まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

ふふふふ♡
みました?読みました?2003年の3月号の月間アスカのアンジェ!!
何と女王様がぁぁ!きゃぁぁぁぁvvv
ふふふ。結構好きですv前女王♡
・・・・・・・始めはクラヴィス様をふった!と怒ってましたけど(まて!)
あの・・・番外編を読んで・・・・ねぇ?ふふふふふ♪

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飛行都市ミッション?

うららかな日差しが、ぽかぽかと二人がいるテラスを包んでゆく。
そこにいるのは、紫の髪をしている女性と。
どうみても、七歳か八歳かそこらの少女が二人。
カチャン。
手にしている紅茶のカップが傾く。
「しっかし……あんたもいつもあの格好でいればいいのよ?どうしていつも子供の姿なのよ?」
ぱくり。
皿のと盛られているクッキーを一口。
「……ま、それはそれ。でも、本当、ロザリア?これからは無理しないでよ?」
心配そうに身を乗り出して顔をのぞきこんでくる金の髪の少女に。
「馬鹿ね。あれはちょっと気が緩んだだけよ。このロザリア=デ=カタルヘナとしたことが…」
先日、かなりの高熱を出して倒れたばかり。
それでも、献身的な介護の手によって何とか事なきを得ている。
「……でも、おかしいわね?聖地には、病気も何もないって聞いていたけど?
  ここは今、守護聖様達が集っていて、あんな病気になるなんてまずないはずなのに……」
顔を曇らせて言っているのは、ロザリアと呼ばれた青い紫がかった髪の色の女性。
そのぴしっと整えられた縦ロールの髪が印象深い。
「ここは聖地でないから。」
そういいつつも顔をゆがめる金髪の少女。
「ま、私はあの程度ですみましたけど。アンジェ、貴女も気を付けなさいよ?
  まあ、あんたの場合はストレスからきそうだけどね!おほほほほっ!」
「ロザリアァァ!」
そんなロザリアに笑いながら抗議する。


ふと。
そんな会話をしている庭先の先に人の気配。
「あれぇ?アンジェリークとロザリア。こぞってお茶会?いいなぁ?あ、そのクッキー、手作り?」
そういってくる、かなりかわいい金の髪の少年。
見た目では、美少女といっても……まず通る。
「あれ?女の子二人でお茶会?」
その横にいるのは、茶色い髪に青い瞳の少年。
「けっ。能天気なことだよな。」
ぶっきらぼうに答えているのは鋼の髪に赤い瞳の少年。
「まあ。これは、マルセル様、ゼルフェル様、ランディ様。」
にっこりと微笑むロザリアに。
「よかったら、ご一緒にどうですか?」
にこにこといって進めるアンジェリーク。
「ええ!?いいの!?」
目を輝かせるマルセルと呼ばれた金髪の少年に。
「こら、マルセル。今はそれどころじゃないだろう?」
ぽかり。
軽く頭を叩く茶色い髪をしたランディと呼ばれた少年。
「そうそう。かったるいけど。呼び出しだもんなぁ……」
吐き捨てるようにいっている赤い瞳の少年。
彼等は、宇宙を支える要の柱。
その九つの柱の要因。
サクリアと呼ばれるものを司っている『守護聖』という存在。
金色の髪の少年が豊かさをもたらす『緑の守護聖』マルセル。
鋼の髪をしている少年が、器用さをもたらす『鋼の守護聖』ゼフェル。
茶色い髪をしている少年が勇気をもたらす『風の守護聖』ランディ。
この三人がアンジェリークとロザリアに、話しかけてきたのだ。
「まさか、またゼフェル様、何かしたのですの?」
「だぁ!どうしていつも俺ばっかりのせいになるんだよ!?」
「あら、いつもの行動をみていれば。誰でもそう思いますわ。」
つっかかるゼフェルにさらりと言い切るロザリア。
「今回は、違うよ。ロザリア。」
そんなロザリアに言っているマルセル。
「こら!マルセル!その『今回は』っていうのは何だよ!?」
そんなマルセルにくってかかるゼフィル。
「う~ん。ちょっとね。俺達の力が必要なことが起こったらしくてね。」
「けっ。能天気な二人はほっといて!ほら、いくぞ!」
「あ!まってよぉ!ゼフィルぅ!」
「あ!まてよ!ゼフェル!じゃあ、そういうことで!」 
それだけいって、庭先から立ち去る三人。

