遥かなる記憶の彼方に…~プロローグ~


白いテラスから、一人、空を見上げる女性。
眼下をみれば、庭先にある噴水が、月の光を浴び、
虹色のライトに照らされて、幻想的に浮かび上がり。
水しぶきがまっている。
まるで、虹の雫がこぼれるごとくに、きらきらと、月明りに煌いている。
その周りには、月明かりに照らされて、夜だというのに、
丁寧に管理されているのが一目でわかる、木々や、花々が生い茂り。
その中に、月明かりに照らされた一つの建物。
その、3階のバルコニーで。
真っ白なテラスにカーディガンを羽織った金色の髪の女性が、静かに夜空を見上げている。
「マリア?」
女性は、声のしたほうを軽やかに微笑んで、にっこりと笑みを返す。
「まだ、夜は寒いぞ。ほら、体に毒だぞ?」
淡い金色の髪をして、どこか優しい雰囲気を持っている男性。
「リュク、星を見てたの。・・ほら、また、流れ星が。」
夜空を見上げる。
シュン・・・。
静かな夜に、耳を澄ますと、流れ星のかすかな音が耳に届いてくる。
「本当だ。今日は、よく流れるな。でも、体に毒だぞ?」
ふわり。
テラスにでて、上からさらにコートをかけてやる。
「もうすこし・・。」
「何か願い事でもあるのか?」
愛する女性の肩に手をおき。
寒くないように、抱き寄せて耳元でささやく。
「流れ星・・お願いを聞いてくれるのなら・・。一つだけ・・。」
「何だ?」
マリアの言葉に、リュクが問いかける。
「あのね。私達に、子供が授かりますようにって♡」
「・・そうか。でも、こればっかりは、天のめぐみだからな。」
ぎゅ。
「・・そうね。だから、お願いしているの。」
妻にはいえない。



「・・・子供ができない?」
「ええ。奥さんは、生まれつき、卵子が弱いようです。受精しても・・育ちません。
   これは、体の問題なので、どんな治療も無駄です。
   それと、奥さんは、体が生まれつき弱くていらっしゃる。
   万が一、一億分の一の確率で、妊娠しても。・・・命の保障は出来ません。」
「・・妻には・・・マリアには・・。」
「まだ話してません。」
「・・・では、このまま、内緒にしていてください。・・・マリアは・・子供が出来るのを楽しみにしているんです・・。」 
「・・・・わかりました。」
以前医者から言われている言葉。
いえるわけがない。
子供を授かるのを楽しみにしている愛する妻に。



結婚して、三年。
それでも、子宝に恵まれないのは、何か原因があるのでは。
と、マリアがせがむので、病院にいったときの、担当医からの説明。
マリアには、異常はない。
と、いっておいた。
子供がいなくても、マリアがいるから。
愛する人がいるから、それでいい。
屋敷の人々も、そう思っているのだから。

ノクターン家。
この家は、この星で、有名な一族である。

「あ、リュク、また、流れたわ。・・・どうか、私とリュクに赤ちゃんが授かりますように。」
熱心に祈る妻に。
そっと、優しく肩をだくリュク。

キラッ。
一瞬、星が輝き。
そのまま、掻き消えるように掻き消えてゆく。



「ほら、あんまり長くテラスにでてたら、体が冷えるぞ?これは、しっかりと暖めてやらないとな♡」
「・・馬鹿//」
こてん。
体を預けてくる妻が、何とも愛しい。
「ほら。」
すっ。
横だきに抱きかかえ。
部屋の中にマリアを連れてゆくリュク。
「あ・・リュク、また流れたわ。」
リュクの首に抱きつくように、マリアがまた一つ。
流れ星を見つけていた。
「・・本当に、今日はよく降るな。流星郡の時期でもいなのに。」
シュゥゥン・・・・。
ふとみれば。
無数に、星が流れている。
幻想的なまでのその風景。
「・・・流れ星さん、どうか、私達に赤ちゃんを・・。」
つぶやくようにいうマリア。
マリアが赤ちゃんを欲しがっているのは、リュクにもよくわかっていた。
自分もマリアとの愛の結晶は、とても欲しい。
だが。
マリアの体が優先である。
もし、子供ができても、マリアの命がない。
と、進言されていれば。
でも、妻にはいえない。
このもどかしさ。
― どうしても駄目なら、養子でも、貰えばいいさ。 ―
気落ちする妻に。
以前そういったことがある。
それでも、できるだけ、自分で産みたい。
というので、今まで、養子縁組なども一切していない。
ここ最近。
彼女の従兄弟も赤ん坊を産んだこともあり、より一層に赤ん坊を欲しがっているマリア。
・・・そろそろ、養子のことを考えたほうがいいな・・。
リュクは、常々、赤ん坊を欲しがるマリアに。
そっと、養子の口を捜していた。
できれば、自分達に、似ている子供を。


