが、ネーレは此処の、巫女長である。
「リ、リナ殿!!」
とりあえず。という事で、神殿に向かうと、フォルト神官長は、転げるように出て来て・・・本当に転んだ。
「リナ殿・・・ネーレが・・・・・・」
「はいはい、ディリスに攫われたって?」
「はい、ネーレがディリスに・・・・・・って、はい!?なんでディリスが其処に出てくるんですか!?」
なんでってそりゃ、其れが本当の事だからなんだけど・・・
どうも、この人間、分かってなかったみたいね。
「それはもちろん、本当にそうだからだと思いますけど?」
横・・というか後ろから、リーシェが口を挟む。
視ると、あまり話させちゃ、L様が機嫌損ねる・・・絶対に・・・
とか何とか思っている。
これは・・・後でお仕置きが必要かしら♪
「本当とは・・・ネーレは、ディリスが攫っていったという事ですか!?何故そのようなことを!?いや、其れより・・・
何故其れを知っているのです!?それに、ネーレは、いきなり消えたと・・・」
「落ち着いてください!とりあえず・・・お話を伺いましょう。あいにく私は事情に詳しくないので・・・
それに・・・師匠が教えてくれるとも思えませんし。」
リーシェ・・・後で覚えてなさいよ・・・・・・
「は、はい・・・そういえば、あなたは?」
「リーシェと言いまして・・・まあ、リナさんの弟子です。そういうことにしておいてください。事実ですから。」
まあ、事実を喋るわけにはいかないとは言え・・・
かなり胡散臭い自己紹介である。
「う、うぅん・・・・・・こ、此処は?」
基本に忠実な声を上げて起きたのは、ネーレである。
「ネーレ、起きたか・・・・・・」
「ディ、ディリス!?」
ネーレの頭の中を、今までの事が駆け巡る・・・
「私・・・リナさんを待っていて・・・そうしたら・・・・・・」
急に顔を上げ、ネーレはディリスに何かを言おうとした
・・・が、それはできなかった。
なぜなら・・・・・・
ネーレの唇は、ディリスに塞がれてしまったからである。
・・・・・・しばらくして。
やっとネーレを放したディリスは、ネーレを見つめ、口を開く。
「ネーレ・・・すまない・・・迷惑をかけてしまって・・・・・・」
「ディ・・リ・・・ス・・・・・・?」
そのあまりに悲しそうな瞳に、
ネーレはとても文句を言えなくなってしまった。
「なるべく、悪いようにはしないつもりだ。いや、絶対に・・・・・・・」
と、なんだか決意を固める。
「悪い。だが、せめてこれだけでも教えてくれ・・・・・・
神殿に来た魔道士・・・彼女は一体誰なんだ?」
「魔道士・・・って、リナさんのこと?」
「リナ?・・・まさかとは思うが・・・あの、リナ=インバースかっ!?」
「ええ。そうだけど・・・・・・」
「・・・・・・なんでそんな奴が・・・・・・いや、そうだ。もう一人は誰なんだ?」
(子馬亭でリナが神殿に行ったという事を聞いて、
神殿に向かったリーシェを襲撃失敗したからには、そのまま神殿に行っただろうと思っている。)
「もう一人・・・・・・?神殿が雇ったのは、リナさんだけだけど?」
「????いや・・・そうか・・・・・・分かった。もういい。・・・・・・『眠り』」
パタリ
眠ったネーレを見て、ディリスは呟く。
「ネーレだけは・・・・・・何としてでも!」
彼は・・・その言葉を、魔族-フェリスターレスが聞いていたということを知らず・・・
その両名ともが、彼らのターゲットである、栗色の髪の少女と、白子の少女が、面白がって見つめていることを知らなかった。
そして、彼女達の方は・・・更にそれを見つめる眼に、ちゃんと気が付いていたのである。
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