ひゅう……
ガタガタガタ……
「あら?あんなにいい天気だったのに・・風がでてきたわ?」
たなびく髪を押さえて空を見上げるロザリアの言葉に。
「そうね。じゃあ、本日のお茶会はここまでにする?」
「そうね。」
そういってその場を片付け始めてゆく。
「あ、いいですよ。私がやりますから。」
カチャン。
彼女たちが片付け始めようとすると、横から伸びてくる手。
「でも、そんなの悪いわよ。シャルロッテさん。」
二人が住んでいる女王候補の寮にと二人の世話役を仰せつかっている、メイドのシャルロッテ。
「大切な女王候補のお二人に何かあったらいけませんし。さ。お早く部屋にお戻りを。」
その言葉に顔を見合わせて。
「一人じゃ無理ですわ。」
「そうよ。全員で運んだらすぐに片付くし!」
片付け始めるシャルロッテを手伝うロザリアとアンジェリークの姿。

ロザリア=デ=カタルヘナ。
アンジェリーク=リモージュ。
只今、ここ、未知なる、新宇宙にて、惑星を発展させる、女王試験の真っ最中。
この宇宙―銀河は一人の女王の手によって保たれている。
そして、それを支えるのが九つの光。
サクリアを司る守護聖と呼ばれる存在達。


ごぅ……
がたがたがた。
窓が震える。
「……こっちにまで影響が……アンジェリークの手には……負えない?」
少し眉をひそめ。
……ふぅ。
溜息一つ。
「……仕方ない。それでなくても彼女。頑張ってくれてるし。少しお手伝いしますか。」
それだけいって。
ふわ。
次の瞬間には。
その部屋の中からアンジェリークの姿は掻き消えてゆく。


王立研究院を使うわけにはいかない。
あれは、確実に記録が残ってしまうから。
自らの力で、自分たちが今育成をしている惑星の、その中心。中の島にと降り立ってゆく。
そこに、次空の揺らめきが見てとれる。
ここと繋がっている空間がすでに寿命を迎え、滅びの道に入っているのを……アンジェリークは知っている。
そして、このたびは少し大きな太陽系が消滅した。
その余波で少し大きなブラックホールが出現し。
それでなくても宇宙の綻びを直すことに力を費やしている女王の力と気を削ぎとっている。

ふわっ。
手をかざすと。
その背から、輝くばかりの白く淡い金色に光る羽が出現しそんなアンジェリークの体を覆いつくす。
次の瞬間には。
そこにいるのは、七歳前後の姿……つまりは子供の姿のアンジェリークではなく。
十七か、六歳、それくらいの少女の姿。
その面影から彼女がアンジェリークだと見てとれる。
彼女は、本来子供ではなく、れっきとしたロザリアと同じ十七歳の女の子なのであるからして。

そっと目を見開くと。
そのいつもの緑の瞳が、金色に輝いているのはどういうわけか。
そのまま手を空にとかざす。
『我が名前の元に、力を与えん――』
いつもの声でもなく、まるで浸透するような、それでいて。
透き通り、響き神々しいまでの声がその口から発せられてゆく。