彼女達が寝室に入ってしばらくして。
シュン。
キラリ。
すぅぅぅぅぅ・・・・・・・。
夜空から、一つの星というか、光が舞い降りて来る。
ノクターン家の門の入り口に。
そして、それは、やがて。
一つの形となし。
小さなバスケットの形となってゆく。



「・・・・あら?」
ふと、マリアがシーツの海から起き上がる。
「ねえ?リュク?何か聞こえなかった?」
横にいる夫であるリュクにきいているマリア。
「・・さあ?」
「・・・・ほら、また・・。」

キャア・・・・ホギャア・・・・・。

「・・・赤ちゃん?」
「・・マリア?」
あわてて、起き上がり、バスローブを身にまとい、外に出てゆくマリア。
「おい、マリア!!どうしたんだ!?」
確かに。
気のせいでなく、赤ん坊の声が・・。
マリアは、その声を聞くとほぼ同時、ぱたぱたと、急いで服を簡単に着て外へと飛び出してゆく。


キャア・・・ホギャア・・・・・。
「何か聞こえなかったか?」
この家のお抱えの守衛が、声に気づく。
「・・まて。ちょっと静かに・・。」
ギャア・・ホギャアアァァァァ・・・・・・。
「確かに。」
かすかに、赤ん坊の泣き声がする。
それも、声の感じから近くに。
この辺りには、赤ん坊はいないはず。
というか、この辺り、一キロ四方は、ノクターン家の敷地中である。
赤ん坊の声など、聞こえるはずもない。
「・・こっちだ!」
彼らは、声を頼りに。
声のする、ノクターン家の表門の方にと駆け出した。


「ほぎゃあ、ほぎあ、ほぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
まず、目に入ったのは。
バスケットの中で、泣いている小さな物体。
金の髪が、月明かりに照らされて浮かび上がっている。
そして、ときどき、開くその目は。
マリアと・・ノクターン家の奥方と同じ、青い瞳。
『こ・・これは!!!』
「奥様!!旦那様!!!!」
インターホンで、あわてて、連絡する。

さすがに、数百メートル以上、家と門が離れているがためにすぐにはこれないまでも。
「・・・す・・・捨て子?」
バスケットの中からその赤ん坊を抱き上げる。
「きゃ、きゃ、きゃ♪」
小さな手を虚空に伸ばす。
はっきりいって。
どことなく、この家の主人と、奥方に、似ていなくもない、この子供。
金色の髪は、柔らかな髪質で。
マリアとリュクを混じり合わせたように、ふわふわな髪の質。
そして、透き通るまでの青い瞳。
そして、瞳の中の色は、黒。
見ていると、吸い込まれそうなほどに。
まるで、夜の闇よりも暗い、果てしない深遠の漆黒の黒。
その中に、かすかな光が見えるような、そんな色。
「何かあったのですか?」
声の方をみると。
今、連絡したばかりなのに。
この家の主人たち。
マリアとリュクが門のところまでやってきていた。
マリアを追って、リュクも一緒に出てきたのであるのは、守衛たちは知る由もない。
「・・・・まあ!!」
「・・これは!?」
守衛が抱いている赤ん坊をみて、マリアが手を伸ばす。
すんなりと、赤ん坊は、マリアの手の中で。
安心しきったように、にこにこと笑っている。
「この門の入り口に、バスケットの中にいたんです。・・・・捨て子でしょうか?」
「まあ、こんなにかわいい子供を。」
そっと。
触れると。
小さな手が握り返してくる。
「・・ともかく、今日は、このまま、家の中に連れて行こう。・・・明日、警察と、役所に届けて、この子の親、調べてもらおう。」
「・・・そうね。」