ふわぁぁぁぁぁあ!
その言葉に、白い…白く輝く鳥が一羽、空にと舞い上がり。
そして辺りに白い羽が舞い落ちる。

「……さて、戻りますか。」
その鳥が、次空を通り、移動したのを見届けて。
その場から、金色に白く輝く羽を残し掻き消えてゆくアンジェリークの姿が。

*****

「……これは……また。」
問題の場所を【視】つつ、声を漏らしてつぶやく赤い髪の男性。
呼び戻されて。
何ごとかと思ったが、すぐさまに理解ができた。
「……何でこんなに大きなブラックホールなんかが出来てるんだよ?」
思わずつぶやくゼフェルの言葉に。
「今はそう言っている場合ではない。
  これをほうっておくということはすなわち、甚大な被害をもたらす。
  ……それゆえに、陛下は我ら守護聖全ての力でこのホールを無効化するようにと、
  ディアを通じて指示がたった。」
淡々と言い放つ長い金色の髪の男性。
「……さすがにこの大きさでは。一つの星どころか、太陽系なども飲み込みかねませんからね…」
つぶやく水色の髪に水色の瞳をしている男性。
「まあ、いいじゃない。早く修正しましょうよ。ここでぐずぐずしてても、被害は拡大するばかりだし?」
ひらひらと手を振っているメッシュを入れている、
かなり派手な格好をしている男性とも女性ともつかない男性が一人。
「……ま、今回ばかりは、オリヴィエのいうとおりだな。とっととやろうぜ?」
促すゼフェルに。
「では、それぞれの役割は覚えたな?」
威厳あるその金髪の男性の言葉に。
「はい!ジュリアス様!」
元気よく答えているマルセル。
「では、いくぞ!我ら守護聖一同、その力をもってして。発生した歪みを訂正す!」
ぶわっ!
目には見えないが。
そこにいる九人の体から、何かの力があふれ出す。
そしてそれは、彼等がみているそこにと集中的にと注がれてゆく。
「なんか……力が……」
「何だっていうんだよ!?女王の力が弱いぞ!?」
ランディが力があまり入らないことに気付き叫んでいるゼフェル。
……くっ!
ここまで女王陛下は……力を失っているというのか!?
守護聖の年長組みである三人は、そんなことをふと同時に思いつく。
が。
「ええい!愚痴をいう暇があったら、もっと力をおだしぃ!」
叫んでいる一人の男性。
かなりコーディネイトされているその服も、何もかもが決まっている。
彼の名前はオリヴィエ。
ゼフェルたち同様に守護聖の一人、美しさをもたらす『夢の守護聖』その人である。
彼らがそんな会話をしている最中。
ふわっ。
『……白く輝く金色の羽?』
そんな彼等の前に、舞い落ちてくる金色の羽。
本来ならば、白く輝いているのであろうが淡く金色にと光っていたりする。

次の瞬間には。
その光に飲み込まれるようにして。
守護聖達の力を利用して、ホールは闇にと溶け消えてゆく……



空を見上げると、満面の星。
とはいえ、ここの宇宙というか銀河はできて間がない。
そのために、『彼女』はここを創りだしたのだから。
「……どうにか何とかなったみたいね?」
軽く微笑む。
……まだ、時が満ちてはいないのだ。
今のままでは完全にあそこの空間を。
そこに生きる存在全てを移動するのには。
「……さて。とりあえず回収はしておかないとね……」
いつ、どんなところでばれるか分からない。
そのまま。
そっと。
部屋を抜け出し、外にでてゆくアンジェリークの姿。


「しっかし……本当、何が起こってるの?……何か聖地がさみしかった……」
ぎゅ。
その身を掴んで少し震える。
いつも、感じていた女王の力が果てしなく弱い。
「……さあな。」
何かがおかしい。
いきなり、始まった女王試験。
別に今までどうとも感じていなかったけど。
最近、よく守護聖である自分達の力が必要とされる。
何かが起こっている。
そうは思うが。
補佐官であるディアに直談判しても。
おそらく知っているであろうジュリアスやルヴァに聞いても返事が戻ってこないのだから。
それが余計に。
『……時がくればお話します。』
とだけいわれ。
今はともかく、女王候補たちに力を貸してあげてください。
――そう…言われている。

王立研究院から、次元回廊を通って聖地にと戻り、そして今。
この飛行都市にと戻ってきた守護聖達は、それぞれのかりそめの私邸に戻るべく足を向ける。

さわさわさわ。
静かに空気が揺れている。
目をしばらく閉じ、それを待つ。
やがて、その上空の大気が、一瞬ぶれ。
ふわり。
そこから白い羽が舞い落ちる。
透き通るような鳴き声を一声あげて。
そのまま、空気中から突如として出現した、白い鳥は。
そのまま、その足元にいる女性にと、羽ばたきながら、舞い降りてゆく。
そっと、その鳥に向かって手を伸ばす。
「……ご苦労様。フェリアーナ。」
手を伸ばしたその腕にとまる、神々しいまでの白い鳥。
やがて。
雲の割れ目から、満月がのぞき。
そんな女性と鳥をまるで神聖なものを映し出すようにと照らし出してゆく。


「……あれ?あれなんだろ?」
ふと。
その空の一点にそれを見つけたのは、マルセル。
「おや、マルセルちゃん、よくもまあ、あんなものをみつけたねぇ。」
感心の声を上げるオリヴィエ。
「お、何か降りてくるぞ。いってみようぜ!」
「あ!まてよ!ゼフェル!」
「あ!僕もいくぅ!」
ぱたぱたと。
その何か、白く舞い降りてくるそれにむかって駆け出すゼフィル、ランディ、マルセルの三人。
「やれやれ。お子様たちは……」
そういって苦笑する。
「オスカー?私達はとうする?」
「お前はどうするんだよ?オリヴィエ?」
問いかけるオリヴィエの言葉に、オスカーが返事を返す。
にやりと笑って。
「……まあ、何か興味はあるわよね。」
「そ~いうことだな。」
「あ~……私は調べものがありますからぁ~……」
そういって、頭にターバンを巻いている男性に。
「まあまあ、ルヴァ。そういわないで、付き合いなさいよ。」
「そうそう。」
ずるずるずる。
「あぁぁれぇぇぇぇ~……」
そのまま、二人にひこずられて、森にと彼らもまた足を踏み入れてゆく。


『・・・・・・・・・・。』
思わず見とれる。
そこには長いふわふわの金の髪の女性が存在しており、。
そして、その腕には……真っ白いまでの鳥の姿が。
その鳥の姿に、守護聖である彼等はみな、その姿が何に似ているのか理解し。
『な゛!?神鳥!?』
思わず、叫ぶ。
バサササササ!!
その言葉に、鳥が女性の腕から飛び立ち。
そして。
月灯りの中にたたずむ女性が振り向く。
淡く、それでいて長いふわふわの金色の髪。
そして。
振り向いたその瞳の色は……金色。
髪の長さと、雰囲気はまったく異なるが、どこかの誰かを連想させる。

「え……ええぇ!?」
ひこずられて、その光景を見ていたルヴァが思わず叫ぶ。
「あ……あれは、今のは確かに神鳥ですよぉ!?」
叫ぶルヴァに。
「あ~。もう、落ち着きなさいって。……どうやらそうみたいたねぇ……」
神鳥。
それは、この銀河……もとい、彼等が本来いるべき宇宙の、意思の具現化した存在。
女王陛下の半身。
「そんなことより……あのレディは……誰だ?」
その鳥を従えていた女性に目をとめ、少し感嘆の溜息を発しつつ、オスカーがつぶやく。
そこにいたのは、どうみても。
一般の人々とは、あきらかに、かけ離れた気配をしている女性。
長いふわふわの金髪に・・。
ゼフィルたちの声にと驚いて、振り向きざまに具間見えた……金色の瞳。

「……そう。かなり……もう時間がないわね。」
腕に止まった鳥から報告を受ける。
『彼女』が生み出した……彼女自身といっても過言でない。
彼女の意思を伝える存在――【神鳥、フェリアーナ。】
この空間に数多に存在する、宇宙。
すなわち銀河には、それぞれ意思をもったその銀河の精神体がある。
それは。
『彼女』がそう定めたこと。
そんな中でも、このフェリアーナは、一番『彼女』に近しいといっても過言ではない。
何しろ、彼女の分身に彼女が意思を与えて、名前を与え、
……『ここ』の銀河の意思にしているに他ならないのだから。
それは『ここ』が特別な場所ゆえに。
腕に止った真っ白い鳥から報告を受けていると。

『神鳥!?』
聞き覚えのある声が三つと、そして気配。
……しまった!?
「いきなさい!……アンジェリークの手助け。もう少しよろしくね。」
ばさり。
手を少し動かすと、羽ばたいて現れたとき同様に、空気の中にと溶け消えてゆく白い鳥。
ふと、ゆっくりと視線を動かし振り向くと。
そこに予想したとおり。
今現在の守護聖を任されている。
緑、鋼、風、地、炎、夢の六人の守護聖達の姿が。
そのまま。
すい。
手を横に伸ばしたかと思うと。
――シャラン……
静かな音と光と共に、女性の姿はそこから跡形もなく消えてゆく。