この星は。
個人、個人の情報はきちんと管理されている。
つまりは、遺伝子レベルや、指紋などで。
何処の誰かが、すぐに分かるようになっているのである。
これは、銀河連盟が発足している条例でもあるのだが。

「・・・・他には、何かない?」
バスケットの中には他には何も入ってなかった。
「あら?この子、何か握ってるわ。」
小さな手にしっかりと握られているそれは。
透明な水晶の中に入っている見たところ不思議な色合いの石のペンダント。
たしか、どこかの銀河で。
こういった、水晶カプセルは見たことがある。
ここでも便利なので、最近、発売されたばかりの品である。
ある程度の大きさのものであれば、手のひらサイズの水晶に品物を入れて、持ち運びができる。
という画期的な品物。
それをなぜ、こんな赤ん坊がもっているのか?
まだ、これを手に入れるには、莫大な財産をもってないと、金額が一般には程遠いであろうに。
「よしよし、いい子ね♡」
すっかりと。
マリアが赤ん坊を手放さず世話している様子をみて。
心の奥で。
・・このまま、この子の親が見つからなければいいのに。
そうしたら、マリアも悲しまないで、このまま、この子をうちの子にできるのに。
すっかり、この赤ん坊が気に入っている妻をみつつ。
リュクは心のうちでつぶやいていた。



次の日。
申告にはいったものの。
該当する人物は、一切当てはまらずに。
「私設で、預かりましょう。」
という役所の申し出に。
「いえ、私達の家で面倒をみます。」
みつからない。
という言葉を聞いて、うれしそうな妻に少し安堵感を覚えつつ。
リュクは、執事を通して。
この子供の親が見つからない場合は養子縁組をすることを。
役所と、星を管理統括している上層部から許可をとりつけることに成功していた。


一ヶ月たっても、該当者、不明。
「はい。これで、この子は、ノクターン家の養女に正式になりました。」
弁護士の台詞に。
にっこりと、笑い、赤ん坊を抱いているマリア。
あれから、ひと時たりとて、赤ん坊を手放そうと、マリアはしない。
よっぽど、赤ん坊が欲しかったのが、分かるほどに。
「マリア、名前、何てつけるんだ?」
リュクの言葉に。
「あのね。私、前から娘につけたかった名前があるの。ミリアム。」
ミリアム。
それは、彼女の妹の名前になるはずであった。
だが、死産だった。
だから、自分がもし娘をもつとしたら、妹の名前を。と、幼いころから決めていたのである。
「ミリアム・・ミリーか。いいね。」
リュクがにっこりと、ミリーと名づけられた赤ん坊の手を握る。
「リュクも何かないの?」
「フィラ・・とかいうのは?」
フィラ。
【希望】という意味合いと、【天使】という意味合いを持っているこの星での神話での言葉。
「あら、いいわね。
じゃあ・・・・。」


『この子の名前は・・・・・・・。』


書類作成報告に。


ノクターン家。
長女。
ミリアム=フィラ=ノクターン。



門の前でバスケットに入って、捨てられていた赤ん坊は。
ここに。
正式にノクターン家の長女として。
養子縁組がなされたのである。

                                      -一話へー


    

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    あとがき:
        薫:んっふっふっふっ♪
           さて、このミリー、だぁれだ♪
       姫:あら♪ようやく、私の小説をvv
       薫:ああ!!すぐにばらさないでぇぇぇぇ!!!!(涙)
       姫:いいじゃないvv
         私が、記憶閉じて、人間やってるときの話でしょ♪
         ついでに、ミレアが初めて私の妹で出来るvv
       薫:・・しくしくしく・・・・・。
          いいです・・・・もう・・・・・。
       姫:それに、のりは、スターウォーズに近いというか、
          サンライズシリーズよねvv
       薫:・・・・まあ、後々が、宇宙舞台ですから・・・・・。
         ちなみに。
         てへvv
         題、募集です♪(かなりまて!)
         とゆーわけで、根性ある人は、これ、見つけたと思います(爆!)
         ではでは、第、一話で♪


      姫:それじゃあね♪