「な゛!?消えた!?」
「というか、誰なの!?あの子!?何で神鳥を従えられるのよ!?」
「ええと……」
かなり驚いているオスカーに、同じく驚いているオリヴィエ。
……何か、あの瞳の感じ……見覚えがあるのですが……
そう思い、首をかしげているルヴァ。
まあ、それも当然であろうが。
「すっごぉぃ!ね!今の誰!?すごい綺麗な人!?」
マルセルが目をきらきらさせて誰にともなくはしゃぐようにいい、
「さあなぁ。……けど、あんな女性……この飛行都市の中にいたか?」
まずあんなに綺麗で神々しいまでの雰囲気を持っていれば、まず間違いなく噂にのぼる。
というより、あのオスカーがほっとくとはおもえねぇ。
そんなことを思いつつ、いっているゼフィル。
「……あの神々しさ……まさか女王陛下!?」
一つの可能性も思いつくが。
「いやぁ、陛下はあんな人ではないですよぉ?」
後ろから声がする。
みれば。
そこに、ルヴァ、オスカー、オリヴィエの姿が。
「え?そうなんですか?」
きょとんとするマルセルに。
「ええ。陛下は、ストレートのそれは見事な金色の髪ですから。」
そういうルヴァに。
「へぇぇ。ルヴァが陛下の容姿を話すなんて初めてじゃない?」
過去の出来事を思い出し、その言葉に少し黙り込むルヴァ。
「しっかし、この俺ですら見たことない美人だったな。
  う~ん…このオスカー様というものが、あんな美人……見落とすわけないんだが……」
ぶつぶつ唸るオスカー。
「オスカー様でも分からないんですか?」
その言葉に少し驚くマルセル。
このオスカー。
はっきりいって、女性の名前などはマメにと覚え。
あろうことか、すでにこの飛行都市に住んでいる全ての女性の名前を暗記しているのだからして。
「そりゃ、おもしれえ。な、あの女性が何処の誰なのか突き止めないか?」
キョトンと驚愕の声を出すマルセルに。
にっと笑って提案するゼフェル。
「確かに、興味あるねぇ。よし!その話しのった!」
その提案に賛同をみせるオリヴィエ。
「あ~……そのですねぇ……試験に差し支えがあるような行動は……」
しどろもどろになっていうルヴァに。
「ルヴァちゃん?これは、重要なことだよ?
  滅多として人前になんか現れない、あの神鳥が。人の手にとまった。それ自体がね?
  もしかしたら……今起こっていることに何か関係があるのかもしれないし。」
はっ!
オリヴィエの言葉に、マルセルたち、歳若い守護聖組は思わず顔を見渡す。
「確かにな。……ジュリアス様には。見つかってから報告でいいだろう。」
まさかこのまま、不完全な情報を伝えるわけにもいかない。
そう思い言い切るオスカー。
「けっ。あのうるせえおっさんはどうでもいいけど。
  よっし!それじゃあ、明日から手分けして調査開始だぜ!」
たまには、こんな面白そうなことがあってもいいじゃないか。
そう心でおもいつつ、采配を振るっているゼフェル。
『意義なし!』
ゼフィルの言葉に、ルヴァ以外の全員がうなづいてるのであった。


「……あ゛~、あの、瞳の輝きはどこかで……家に戻って、文献でも探って見ますかねぇ……」
全員と別れ。
私邸に続く道をあるきつつ。
つぶやいているルヴァの姿が、静かな飛行都市の一角でみうけられてゆく。

「……しかし……俺としたことが……」
あの一瞬。
鳥をその腕にとのせている金色の髪の女性を見たとき。
女王陛下にも等しい感覚に襲われたのはどういうわけか。
一人つぶやきつつ、私邸にと戻ってゆくオスカー。

「しっかし、本当に綺麗な人だったわよねぇ。うん。あれなら満点だね。
  でも、服装がねぇ?やっぱり、綺麗な人はそれなりの格好しなくちゃね。私みたいに。」
そういって、すでに私邸にと戻り、ローズの入浴剤が入った浴槽にと使っているオリヴィエ。

それぞれの守護聖の思惑をそのままに。
静かに夜は更けてゆく。



こんこん。
「……入れ。」
「はい!失礼します!クラヴィス様!」
元気に扉の向こうから聞こえてくる子供の声。
扉を入ってくるのは、金髪の少女。
「おや、アンジェリーク。」
「こんにちわ。リュミエール様。」
そこにいた、水色の髪の男性にぺこりと挨拶をする。
「では、クラヴィス様、私はこれにて。」
「ああ。」
「では、ごきげんよう。アンジェリーク。」
そういって、アンジェリークと入れ違いに出てゆくリュミエール。
「……で?何のようだ?」
目の前にいる長い黒い髪に日の光の下でみるとアメジスト色にと光る瞳を持っている男性が、
アンジェリークにと問いかける。
アンジェリークの目の前の席に座っているのは、人々に安らぎを与える『闇の守護聖』グラヴィス。
その深いよく通る声にと促され。
「はい!育成をお願いします!」
そんな彼の言葉に、元気に言い放つ。
「……わかった。望み通り、エリューシオンに闇の力を送ろう……」
「お願いします!」
ぺこりと頭を下げるアンジェリークに。
「……そうそう、おせっかいであろうが、一つ面白い話を聞かせてやろう。
  昨夜、ゼフィルやオスカーといったメンバー達が、
  王立研究院からの帰りに見たことない女性を見たらしい。」
……ぎくっ!
その言葉に一瞬震えるアンジェリーク。
「あ……あの?グラヴィス様?」
「何、水晶が気まぐれで映し出してな。―躍起になって捜しているぞ?」
「あ……あはははははははは(汗)……ばれてました?(汗)」
かるく笑いをあげつつ、額に汗が一筋流れる。
ふっ。
そんなアンジェリークの様子をみて軽く笑い。
「まあ、歳相応の姿の方はともかくとして……あちらの姿で出歩くのは……どうかとおもうが?」
水晶球が気まぐれに移しだしたその姿。
かつて、その姿は。
瞬く間に、彼が知っているアンジェリークの姿にと変化した。
「まあ、私にも事情がありまして……」
少し言葉を濁すアンジェに。
ふっ。
「例の軋みを少しでも抑えるために……か?確かに……時間はあまりないが…な。」
そういって、水晶に手をかざす。
「……まだ、時間が……今のままでは、ここは全ての生命を抱擁するほどに発展してませんから。」
きっと顔を上げてそういうアンジェの言葉に。
「――我々と違い、大変のようだな。『全ての世界を創りし存在コスモスメイト』よ?」
「すいません。正体を知っていながら。黙っていてもらってまして……」
その言葉に、ぺこりと頭を下げて感謝の言葉を述べる。
彼が持っている水晶は。
もともと、かつて、彼女が彼の一族に手渡したものに他ならない。
それゆえに彼女の正体は、水晶球を通じて、すでに、この闇の守護聖クラヴィスにはばれている。
それでも。
別に誰にいうことでもないから、といって黙っていてくれるその優しさに感謝しつつ。
「…何、気にするな。別に言いふらすことでもあるまい?
  それより、かなり躍起になって捜しているぞ?アンジェリーク=ユニバース。その女性をな。」
そういって、くすりと意地の悪い笑いを浮かべる。
「あ……あはは(汗)。あれは……ちょぉぉぉぉと、軽率でした……
  でも、フェリアーナと連絡して合間見えるのに、この姿だとそれこそ駄目。
  さらには歳相応の姿でも……。やっぱり、知られてない姿にしておかないと……
  とりあえず。フェリアーナには、さらに力を補充しておきましたから。
  ……アンジェリークの意思だけで大丈夫のはずです。
  すいません。私のわがままで……かつて……」
「もういい。……あれは、私と彼女が選んだことだ。」
あの当時。
気付いてくれる可能性があるのは、彼女しかいなかった。
だから、神鳥を通して――当時の女王にその旨を伝えた。
他では……そのまま、間違いなく、そのまま銀河は崩壊するのがわかっていから。
かといって、自分が出向くのには……早すぎる。
一番大変なのは、移動する時。
自らが手を下すのではなく、自らの手で道を切り開いていってほしい。
それが、彼女の願いであるがゆえに。
今回は、少し、かなりちょっとした大事業が控えているので。
こうして、転生しているのにほかならないのだから……
過去を思い出し目を細めるクラヴィス。
かつての、甘く……苦い記憶。
「……すいません。」
「だから、謝る必用はない。
  ……おそらく、しばらく騒動が巻き起こるぞ?……心しておけ。」
「……ですね。ご忠告ありがとうございます!」
あまり人と話さないクラヴィスが、そう自分に忠告してくれたのをうれしく思い。
「それでは、失礼します!クラヴィス様!」
そういって、執務室を後にするアンジェリークの姿がみうけられてゆく。


*********


「だぁぁぁあ!どうして、何処にもいないんだよぉぉお!?」
「まさか……ゼフェルぅ。あの彼女……幽霊だったりして……」
「こら!マルセル!怖いことをいうなよ!」
そんなじゃれあいをしている彼等に。
「で?ルヴァは?」
そこにルヴァがいないのに気付きそんなことを問いかける。
「ルヴァなら……ほら。」
みれば。
ここは、ルヴァの執務室。
かなりの奥の書棚の隅で、本の山にと覆われているルヴァの姿。
彼らがそんなことを話しているそんな最中。
「ありました!これですよ!これ!どこかでみたことのあるような感じがしたんです!」
けほけほけほっ!
かなりの奥の方から。
しかも、地の守護聖が管理している本の、
しかも、持ち出し禁止最高レベルの部屋から、一つ古びた本を持って出てくる。
「ルヴァ様?」
「まだ、この本の完全解読は出来てないんですがねぇ。
  初代の守護聖が書いたと思われる書物なんですよ。ほら、ここに……」
ぱらり。
かなり昔であるというのに。
まったく、本の紙が老化してないのはどういうわけか。
開いたその場所に。
色は違えども。
確かに。
「あ!あの晩の人!」
「……確かに。そっくり……というか瓜二つだな……」
そこには。
色はすでに色あせているのもも。
長いふわふわの金色の髪に、金色の瞳をしている女性が神鳥を従えている姿が描かれている。
その色もすでに、淡く掻き消えそうにとなっているが。
「この人は、初代の女王。つまりは、創生の女王らしいですよ?解読できている以内では?」
そういうルヴァの言葉に。
『何(ですってぇ)だってぇ!?(だって!?)』
その場にいた、オリヴィエ、オスカー、ゼフェル、マルセルの声が重なる。
「ゼフィルルぅぅぅ……やっぱりあれ、幽霊だたんだぁぁ!」
「こらまて!なくな!」
「俺は、幽霊でもいいから、もう一度会いたいな。
 
数日飛行都市の中を駆け回りつつも、結局その姿を見つけられなかったぜフィルたち。
まあ、当然であろう。
何しろ、あの姿には、アンジェリークはまず戻らないのだから。

しばらくその女性を捜していた彼等であったが、
やがてあまりに見つからないので諦めてゆくのであった。


「……今度からは、外であの姿にならないようにしましょっと……」
一人、つぶやくアンジェリークの姿が見受けられていた。

飛行都市は今日もつつがなく平和である。


                                            -終わり♪ー


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あとがきもどき:

なにげに、【ユニバース】バージョンのアンジェを捜して。かなり走り回ったゼフィルたち三人組と。
オスカー、オリヴィエなのです。
ちなみに。リモージュの本当の正体を知っているのは・・・・。
・・・・この時点では・・・・・ラヴィスだけです(笑)
・・・・・はやく、この長編・・とりかからないとな・・・(滝汗)
それでは。・・・・・・眠い目をこすりつつ・・打ち込んでるから・・・。
・・・・絶対どこかに間違いが絶対にある・・・・・・・・
ではではvvv